(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6184814
(24)【登録日】2017年8月4日
(45)【発行日】2017年8月23日
(54)【発明の名称】真空成形装置
(51)【国際特許分類】
B29C 51/12 20060101AFI20170814BHJP
B29C 51/10 20060101ALI20170814BHJP
B29C 51/36 20060101ALI20170814BHJP
【FI】
B29C51/12
B29C51/10
B29C51/36
【請求項の数】2
【全頁数】10
(21)【出願番号】特願2013-191727(P2013-191727)
(22)【出願日】2013年9月17日
(65)【公開番号】特開2015-58567(P2015-58567A)
(43)【公開日】2015年3月30日
【審査請求日】2016年8月31日
(73)【特許権者】
【識別番号】390023917
【氏名又は名称】八千代工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001807
【氏名又は名称】特許業務法人磯野国際特許商標事務所
(74)【代理人】
【識別番号】100064414
【弁理士】
【氏名又は名称】磯野 道造
(74)【代理人】
【識別番号】100111545
【弁理士】
【氏名又は名称】多田 悦夫
(72)【発明者】
【氏名】榎本 繁
【審査官】
長谷部 智寿
(56)【参考文献】
【文献】
特開昭56−064275(JP,A)
【文献】
特開昭56−072935(JP,A)
【文献】
特開昭63−270120(JP,A)
【文献】
特開平10−337731(JP,A)
【文献】
米国特許出願公開第2011/0214803(US,A1)
【文献】
特開昭58−094417(JP,A)
【文献】
特開2000−225642(JP,A)
【文献】
米国特許第06315150(US,B1)
【文献】
特開昭63−270124(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B29C 51/00−51/46
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
表面に貫通孔を備え、成形可能な樹脂シートを転写して成形する成形型と、
所定形状の挿入部材を両側から挟んで保持する保持手段と、
前記保持手段を前記貫通孔を介して前記成形型の表面に対して突出又は退避させる移動手段と、
前記成形型にセットされた前記樹脂シートを当該成形型及び前記挿入部材に転写させる転写手段と、
を備え、
前記転写手段で前記樹脂シートを転写させた後、前記移動手段で前記保持手段を退避させることにより、当該保持手段から前記挿入部材を離脱させ、当該離脱後に、前記樹脂シートを前記転写手段で再度転写する
ことを特徴とする真空成形装置。
【請求項2】
前記樹脂シートを前記成形型に転写する前に当該成形型を加熱し、前記樹脂シートが前記成形型に転写された後に当該成形型を冷却する温度調節手段を更に備えることを特徴とする請求項1に記載の真空成形装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、樹脂シートを成形型に転写して樹脂成形品を成形する真空成形装
置に関する。
【背景技術】
【0002】
樹脂成形品を一体成形する装置として、真空成形装置が知られている(特許文献1参照)。真空成形装置は、成形型に樹脂シートを吸着して転写することにより樹脂成形品を成形する装置である。
【0003】
ここで、
図5に従来の樹脂成形品1を示す。樹脂成形品1は、上面が開口した箱形の基部1aと、基部1aの底面中央部に底面に対して垂直に立設した板状のリブ1bとを一体に備えた構成となっている。
【0004】
この樹脂成形品1を、真空成形装置で一体成形する場合について
図6を参照して説明する。
図6は真空成形装置2と樹脂成形品1との側面側の断面図である。但し、
図6に示す樹脂成形品1は、
図5に示した樹脂成形品1のA1−A1断面図と同等である。
【0005】
図6に示す真空成形装置2は、樹脂成形品1の基部1aの平面状の底面と同形状の上下面を有する直方体状の型本体2aと、型本体2aの4側面を上下方向に突き出て四方を隙間なく囲むことにより、型本体2aの上方及び下方に凹部2b,2cを形成する4枚の縦フレーム2dと、下方の凹部2cを閉塞して閉塞空間2hを形成する水平板2eと、型本体2aの上面中央部分に上面に対して垂直に立設した板状の立設部2fとを備えている。
【0006】
また、真空成形装置2においては、上方凹部2bの4側内面及び型本体2aの上面、並びに立設部2fにより、成形型2gが構成されている。更に、下方の閉塞空間2hには、図示せぬ真空ポンプの引込口が挿入されている。真空ポンプで真空吸引することにより、閉塞空間2hが負圧となり、型本体2aに垂直方向に貫通して形成された図示せぬ複数の吸引孔を介してエア吸引が行われる。
つまり、成形型2gの開口を被覆する状態に樹脂シートをセットし、この後、真空吸引することによって、型本体2aの複数の吸引孔を介して吸引を行う。この吸引により、樹脂シートが成形型2gに引き寄せられて転写される。この後、転写した樹脂シートを冷却して硬化させ、成形型2gから取り外せば、
図5に示した樹脂成形品1が完成する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開2009−39862号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
しかし、上記のように形成された樹脂成形品1は、
図7の断面図に示すように、リブ1bが成形型2gの立設部2fにより成形されるため、リブ1bに、立設部2fを抜いた跡の隙間Gが形成される。この隙間Gは、例えば樹脂成形品1を車載部品等の外気に晒される環境で使用した際に、例えば水分を含んだゴミや水が隙間Gから入った場合、水分が凍結してリブが破損するといった問題がある。
【0009】
本発明はこのような課題を解決するために創作されたものであり、基部に一体に立設するリブ内への異物混入を防止することができる真空成形装
置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明の真空成形装置は、前記課題を解決するため、表面に貫通孔を備え、成形可能な樹脂シートを転写して成形する成形型と、所定形状の挿入部材を
両側から挟んで保持する保持手段と、前記保持手段を前記貫通孔を介して前記成形型の表面に対して突出又は退避させる移動手段と、前記成形型にセットされた前記樹脂シートを当該成形型及び前記挿入部材に転写させる転写手段と、を備え、前記転写手段で前記樹脂シートを転写させた後、前記移動手段で前記保持手段を退避させることにより、当該保持手段から前記挿入部材を離脱させ
、当該離脱後に、前記樹脂シートを前記転写手段で再度転写することを特徴とする。
【0011】
かかる構成によれば、挿入部材が成形型の表面に突出して保持手段で保持された状態で、樹脂シートが転写手段で転写される。この転写によって樹脂シートが成形型及び挿入部材に転写し、この後、挿入部材から保持手段が離脱する。このため、転写された樹脂シート内に突出(立設)した挿入部材を残すことができる。その立設部分がリブとなる。従って、基部に立設したリブ内に挿入部材が隙間なく挿入された樹脂成形品を形成することができる。この樹脂成形品には従来のような水やゴミ等の異物が入る隙間が無いので、隙間に異物が入ることによるリブの破損を防止することができる。
また、転写された樹脂シートにより成形されたリブ内に挿入部材を残した際に、保持手段で挿入部材を保持していた部分に隙間が残った場合でも、再度転写するので、その隙間部分が成形型に吸い寄せられて隙間が無くなる。従って、隙間の無い樹脂成形品を成形することができる。
【0014】
また、前記樹脂シートを前記成形型に転写する前に当該成形型を加熱し、前記樹脂シートが前記成形型に転写された後に当該成形型を冷却する温度調節手段を更に備えることを特徴とする。
【0015】
かかる構成によれば、転写前に樹脂シートが加熱されるので、樹脂シートの成形が行い易くなり、樹脂シートを成形型に迅速に吸着させて隙間なく転写することができる。また、転写後に、成形型を冷却すれば、樹脂シートを迅速に冷やして硬化させることができる。
【発明の効果】
【0018】
本発明に係る真空成形装置によれば、基部に一体に立設するリブ内に異物が混入しない樹脂成形品を製造することができる
。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【
図1】(a)は本発明の実施形態に係る真空成形装置で成形される樹脂成形品の構成を示す斜視図、(b)は(a)に示す樹脂成形品のA2−A2断面図である。
【
図2】(a)は本発明の実施形態に係る樹脂成形品を成形する真空成形装置の構成を示す正面側の断面図、(b)は真空成形装置の側面側の断面図である。
【
図3】(a)真空成形装置に樹脂シートをセットした状態を示す側面側の断面図、(b)成形型に樹脂シートが転写された状態を示す側面側の断面図、(c)成形型に転写された樹脂シートの立設プレート付根部分に隙間ができた状態を示す側面側の断面図である。
【
図4】(a)樹脂シートの立設プレート付根部分に隙間が無くなった状態を示す側面側の断面図、(b)樹脂シート転写による樹脂成形品を成形型から取り外した状態を示す側面側の断面図である。
【
図5】従来の樹脂成形品の構成を示す斜視図である。
【
図6】従来の真空成形装置の構成を示す側面側の断面図である。
【
図7】従来の樹脂成形品の構成を示す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
以下、本発明の実施形態を、図面を参照して説明する。
<実施形態の構成>
以下、本発明の実施形態を、図面を参照して説明する。
図1(a)及び(b)に示す樹脂成形品10は、成形可能な樹脂シートを成形型に転写して成形されるものである。この樹脂成形品10は、上面が開口した箱形の基部12と、リブ13と、プレート(挿入部材)14とを備えて構成されている。基部12とリブ13とは一体成形されている。
【0021】
基部12は、平面視矩形の底部12aと、底部12aに対して垂直な4つの側部12bとで構成されている。リブ13は、底部12aの中央において、底部12aに立設されている。リブ13は、側部12bとは離間して形成されている。リブ11は、本実施形態では正面視矩形となっているが、他の形状であってもよい。プレート14は、リブ13の内部に隙間なく挿入される部材であって、板状を呈する。プレート14は、どのような材料であってもよいが、本実施形態では樹脂製になっている。
【0022】
図2(a)及び(b)に示すように、樹脂成形品10を成形する真空成形装置15は、型本体20と、型本体20の内部に配設される成形装置30と、真空ポンプ40とを備えて構成されている。なお、真空ポンプ40等により本請求項の転写手段が構成されている。
【0023】
型本体20は、本体部21と、本体部21の周囲に配設された4つの縦フレーム22と、底フレーム23とで構成されている。本体部21は、直方体を呈する。本体部21の内部には、表面21aから裏面21bに連通する複数の吸引孔21cが形成されている。また、本体部21の内部には、成形装置30が配設される中空部21dが形成されている。本体部21の表面21aには、中空部21dに連通する貫通孔21eが形成されている。貫通孔21eは、後記する保持手段34が挿通可能な大きさになっている。
【0024】
4つの縦フレーム22は、各々板状を成し、本体部21の上側及び下側に突出しており、本体部21の四方を囲むように配設されている。一の縦フレーム22の下部には、真空ポンプ40を配設するための引込口22aが形成されている。
【0025】
底フレーム23は、4つの縦フレーム22の下端を覆う板状部材である。本体部21と、4つの縦フレーム22と、底フレーム23とで閉塞空間24が形成されている。
【0026】
成形装置30は、エアシリンダ31と、ピストン32と、支持部33と、保持手段34とで構成されている。特許請求の範囲の「移動手段」は、エアシリンダ31と、ピストン32と、支持部33とで構成される部位である。成形装置30は、底フレーム23に配置されるとともに、本体部21の中空部21dに配設されている。エアシリンダ31は、ピストン32を介して支持部33を昇降させる装置である。支持部33は、直方体を呈し、中空部21d内を昇降可能になっている。
【0027】
保持手段34は、支持部33の上部に形成されており、本実施形態では挟持板34a,34aで構成されている。挟持板34a,34aは、プレート14を着脱可能な間隔で配設されている。保持手段34は、表面21aに形成された貫通孔21eを介して突出又は退避可能になっている。具体的には、エアシリンダ31の駆動によって、支持部33が最も上昇した際に、保持手段34の先端は、表面21aよりも上方に突出する。一方、エアシリンダ31の駆動によって、支持部33が最も下降した際に、保持手段34の先端は表面21aよりも下方に退避する。
【0028】
真空ポンプ40は、閉塞空間24を真空吸引することにより、吸引孔21cを介して樹脂シート50{
図3(a)参照}を吸引する装置である。
【0029】
真空成形装置15においては、本体部21の表面21aと、縦フレーム22の側面22bとで特許請求の範囲の「成形型」を構成している。
【0030】
なお、エアシリンダ31によるピストン32の上下動及び真空ポンプ40による真空吸引の起動及び停止動作の制御は、図示せぬ制御装置によって行われる。この制御装置は、例えば図示せぬCPU(Central Processing Unit)や、ROM(Read Only Memory)、RAM(Random Access Memory)及びHDD(Hard Disk Drive)等の記憶手段を備え、CPUが記憶手段に書き込まれたプログラムを実行して上記の制御を行うようになっている。
【0031】
<実施形態の動作>
次に、本実施形態の真空成形装置15で樹脂成形品10を成形する際の動作を、
図3及び
図4を参照して説明する。
【0032】
但し、
図3及び
図4に示すエアシリンダ31によるピストン32の昇降動作の制御、並びに、真空ポンプ40による真空吸引の起動及び停止動作の制御は、図示せぬ制御装置によって行われるものとする。
【0033】
まず、
図3(a)に示すように、エアシリンダ31のピストン32を上昇させ、支持部33を介して挟持板34a,34aを、本体部21の貫通孔21eから表面21a上に所定長さ突き出す。この突き出た挟持板34a,34aの平行な隙間部分に、例えば図示せぬロボットアームでプレート14を供給して挟持させる。これによりプレート14が垂直に立設して保持される。この後、型本体20の開口上部に例えば図示せぬロボットアームで樹脂シート50を載置してセットする。これにより、型本体20の開口が樹脂シート50で覆われた状態となる。
【0034】
次に、真空ポンプ40で1回目の真空吸引を行うと、閉塞空間24が負圧となって吸引孔21cを介して、樹脂シート50で覆われた型本体20の内部が真空吸引される。この吸引により、
図3(b)に示すように、樹脂シート50が、本体部21の表面21aに引き寄せられて、本体部21の表面21a及び縦フレーム22の内側面22bに転写されると共に、プレート14及び挟持板34a,34aにも転写される。この転写後、真空ポンプ40の真空吸引を停止する。
【0035】
樹脂シート50のうち、挟持板34a,34aで形成された部位を突出厚部分50aという。突出厚部分50aは、プレート14で形成された部位よりも幅広になっている。
【0036】
次に、
図3(c)に示すように、エアシリンダ31のピストン32を下降させ、本体部21の表面21aに突き出た挟持板34a,34aを、その表面21aよりも下方に下降させる(退避させる)。これにより、挟持板34a,34aで挟まれたプレート14が、挟持板34a,34aから離れ、プレート14が立設したままで樹脂シート50で被覆された状態となる。この際、挟持板34a,34aが退避しているので、樹脂シート50の突出厚部分50aとプレート14との間には隙間ができている。
【0037】
次に、真空ポンプ40で2回目の真空吸引を行うと、吸引孔21cを介して吸引が行われ、突出厚部分50aにおける樹脂シート50とプレート14との間の隙間のエアが吸引される。
【0038】
これによって、
図4(a)に矢印Y1で示すように、突出厚部分50aが本体部21の表面21aに引き寄せられて吸着し、隙間が無くなる。従って、樹脂シート50が、プレート14の表面と、本体部21の表面21a及び縦フレーム22の側面22bに隙間なく転写した状態となる。この転写後、真空ポンプ40の真空吸引を停止する。
【0039】
次に、樹脂シート50が硬化した後に、この樹脂シート50を
図4(b)に示すように、型本体20から取り外すと、上面が開口した箱形の基部12と、この基部12の底面中央部に立設したリブ13とが一体成形され、リブ13の内部が隙間なくプレート14で詰まった形状の樹脂成形品10が得られる。
【0040】
<実施形態の効果>
以上説明したように、本実施形態の真空成形装置15は、表面21eに貫通孔21eを備え、成形可能な樹脂シート50を転写して成形する成形型としての型本体20と、所定形状のプレート14を着脱可能に保持する保持手段34と、保持手段34を貫通孔21eを介して型本体20の表面21aに対して突出又は退避させる移動手段としての支持部33、ピストン32及びエアシリンダ31と、成形型の上方にセットされた樹脂シート50を成形型及びプレート14に転写させる真空ポンプ40とを備える構成とした。
【0041】
更に、真空ポンプ40で樹脂シート50を成形型に転写させた後、エアシリンダ31で挟持板34a,34aを成形型の表面から退避させることによりプレート14から保持手段34を離脱させ、この後、樹脂シート50を真空ポンプ40で再度吸引して転写するようにした。
【0042】
この構成によれば、最初(1回目)の真空引きで成形型及びプレート14に樹脂シート50が転写する。この後、保持手段34がプレート14から離脱すると、転写した樹脂シート50内において、立設したプレート14を保持手段34で保持していた部分の隙間が残る。しかし、再度(2回目)の真空引きでその隙間部分の樹脂シート50が、成形型の表面に吸い寄せられるので、隙間が無くなる。
【0043】
従って、基部12と、当該基部12に立設したリブ13とが一体成形され、リブ13の内部にプレート14が隙間なく挿入された樹脂成形品10を形成することができる。これによって、樹脂成形品10には従来のような水やゴミ等の異物が入る隙間が無くなる。この樹脂成形品10を例えば車載部品等の外気に晒される環境で使用した場合でも、樹脂成形品10には異物が入ることが無くなり、従来のような隙間への異物混入が起因するリブ13の破損を防止することができる。
【0044】
<実施形態の変形例>
上記実施形態の真空成形装置15で成形される樹脂成形品は、樹脂成形品10に限定されるものではなく、基部と、基部に立設するリブとを一体に備えたものであれば、他の形状であってもよい。
【0045】
また、上記実施形態においては、真空ポンプ40の1回目の真空吸引の後の停止後に、プレート14を保持した保持手段34を成形型の表面から降下してプレート14を離脱し、この後、再度真空吸引を行っていた。
【0046】
この処理を、真空ポンプ40が真空吸引を行っている最中に、挟持板34a,34aを成形型の表面から降下させてプレート14を離脱させてもよい。この処理では、その離脱の最中も真空吸引が継続されているので、
図3(c)に示す突出厚部分50aに形成された隙間は、
図4(a)に矢印Y1で示すように、突出厚部分50aが成形型の表面に引き寄せられて吸着されることにより無くなる。
【0047】
また、本体部21の内部、言い換えれば成形型の表面に、図示せぬヒータ及び冷却装置を有する温度調節手段を備えても良い。この温度調節手段は、本体部21を加熱又は冷却して温度調節することにより、成形型の型面を加熱又は冷却して、成形型にセットされる樹脂シート50を加熱又は冷却する。この際、樹脂シート50には、ポリエチレン、ポリプロピレン等の熱可塑性樹脂を用いる。
【0048】
このような熱可塑性樹脂の樹脂シート50を用いる場合、樹脂シート50を予め所定の温度で加熱しておき、成形可能な状態としておく。また、温度調節手段によって成形型の温度を所定の温度に加熱しておくのが好ましい。この処理によって樹脂シート50の成形が行い易くなる。
【0049】
この条件で成形型に樹脂シート50をセットして、真空ポンプ40で上述したように真空引きを行えば、樹脂シート50を成形型及びプレート14に迅速に吸着させて隙間なく転写することができる。この後、温度調節手段により成形型を冷却すれば、樹脂シート50を迅速に冷やして硬化させることができる。
【0050】
また、前記した実施形態の保持手段34では、プレート14を挟持板34a,34aで挟む形態としたが、プレート14を着脱可能であれば他の形態であってもよい。
以上本発明の実施形態及び変形例について説明したが本発明の趣旨に反しない範囲において適宜設計変更が可能である。
【符号の説明】
【0051】
10 樹脂成形品
12 基部
13 リブ
14 プレート
15 真空成形装置
20 型本体
21 本体部
21c 吸引孔
22 縦フレーム
23 底フレーム
24 閉塞空間
30 成形装置
31 エアシリンダ
32 ピストン
33 支持部
34 保持手段
34a 挟持板
40 真空ポンプ
50 樹脂シート