(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
集電体の片面または両面に正極活物質層を有する正極、集電体の片面または両面に負極活物質層を有する負極、並びに、リチウム塩および有機溶媒を含有する非水電解質を用いた非水二次電池であって、
前記負極の活物質として、黒鉛、熱分解炭素類、コークス類、ガラス状炭素類、有機高分子化合物の焼成体、メソカーボンマイクロビーズ、炭素繊維、活性炭、リチウムと合金化可能な金属またはその合金、金属リチウムおよびリチウム合金より選択される少なくとも1種を含有し、
前記非水電解質のリチウム塩濃度が2〜7mol/lであり、
前記非水電解質は、前記有機溶媒として、ニトリル系溶媒と、環状カーボネートおよび鎖状カーボネートから選択される少なくとも1種のカーボネートとを含有しており、
前記正極活物質層の全面が、前記負極活物質層と対向しており、
前記負極活物質層について、前記正極活物質層と対向しない非対向部分の面積が、互いに対向する対向部分の面積の15%以下であることを特徴とする非水二次電池。
前記非水電解質は、モノニトリルとして、アセトニトリル、プロピオニトリル、ブチロニトリル、バレロニトリル、ベンゾニトリルまたはアクリロニトリルを含有している請求項5に記載の非水二次電池。
【発明を実施するための形態】
【0012】
本発明の非水二次電池は、集電体の片面または両面に正極活物質層を有する正極と、集電体の片面または両面に負極活物質層を有する負極とを、例えばセパレータを介して対向させてなる電極体、並びに、リチウム塩および有機溶媒を含有する非水電解質を備えている。そして、非水電解質の有機溶媒には、ニトリル系溶媒を使用する。
【0013】
ニトリル系溶媒はイオン伝導性が高く、電池内でのリチウムイオンの拡散性を高めることができる。そのため、特に正極活物質層を厚くして正極活物質の充填量を高めた正極においても、高負荷での放電時にはリチウムイオンが到達し難い集電体近傍の領域にまで、リチウムイオンが良好に拡散できるようになる。よって、高負荷放電時にも十分な容量を引き出すことが可能となり、負荷特性に優れた非水二次電池とすることができる。
【0014】
しかしながら、その一方で、ニトリル系溶媒を使用した場合、その高いイオン伝導性に起因して、非水二次電池の初回充電時に正極から放出されたリチウムイオンを、負極の全体に拡散させてしまう。非水二次電池では、正極活物質層よりも負極活物質層の面積を大きくすることが一般的であるため、負極活物質層のうち、正極活物質層と対向していない箇所にまでリチウムイオンが拡散して吸蔵されてしまうと、このリチウムイオンが初回放電時に放出されずに負極に留まるため、不可逆容量となってしまう。また、ニトリル系溶媒は負極表面(負極の活性面)との反応性が高く、負極の劣化を引き起こす虞もある。
【0015】
これらの理由から、ニトリル系溶媒を含有する非水電解質を用いた非水二次電池では、初回充放電効率が低くなってしまう。
【0016】
そこで、本発明の非水二次電池では、(1)非水電解質の有機溶媒に、ニトリル系溶媒と共に、環状カーボネートおよび鎖状カーボネートから選択される少なくとも1種のカーボネートを使用し、(2)非水電解質のリチウム塩濃度を2〜7mol/lとし、(3)負極活物質層または正極活物質層のそれぞれについて、もう一方の電極の活物質層と対向しない非対向部分の面積が、互いに対向する対向部分の面積の15%以下である構成、とした。
【0017】
前記(1)および(2)の構成の採用によって、ニトリル系溶媒と負極表面との反応を抑えることができる。また、前記(3)の構成の採用によって、初回充電時に正極から放出されたリチウムイオンのうち、不可逆容量となるものの量を可及的に低減することができる。本発明によれば、これらの構成による作用を複合的に発揮させることで、喩え厚い正極活物質層を有する正極を使用しても、負荷特性に優れ、かつ初回充放電効率の高い非水二次電池とすることができる。
【0018】
本発明の非水二次電池に係る非水電解質は、有機溶媒として、ニトリル系溶媒と、環状カーボネートおよび鎖状カーボネートから選択される少なくとも1種のカーボネートとを含有している。
【0019】
ニトリル系溶媒の具体例としては、アセトニトリル、プロピオニトリル、ブチロニトリル、バレロニトリル、ベンゾニトリル、アクリロニトリルなどのモノニトリル;マロノニトリル、スクシノニトリル、グルタロニトリル、アジポニトリル、1,4−ジシアノヘプタン、1,5−ジシアノペンタン、1,6−ジシアノヘキサン、1,7−ジシアノヘプタン、2,6−ジシアノヘプタン、1,8−ジシアノオクタン、2,7−ジシアノオクタン、1,9−ジシアノノナン、2,8−ジシアノノナン、1,10−ジシアノデカン、1,6−ジシアノデカン、2,4−ジメチルグルタロニトリルなどのジニトリル;ベンゾニトリルなどの環状ニトリル;メトキシアセトニトリルなどのアルコキシ置換ニトリル;などが挙げられ、これらのうちの1種のみを用いてもよく、2種以上を併用してもよい。これらの中でも、モノニトリルがより好ましく、アセトニトリルが更に好ましい。
【0020】
環状カーボネートの具体例としては、エチレンカーボネート、プロピレンカーボネート、ブチレンカーボネート(1,2−ブチレンカーボネート、トランス−2,3−ブチレンカーボネート、シス−2,3−ブチレンカーボネート)、ビニレンカーボネートなどが挙げられる。また、鎖状カーボネートの具体例としては、ジメチルカーボネート、ジエチルカーボネート、エチルメチルカーボネート、メチルプロピルカーボネート、ジプロピルカーボネート、メチルブチルカーボネート、ジブチルカーボネート、エチルプロピルカーボネートなどが挙げられる。非水電解質は、前記例示の環状カーボネートおよび鎖状カーボネートのうちの1種のみを含有していてもよく、2種以上(前記例示の環状カーボネートのうちの2種以上、前記例示の鎖状カーボネートのうちの2種以上、または前記例示の環状カーボネートのうちの1種以上と前記例示の鎖状カーボネートのうちの1種以上)を含有していてもよい。これらの中でも、環状カーボネートがより好ましく、エチレンカーボネートまたはプロピレンカーボネートが更に好ましい。
【0021】
非水二次電池に使用する非水電解質の、全有機溶媒中におけるニトリル系溶媒の含有量は、その使用による非水二次電池の負荷特性向上効果をより良好に確保する観点から、5質量%以上であることが好ましく、10質量%以上であることがより好ましい。ただし、非水電解質の全有機溶媒中のニトリル系溶媒の量が多すぎると、例えば前記カーボネート系溶媒の量が少なくなりすぎて、これらの使用によるニトリル系溶媒と負極との反応を抑制する作用が小さくなる虞がある。よって、非水二次電池に使用する非水電解液の、全有機溶媒中におけるニトリル系溶媒の含有量は、80質量%以下であることが好ましく、40質量%以下であることがより好ましい。
【0022】
また、非水二次電池に使用する非水電解質の、全有機溶媒中における前記カーボネート(環状カーボネートおよび鎖状カーボネートから選択される少なくとも1種のカーボネート)の含有量は、その使用によるニトリル系溶媒と負極との反応を抑制する効果をより良好に確保する観点から、10質量%以上であることが好ましく、30質量%以上であることがより好ましい。ただし、非水電解質の全有機溶媒中の前記カーボネート系溶媒の量が多すぎると、例えばニトリル系溶媒の量が少なくなりすぎて、これらの使用による非水二次電池の負荷特性向上効果が小さくなる虞がある。よって、非水二次電池に使用する非水電解質の、全有機溶媒中における前記カーボネートの含有量は、80質量%以下であることが好ましく、60質量%以下であることがより好ましい。
【0023】
非水電解質の有機溶媒には、ニトリル系溶媒および前記カーボネート系溶媒と共に、これら以外の溶媒を使用することもできる。ニトリル系溶媒および前記カーボネート系溶媒と共に使用し得る有機溶媒の具体例としては、プロピオン酸メチルなどの鎖状エステル;γ−ブチロラクトン、γ−バレロラクトンなどの環状エステル;ジメトキシエタン、ジエチルエーテル、1,3−ジオキソラン、ジグライム、トリグライム、テトラグライムなどの鎖状エーテル;1,3−ジオキサン、1,4−ジオキサン、テトラヒドロフラン、2−メチルテトラヒドロフランなどの環状エーテル;エチレングリコールサルファイトなどの亜硫酸エステル類;などが挙げられる。また、これらの化合物は、フッ素化物に代表されるハロゲン置換体であってもよい。
【0024】
非水電解質に係るリチウム塩の具体例としては、LiClO
4、LiPF
6、LiBOB、LiAsF
6、LiSbF
6などの無機リチウム塩;LiCF
3SO
3、LiCF
3CO
2、Li
2C
2F
4(SO
3)
2、LiNC
nF
2nSO
4(n≧2)、LiN(FSO
2)
2、LiN(CF
3SO
2)
2、LiC(CF
3SO
2)
3、LiC
nF
2n+1SO
3(n≧2)、LiN(R
fOSO
2)
2[ここでR
fはフルオロアルキル基]などの有機リチウム塩;などが挙げられ、これらのうちの1種のみを用いてもよく、2種以上を併用してもよい。これらの中でも、リン原子を有する化合物を用いると、遊離のフッ素原子を放出しやすくなることから、LiPF
6を使用することがより好ましい。
【0025】
非水電解質におけるリチウム塩の濃度(複数種のリチウム塩を使用する場合は、その合計濃度。以下同じ。)は、ニトリル系溶媒と負極との反応を抑制する観点から、2mol/l以上であり、2.5mol/l以上であることが好ましい。ただし、非水電解質におけるリチウム塩の濃度が高すぎると、粘度が増加してイオン伝導度が低下することから、非水電解質におけるリチウム塩の濃度は、7mol/l以下であり、6mol/l以下であることが好ましい。
【0026】
なお、非水電解質に使用する有機溶媒の種類によっては、特定のリチウム塩の溶解性が低く、1種類のリチウム塩を使用するだけでは前記の濃度を確保し得ないことがあるが、その場合には、複数種のリチウム塩を併用し、合計のリチウム塩濃度が前記の値を満たすようにすればよい。
【0027】
また、非水電解質には、ビニレンカーボネートを含有させることが好ましい。ビニレンカーボネートは非水二次電池の充放電によって負極表面に被膜を形成する機能を有している。そして、負極表面に形成されたビニレンカーボネート由来の被膜によって、負極と非水電解質との接触による反応を抑制することができるため、ニトリル系溶媒による負極の劣化をより良好に抑制することができる。すなわち、ビニレンカーボネートは、非水電解質の有機溶媒としての機能のみならず、負極の劣化を抑制する添加剤としての機能も有している。負極活物質に炭素材料を使用した場合には(後述する)、ビニレンカーボネートによる負極と非水電解質成分との反応抑制による効果がより顕著となる。なお、ビニレンカーボネートは、上記の通り、電池の充放電による被膜形成に関与することで、比較的多くの量が消費されてしまうことから、他の環状カーボネートや鎖状カーボネートと併用することが好ましい。
【0028】
非水電解質におけるビニレンカーボネートの含有量は、全有機溶媒中における前記カーボネートの好適含有量として、先に記載した量の範囲内で使用すればよいが、ビニレンカーボネートは電池の充放電に伴って被膜形成する添加剤的な機能も有していることから、非水電解質全量中の量として調整しておくことも好ましい。具体的には、使用による前記の効果をより良好に確保する観点から、非水二次電池に使用する非水電解質におけるビニレンカーボネートの含有量で、2質量%以上であることが好ましく、4質量%以上であることがより好ましい。ただし、非水電解質におけるビニレンカーボネートの量が多すぎると、電池内でのガス発生量が多くなって、電池の貯蔵特性が低下する虞がある。よって、非水二次電池に使用する非水電解質におけるビニレンカーボネートの含有量は、15質量%以下であることが好ましく、10質量%以下であることがより好ましい。
【0029】
また、非水電解質には、電池の安全性や充放電サイクル性、高温貯蔵性といった特性を向上させる目的で、1,3−プロパンサルトン、ジフェニルジスルフィド、ビフェニル、フルオロベンゼン、t−ブチルベンゼン、ハロゲン置換された環状カーボネート(4−フルオロ−1,3−ジオキソラン−2−オンなど)、スルホラン、フルオロエチレンカーボネート、エチレンサルファイトなどの添加剤を適宜加えることもできる。
【0030】
更に、本発明の非水二次電池には、前記の液状の非水電解質(非水電解液)に公知のポリマーなどのゲル化剤を添加してゲル状としたもの(ゲル状電解質)を用いてもよい。
【0031】
本発明の非水二次電池に係る正極には、正極集電体の片面または両面に、正極活物質、導電助剤およびバインダなどを含有する正極活物質層を有する構造のものが使用される。
【0032】
正極活物質層に含有させる正極活物質としては、例えば、LiCoO
2などのリチウムコバルト酸化物;LiMnO
2、Li
2MnO
3などのリチウムマンガン酸化物;LiNiO
2などのリチウムニッケル酸化物;LiMn
2O
4、Li
4/3Ti
5/3O
4などのスピネル構造のリチウム含有複合酸化物;LiFePO
4などのオリビン構造のリチウム含有複合化合物;前記の化合物を基本組成とし各種元素で置換した化合物;などが挙げられ、これらのうちの1種のみを用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
【0033】
正極活物質層に係る導電助剤には、例えば、天然黒鉛(鱗片状黒鉛など)、人造黒鉛などのグラファイト類;アセチレンブラック、ケッチェンブラック、チャンネルブラック、ファーネスブラック、ランプブラック、サーマルブラックなどのカ−ボンブラック類;炭素繊維;などの炭素材料を用いることが好ましく、また、金属繊維などの導電性繊維類;フッ化カーボン;アルミニウムなどの金属粉末類;酸化亜鉛;チタン酸カリウムなどの導電性ウィスカー類;酸化チタンなどの導電性金属酸化物;ポリフェニレン誘導体などの有機導電性材料;などを用いることもできる。
【0034】
正極活物質層に係るバインダとしては、例えば、ポリフッ化ビニリデン(PVDF)、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)、スチレンブタジエンゴム(SBR)、カルボキシメチルセルロース(CMC)、ポリビニルピロリドン(PVP)などが挙げられる。
【0035】
正極は、例えば、正極活物質、導電助剤およびバインダなどを、N−メチル−2−ピロリドン(NMP)や水などの溶剤に分散させてペースト状やスラリー状の正極合剤含有組成物(正極活物質層形成用の組成物)を調製し(ただし、バインダは溶剤に溶解していてもよい)、これを集電体の片面または両面に塗布し、乾燥した後に、必要に応じてカレンダー処理を施す工程を経て正極活物質層を形成することにより製造することができる。ただし、正極は、前記の方法で製造されたものに限定される訳ではなく、他の方法で製造したものであってもよい。
【0036】
正極集電体には、アルミニウム製の箔、パンチングメタル、網、エキスパンドメタルなどを用い得るが、通常、アルミニウム箔が用いられる。また、表面にカーボン層などの導電層を設けた集電体も好ましく用いることができる。正極集電体の厚みは、10〜30μmであることが好ましい。
【0037】
また、正極には、必要に応じて、非水二次電池内の他の部材と電気的に接続するためのリード体を、常法に従って形成してもよい。
【0038】
正極活物質層の組成としては、例えば、正極活物質の含有量が80.0〜99.8質量%であることが好ましく、導電助剤の含有量が0.1〜10質量%であることが好ましく、バインダの含有量が0.1〜10質量%であることが好ましい。
【0039】
また、正極活物質層の厚み(集電体の両面に正極活物質層を設ける場合には、集電体の片面あたりの厚み。正極活物質層の厚みについて、以下同じ。)は、電池の高容量化を図る観点から、70μm以上であることが好ましく、100μm以上であることがより好ましい。ただし、正極活物質層が厚すぎると、リチウムイオンの拡散抵抗が増加し、電池の内部抵抗が増大してしまう虞がある。よって、正極活物質層の厚みは、1mm以下であることが好ましく、500μm以下であることがより好ましい。
【0040】
なお、前記の通り、正極活物質層がこのように厚い場合には、通常は、高負荷での放電時に正極の持つ容量を十分に引き出すことが困難である。しかし、本発明の非水二次電池では、非水電解質に使用するニトリル系溶媒の作用によって、前記のように厚い正極活物質層を有する正極を用いた場合でも、優れた負荷特性を確保することができる。
【0041】
負極には、負極活物質を含有する負極活物質層(負極活物質やバインダ、更には必要に応じて使用される導電助剤などを含有する負極合剤層を含む。以下同じ。)を、集電体の片面または両面に有する構造のものが使用される。
【0042】
負極活物質としては、例えば、黒鉛、熱分解炭素類、コークス類、ガラス状炭素類、有機高分子化合物の焼成体、メソカーボンマイクロビーズ、炭素繊維、活性炭、リチウムと合金化可能な金属(Si、Snなど)またはその合金、酸化物(Li
4Ti
5O
12などのチタン酸リチウムなど)などが挙げられ、これらのうちの1種または2種以上を用いることができる。また、金属リチウムやリチウム合金(リチウム−アルミニウム合金など)を負極活物質に用いることもできる。
【0043】
負極のバインダおよび導電助剤には、正極に使用し得るものとして先に例示したものと同じものが使用できる。
【0044】
負極は、例えば、負極活物質およびバインダ、更には必要に応じて使用される導電助剤を、NMPや水などの溶剤に分散させたペースト状やスラリー状の負極合剤含有組成物(負極活物質層形成用の組成物)を調製し(ただし、バインダは溶剤に溶解していてもよい)、これを集電体の片面または両面に塗布し、乾燥した後に、必要に応じてカレンダー処理を施す工程を経て活物質層を形成することにより製造される。また、金属リチウムやリチウム合金を負極活物質とする場合には、これらの箔を集電体の片面または両面に貼り付けて負極活物質層とすることで、負極を製造することもできる。ただし、負極は、前記の各方法で製造されたものに限定される訳ではなく、他の方法で製造したものであってもよい。
【0045】
負極の集電体としては、銅製やニッケル製の箔、パンチングメタル、網、エキスパンドメタルなどを用い得るが、通常、銅箔が用いられる。この負極集電体は、高エネルギー密度の電池を得るために負極全体の厚みを薄くする場合、厚みの上限は30μmであることが好ましく、機械的強度を確保するために下限は5μmであることが望ましい。
【0046】
また、負極には、必要に応じて、非水二次電池内の他の部材と電気的に接続するためのリード体を、常法に従って形成してもよい。
【0047】
負極活物質層の厚み(集電体を有する負極の場合には、集電体の片面あたりの厚み)は、10〜100μmであることが好ましい。また、負極が負極合剤層を有する場合、その組成としては、例えば、負極活物質を80.0〜99.8質量%とし、バインダを0.1〜10質量%とすることが好ましい。更に、負極合剤層に導電助剤を含有させる場合には、負極合剤層における導電助剤の量を0.1〜10質量%とすることが好ましい。
【0048】
本発明の非水二次電池に係るセパレータは、80℃以上(より好ましくは100℃以上)170℃以下(より好ましくは150℃以下)において、その孔が閉塞する性質(すなわちシャットダウン機能)を有していることが好ましく、通常の非水二次電池などで使用されているセパレータ、例えば、ポリエチレン(PE)やポリプロピレン(PP)などのポリオレフィン製の微多孔膜を用いることができる。セパレータを構成する微多孔膜は、例えば、PEのみを使用したものやPPのみを使用したものであってもよく、また、PE製の微多孔膜とPP製の微多孔膜との積層体であってもよい。
【0049】
また、本発明の非水二次電池に係るセパレータは、前記ポリオレフィン製の微多孔膜の表面に、耐熱性樹脂または無機微粒子などを主体とした耐熱層を形成したものとすることができる。前記耐熱層は、リチウムデンドライトに起因する短絡の発生を抑制し、また前記微多孔膜の熱収縮を抑制する作用を有する。
【0050】
無機微粒子としては、電気絶縁性を有しており、電気化学的に安定で、更に電池の有する非水電解質(非水電解液)や、耐熱層を形成するための組成物に用いる溶媒に対して安定である材料、すなわち、電池内で化学変化を生じ難く変形し難い材料であれば特に制限はない。
【0051】
前記無機微粒子の具体例としては、例えば、酸化鉄、SiO
2、Al
2O
3、TiO
2、BaTiO
3、ZrO
2などの酸化物微粒子;窒化アルミニウム、窒化ケイ素などの窒化物微粒子;フッ化カルシウム、フッ化バリウム、硫酸バリウムなどの難溶性のイオン結晶微粒子;シリコン、ダイヤモンドなどの共有結合性結晶微粒子;タルク、モンモリロナイトなどの粘土微粒子;ベーマイト、ゼオライト、アパタイト、カオリン、ムライト、スピネル、オリビン、セリサイト、ベントナイト、ハイドロタルサイトなどの鉱物資源由来物質あるいはそれらの人造物;などの無機微粒子が挙げられる。また、金属微粒子;SnO
2、スズ−インジウム酸化物(ITO)などの酸化物微粒子;カーボンブラック、グラファイトなどの炭素質微粒子;などの導電性微粒子の表面を、電気絶縁性を有する材料(例えば、前記の電気絶縁性の絶縁性微粒子を構成する材料など)で表面処理することで、電気絶縁性を持たせた微粒子であってもよい。
【0052】
また、耐熱性樹脂の具体例としては、ポリイミド、メラミン系樹脂、フェノール系樹脂、架橋ポリメチルメタクリレート(架橋PMMA)、架橋ポリスチレン(架橋PS)、ポリジビニルベンゼン(PDVB)、ベンゾグアナミン−ホルムアルデヒド縮合物などの架橋高分子の微粒子;熱可塑性ポリイミドなどの耐熱性樹脂;が挙げられる。これらの有機樹脂(高分子)は、前記例示の材料の混合物、変性体、誘導体、共重合体(ランダム共重合体、交互共重合体、ブロック共重合体、グラフト共重合体)、架橋体(前記の耐熱性高分子の場合)であってもよい。耐熱性樹脂や無機微粒子の形態としては、球状、粒子状、板状などいずれの形態であってもよい。
【0053】
前記耐熱性樹脂および前記無機微粒子は、通常正極または負極の製造に使用される樹脂バインダにより結着され、多孔質の前記耐熱層が構成される。
【0054】
なお、セパレータの厚みは、例えば、10〜30μmであることが好ましい。
【0055】
本発明の非水二次電池において、前記の正極と前記の負極とは、前記のセパレータを介して重ねることで、これらの正極と負極とを対向させて構成した積層体(積層電極体)や、この積層体を更に渦巻状に巻回した巻回体(巻回電極体)といった電極体の形で使用される。
【0056】
前記電極体においては、負極活物質層および正極活物質層のそれぞれについて、もう一方の電極の活物質層と対向しない非対向部分の面積が、互いに対向する対向部分の面積の15%以下とする。これにより、非水二次電池の初回充電時において、負極活物質層に吸蔵されるリチウムイオンのうちの、不可逆容量となる量を可及的に低減することができるため、非水二次電池の初回充放電効率を高くすることができる。
【0057】
負極活物質層および正極活物質層のそれぞれについて、もう一方の電極の活物質層と対向しない非対向部分の面積が、互いに対向する対向部分の面積の15%以下とするには、負極活物質層および正極活物質層について、互いに対向しない部分が生じないようそれぞれの活物質層を配置するか、または、一方の電極の活物質層の一部が、もう一方の電極の活物質層と対向しない非対向部分を有する場合には、前記非対向部分の面積の割合が、当該電極の活物質層全体の面積の15/115以下、すなわち13%以下となるように、それぞれの電極の活物質層の寸法と配置を決めればよい。
【0058】
なお、前記非対向部分の面積の前記対向部分の面積に対する割合が小さいほど、非水二次電池の初回充放電効率を高くすることができるので、その割合は、12%以下であることが好ましく、8%以下であることがより好ましく、5%以下であることが更に好ましい。また、前記非対向部分は、その幅が狭い方が初回充放電効率を高くしやすいため、非対向部分の幅が2mm以下、好ましくは1mm以下になるよう、それぞれの活物質層の寸法と配置を決めることが望ましい。
【0059】
なお、通常の電池構成では、正極活物質層の全面が負極活物質層と対向する構成とし、負極活物質層の非対向部分の面積の割合が、対向部分の面積の15%以下となるよう、それぞれの活物質層を配置すればよい。この場合、活物質層の端部でのリチウム析出を防ぐため、負極活物質層の周縁部全体が非対向部分となるように正極活物質層と負極活物質層とを配置するのが望ましく、また、非対向部分の幅は、0.1mm以上であることが好ましく、0.3mm以上であることがより好ましい。
【0060】
一方、負極活物質がチタン酸リチウムなどの場合には、負極活物質層の全面が正極活物質層と対向する構成とし、それぞれの活物質層に非対向部分を設けない(負極活物質層の全面と正極活物質層の全面とを対向させる)か、または、正極活物質層の一部に非対向部分を設けることも可能である。この場合も、非対向部分の面積の割合が、対向部分の面積の15%以下となるよう、それぞれの活物質層を配置すればよい。
【0061】
図1および
図2に、正極活物質層の全面が負極活物質層と対向する構成における「活物質層の非対向部分の幅」を説明するための図面を示している。
図1は、正極、負極およびセパレータで構成される電極体が積層電極体(これらを重ねて構成しただけの電極体)の場合の説明図であり、(a)は平面視で円形の正極活物質層50を有する正極と、平面視で円形の負極活物質層60を有する負極とが対向している場合を示しており、(b)は平面視で四角形の正極活物質層50を有する正極と、平面視で四角形の負極活物質層60を有する負極とが対向している場合を示している。また、
図2は、正極、負極およびセパレータで構成される電極体が、これらの積層体を渦巻状に巻回して形成した巻回電極体の場合の説明図である。なお、これらの図面では、正極活物質層50と負極活物質層60との位置関係の理解を容易にするために、正極および負極の集電体並びにセパレータは図示していない。また、
図2では、巻回電極体における正極活物質層50と負極活物質層60とが対向している箇所の一部を平面的に示している。
【0062】
図1では、図中手前側が負極活物質層60であり、奥行き側の点線で示したものが正極活物質層50である。積層電極体における「負極活物質剤層の非対向部分の幅」は、平面視において、負極活物質層60の外周端と、正極活物質層50の外周端との間の距離(図中aの長さ)を意味している。
【0063】
また、
図2でも、
図1と同様に、図中手前側が負極活物質層60であり、奥行き側の点線で示したものが正極活物質層50である。巻回電極体の形成には、帯状の正極と帯状の負極とが使用されるが、その「負極活物質層の非対向部分の幅」は、帯状の正極および帯状の負極の長尺方向に直交する方向における、負極活物質層60の外端と、正極活物質層50の外端との距離(図中bの長さ)を意味している。
【0064】
なお、負極活物質層の全面が正極活物質層と対向する構成(正極活物質層の一部に、非対向部分を有する構成)の場合は、前記正極と前記負極とを入れ替えて考えればよい。
【0065】
本発明の非水二次電池の形態としては、スチール缶やアルミニウム缶などを外装缶として使用した筒形(角筒形や円筒形など)などが挙げられる。また、金属を蒸着したラミネートフィルムを外装体としたソフトパッケージ電池とすることもできる。
【0066】
本発明の非水二次電池は、正極活物質層を厚くしても、優れた負荷特性を確保でき、高出力放電時の容量低下を良好に抑制し得ることから、産業機械の電源用途や太陽光発電システムの蓄電池用途のように、高容量であり、かつ高出力放電が要求される用途をはじめとして、従来から知られている非水二次電池が適用されている各種用途と同じ用途に用いることができる。
【実施例】
【0067】
以下、実施例に基づいて本発明を詳細に述べる。ただし、下記実施例は、本発明を制限するものではない。
【0068】
実施例1
<正極の作製>
正極活物質であるLiNi
0.5Co
0.2Mn
0.3O
2:93.7質量部と、導電助剤であるアセチレンブラック:4.0質量部と、バインダであるPVDF:2.0質量部と、分散剤であるポリビニルピロリドン(PVP):0.3質量部とを混合し、更に適量のNMPを添加し、プラネタリーミキサーを用いて混合・分散を行って正極合剤含有スラリーを調製した。
【0069】
次に、正極集電体となる厚みが15μmのアルミニウム箔の片面に、前記正極合剤含有スラリーを、乾燥後の塗布量が21mg/cm
2となるように塗布し、85℃で乾燥した後、100℃で8時間真空乾燥した。その後、ロールプレス機を用いてプレス処理を施して、プレス処理後の厚みが90μmの正極活物質層(正極合剤層)を備えた正極を作製した。なお、正極合剤含有スラリーをアルミニウム箔に塗布する際には、アルミニウム箔の一部が露出するように未塗布部分を形成した。
【0070】
次に、この正極を、正極活物質層の面積が30mm×30mmで、かつアルミニウム箔の露出部を含むように切断し、更に、電流を取り出すためのアルミニウム製のリード片をアルミニウム箔の露出部に溶接し、リード付き正極を得た。
【0071】
<負極の作製>
負極活物質であるグラファイト:96質量部、並びに、バインダであるCMC:2質量部およびSBR:2質量部からなる負極合剤に、適量の水を添加し、プラネタリーミキサーを用いて混合・分散を行い、負極合剤含有スラリーを調製した。次に、負極集電体となる厚みが7μmの銅箔の片面に、前記負極合剤含有スラリーを、乾燥後の塗布量が13.5mg/cm
2となるように塗布し、85℃で乾燥した後、100℃で8時間真空乾燥した。その後、ロールプレス機を用いてプレス処理を施して厚みが102μmの負極活物質層(負極合剤層)を備えた負極を作製した。なお、負極合剤含有スラリーを銅箔に塗布する際には、銅箔の一部が露出するように未塗布部分を形成した。
【0072】
次に、この負極を、負極活物質層の面積が30.5mm×30.5mmで、かつ銅箔の露出部を含むように切断し、更に、電流を取り出すためのニッケル製のリード片を、銅箔の露出部に溶接して、リード付き負極を得た。
【0073】
<非水電解液の調製>
エチレンカーボネートとアセトニトリルとビニレンカーボネートを33:56:11の質量比で混合した溶媒に、LiPF
6を0.3mol/lの濃度になるように、また、LiN(CF
3SO
2)
2を2.5mol/lの濃度となるように、それぞれ溶解させて、非水電解液を調製した。なお、非水電解液全量中におけるビニレンカーボネートの濃度は、6質量%であった(後述する全ての実施例および比較例においても、同じ)。
【0074】
<電池の組み立て>
前記リード付き正極と前記リード付き負極とを、PE製の微多孔膜セパレータ(厚み18μm)を介して重ね合わせて積層電極体とし、この積層電極体を、90mm×80mmのアルミニウムラミネートフィルムからなる外装体に収容した。続いて、前記非水電解液を前記外装体内に1mL注入した後、前記外装体を封止して、
図3に示す外観で、
図4に示す断面構造のラミネート形非水二次電池を作製した。
【0075】
ここで、
図3および
図4について説明すると、
図3は非水二次電池を模式的に表す平面図であり、
図4は、
図3のA−A線断面図である。非水二次電池1は、2枚のラミネートフィルムで構成したラミネートフィルム外装体2内に、正極5と負極6とをセパレータ7を介して積層して構成した積層電極体と、非水電解液(図示しない)とを収容しており、ラミネートフィルム外装体2は、その外周部において、上下のラミネートフィルムを熱融着することにより封止されている。なお、
図4では、図面が煩雑になることを避けるために、ラミネートフィルム外装体2を構成している各層、並びに正極5および負極6の各層を区別して示していない。
【0076】
正極5は、電池1内でリード体を介して正極外部端子3と接続しており、また、図示していないが、負極6も、電池1内でリード体を介して負極外部端子4と接続している。そして、正極外部端子3および負極外部端子4は、外部の機器などと接続可能なように、片端側がラミネートフィルム外装体2の外側に引き出されている。
【0077】
実施例2〜9
リチウム塩の種類および濃度、並びに有機溶媒の種類および組成を表1に示すようにした以外は、実施例1と同様にして非水電解液を調製し、これらの非水電解液を用いた以外は実施例1と同様にしてラミネート形非水二次電池を作製した。
【0078】
実施例10
負極活物質層の面積を31mm×31mmに変更した以外は実施例1と同様にして負極(リード付き負極)を作製し、この負極を用いた以外は実施例1と同様にしてラミネート形非水二次電池を作製した。
【0079】
実施例11〜18
リチウム塩の種類および濃度、並びに有機溶媒の種類および組成を表2に示すようにした以外は、実施例1と同様にして非水電解液を調製し、これらの非水電解液を用いた以外は実施例10と同様にしてラミネート形非水二次電池を作製した。
【0080】
実施例19
負極活物質であるチタン酸リチウム(Li
4Ti
5O
12)粉末:85質量部と、導電助剤であるアセチレンブラック:9質量部と、バインダであるPVDF:6質量部とからなる負極合剤に、適量のNMPを添加し、これらを混合して負極合剤含有スラリーを調製した。次に、このスラリーを用いた以外は実施例1と同様にして、負極活物質層(負極合剤層)の厚みが150μmの負極を作製した。そして、この負極を用い、実施例1と同様にして、負極活物質層の面積が29.5mm×29.5mmのリード付き負極を作製した。
【0081】
そして、前記の負極(リード付き負極)を用いた以外は、実施例1と同様にしてラミネート形非水二次電池を作製した。
【0082】
実施例20
負極活物質層の面積を29mm×29mmに変更した以外は実施例19と同様にして負極(リード付き負極)を作製し、この負極を用いた以外は実施例1と同様にしてラミネート形非水二次電池を作製した。
【0083】
比較例1〜4
リチウム塩の種類および濃度、並びに有機溶媒の種類および組成を表3に示すようにした以外は、実施例1と同様にして非水電解液を調製した。また、負極活物質層の面積を32.5mm×32.5mmに変更した以外は実施例1と同様にして負極(リード付き負極)を作製した。
【0084】
そして、前記の非水電解液と前記負極とを用いた以外は、実施例1と同様にしてラミネート形非水二次電池を作製した。
【0085】
比較例5
負極活物質層の面積を27.5mm×27.5mmに変更した以外は実施例19と同様にして負極(リード付き負極)を作製し、この負極を用いた以外は実施例1と同様にしてラミネート形非水二次電池を作製した。
【0086】
実施例および比較例の非水二次電池に使用した非水電解液の構成を表1〜3に示し、これらの非水二次電池に使用した正極に係る正極活物質層と負極に係る負極活物質層との対向部分の面積に対する非対向部分の面積の割合(表では、「正極活物質層と負極活物質層との対向面積に対する非対向面積の割合」と記載する)、負極活物質層の非対向部分の幅および正極活物質層の非対向部分の幅を、表4〜表6に示す。なお、表1〜表3中、ECはエチレンカーボネートを、PCはプロピレンカーボネートを、DMCはジメチルカーボネートを、ANはアセトニトリルを、PNはプロピオニトリルを、VCはビニレンカーボネートを、それぞれ意味している。
【0087】
また、実施例および比較例の非水二次電池について、下記の初回充放電効率測定および負荷特性評価を行った。これらの結果を表7〜表9に示す。
【0088】
<初回充放電効率測定>
実施例および比較例の各非水二次電池について、23℃で、0.2Cの電流値で4.2Vまで定電流充電を行った後、電流値が0.1CmAになるまで4.2Vで定電圧充電して、充電容量(0.2C充電容量)を測定した。その後、充電後の各電池について、0.2Cの電流値で2.5Vになるまで定電流で放電して、0.2C放電容量を測定した。そして、各電池について、0.2C放電容量を0.2C充電容量で除した値を百分率で表して、初回充放電効率を求めた。
【0089】
<負荷特性評価>
実施例および比較例の各非水二次電池について、定電流充電時および定電流充電時の電流値を3Cに変更した以外は、0.2C充放電容量測定と同じ条件で定電流−定電圧充電および定電流放電を行い、3C充電容量を測定した。
【0090】
【表1】
【0091】
【表2】
【0092】
【表3】
【0093】
【表4】
【0094】
【表5】
【0095】
【表6】
【0096】
【表7】
【0097】
【表8】
【0098】
【表9】
【0099】
表1〜表9に示す通り、適正な組成の非水電解液を使用し、負極活物質層と正極活物質層との配置を適正にした実施例1〜20の非水二次電池は、初回充放電効率が高く、また、3Cといった高負荷でも放電容量が大きく、良好な負荷特性を有している。
【0100】
実施例1と比較例4との比較、並びに実施例19および実施例20と比較例5との比較より明らかなように、正極活物質層と負極活物質層との対向面積に対する非対向面積の割合が15%を超える場合には、初回充放電効率が低下し、放電容量が低下してしまう。
【0101】
なお、比較例1と比較例2との比較より明らかなように、正極活物質層と負極活物質層との対向面積に対する非対向面積の割合が15%を超える場合には、ニトリル系溶媒を含む有機溶媒構成を有する電池(比較例1)は、ニトリル系溶媒を含まない汎用の有機溶媒構成を有する電池(比較例2)に比べ、初回充放電効率の低下が大きくなっており、ニトリル系溶媒を含む有機溶媒構成を有する電池では、正極活物質層と負極活物質層との対向面積に対する非対向面積の割合を調整することがより重要であることがわかる。
【0102】
また、比較例4と比較例1および比較例3との比較より明らかなように、リチウム塩濃度が2mol/l未満である場合には、初回充放電効率が低下し、特に、有機溶媒としてカーボネートを含有しない比較例1でより大きく低下している。