【課題を解決するための手段】
【0008】
上記目的を達成するために、本発明は以下の手段を提供する。
まず、本発明に係る中子型の第1の態様は、長尺状の中子型の表面にプリプレグを積層した後、真空バッグを被せ、前記真空バッグ内を真空引きしながら加熱することにより、前記プリプレグを前記中子型に押し付けながら熱硬化させ、前記中子型に近似した形状の中空構造体を成形するのに用いられる中子型であって、長尺方向に延びる第1の型部材と、同じく長尺方向に延びて前記第1の型部材に隣接し、且つ前記中空構造体の成形後に、前記第1の型部材から分離させて前記長尺方向に抜き取ることが可能な第2の型部材と、前記第1の型部材と前記第2の型部材との対向する合わせ面の少なくとも片面に被装される
面状の剥離部材と、を備えたことを特徴とする。
【0009】
上記第1の態様によれば、第1の型部材と第2の型部材との合わせ面の間に
面状の剥離部材が介在することにより、合わせ面における摩擦係数が小さくなり、第1の型部材と第2の型部材とが剥離しやすくなる。
【0010】
したがって、中空構造体の成形後に第1の型部材から第2の型部材を剥離して抜き取るのが容易になり、第2の型部材、ひいては中子型全体を中空構造体から抜き取る際の作業性を高めるとともに、第1の型部材と第2の型部材の合わせ面が傷付いたり摩滅したりすることを防止して中子型の耐久性を高めることができる。なお、第1の型部材と第2の型部材との合わせ面に被装される
面状の剥離部材は、損傷しても交換が容易であるため、中子型のコンディションを長期間に亘って健全に保つことができる。
【0011】
しかも、第1の型部材と第2の型部材との間に介在する剥離部材として液密性のあるものを用いることにより、第1の型部材と第2の型部材との合わせ面を液密的にシールすることができる。このため、プリプレグを加圧および加熱しながら中子型の形状に合わせて成形する際に、溶融または軟化したプリプレグの樹脂材料が成形時の圧力により中子型の合わせ面に入り込むことが防止され、このために完成した中空構造体の肉厚が減少したり、寸法精度等の品質が低下してしまうことが防止される。
【0012】
また、好ましくは、上記第1の態様において、前記剥離部材を帯状に形成して前記長尺方向に沿って複数本並列に被装し、これら各剥離部材の間に、前記長尺方向に沿う空きスペースを設けるのがよい。
【0013】
このように、空きスペースを介在させながら、間隔を開けて複数本の剥離部材を配列すれば、剥離部材が第1の型部材および第2の型部材の合わせ面に密着する面積が格段に減少するため、第1の型部材から第2の型部材を剥離して抜き取る際の摩擦抵抗をより小さくし、第2の型部材を抜き取りやすくすることができる。
【0014】
また、上記第1の態様において、前記複数本の剥離部材の間に空きスペースを設けた場合には、前記空きスペースに、前記プリプレグと同類の樹脂材料からなる樹脂帯を、離型剤を介して貼着してもよい。
【0015】
上記構成によれば、第1の型部材と、これに隣接する第2の型部材との間に、プリプレグと同類の樹脂材料からなる樹脂帯が剥離部材と共に挟装されることにより、中空構造体を加圧および加熱しながら成形する時に、熱によって樹脂帯が軟化し、その軟化した樹脂材料が第1の型部材と第2の型部材との間(合わせ面)から、加圧の圧力により、中空構造体を形成するプリプレグの方に膨出し、プリプレグの樹脂材料が補填される。
【0016】
このため、従来のように、本来プリプレグを形成するべき樹脂材料が、第1の型部材と第2の型部材との間に入り込んでしまい、完成した中空構造体の肉厚が減少してしまったり、寸法精度等の品質が低下してしまうことを防止できる。なお、樹脂帯は、第1の型部材と第2の型部材との間に離型剤を介して介装されるため、前記の剥離部材と同様に、第1の型部材と第2の型部材との間を剥離させやすくする効果を奏する。
【0017】
また、本発明に係る中子型の第2の態様は、長尺状の中子型の表面にプリプレグを積層した後、真空バッグを被せ、前記真空バッグ内を真空引きしながら加熱することにより、前記プリプレグを前記中子型に押し付けながら熱硬化させ、前記中子型に近似した形状の中空構造体を成形するのに用いられる中子型であって、長尺方向に延びる第1の型部材と、同じく長尺方向に延びて前記第1の型部材に隣接し、且つ前記中空構造体の成形後に、前記第1の型部材から分離させて前記長尺方向に抜き取ることが可能な第2の型部材と、前記第1の型部材と前記第2の型部材との間に離型剤を介して挟装され、前記長尺方向に延び、且つ前記プリプレグと同類の樹脂材料からなる樹脂帯と、を具備してなることを特徴とする。
【0018】
上記第2の態様によれば、第1の型部材と第2の型部材との間に離型剤を介して樹脂帯が挟装されることにより、各型部材と樹脂帯との間に介在する離型剤によって第1の型部材と第2の型部材との間が剥離しやすくなり、中空構造体の成形後に第1の型部材と第2の型部材を抜き取りやすくなる。
【0019】
このため、成形された中空構造体から中子型を抜き取る際の作業性を高めるとともに、第1の型部材と第2の型部材との間に樹脂帯が介在することにより、第2の型部材の抜き取り時に第1の型部材と第2の型部材の合わせ面が傷付いたり摩滅したりすることを防止し、中子型の耐久性を高めることができる。
【0020】
しかも、中空構造体を加圧および加熱しながら成形する時に、熱によって樹脂帯が軟化し、その軟化した樹脂材料が第1の型部材と第2の型部材との間(合わせ面)から、加圧の圧力により、中空構造体を形成するプリプレグの方に膨出し、プリプレグの樹脂材料が補填される。
【0021】
このため、従来のように、本来プリプレグを形成するべき樹脂材料が、第1の型部材と第2の型部材との間に入り込んでしまい、完成した中空構造体の肉厚が減少してしまったり、寸法精度等の品質が低下してしまうことを防止できる。
【0022】
また、本発明に係る中空構造体の製造方法は、長尺状の中子型の表面にプリプレグを積層した後、真空バッグを被せ、前記真空バッグ内を真空引きしながら加熱することにより、前記プリプレグを前記中子型に押し付けながら熱硬化させ、前記中子型に近似した形状の中空構造体を成形す
る中空構造体の製造方法であって、前記中子型を構成す
る長尺方向に延びる第1の型部材と、同じく長尺方向に延びて前記第1の型部材に隣接する第2の型部材と、の対向する合わせ面の少なくとも片面に
面状の剥離部材を被装する剥離部材被装工程と、前記第1の型部材と前記第2の型部材とを重ね合わせて前記中子型を組み立てる中子型組立工程と、前記中子型の表面に前記プリプレグを積層するプリプレグ積層工程と、前記プリプレグを積層した前記中子型に前記真空バッグを被せ、この真空バッグ内を真空引きしながら加熱する成形工程と、前記中子型の前記第2の型部材
を前記第1の型部材から分離させて前記長尺方向に抜き取り、次に前記第1の型部材を前記中空構造体から抜き取る中子型抜き取り工程と、を備えてなることを特徴とする。
【0023】
上記の中空構造体の製造方法によれば、第1の型部材と、これに隣接する第2の型部材との合わせ面の間に
面状の剥離部材が介在することにより、合わせ面における摩擦係数が小さくなり、第1の型部材と第2の型部材との間が剥離しやすくなる。
【0024】
したがって、中子型抜き取り工程において、第1の型部材から第2の型部材を剥離して長尺方向に抜き取りやすくなり、これによって中空構造体の成形後に中子型を抜き取る際の作業性を高めるとともに、第1の型部材と第2の型部材の合わせ面が傷付いたり摩滅したりすることを防止して中子型の耐久性を高めることができる。