(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
水溶性カチオンポリマーがジアリルアミン塩およびアルキルジアリルアミン塩の少なくとも一方と、非イオン親水性ビニルモノマーとを構成単位として含むコポリマーであることを特徴とする請求項2に記載の樹脂延伸フィルム。
熱可塑性樹脂(A)24〜64質量%、無機微細粉末(B)35〜75質量%、および親水化剤(C)1〜2質量%を含む樹脂組成物をシート状に押し出した樹脂シートを、少なくとも一方向に延伸する樹脂延伸フィルムの製造方法。
【発明を実施するための形態】
【0008】
以下において、本発明の樹脂延伸フィルム、その製造方法およびその樹脂延伸フィルムを用いた積層体について詳細に説明する。以下に記載する構成要件の説明は、本発明の代表的な実施態様や具体例に基づいてなされることがあるが、本発明はそのような実施態様や具体例に限定されるものではない。なお、本明細書において「〜」を用いて表される数値範囲は、「〜」の前後に記載される数値を下限値および上限値として含む範囲を意味する。
【0009】
[樹脂延伸フィルム]
本発明の樹脂延伸フィルムは、その少なくとも一方の表面に吸水層を有するものであり、同吸水層は、熱可塑性樹脂(A)、無機微細粉末(B)、および親水化剤(C)を含むものである。
【0010】
[熱可塑性樹脂(A)]
本発明の樹脂延伸フィルムにおいて使用される熱可塑性樹脂(A)は、吸水層のマトリクス樹脂となるものであり、吸水層の多孔構造を形成してこれを維持するものである。
本発明で使用できる熱可塑性樹脂(A)の具体例としては、高密度ポリエチレン、中密度ポリエチレン、低密度ポリエチレン等の結晶性エチレン系樹脂、結晶性プロピレン系樹脂、ポリメチル−1−ペンテン、エチレン−環状オレフィン共重合体等の結晶性ポリオレフィン系樹脂;ナイロン−6、ナイロン−6,6、ナイロン−6,10、ナイロン−6,12等のポリアミド系樹脂;ポリエチレンテレフタレートやその共重合体、ポリエチレンナフタレート、脂肪族ポリエステル等の熱可塑性ポリエステル系樹脂;芳香族ポリカーボネート、脂肪族ポリカーボネート等のポリカーボネート樹脂;アタクティックポリスチレン、シンジオタクティックポリスチレン等のポリスチレン系樹脂;ポリフェニレンスルフィド、ポリアクリロニトリル−ブタジエン−スチレン(ABS)等のその他の熱可塑性樹脂が挙げられる。これらは2種以上混合して用いることもできる。
【0011】
これらの中でも、耐水性、耐溶剤性、耐薬品性および生産コスト等の観点から、結晶性ポリオレフィン系樹脂を用いることが好ましい。結晶性ポリオレフィン系樹脂は結晶性を示すものである。これら結晶性を示すものを用いれば、延伸により樹脂延伸フィルムを多孔構造として、その表面に空孔(開口)を十分に形成しやすく維持しやすい。結晶性を示す結晶化度は、通常は20%以上であることが好ましく、35%以上であることがより好ましく、また、上限値については75%以下であることが好ましい。該結晶化度はX線回折、赤外線スペクトル分析等の方法によって測定することができる。同観点では結晶性ポリオレフィン系樹脂の中でも、結晶性プロピレン系樹脂を用いることがより好ましい。
【0012】
結晶性プロピレン系樹脂としては、プロピレンを単独重合させたアイソタクティック重合体またはシンジオタクティック重合体を用いることが好ましい。またプロピレンと、エチレン、1−ブテン、1−ヘキセン、1−ヘプテン、4−メチル−1−ペンテン等のα−オレフィンとを共重合させた様々な立体規則性を有する、プロピレンを主成分とする共重合体を使用することもできる。共重合体は2元系でも3元系以上の多元系でもよく、またランダム共重合体でもブロック共重合体でもよい。
吸水層中に上記の様な熱可塑性樹脂(A)は、24〜64質量%の割合で含まれる。好ましくは26質量%以上の割合で含まれ、より好ましくは27質量%以上の割合で含まれる。また、好ましくは54質量%以下の割合で含まれ、より好ましくは52質量%以下の割合で含まれ、さらに好ましくは50質量%以下の割合で含まれる。吸水層中の熱可塑性樹脂(A)の割合が24質量%以上であれば、多孔構造を維持しやすく、逆に64質量%以下であれば、多孔構造を形成しやすい。
【0013】
[無機微細粉末(B)]
本発明の樹脂延伸フィルムにおいて使用される無機微細粉末(B)は、これを核として、吸水層を多孔構造とするものである。
本発明で使用できる無機微細粉末(B)の具体例としては、重質炭酸カルシウム、軽質炭酸カルシウム、焼成クレー、タルク、酸化チタン、硫酸バリウム、酸化亜鉛、酸化マグネシウム、珪藻土、酸化珪素などの無機微細粉末;同無機微細粉末の核の周囲にアルミニウム酸化物ないしは水酸化物を有する複合無機微細粉末;中空ガラスビーズなどを挙げることができる。中でも重質炭酸カルシウム、焼成クレー、珪藻土は、安価で延伸時に多くの空孔を形成させることができ、空孔率の調整が容易なために好ましい。また重質炭酸カルシウム、軽質炭酸カルシウムは、多くの種類の市販品があり、その平均粒径や粒度分布が所望のものを得やすいために好ましい。
無機微細粉末の平均粒径は、0.1μm以上であることが好ましく、0.3μm以上であることがより好ましく、0.5μm以上であることがさらに好ましい。また、無機微細粉末の平均粒径は、10μm以下であることが好ましく、8μm以下であることがより好ましく、5μm以下であることがさらに好ましい。無機微細粉末の平均粒径が0.1μm以上であることにより、多孔質構造を効率よく形成することができる。また、無機微細粉末の粒径が10μm以下であることにより、延伸時にフィルムが切れることを抑制できる。
ここで、無機微細粉末の平均粒径とはレーザー回折法によって測定される平均粒径である。
【0014】
吸水層中に上記の様な無機微細粉末(B)は、35〜75質量%の割合で含まれる。好ましくは45質量%以上で含まれ、より好ましくは47質量%以上の割合で含まれ、さらに好ましくは48質量%以上の割合で含まれる。また、好ましくは73質量%以下の割合で含まれ、より好ましくは72質量%以下の割合で含まれる。吸水層中の無機微細粉末(B)の割合が35質量%以上であれば、連通孔(連通する空孔)の形成が容易となり好ましい。逆に無機微細粉末(B)の割合が75質量%以下であれば、フィルム(吸水層)の延伸成形が容易となり好ましい。
また上記無機微細粉末(B)は、異なる2種以上の無機微細粉末を組み合わせて配合しても良い。この場合も吸水層中に無機微細粉末の総量が75質量%以下の割合で含まれるようにする。
【0015】
[親水化剤(C)]
本発明の樹脂延伸フィルムにおいて、親水化剤(C)を1〜2質量%使用することを必須とする。該親水化剤(C)は、樹脂延伸フィルムの吸水層に吸水性の特徴、すなわちJapan Tappi No.51:2000のブリストー吸水性試験法に準拠し測定される液体吸収容積及び同法により算出される液体吸収係数が特定の範囲内である特徴を付与するために添加するものである。
より具体的には、本発明の樹脂延伸フィルムは、前記液体吸収容積が、従来の水分に対する吸収性が良い合成紙と同様に大きい(一定量以上の水分量を吸収できる)と同時に、前記液体吸収係数が、従来の水分に対する吸収性が良い合成紙に比べて小さい(ゆっくり水分を吸収する)性質を有する。この性質により、塗料中の溶媒である水分が吸水層中に吸収される際の速度が急速になることなく、吸水層中の空孔中の空気は連通孔を介して周囲に散逸して抜け出すことにより、用紙周辺等から外部に逃げることが可能となり、本発明の樹脂延伸フィルムは、塗料の一部を吸収するが、気泡は発生させず均一な塗工外観を得やすい効果を有する。
この特徴は、本発明の樹脂延伸フィルムの吸水層において使用する無機微細粉末(B)の量を従来の水分に対する吸収性が良い合成紙と同様に多めに配合して、空孔の割合が多い多孔構造としながら、親水化剤(C)の量を従来の水分に対する吸収性が良い合成紙と比べて低減させることにより、無機微細粉末(B)の表面や多孔構造界面における親水化剤(C)の存在量を低減させて、これらの水分に対する濡れを低下させたことにより達成される。
【0016】
本発明で使用できる親水化剤(C)の具体例としては、水溶性の、カチオン系ポリマーおよびアニオン系高分子界面活性剤を挙げることができる。カチオン系ポリマーとしては、カチオン性ビニルモノマーとノニオン性ビニルモノマーとのコポリマー等を用いることができ、具体的には特開平5−263010号公報に記載されているジアリルアミン塩およびアルキルジアリルアミン塩の少なくとも一方と、ノニオン性ビニルモノマーとのコポリマーが例示できる。また、アニオン系高分子界面活性剤としては特開平10−212367号公報に記載されているスルホン酸基を有するものが例示できる。さらに、特開平10−212367号公報に記載されているように、前記カチオン系ポリマーとアニオン系高分子界面活性剤とを併用することもできる。
【0017】
[親水化剤(C)により親水化処理された無機微細粉末(B)]
本発明の樹脂延伸フィルムの吸水層において使用される親水化剤(C)は、吸水層の原料を配合する際に、配合原料の一として配合するものでも良いが、好ましくは上記無機微細粉末(B)の表面を予め親水化処理するものとして用いる。
親水化剤(C)による無機微細粉末(B)の表面処理は、無機粒子を湿式粉砕する際に、水溶性であり、好ましくは平均分子量が1,000〜150,000の範囲である、カチオン系ポリマーおよびアニオン系高分子界面活性剤の少なくとも一方の水溶液を導入し、無機粒子を粉砕しながら表面処理することによって実施することができる。カチオン系ポリマーおよびアニオン系高分子界面活性剤によるそれぞれの親水化処理を逐次行ってもよい。このとき、2つの親水化処理の順番は問わない。親水化剤(C)により親水化処理した無機微細粉末(B)の好ましい例として、特開平7−300568号公報に記載されるものを挙げることができる。またこれら親水化剤(C)により親水化処理された無機微細粉末(B)の具体的な商品例としては、ファイマテック社製の「AFF−Z」等を挙げることができる。
【0018】
[親水化剤(C)の配合量]
吸水層中に上記の親水化剤(C)は、1〜2質量%の割合で含まれる。好ましくは1〜1.5質量%の割合で含まれる。吸水層中の親水化剤(C)の割合が1質量%以上であれば、前記液体吸収容積を大きくすることができ、逆に2質量%以下であれば、液体吸収係数の上昇を抑えやすい。
このような親水化剤(C)の配合量の調整は、個々の原料を秤量して混合しても良いし、湿式粉砕する過程において親水化剤(C)で無機微細粉末(B)の表面を予め親水化処理する場合にその処理量を加減しても良いし、親水化剤(C)で予め表面を一定量親水化処理した無機微細粉末(B)と、親水化処理していない無機微細粉末(B)とを秤量して混合して同範囲としても良い。親水化処理した無機微細粉末(B)と親水化処理していない無機微細粉末(B)をともに用いる場合は、親水化処理した無機微細粉末(B)100質量部に対して、親水化処理していない無機微細粉末(B)を好ましくは1質量部以上、より好ましくは10質量部以上、さらに好ましくは20質量部以上用いることができ、また、好ましくは99質量部以下、より好ましくは85質量部以下、さらに好ましくは70質量部以下用いることができる。
【0019】
[分散剤(D)]
本発明の樹脂延伸フィルムを構成する吸水層は、分散剤(D)を含むものであってもよい。本発明において分散剤(D)は、吸水層中の無機微細粉末(B)の分散性を改善し、吸水層中の空孔の均一性を向上するために添加するものである。本発明に使用できる分散剤(D)としては、樹脂中への無機微細粉末の分散剤として公知のものを用いることができるが、酸変性ポリオレフィン系樹脂およびシラノール変性ポリオレフィン系樹脂の少なくとも一方が好ましく、特に酸変性ポリオレフィン系樹脂が好ましい。具体例としては三洋化成社製の「ユーメックス1001」が例示できる。分散剤は、1種類を単独で用いてもよいし、2種類以上を組み合わせて用いてもよい。
本発明の樹脂延伸フィルムを構成する吸水層に分散剤(D)を使用する場合は、0.01質量%以上の割合で添加することが好ましく、1質量%以上の割合で添加することがより好ましい。また、分散剤(D)は20質量%以下の割合で添加することが好ましく、10質量%以下の割合で添加することがより好ましく、5質量%以下の割合で添加することがさらに好ましい。分散剤(D)が0.01質量%以上であれば分散剤本来の機能を発揮しやすくなる傾向がある。逆に分散剤(D)が20質量%以下であれば無機微細粉末(B)の凝集を回避しやすくなる傾向がある。
【0020】
[添加剤]
本発明の樹脂延伸フィルムには、必要に応じて熱安定剤、紫外線安定剤、酸化防止剤、ブロッキング防止剤、核剤、滑剤、着色剤等の公知の添加剤を配合してもよい。これらの添加剤は、本発明の樹脂延伸フィルムを構成する吸水層以外の層にも添加することができる。これらの添加剤を添加する場合は、各層に0.01〜3質量%の割合で配合するのが好ましい。
【0021】
[樹脂延伸フィルムの製造]
次に、本発明の樹脂延伸フィルムの製造方法について説明する。
本発明の樹脂延伸フィルムの製造方法は、熱可塑性樹脂(A)24〜64質量%、無機微細粉末(B)35〜75質量%、および親水化剤(C)1〜2質量%を含む樹脂組成物をシート状に押し出した樹脂シートを少なくとも一方向に延伸することによって樹脂延伸フィルムを製造する。本発明の樹脂延伸フィルムの製造方法は、樹脂組成物が特定の組成である点に特徴があり、この他の工程は、当業者に公知の種々の方法を組み合わせて行うことができる。いかなる方法により製造された樹脂延伸フィルムであっても、本発明の特許請求の範囲に記載された条件を満たすものである限り本発明の範囲内に包含される。
【0022】
本発明の樹脂延伸フィルムの原料となる樹脂組成物から、本発明の樹脂延伸フィルムを製造する方法は特に制限されず、通常用いられている方法の中から適宜選択して採用することができる。
例えば、溶融状態の樹脂組成物をシート状に押し出して冷却することにより樹脂シートを製造する方法を挙げることができる。このとき樹脂組成物は、樹脂組成物の溶融温度よりも通常は30〜110℃高い温度、好ましくは50〜90℃高い温度で溶融する。溶融する際には、同時に混練することが好ましい。
具体的には、押出機などを用いて樹脂組成物を溶融混練して、Tダイなどからシート状に押し出す方法を好ましく採用することができる。シート状に押し出した樹脂組成物を冷却ロールに押し当てた後、冷却装置などを用いて冷却して樹脂シートとするキャスト法が好適に使用できる。このとき、Tダイ内で複数の樹脂組成物を積層することにより多層樹脂シートを得ることができる。また、あらかじめキャスト法により得た樹脂シート(このとき、該樹脂シートは延伸されていてもかまわない)にTダイなどからシート状に押し出された樹脂組成物を積層して多層樹脂シートを得ることもできる。
本発明の樹脂延伸フィルムは、上記の原料を含む樹脂組成物よりなる吸水層を含むものであり、同吸水層は本発明の樹脂延伸フィルムの少なくとも一方の表面に存在するものであり、加えて1軸もしくは2軸延伸したものであることが好ましい。同層の延伸には、公知の種々の方法を採用することができる。
【0023】
[層構成]
本発明の樹脂延伸フィルムは、吸水層単体からなる単層構造であっても、吸水層に別の樹脂層を積層した2層以上の多層構造であってもよい。単層構造の場合、上記の原料からなる樹脂組成物をシート状に押し出した樹脂シートを1軸もくしは2軸延伸することで吸水層単層からなる樹脂延伸フィルムとして用いることができる。
多層構造の場合、最外層が吸水層であることが好ましい。そのような多層構造としては、例えば基材層の少なくとも片面に上記の樹脂組成物からなる吸水層を積層した構造を有する樹脂延伸フィルムを例示することができる。この場合、基材層の片面にのみ吸水層が設けられた2層構成であってもよいし、基材層の両面に吸水層が設けられた3層構成であってもよい。また、基材層と吸水層との間に、さらに他の樹脂層が設けられた多層構成であってもよい。
基材層の材料としては、熱可塑性樹脂や、熱可塑性樹脂と無機微細粉末とを含む樹脂組成物等を用いることができる。また、基材層に用いる樹脂組成物には分散剤が添加されていてもよい。基材層に使用される熱可塑性樹脂、無機微細粉末および分散剤の種類については、吸水層に使用される熱可塑性樹脂、無機微細粉末および分散剤についての記載を参照することができる。
多層構造の樹脂延伸フィルムは、少なくとも一部の層が延伸されていればよく、全ての層が延伸されていてもよいし、一部の層のみが延伸されていてもよいが、全ての層が延伸されていることが好ましい。
また、多層構造の場合は、それぞれの層を別々に成形した後に積層することによって製造してもよいし、積層した後にまとめて1軸もしくは2軸延伸して製造してもよい。
それぞれの層を別々に成形する場合、各層の延伸軸の数および延伸方向は同じであってもよいし、異なっていてもよい。
積層後にまとめて延伸する場合、例えば、樹脂シートの一方の面に吸水層を積層し、その後1軸もしくは2軸延伸することにより、積層構造物として得ることができる。または樹脂シートを1軸もしくは2軸延伸し、次いで吸水層を積層して積層構造物として得ることもできる。上記のように各層を積層した後にまとめて延伸する方が簡便であり製造コストも安くなる。
【0024】
[1軸延伸]
1軸延伸の具体的な方法としては、上記樹脂シートの搬送方向にロール群の周速差を利用して延伸するロール間延伸(以後、本発明では縦延伸と表記)、樹脂シートの搬送方向に直交する方向(幅方向)にテンターオーブンを利用して延伸するクリップ延伸(以後、本発明では横延伸と表記)、チューブラー法を利用したインフレ成形法などを挙げることができる。
縦延伸法によれば、延伸倍率を任意に調整して、任意の空孔率、剛性、不透明度、平滑度、光沢度を有する1軸樹脂延伸フィルムを得ることが容易である。特に縦延伸法は任意に空孔率を調整して、任意の液体吸収係数を有する樹脂延伸フィルムを得ることが容易であり好ましい。従って延伸倍率は特に限定されるものではなく、本発明の樹脂延伸フィルムに所望する物性と、用いる熱可塑性樹脂(A)の特性等を考慮して決定する。熱可塑性樹脂(A)として結晶性プロピレン系樹脂を用いる場合、縦延伸法での延伸倍率は通常は2倍以上であり、4倍以上であることが好ましく、5倍以上であることがより好ましい。また、通常は12倍以下の範囲であり、10倍以下であることが好ましく、7倍以下であることがより好ましい。2〜12倍の範囲内にすれば所望の物性を有する1軸樹脂延伸フィルムを安定して製造しやすくなる傾向がある。
【0025】
横延伸法によれば、機器の制約上、縦延伸法ほど延伸倍率の自由度はないものの、得られる樹脂延伸フィルム幅を調整することが容易である。樹脂延伸フィルム幅を大きく取れれば、その用途を拡大することが容易となる。熱可塑性樹脂(A)として結晶性プロピレン系樹脂を用いる場合、横延伸法の延伸倍率は通常は4倍以上であり、5倍以上であることがより好ましい。また、通常は11倍以下であり、10倍以下であることがより好ましく、9倍以下であることがさらに好ましい。延伸倍率を4倍以上にすることによって、連通孔が形成され、且つ延伸ムラを防いでより均一な膜厚の1軸樹脂延伸フィルムを製造することが容易になる傾向がある。また11倍以下にすることによって、延伸切れや粗大な穴あきをより効果的に防ぎやすくなる傾向がある。
延伸温度は、熱可塑性樹脂(A)の融点より5℃以上低い温度条件で行うことが好ましく、10℃以上低い温度条件で行うことがより好ましい。
【0026】
[2軸延伸]
2軸延伸法によれば任意に空孔率を調整して、任意の液体吸収係数を有する広幅の樹脂延伸フィルムを得ることがより容易であり好ましい。2軸延伸の具体的な方法としては、上記縦延伸法と、上記横延伸法を組み合わせて利用した逐次2軸延伸を挙げることができる。
逐次2軸延伸法によれば、縦延伸での倍率を任意に調整することが容易である。横延伸は機器の制約上、自由度は小さいが同様に延伸倍率を調整することができる。そのため、2軸樹脂延伸フィルムは任意の空孔率、剛性、不透明度、平滑度、光沢度を有するものを得ることが容易である。
また、2軸延伸の別の具体的な方法としては、樹脂シートの搬送方向(製造ライン方向)の延伸と、樹脂シートの搬送方向に直交する方向の延伸を同時に行う同時2軸延伸を挙げることができる。より具体的には、テンターオーブンとパンタグラフの組合せ、テンターオーブンとリニアモーターの組合せによる同時2軸延伸方法などを挙げることができる。また、インフレーションフィルムの延伸方法であるチューブラー法による同時2軸延伸方法を挙げることができる。
【0027】
テンターオーブンを用いた同時2軸延伸法によれば、縦延伸及び横延伸の倍率を同時に調整できるため、等方的で応力緩和に起因する収縮を極力抑えた樹脂延伸フィルムを製造することが容易である。また樹脂シートの延伸や搬送をロールに頼る部分が少なくなり、クリップによる搬送の比率が多くなるために、樹脂延伸フィルム表面が機器接触による擦過の影響を受けづらく、より安定した品質の樹脂延伸フィルムが製造できる。
熱可塑性樹脂(A)として結晶性プロピレン系樹脂を用いる場合、面積延伸倍率は通常は2倍以上であり、10倍以上であることが好ましく、15倍以上であることがさらに好ましい。また、通常は80倍以下であり、70倍以下であることが好ましく、60倍以下であることがさらに好ましい。2〜80倍の範囲内にすれば所望の物性を有する吸水層を安定して製造しやすくなる傾向がある。延伸温度は、熱可塑性樹脂(A)の融点より5℃以上低い温度条件で行うことが好ましく、10℃以上低い温度条件で行うことがより好ましい。
【0028】
[熱処理]
延伸後の樹脂延伸フィルムは、延伸に伴うポリマー分子鎖の緊張を緩和する目的から、熱処理を行うのが好ましい。熱処理の温度は、延伸温度から延伸温度より30℃高い温度の範囲内を選択することが好ましい。熱処理の時間は、通常は0.1秒以上であり、好ましくは0.5秒以上であり、より好ましくは1秒以上である。また、通常は30秒以内であり、好ましくは20秒以内であり、より好ましくは10秒以内である。熱処理を行うことにより、延伸方向の残留応力に起因する熱収縮率が低減し、製品保管時の巻き締まりや熱による収縮から生じるシートの波打ち等が少なくなる。熱処理の方法はロール加熱又は熱オーブンで行うのが一般的であるが、これらを組み合わせてもよい。これらの熱処理は、延伸したフィルムを緊張下に保持した状態において行うのがより高い処理効果が得られるので好ましい。
【0029】
[搬送]
本発明の樹脂延伸フィルムは、自身を搬送しながら連続的に製造することができる。すなわち、樹脂組成物から形成した樹脂シートを搬送しながら1軸もしくは2軸延伸し、必要に応じて熱処理を行い、効率よく透水性フィルムを製造することができる。搬送速度は、縦延伸の場合、通常は10m/min以上であり、30m/min以上であることが好ましく、50m/min以上であることがより好ましい。また、通常は500m/min以下であり、300m/min以下であることが好ましく、200m/min以下であることがより好ましい。横延伸の場合、通常は10m/min以上であり、30m/min以上であることが好ましく、50m/min以上であることがより好ましい。また、通常は150m/min以下であり、120m/min以下であることが好ましく、100m/min以下であることがより好ましい。逐次二軸延伸の場合、通常は10m/min以上であり、30m/min以上であることが好ましく、50m/min以上であることがより好ましい。また、通常は500m/min以下であり、300m/min以下であることが好ましく、200m/min以下であることがより好ましい。同時2軸延伸の場合、通常は3m/min以上であり、5m/min以上であることが好ましい。また、通常は350m/min以下であり、120m/min以下であることが好ましく、100m/min以下であることがより好ましい。連続的に製造される帯状の樹脂延伸フィルムは、製造工程中で所望のサイズに裁断してもよいし、いったんロール状に巻き取って保管・運送してから必要に応じて所望のサイズに裁断してもよい。
【0030】
[積層体]
本発明の樹脂延伸フィルムは、一旦これを成形した後に、更に他のシート状物を積層して積層体としてもよい。
この場合、他のシート状物としては別の樹脂延伸フィルム、熱可塑性樹脂シート、ラミネート紙、パルプ紙、織布、不織布、樹脂コーティング層などが挙げられる。何れの場合でも、樹脂延伸フィルムの吸水層が最外層となるように積層することが好ましい。
また例えば2枚の樹脂延伸フィルムの間に、中間層として他の熱可塑性樹脂フィルム層や不織布層などを含むものであってもよい。
【0031】
[樹脂延伸フィルムの特徴]
[厚み]
本発明の樹脂延伸フィルムにおける厚みとは、JIS K 7130:1999に準拠して測定した値をいう。
なお、本発明の樹脂延伸フィルムが多層構造である場合に、吸水層を含む各層の厚みは、測定対象試料の断面を走査型電子顕微鏡を使用して断面観察を行い、観察像から樹脂組成物ごとの境界線を判別して、樹脂延伸フィルム全体の厚みと観察される層厚み比率を乗算して求めるものとする。
本発明の樹脂延伸フィルムの厚みは特に制限されないが、塗工用原反としての用途から20μm以上であることが好ましく、40μm以上であることがより好ましく、50μm以上であることがさらに好ましい。また、500μm以下であることが好ましく、400μm以下であることがより好ましく、300μm以下であることがさらに好ましい。
また、本発明の樹脂延伸フィルムを構成する吸水層の厚みは、その液体吸収容積との関連から1μm以上であることが好ましく、3μm以上であることがより好ましく、5μm以上であることがさらに好ましい。また、100μm以下であることが好ましく、70μm以下であることがより好ましく、60μm以下であることがさらに好ましい。
また、吸水層と基材層の積層構造とする場合、基材層の厚みは、15μm以上であることが好ましく、20μm以上であることがより好ましく、30μm以上であることがさらに好ましい。また、基材層の厚みは、400μm以下であることが好ましく、300μm以下であることがより好ましく、200μm以下であることがさらに好ましい。
【0032】
[密度]
本発明の樹脂延伸フィルムにおける密度とはJIS P 8118:1998に準拠して測定した値をいう。
本発明の樹脂延伸フィルムの密度はフィルム成形安定性の観点から通常は0.5g/cm
3以上であり、0.6g/cm
3以上が好ましく、0.7g/cm
3以上がより好ましい。また、通常は1.6g/cm
3以下であり、1.4g/cm
3以下が好ましく、1.2g/cm
3以下がより好ましい。
【0033】
[液体吸収容積]
本発明における吸水層の液体吸収容積とは、Japan Tappi No.51:2000に記載のブリストー法による液体吸収性試験方法に準拠し測定される液体の転移量であり、測定溶液滴下後1092ミリ秒の単位面積当たりの吸収量を意味する。
本発明における吸水層の液体吸収容積は、0.5ml/m
2以上であり、1ml/m
2以上であることが好ましく、3ml/m
2以上であることがより好ましく、5ml/m
2以上であることがさらに好ましい。また、100ml/m
2以下であることが好ましく、70ml/m
2以下であることがより好ましく、60ml/m
2以下であることがさらに好ましい。吸水層の液体吸収容積が0.5ml/m
2以上であれば充分な液体吸収の機能を発揮でき、塗工用原反として有用なものである。
【0034】
[液体吸収係数]
本発明における吸水層の液体吸収係数とは、Japan Tappi No.51:2000に記載のブリストー法による液体吸収性試験方法に準拠し算出される吸収係数であり、測定溶液滴下後25ミリ秒から143ミリ秒経過における吸水曲線から最小二乗法により得られた直線の勾配を意味する。
本発明における吸水層の液体吸収係数は、0.1〜2ml/(m
2・ms
1/2)の範囲であり、0.15ml/(m
2・ms
1/2)以上であることが好ましく、0.2ml/(m
2・ms
1/2)以上であることがより好ましい。また、1.8ml/(m
2・ms
1/2)以下であることが好ましく、1.5ml/(m
2・ms
1/2)以下であることがより好ましい。 液体吸収係数が0.1ml/(m
2・ms
1/2)以上であれば、充分な液体吸収の機能を発揮でき、塗工液の乾燥遅延を招くこともない。液体吸収係数が2ml/(m
2・ms
1/2)以下であれば、塗工表面に気泡が欠陥として現れることもない。
液体吸収係数および上記の液体吸収容積は、親水化剤および無機微細粒子の種類、配合量等によって制御することができる。
【0035】
[塗料の浸透深さ]
本発明の樹脂延伸フィルムにおける塗料の浸透深さは、測定対象試料の吸水層面上に十分な量の塗料組成物を塗工し乾燥後、該試料を切断して断面測定用の試料を作成し、得られた試料を走査型電子顕微鏡(SEM)による断面観察を行い、観察像の画像解析によって算出する。塗料の密着性を向上させる観点から、樹脂延伸フィルムの塗料の浸透深さは、3μm以上であることが好ましく、5μm以上であることがより好ましい。一方、塗料塗工時に気泡が発生することを抑制する観点から、同浸透深さは、15μm以下であることが好ましく、10μm以下であることがより好ましい。
【0036】
[粘着強度]
本発明の樹脂延伸フィルムにおける粘着強度は、JIS Z 0237:2000に準拠し、180度引きはがし粘着力によって測定された値を意味する。塗料(塗膜)と樹脂延伸フィルムとの密着性の観点から、同粘着強度は、200gf/15mm以上であることが好ましく、220gf/15mm以上であることがより好ましく、250gf/15mm以上であることが更に好ましい。粘着強度が200gf/15mm以上であれば、塗料(塗膜)と樹脂延伸フィルムとの密着力は十分であり、樹脂延伸フィルムが塗工用原反として有用であることを示す。このような粘着強度は、上記浸透深さが5μm以上である場合に、塗料の樹脂延伸フィルムへのアンカー効果によって達成しやすい。
【0037】
[不透明度]
本発明の樹脂延伸フィルムの不透明度は、JIS P 8149:2000に準拠して測定した不透明度を意味する。本発明の樹脂延伸フィルムの不透明度は10%〜100%であることが好ましい。不透明度が10%以上であれば、吸水層に形成される空孔の数が十分であり、本発明の所望の液体吸収係数を得やすい傾向がある。また、本発明の樹脂延伸フィルムを印刷媒体として使用する場合は、印刷された文字が判読可能であることが望ましいことから、樹脂延伸フィルムの不透明度は40〜100%であることが好ましく、50〜100%がより好ましく、60〜100%がさらに好ましい。不透明度が40%以上であれば、文字を容易に判読することができる。
【0038】
[樹脂延伸フィルムの用途]
本発明の樹脂延伸フィルム、または本発明の樹脂延伸フィルムを積層した積層体は、その吸水層表面に種々の塗料を好適に塗工可能な、塗工用原反として有用なものである。これら樹脂延伸フィルムまたは積層体に感熱糊やインキ定着液などの塗料を塗工したものは、それぞれ感熱ラベルやインクジェット記録媒体などの用途に用いることができる。
【実施例】
【0039】
以下に製造例、実施例、参考例、比較例および試験例を挙げて、本発明をさらに具体的に説明する。以下に示す材料、使用量、割合、操作等は、本発明の趣旨を逸脱しない限り適宜変更することができる。従って、本発明の範囲は以下に示す具体例により限定的に解釈されるものではない。以下の実施例および比較例で使用する材料を表1にまとめて示す。なお、同表中のMFRとはJIS K 7210:1999に規定するメルトフローレートを意味し、軟化点とはJIS K 7206:1999に規定するビカット軟化温度を意味する。
ただし、以下に記載される「実施例5」、「実施例10」、「実施例15」、「実施例20」は、それぞれ順に「参考例5」、「参考例10」、「参考例15」、「参考例20」と読み替えるものとする。
【0040】
[厚み]
樹脂延伸フィルムの厚みは、JIS K 7130:1999に準拠し、定圧厚み測定器((株)テクロック製、商品名:PG−01J)を用いて測定した。
得られた樹脂延伸フィルムが多層構造である場合は、吸水層を含む各層の厚みは、測定対象試料を液体窒素にて−60℃以下の温度に冷却し、ガラス板上に置いた試料に対してカミソリ刃(シック・ジャパン(株)製、商品名:プロラインブレード)を直角に当て切断し断面測定用の試料を作成し、得られた試料を走査型電子顕微鏡(日本電子(株)製、商品名:JSM−6490)を使用して断面観察を行い、組成外観から樹脂組成物ごとの境界線を判別して、樹脂延伸フィルム全体の厚みと観察される層厚み比率を乗算して求めた。
【0041】
[密度]
樹脂延伸フィルムの密度はJIS P 8118:1998に準拠し、定圧厚み測定器((株)テクロック製、商品名:PG−01J)と電子天秤((株)島津製作所製、商品名:UX220H)を用いて測定した。
【0042】
[不透明度]
樹脂延伸フィルムの不透明度を、JIS P 8149:2000に準拠して測定した。不透明度は、試料背面に黒色板をあてて測定した値を、同試料背面に白色板をあてて測定した値で除した数値を百分率で表示したものである。
【0043】
[樹脂組成物(a)〜(j)の製造例]
予め表1に記載の使用原料を使用し、表1に記載の割合で混合した原料混合物(a)〜(j)を、210℃に設定した2軸混練機にて溶融混練し、次いで230℃に設定した押出機にてストランド状に押し出し、冷却後にストランドカッターにて切断して樹脂組成物(a)〜(j)のペレットを作成して、以降の製造例で使用した。
【0044】
[樹脂延伸フィルムの製造例1]
吸水層用の樹脂組成物(a)と、基材層用の樹脂組成物(h)とを、250℃に設定した2台の押出機でそれぞれ溶融混練し、これを共押出Tダイ内で積層してシート状に押し出し、これを冷却装置にて80℃まで冷却して無延伸の樹脂シートを得た。
この樹脂シートを140℃まで加熱した後、多数のロール群の周速差を利用したロール間延伸法にて樹脂シートの搬送方向(縦方向)に5倍の延伸倍率で1軸延伸し、更に160℃にて2秒間熱処理を行った。その後60℃まで冷却し、耳部をスリットして1軸延伸された樹脂延伸フィルムを得た。延伸ゾーン以外の領域における樹脂シートと樹脂延伸フィルムの搬送速度は、延伸後に100m/minとなるように制御した。
これらの樹脂延伸フィルムの物性(厚み、密度、不透明度)は表2に示すとおりであった。
【0045】
[製造例2〜9]
製造例1において、吸水層用の樹脂組成物(a)を表2に記載の吸水層用の樹脂組成物(b)〜(j)に変更したこと以外は製造例1と同様にして製造例2〜9の、1軸延伸された樹脂延伸フィルムを得た。
この時、延伸ゾーン以外の領域における樹脂シートと樹脂延伸フィルムの搬送速度は、延伸後に100m/minとなるように制御した。
【0046】
[製造例10]
特開平10−212367号公報の実施例9に記載の樹脂延伸フィルムを用いた。
【0047】
[製造例11]
製造例1において、吸水層用の樹脂組成物(a)を表2に記載の吸水層用の樹脂組成物(k)に変更したこと以外は製造例1と同様にして樹脂延伸フィルムを得ようとしたところ、吸水層が均一に延伸されず、フィルムが得られなかった。
【0048】
[製造例12〜20]
製造例1において、吸水層用の樹脂組成物(a)を表2に記載の吸水層用の樹脂組成物(a)〜(j)に変更したこと、テンター延伸機を用いたクリップ延伸法における延伸温度を155℃に変更し、延伸倍率を8倍に変更したこと以外は製造例1と同様にして製造例12〜20の1軸延伸された樹脂延伸フィルムを得た。この時、樹脂シートと樹脂延伸フィルムの搬送速度は、70m/minに制御した。
【0049】
[製造例21]
製造例10において、吸水層用の樹脂組成物(a)を吸水層用の樹脂組成物(k)に変更したこと以外は製造例10と同様にして樹脂延伸フィルムを得ようとしたところ、吸水層が均一に延伸されず、フィルムが得られなかった。
【0050】
[製造例22]
基材層用の樹脂組成物(h)を、250℃に設定した押出機で溶融混練して、これをTダイよりシート状に押し出し、これを冷却装置にて80℃まで冷却して無延伸の樹脂シートを得た。
この樹脂シートを140℃まで加熱した後、多数のロール群の周速差を利用したロール間延伸法にて樹脂シートの搬送方向(縦方向)に5倍の延伸倍率で1軸延伸し、その後60℃にて冷却して1軸延伸された樹脂延伸フィルムを得た。
次いで、吸水層用の樹脂組成物(a)を、250℃に設定した2台の押出機で溶融混練して、これをTダイよりシート状に押し出し、上記の1軸延伸された樹脂延伸フィルムの両面に積層して3層構造の積層物を得た。
この3層積層物を、テンターオーブンを用いて再び155℃の延伸温度まで加熱した後、テンター延伸機を用いたクリップ延伸法にて樹脂シートの幅方向(横方向)に8倍の延伸倍率で延伸し、更にオーブンで160℃まで加熱して2秒間熱処理を行った。その後60℃まで冷却し、耳部をスリットして逐次2軸延伸された1軸/2軸/1軸の3層樹脂延伸フィルムを得た。樹脂シートと樹脂延伸フィルムの搬送速度は、120m/minに制御した。
【0051】
[製造例23〜30]
製造例22において、吸水層用の樹脂組成物(a)を表3に記載の基材層用の樹脂組成物(b)〜(j)に変更したこと以外は製造例22と同様にして製造例23〜30の、逐次2軸延伸された1軸/2軸/1軸の3層樹脂延伸フィルムを得た。
【0052】
[製造例31]
製造例22において、吸水層用の樹脂組成物(a)を樹脂組成物(k)に変更したこと以外は製造例22と同様にして樹脂延伸フィルムを得ようとしたところ、吸水層が均一に延伸されず、フィルムが得られなかった。
【0053】
[製造例32]
吸水層用の樹脂組成物(h)と、基材層用の樹脂組成物(a)を、250℃に設定した3台の押出機でそれぞれ溶融混練し、これを共押出Tダイ内で吸水層/基材層/吸水層となるように積層してシート状に押し出し、これを冷却装置にて80℃まで冷却して無延伸の樹脂シートを得た。
この樹脂シートを155℃まで加熱した後、テンターオーブンとパンタグラフの組合せによる同時2軸延伸機を用いて、樹脂シートの搬送方向(縦方向)に5倍の延伸倍率、および樹脂シートの搬送方向に直交する方向(横方向)に8倍の延伸倍率でそれぞれ延伸し、更にオーブンで165℃まで加熱して4秒間熱処理を行い、同時2軸延伸された2軸/2軸/2軸の3層樹脂延伸フィルムを得た。
【0054】
[製造例33〜40]
製造例32において、吸水層用の樹脂組成物(a)を表3に記載の基材層用の樹脂組成物(b)〜(j)に変更したこと以外は製造例32と同様にして製造例33〜40の、同時2軸延伸された2軸/2軸/2軸の3層樹脂延伸フィルムを得た。
【0055】
[製造例41]
製造例32において、吸水層用の樹脂組成物(a)を樹脂組成物(k)に変更したこと以外は製造例32と同様にして樹脂延伸フィルムを得ようとしたところ、吸水層が破断してフィルムが得られなかった。
【0056】
[製造例42〜52]
表3に記載の特許文献の実施例に記載の樹脂延伸フィルムを用いた。
【0057】
【表1】
【0058】
【表2】
【0059】
【表3】
【0060】
[実施例1〜20及び比較例1〜32]
製造例1〜52の樹脂延伸フィルムにおいて、本発明の範囲内のものを実施例1〜20とし、本発明の範囲外のものを比較例1〜32とした。フィルムとして製造できた実施例1〜20と、比較例1〜5、7〜10、12〜15、17〜20、22〜32の各フィルムについて、下記の各試験を実施した。各試験の結果を表4にまとめて示す。
【0061】
[液体吸収容積]
樹脂延伸フィルムの液体吸収容積は、ブリストー法(Japan Tappi No.51:2000)に準拠し、液体動的吸収性試験機(熊谷理機工業(株)製:ブリストー試験機II型)を使用して測定した液体の転移量(V)である。液体吸収容積は、測定溶液に蒸留水98質量%に着色用染料としてスタンプインキ(赤)(シャチハタ(株)製)2質量%を混合したものを用いて、測定溶液滴下後1092ミリ秒の単位面積当たりの吸収量から求めた。
【0062】
[液体吸収係数]
樹脂延伸フィルムの液体吸収係数は、ブリストー法(Japan Tappi No.51:2000)に準拠し、液体動的吸収性試験機(熊谷理機工業(株)製:ブリストー試験機II型)を使用して算出した吸収係数(Ka)である。液体吸収係数は、測定溶液に蒸留水98質量%に着色用染料としてスタンプインキ(赤)(シャチハタ(株)製)2質量%を混合したものを用いて、測定溶液滴下後25ミリ秒から143ミリ秒経過における吸水曲線から最小二乗法により直線を得て、その勾配から求めた。
【0063】
[塗工時の泡の発生]
樹脂延伸フィルムをA4サイズ(210mm×297mm)に断裁して、各サンプルの吸水層の面上に感熱糊(ディレード糊、DIC株式会社製、商品名:ED900)を、バーコーター(テスター産業株式会社製、商品名:PI-1210自動塗工装置)およびバーNo.2を用いて5g/m
2となるように塗工し、70℃で1分乾燥した後に塗工面の外観を目視で確認し表面の気泡の発生個数を求めた。気泡の個数は、以下の基準で2段階に評価した。
○:0個であり気泡の発生は見られない
×:1個以上であり気泡の発生による外観欠陥が見られる
【0064】
[塗料の浸透深さ]
樹脂延伸フィルムをA4サイズ(210mm×297mm)に断裁し、各サンプルの吸水層の面上に感熱糊(ディレード糊、DIC株式会社製、商品名:ED900)を、バーコーター(テスター産業株式会社製、商品名:PI-1210自動塗工装置)およびバーNo.9を用いて20g/m
2となるように塗工し、70℃で1分乾燥した。塗料の浸透深さは、測定対象試料を液体窒素にて−60℃以下の温度に冷却し、ガラス板上に置いた試料に対してカミソリ刃(シック・ジャパン(株)製、商品名:プロラインブレード)を直角に当て切断し断面測定用の試料を作成し、得られた試料を走査型電子顕微鏡(日本電子(株)製、商品名:JSM−6490)を使用して断面観察を行い、組成外観から判別して、塗料の浸透深さと観察される層厚み比率を乗算して求めた。塗料の浸透深さは、以下の基準で2段階に評価した。
○:5μm以上15μm以下
×:5μm未満及び16μm以上
【0065】
[粘着力]
樹脂延伸フィルムを幅15mm長さ300mmに切り、120℃の循環乾燥機中で1分間加熱し、JIS Z 0237:2000の180°引きはがし粘着力に準拠して測定し、以下の基準で2段階に評価した。
○:200gf/15mm以上
×:200gf/15mm未満
【0066】
【表4】
【0067】
表4から分かるとおり、樹脂延伸フィルムの吸水層が熱可塑性樹脂(A)24〜64質量%、無機微細粉末(B)35〜75質量%、および親水化剤(C)1〜2質量%を含むものであり、液体吸収容積が0.5ml/m
2以上であり、かつ同法により算出される液体吸収係数が0.1〜2ml/(m
2・ms
1/2)を満たす実施例1〜20では、塗工時の泡の発生は見られず、塗工用原反として好適であった。
一方、無機微細粉末(B)の含有量が35質量%未満である比較例2、8、13、18および、親水化剤の含有量が0.1質量%未満である比較例28、31、32では、液体吸収容積が0.5ml/m
2未満であり、塗料の浸透深さが浅く、密着強度を塗工用原反としては不適であった。
また、親水化剤の含有量が0.1質量%以上1質量%未満である比較例3、9、14、19は、液体吸収容積が0.5ml/m
2以上であっても、液体吸収係数が0.1ml/(m
2・ms
1/2)未満と遅く、塗料が吸水層に浸透される前に乾燥し、塗工用原反としては不適であった。
また、親水化剤の含有量が2質量%を超える比較例1、4、7、10、12、15、17、20、22〜27、29、30では、液体吸収容積が0.5ml/m
2以上であって、液体吸収係数が2ml/(m
2・ms
1/2)を越えて速く、塗工時に気泡による外観不良が発生し、塗工用原反としては不適であった。
一方、樹脂延伸フィルムの吸水層に含まれる無機微細粉末(B)が75質量%を超える比較例6、11、16、21では、延伸フィルムの製造時に吸水層の延伸が不均一になったり、吸水層が破断したりして、樹脂延伸フィルムを得ることができなかった。
このほか、分散剤(D)が1質量%の実施例2、7、12、17では、樹脂延伸フィルム中にわずかに異物が観察され、分散剤(D)が4質量%の実施例3、8、13、18では、樹脂組成物(c)をTダイから連続的に押し出す際に、Tダイ出口のリップ部分に固形分が蓄積する傾向があったが、得られた樹脂延伸フィルムは、塗工用原反としては好適なものであった。
【0068】
本発明を詳細にまた特定の実施態様を参照して説明したが、本発明の精神と範囲を逸脱することなく様々な変更や修正を加えることができることは当業者にとって明らかである。