特許第6184791号(P6184791)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6184791
(24)【登録日】2017年8月4日
(45)【発行日】2017年8月23日
(54)【発明の名称】粘着テープの貼着装置及び貼着方法
(51)【国際特許分類】
   H01L 21/02 20060101AFI20170814BHJP
   H01L 31/05 20140101ALI20170814BHJP
【FI】
   H01L21/02 Z
   H01L31/04 570
【請求項の数】5
【全頁数】18
(21)【出願番号】特願2013-155385(P2013-155385)
(22)【出願日】2013年7月26日
(65)【公開番号】特開2015-26715(P2015-26715A)
(43)【公開日】2015年2月5日
【審査請求日】2016年7月14日
(73)【特許権者】
【識別番号】000002428
【氏名又は名称】芝浦メカトロニクス株式会社
(72)【発明者】
【氏名】岩間 哲也
(72)【発明者】
【氏名】田中 康貴
【審査官】 工藤 一光
(56)【参考文献】
【文献】 特開2011−14880(JP,A)
【文献】 特開2005−126203(JP,A)
【文献】 特開平10−173321(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01L21/02
H01L31/05
H05K3/32
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
半導体セルに粘着テープを貼着する貼着装置であって、
半導体セルを供給排出する給排部と半導体セルに粘着テープを貼着する貼着部に半導体セルを位置決めする回転搬送機構と、
上記貼着部は、離型テープに貼着された粘着テープからなるテープ部材が巻装された供給リールと、上記テープ部材から粘着テープが剥離された離型テープを巻き取る巻き取りリールと、テープ部材をガイドするガイド部材と、上記テープ部材から粘着テープを押圧して半導体セルに貼着する貼着手段と、テープ部材を接続する接続手段を有し、
上記給排部は、半導体セルを保持して上記回転搬送機構に半導体セルを供給する供給手段と、粘着テープが貼着された半導体セルを上記回転搬送機構から排出する排出手段とを有し、
さらに、上記給排部、貼着部および回転搬送機構を制御する制御機構を有し、
上記制御機構は、上記テープ部材を交換する際に、上記接続手段で接続された部分が上記貼着手段で粘着テープが貼着される位置より下流まで送られるまで送るとともに、上記回転搬送機構に設置されたダミーセルに粘着テープを捨て貼着し、この捨て貼着の繰り返しの間で、上記回転搬送機構を回転させて貼り着位置をずらすように制御する
ことを特徴とする粘着テープの貼着装置。
【請求項2】
上記制御装置は、捨て貼着時の回転搬送機構の回転を、捨て貼着毎に行なうよう制御することを特徴とする請求項1記載の粘着テープの貼着装置。
【請求項3】
上記制御装置は、捨て貼着時の回転搬送機構の回転を、複数回の捨て貼着毎に行なうよう制御することを特徴とする請求項1記載の粘着テープの貼着装置。
【請求項4】
上記回転搬送機構は、周方向に180度間隔で設けられた2つのステージ及びこれらステージに対して周方向に90度ずれた位置に設けられた取付け部を有し、
一方のステージが上記貼着部に位置決めされているとき、他方のステージは上記半導体セルの供給と排出が行われる給排部に位置決めされるようになっていて、
上記取付け部にダミーセルが設けられていないとき、2つの上記ステージが上記給排部と上記貼着部に順次位置決めされることを特徴とする請求項1記載の粘着テープの貼着装置
【請求項5】
半導体セルの上下面にそれぞれ複数の粘着テープを所定間隔で同時に貼着する粘着テープの貼着方法であって、
上記半導体セルをステージに供給する工程と、
供給リールに巻装された離型テープ及びこの離型テープの一方の面に上記粘着テープが貼着されてなるテープ部材を、上記ステージに供給された半導体セルの上面と下面とに対向するよう走行させて供給する工程と、
上記テープ部材の上記離型テープと上記粘着テープのうちの上記粘着テープだけを上記半導体セルに貼着する長さ寸法に切断する工程と、
所定長さに切断された上記粘着テープを上記半導体セルの上面と下面とに位置決めして
同時に貼着する工程と、
上記粘着テープが貼着された上記半導体セルを上記ステージから排出する工程と
上記供給リールを新たな供給リールに交換したときに、上記テープ部材を接続する工程と、この接続部分を貼着部の貼着位置より下流まで搬送する工程と、この搬送の間に所定長さに切断された上記粘着テープをダミーセルに捨て貼着して頭出しする工程と
を具備し、
上記捨て貼着の際に、捨て貼着位置をずらす工程を有することを特徴とする粘着テープの貼着方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は複数の半導体セルをリード線で一列に接続する際に用いられる粘着テープの貼着装置及び貼着方法に関する。
【背景技術】
【0002】
太陽電池モジュールには、単結晶シリコンや多結晶シリコンなどの半導体セルを帯状のリード線によって一列に接続しているものがある。
【0003】
このような太陽電池モジュールの一例を図15に示す。図15(a)は複数の半導体セルSをリード線2によって一列に接続した状態の平面図、図15(b)は拡大した側面図である。
【0004】
図15(b)に示すように、各半導体セルSの太陽光を受ける受光面である上面と下面(裏面)とが交互にリード線2で接続される。この例では、半導体セルSの上面および下面(裏面)と導電性を有するリード線2が導電性を有する熱硬化性の樹脂からなる粘着テープ3を介して熱圧着されて接続されている。
【0005】
このような接続は、まず半導体セルSの上面と下面(裏面)とにそれぞれ導電性を有する熱硬化性の樹脂からなる粘着テープ3が貼着され、この粘着テープ3にリード線2を仮圧着してから本圧着することで行われる。
【0006】
上記粘着テープ3は、図5に示すように離型テープ3aの一方の面に貼着され、これら粘着テープ3と離型テープ3aとでテープ部材4を形成している。このテープ部材4は、供給装置を構成する供給リールに巻装されている。
【0007】
供給リールから引き出されたテープ部材4は、粘着テープ3だけが切断機構によって半導体セルSの長さに対応する所定長さ寸法(図15にLで示す)に切断される。ついで、粘着テープ3の所定長さ寸法Lに切断された部分は、離型テープ3aとともに上記半導体セルSの上面と下面とに対向するよう位置決めされ、加圧ツールによって半導体セルSに向かって押圧されて貼着される。
【0008】
貼着後、上記半導体セルSに貼着された粘着テープ3から離型テープ3aが剥離される。そして、剥離後に離型テープ3aが所定長さ送られ、粘着テープ3の所定長さ寸法Lに切断された次の部分が貼着位置に位置決めされた次の基板に貼着されるということが繰り返して行なわれることになる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0009】
【特許文献1】特開2011−14880号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
ところで、このような貼着作業が継続して行なわれると、上記供給装置の供給リールに巻装されたテープ部材4がなくなってくるので、残量が所定以下となったとき、使用中の供給リールを新たな供給リールに交換するということが行なわれる。
【0011】
この場合、供給リールに巻装されたテープ部材4の残量が所定以下となったことをセンサ等で検出し、使用中の供給リールからテープ部材4がなくなる前に、新たな供給リールのテープ部材4の始端部を、使用中の供給リールのテープ部材4に接続する。それによって、新たな供給リールに巻装されたテープ部材4を使って、粘着テープ3を引き続き貼着することができる。
【0012】
上述のように、使用中の供給リールを新たな供給リールに交換した場合、テープ部材4を接続した部分を半導体セルSへの貼着位置より下流側まで送る頭出し作業が行なわれる。
【0013】
この頭出し作業は、テープ部材4の接続部分が半導体セルSへの貼着位置より下流に送られるまで、ダミーセル1Xなどに粘着テープ3を貼着することで行なわれる。
【0014】
通常、半導体セルSには一回の貼着しか行われないが、頭出しの場合は複数回の貼着が同じダミーセル1Xに行われる。したがって、図9のようにダミーセル1Xには複数の粘着テープ3が重ねて貼着される。ちなみに、図9(a)は上記ダミーセル1Xに複数の粘着テープ3が重ねて貼着された平面図を示し、図9(b)はその状態の側面図を示し、この場合ではダミーセル1Xの上下面それぞれに4枚の粘着テープ3が重ねて貼着されている状態を示す。
【0015】
このように、複数の粘着テープ3が重ねて貼着されていると、さらにその上に貼着しようとした場合、最初に貼着した粘着テープ3などが繰り返しの押圧により押しつぶされて変形してしまうことがある。このような変形が起きていると、その上から貼着した場合、基板に応じた長さに切断された粘着テープ3の部分が、次の粘着テープ3の部分が変形した粘着テープ3に貼り付いてしまい、めくれてしまったり、引き剥がされてしまう事があった。
【0016】
このような状態で頭出し作業が終わってしまうと、通常の貼着を再開した時に正常な貼着ができずに不良品となってしまう。
【0017】
この発明は、接続されたテープ部材の頭出しを、容易かつ確実に、しかも迅速に行なうことができるようにした粘着テープの貼着装置及び貼着方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0018】
この発明は、半導体セルに粘着テープを貼着する貼着装置であって、
半導体セルを供給排出する給排部と半導体セルに粘着テープを貼着する貼着部に半導体セルを位置決めする回転搬送機構と、
上記貼着部は、離型テープに貼着された粘着テープからなるテープ部材が巻装された供給リールと、上記テープ部材から粘着テープが剥離された離型テープを巻き取る巻き取りリールと、テープ部材をガイドするガイド部材と、上記テープ部材から粘着テープを押圧して半導体セルに貼着する貼着手段と、テープ部材を接続する接続手段を有し、
上記給排部は、半導体セルを保持して上記回転搬送機構に半導体セルを供給する供給手段と、粘着テープが貼着された半導体セルを上記回転搬送機構から排出する排出手段とを有し、
さらに、上記給排部、貼着部および回転搬送機構を制御する制御機構を有し、
上記制御機構は、上記テープ部材を交換する際に、上記接続手段で接続された部分が上記貼着手段で粘着テープが貼着される位置より下流まで送られるまで送るとともに、上記回転搬送機構に設置されたダミーセルに粘着テープを捨て貼着し、この捨て貼着の繰り返しの間で、上記回転搬送機構を回転させて貼り着位置をずらすように制御する
ことを特徴とする粘着テープの貼着装置にある。
【0019】
この発明は、半導体セルの上下面にそれぞれ複数の粘着テープを所定間隔で同時に貼着する粘着テープの貼着方法であって、
上記半導体セルをステージに供給する工程と、
供給リールに巻装された離型テープ及びこの離型テープの一方の面に上記粘着テープが貼着されてなるテープ部材を、上記ステージに供給された半導体セルの上面と下面とに対向するよう走行させて供給する工程と、
上記テープ部材の上記離型テープと上記粘着テープのうちの上記粘着テープだけを上記半導体セルに貼着する長さ寸法に切断する工程と、
所定長さに切断された上記粘着テープを上記半導体セルの上面と下面とに位置決めして
同時に貼着する工程と、
上記粘着テープが貼着された上記半導体セルを上記ステージから排出する工程と
上記供給リールを新たな供給リールに交換したときに、上記テープ部材を接続する工程と、この接続部分を貼着部の貼着位置より下流まで搬送する工程と、この搬送の間に所定長さに切断された上記粘着テープをダミーセルに捨て貼着して頭出しする工程と
を具備し、
上記捨て貼着の際に、捨て貼着位置をずらす工程を有することを特徴とする粘着テープの貼着方法にある。
【発明の効果】
【0020】
この発明によれば、貼着位置に位置決めされたダミーセルに、所定長さに切断された複数の粘着テープを捨て貼着して頭出しする際に、粘着テープのめくれや剥がれをなくすことができる。
【図面の簡単な説明】
【0021】
図1】この発明の実施の形態を示す粘着テープの貼着装置の概略構成図。
図2図1に示された粘着装置に用いられた回転搬送機構の平面図。
図3】回転搬送機構に設けられたダミーセル取付け部の部分拡大した側面図。
図4】貼着位置で半導体セルの上下面に粘着テープを貼着する貼着手段を示す正面図。
図5】上記貼着手段の切断機構によって粘着テープに切断線が形成されたテープ部材の拡大図。
図6】上下部の供給ユニットに設けられた3つの供給リールを示す平面図。
図7図4に示す貼着手段の側面図。
図8】上下面に粘着テープが貼着された半導体セルの側面図。
図9】(a)は従来の粘着テープが捨て貼着されたダミーセルの平面図、(b)はその側面図、(c)は捨て貼着で粘着テープ端部が潰れた状態を示す概念図。
図10】正常時の捨て貼着を示す工程図。
図11】異常時の捨て貼着を示す工程図。
図12】(a)はこの発明の実施の形態を示す粘着テープが捨て貼着されたダミーセルの平面図、(b)はその粘着テープ捨て貼着の先端状態を示す概念図。
図13】この発明の実施の形態における粘着テープの捨て貼着の工程図。
図14】回転搬送機構に設けられたダミーセル取付け部の応用例の側面図。
図15】(a)は複数の半導体セルがリード線によって接続された状態を示す平面図、(b)はその一部を示す拡大側面図。
【発明を実施するための形態】
【0022】
以下、この発明の実施の形態を図面を参照しながら説明する。
【0023】
図1に示す粘着テープの貼着装置1は、半導体セルSが供給、排出される給排部Aと、半導体セルSの上面と下面にそれぞれ粘着テープを貼着する貼着手段23が配置される貼着部Bと、この給排部Aと貼着部Bとの間で半導体セルSを搬送する回転搬送機構10を備えている。
【0024】
また、この貼着装置1には、給排部Aに半導体セルSを供給する供給機構22と、給排部Aより粘着テープが貼着された半導体セルSを次工程へ排出する排出機構24が配置されている。
【0025】
また、貼着装置1は、上記供給機構22、排出機構24、回転搬送機構10、貼着手段23の動作を制御する制御装置50を有する。
【0026】
そして、この回転搬送機構10は、図示しない回転駆動源によって給排部Aと貼着部Bとの間で回転駆動されるようになっていて、上記回転駆動源によって駆動される回転体11を有する。この回転体11には周方向に3つの突出部14が設けられている。3つの突出部14のうちの180度対向する2つには、それぞれステージ15が連結固定されている。
【0027】
上記ステージ15には、長手方向に沿う3つの貫通孔17が長手方向と交差する幅方向に対して所定間隔で穿設されている。この長手方向は、半導体セルSに粘着テープ3が貼着され、リード線によって複数の半導体セルSが一列に接続される方向に沿う方向である。
【0028】
このステージ15の上面には、複数の吸引孔18が開口形成されている。各吸引孔18は吸引ポンプにチューブ(ともに図示せず)を介して接続されている。それによって、上記吸引孔18には吸引力を発生させることができるようになっている。
【0029】
上記回転体11に設けられた2つのステージ15は、給排部Aと貼着部Bに順次位置決めされるようになっている。つまり、上記回転体11は通常周方向に180度ずつ間欠的に回転駆動されるようになっていて、2つのステージ15は2つのポジションに順次位置決めされるようになっている。なお、この回転駆動は一方向の回転でも往復の回転でも良い。
【0030】
供給機構22は、粘着テープが貼着される前の半導体セルSが貯えられる供給部21と、供給部21から上記給排部Aに位置決めされたステージ15の上面に半導体セルSを搬送する図示しない第1のロボット22aを有する。
【0031】
排出機構24は、粘着テープの貼着が終わった半導体セルSを上記給排部Aに位置決めされたステージ15の上面から次工程に渡すための図示しない第2のロボット24aを有する。
【0032】
上記第1のロボット22aおよび第2のロボット24aは、図示しない吸着パッドなどの保持機構によって半導体セルSを保持する。また、図示しない駆動源によってX、Y、Z方向に駆動されるようになっている。
【0033】
図2に示す様に、上記回転体11に設けられた3つの突出部14のうちの、残りの1つの突出部14には、取付け部51が設けられている。この取付け部51は、ホルダプレート52を有する。このホルダプレート52の上面は上記ステージ15の上面と同じ高さに設定されている。
【0034】
上記ホルダプレート52の上面には一対の支持片53が立設されている。各支持片53にはアーム54の中途部が支軸55によって枢支されている。各アーム54は図3に示すように上記支軸55に取付けられたばね56によって矢印で示すように先端が上記ホルダプレート52の上面に圧接する方向に付勢されている。
【0035】
そして、後述するように半導体セルSに貼着される粘着テープ3の頭出し貼着を行う際、上記取付け部51にはダミーセル1Xが一側部を上記ホルダプレート52と上記アーム54の先端とによって着脱可能に挟持されて、上記ホルダプレート52の上面に保持される。
【0036】
なお、上記回転体11にホルダプレート52を設けておくことで、粘着テープ3の交換時にステージ15上に製造途中の製品が搭載されていても、ダミーセル1Xを上記ホルダプレート52に搭載することができるから、製造途中の製品をステージ15から除去する必要がなく、作業効率や生産性の向上を図ることができる。
【0037】
上記ダミーセル1Xとしては、半導体セルSに比べて安価な材料で、しかも粘着テープ3の貼着性が半導体セルSと同等以上の表面状態のものであればよく、アルミニウムなどの金属板やアクリル樹脂などの合成樹脂板、厚紙などを用いることが出来る。
【0038】
貼着部Bには、粘着テープを貼着する貼着手段23がステージ15を挟んで上下に配置されている。この貼着手段23は、図4に示すように上記ステージ15に保持された上記半導体セルSの上面に粘着テープ3を供給して貼着する上部供給ユニット27Aと、下面に粘着テープ3を供給して貼着する下部供給ユニット27Bを有する。各供給ユニット27A,27Bは上下方向の向きが異なるものの構成は同じであるので、同一部分には同一記号を付して説明を省略する。
【0039】
上記各供給ユニット27A,27Bは図4図6に示すように、上記貼着部Bに位置決めされたステージ15の上方と下方にそれぞれ配置された3つの供給リール28を有する。図4は供給リール28を1つだけ示している。上記供給リール28には、図5に示すように粘着テープ3が離型テープ3aに貼着されたテープ部材4が巻装されている。
【0040】
3つの供給リール28は、図6に示すように径方向の中心部に軸受31が設けられていて、各軸受31は支軸33にスペーサ34を介して所定間隔で回転可能に支持されている。上記支軸33の両端部は、一対のブラケット32の先端に形成された凹部32aに着脱可能に係合させて支持されている。一対のブラケット32の基端部は基部材30の板面に固定されている。
【0041】
上記支軸33の両端部にはストッパ35が装着され、このストッパ35はハンドル36を回転させることで、上記支軸33に着脱できるようになっている。それによって、上記ブラケット32から上記支軸33とともに3つの供給リール28を取り外した後、上記ストッパ35を上記ハンドル36によって緩めて各供給リール28を上記支軸33から取り外し、新たな供給リール28に交換できるようになっている。つまり、使用中の3つの供給リール28を未使用の新たな3つの供給リール28に一括で交換できるようになっている。
【0042】
図4に示すように、3つの供給リール28からそれぞれ引き出されたテープ部材4の粘着テープ3には、シリンダ29a及びこのシリンダ29aによって駆動されるカッタ29bによって図5に示す切断線4aが後述するように一定の間隔で形成される。このシリンダ29a、カッタ29bによって切断機構29を構成している。
【0043】
上記切断線4aは、上記切断機構29によって、離型テープ3aをハーフカットするが上記粘着テープ3は切断する状態で形成される。この切断線4aは、図5にLで示す所定長さ寸法の間隔で形成される。この所定長さ寸法Lの間隔は、図15に示す半導体セルSに貼着される粘着テープ3の所定長さ寸法Lに対応する。すなわち、粘着テープ3は所定長さ寸法Lの間隔で形成される切断線4aによって、半導体セルSに貼着される粘着テープ3の所定長さ寸法Lに対応する所定長さ寸法Lで切断される。
【0044】
このように、切断線4aによって粘着テープ3が所定長さ寸法Lに分断されたテープ部材4は、離型テープ3aとともに複数のガイドローラ38にガイドされ、上記貼着部Bに位置決めされたステージ15の上面に保持された半導体セルSの上面と下面に対して平行に走行するようになっている。なお、上記ガイドローラ38はガイド手段を構成している。
【0045】
上記粘着テープ3が半導体セルSの上面と下面に対して平行に走行する部分の上方と下方には、それぞれシリンダなどの上下駆動源41によって上下方向に駆動される上部加圧ツール42と下部加圧ツール43が配置されている。
【0046】
図4図7に示すように、各加圧ツール42、43の加圧面には、上記半導体セルSの上面と下面に平行に走行するそれぞれ3本のテープ部材4に対向する間隔で、各々3つの突条42a,43aが突設されている。
【0047】
それによって、上記上下駆動源41によって上部加圧ツール42が下降方向に、上記下部加圧ツール43が上昇方向に駆動されると、各加圧ツール42,43に設けられた3つの突条42a,43aによって、上記貼着部Bに位置決めされた半導体セルSの上面と下面に、それぞれ3本のテープ部材4の粘着テープ3が加圧貼着されるようになっている。
【0048】
このとき、上記下部加圧ツール43の突条43aは上記ステージ15の貫通孔17に入り込んで上記テープ部材4の粘着テープ3を半導体セルSの下面に押圧貼着するようになっている。つまり、上記下部加圧ツール43の突条43aは、上部加圧ツール42の突条42aより高さ寸法が高く、しかも上記ステージ15厚さ寸法より厚く形成されている。
【0049】
なお、各加圧ツール42,43にはヒ一夕を内蔵し、粘着テープ3を半導体セルSの上下面に押圧貼着するとき、上記粘着テープ3を加熱して粘着性を向上させるようにしてもよい。
【0050】
所定長さ寸法Lに切断された粘着テープ3が、上記各加圧ツール42,43によって上記半導体セルSの上面と下面に同時に押圧貼着された後、上記半導体セルSの上面と下面に貼着された粘着テープ3から離型テープ3aが剥離ローラなどからなる剥離手段70によって剥離される。そして、上記半導体セルSの上面と下面に貼着された粘着テープ3から剥離された上記離型テープ3aは、それぞれ図4に示す巻取りリール44に巻き取られる。
【0051】
上記巻取りリール44は、巻取りモータ46によって回転駆動されるようになっていて、半導体セルSに貼着された粘着テープ3から離型テープ3aが剥離されると、上記巻取りモータ46が作動して上記離型テープ3aを所定長さに巻き取るようになっている。つまり、上記巻取りモータ46による1回当たりの上記離型テープ3aの巻取り長さは、図5にLで示す粘着テープ3に形成される一対の切断線4aの間隔と同じに設定されている。
【0052】
それによって、上記切断機構29によって所定長さ寸法Lに切断された粘着テープ3は、上記巻取りリール44が上記巻取りモータ46によって回転駆動される毎に、上記貼着部Bに位置決めされた半導体セルSの上面と下面に対向するよう位置決めされることになる。
【0053】
この実施の形態では、上記供給ユニット27A,27Bを構成する上記供給リール28、上記ガイドローラ38、剥離手段70、巻取りリール44及び後述する接続装置60によってテープ部材4を所定長さ送ることができるテープ供給機構を構成している。
【0054】
なお、巻取りリール44に代わり、粘着テープ3から剥離された上記離型テープ3aを挟持して回転駆動される一対のニップローラや直線駆動されるチャックなどによって、テープ部材4を所定長さづつ送るようにしてもよい。
【0055】
上記接続装置60は、テープ部材4に接離可能に設けられており、接続手段として超音波振動するツールを備えている。このツールをテープ部材4に押し付けて超音波振動をテープ部材4に印加することで、使用中のテープ部材4と新しいテープ部材4が接続される。
【0056】
つぎに、上記構成の貼着手段23によって半導体セルSの上面と下面に粘着テープ3を貼着する動作について説明する。
【0057】
まず、制御装置50によって通常の貼着作業を行なうよう貼着装置1の動作が設定されている場合には、給排部Aに位置決めされたステージ15に、第1のロボット22aを有する供給機構22によって半導体セルSが供給される。ついで、回転搬送機構10が180度回転駆動される。
【0058】
それによって半導体セルSが供給された上記ステージ15は、貼着部Bに位置決めされ、他のステージ15は給排部Aに位置決めされる。なお、図1および図2では取付け部51にダミーセル1Xが取付けられているが、通常の貼着作業を行なう場合、上記取付け部51にダミーセル1Xは取付けられていない。
【0059】
上記貼着部Bに位置決めされた半導体セルSの上下面には、貼着手段23の上部供給ユニット27Aと下部供給ユニット27Bによって粘着テープ3が貼着される。つまり、上記貼着部Bに位置決めされた上記半導体セルSの上面と下面は、各供給ユニット27A,27Bの供給リール28からガイドローラ38によってガイドされて繰り出された粘着テープ3に対向する。
【0060】
ここで、各供給ユニット27A,27Bの供給リール28から繰り出された粘着テープ3は、切断機構29によって上記半導体セルSに貼着される所定長さ寸法Lに切断された後、貼着部Bに位置決めされた半導体セルSの上面と下面に対向することになる。
【0061】
ついで、上部加圧ツール42と下部加圧ツール43がそれぞれ上下駆動源41によって下降方向と上昇方向に駆動され、各加圧ツール42,43の加圧面と設けられた3つの突条42a,43aによってそれぞれ3本のテープ部材4が上記半導体セルSの上面と下面とに押圧される。
【0062】
この押圧によって上記半導体セルSに粘着テープ3が貼着されると、各粘着テープ3から離型テープ3aが離型ローラなどからなる剥離手段70によって剥離される。それによって、上記半導体セルSの上下面に対する粘着テープ3の貼着が終了する。つまり、各テープ部材4の粘着テープ3が図8に示すように上記半導体セルSの上面と下面にそれぞれ貼着される。
【0063】
上記半導体セルSの上下面に対する粘着テープ3の貼着が終了すると、上記回転搬送機構10が180度回転駆動され、粘着テープ3が粘着された半導体セルSを保持したステージ15が給排部Aに位置決めされる。
【0064】
上記給排部Aに位置決めされたステージ15に保持されている粘着テープ3が貼着された半導体セルSは、第2のロボット24aを有する排出機構24によって上記ステージ15から排出されて次工程に受け渡される。
【0065】
このように、2つのステージ15がそれぞれ給排部Aと貼着部Bに順次位置決めされ、各部で所定の作業が行なわれることで、次々に半導体セルSの上下面に粘着テープ3が貼着される。
【0066】
半導体セルSに対する粘着テープ3の貼着作業が所定回数繰り返して行なわれると、各供給ユニット27A,27Bのそれぞれの供給リール28に巻装されたテープ部材4の残量が所定以下になり、そのことが検出される。
【0067】
すなわち、複数の供給リール28に巻装されたテープ部材4のうち、いずれかの供給リール28に巻装されたテープ部材4の残量が所定以下になると、その供給リール28から離型テープ3aの粘着テープ3が貼着されていない部分や終端を示すマーク部分が導出され始め、そのことが図示しないセンサによって検出される。
【0068】
供給リール28に巻装されたテープ部材4の残量が所定以下になったことが検出されると、粘着テープ3の貼着動作を一旦停止して、各供給ユニット27A,27Bのそれぞれの複数の供給リール28を新たな供給リール28に一括して交換する交換作業を行なうことになる。この実施例では、それぞれ3つの供給リールが交換される。
【0069】
上記供給リール28の交換作業は、使用中の供給リール28のテープ部材4を図4に示す接続装置60によって吸着保持した後に切断する。この切断は、ハサミやカッタ等で作業者が行なっても良いし、接続装置に公知の切断機構を設けて行なっても良い。
【0070】
切断後、各供給ユニット27A,27Bの図6に示す使用中の3つの供給リール28が取付けられた支軸33をブラケット32から取り外し、未使用の新たな3つの供給リール28が取付けられた支軸33を上記ブラケット32に取付ける。
【0071】
ついで、新たな供給リール28からテープ部材4の先端部分を引出し、上記接続装置60に保持された使用中のテープ部材4の終端部分(切断部分)に重ね、それらの重ね合せ部分を接続装置60を用いて接続する。
【0072】
接続後、上記巻取りリール44によって使用中のテープ部材4を巻き取れば、新たな供給リール28から引き出されたテープ部材4を、複数のガイドローラ38にガイドされて巻取りリール44に至る経路に通すことができる。
【0073】
このとき、上記離型テープ3aに貼着された粘着テープ3には、上記切断機構29によって切断線4aが図5に示す所定長さ寸法Lの間隔で形成される。
【0074】
ところで、上述のように使用中の供給リール28のテープ部材4と新たな供給リール28のテープ部材4を接続しているので、その接続部分が半導体セルSに貼着されないよう、貼着位置より下流まで接続部分を空送りする必要がある。
【0075】
この時、テープ部材4に粘着テープ3が残ったままだと、剥離ローラなどからなる離型テープ3aの剥離手段70やガイドローラー38などに粘着テープ3が貼り付くことになってしまう。
【0076】
したがって、テープ部材4の接続部分を貼着位置より下流まで空送りするいわゆる頭出し作業を行なう際に、粘着テープ3から離型テープ3aを剥がす必要がある。
【0077】
この頭出し作業は、まず、回転搬送機構10の回転体11の取付け部51に図1に示すようにダミーセル1Xを取付ける。つまり、図3に示すようにダミーセル1Xの一側部を上記取付け部51のアーム54によってホルダプレート52に挟持する。
【0078】
ついで、回転搬送機構10を90度回転させて取付け部51、つまりダミーセル1Xを貼着部Bに位置決めする。
【0079】
上記ダミーセル1Xを貼着部Bに位置決めした後、上記貼着手段23を作動させ、上記ダミーセル1Xの上下面に粘着テープ3を捨て貼着する。この時、粘着テープ3は上記切断機構29で図5にLで示す所定長さ寸法に切断され、その切断位置から巻取りリール44の回転によって上記所定長さ寸法Lずつ送られて上記貼着部Bに位置決めされる。
【0080】
このように、上記ダミーセル1Xの上下面に粘着テープ3の貼着を繰り返し、テープ部材4の接続部分が貼着位置の下流まで到達すると、頭出し作業は終了する。そして、上記ダミーセル1Xを上記取付け部51から取り外す。
【0081】
図9(a)は、粘着テープ3が捨て貼着された上記ダミーセル1Xを示し、図9(b)はその側面を示す。
【0082】
上述のように、上記ダミーセル1Xの上下面に粘着テープ3の貼着を繰り返し行うので、頭出し作業の間、同じダミーセル1Xの同じ場所に複数回粘着テープが貼着されることになる。このため、はじめの頃に貼着された粘着テープは何回も押圧されることになり、場合によっては潰れて押し広がる事がある。このような潰れが生じた場合、次に貼着される粘着テープの部分まで貼り付いてしまい、本来貼着される粘着テープ3の切断部分だけでなく次の切断部分も引き剥がされたり、めくれあがったりする異常が生じてしまうことがある。図9(c)に、このような重ねて貼着された粘着テープ3の端部が潰れて広がる異常状態を示す。この図では、潰れている部分を斜線ハッチングで表している。
【0083】
そして、このようなめくれたり剥がれたりして異常となった粘着テープが加圧ツールに貼り付いてしまったり、頭出しの最後となり、半導体セルSに貼着を再開する粘着テープの部分で端部がめくれてしまったり、剥がれて喪失していたりなどで、適正な貼り付けができなかったりする。
【0084】
図10は、正常な状態の頭出し作業での捨て貼着の工程を示す。図10(a)は、すでに2枚の粘着テープ3が捨て貼着されたダミーセル1X上部に、次の粘着テープ3が位置決めされている状態を示している。上部加圧ツール42の押圧面には、切断線4aで切断されている粘着テープ3が押圧出来るよう位置決めされている。次に、図10(b)に示すように上部加圧ツール42が下がって、ダミーセル1Xにテープ部材4の離型テープ3aと粘着テープ3を押圧する。この時、粘着テープ3は先に貼着されている粘着テープ3上に積層されるように貼着される。粘着テープ3が貼着されると、図10(c)に示すように上部加圧ツール42は上昇し、剥離手段70によってダミーセル1Xに貼着された粘着テープ3から離型テープ3aが剥離される。その後、図10(d)に示すようにテープ部材4が送られ、次の捨て貼着する粘着テープ3が位置決めされる。図10(d)では、ダミーセル1Xに3枚の粘着テープ3が捨て貼着されている。
【0085】
このように、捨て貼着を繰り返し、複数の粘着テープ3が切断線4aによって切り離されて貼着されて、きれいに積層されることで、頭出し作業が完了する。
【0086】
図11は、異常な状態の頭出し作業での捨て貼着の工程を示す。図11(a)は、図10(a)同様にすでに2枚の粘着テープ3が捨て貼着されたダミーセル1X上部に、次の粘着テープ3が位置決めされている状態を示している。この時、先に貼着されている粘着テープ3の端部が繰り返しの押圧によって押し広がって変形している様子を示している。
【0087】
この状態のまま、図11(b)(c)に示すように、次の粘着テープ3が捨て貼着されて、離型テープが剥離される。図11(d)は、先に貼着されて潰れて広がっている粘着テープ3の端部に、本来は粘着テープ3が切断線4aで切断されて、離型テープ3aに残る次の粘着テープ3が、その端部が捨て貼着した粘着テープ3の潰れて広がって変形した部分と貼り付いてしまい、引き剥がされつつある状態を示している。
【0088】
そこで、本実施の形態では、頭出し作業でのダミーセル1Xへの捨て貼着する際に、制御装置50によって、一回の貼着動作の度に回転搬送機構10をわずかに回転させ、ダミーセル1Xへの貼着位置をわずかづつずらすようにした。これによって同じ場所に粘着テープ3の端部が貼着されないので、最初に貼着された粘着テープ3が潰れて広がることが抑制される。また、貼着された粘着テープ3の端部が潰れていても、次の粘着テープ3にかからなくできるので、半導体セルSへの貼着の再開時に異常にめくれ上がったり、剥がれてしまうことがない。
【0089】
具体的には、上記ダミーセル1Xを貼着部Bに位置決めした後、上記貼着部Bに位置決めされた粘着テープ3を捨て貼着する。テープ部材4の接続部分が貼着位置の下流まで到達するまでこの捨て貼着を繰り返すが、この時捨て貼着する度に制御装置50によって回転搬送機構10がわずかに回転する。その結果、上記ダミーセル1Xに貼着された粘着テープ3は、図12(a)に示すようにわずかづつ回転方向にずれて貼着される。
【0090】
図12(b)は、捨て貼着毎に回転搬送機構10をわずかに回転させて、ダミーセル1Xをわずかに円周方向に移動させて捨て貼着を繰り返した状態の粘着テープ3の端部を示す。この図12(b)のように、重ねて貼着される粘着テープ3の端部は重なることがない。しかも、先に捨て貼着された粘着テープ3の端部のテープ部材4の経路の上流側(図では左側)に次の捨て貼着が行われるので、捨て貼着された粘着テープ3が押し広がって潰れていても、次の粘着テープ3の切断部分にかかることがなく、引き剥がされたりめくれ上がったりすることがない。
【0091】
図13は、上述のようなダミーセル1Xをわずかにずらしながら捨て貼着を行う工程を示す。この図では、ダミーセル1X上には上面から見て1本の粘着テープ3の捨て貼着を行なうことが示されているが、複数本の粘着テープ3を同時に捨て貼着しても同様にできる。また、捨て貼着によって積層される粘着テープ3は3枚の場合の示すが、積層する枚数すなわち捨て貼着の繰り返し回数もこれには限られない。
【0092】
図13(a)は、最初の粘着テープ3がダミーセル1Xに捨て貼着されている。次の粘着テープ3を捨て貼着する際に、図13(b)に示すように、回転搬送機構10をわずかに回転させ(この場合は図を上から見て左回り)、ダミーセル1Xをわずかに当初の貼着位置に対して右側にずらす。
【0093】
この状態で、2枚目の捨て貼着を行なう。すると、粘着テープ3は図13(b)に点線で示す最初に貼着された粘着テープ3上に、図13(b)に実線で示すように斜めにずれて貼り着される。
【0094】
同様にして、3枚の粘着テープ3を捨て貼着して積層された様子を図13(c)で表している。
【0095】
上記のように捨て貼着時にダミーセル1Xを動かしてずらすように制御しているので、図12(b)の様に、積層される粘着テープ3の端部はわずかにずれて捨て貼着できる。
【0096】
なお、ダミーセル1Xを動かす回転搬送機構10の回転移動は、捨て貼着毎に行なっても、複数回の貼着毎に行なっても、いずれでも構わない。
【0097】
このように、ダミーセル1Xの上下面に、貼着部Bで上部供給ユニット27Aと下部供給ユニット27Bの切断機構29によって所定長さに切断されて供給される粘着テープ3を捨て貼着することで、粘着テープ3の頭出しを行うようにし、この頭出しの捨て貼着時にわずかずつダミーセル1Xを移動させるようにした。
【0098】
そして、回転搬送機構10にダミーセル1Xを着脱可能に取付けることができる取付け部51を設けたことで、捨て貼着時のダミーセル1Xの移動を回転搬送機構10の回転駆動で行なうようにした。
【0099】
つまり、使用中の供給リール28を新たな供給リール28に交換したとき、貼着手段23に備えられた上部供給ユニット27Aと下部供給ユニット27Bを用いてテープ部材4を通常の貼着時と同様に送って粘着テープ3を所定長さに切断し、所定長さに切断された粘着テープ3をダミーセル1Xに貼着して頭出しを行なう際に、その貼着位置をわずかずつずらすようにしたので、一つのダミーセル1Xに複数回の貼着を繰り返しても、切断線で隣接する粘着テープが異常に剥がされる事が抑制できる。
【0100】
したがって、頭出しの作業後に半導体セルSへの貼着作業を再開する時に、粘着テープが離型テープよりめくれていたり、剥がれていたりすることがないから、不良品の発生を抑制できる。また、頭出し作業での粘着テープ3のめくれや剥がれがあると、再度の頭出し作業を行うことになるが、そのような無駄な作業をなくすことができる。
【0101】
とくに、半導体セルSの上下面にそれぞれ複数の粘着テープ3が貼着される場合、それら粘着テープ3の頭出しでの異常な粘着テープのめくれや剥がれなどの発生率も高くなる。
【0102】
しかしながら、この実施の形態では特別な機構や手段を設けることなく、頭出し時の回転搬送機構の制御により、確実に異常な粘着テープのめくれや剥がれを抑制することができるので、低コストで高生産性が得られる。
【0103】
この実施の形態において、取付け部にダミーセルを支持するためのホルダプレートを設けるようにしたが、ダミーセルが変形しない硬さ(剛性)を備えない材料であるならば、上記ホルダプレートを十分に長くし、ダミーセル全体をホルダプレートとアームとで挟持するようにしてもよい。このようなホルダープレートの例を図14に示す。
【0104】
さらに、この実施の形態において、回転搬送機構10にダミーセルを支持するためのホルダプレートを有する取付け部を設けるようにしたが、半導体セルSを保持するステージ15にダミーセル1Xを保持させて、頭出し時の捨て貼着時に回転搬送機構10をわずかずつ回転させてもよい。
【0105】
本発明は、例えば、液晶などの表示パネルに電子部品などを異方導電性テープで接続する場合や回路基板などに導電性テープで接続するなど、離型テープに粘着テープが貼り着されるテープ部材にて、その粘着テープを一定長さに切断してから押圧して対象物に圧着する場合で、テープ交換において頭出しを行なう場合に適用可能である。
【符号の説明】
【0106】
S…半導体セル
1…貼着装置
2…リード線
3…粘着テープ
3a…離型テープ
4…テープ部材
10…回転搬送機構
11…回転体
15…ステージ
21…供給部
23…貼着手段
27A…上部供給ユニット
27B…下部供給ユニット
28…供給リール(テープ供給機構)
29…切断機構
38…ガイドローラ(ガイド手段、テープ供給機構)
41…上下駆動源
42…上部加圧ツール
43…下部加圧ツール
44…巻取りリール(テープ供給機構)
50…制御装置
51…取付け部
52…ホルダプレート
53…支持片
54…アーム
56…ばね。
60…接続装置
70…剥離手段
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15