(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
従来の両面塗工装置では、乾燥処理後の基材の表面および裏面に形成された塗膜の単位面積当たりの重量を計測することによって適切な塗工処理が行われているか否かの確認を行っていた。そして、塗膜の単位面積当たりの重量が適正範囲から外れている場合には、塗工ノズルと基材とのギャップや吐出流量などの塗工調整を行っていた。
【0008】
しかしながら、基材の表面および裏面に同時に塗工液を塗工して一括乾燥処理を行った場合には、基材の表面および裏面の塗膜重量を個別に測定することは困難であった。すなわち、基材の表面および裏面の合計としての塗膜重量が測定されることとなっていた。そうすると、基材の表面および裏面の合計塗膜重量は適正範囲内におさまっていても、表面および裏面の個別の塗膜重量が適正範囲から外れているケースが生じるという問題があった。このようなケースでは、生産された電極は不良品となる。
【0009】
本発明は、上記課題に鑑みてなされたものであり、基材の両面のそれぞれに適切に塗工液を塗工することができる両面塗工装置およびノズル調整方
法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上記課題を解決するため、請求項1の発明は、基材の第1面に塗工液を塗工する第1塗工ノズルおよび第2面に塗工液を塗工する第2塗工ノズルを調整するノズル調整方法において、
基材に塗工処理を行うときには、前記基材を挟んで相対向するように配置された前記第1塗工ノズルおよび前記第2塗工ノズルから塗工液をそれぞれ前記基材の第1面および第2面に吐出し、第1ローラから送り出された基材を第2ローラで巻き取ることによって基材を連続して搬送する搬送工程と、前記第1塗工ノズルと対向する第1基準位置にて前記基材の前記第2面に第1塗工基準面を接触させつつ、前記第1塗工ノズルから前記基材の前記第1面
のみに塗工液を吐出する第1テスト塗工工程と、前記基材の前記第1面の塗工状態を計測する第1計測工程と、前記第1計測工程での計測結果に基づいて前記第1塗工ノズルを調整する第1調整工程と、前記第2塗工ノズルと対向する第2基準位置にて前記基材の前記第1面に第2塗工基準面を接触させつつ、前記第2塗工ノズルから前記基材の前記第2面
のみに塗工液を吐出する第2テスト塗工工程と、前記基材の前記第2面の塗工状態を計測する第2計測工程と、前記第2計測工程での計測結果に基づいて前記第2塗工ノズルを調整する第2調整工程と、を備え
、前記第1基準位置は、前記塗工処理を行うときに前記第1塗工ノズルおよび前記第2塗工ノズルから吐出される塗工液の液圧バランスによって前記基材が安定保持されるときの前記基材の第2面に相当する位置であり、前記第2基準位置は、前記塗工処理を行うときに前記第1塗工ノズルおよび前記第2塗工ノズルから吐出される塗工液の液圧バランスによって前記基材が安定保持されるときの前記基材の第1面に相当する位置であり、前記基材の第1面および第2面のそれぞれに個別に塗工液を塗工して塗工状態を計測することを特徴とする。
【0011】
また、請求項2の発明は、請求項1の発明に係るノズル調整方法において、前記第1調整工程では、前記基材の前記第1面と前記第1塗工ノズルとの間隔および前記第1塗工ノズルからの塗工液の吐出流量を調整し、前記第2調整工程では、前記基材の前記第2面と前記第2塗工ノズルとの間隔および前記第2塗工ノズルからの塗工液の吐出流量を調整することを特徴とする。
【0012】
また、請求項3の発明は、請求項1または請求項2の発明に係るノズル調整方法において、前記第1塗工基準面は前記第2塗工ノズルに付設され、前記第2塗工基準面は前記第1塗工ノズルに付設されることを特徴とする。
【0013】
また、請求項4の発明は、基材の両面に塗工液を塗工する両面塗工装置において、第1ローラから送り出された基材を第2ローラで巻き取ることによって基材を連続して搬送する搬送機構と、前記基材の第1面に塗工液を吐出する第1塗工ノズルと、前記第1塗工ノズルと前記基材を挟んで対向して設けられ、前記基材の第2面に塗工液を吐出する第2塗工ノズルと、前記第1塗工ノズルを前記基材の前記第1面に対して移動させる第1ノズル移動機構と、前記第2塗工ノズルを前記基材の前記第2面に対して移動させる第2ノズル移動機構と、前記第1塗工ノズルの調整を行うときに、前記第1塗工ノズルと対向する第1基準位置にて前記基材の前記第2面に接触する第1塗工基準面と、前記第2塗工ノズルの調整を行うときに、前記第2塗工ノズルと対向する第2基準位置にて前記基材の前記第1面に接触する第2塗工基準面と、を備え
、前記基材に塗工処理を行うときには、前記基材を挟んで相対向するように配置された前記第1塗工ノズルおよび前記第2塗工ノズルから塗工液をそれぞれ前記基材の第1面および第2面に吐出し、前記第1基準位置は、前記塗工処理を行うときに前記第1塗工ノズルおよび前記第2塗工ノズルから吐出される塗工液の液圧バランスによって前記基材が安定保持されるときの前記基材の第2面に相当する位置であり、前記第2基準位置は、前記塗工処理を行うときに前記第1塗工ノズルおよび前記第2塗工ノズルから吐出される塗工液の液圧バランスによって前記基材が安定保持されるときの前記基材の第1面に相当する位置であり、前記基材の前記第2面に前記第1塗工基準面を接触させつつ、前記第1塗工ノズルから前記基材の前記第1面のみに塗工液を吐出して前記基材の前記第1面の塗工状態を計測し、その計測結果に基づいて前記第1塗工ノズルを調整するとともに、前記基材の前記第1面に前記第2塗工基準面を接触させつつ、前記第2塗工ノズルから前記基材の前記第2面のみに塗工液を吐出して前記基材の前記第2面の塗工状態を計測し、その計測結果に基づいて前記第2塗工ノズルを調整し、前記基材の第1面および第2面のそれぞれに個別に塗工液を塗工して塗工状態を計測することを特徴とする。
【0014】
また、請求項5の発明は、請求項4の発明に係る両面塗工装置において、前記第1塗工基準面は前記第2塗工ノズルに付設され、前記第2塗工基準面は前記第1塗工ノズルに付設されることを特徴とする。
【0015】
また、請求項6の発明は、請求項5の発明に係る両面塗工装置において、前記第1塗工基準面は、前記第2塗工ノズルの吐出口よりも前記基材に近い位置に設けられ、前記第2塗工基準面は、前記第1塗工ノズルの吐出口よりも前記基材に近い位置に設けられることを特徴とする。
【発明の効果】
【0018】
請求項1から請求項3の発明によれば、基材の第1面および第2面のそれぞれについてテスト塗工を行って塗工状態を計測し、それに基づいて第1塗工ノズルおよび第2塗工ノズルを個別に調整するため、基材の第1面および第2面の塗工不良を個別に検出して第1塗工ノズルおよび第2塗工ノズルを適切に調整することができ、基材の両面のそれぞれに適切に塗工液を塗工することができる。
【0019】
請求項4から請求項6の発明によれば、第1塗工ノズルの調整を行うときに、第1塗工ノズルと対向する第1基準位置にて基材の第2面に接触する第1塗工基準面と、第2塗工ノズルの調整を行うときに、第2塗工ノズルと対向する第2基準位置にて基材の第1面に接触する第2塗工基準面と、を備えるため、通常の処理時と同じ条件で基材の第1面および第2面のそれぞれについて塗工液を塗工して第1塗工ノズルおよび第2塗工ノズルを個別に調整することができ、基材の両面のそれぞれに適切に塗工液を塗工することができる。
【発明を実施するための形態】
【0022】
以下、図面を参照しつつ本発明の実施の形態について詳細に説明する。
【0023】
図1は、本発明に係る両面塗工装置1の全体構成を示す図である。なお、
図1および以降の各図においては、理解容易のため、必要に応じて各部の寸法や数を誇張または簡略化して描いている。
【0024】
この両面塗工装置1は、基材としての長尺の金属箔をロールトゥロール方式にて搬送しつつ、その基材の両面に電極材料である活物質を含む塗工液を塗工し、その塗工液の乾燥処理を行ってリチウムイオン二次電池の電極製造を行う装置である。両面塗工装置1は、上側塗工ノズル10、下側塗工ノズル30、乾燥部50、搬送機構60および計測部70を備える。また、両面塗工装置1は、装置全体を管理する制御部90を備える。
【0025】
基材5は、リチウムイオン二次電池の集電体として機能する金属箔である。両面塗工装置1にてリチウムイオン二次電池の正極を製造する場合には、基材5として例えばアルミニウム箔(Al)を用いることができる。また、両面塗工装置1にて負極を製造する場合には、基材5として例えば銅箔(Cu)を用いることができる。基材5は長尺のシート状の金属箔であり、その幅および厚さについては特に限定されるものではないが、例えば幅600mm〜700mm、厚さ10μm〜20μmとすることができる。
【0026】
長尺の基材5は、巻き出しローラ(第1ローラ)61から送り出されて巻き取りローラ(第2ローラ)62によって巻き取られることにより、上側塗工ノズル10および下側塗工ノズル30を経て乾燥部50、計測部70の順にロールトゥロール方式にて連続して搬送される。搬送機構60は、これら巻き出しローラ61および巻き取りローラ62と複数のガイドローラ63とを備えて構成される。なお、ガイドローラ63の個数および配置位置については、
図1の例に限定されるものではなく、必要に応じて適宜に増減することができる。但し、本発明に係る両面塗工装置1は、基材の裏面にも塗工液を塗工するため、裏面側の塗工液が乾燥していない下側塗工ノズル30と乾燥部50との間にガイドローラ63を設けることはできない。
【0027】
乾燥部50は、上側塗工ノズル10および下側塗工ノズル30によって基材5の両面に形成された塗工液の塗膜の乾燥処理を行う。乾燥部50は、搬送機構60によって搬送される基材5を加熱することによって、塗工液から溶剤を蒸発させて乾燥処理を行う。乾燥部50は、例えば、塗工液の塗膜を緩やかに昇温させる予熱部、塗膜を所定温度にまで昇温して主たる加熱を行うメイン乾燥部、塗膜をより高温に加熱して膜中の歪みや残留応力を除去するアニール部、加熱された塗膜を冷却する冷却部などを備えていても良い。
【0028】
また、計測部70は、X線またはβ線を用いた透過型のセンサー(図示省略)を備える。透過型のセンサーは、基材5の一方面側から放射したX線またはβ線の透過量を他方面側にて測定する。そして、センサーは、その減衰率から計測部70を通過する乾燥処理後の基材5の表裏面に形成されている塗膜の膜厚を測定する。
【0029】
制御部90は、両面塗工装置1に設けられた各動作機構を制御して基材5に対する塗工処理を進行させる。制御部90のハードウェアとしての構成は一般的なコンピュータと同様である。すなわち、制御部90は、各種演算処理を行うCPU、基本プログラムを記憶する読み出し専用のメモリであるROM、各種情報を記憶する読み書き自在のメモリであるRAMおよび制御用ソフトウェアやデータなどを記憶しておく磁気ディスクを備えて構成される。制御部90のCPUが所定の処理プログラムを実行することによって両面塗工装置1における塗工処理が進行する。
【0030】
図2は、上側塗工ノズル10および下側塗工ノズル30の構成を示す断面図である。本実施形態においては、搬送機構60によって略水平方向に沿って搬送される基材5の上方に上側塗工ノズル10が設けられ、下方に下側塗工ノズル30が設けられる。上側塗工ノズル10および下側塗工ノズル30は概ね上下対称となる同様の構成を有する。上側塗工ノズル10および下側塗工ノズル30は、例えばステンレススチールにて形成され、基材5の幅方向に沿ったスリット状の吐出口を備えたスリットノズルである。
【0031】
上側塗工ノズル10の内部にはマニホールド11および流路12が形成されている。流路12の上端側がマニホールド11に連通し、下端側出口がスリット状の吐出口13として規定される。マニホールド11には、図外の塗工液供給源から塗工液が送給される。送給された塗工液は、マニホールド11内にて吐出口13の長手方向(基材5の幅方向)に拡散された後に、流路12を流れて吐出口13にまで導かれ、吐出口13から基材5の表面に向けて吐出される。塗工液が一旦マニホールド11内にて拡散されるため、吐出口13から吐出される塗工液の流量を長手方向に沿って均一なものとすることができる。なお、基材5の表面とは、搬送機構60によって略水平方向に沿って搬送される基材5の上側を向く面(上側塗工ノズル10に対向する面)である。一方、基材5の裏面とは、搬送機構60によって略水平方向に沿って搬送される基材5の下側を向く面(下側塗工ノズル30に対向する面)である。
【0032】
また、上側塗工ノズル10には、上側塗工基準面14が付設されている。上側塗工基準面14は、上側塗工ノズル10と同じ材質(本実施形態ではステンレススチール)にて形成された平坦面である。上側塗工基準面14は、上側塗工ノズル10の下方を搬送される基材5と平行な平面(本実施形態では、基材5が水平方向に沿って搬送されるため水平面)である。上側塗工基準面14の幅(基材5の搬送方向に沿った長さ)は、後述する下側塗工ノズル30の吐出口33の幅よりも大きい。
図2に示すように、上側塗工基準面14は、上側塗工ノズル10の吐出口13よりも下側、すなわち基材5に近い位置に設けられている。好ましくは、上側塗工基準面14は平滑な研磨面とされている。
【0033】
同様に、下側塗工ノズル30の内部にはマニホールド31および流路32が形成されている。流路32の下端側がマニホールド31に連通し、上端側出口がスリット状の吐出口33として規定される。マニホールド31には、図外の塗工液供給源から塗工液が送給される。送給された塗工液は、マニホールド31内にて吐出口33の長手方向(基材5の幅方向)に拡散された後に、流路32を流れて吐出口33にまで導かれ、吐出口33から基材5の裏面に向けて吐出される。塗工液が一旦マニホールド31内にて拡散されるため、吐出口33から吐出される塗工液の流量を長手方向に沿って均一なものとすることができる。なお、上側塗工ノズル10の塗工液供給源と下側塗工ノズル30の塗工液供給源とは共通のものであっても良い。
【0034】
下側塗工ノズル30には、下側塗工基準面34が付設されている。下側塗工基準面34は、下側塗工ノズル30と同じ材質(本実施形態ではステンレススチール)にて形成された平坦面である。下側塗工基準面34は、下側塗工ノズル30の上方を搬送される基材5と平行な平面(本実施形態では、基材5が水平方向に沿って搬送されるため水平面)である。下側塗工基準面34の幅(基材5の搬送方向に沿った長さ)は、上側塗工ノズル10の吐出口13の幅よりも大きい。
図2に示すように、下側塗工基準面34は、下側塗工ノズル30の吐出口33よりも上側、すなわち基材5に近い位置に設けられている。好ましくは、下側塗工基準面34は平滑な研磨面とされている。
【0035】
図1に戻り、両面塗工装置1は、上側塗工ノズル10を移動させる上側移動機構20、および、下側塗工ノズル30を移動させる下側移動機構40を備える。上側移動機構20は、基材5の表面に対して上側塗工ノズル10を移動させる。具体的には、上側移動機構20は、上側塗工ノズル10を基材5の搬送方向に沿ってスライド移動させるとともに、鉛直方向に沿って昇降移動させる。これらの移動動作は、例えばボールネジとパルスモータとの組み合わせやアクチュエータなど公知の種々の駆動機構によって実現することができる。特に、鉛直方向に沿った昇降移動は、上側塗工ノズル10の吐出口13と基材5の表面との間隔を調整するための精密な動作が要求されるため、例えば上側塗工ノズル10の長手方向両端に螺合するボールネジをパルスモータによって回転駆動させる駆動機構によって実現するのが好ましい。このような駆動機構であれば、上側塗工ノズル10の長手方向両端を個別に昇降させることにより、基材5に対する上側塗工ノズル10の傾斜角度を調整することもできる。
【0036】
一方、下側移動機構40は、基材5の裏面に対して下側塗工ノズル30を移動させる。具体的には、下側移動機構40は、下側塗工ノズル30を基材5の搬送方向に沿ってスライド移動させるとともに、鉛直方向に沿って昇降移動させる。これらの移動動作は、例えばボールネジとパルスモータとの組み合わせやアクチュエータなど公知の種々の駆動機構によって実現することができる。特に、鉛直方向に沿った昇降移動は、下側塗工ノズル30の吐出口33と基材5の裏面との間隔を調整するための精密な動作が要求されるため、上記と同様に、例えば下側塗工ノズル30の長手方向両端に螺合するボールネジをパルスモータによって回転駆動させる駆動機構によって実現するのが好ましい。このような駆動機構であれば、下側塗工ノズル30の長手方向両端を個別に昇降させることにより、基材5に対する下側塗工ノズル30の傾斜角度を調整することもできる。
【0037】
上述のような構成を備える両面塗工装置1にて電極製造を行うときには、搬送機構60によって基材5をロールトゥロールで連続搬送しつつ、上側塗工ノズル10および下側塗工ノズル30によって基材5の表裏面に塗工液の同時塗工を行う。両面同時塗工を行う際には、
図1および
図2に示すように、上側塗工ノズル10と下側塗工ノズル30とが基材5を挟んで相対向するように配置される。また、上側塗工ノズル10の吐出口13と基材5の表面とが所定間隔となるように上側移動機構20によって上側塗工ノズル10が昇降移動されるとともに、下側塗工ノズル30の吐出口33と基材5の裏面とが所定間隔となるように下側移動機構40によって下側塗工ノズル30が昇降移動される。なお、両面同時塗工を行うときには、上側塗工ノズル10の上側塗工基準面14および下側塗工ノズル30の下側塗工基準面34がともに基材5の表裏面に接触しない位置に上側塗工ノズル10および下側塗工ノズル30が配置される。
【0038】
上側塗工ノズル10は、搬送機構60によって略水平方向に搬送される基材5の表面に吐出口13から塗工液を吐出する。すなわち、上側塗工ノズル10は基材5の上側から塗工液を吐出する。一方の下側塗工ノズル30は、搬送機構60によって略水平方向に搬送される基材5の裏面に吐出口33から塗工液を吐出する。すなわち、下側塗工ノズル30は基材5の下側から塗工液を吐出する。
【0039】
両面塗工装置1にて正極を製造する場合には、正極材料の塗工液として、例えば正極活物質であるコバルト酸リチウム(LiCoO
2)、導電助剤であるカーボン(C)、結着剤であるポリフッ化ビニリデン(PVDF)、溶剤であるN−メチル−2−ピロリドン(NMP)の混合液を用いる。コバルト酸リチウムに代えて、正極活物質としてニッケル酸リチウム(LiNiO
2)、マンガン酸リチウム(LiMn
2O
4)、燐酸鉄リチウム(LiFePO
4)などを用いることもできる。
【0040】
一方、両面塗工装置1にて負極を製造する場合には、負極材料の塗工液として、例えば負極活物質である黒鉛(グラファイト)、結着剤であるPVDF、溶剤であるNMPの混合液を用いる。黒鉛に代えて、負極活物質としてハードカーボン、チタン酸リチウム(Li
4Ti
5O
12)、シリコン合金、スズ合金などを用いることもできる。また、正極材料および負極材料の双方において、結着剤としてPVDFに代えてスチレン−ブタジエンゴム(SBR)などを使用することができ、溶剤としてNMPに代えて水(H
2O)などを使用することができる。さらに、結着剤としてSBR、溶剤として水を用いる場合には、増粘剤としてカルボキシメチルセルロース(CMC)を併用することもできる。これら正極材料および負極材料の塗工液は固体(微粒子)が分散されたスラリーであってその粘度はいずれも1Pa・s(パスカル秒)以上であり、一般的にチクソトロピー性を有する。
【0041】
基材5の表面および裏面には同種の塗工液が塗工される。例えば、上側塗工ノズル10から基材5の表面に正極材料の塗工液を塗工するのであれば、下側塗工ノズル30からも基材5の裏面に正極材料の塗工液を塗工する。また、基材5の表面に上側塗工ノズル10から負極材料の塗工液を塗工するのであれば、基材5の裏面にも下側塗工ノズル30から負極材料の塗工液を塗工する。
【0042】
上側塗工ノズル10および下側塗工ノズル30は、等しい吐出流量にてそれぞれ吐出口13および吐出口33から塗工液を吐出する。基材5を挟んで相対向するように配置された上側塗工ノズル10および下側塗工ノズル30が等しい吐出流量にて塗工液を上下から基材5に吐出すると、基材5の同じ位置の表面および裏面に等しい液圧にて塗工液が着液することとなる。その結果、基材5の表裏面から吐出される液圧のバランスによって上側塗工ノズル10と下側塗工ノズル30との間の所定位置に基材5が安定して保持されることとなり、上側塗工ノズル10の吐出口13と基材5の表面との間隔および下側塗工ノズル30の吐出口33と基材5の裏面との間隔は常に一定となる。よって、上側塗工ノズル10および下側塗工ノズル30は、基材5の表面および裏面に塗工液を均一に塗工することができる。
【0043】
図2に示すように、上側塗工ノズル10および下側塗工ノズル30が基材5の上下から塗工液を吐出しつつ、基材5を矢印AR2にて示すように搬送すると、基材5の表面および裏面に塗工液の塗膜が形成される。なお、上側塗工ノズル10および下側塗工ノズル30は、搬送される基材5の表裏面に連続して塗工液を塗工するようにしても良いし、間欠的に塗工液を塗工するようにしても良い。但し、間欠塗工を行う場合には、上側塗工ノズル10および下側塗工ノズル30が同じタイミングで塗工液を吐出し、基材5の同じ領域の表裏面に塗工液を塗工する。
【0044】
上側塗工ノズル10および下側塗工ノズル30によって表裏両面に塗工液を塗工された基材5は乾燥部50に搬送され、基材5が加熱されて塗工液から溶剤が蒸発し、塗工液の塗膜の乾燥処理が行われる。そして、基材5が乾燥部50から搬出される時点では塗工液の塗膜が十分に乾燥されている。
【0045】
乾燥部50から搬出された基材5は計測部70に到達してその内部を通過する。計測部70は、通過する乾燥処理後の基材5の表裏面に形成されている塗膜の膜厚を測定する。計測部70による計測結果は制御部90に伝達される。制御部90は、計測部70によって計測された膜厚から基材5の表裏面に形成されている塗膜の単位面積当たりの重量を算定する。そして、計測部70を通過した基材5は巻き取りローラ62によって巻き取られる。
【0046】
ところで、両面塗工装置1においては、計測部70によって計測された塗膜の膜厚(または、その計測結果に基づいて算定された塗膜の単位面積当たりの重量)から適切な塗工処理が行われているか否かを判定して塗工状態を確認する。すなわち、計測部70によって計測された塗膜の膜厚が予め設定されている適正範囲から外れている場合には、適切な塗工処理が行われていない塗工不良と判定される。そして、塗工不良と判定された場合には、両面塗工装置1の稼働を停止して上側塗工ノズル10および下側塗工ノズル30の調整を行う。
【0047】
ここで、両面塗工装置1においては、上側塗工ノズル10および下側塗工ノズル30によって基材5の表裏面に塗工液の同時塗工を行うため、基材5の表裏面双方に塗膜が形成された状態で計測部70による膜厚の計測が行われる。よって、計測部70は、基材5の表面および裏面の合計の膜厚を計測することとなる。そうすると、基材5の表面および裏面の個別の塗工状態を判定できないことがある。
【0048】
図3は、基材5の表面および裏面の塗工状態を模式的に示す図である。
図3(a)に示す例では、基材5の表面および裏面の双方について塗膜の膜厚が均一であり、適切に塗工液が塗工されて乾燥処理が行われた結果である。この場合、計測部70によって計測された塗膜の膜厚も勿論適正範囲内となる。
【0049】
これに対して、
図3(b)に示す例では、基材5の表面および裏面のそれぞれについて見れば塗膜の膜厚が不均一である。塗工状態が
図3(b)のような場合には、電極としては不良品となる。ところが、
図3(b)に示すような例の場合、基材5の表面および裏面における塗膜膜厚が互いに補償するように不均一であるため、基材5の表面および裏面の合計の膜厚は均一となる。従って、計測部70が基材5の表裏面合計の塗膜膜厚を計測したときには、計測結果が適正範囲内となっているのである。すなわち、計測部70による計測結果は適正であるにもかかわらず、基材5の表面および裏面のそれぞれにおいて塗工不良が発生しており、不良品が製造されることとなるのである。
【0050】
そこで、本実施形態においては、以下のようにして基材5の表面および裏面の塗工状態を個別に計測し、それに基づいて上側塗工ノズル10および下側塗工ノズル30の調整を個別に行っている。なお、このような調整作業は、例えば両面塗工装置1のメンテナンスを行って稼働を再開するときに行うようにすれば良い。
【0051】
まず、通常の塗工処理を行うときと同様に、搬送機構60の巻き出しローラ61から送り出された基材5を巻き取りローラ62によって巻き取ることによって基材5を連続して搬送する。そして、搬送機構60によって基材5を連続して搬送しつつ、下側移動機構40が下側塗工ノズル30を移動させて下側塗工基準面34を基材5の裏面に接触させる。このときには、上側塗工ノズル10の吐出口13と対向する第1基準位置にて基材5の裏面に下側塗工基準面34が接触するように、下側移動機構40が下側塗工ノズル30を移動させる。ここで、「第1基準位置」とは、上述した通常の塗工処理時に上側塗工ノズル10および下側塗工ノズル30から吐出される塗工液の液圧バランスによって基材5が安定して保持されるときの、基材5の裏面に相当する位置である。
【0052】
下側塗工基準面34が第1基準位置にて基材5の裏面に接触することにより、上側塗工ノズル10の吐出口13の直下においては通常の塗工処理時に基材5が通過する搬送経路に確実に基材5が保持されることとなる。下側塗工基準面34は、下側塗工ノズル30の吐出口33よりも基材5に近い位置に設けられているため、下側塗工基準面34が基材5の裏面に接触しても吐出口33が基材5に接触することは防がれる。なお、搬送機構60によって搬送される基材5の裏面に下側塗工基準面34が接触することとなるため、基材5は下側塗工基準面34に対して摺動することとなるが、ノズル調整のための基材5の搬送距離は非常に短いため問題とはならない。また、基材5が下側塗工基準面34に対して円滑に摺動するように、下側塗工基準面34を平滑な研磨面とするのが好ましい。或いは、基材5と下側塗工基準面34との間に潤滑部材を挟み込むようにしても良い。
【0053】
続いて、
図4に示すように、上側塗工ノズル10と対向する第1基準位置にて基材5の裏面に下側塗工基準面34を接触させつつ、上側塗工ノズル10から基材5の表面に塗工液を吐出する。上側塗工ノズル10から基材5の表面に塗工液を吐出しつつ、基材5を矢印AR4にて示すように搬送すると、基材5の表面のみに塗工液が塗工されるテスト塗工が進行する。このテスト塗工を行うときの基材5の搬送距離は計測部70による膜厚計測が可能な程度の短いもので十分である。
【0054】
表面のみに塗工液の塗膜が形成された基材5は乾燥部50に搬送され、塗膜の乾燥処理が行われる。そして、乾燥部50から搬出された基材5は計測部70に到達し、基材5の表面に形成されている塗膜の膜厚が計測部70によって計測される。このときには、基材5の表面のみに塗膜が形成されているため、計測部70は基材5の表面に形成された塗膜の膜厚を正確に計測することができる。基材5の表面に形成された塗膜は、上側塗工ノズル10からの塗工処理によるものである。すなわち、計測部70は、上側塗工ノズル10による基材5の表面の塗工状態のみを計測することができるのである。
【0055】
計測部70の計測結果に基づいて上側塗工ノズル10の調整が行われる。具体的には、計測部70によって計測された基材5表面の塗膜の膜厚が不均一で塗工状態が不良であった場合には、上側塗工ノズル10の吐出口13と基材5の表面との間隔および上側塗工ノズル10からの塗工液の吐出流量が調整される。さらには、基材5に対する上側塗工ノズル10の傾斜角度を調整するようにしても良い。
【0056】
必要な上側塗工ノズル10の調整作業が終了した後、再度上記の手順を繰り返して基材5の表面の塗工状態を計測する。そして、計測部70によって計測される基材5の表面の塗膜の膜厚が均一となって塗工状態が良好となるまで上記の手順は繰り返される。
【0057】
次に、下側塗工ノズル30についての調整作業が行われるが、これは概ね上述の動作を上下反転させたものとなる。すなわち、搬送機構60によって基材5を連続して搬送しつつ、上側移動機構20が上側塗工ノズル10を移動させて上側塗工基準面14を基材5の表面に接触させる。このときには、下側塗工ノズル30の吐出口33と対向する第2基準位置にて基材5の表面に上側塗工基準面14が接触するように、上側移動機構20が上側塗工ノズル10を移動させる。ここで、「第2基準位置」とは、上述した通常の塗工処理時に上側塗工ノズル10および下側塗工ノズル30から吐出される塗工液の液圧バランスによって基材5が安定して保持されるときの、基材5の表面に相当する位置である。
【0058】
上側塗工基準面14が第2基準位置にて基材5の表面に接触することにより、下側塗工ノズル30の吐出口33の直上においては通常の塗工処理時に基材5が通過する搬送経路に確実に基材5が保持されることとなる。上側塗工基準面14は、上側塗工ノズル10の吐出口13よりも基材5に近い位置に設けられているため、上側塗工基準面14が基材5の表面に接触しても吐出口13が基材5に接触することは防がれる。また、上述した下側塗工基準面34と同様に、基材5が上側塗工基準面14に対して円滑に摺動するように、上側塗工基準面14を平滑な研磨面とするのが好ましい。或いは、基材5と上側塗工基準面14との間に潤滑部材を挟み込むようにしても良い。
【0059】
続いて、
図5に示すように、下側塗工ノズル30と対向する第2基準位置にて基材5の表面に上側塗工基準面14を接触させつつ、下側塗工ノズル30から基材5の裏面に塗工液を吐出する。下側塗工ノズル30から基材5の裏面に塗工液を吐出しつつ、基材5を矢印AR5にて示すように搬送すると、基材5の裏面のみに塗工液が塗工されるテスト塗工が進行する。このテスト塗工を行うときの基材5の搬送距離は計測部70による膜厚計測が可能な程度の短いもので十分である。
【0060】
裏面のみに塗工液の塗膜が形成された基材5は乾燥部50に搬送され、塗膜の乾燥処理が行われる。そして、乾燥部50から搬出された基材5は計測部70に到達し、基材5の裏面に形成されている塗膜の膜厚が計測部70によって計測される。このときには、基材5の裏面のみに塗膜が形成されているため、計測部70は基材5の裏面に形成された塗膜の膜厚を正確に計測することができる。基材5の裏面に形成された塗膜は、下側塗工ノズル30からの塗工処理によるものである。すなわち、計測部70は、下側塗工ノズル30による基材5の裏面の塗工状態のみを計測することができるのである。
【0061】
計測部70の計測結果に基づいて下側塗工ノズル30の調整が行われる。具体的には、計測部70によって計測された基材5裏面の塗膜の膜厚が不均一で塗工状態が不良であった場合には、下側塗工ノズル30の吐出口33と基材5の裏面との間隔および下側塗工ノズル30からの塗工液の吐出流量が調整される。さらには、基材5に対する下側塗工ノズル30の傾斜角度を調整するようにしても良い。
【0062】
必要な下側塗工ノズル30の調整作業が終了した後、再度上記の手順を繰り返して基材5の裏面の塗工状態を計測する。そして、計測部70によって計測される基材5の裏面の塗膜の膜厚が均一となって塗工状態が良好となるまで上記の手順は繰り返される。以上のようにして、上側塗工ノズル10および下側塗工ノズル30のそれぞれについて個別に調整が行われた後、
図2に示すように、上側塗工ノズル10と下側塗工ノズル30とが相対向する位置に移動して双方のノズルから通常の両面同時塗工処理を行う。
【0063】
本実施形態においては、通常は両面同時塗工を行う両面塗工装置1において、基材5の表面および裏面のそれぞれに個別に塗工液を塗工して塗工状態を計測し、その計測結果に基づいて上側塗工ノズル10および下側塗工ノズル30を個別に調整している。基材5の一方面のみに塗工液を塗工する際に、単に上側塗工ノズル10または下側塗工ノズル30から塗工液を吐出するだけでは基材5が一方面からの液圧によって押されて位置が通常とは異なることになるため、上側塗工基準面14または下側塗工基準面34を基材5に接触させている。下側塗工基準面34を上側塗工ノズル10の吐出口13と対向する第1基準位置にて基材5の裏面に接触させることにより、上側塗工ノズル10のみから塗工液を吐出するときにも基材5が通常の両面塗工処理時と同じ位置に確実に保持されることとなる(
図4)。また、上側塗工基準面14を下側塗工ノズル30の吐出口33と対向する第2基準位置にて基材5の表面に接触させることにより、下側塗工ノズル30のみから塗工液を吐出するときにも基材5が通常の両面塗工処理時と同じ位置に確実に保持されることとなる(
図5)。これにより、基材5の表面または裏面のいずれか一方のみに塗工液を塗工する際にも、通常の両面塗工時と同じ条件にて塗工が行われることとなる。
【0064】
そして、基材5の表面および裏面のそれぞれの塗工状態の計測結果に基づいて上側塗工ノズル10および下側塗工ノズル30を個別に調整しているため、上側塗工ノズル10および下側塗工ノズル30による吐出処理を個別に正確なものとすることができる。このようにすれば、例えば
図3(b)に示すように、基材5の表裏面合計の塗膜膜厚は適正範囲内であっても表面および裏面のそれぞれでは塗工不良が発生している場合にも、その塗工不良を検出して上側塗工ノズル10および下側塗工ノズル30を適切に調整することができる。その結果、基材5の表面および裏面のそれぞれに適切に塗工液を塗工することができる。また、上側塗工基準面14および下側塗工基準面34は、それぞれ上側塗工ノズル10および下側塗工ノズル30に付設されたシンプルな平面であるため、特段のコストアップとはならない。
【0065】
以上、本発明の実施の形態について説明したが、この発明はその趣旨を逸脱しない限りにおいて上述したもの以外に種々の変更を行うことが可能である。例えば、上記実施形態においては、上側塗工ノズル10に上側塗工基準面14を付設し、下側塗工ノズル30に下側塗工基準面34を付設していたが、上側塗工基準面14および下側塗工基準面34は塗工ノズルと別体であっても良い。
【0066】
図6は、上側塗工ノズル10および下側塗工ノズル30の構成の他の例を示す断面図である。
図6において、上記実施形態と同一の要素については同一の符号を付している。
図6に示す例では、上側塗工ノズル10とは別体に上側基準ブロック15が設けられている。上側基準ブロック15の下端面が上側塗工基準面16とされている。上側塗工基準面16は上記実施形態の上側塗工基準面14と同様の平坦面である。上側基準ブロック15は上側移動機構20とは異なる駆動機構によって上側塗工ノズル10とは独立して移動される。
【0067】
また、下側塗工ノズル30とは別体に下側基準ブロック35が設けられている。下側基準ブロック35の上端面が下側塗工基準面36とされている。下側塗工基準面36は上記実施形態の下側塗工基準面34と同様の平坦面である。下側基準ブロック35は下側移動機構40とは異なる駆動機構によって下側塗工ノズル30とは独立して移動される。
【0068】
図6に示す例の構成において、上側塗工ノズル10によるテスト塗工を行うときには、上側塗工ノズル10の吐出口13と対向する第1基準位置にて基材5の裏面に下側塗工基準面36を接触させつつ、上側塗工ノズル10から基材5の表面に塗工液を吐出する。また、下側塗工ノズル30によるテスト塗工を行うときには、下側塗工ノズル30の吐出口33と対向する第2基準位置にて基材5の表面に上側塗工基準面16を接触させつつ、下側塗工ノズル30から基材5の裏面に塗工液を吐出する。そして、基材5の表面および裏面のそれぞれの塗工状態の計測結果に基づいて上側塗工ノズル10および下側塗工ノズル30を個別に調整する。このようにしても、上記実施形態と同様に、上側塗工ノズル10および下側塗工ノズル30を個別に適切に調整することができ、基材5の表面および裏面のそれぞれに適切に塗工液を塗工することができる。
【0069】
また、上記実施形態においては、X線等を用いた透過型のセンサーを備えた計測部70によってインラインで乾燥処理後の基材5の塗膜膜厚を測定するようにしていたが、これに代えて、乾燥処理後の基材5から定型サイズの試験片を打ち抜いて電子天秤等によって直接に重量を測定することにより単位面積当たりの塗膜の重量を測定するオフライン測定を行うようにしても良い。
【0070】
また、上側塗工ノズル10および下側塗工ノズル30は1本のスリット状の吐出口13,33を有するスリットノズルに限定されるものではなく、複数本のスリットを有するものであっても良いし、略円形の吐出口から塗工液を吐出するノズルであっても良い。
【0071】
また、上記実施形態においては、基材5の上下に上側塗工ノズル10および下側塗工ノズル30を設けて両面同時塗工を行っていたが、基材5を水平面から傾けて搬送しつつ、その基材5を挟んで対向する位置に2つの塗工ノズルを設けて両面同時塗工を行うようにしても良い。例えば、基材5を鉛直方向に沿って搬送しつつ、その基材5を挟んで水平方向に沿って2つの塗工ノズルを設けて両面同時塗工を行うようにしても良い。
【0072】
また、本発明に係る技術を用いて塗工処理を行う対象となる塗工液はリチウムイオン二次電池の電極材料に限定されるものではなく、例えば太陽電池材料(電極材、封止材)の塗工液または電子材料の絶縁膜や保護膜の塗工液であっても良い。或いは、顔料や接着剤の塗工液を塗布するのに、本発明に係る技術を用いるようにしても良い。