特許第6184795号(P6184795)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6184795
(24)【登録日】2017年8月4日
(45)【発行日】2017年8月23日
(54)【発明の名称】ドアハンドルユニット
(51)【国際特許分類】
   E05B 63/08 20060101AFI20170814BHJP
   E05B 3/04 20060101ALI20170814BHJP
【FI】
   E05B63/08 C
   E05B3/04 B
【請求項の数】5
【全頁数】9
(21)【出願番号】特願2013-161682(P2013-161682)
(22)【出願日】2013年8月2日
(65)【公開番号】特開2015-31070(P2015-31070A)
(43)【公開日】2015年2月16日
【審査請求日】2016年5月24日
(73)【特許権者】
【識別番号】000236665
【氏名又は名称】不二ラテックス株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100110629
【弁理士】
【氏名又は名称】須藤 雄一
(74)【代理人】
【識別番号】100166615
【弁理士】
【氏名又は名称】須藤 大輔
(72)【発明者】
【氏名】横尾 貴志
【審査官】 小野 郁磨
(56)【参考文献】
【文献】 特開2002−235471(JP,A)
【文献】 特開2007−205062(JP,A)
【文献】 特開2005−351071(JP,A)
【文献】 特開昭60−051276(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
E05B 1/00
E05B 3/04
E05B 15/00
E05B 63/08
E05B 65/06
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ユニットケースに回転自在に支持されラッチに連動する横方向の回転軸の両端にそれぞれ取り付けられて回転操作するためのドアハンドルと、
前記ドアハンドルを操作前の回転位置に復帰させるスプリングと、
前記回転軸に設けられたアームと、
前記アームに当接し前記ドアハンドルが操作前の回転位置へ戻るときのみドアハンドルの回転をダンピングする直動ダンパーと、を備え、
前記アームは、板カム状に形成され、
前記アームの周面に、前記回転軸と前記アームの先端との間で直線的に延びる面部分を備え、
前記直動ダンパーの一端部が、前記直線的に延びる面部分に当接し、
前記直動ダンパー及びアーム間の圧力角は、前記操作前の回転位置へドアハンドルが戻る方向の回転で漸次減少し、
前記直動ダンパーは、前記ドアハンドルの操作前の回転位置で前記アームの面部分に前記一端部の平端面で当接する、
ことを特徴とするドアハンドルユニット。
【請求項2】
請求項1記載のドアハンドルユニットであって、
前記アームは、前記ドアハンドルが前記操作前の回転位置へ戻る途中から前記直動ダンパーのダンピング作用を発揮する形状に形成された、
ことを特徴とするドアハンドルユニット。
【請求項3】
請求項1又は2記載のドアハンドルユニットであって、
前記直動ダンパーは、前記回転軸の前記回転操作を補助し前記スプリングの付勢力よりも弱く設定され付勢力のリターンスプリングを備えた
ことを特徴とするドアハンドルユニット。
【請求項4】
請求項1〜3の何れか1項記載のドアハンドルユニットであって、
前記直動ダンパーは、シリンダ部及びダンパーロッドを備え、
前記直動ダンパーの一端部は、前記ダンパーロッドに備えられて前記ダンパーロッドよりも大きな径の拡径部であり、
前記ドアハンドルの操作前の回転位置で前記面部分に当接する拡径部の基端が前記シリンダ部に当接する、
ことを特徴とするドアハンドルユニット。
【請求項5】
請求項1〜3の何れか1項記載のドアハンドルユニットであって、
前記直動ダンパーは、シリンダ部及びダンパーロッドを備え、
前記シリンダ部は、ダンパー支持ケースに上下スライド自在に支持され、
前記ダンパーロッドが前記ダンパー支持ケース内底部に突き当てられ、
前記直動ダンパーの一端部は、前記シリンダ部に備えた、
ことを特徴とするドアハンドルユニット。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、建物、乗り物等のドアハンドルユニットに関する。
【背景技術】
【0002】
従来この種のドアハンドルユニットとして特許文献1に記載のドアハンドル装置がある。このドアハンドル装置には、リターン用のコイルスプリング及びダンピング用のワンウェイの回転ダンパーが組み込まれている。
【0003】
ドアハンドルの回転によりラッチを操作するときは、回転ダンパーによる本来のダンピング作用はなく、ラッチ操作後、ドアハンドルから手を離すとコイルスプリングの付勢力によりドアハンドルの回転が戻り、ドアハンドル側の当接部が固定側のストッパに当たり、操作前の回転位置に位置決められる。ドアハンドルが戻るときは、回転ダンパーのダンピング作用によりドアハンドルの戻りを制動し、ストッパ当接時の衝撃を緩和することができる。
【0004】
しかし、ワンウェイの回転ダンパーにおいても、シール等に起因する抵抗トルクが残るため、ドアハンドルの操作力軽減には限界があった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2002−235471号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
解決しようとする問題点は、ドアハンドルの操作力軽減に限界があった点である。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明は、ドアハンドルの操作力をより軽減することを可能とするために、ユニットケースに回転自在に支持されラッチに連動する横方向の回転軸の両端にそれぞれ取り付けられて回転操作するためのドアハンドルと、前記ドアハンドルを操作前の回転位置に復帰させるスプリングと、前記回転軸に設けられたアームと、前記アームに当接し前記ドアハンドルが操作前の回転位置へ戻るときのみドアハンドルの回転をダンピングする直動ダンパーとを備え、前記アームは、板カム状に形成され、前記アームの周面に、前記回転軸と前記アームの先端との間で直線的に延びる面部分を備え、前記直動ダンパーの一端部が、前記直線的に延びる面部分に当接し、前記直動ダンパー及びアーム間の圧力角は、前記操作前の回転位置へドアハンドルが戻る方向の回転で漸次減少し、前記直動ダンパーは、前記ドアハンドルの操作前の回転位置で前記アームの面部分に前記一端部の平端面で当接することを特徴とする。
【発明の効果】
【0008】
本発明は、上記構成であり、ドアハンドルを回転操作してラッチを連動させるときは、直動ダンパーが作用することはなく、シール等に起因する抵抗トルクの発生もないから、ドアハンドルの操作力を軽減することができる。
【0009】
ドアハンドルから手を離すとスプリングの付勢力でドアハンドルが操作前の回転位置に復帰する。このとき、アームが直動ダンパーに当接し、ドアハンドルが操作前の回転位置へ戻るときのみドアハンドルの回転がダンピングされる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1】ドアハンドルユニットの断面図である。(実施例1)
図2】回転操作前のドアハンドル及びアームの関係を示す図1のA−A線矢視断面図である。(実施例1)
図3】回転操作後のドアハンドル及びアームの関係を示す図1のA−A線矢視断面図である。(実施例1)
図4】ドアハンドルユニットの断面図である。(実施例2)
図5】回転操作前のドアハンドル及びアームの関係を示す図4のA−A線矢視断面図である。(実施例2)
図6】回転操作後のドアハンドル及びアームの関係を示す図4のA−A線矢視断面図である。(実施例2)
【発明を実施するための形態】
【0011】
ドアハンドルの操作力をより軽減することを可能にするという目的を、ユニットケースに回転自在に支持されラッチに連動する回転軸を回転操作するためのドアハンドルと、前記ドアハンドルを操作前の回転位置に復帰させるスプリングと、前記回転軸に設けられたアームと、前記アームに当接し前記ドアハンドルが操作前の回転位置へ戻るときのみドアハンドルの回転をダンピングする直動ダンパーとを備えたことにより実現させた。
【実施例1】
【0012】
図1図3は、実施例1に係り、図1は、ドアハンドルユニットの断面図、図2は、回転操作前のドアハンドル及びアームの関係を示す図1のA−A線矢視断面図、図3は、回転操作後のドアハンドル及びアームの関係を示す図1のA−A線矢視断面図である。
【0013】
図1図3のように、本発明実施例のドアハンドルユニット1は、ドアハンドル3とスプリング5とアーム7と直動ダンパー9とを備えている。
【0014】
ドアハンドル3は、回転軸11の両端にそれぞれ取り付けられ、ドアの内外に備えられる。ドアハンドル3は、レバーであるが、ノブにすることもできる。回転軸11は、ユニットケース13に回転自在に支持され、ラッチアッセンブリ15に連動連結されている。従って、ドアハンドル3は、ラッチ15aに連動する回転軸11を回転操作するためのものである。
【0015】
ラッチアッセンブリ15内には、ストッパ(図示せず。)が設けられ、回転軸11側の当接部が当接し、回転軸11を介し、ドアハンドル3が操作前の回転位置に位置決められる。
【0016】
スプリング5は、回転軸11の両端側とユニットケース13との間に一対設けられ、ドアハンドル3を操作前の回転位置に復帰させるように回転軸11を回転付勢する。
【0017】
アーム7は、回転軸11に設けられている。アーム7は、回転軸11とは別体に形成され、圧入等により固定されている。アーム7を回転軸11に一体に形成することもできる。
【0018】
アーム7は、板カム状に形成され、直動ダンパー9のダンパーロッド17が、板カム状のアーム7の周面7aに当接する構成となっている。アーム7の形状は板カム状以外の形状に設定することもでき、種々の特性を設定することができる。
【0019】
直動ダンパー9のダンパーロッド17の軸方向に対しダンパーロッド17及びアーム7間の圧力角、つまり周面7の直線的に延びる面部分の法線方向とダンパーロッド17の運動方向とのなす角としての圧力角は、操作前の回転位置へドアハンドル3が戻る方向の回転で漸次減少する形状となっている。このアーム7の形状及び直動ダンパー9の配置により、直動ダンパー9は、ドアハンドル3が操作前の回転位置へ戻る途中でダンピング作用を奏し、ドアハンドル3が操作前の回転位置へ戻るときのみドアハンドル3の回転をダンピングする構成となっている。
【0020】
直動ダンパー9は、シリンダ部19が、ラッチアッセンブリ15の外面等に固定されている。また、直動ダンパー9は、リターンスプリング(図示せず。)が備えられている。このリターンスプリングの付勢力は、スプリング5の付勢力よりも弱く設定されている。ドアハンドル3により回転軸11を回転操作するとき、リターンスプリングによりアーム7を押し上げるようにダンパーロッド17が伸長する。このダンパーロッド17の伸長により、ドアハンドル3の回転操作を補助することができる。
【0021】
図1図2のように、回転操作前のドアハンドル3は、スプリング5の付勢力により略水平位置に回転し、アーム7の周面7aの先端側がダンパーロッド17を押し込める状態となる。
【0022】
ドアハンドル3を回転操作して押し下げると、図3のようにアーム7が回転し、ダンパーロッド17がアーム7の回転に応じて伸長する。このとき、ダンパーロッド17の伸長付勢力がアーム7に伝達され、回転軸11を介してドアハンドル3の回転操作を補助し、ドアハンドル3の操作力を軽減する。しかも、直動ダンパー9は、ドアハンドル3が操作前の回転位置へ戻るときのみドアハンドル3の回転をダンピングするから、シール等に起因する抵抗トルクが働くことはなく、ドアハンドル3の操作力を確実に軽減することができる。
【0023】
図3のように、ドアハンドル3を回転操作すると、ラッチアッセンブリ15のラッチ15aがドアの凹部から外れ、ドアを開くことができる。
【0024】
図3の状態でドアハンドル3から手を離すと、スプリング5の付勢力で回転軸11の回転が戻され、ドアハンドル3も回転を戻し、図2の状態となる。
【0025】
このとき、図3の状態からの回転の戻しでは、アーム7の回転に対するダンパーロッド17のストロークは小さく、アーム7がダンパーロッド17を押し下げる量は少なく、ドアハンドル3が素早く回転を戻す。
【0026】
アーム7の回転と共にアーム7の回転に対するダンパーロッド17のストロークは次第に大きくなる。
【0027】
同時にダンパーロッド17の押し下げと共に、直動ダンパー9のダンピング作用が発揮される。
【0028】
回転軸11側の当接部がストッパ(図示せず。)に当接する図2まで回転を戻すと、直動ダンパー9のダンピング作用により回転軸11の回転が大きく制動された状態となり、当接部がストッパに静かに当接し、ドアハンドル3が操作前の回転位置に位置決められる。
[実施例1の効果]
本発明実施例のドアハンドルユニット1は、ユニットケース13に回転自在に支持されラッチ15aに連動する回転軸11を回転操作するためのドアハンドル3と、ドアハンドル3を操作前の回転位置に復帰させるスプリング5と、回転軸11に設けられたアーム7と、アーム7に当接しドアハンドル3が操作前の回転位置へ戻るときのみドアハンドル3の回転をダンピングする直動ダンパー9とを備えた。
【0029】
このため、ドアを開けるときのドアハンドル3の回転操作時に、シール等に起因する抵抗トルクが働くことはなく、ドアハンドル3の操作力を確実に軽減することができる。ドアハンドル3から手を離して回転が戻されるとき、直動ダンパー9のダンピング作用により回転軸11の回転が大きく制動された状態となり、当接部がストッパに静かに当接し、ドアハンドル3が操作前の回転位置に位置決められる。したがって、当接部がストッパに当接するときの衝撃、異音の発生を抑制することができる。
【0030】
アーム7は、ドアハンドル3が操作前の回転位置へ戻る途中から直動ダンパー9のダンピング作用を発揮する形状に形成された。
【0031】
このため、ドアハンドル3の回転操作後に手を離すと、ドアハンドル3は素早く回転を戻し、その途中から直動ダンパー9がダンピング作用を発揮する。したがって、ドアハンドル3の戻りが速く且つ当接部がストッパに当接するときの衝撃、異音の発生を確実に抑制することができる。
【0032】
アーム7は、板カム状に形成され、直動ダンパー9が、板カム状のアーム7の周面7aに当接する。
【0033】
このため、ドアハンドル3が操作前の回転位置へ戻る途中から直動ダンパー9のダンピング作用を発揮する機能を簡単な構造で奏することができる。周面7aの形状設定により、種々の特性を得ることができる。
【0034】
直動ダンパー9の軸方向に対しダンパーロッド17及びアーム7間の圧力角は、操作前の回転位置へドアハンドル3が戻る方向の回転で漸次減少する。
【0035】
このため、ドアハンドル3が操作前の回転位置へ戻る途中から直動ダンパー9のダンピング作用を発揮する機能を簡単な構造で確実に奏することができる。
【0036】
直動ダンパー9は、回転軸11の回転操作を補助する。
【0037】
このため、ドアハンドル3の操作力を確実に軽減することができる。
【実施例2】
【0038】
図4図6は、実施例2に係り、図4は、ドアハンドルユニットの断面図、図5は、回転操作前のドアハンドル及びアームの関係を示す図4のA−A線矢視断面図、図6は、回転操作後のドアハンドル及びアームの関係を示す図4のA−A線矢視断面図である。なお、基本的な構成は、実施例1と同様であり、同一構成部分には同符号を付し、対応する構成部分には同符号にAを付し、重複した説明は省略する。
【0039】
本実施例2のドアハンドルユニット1Aは、直動ダンパー9Aを上下逆向きに配置し、直動ダンパー9のシリンダ部19が、板カム状のアーム7の周面7aに当接する構成となっている。
【0040】
直動ダンパー9Aのシリンダ部19Aは、ダンパー支持ケース21に上下スライド自在に支持され、ダンパーロッド17Aがダンパー支持ケース21内底部に突き当てられている。
【0041】
したがって、アーム7の回転に応じてシリンダ部19Aが上下して上記同様に作用効果を奏することができる。
【符号の説明】
【0042】
1 ドアハンドルユニット
3 ドアハンドル
5 スプリング
7 アーム
7a 周面
9、9A 直動ダンパー
11 回転軸
図1
図2
図3
図4
図5
図6