(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
上記放射スロットの上記給電部から上記スロット分離素子までの距離は、上記給電部におけるスロット幅よりも長いことを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載のスロットアンテナ。
【発明を実施するための形態】
【0015】
<スロットアンテナ1>
図1は、本発明の実施の形態によるスロットアンテナ1の一構成例を示した斜視図であり、MSL(マイクロストリップ線路)4を介して給電されるスロットアンテナ1が示されている。図中には、xy平面に平行なスロットアンテナ1が描画されている。ここでは、スロットアンテナ1に垂直な方向をz方向とする。
【0016】
このスロットアンテナ1は、誘電体基板10と、誘電体基板10上に形成された第1導体層11と、第1導体層11に形成された切込みからなるスロット線路2と、誘電体基板10上の上記切込み内に形成された第2導体層12からなるスロット分離素子3と、MSL4とを備えた平面アンテナである。
【0017】
誘電体基板10は、誘電体、例えば、比誘電率が小さいフッ素樹脂からなる絶縁性の樹脂基板であり、上面にスロット線路2及びスロット分離素子3が形成され、下面にMSL4が形成されている。
【0018】
MSL4は、電磁波をy方向に伝送する伝送線路であり、誘電体基板10上に形成された第3導体層からなる。また、MSL4は、誘電体基板10の端面付近からy方向に概ね等幅で延伸し、誘電体基板10の中央部に達している。このMSL4は、誘電体基板10のx方向における中央部に配置され、回路素子との接続を容易化するために、一端が誘電体基板10の左端面から露出している。
【0019】
第1導体層11及び第2導電層12は、金属薄膜を誘電体基板10に貼り付けることによって形成される共通の導体層からなる。第1導体層11は、誘電体基板10の全体を覆っており、MSL4に対し、接地板として機能する。スロット線路2は、MSL4と電磁的に結合する結合スロット21と、結合スロット21と連通し、電磁波を放射する放射スロット22とからなる。
【0020】
結合スロット21は、誘電体基板10の前端面と交差する方向、この例では、x方向に概ね等幅で延びる溝形状からなり、MSL4を伝搬した電磁波によって励振される。放射スロット22は、結合スロット21の一端が接続された給電部から開放端にかけてスロット幅が広がるテーパー形状を有している。この放射スロット22は、略V字形状からなり、誘電体基板10のy方向における中央部に配置されている。また、放射スロット22の開放端は、誘電体基板10の前端面に位置している。
【0021】
スロット分離素子3は、第1導体層11から離間して形成された連続領域からなり、放射スロット22の開放端から遠ざかるに従って素子幅が狭まるテーパー形状を有している。このスロット分離素子3は、放射スロット22の開放端を一辺とする略三角形形状からなる。
【0022】
スロット線路2及びスロット分離素子3は、誘電体基板10に金属薄膜、例えば、銅箔を貼り付け、誘電体基板10上の金属薄膜をエッチング加工等によりパターニングすることによって製作される。
【0023】
図2は、
図1のスロットアンテナ1の構成例を示した図であり、スロットアンテナ1を上方から見た様子が示されている。スロット線路2の結合スロット21は、x方向を長手方向とする直線状の伝送線路であり、スロット幅W
s1がx方向に関し概ね一定である。スロット幅W
s1は、y方向の溝幅からなる。MSL4は、y方向を長手方向とする直線状の伝送線路であり、線路幅W
mがy方向に関し概ね一定であるとともに、その一端が結合スロット21を跨いでいる。
【0024】
一方、放射スロット22は、給電部22aから開放端22bにかけて、概ね一定の傾きでスロット幅が広がっている。開口幅W
s2は、開放端22bにおけるスロット幅である。スロット長Lsは、放射スロット22のx方向の長さである。スロット幅W
s1、線路幅W
m、開口幅W
s2及びスロット長Lsは、送受信させる電磁波の周波数、帯域幅、放射特性に応じて決定される。
【0025】
スロット幅W
s1及び線路幅W
mは、送受信しようとする電磁波の管内波長λgに比べて十分に短い。ここでいう管内波長λgは、スロット線路2を伝搬する電磁波の誘電体基板10内における波長である。
【0026】
スロット分離素子3は、誘電体基板10の前端面からx方向に遠ざかるほど、概ね一定の傾きで素子幅が狭まり、先端部3aにおいて最小となっている。この例では、スロット分離素子3が、上底の長さが下底よりも十分に短い台形形状からなる。この様なスロット分離素子3を放射スロット22内に設けたことにより、放射スロット22とスロット分離素子3との間には、概ね等幅で直線状に延びるスロット線路が形成されている。
【0027】
距離Lは、放射スロット22の給電部22aと、スロット分離素子3の先端部3aとの間のx方向の距離である。すなわち、距離Lは、放射スロット22とスロット分離素子3とがどの程度離間しているのかを示すパラメータである。開口間隔Wは、開放端22bにおける2つの開口5の中心間の距離である。すなわち、開口間隔Wは、2つの開口5がどの程度離間しているのかを示すパラメータである。
【0028】
距離Lを長くすれば、スロット分離素子3のサイズが小さくなり、各開口5の幅が広がるので、距離Lが長くなるのに従って開口間隔Wは狭くなる。一方、距離Lを短くすれば、スロット分離素子3のサイズが大きくなり、各開口5の幅が狭まるので、距離Lが短くなるのに従って開口間隔Wは広くなる。
【0029】
図3は、
図2のスロットアンテナ1の動作の一例を示した断面図であり、スロットアンテナ1をA−A切断線により切断した場合の切断面が示されている。この切断面では、導体層11が、右側に配置された導体層と、スロット分離素子3を挟んで左側に配置された導体層とに分断されている。
【0030】
電磁波がスロット線路2をx方向へ伝搬する場合、放射スロット22の途中では、右側の導体層の端部からスロット分離素子3の端部へ向かう電界E
1と、スロット分離素子3の端部から左側の導体層の端部へ向かう電界E
2とが形成される。これらの電界E
1,E
2は、放射スロット22の給電部22a付近で分離した電界であることから、同位相で振動する。
【0031】
このため、開放端22bにおける離間した2つの開口5から同位相の電磁波が放射され、スロットアンテナ1の正面方向では、放射された電磁波が干渉によって強め合うことになる。従って、従来のテーパースロットアンテナに比べ、正面方向の利得を向上させることができる。
【0032】
図4は、回路基板6上に設置されたスロットアンテナ1の動作の一例を示した図であり、基板面に対し傾斜したスロットアンテナ1の正面方向7が示されている。図中には、回路基板6上のスロットアンテナ1をy方向から見た場合が示されている。回路基板6には、発振器、受信機、増幅器などの高周波回路が設けられている。
【0033】
スロットアンテナ1は、誘電体基板10の下面を回路基板6の上面に対向させた状態で、当該回路基板6に固着されている。スロットアンテナ1の正面方向7は、誘電体基板10の基板面に対し、所定の角度θ
0だけ上方へ傾斜し、誘電体基板10の前端に対し、概ね垂直である。スロットアンテナ1は、上述した正面方向7近傍で利得が最大であり、正面方向7に対し、xy平面内における方位角やzx平面内における仰俯角が大きくなれば利得が低下する放射特性からなる。
【0034】
<放射特性>
図5は、
図2のスロットアンテナ1の放射特性の一例を従来例と比較して示した図であり、本発明の発明者らによる指向性シミュレーションの実験結果が示されている。図中の(a)には、xy平面内の放射特性が示され、(b)には、zx平面内の放射特性が示されている。この図の横軸は、スロットアンテナ1の正面方向7を原点とする放射角度(deg)を表し、縦軸は、絶対利得(dBi)を表している。
【0035】
指向性シミュレーションでは、誘電体基板10が比誘電率=2.32、厚さ=0.206mmの樹脂基板からなり、第1導体層11及び第2導体層12が厚さ=12μmの銅箔からなり、線路幅W
m=0.2mm、スロット幅W
s1=0.2mm、開口幅W
s2=3mm、距離L=0.4mm(開口間隔W=2.80mm)のスロットアンテナ1を用いてミリ波帯の電波を送受信する場合の放射特性が検証された。ミリ波帯の電波の自由空間波長λ
0は、λ
0=4.8mmである。
【0036】
xy平面内における放射特性には、本発明によるスロットアンテナ1の放射特性が特性曲線A1により実線で示され、放射スロット22内にスロット分離素子3を備えない従来のテーパースロットアンテナの放射特性が特性曲線A2により破線で示されている。
【0037】
特性曲線A2は、放射角度=0deg付近において最大(絶対利得の最大値=6.8dBi)であり、放射角度が正方向に大きくなるに従って単調に減少し、放射角度=90deg付近において−30dBi以下にまで急激に低下している。また、放射角度が負方向に小さくなる場合の放射特性は、放射角度が正方向に大きくなる場合と同様である。
【0038】
一方、特性曲線A1は、放射角度=0degにおいて最大(絶対利得の最大値=8.1dBi)であり、放射角度が正方向に大きくなるに従って減少し、放射角度=40deg近傍において極小(極小値=−12dBi)となっている。放射角度=40degを越えれば増加し、放射角度=50deg近傍において極大(極大値=−11dBi)となり、放射角度=50degを越えれば再度減少し、放射角度=90deg付近において−30dBi以下にまで急激に低下している。また、放射角度が負方向に小さくなる場合には、放射角度が負方向に小さくなるに従って概ね単調に減少し、放射角度=−90deg付近において−30dBi以下にまで急激に低下している。
【0039】
この様な実験結果によれば、本発明によるスロットアンテナ1は、従来のテーパースロットアンテナに比べ、正面方向7の絶対利得が1.3dBi程度向上していることが判る。また、最大利得に対し、−3dBiだけ絶対利得が低下している放射角度について、正方向の放射角度と負方向の放射角度との差分を半値角と呼ぶと、本発明によるスロットアンテナ1は、方位角方向に関し、半値角=30.3degであり、従来のテーパースロットアンテナの半値角=43.0degに比べて小さく、xy平面内における放射ビームの幅が狭小化されていることが判る。
【0040】
zx平面内における放射特性には、本発明によるスロットアンテナ1の放射特性が特性曲線B1により実線で示され、放射スロット22内にスロット分離素子3を備えない従来のテーパースロットアンテナの放射特性が特性曲線B2により破線で示されている。
【0041】
特性曲線B2は、放射角度=0deg付近において最大(絶対利得の最大値=6.8dBi)であり、放射角度が正方向に大きくなるに従って減少し、放射角度=70deg近傍において極小(極小値=−14dBi)となっている。放射角度=70degを越えれば増加し、放射角度=90deg付近において極大(極大値=−5dBi)となっている。また、放射角度が負方向に小さくなる場合には、放射角度が負方向に小さくなるに従って減少し、放射角度=−70deg近傍において極小(極小値=−25dBi)となっている。放射角度=−70degを越えれば増加し、放射角度=−90deg付近において極大(極大値=−3dBi)となっている。
【0042】
一方、特性曲線B1は、放射角度=0degにおいて最大(絶対利得の最大値=8.1dBi)であり、放射角度が正方向に大きくなるに従って減少し、放射角度=60deg近傍において極小(極小値=−9dBi)となっている。放射角度=60degを越えれば増加し、放射角度=90deg付近において極大(極大値=2dBi)となっている。また、放射角度が負方向に小さくなる場合には、放射角度が負方向に小さくなるに従って減少し、放射角度=−60deg近傍において極小(極小値=−12dBi)となっている。放射角度=−60degを越えれば増加し、放射角度=−90deg付近において極大(極大値=2dBi)となっている。
【0043】
この様な実験結果によれば、仰俯角方向に関し、放射ビームの拡がりは、本発明によるスロットアンテナ1と従来のテーパースロットアンテナとで同程度であることが判る。また、本発明によるスロットアンテナ1を従来のテーパースロットアンテナと比較すれば、正面方向7の絶対利得、すなわち、メインローブの利得が向上する一方、放射角度=±90deg付近の絶対利得、すなわち、サイドローブの利得も増大することが判る。
【0044】
図6は、
図2のスロットアンテナ1の放射特性の一例を示した図であり、放射スロット22の給電部22aからスロット分離素子3の先端部3aまでの距離Lを異ならせた場合の実験結果が示されている。図中には、横軸を給電部22a及び先端部3a間の距離L(mm)とし、縦軸を最大利得(dBi)として、最大利得の分布が菱形の検知点を繋ぐ折れ線により表されている。最大利得を表す目盛りは、グラフの左側に配置されている。
【0045】
また、縦軸を半値角(deg)として、方位角方向に関する半値角の分布が丸形の検知点を繋ぐ折れ線により表され、仰俯角方向に関する半値角の分布が三角形の検知点を繋ぐ折れ線により表されている。半値角を表す目盛りは、グラフの右側に配置されている。
【0046】
最大利得は、距離Lが0.1mm以上2.8mm以下である範囲内において、0.1mmで最小(最小値=6.5dBi)であり、距離Lが0.1mmを越えれば急激に増大し、0.3mm及び0.4mmにおいて最大(最大値=8.1dBi)となっている。また、距離Lが0.4mmを越えれば減少し、開口間隔W=λ
0/2に相当する距離L=1.4mmにおいて7.3dBiとなっている。最大利得は、距離Lが1.4mmを越えればさらに減少し、距離L=2.8mmにおいて6.8dBiとなっている。
【0047】
この様な最大利得の実験結果によれば、距離Lが1.4mm以下である範囲は、開口間隔Wがλ
0/2以上である範囲に相当することから、開口間隔Wが自由空間波長λ
0の1/2倍以上である場合に、従来のテーパースロットアンテナ(最大利得は6.8dBi)に比べ、最大利得、すなわち、正面方向7の利得が著しく向上することが判る。一方、開口間隔Wが自由空間波長λ
0の1/2倍未満である場合には、最大利得が若干向上する程度であることが判る。
【0048】
xy平面内の方位角方向に関する半値角は、距離Lが0.1mm以上2.8mm以下である範囲内において、距離Lが長くなるに従って最小値=29.0degから概ね単調に増加し、距離L=2.0mmにおいて最大値=43.4degとなり、飽和している。一方、zx平面内の仰俯角方向に関する半値角は、距離Lが0.1mm以上2.8mm以下である範囲内において、距離Lが長くなるに従って最小値=62.6degから概ね単調に増加し、距離L=2.4mmにおいて最大値=79.9degとなり、飽和している。
【0049】
この様な半値角の実験結果によれば、0.1mm以上2.8mm以下の範囲内において距離Lが短いほど、従来のテーパースロットアンテナ(方位角方向の半値角は43.0deg、仰俯角方向の半値角は79.7deg)に比べ、半値角が小さく、放射ビームの幅が細くなることが判る。
【0050】
最大利得及び半値角の上記実験結果を総合すれば、距離Lが0.2mm以上0.5mm以下の範囲内となるように、スロット分離素子3を放射スロット22内に設けることにより、正面方向の利得が顕著に向上し、放射ビームの幅を狭小化することができる。
【0051】
特に、放射スロット22の給電部22aにおけるスロット幅W
s1は、W
s1=0.2mmであることから、距離Lをスロット幅W
s1よりも長くすることにより、スロット分離素子3の先端部3aが給電部22aに近づき過ぎることによって伝送損失が増大するのを防止することができる。
【0052】
本実施の形態によれば、給電部22aから開放端22bにかけてスロット幅が広がるテーパー形状を有する放射スロット22により、広帯域にわたって高いアンテナ利得と鋭い指向性を得ることができる。また、給電部22aから開放端22bまで放射スロット22を伝搬した電磁波は、離間した2つの開口5から自由空間へ放射され、干渉によって強め合うので、従来のテーパースロットアンテナに比べ、正面方向7の利得を向上させることができる。従って、開放端22bにおけるスロット幅やテーパー部の長さを大きくすることなく、正面方向7の利得をさらに向上させることができる。
【0053】
また、離間した2つの開口5から自由空間へ放射された電磁波の干渉により、誘電体基板10と平行な平面内における放射ビームの幅を狭小化することができる。さらに、放射スロット22とスロット分離素子3との間に、直線状に延びるスロット線路が形成されるので、放射スロット22において給電部22aから開放端22bまで電磁波を効率良く伝達させることができる。また、放射スロット22の開放端22bにおける2つの開口5の間隔Wを自由空間波長λ
0の1/2倍以上にすることにより、開口間隔Wが自由空間波長λ
0の1/2倍未満である場合に比べて、正面方向7の利得を顕著に増大させることができる。
【0054】
また、放射スロット22の給電部22aからスロット分離素子3までの距離Lを給電部22aにおけるスロット幅W
s1よりも長くすることにより、スロット分離素子3が放射スロット22の給電部22aに近づき過ぎることによって伝送損失が増大するのを防止することができる。また、スロットアンテナ1では、MSL4及び結合スロット21を介し、放射スロット22に給電することができる。このため、導波管を用いて給電する場合に比べて、誘電体基板10の厚さ方向に関し、スロットアンテナ1のサイズを小型化することができる。
【0055】
なお、本実施の形態では、放射スロット22が開放端22bから給電部22aにかけて傾斜した略V字形状からなり、スロット分離素子3が開放端22bを一辺とする略三角形形状からなる場合の例について説明したが、本発明は放射スロット22やスロット分離素子3の構成をこれに限定するものではない。例えば、放射スロット22は、曲線形状からなるものや、テーパー部から開放端22bにかけて等幅で伸びる等幅部を有するものであっても良い。また、スロット分離素子3は、素子幅が曲線的に狭まる形状からなるものや、開放端22bから等幅で伸びる等幅部を有するものであっても良い。
【0056】
図7は、スロットアンテナ1の他の構成例を示した図であり、スロットアンテナ1を上方から見た様子が示されている。図中の(a)には、曲線形状からなる放射スロット22及びスロット分離素子3が示されている。このスロットアンテナ1では、放射スロット22が、給電部22aから開放端22bにかけてスロット幅が広がるとともに、開放端22b付近で急激にスロット幅が広がっている。
【0057】
スロット分離素子3は、開放端22bから遠ざかるに従って素子幅が狭まるとともに、開放端22b付近で急激に素子幅が狭まっている。この様なスロット分離素子3を放射スロット22内に設けることにより、当該放射スロット22が分離され、給電部22a付近から開放端22bにかけて概ね等幅で延伸する2つのスロット線路が形成されている。
【0058】
図中の(b)には、放射スロット22がテーパー部221及び等幅部222からなり、スロット分離素子3がテーパー部121及び等幅部122からなる場合が示されている。放射スロット22のテーパー部221は、給電部22aから開放端22bに向かってスロット幅が広がるテーパー形状からなる。等幅部222は、このテーパー部221の終端から開放端22bにかけて概ね等幅で延びる溝形状からなる。
【0059】
スロット分離素子3のテーパー部121は、開放端22bから遠ざかるに従って素子幅が狭まるテーパー形状からなる。等幅部122は、開放端22bから概ね等幅で延び、テーパー部121に接続する形状からなる。この様なスロット分離素子3を放射スロット22内に設けた場合にも、給電部22a付近から開放端22bにかけて概ね等幅で延伸する2つのスロット線路が形成される。
【0060】
図中の(c)には、誘電体基板10に切込みが形成され、誘電体基板10の前端面から後退した端面10aに隣接させて放射スロット22及びスロット分離素子3を設けた場合が示されている。端面10aは、誘電体基板10に形成された切込みの底面である。放射スロット22の開放端22bは、この端面10aに位置している。
【0061】
放射スロット22は、給電部22aから開放端22bにかけてスロット幅が広がるテーパー形状からなり、スロット分離素子3は、開放端22bから遠ざかるに従って素子幅が狭まるテーパー形状からなる。
図7の(a)〜(c)に示したスロットアンテナ1であっても、広帯域にわたって高いアンテナ利得及び鋭い指向性を有しながら、サイズを大型化させることなく、正面方向7の利得をさらに向上させることができる。