特許第6184788号(P6184788)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6184788
(24)【登録日】2017年8月4日
(45)【発行日】2017年8月23日
(54)【発明の名称】オレフィン系樹脂シート
(51)【国際特許分類】
   B32B 27/32 20060101AFI20170814BHJP
【FI】
   B32B27/32 E
【請求項の数】2
【全頁数】9
(21)【出願番号】特願2013-154653(P2013-154653)
(22)【出願日】2013年7月25日
(65)【公開番号】特開2015-24543(P2015-24543A)
(43)【公開日】2015年2月5日
【審査請求日】2016年7月7日
(73)【特許権者】
【識別番号】000000077
【氏名又は名称】アキレス株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100068618
【弁理士】
【氏名又は名称】萼 経夫
(74)【代理人】
【識別番号】100104145
【弁理士】
【氏名又は名称】宮崎 嘉夫
(74)【代理人】
【識別番号】100104385
【弁理士】
【氏名又は名称】加藤 勉
(74)【代理人】
【識別番号】100163360
【弁理士】
【氏名又は名称】伴 知篤
(72)【発明者】
【氏名】小林 秀一
(72)【発明者】
【氏名】道祖土 朋宙
【審査官】 相田 元
(56)【参考文献】
【文献】 特開2001−038862(JP,A)
【文献】 特開2011−057723(JP,A)
【文献】 特開2000−063603(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B32B 1/00−43/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
エチレン系共重合体からなる中間層及びその両面に形成されたポリプロピレン系樹脂からなる外層から構成されるオレフィン系樹脂シートであって、
前記外層は、アイオノマー樹脂を1ないし15質量%含むものであり、
前記ポリプロピレン系樹脂は、メタロセン触媒により重合されたランダムポリプロピレンであって、その230℃×2.16kgfでのメルトフローレートが3g/10min以上であることを特徴とするオレフィン系樹脂シート。
【請求項2】
前記アイオノマー樹脂の金属イオンがカリウムイオンであることを特徴とする請求項1記載のオレフィン系樹脂シート。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、名札ケースやクリアファイルなどの用途に適するオレフィン系樹脂シートに関するものであり、詳細には、透明性及び高周波ウェルダー溶着性に優れるオレフィン系樹脂シートに関する。
【背景技術】
【0002】
原反フィルムを名札ケースやクリアファイルに加工する際には、原反フィルムを特定形状に裁断又は型抜き、重ね合わせ端部を接着剤で貼り合わせたり、ヒートシールや高周波ウェルダー加工などで溶着(融着)する工程等がある。
接着剤で貼り合わせる場合には、接着箇所の透明性が損なわれたり、接着箇所が固くなるといった不具合があり、また、ヒートシールでは、被加熱物の熱伝導に依存するため、内部まで加熱する場合は長時間を要し、それにより、溶着しない箇所にまで熱の影響がおよぶといった不具合がある。
一方、高周波ウェルダー加工は、被加熱物の溶着箇所のみを内部加熱させるものであるため、短時間でかつ溶着しない箇所に熱の影響を与えることなく溶着することができ、また、被加熱物の内部から均一に加熱することで溶着強度に優れ、しかもわずか数秒の印加時間で品質の安定した溶着加工を行うことができ、加えて、加工中や加工後に環境負荷物質が発生しない、非常にクリーンな加工法であるため、名札ケースやクリアファイルの加工方法として優れたものといえる。
しかし、高周波ウェルダー加工は、塩化ビニル樹脂、エチレン−メタクリレート共重合体及びエチレン−酢酸ビニル共重合体等の極性のある樹脂であれば、溶着できるものの、耐傷性に優れるポリエチレンやポリプロピレン等の極性のない樹脂を溶着することはできない。
そのため、名札ケースやクリアファイルに用いるオレフィン系樹脂シートとして、高周波ウェルダー適性に優れる極性を有する樹脂を中間層とし、該層の両面に耐傷性に優れる樹脂(例えば、ポリプロピレン系樹脂等)の層を設けることにより製造される、高周波ウェルダー適性に優れ且つ耐傷性を備える3層のオレフィン系樹脂シートが提案されている(例えば、特許文献1,2参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開平11−198308号公報
【特許文献2】特開2005−035213号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1は、オレフィン系樹脂からなる中間層及びその両面に形成された、アイオノマー樹脂を主体とするオレフィン系樹脂からなる外層とから構成されるオレフィン系樹脂製多層フィルム又はシートを開示する。
該オレフィン系樹脂製多層フィルム又はシートは、高周波ウェルダー適性及び耐傷性等を備えるものであるが、得られたフィルム又はシートは、タック性があり、また、成形性が悪く、成形機に焼きつくという問題があることが判り、加えて、その透明性は必ずしも十分といえるものではなかった。
特許文献2は、エチレン−酢酸ビニル共重合体及びエチレン−アルキル(メタ)アクリレート共重合体から選ばれたエチレン系共重合体を中心層とし、その両面に融点115〜130℃のシングルサイト触媒により重合されたプロピレン−エチレンランダム共重合体を積層した積層フィルムを開示する。
該積層フィルムは、高周波ウェルダー加工が可能で、耐傷性に優れるものであるものの、高周波ウェルダー加工性においては必ずしも十分といえるものではなく、例えば、電磁波の出力を上げないと溶着できなかったり、溶着に時間を要する(時間を要すと、場合によってはシートが焦げる可能性がある)等の課題があることが判り、また、その透明性も必ずしも十分といえるものではなかった。
【0005】
従って、本発明は、上記の問題点を解消する、即ち、透明性及び高周波ウェルダー溶着性に優れるオレフィン系樹脂シートの提供を課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明者等は、上記課題を解決するために鋭意検討した結果、エチレン系共重合体からなる中間層及びその両面に形成されたポリプロピレン系樹脂からなる外層から構成される3層のオレフィン系樹脂シートにおいて、外層に、アイオノマー樹脂を1ないし15質量%含有させると、透明性及び高周波ウェルダー溶着性に優れるオレフィン系樹脂シートとなることを見出し、本発明を完成させた。
【0007】
即ち、本発明は、
(1)エチレン系共重合体からなる中間層及びその両面に形成されたポリプロピレン系樹脂からなる外層から構成されるオレフィン系樹脂シートであって、
前記外層にはアイオノマー樹脂を1ないし15質量%含むものである
オレフィン系樹脂シート、
(2)前記アイオノマー樹脂の金属イオンがカリウムイオンであることを特徴とする(1)記載のオレフィン系樹脂シート、
(3)前記ポリプロピレン系樹脂は、メタロセン触媒により重合されたランダムポリプロピレンであることを特徴とする(1)または(2)記載のオレフィン系樹脂シート、
(4)前記メタロセン触媒により重合されたランダムポリプロピレンの230℃×2.16kgfでのメルトフローレートが3g/10min以上である(3)記載のオレフィン系樹脂シート
に関する。
【発明の効果】
【0008】
本発明により、透明性及び高周波ウェルダー溶着性に優れるオレフィン系樹脂シートが提供される。
また、本発明のオレフィン系樹脂シートは、低温での強度に優れ、そのため、冬場割れを起こし難く、また、高温での寸法安定性に優れ、そのため、高温加工での使用に有利である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
更に詳細に本発明を説明する。
本発明のオレフィン系樹脂シートは、エチレン系共重合体からなる中間層及びその両面に形成されたポリプロピレン系樹脂からなる外層から構成され、
前記外層にはアイオノマー樹脂を1ないし15質量%含むものである。
【0010】
本発明のオレフィン系樹脂シートの外層は、ポリプロピレン系樹脂およびアイオノマー樹脂からなる。
外層にアイオノマー樹脂を添加することにより、アイオノマー樹脂を含有していないシートに比べて、低出力かつ短時間で高周波ウェルダー溶着が可能となる。
外層に含まれるアイオノマー樹脂の含量は、1質量%以上で効果が得られるものであり、その具体的な範囲は、1ないし15質量%であり、3ないし5質量%の範囲が好ましい。15質量%を超えると、透明性が損なわれる傾向にある。
また、アイオノマー樹脂は、エチレン系の2元共重合体または3元共重合体が金属イオンで架橋することにより調製されるものであるが、本発明においては、カリウムイオンによって架橋されたものが好ましく用いられる。カリウムイオンで架橋されたアイオノマー樹脂は、他の金属イオン(例えば、亜鉛イオン、ナトリウムイオン、リチウム、マグネシウム等)で架橋された場合と比較して、得られるアイオノマー樹脂の誘電率が高いため、高周波ウェルダー性が高いものとなる。
【0011】
アイオノマー樹脂は、エチレン系の2元共重合体または3元共重合体からなる。
2元共重合体としては、エチレン及び(メタ)アクリル酸又は(メタ)アクリル酸アクリルエステルを重合体を構成するモノマー成分とする重合体が挙げられ、3元共重合体としては、エチレン、(メタ)アクリル酸又は(メタ)アクリル酸アクリルエステル及び(メチル)アクリル酸又は(メチル)アクリル酸アクリルエステルを重合体を構成するモノマー成分とする重合体が挙げられる。
【0012】
上記アイオノマー樹脂の酸含有量は5質量%以上30質量%以下であることが好ましく、さらに好ましくは5質量%以上15質量%以下である。
【0013】
本発明のオレフィン系樹脂シートの外層は、ポリプロピレン系樹脂およびアイオノマー樹脂からなる。
ポリプロピレン系樹脂としては、種々のものが使用可能であるが、メタロセン触媒により重合されたランダムポリプロピレンが好ましく用いられる。
メタロセン触媒により重合されたランダムポリプロピレンは、他の触媒により重合されたランダムポリプロピレンやホモポリプリピレンと比較して透明性が高く、そのため、透明性に優れるオレフィン系樹脂シートを製造するのに有利である。
また、メタロセン触媒により重合されたランダムポリプロピレンは、その230℃×2.16kgfでのメルトフローレートが3g/10min以上であるものが好ましい。メルトフローレートが3g/10min以上であると、アイオノマー樹脂を添加した場合において、メタロセン触媒により重合されたランダムポリプロピレンが本来有する透明性が低下する不具合がない。
【0014】
上記のポリプロピレン系樹脂には、必要に応じて、帯電防止剤、酸化防止剤、ヒンダードアミン系化合物等の光安定剤、滑剤、紫外線吸収剤、無機充填剤、顔料等の着色剤、等の各種添加剤を添加してもよい。
【0015】
本発明のオレフィン系樹脂シートの外層は、得られるオレフィン系樹脂シートの特性を損なわない範囲であれば、上記のポリプロピレン系樹脂やアイオノマー樹脂以外の重合体、具体的には、低密度ポリエチレン、線状低密度ポリエチレン、中密度ポリエチレン、高密度ポリエチレン等のポリエチレン;アイソタクチック又はシンジオタクチックのポリプロピレン(プロピレンとエチレンのランダム、ブロック共重合体、即ちランダムポリプロピレン、ブロックポリプロピレン等も含む);ポリブテン;オレフィン系ゴム;エチレン系エラストマー;等を混合しても差し支えない。
【0016】
本発明のオレフィン系樹脂シートの中間層は、エチレン系共重合体からなる。
エチレン系共重合体としては、高周波ウェルダー溶着性を有するエチレン系共重合体であれば特に限定されないが、例えば、エチレン−酢酸ビニル共重合体、エチレン−メタクリル酸メチル共重合体等が挙げられる。
好ましいエチレン系共重合体としては、柔軟で極性が高いエチレン−酢酸ビニル共重合体が挙げられる。
エチレン−酢酸ビニル共重合体としては、酢酸ビニルの含量が10質量%以上のものが好ましく、また、10ないし35質量%の範囲のものが好ましい。
【0017】
中間層を構成するエチレン系共重合体はまた、アイオノマー樹脂を含み得る。
アイオノマー樹脂としては、上記外層で使用されるものと同様であり、2元共重合体としては、エチレン及び(メタ)アクリル酸又は(メタ)アクリル酸アクリルエステルを重合体を構成するモノマー成分とする重合体が挙げられ、3元共重合体としては、エチレン、(メタ)アクリル酸又は(メタ)アクリル酸アクリルエステル及び(メチル)アクリル酸又は(メチル)アクリル酸アクリルエステルを重合体を構成するモノマー成分とする重合体が挙げられる。
金属イオンとしては、カリウムイオン、亜鉛イオン、ナトリウムイオン、リチウムイオン、マグネシウムイオン等が挙げられるが、カリウムイオンが好ましい。
アイオノマー樹脂の含有量は、1ないし15質量%の範囲であり、好ましくは、3ないし5質量%の範囲である。
アイオノマー樹脂はエチレン−酢酸ビニル共重合体と相性がよいため、中間層としてエチレン−酢酸ビニル共重合体を用いる場合には、アイオノマー樹脂を添加することが好ましい。
【0018】
上記のエチレン系共重合体には、必要に応じて、帯電防止剤、酸化防止剤、ヒンダードアミン系化合物等の光安定剤、滑剤、紫外線吸収剤、無機充填剤、顔料等の着色剤、等の各種添加剤を添加してもよい。
【0019】
本発明のオレフィン系樹脂シートの中間層は、得られるオレフィン系樹脂シートの特性を損なわない範囲であれば、上記のエチレン系共重合体以外の重合体、具体的には、低密度ポリエチレン、線状低密度ポリエチレン、中密度ポリエチレン、高密度ポリエチレン等のポリエチレン;アイソタクチック又はシンジオタクチックのポリプロピレン(プロピレンとエチレンのランダム、ブロック共重合体、即ちランダムポリプロピレン、ブロックポリプロピレン等も含む);ポリブテン;オレフィン系ゴム;エチレン系エラストマー;等を混合しても差し支えない。
【0020】
本発明のオレフィン系樹脂シートは、中間層の両面に外層を形成してなるが、その形成手段として好ましくは、製造工程が簡略である共押出法や共押出インフレーション法である。勿論、中間層と外層とを、カレンダー法、押出法、インフレーション法等の手段によって別々に成形し、それらを熱ラミネートもしくは適宜の接着剤による接着等の手段で積層する等によっても本発明のオレフィン系樹脂シートを得ることができる。尚、本発明のオレフィン系樹脂シートは、中間層と外層との間に接着剤を介在させずとも、層間接着性に優れるという利点もある。
【0021】
本発明のオレフィン系樹脂シートの厚さについては、特に限定されるものではないが、上記用途として一般的には、0.03〜2.0mmである。
【0022】
本発明のオレフィン系樹脂シートにおける、中間層と外層の厚さの比率は、外層:中間層:外層において、1:2:1ないし1:20:1の範囲となり、好ましくは、1:4:1ないし1:16:1の範囲である。
中間層と外層との厚さの比が、上記範囲を著しく逸脱した場合、本発明の課題を解決し得るオレフィン系樹脂シートを得ることができない。尚、両外層の厚さは、必ずしも同じであることを要しない。
得られるオレフィン系樹脂シートの透明性は、10以下のヘイズ値とするのが好ましい。
【0023】
上記の方法により得られる本発明のオレフィン系樹脂シートは、透明性及び高周波ウェルダー溶着性に優れるものであるため、二次加工を要する用途での使用に好適である。
【実施例】
【0024】
次に、本発明を実施例により更に詳細に説明するが、本発明は実施例に限定されるものではない。
<オレフィン系樹脂シートの製造>
実施例1
中間層にエチレン−酢酸ビニル共重合体(三井デュポンポリケミカル社製、エバフレックスP1403)を用い、両外層には、酸含有量12質量%のエチレン−メタクリル酸共重合体をカリウムイオンで架橋した、MFRが5.0g/10min(230℃×2.16kgf)のアイオノマー樹脂1を3質量%含む、メタロセン触媒により重合されたMFRが7.0g/10min(230℃×2.16kgf)のランダムポリプロピレン1を用い、メインスクリュー径40mm、サブスクリュー径25mmの三層Tダイテスト押出機で、層の厚さの比率が、外層:中間層:外層=1:12:1となるように共押出し成形して、厚さ0.3mmの三層のオレフィン系樹脂シートを製造した。
【0025】
実施例2
アイオノマー樹脂1の含有量を5質量%とした以外は、実施例1と同様の操作を行なって、オレフィン系樹脂シートを製造した。
【0026】
実施例3
アイオノマー樹脂1の含有量を1質量%とした以外は、実施例1と同様の操作を行なって、オレフィン系樹脂シートを製造した。
【0027】
実施例4
アイオノマー樹脂1の含有量を15質量%とした以外は、実施例1と同様の操作を行なって、オレフィン系樹脂シートを製造した。
【0028】
実施例5
実施例1で用いたアイオノマー樹脂1を、酸含有量12質量%のエチレン−メタクリル酸−アクリル酸エステル共重合体を亜鉛イオンで架橋した、MFRが1.0g/10min(230℃×2.16kgf)のアイオノマー樹脂2に変更した以外は、実施例1と同様の操作を行なって、オレフィン系樹脂シートを製造した。
【0029】
実施例6
実施例1で用いたアイオノマー樹脂1を、酸含有量7質量%のエチレン−メタクリル酸共重合体をナトリウムイオンで架橋した、MFRが0.9g/10min(230℃×2.16kgf)のアイオノマー樹脂3に変更した以外は、実施例1と同様の操作を行なって、オレフィン系樹脂シートを製造した。
【0030】
実施例7
エチレン−酢酸ビニル共重合体を、エチレン−メタクリル酸メチル共重合体(住友化学社製 アクリフトWH206)に変更した以外は、実施例1と同様の操作を行なって、オレフィン系樹脂シートを製造した。
【0031】
参考例
実施例1で用いたランダムポリプロピレン1を、亜鉛系触媒で重合されたMFRが7.0g/10min(230℃×2.16kgf)のランダムポリプロピレン2に変更した以外は、実施例1と同様の操作を行なって、オレフィン系樹脂シートを製造した。
【0032】
参考例
実施例1で用いたランダムポリプロピレン1を、メタロセン触媒で重合されたMFRが2.0g/10min(230℃×2.16kgf)のランダムポリプロピレン3に変更した以外は、実施例1と同様の操作を行なって、オレフィン系樹脂シートを製造した。
【0033】
参考例10
実施例1で用いたランダムポリプロピレン1を、メタロセン触媒で重合されたMFRが7.0g/10min(230℃×2.16kgf)のホモポリプロピレン1に変更した以外は、実施例1と同様の操作を行なって、オレフィン系樹脂シートを製造した。
【0034】
比較例1
アイオノマー樹脂1を用いなかった以外は、実施例1を同様の操作を行なって、オレフィン系樹脂シートを製造した。
【0035】
比較例2
アイオノマー樹脂1の含有量を20質量%とした以外は、実施例1と同様の操作を行なって、オレフィン系樹脂シートを製造した。
【0036】
試験例1
実施例1〜7、参考例8〜10及び比較例1〜2で製造したオレフィン系樹脂シートの透明性及び高周波ウェルダー溶着性を評価して表1に示した。
尚、評価方法及び評価基準は以下に示した通りである。
【0037】
評価方法・評価基準
<透明性>
・ヘイズ値10未満 ◎
・ヘイズ値10以上12未満 ○
・ヘイズ値12以上 ×
<高周波ウェルダー溶着性>
高周波ウェルダー溶着における同調率及び溶着時間を測定(条件:4kW高周波ウェルダー機、5×250mm真鍮性フラットバー、絶縁シート ニカプライ使用)
・同調率70、発信時間2秒で溶着 ◎
・同調率70、発信時間4秒で溶着 ○
・同調率80、発信時間4秒で溶着 △
・溶着しない ×
【表1】