特許第6184806号(P6184806)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6184806自動化処理モジュール内でチップを廃棄する自動化される方法および処理モジュールを備える処理システム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6184806
(24)【登録日】2017年8月4日
(45)【発行日】2017年8月23日
(54)【発明の名称】自動化処理モジュール内でチップを廃棄する自動化される方法および処理モジュールを備える処理システム
(51)【国際特許分類】
   G01N 35/10 20060101AFI20170814BHJP
   G01N 35/00 20060101ALI20170814BHJP
【FI】
   G01N35/10 G
   G01N35/00 F
【請求項の数】14
【外国語出願】
【全頁数】14
(21)【出願番号】特願2013-178148(P2013-178148)
(22)【出願日】2013年8月29日
(65)【公開番号】特開2014-48293(P2014-48293A)
(43)【公開日】2014年3月17日
【審査請求日】2016年4月22日
(31)【優先権主張番号】12182510.3
(32)【優先日】2012年8月31日
(33)【優先権主張国】EP
(73)【特許権者】
【識別番号】591003013
【氏名又は名称】エフ.ホフマン−ラ ロシュ アーゲー
【氏名又は名称原語表記】F. HOFFMANN−LA ROCHE AKTIENGESELLSCHAFT
(74)【代理人】
【識別番号】100140109
【弁理士】
【氏名又は名称】小野 新次郎
(74)【代理人】
【識別番号】100075270
【弁理士】
【氏名又は名称】小林 泰
(74)【代理人】
【識別番号】100101373
【弁理士】
【氏名又は名称】竹内 茂雄
(74)【代理人】
【識別番号】100118902
【弁理士】
【氏名又は名称】山本 修
(74)【代理人】
【識別番号】100146710
【弁理士】
【氏名又は名称】鐘ヶ江 幸男
(72)【発明者】
【氏名】アンドレアス・ギスラー
(72)【発明者】
【氏名】ロベルト・ヒュースラー
(72)【発明者】
【氏名】マヌ・コトゥッパリル・マシュー
(72)【発明者】
【氏名】トミ・メルク
【審査官】 長谷 潮
(56)【参考文献】
【文献】 特開2004−301843(JP,A)
【文献】 特開平06−289032(JP,A)
【文献】 特表2002−519695(JP,A)
【文献】 特開平10−227800(JP,A)
【文献】 欧州特許出願公開第02431928(EP,A1)
【文献】 国際公開第92/022882(WO,A1)
【文献】 特開2008−096304(JP,A)
【文献】 特開2008−039674(JP,A)
【文献】 特開2010−127941(JP,A)
【文献】 特開2005−201882(JP,A)
【文献】 特開2006−349502(JP,A)
【文献】 欧州特許出願公開第02455762(EP,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01N 35/00−35/10
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
自動化処理モジュール内でチップを廃棄する自動化される方法であって、前記処理モジュールが、試料ラックを保持するための少なくとも3つのポジションであって、前記ポジションのうちの1つが、チップ廃棄ラックを保持するためのチップ廃棄ラックポジションであり、前記チップ廃棄ラックが複数のチップ受け開口部を備え、前記ポジションのうちの少なくとも2つが、試料ラックを保持するための試料ラックポジションであり、前記試料ラックポジションのうちの少なくとも1つが、液体試料を保持する試料チューブを備える試料ラックを備え、前記試料ラックポジションのうちの2つが互いに隣接する少なくとも3つのポジション、複数のピペットチップを使用して前記試料チューブから処理チューブまで前記試料を移送するためのピペットヘッド、少なくとも1つのラック搬送機構、試料ラックを一時的に保持するためのラック保持機構、およびエラー検出機構を備え、前記方法が、
a)前記エラー検出機構により、試料ラック内で保持される前記試料チューブから前記処理チューブまで前記試料を移送するのに使用される少なくとも1つのピペットチップのところでエラーを検出するステップと、
b)試料ラックが前記隣接試料ラックポジションに存在する場合は、当該試料ラックを、前記隣接試料ラックポジションから前記処理モジュール内の空のラック保持機構まで、前記少なくとも1つのラック搬送機構により移送するステップと、
c)前記チップ廃棄ラックを、前記チップ廃棄ラックポジションから前記隣接試料ラックポジションまで、前記少なくとも1つのラック搬送機構により移送するステップと、
d)エラーが検出された前記少なくとも1つのピペットチップを、前記ピペットヘッドから取り出して前記チップ廃棄ラックの前記チップ受け開口部のうちの1つの中へと入れることにより、処分するステップと、
e)前記チップ廃棄ラックを前記チップ廃棄ラックポジションまで、前記少なくとも1つのラック搬送機構により移送するステップと、
f)前記試料ラックを、前記ラック保持機構から前記隣接試料ラックポジションまで、前記少なくとも1つのラック搬送機構により移送するステップと
を含む
方法。
【請求項2】
前記チップ廃棄ラックのすべてのチップ受け開口部がピペットチップを保持するまで、ステップa)からf)繰り返、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記チップ廃棄ラックのすべてのチップ受け開口部がピペットチップを保持すると、前記チップ廃棄ラックが前記処理モジュールから自動で取り除かれ、空のチップ受け開口部を備えるチップ廃棄ラックが処理モジュールに提供される、または、新たなチップ廃棄ラックが装填されるときに、前記チップ廃棄ラックが自動で取り除かれる、請求項1または2に記載の方法。
【請求項4】
前記少なくとも1つのピペットチップのところで検出される前記エラーは、凝固または液面検出の失敗である、請求項1から3までのいずれか1項に記載の方法。
【請求項5】
前記ピペットチップが、選択的にチップを前記ピペットヘッドから外すことによって処分される、請求項1から4までのいずれか1項に記載の方法。
【請求項6】
前記処理モジュールが、少なくとも1つの試料ラック装填ワークフローおよび少なくとも1つのアンロードワークフローを備え、前記処理モジュールが、前記少なくとも1つの試料ラック装填ワークフローを介して前記処理モジュール内に前記チップ廃棄ラックを装填し、前記処理モジュールが、前記少なくとも1つのアンロードワークフローを介して前記処理モジュールから前記チップ廃棄ラックをアンロードする、請求項1から5までのいずれか1項に記載の方法。
【請求項7】
前記チップ廃棄ラックが識別子を備え、前記処理モジュール内に備えられる前記識別子を読み取るための識別デバイス、前記チップ廃棄ラック填またはアンロードの際に識別する、請求項6に記載の方法。
【請求項8】
前記識別デバイスが、装填されている前記チップ廃棄ラックの前記識別子を読み取り、前記チップ廃棄ラックの識別子に関する情報をコンピュータ制御装置に伝送し、前記コンピュータ制御装置が前記装填およびアンロード追跡する、請求項7に記載の方法。
【請求項9】
前記空のラック保持機構が、二次搬送機構または前記試料ラックを保持するための少なくとも3つのポジションとは別個の試料ラックポジションを備える、請求項1から8までのいずれか1項に記載の方法。
【請求項10】
前記ピペットヘッドが、ピペットチップと係合するための少なくとも2つのインターフェースを備える、請求項1から9までのいずれか1項に記載の方法。
【請求項11】
前記チップ受け開口部の数とピペットチップに係合されるための前記インターフェースの数が等しい、請求項10に記載の方法。
【請求項12】
前記チップ廃棄ラックが前記試料ラックと等しい長さ、幅および高さを有する、請求項1から11までに記載の方法。
【請求項13】
処理モジュールを備える処理システムであって、前記処理モジュールが、試料ラックを保持するための少なくとも3つのポジションと、前記少なくとも3つのポジションのうちの1つに位置する液体試料を保持する試料チューブを備える少なくとも1つの試料ラックと、前記少なくとも3つのポジションのうちの別の1つに位置し、複数のチップ受け開口部を備える、ピペットチップを処分するための少なくとも1つのチップ廃棄ラックと、ラック保持機構と、少なくとも1つの処理チューブと、複数のピペットチップを使用して試料チューブから処理チューブまで試料を移送するためのピペットヘッドと、前記チップ廃棄ラックを保持するための前記ポジションから前記試料ラックを保持するための前記ポジションに隣接するポジションまで前記チップ廃棄ラックを移送するための移送機構と、を備え
前記処理モジュールは、前記少なくとも1つのピペットチップを、前記ピペットヘッドから取り出して、前記試料ラックを保持するための前記ポジションに隣接するポジションに移送されたチップ廃棄ラックの前記チップ受け開口部のうちの1つの中へと入れることにより処分可能に構成される、処理システム。
【請求項14】
請求項1から12までのいずれか1項に記載の方法を実行するプログラムを組み込み可能なコンピュータ制御装置をさらに備える、請求項13に記載の処理システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、診断分析器および診断分析器で実行される自動化される方法の分野に関する。これらの方法には、一般には、液体試料を移送することが伴われる。このような移送プロセスの際にエラーが発生する可能性がある。エラーが発生する場合、エラーが検出されたピペットチップをシステムから取り除く必要がある。したがって、本発明は、自動化処理モジュール内でチップを廃棄する方法と、処理システムと、試料を移送するための自動化プロセスとに関する。
【背景技術】
【0002】
ピペットチップを廃棄するための複数の別の方法が知られている。1つの方法は、エラーチップ(error tip)を個別の試料内へと処分することを含む(特開2000−193670号公報)。これは、試料を処分することを必要とし、したがって試料が再使用され得ないことから、エラーが試料自体を原因とするものでない事例では不利である。別の既知の方法は、特定の1つの試料を移送するのに使用されるチップを保持するための処理チューブ内に一体化されるホルダを設けることを含み、エラーが発生した場合に、このホルダ内でチップが交換され、その試料でそれ以降分析が行われることが中止される(米国特許第6506610号明細書)。別の方法は固定されたチップ廃棄パーク(tip waste park)を使用することに依存し、この中にエラーチップが配置され得る(特開2001−296304号公報)。これらの固定されるチップ廃棄パークは2つの欠点を有する。1つの欠点は、異なる試料を含む試料チューブの列に跨がってエラーチップを搬送することが必要となる場合があることから、それにより、エラーチップから放出されるエアロゾルまたは液滴によりこれらの試料が汚染される危険性が増大することである。もう1つの欠点は、固定されるチップ廃棄ラックがエラーチップで満たされると手動で取り除くことが必要となることから、さらに汚染の危険性が増大する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2000−193670号公報
【特許文献2】米国特許第6506610号明細書
【特許文献3】特開2001−296304号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明は、チップを廃棄することおよび試料の移送することのための新たな方法、システムおよびプロセスを提供する。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明は、自動化処理モジュール内でチップを廃棄するための自動化される方法に関する。この処理モジュールは、試料ラックを保持するための少なくとも3つのポジションを有する。上記のポジションのうちの1つは、チップ廃棄ラックを保持するためのチップ廃棄ラックポジションであり、ここでは、上記のチップ廃棄ラックがチップ受け開口部を備える。上記のポジションのうちの少なくとも2つは、試料ラックを保持するための試料ラックポジションである。試料ラックポジションのうちの少なくとも1つは、液体試料を保持する試料チューブを備える試料ラックを備える。試料ラックポジションのうちの2つは互いに隣接する。この処理モジュールは、ピペットチップを使用して試料チューブから処理チューブまで試料を移送するためのピペットヘッドと、少なくとも1つのラック移送機構とをさらに備える。さらに、処理モジュールは、試料ラックを一時的に保持するためのSWAPラック保持機構を備える。
【0006】
この方法は、試料ラック内で保持される試料チューブから処理チューブまで試料を移送するのに使用される少なくとも1つのピペットチップのところでエラーを検出することを含む。エラーが検出された後、存在する場合は試料ラックが隣接試料ラックポジションから処理モジュール内の空のSWAPラック保持ポジションまで移送される。チップ廃棄ラックがチップ廃棄ラックポジションから隣接試料ラックポジションまで移送される。チップ廃棄ラックが隣接試料ラックポジションに配置されると、エラーが検出された少なくとも1つのピペットチップが、ピペットヘッドから取り出されてチップ廃棄ラックのチップ受け開口部のうちの1つの中へと入れられることにより、処分される。このプロセス後、チップ廃棄ラックがチップ廃棄ラックポジションまで移送される。SWAPラック保持機構内に配置された試料ラックが、SWAPラック保持機構から隣接試料ラックポジションまで移送される。
【0007】
処理システムは、試料ラックを保持するための少なくとも3つのポジションを有する処理モジュールを備え、上記の処理ラックは、上記の少なくとも3つのポジションのうちの1つに位置にする液体試料を保持するチューブを備える少なくとも1つの試料ラックと、上記の少なくとも3つのポジションのうちの別の1つに位置するチップ受け開口部を備える少なくとも1つのチップ廃棄ラックと、SWAPラック保持機構と、であり、処理モジュールはさらに、少なくとも1つの処理チューブと、試料チューブから処理チューブまで試料を移送するためのピペットヘッドとを備える。
【0008】
処理モジュール内で試料チューブから処理チューブまで試料を移送するための自動化されるプロセスが、上記の処理モジュール内に存在するチップ廃棄ラック内のチップ受け開口部の装填ステータスを確認することを含み、ここでは、上記の装填ステータスが空の状態またはピペットチップが装填された状態のいずれかであり、ここでは、上記のチップ廃棄ラック内で最小限でも空のチップ受け開口部が存在する場合に、試料の上記の移送が進行される。
【0009】
本発明は、自動化処理モジュール内でチップを廃棄する自動化される方法に関する。この処理モジュールは、試料ラックを保持するための少なくとも3つのポジションを有する。上記のポジションのうちの1つは、チップ廃棄ラックを保持するためのチップ破棄ラックポジションであり、ここでは、上記のチップ廃棄ラックがチップ受け開口部を備える。上記のポジションのうちの少なくとも2つは、試料ラックを保持するための試料ラックポジションである。試料ラックポジションのうちの少なくとも1つは、液体試料を保持する試料チューブを備える試料ラックを備える。試料ラックポジションのうちの2つは互いに隣接する。この処理モジュールは、ピペットチップを使用して試料チューブから処理チューブまで試料を移送するためのピペットヘッドと、少なくとも1つのラック搬送機構とをさらに備える。さらに、処理モジュールは、試料ラックを一時的に保持するためのSWAPラック保持機構を備える。
【0010】
この方法は、試料ラック内で保持される試料チューブから処理チューブまで試料を移送するのに使用される少なくとも1つのピペットチップのところでエラーを検出することを含む。エラーが検出された後、存在する場合は試料ラックが隣接試料ラックポジションから処理モジュール内の空のSWAPラック保持ポジションまで移送される。チップ廃棄ラックがチップ廃棄ラックポジションから隣接試料ラックポジションまで移送される。チップ廃棄ラックが隣接試料ラックポジションに配置されると、エラーが検出された少なくとも1つのピペットチップが、ピペットヘッドから取り出されてチップ廃棄ラックのチップ受け開口部のうちの1つの中へと入れられることにより、処分される。このプロセス後、チップ廃棄ラックがチップ廃棄ラックポジションまで移送される。SWAPラック保持機構内に配置された試料ラックが、SWAPラック保持機構から隣接試料ラックポジションまで移送される。
【0011】
本明細書で説明される方法は、処理システム内に存在する別の試料を汚染する危険性を最小にして処理システムからエラーチップが取り除かれ得るという利点を有し、これは、エラーチップを取り除く際に、エラーが検出されかつそこから落下する可能性がある液体からエアロゾルを発生させる可能性を潜在的に有するようなチップが、別の試料の上を移動させられることがなく、チップ廃棄ラックを保持する隣接試料ラックポジション内のチップ廃棄ラックまでの短い距離のみを移動させられることが理由である。別の利点は、本方法で生成される廃棄物が最小化されることである。さらに、方法が自動化されることにより、ユーザインストラクションの数が低減され、それによりウォークアウェイタイム(walk away time)が増え、ユーザハンズオンタイム(user hands−on time)が短縮される。また、エラーチップを取り除く際にプロセスを中断する必要がない。
【0012】
「チップを廃棄する」という表現は、それ以降使用されないチップをシステムまたはデバイスあるいはモジュールから取り除くことに関連する。一実施形態では、チップを廃棄するとは、エラーチップがシステムまたはデバイスあるいはモジュールから取り除かれることを意味する。
【0013】
「処理モジュール」という語は独立ユニットに関連するか、より大きな装置の一部分であるユニットに関連し、その中で試料が処理される。処理には、1つのチューブから別のチューブまで試料を移送することが含まれる。
【0014】
「試料ラックを保持するためのポジション」という表現は、試料ラックを保持することができる処理モジュール内のポジションに関連する。試料ラックが試料ラックを保持するためのポジション内で保持されるとき、試料ラックはピペットヘッド上のインターフェースに係合されるチップによってアクセスされ得る。したがって、試料ラックを保持するための1つのポジションは、試料ラックの中身をピペットヘッドへと提供する処理モジュール内のポジションである。
【0015】
試料ラックポジションは、ワークフローの任意のポイントにある、一時的にのみ試料ラックを保持する、試料ラックを保持するための1つのポジションである。チップ廃棄ラックポジションは、処理デバイス内で試料移送ワークフローでの廃棄する必要があるチップがない箇所でチップ廃棄ラックを保持するポジションである。したがって、チップ廃棄ラックポジションはチップ廃棄ラックのための保管ポジションである。チップを少なくとも1つでも廃棄する必要がある場合、チップ廃棄ラックは、チップが廃棄されるまでチップ廃棄ラックポジションから一時的に取り除かれ、その後にチップ廃棄ラックポジションに戻るように移送される。チップ廃棄ラックポジションは、本発明の方法が開始されるときは常にチップ廃棄ラックを保持する。したがって、「処理モジュールがチップ廃棄ラックを保持するためのチップ廃棄ラックポジションを有する」という表現は、チップ廃棄除去中に隣接ポジションまで移送されない限りチップ廃棄ラックが上記のチップ廃棄ラックポジション内に存在することを意味するものとして理解されたい。したがって、この表現には、処理モジュール内のチップ廃棄ラックポジションからチップ廃棄ラックが一時的に存在しなくなることが含まれる。この処理モジュールは、本発明の方法の開始時にチップ廃棄ラックを保持する廃棄ラックポジションを常に有する。
【0016】
隣接試料ラックポジションは、チップエラーが検出されるときの液体試料の移送元の試料ラックポジションに直接に隣接して位置する試料ラックポジションである。したがって、チップエラーが検出されるときの液体試料の移送元の試料ラックポジション、および、この隣接ラックポジションは、互いに隣接する。この隣接試料ラックポジションはチップエラーが検出されたときに試料ラックを保持してよいが、チップエラーが検出されたときに試料ラックを保持していなくてもよく、その場合、チップエラーが検出されるときの液体試料の移送元の試料ラックポジションの近傍でチップ廃棄ラックを保持するのに一時的に使用される。
【0017】
試料ラックは、処理モジュール内の処置チューブまで移送される試料を保持するラックである。一実施形態では、試料ラックは、液体試料を含む少なくとも1つのチューブを保持する。
【0018】
チップ廃棄ラックは、エラーチップを受け取るラックである。このチップ廃棄ラックは、試料ラックを保持するためのポジションでチップ廃棄ラックが保持されるのを可能にする寸法を有するラックである。特定の一実施形態では、チップ廃棄ラックは、同じ処理モジュール内で使用される試料ラックと本質的に等しい寸法を有する。特定の一実施形態では、チップ廃棄ラックは試料ラックと等しい寸法を有する。これは、チップ廃棄ラックおよび試料ラックの長さ、幅および高さが等しいことを意味する。
【0019】
チップ受け開口部は、ピペットチップを受けることができるチップ廃棄ラック内の開口部である。特定の一実施形態では、チップ受け開口部は一体に形成される開口部である。別の特定の一実施形態では、チップ廃棄ラックは、チップ廃棄チューブを備える試料ラックである。チップ廃棄チューブの特定の一実施形態は、試料または液体試料が中に存在しない試料チューブである。
【0020】
したがって、この処理モジュールで使用される試料ラックおよびチューブは、さらに別の消耗品およびハードウェアを一切必要とすることなくチップ廃棄機構のために使用され得る。
【0021】
試料チューブは、1つの試料を含むチューブである。この試料は、この試料を含む試料チューブを備える試料ラックを処理モジュール内に装填することにより、処理モジュール内に導入される。試料チューブは試料ラック内に嵌合される。「試料チューブ」は、患者から試料を受け取とるのに使用されさらに中に含有される試料を診断のために分析実験室まで搬送するのに使用される、「一次チューブ」とも呼ばれる試料収集試験チューブであるか、または、一次チューブから試料のアリコートを受け取るのに使用され得る「二次チューブ」とも呼ばれる試料収集試験チューブである。一次試料チューブは、通常、ガラスまたはプラスチックで作られ、通常はチューブの種類に関連させて、すなわち、中にある試料の種類または中の試料が受ける条件の種類に関連させて、多様な形状および色を有することができる。二次チューブは、通常、プラスチックで作られ、一実施形態では、一次チューブを基準として有し得るサイズおよび種類の多様性が低い。詳細には、二次チューブは一次チューブより小さくてよい。
【0022】
「処理チューブ」という語は、試料チューブから移送された後に試料またはそのアリコートがその中で取り扱われる、チューブに関連する。取り扱いには、濃縮、精製、または、測定可能な信号を得るための試薬との反応が含まれてよい。一実施形態では、処理チューブは、ガラスまたはプラスチックで作られる個別のチューブであってよい。別の一実施形態では、処理チューブはラック内で一体に形成される容器であってよい。より具体的な一実施形態では、処理チューブは多ウェルプレートの容器である。
【0023】
試料は、1つまたは複数の分析物質を測定するための診断試験を受ける物質である。試料は液化される固体物質であってよく、または、血液、血清、血漿、尿、乳、唾液、髄液などの、体液であってもよい。液体試料は、液体であるかまたは液化される試料である。試料アリコートは、試験を行うのに採用される試料の一部である。試料アリコートは、通常、試料の一部を二次チューブまたはウェル内に分注することによって作られ、次いで二次チューブまたはウェルにおいてさらなる取り扱いが行われる。試料の2つ以上のアリコートが必要となる場合、例えば、一定体積のその試料を吸引してその体積の一部を2つ以上のウェル内に吐出することが可能である。
【0024】
「ピペットヘッド」という語は流体移送デバイスに関連する。特定の一実施形態では、ピペットヘッドは、ピペットチップに係合されるための少なくとも2つのインターフェースを備える。別の特定の一実施形態では、ピペットチップに係合されるためのインターフェースの数は、チップ廃棄ラックのチップ受け開口部の数と等しい。したがって、ピペットチップに係合されると、ピペットヘッドは、試料チューブから処理チューブまで試料を移送することができる。特定の一実施形態では、チップ受け開口部およびピペットチップに係合されるためのインターフェースの数は等しい。
【0025】
ピペットチップは使い捨て可能チップであり、これは、通常はプラスチックで作られ、液体試料を移送するためにピペットヘッドに可逆的に係合される。
ラック搬送機構は、ラックを搬送することができる機構である。このラック搬送機構はコンベアを備えることができる。このラック搬送機構はまた、ロボットにアームに取り付けられるグリッパを備えることができる。
【0026】
SWAPラック保持機構は、一実施形態では、隣接試料ラックポジションからの試料ラックを一時的に保持することができる二次ラック搬送機構であってよく、または、SWAPラック保持機構は、隣接試料ラックが一時的に移送される先である専用のSWAPラック保持ポジションであってもよい。この第2の実施形態は、プロセスセル内で試料ラックを搬送するのに1つのラック搬送機構のみが必要となるという利点を有する。
【0027】
空のSWAPラック保持ポジションは、隣接試料ラックを一時的に保持するためのポジションであり、これは、プロセスセル内でチップを廃棄することが必要とされない間は空の状態を維持する。
【0028】
ピペットチップ内でエラーが検出されることにより、チップがエラーチップとなる。エラー検出は、チップ内でエラーを検出するための機構に関連する。特定の一実施形態では、エラー検出には、凝固検出(clot detection)、および、液面検出の失敗が含まれる。エラー検出には、さらには、操作の失敗、機械的エラー、ソフトウェア障害またはハードウェア障害が含まれてよい。分析プロセスの停止につながるようなソフトウェア障害またはハードウェア障害の場合、チップをピペットヘッドのインターフェースに依然として接続させておくことが可能となる場合があり、これは再始動の前に取り除かれる必要がある。このようにして取り除くことも本方法によって実行され得る。
【0029】
特定のチップに対してエラーが検出されると、そのチップがチップ廃棄ラックのチップ受け開口部内に配置されて取り出されることによって処分される。特定の一実施形態では、チップは、選択的にチップをピペットチップから外すことによって処分される。ピペットヘッドからチップを取り出すための機構は当技術分野でよく知られている。
【0030】
本発明の1つの利点は、固定されるチップ廃棄ステーションが必要ではないことである。このような固定されるチップ廃棄ステーションがある場合、追加の設置面積が必要となる。したがって、本発明の方法によると、追加の設置面積または追加のステーションを必要とすることなく、チップが廃棄され得る。チップ廃棄ラックが試料を含まない試料チューブを備える試料ラックであるような実施形態では、チップを廃棄するために、消耗品およびラックを含めた追加のハードウェアは必要ではない。別の1つの利点は、特定の試料が分注されているときにチップがエラーチップとして特定されて本方法に従って廃棄された後で、例えばそのエラーがピペットチップによるものであり、試料によるものではない場合には、それぞれの試料をさらに処理することが可能であることである。したがって、試料の損失を最小化することができる。
【0031】
本方法の別の1つの利点は、エラーチップが、プロセスにおいて使用されているそのポジションにおいてプロセスから直接的に取り除かれることから、汚染の危険性が低減され、安全性が向上することである。また、エラーチップが長い距離にわたって搬送されることはなく、また、別の試料の上を移動させられることもないことから、相互汚染も低減される。さらに、この方法は、ユーザハンズオンタイムを短縮させ、ウォークアウェイタイムを増大させる。
【0032】
この方法は、下流での別の試料の処理に悪影響を与えず、また、ワークフローまたはスループットにも影響しないという点でも、有利である。さらに、エラーチップを廃棄することが、処理モジュール内で使用される試料を装填および移送するためのハードウェアおよび/またはワークフローに容易に組み込まれ得る。
【0033】
チップ廃棄ラックはチップ廃棄ラックポジションから隣接試料ラックポジションまで移送され得るが、これは、隣接試料ラックポジション内の試料ラックが移送されて空のSWAPラック保持機構内で保持されるのと同時に行われ得、または、隣接試料ラックポジション内の試料ラックがSWAPラック保持機構まで移送された後で行われてもよい。一実施形態では、SWAPラック保持機構は、チップ廃棄ラックを移送する搬送機構を邪魔することなく同時に作動する搬送機構であってよい。別の一実施形態では、SWAPラック保持機構は、試料ラックを保持するための追加のポジションである。この実施形態では、処理モジュールは、本発明の方法を実施するために試料ラックを保持するための少なくとも4つのポジションを必要とすることになる。この実施形態の利点は、処理モジュール内で、一度に一方向にラックを移送するためのラック搬送機構が1つのみ必要となることである。特定の一実施形態では、空のSWAPラック保持機構は、搬送機構または試料ラックポジションを備える。
【0034】
特定の一実施形態では、本方法のステップは、チップ廃棄ラックのすべてのチップ受け開口部がピペットチップを保持するようになるまで、繰り返される。
本方法の特定の一実施形態では、チップ廃棄ラックのすべてのチップ受け開口部がピペットチップを保持すると、チップ廃棄ラックが処理モジュールから自動で取り除かれ、空のチップ受け開口部を備えるチップ廃棄ラックが処理モジュールに提供されるか、あるいは、このチップ廃棄ラックは、新たなチップ廃棄ラックが装填されるときに、自動で取り除かれる。新たなチップ廃棄ラックが装填されるときにチップ廃棄ラックが自動で取り除かれる場合、取り除かれるチップ廃棄ラックは少なくとも部分的に充填されている。
【0035】
自動化処理モジュール内にラックを装填することおよび処理モジュールからラックを
アンロードすることを目的として、本明細書で説明される方法は、試料ラックを装填およびアンロードするための少なくとも1つのワークフローを備える処理モジュールを含み、ここでは、上記の廃棄チップラックは上記のワークフローを介して装填およびアンロードされる。したがって、試料ラック装填ワークフローは、試料ラックを自動化処理モジュール内に装填するためのワークフローである。特定の一実施形態では、装填ワークフローも自動化される。したがって、チップ廃棄ラックは、試料ラックを装填するのに使用される装填ワークフローを使用して、装填される。また、この自動化処理モジュールは、試料ラックのためのアンロードワークフローを備える必要があり、これは、試料を移送する際には、もはや必要とされない。したがって、このモジュールは、このように試料ラックをモジュールからアンロードするためのワークフローを備える。特定の一実施形態では、アンロードワークフローも自動化される。したがって、チップ廃棄ラックのすべてのチップ受け開口部がピペットチップによって占有され、このチップ廃棄ラックが空のチップ受け開口部を備えるチップ廃棄ラックと取り替えられるために取り除かれる必要があるとき、すべてのチップ受け開口部がチップによって占有されているこのチップ廃棄ラックは、試料ラックアンロードワークフローによってモジュールから取り除かれる。次いで、空のチップ受け開口部を備えるチップ廃棄ラックが、処理モジュールの、試料ラック装填ワークフローにより、装填される。特定の一実施形態では、上記の、試料ラックを装填するための少なくとも1つのワークフローは、優先的装填ワークフロー(priority loading workflow)またはレギュラー装填ワークフローを備え、上記のチップ廃棄ラックは、上記の優先的装填ワークフローまたは上記のレギュラー装填ワークフローを介して、装填される。特定の一実施形態では、上記の、試料ラックをアンロードするための少なくとも1つのワークフローはエラーラックアンロードワークフローを備え、上記の廃棄チップラックは、上記のエラーラックアンロードワークフローまたはレギュラーラックアンロードワークフローを介して、アンロードされる。レギュラー装填ワークフローは、試料ラックを処理モジュールに装填するときに通常使用されるワークフローであることを意味する。優先的装填ワークフローは、すでに装填されているが優先的に分析される必要がない試料より前に、優先的な試料を運ぶ試料ラックを分析することを可能することを意図されるワークフローである。したがって、チップ廃棄ラックは、優先的装填ワークフローを介しても装填され得る。
【0036】
一実施形態では、上記のチップ廃棄ラックは識別子を備える。処理モジュール内に備えられる、上記の識別子を読み取るための識別デバイスにより、チップ廃棄ラックが填またはアンロードの際に識別される。特定の一実施形態では、上記の識別子はバーコードまたはRFIDタグであり、上記の識別デバイスはバーコードリーダまたはRFIDリーダである。
【0037】
本明細書で説明される方法の一実施形態では、チップ廃棄ラックの装填およびアンロードはコンピュータ制御装置によって追跡される。本方法の特定の一実施形態では、上記の識別子を読み取るための識別デバイスは、装填されている廃棄チップラックの識別子を読み取り、そのチップ廃棄ラックの識別子に関する情報をコンピュータ制御装置に伝送する。
【0038】
本発明は、処理モジュールを備える処理システムにさらに関連する。処理モジュールは、試料ラックを保持するための少なくとも3つのポジションを有する。少なくとも1つの試料ラックが、上記の少なくとも3つのポジションのうちの1つの中に位置にする液体試料を保持するための試料チューブを備える。少なくとも1つのチップ廃棄ラックが、上記の少なくとも3つのポジションのうちの別の1つの中に位置するチップ受け開口部を備える。また、SWAPラック保持機構が含まれ、さらには、少なくとも1つの処理チューブと、試料チューブから処理チューブまで試料を移送するためのピペットヘッドと、チップ廃棄ラックを保持するための上記のポジションから試料ラックを保持するためのポジションに隣接するポジションまでチップ廃棄ラックを移送するための移送機構と、が含まれる。このシステムの特定の実施形態は本明細書で説明される通りである。一実施形態では、処理モジュールは自動化分析器に含まれる。
【0039】
一実施形態では、このシステムは、本明細書で説明される方法を制御するためのコンピュータ制御装置を備える。
本発明はまた、処理モジュール内で試料チューブから処理チューブまで試料を移送するための自動化されるプロセスに関連し、これは、上記の処理モジュール内に存在するチップ廃棄ラック内のチップ受け開口部の装填ステータスを追跡することを含み、ここでは、上記の装填ステータスは、空状態であることまたはピペットチップが装填されている状態であることのいずれかである。チップ廃棄ラック内で最小限でも空のチップ受け開口部が存在する場合に、試料の移行が進行される。特定の一実施形態では、この最小限の空のチップ廃棄チューブは、1つのチップ廃棄ラック内に存在するすべてのチップ廃棄チューブとして定義される。別の特定の一実施形態では、チップ廃棄ラックが5つのチップ受け開口部を備える場合、チップ廃棄ラック内に存在する最小限の空のチップ受け開口部は、試料を移送するプロセスを進行するためには5つとなる。
【0040】
一実施形態では、試料を移送するプロセスは、チップ廃棄ラックがチップ廃棄ラックを保持するためのポジション内で保持される場合にのみ開始される。より特定の一実施形態では、このプロセスは、処理モジュール内に含まれるチップ廃棄ラック内に最小限の空のチップ廃棄チューブが存在する場合にのみ開始される。
【0041】
本発明の方法およびプロセスならびにシステムは、処理モジュールの自動化ワークフローが、エラーチップを取り除くのにユーザインタラクションを必要とすることなくチップを廃棄することに適合され得る、という利点を有する。これにより、アンロードおよび再装填のためにプロセスを中断することが必要なくなるため、ウォークアウェイタイムが真に得られ、保守点検時間が排除されるかまたは短縮される。別の利点は本明細書で説明される通りである。
【0042】
一実施形態では、処理モジュールは、より大型の完全に自動化される分析器およびシステム内の、試料移送モジュールであってよい。分析器は、試料を濃縮、分離および/または精製するためのモジュール、ならびに、試料を分析するためのモジュールなどの、追加のモジュールを備えることができる。一実施形態では、分析器は分析物質を検出または定量することができる。特定の一実施形態では、分析器は、試料中に存在する可能性がある標的核酸を分離して検出または定量する核酸分析器であってよい。
【0043】
本明細書で使用される「検出」という語は、試料中での分析物質の有無を評価することを目的とした定性試験に関連する。
本明細書で使用される「定量」という語は、試料中に存在する分析物質の量または濃度を決定することに関連する。
【0044】
本明細書で使用される「分析物質」という語は、検出対象の任意の種類の生体分子であってよく、その検出により、有機体の診断ステータスが示される。有機体は動物であってよく、より好適には人間である。分析物質は、ポリペプチド、抗体、または、核酸であってよい。一実施形態では、分析物質は標的核酸である。
【0045】
「核酸標的」は、当業者には既知であるヌクレオチドのポリマー化合物である。「標的核酸」は、本明細書では、分析されるべき試料中の核酸を意味するのに使用され、すなわち、試料中でのその有無および/または量が決定される。標的核酸は、例えば特異的遺伝子またはRNAの一部である、ゲノム配列であってよい。別の実施形態では、標的核酸はウイルスまたは微生物であってよい。
【0046】
検出および定量は増幅によって実施され得る。本明細書で使用される「増幅」という語は、一般に、標的核酸から複数の核酸分子を生成することを意味し、ここでは、ポリメラーゼによって拡張されるための初期部位を提供するために、少なくとも1つのプライマーが標的核酸分子上の特定的部位にハイブリダイズされる。増幅は当技術分野で一般に知られる任意の方法によって実施されてよく、これには、限定しないが、スタンダードPCR、ロングPCR、ホットスタートPCR、qPCR、RT−RCT、および、等温増幅がある。別の増幅反応には、とりわけ、リガーゼ連鎖反応、ポリメラーゼリガーゼ連鎖反応、Gap−LCR、修復連鎖反応、3SR、NASBA、ストランド置換増幅(Strand Displacement Amplification(SDA))、TMA法(Transcription Mediated Amplification(TMA))、および、Qb増幅が含まれる。
【0047】
図1から4は例示の非限定的な実施形態を示す。
【図面の簡単な説明】
【0048】
図1】試料ラックおよびチップ廃棄ラックを保持するためのポジションを備える処理モジュールを示す図である。
図2図2aは、ピペットチップを備えるチップ廃棄ラックを示す図である。図2bは、液体試料を含む試料チューブを保持する試料ラックを示す図である。
図3】分注デバイスを示す図である。
図4】コンピュータ制御装置および処理モジュールを備える処理システムを示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0049】
図1では、処理モジュール(2)が試料ラック(3、3a、b、c、11)を保持するための複数のポジションを有する。ポジションのうちの1つは、チップ受け開口部(6)を備えるチップ廃棄ラック(5)を保持するチップ廃棄ラック保持ポジション(3a)である。処理モジュール(2)は、試料チューブ(7)を備える試料ラック(4a)を保持する試料ラック(4b)を保持するためのポジションと、試料ラック(4b)を保持することができる試料ラック(3c)を保持するための隣接ポジションとをさらに有する。試料を移送するのに使用されるピペット(1)では、エラーが検出される。この場合、隣接試料ラックポジション(4b)内の試料ラック(3c)がSWAPポジション(11)まで移送され、この実施形態では、SWAPポジション(11)はやはり試料ラックを保持するためのポジションであるが、例えば第2の搬送機構として、異なる形で構成されてもよい。ここでの移送は搬送機構(10)によって実行される。さらに図1には、処理チューブ(9)を備えるプレートが示され、試料が試料チューブ(7)から処理チューブ(9)内へと移送される。処理セルは装填レーン(17)を備え、この装填レーン(17)を介して試料ラックが装填ワークフロー(14)によって装填される。処理モジュールは、レギュラーアンロードレーン(15)およびエラーレーン(13)をさらに備える。エラーラックが、レーン(13)を介して、エラーアンロードワークフロー(16)またはレギュラーラックアンロードワークフロー(19)によってアンロードされる。処理モジュール(2)はまた、試料ラック(4a、4b)およびチップ廃棄ラック(5)上に配置される識別子を読み取るためのリーダ(12)を備える。
【0050】
図2aは、チップ(1)のためのチップ受け開口部として試料チューブ(6)を備えるチップ廃棄ラック(5)の例示の一実施形態を示す。チップ廃棄ラック(5)はその上に固定されるバーコード(25)を有し、このバーコード(25)により、リーダ(12)がチップ廃棄ラック(5)としてラックを識別することができる。
【0051】
図2bは、試料チューブ(6)と等しくてよい試料チューブ(7)を備える試料ラック(4)を示す。試料チューブ(7)は、分析物質を含んでよい液体試料(20)を含む。
図3では、ピペットチップ(1)に係合されるピペットヘッド(8)の例示の一実施形態が示される。
【0052】
図4は、コンピュータ制御装置(30)および処理モジュール(2)を備える処理システム(40)を示す。処理システム(40)は、分析物質を濃縮、分離および/または精製するためのモジュール(32)と、分析物質を反応させて検出するためのモジュール(31)とをさらに備える。この処理システムは、試料ラック(4)またはチップ廃棄ラック(5)を装填する際にレギュラー装填ワークフロー(35)によって使用されかつワークフロー(14)に接続される装填レーン(33)を有する装填デッキ(37)をさらに備える。装填デッキ(37)は、試料ラック(4)をアンロードする際にレギュラーアンロードワークフロー(36)によって使用されるアンロードレーン(34)をさらに備える。チップ廃棄ラックもワークフロー(36)によってアンロードされ得る。別法として、チップ廃棄ラックは、エラーレーン(13)(図1を参照)を介して、エラーアンロードワークフロー(16)によってアンロードされる。
図1
図2
図3
図4