特許第6184827号(P6184827)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6184827電子装置、ジェスチャー入力方法、及びプログラム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6184827
(24)【登録日】2017年8月4日
(45)【発行日】2017年8月23日
(54)【発明の名称】電子装置、ジェスチャー入力方法、及びプログラム
(51)【国際特許分類】
   G06F 3/01 20060101AFI20170814BHJP
【FI】
   G06F3/01 570
【請求項の数】6
【全頁数】11
(21)【出願番号】特願2013-208171(P2013-208171)
(22)【出願日】2013年10月3日
(65)【公開番号】特開2015-72609(P2015-72609A)
(43)【公開日】2015年4月16日
【審査請求日】2016年8月4日
(73)【特許権者】
【識別番号】000101732
【氏名又は名称】アルパイン株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100098497
【弁理士】
【氏名又は名称】片寄 恭三
(72)【発明者】
【氏名】中里 光晴
【審査官】 鈴木 大輔
(56)【参考文献】
【文献】 国際公開第2006/038577(WO,A1)
【文献】 米国特許出願公開第2009/0189858(US,A1)
【文献】 特開2003−280641(JP,A)
【文献】 特開2013−257686(JP,A)
【文献】 特開2007−152984(JP,A)
【文献】 特開2010−202029(JP,A)
【文献】 特開2001−216069(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B60R 9/00 − 11/06
G06F 3/01
3/03 − 3/0489
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
車両に搭載され、ジェスチャーによる入力を検出可能な電子装置であって、
タッチパネル機能を有するディスプレイと、
車内のユーザーによるジェスチャー入力を撮像手段により検出可能な検出手段と、
前記ディスプレイにユーザー入力画面が表示されたとき、前記検出手段による検出領域内であって、かつ前記ディスプレイの表示可能領域と異なる領域に、少なくともジェスチャー入力が検出可能な範囲を可視化する可視化手段と、を有し、
前記可視化手段は、前記検出可能な範囲を可視化するレーザー光またはLED光を含み、前記ディスプレイと異なる位置に配置される電子装置。
【請求項2】
前記可視化手段は、前記車両の天井に配置される、請求項1に記載の電子装置。
【請求項3】
前記可視化手段は、ジェスチャー入力を検出可能な範囲の中心点を可視化する、請求項1または2に記載の電子装置。
【請求項4】
前記可視化手段は、前記ユーザー入力画面に要求されるジェスチャーを誘導する誘導指標を可視化する、請求項1ないし3いずれか1つに記載の電子装置。
【請求項5】
前記可視化手段は、レーザー光の出射方向を搖動させる搖動機構を含み、前記ユーザー入力画面に要求されるジェスチャーが前記搖動機構により搖動された誘導指標によって示される、請求項1ないしいずれか1つに記載の電子装置。
【請求項6】
電子装置はさらに、前記検出手段によって検出された検出結果に基づきジェスチャーを解析する解析手段と、解析された結果に基づきジェスチャー入力を実行する実行手段とを含む、請求項1ないしに記載の電子装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ジェスチャーにより指示を入力するジェスチャー入力機能を備えた電子装置または電子システムに関し、特に、ジェスチャー入力のガイドを提示するガイド提示技術に関する。
【背景技術】
【0002】
現在、パソコン、スマートフォン、タブレット端末、車載装置など、様々な電子装置において、タッチパネルが搭載され、各種指示がタッチパネルへのタッチ操作により入力されている。タッチ入力は、ディスプレイに映し出される表示画像に基づき、入力操作が直感的に行えることから、ITスキルを持たない一般の方々にも広く利用されている。このような直感的に操作可能な入力方式は、タッチ入力以外にも、指や手の動きにより入力操作を行うジェスチャー入力、視線方向による視線入力、音声による音声入力などがあり、入力操作が簡便なことから注目を集めている。
【0003】
特許文献1には、指で操作すべき位置及び操作の際の指使いを演奏者にガイドする、安価な楽器の運指ガイド装置に関する技術が開示されている。引用文献2には、対象を注視することで入力を行う視線入力システムにおいて、複数の虚像が表示されている場合であっても、指示の対象となる虚像を簡便に特定することができる虚像表示装置に関する技術が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2003−280641号公報
【特許文献2】特開2005−138755号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
例えば、車載装置では、車内での入力操作をより簡便化するため、ジェスチャーによる入力方式の採用が強く望まれている。ジェスチャー入力では、ユーザーがディスプレイの前方で、表示される指示画面に基づき指や手を移動させたり、指で合図することにより、入力操作を行うことができる。例えば、ルート案内を行うナビゲーション画面において、道路地図を拡大/縮小やスクロールしたり、音楽データなどを再生するメディア再生画面において、再生する楽曲を選択するような入力操作をジェスチャー入力により行うことができる。
【0006】
図7は、従来の車載装置におけるジェスチャー入力操作を説明する図である。従来の車載装置500は、ナビゲーション画面等を表示するディスプレイ502と、ユーザーによるジェスチャー(入力操作)を検出する撮像カメラ504を含んで構成されている。例えば、ディスプレイ502に目的地の候補リスト503が表示されたとき、ユーザーは撮像カメラ504の検出領域506内で、手508を前後方向に移動させる。手の動きを撮像した画像データを解析することで、ディスプレイ502に表示されている目的地の候補リスト503を上下方向にスクロールする指示509を入力することができる。
【0007】
しかしながら、ユーザーは、ジェスチャー入力が可能な検出領域506を視覚により認識することができないため、図7に示すように、検出領域506から外れた位置で手508を移動させてしまうことがあり、ジェスチャーによる入力操作が検出されなかったり、あるいは誤認識されてしまうことがあった。また、ジェスチャー入力では、多数のジェスチャーを予め登録することが可能であり、その指示画面において、どのジェスチャーが要求されているのか分からないことがあった。
【0008】
本発明は、このような従来の課題を解決し、ジェスチャー入力が検出可能な領域を視覚的に提示可能な電子装置、ジェスチャー入力方法及びプログラムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明に係る電子装置は、ジェスチャーによる入力を検出可能な電子装置であって、表示手段と、ジェスチャー入力を検出可能な検出手段と、前記表示手段にユーザー入力画面が表示されたとき、前記検出手段による検出領域内であって、少なくともジェスチャー入力が検出可能な範囲を可視化する可視化手段とを有する。
【0010】
好ましくは、前記検出手段は、撮像手段を含み、前記可視化手段は、前記撮像手段による撮像領域内であって、少なくともジェスチャー入力が検出可能な範囲を可視化する。前記可視化手段は、ジェスチャー入力を検出可能な範囲の中心点を可視化する。前記可視化手段は、前記ユーザー入力画面に要求されるジェスチャーを誘導する誘導指標を可視化する。
【0011】
好ましくは、前記可視化手段は、レーザー光の照射、または投影画像によって検出可能な範囲を可視化する。前記可視化手段は、レーザー光の出射方向を搖動させる搖動機構を含み、前記ユーザー入力画面に要求されるジェスチャーが前記搖動された誘導指標によって示される。好ましくは、電子装置はさらに、前記検出手段によって検出された検出結果に基づきジェスチャーを解析する解析手段と、解析された結果に基づきジェスチャー入力を実行する実行手段とを含む。
【0012】
本発明に係るジェスチャー入力方法は、ユーザー入力画面が表示されたとき、撮像カメラによってジェスチャー入力を検出可能な範囲を可視化するステップとを含む。
【0013】
本発明に係るジェスチャー入力プログラムは、ユーザー入力画面が表示されたとき、撮像カメラによってジェスチャー入力を検出可能な範囲を可視化するステップとを含み、電子装置により実行される。
【発明の効果】
【0014】
本発明によれば、ジェスチャー入力が検出可能な位置を視覚的に提示することで、ユーザーにジェスチャー入力を行うべき位置を容易に認識させることができる。また、表示されるユーザー入力画面が要求するジェスチャーを誘導し、ジェスチャー入力の利便性を向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
図1】本発明の実施例に係る電子装置の一例である車載装置を示す図である。
図2】撮像カメラとガイド提示部との関係を示す概略図を示す図である。
図3】本発明の実施例に係るガイド指標可視化プログラムの機能的な構成例を示すブロック図である。
図4】ガイド指標作成手段が作成するガイド指標の一例である。
図5】ガイド指標作成手段が作成する誘導指標の一例である。
図6】本発明の実施例の車載装置におけるジェスチャー入力のガイド提示制御処理に関するフローチャートである。
図7】従来の車載装置によるジェスチャー入力を説明する図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
本発明の実施の形態について図面を参照して詳細に説明する。本発明の好ましい態様に係る電子装置または電子スステムは、ディスプレイと、ユーザーの指や手等の動きや形状等のジェスチャーを検出する検出手段と、ジェスチャーを検出可能な範囲または領域を可視化する可視化手段と、ディスプレイに表示されたユーザー入力画面に対してジェスチャー入力が行われたとき、検出手段によって検出されたジェスチャーを解析し、ジェスチャーによる入力操作を実行する実行手段とを備える。
【0017】
本発明の電子装置または電子システムは、ノート型PC、タブレット型PC、パーソナルコンピュータ、カーナビゲーション装置、ゲーム機器、施設ガイド用表示装置やその他ジェスチャー入力可能なディスプレイ装置であることができ、ジェスチャー入力が検出可能な範囲や領域を示すガイド指標を提示したり、ユーザー入力画面により要求されるジェスチャーの方向や形態を誘導する誘導指標を提示することができる。これにより、ユーザーは、ジェスチャー入力を行う際、入力エリアを正確に認識することができ、また、誘導指標により電子装置が要求するジェスチャー入力を行うことができる。
【実施例】
【0018】
次に、本発明の実施例に係る電子装置の一例として車載装置について図面を参照して説明する。図1は、車載装置の構成例を示すブロック図である。車載装置10は、CD、DVD、ブルーレイディスク、ハードディスク装置や地上波デジタルテレビ放送などから得られたオーディオデータやビデオデータを再生するマルチメディア再生部20と、自車位置周辺の道路地図を表示したり、目的地までの誘導経路を案内するナビゲーション部40と、ユーザーの指や手の動き等のジェスチャーを撮像する撮像カメラ60と、撮像カメラ60によるジェスチャー入力が検出可能な位置や範囲、または要求されるジェスチャーの方向や形態等のガイドを提示するガイド提示部80と、撮像カメラ60によって撮像された画像データに基づきジェスチャーを解析するジェスチャー解析部100と、メディア再生画面、ナビゲーション画面、ユーザー入力画面などを表示するディスプレイ120と、プログラムやデータ等を記憶する記憶部140、ジェスチャー入力、マウス、キーボード、タッチパネル等のユーザーからの指示を受け取る入力部160、マイクロコントローラやマイクロプロセッサ等を含みプログラムを実行することで各部を制御する制御部180を含んで構成される。
【0019】
撮像カメラ60は、ジェスチャー入力を検出するための検出手段であり、車内の所定の位置に取り付けられる。例えば、撮像カメラ60は、車内のルームミラー、ルームライト付近に設置され、ディスプレイ120の前方辺りで入力操作される、指や手の動き等のジェスチャーを撮像する。撮像カメラ60は、これ以外にも、ディスプレイ120の外縁部に一体的に取付けられたり、車内の天井、座席、インスツルメンツを配したダッシュボードなどに取り付けるようにしてもよい。
【0020】
ガイド提示部80は、LED光やレーザー光、または投射画像を用いて撮像カメラ60の検出エリア(または撮像エリア)を可視化させ、ジェスチャー入力が検出可能な位置や範囲を示すガイド指標を提示することができる。さらにガイド提示部80は、ディスプレイ120に表示されるユーザー入力画面が表示されたとき、そのユーザー入力画面が要求するジェスチャーを誘導する誘導指標をガイド指標の1つとして提示することができる。
【0021】
ガイド提示部80には、好ましくはレーザー光を出射するレーザー機構や投影画像を照射するプロジェクタが利用され、撮像カメラ60と同様に車内の所定の位置、例えば、車内のルームミラー、ルームライト付近に設置される。また、ガイド提示部80は、撮像カメラ60と一体化したモジュールであってもよい。ガイド提示部80は、ガイド指標を静止画のように可視化させてもよいし、ガイド指標を動的に変化させるものであってもよい。後者の場合、ガイド提示部80は、レーザー光の出射方向を搖動させるような搖動機構、あるいは出射方向を可変するための可変ミラーや回転するポリゴンミラー等を用いてガイド指標の動きを制御することが可能である。ガイド提示部80は、後述するようにガイド指標供給手段から供給された情報に基づきガイド指標の可視化を行う。
【0022】
図2は、撮像カメラとガイド提示部との関係を示す概略図である。撮像カメラ60は、例えば、ルームミラーに設置され、ジェスチャー入力が行われる位置、すなわち、ディスプレイ120の前方付近を撮像する。一方、ガイド提示部80は、例えば、天井のルームライト付近に設置され、撮像カメラ60の撮像範囲内であって、ジェスチャー入力の検出エリア190を可視化するガイド指標を提示する。ガイド提示部80から出力される光は、車内の任意の位置または空間を照明することで可視化される。図の例では、ガイド提示部80は、検出エリア190の境界192の4つのコーナーが可視化されるような投射パターンをガイド指標として照射する。投射パターンは、このようなコーナーの可視化以外にも、検出エリア190の全体の輪郭または境界を可視化するような投射パターンをガイド指標として照射してもよい。さらにガイド提示部80は、常時、投射パターンを可視化させる以外に、検出エリア190の境界がレーザースポットによって光学的に走査されるようなガイド指標であってもよい。さらに、ガイド提示部80は、レーザー光Lの出射方向を制御することにより、検出エリア190内に誘導指標194を提示することができる。誘導指標194は、例えば、誘導方向にレーザースポットが移動するような動的な指標であってもよい。
【0023】
ジェスチャー解析部100は、撮像カメラ60により撮像されたジェスチャーの画像データに基づき、入力されるジェスチャーを解析することができる。例えば、ジェスチャー解析部110は、画像データに映し出された指や手を抽出し、指や手の形状や動きを検出し、指や手の方向や、指や手が表す形態を解析する。指や手が表す形態を解析する場合には、予め登録されたジェスチャーのパターンと照合することで、ジェスチャー入力を識別するようにしてもよい。ジェスチャー入力には、例えば、基準に対して平行な前後方向、基準を直交する左右方向、円形方向の移動や、手を開く、握る、指で数を示す形態などの複数種類を含めることが可能であり、ジェスチャー解析部100は、入力されたジェスチャーの方向や形態を判別することができる。
【0024】
記憶部140は、プログラムを格納したり、プログラム以外にも、車載装置10のジェスチャー入力の判別に必要な多数の照合パターンを記憶することができる。一つの例では、ジェスチャーの判別に必要な照合パターンのデータベースに蓄積することができる。他の例では、制御部180は、外部ネットワークを介して、ジェスチャーの照合パターンなどを配信する配信サイトにアクセスし、そこから必要な情報を取得することができる。また、記憶部140は、ナビゲーション動作に必要な道路地図データや、メディア再生動作に必要な楽曲データなどを記憶することができる。
【0025】
制御部180は、好ましい態様では、ROM、RAMなどを含むマイクロコントローラから構成され、ROMまたはRAMは、車載装置の各部の動作を制御するための種々のプログラムを格納することができる。さらに本実施例では、レーザー光を用いて、ジェスチャー入力を検出可能な範囲を示すガイド指標や要求されるジェスチャーを誘導するガイド指標を可視化するガイド指標可視化プログラムを保持する。
【0026】
本実施例によるガイド指標可視化プログラムの機能的な構成を図3に示す。ガイド指標可視化プログラム200は、ユーザー入力画面、メニュー画面、メディア再生画面やナビゲーション画面などをディスプレイ120に表示する画面表示手段202と、ディスプレイにユーザー入力画面が表示されたか否かを判定する判定手段204と、ディスプレイ120にユーザー入力画面が表示されたと判定されたとき、撮像カメラ60の撮像範囲内であって、ジェスチャー入力の検出エリアを示すガイド指標を作成するガイド指標作成手段206と、ガイド指標作成手段206により作成されたガイド指標をガイド提示部80へ供給するガイド指標供給手段208と、ジェスチャー解析部100の解析結果に基づきジェスチャーを判別するジェスチャー判別手段210と、ジェスチャー判別手段210からの判別結果に基づき、ジェスチャーによる入力を実行する入力実行手段212とを備えている。
【0027】
画面表示手段202は、メディア再生やナビゲーションなどのアプリケーションの実行に応じてユーザーに入力を促すユーザー入力画面を表示する。ユーザー入力画面は、いずれの態様であってもよく、例えば、入力を指示するもの、選択を指示するもの、スクロールを指示するもの、ドラッグを指示するもの、拡大や縮小などを示すものであり、これらの指示は、タッチパネルやマウスから入力することが可能である他、ジェスチャーによっても入力が可能である。例えば、メニューリストがユーザー入力画面として表示されたとき、ユーザーは、ジェスチャーによってメニューから所望の項目を選択することができる。
【0028】
判定手段204は、画面表示手段202によって表示された内容がユーザー入力画面であるか否かを判定し、この判定結果をガイド指標作成手段206へ提供する。
【0029】
ガイド指標作成手段206は、ディスプレイ120にユーザー入力画面が表示されたとき、撮像カメラ60の撮像範囲内に可視化されるガイド指標を作成する。
【0030】
図4は、ガイド指標作成手段が作成するガイド指標の一例である。ガイド指標作成手段206は、図4(a)に示すように、ジェスチャー入力を検出可能な検出エリア190の外縁上の境界線を示すガイド指標192aを作成する。ガイド提示部80が投射画像を出射するプロジェクタである場合、ガイド指標作成手段206によって作成されたガイド指標が投射される。あるいは、ガイド提示部80がレーザー光を走査するレーザー機構である場合には、ガイド提示部80は、ガイド指標作成手段206によって作成されたガイド指標に従いレーザー光を走査する。これにより、図4(a)に示すような矩形状のガイド指標192aが可視化される。また、ガイド指標作成手段206は、図4(b)に示すように、検出エリア190のコーナーを示すガイド指標192b、図4(c)に示すように、検出エリア190の中心点を示すガイド指標192c、図4(d)に示すように、検出エリア190の内側を格子状に分割するガイド指標192d等を作成することができる。このようなガイド指標が提示されることで、検出エリア190の位置または範囲が可視化される。なお、図4の例は、検出エリア190が矩形状であるが、検出エリアは、円形または他の形状であってもよい。
【0031】
さらにガイド指標作成手段206は、ユーザー入力画面が要求するジェスチャーの形態を誘導する誘導指標194(図2を参照)を作成することができる。誘導指標194は、ジェスチャー入力の検出可能な位置または範囲を示すガイド指標192の一つである。好ましい態様では、ユーザー入力画面に関連付けしてジェスチャーの形態を示すジェスチャー情報が記憶部140に記憶される。画面表示手段202によってユーザー入力画面が表示されたと判定されたとき、ガイド指標作成手段206は、ユーザー入力画面に対応するジェスチャー情報を記憶部140から読出し、ジェスチャー情報に従い誘導指標を作成する。図2の例では、ディスプレイ120のユーザー入力画面には、スクロールを指示する入力122と、項目を選択する選択ボタン124が含まれており、スクロールを指示する入力122に関連付けしたジェスチャー情報が記憶部140に記憶される。そして、ガイド指標作成手段206は、ジェスチャー情報に従い誘導指標194を作成し、ガイド提示部80にガイド指標194を表示させる。なお、ユーザー入力画面において要求されるジェスチャーの形態は、ユーザーが任意に設定できるようにしてもよい。
【0032】
図5は、ガイド指標作成手段が作成する誘導指標の一例である。ガイド指標作成手段206は、取得したジェスチャー情報に従い、図5(a)に示すように、上下方向または左右方向のジェスチャーを誘導するための誘導指標194aを作成することができる。また、ガイド指標作成手段206は、これに限らず、円状のジェスチャーを要求する誘導指標194b、図5(c)に示すような、L字のジェスチャーを要求する誘導指標194c、手を握るジェスチャーを要求する誘導指標194dなど、取得したジェスチャー情報に基づき種々の誘導指標を作成することができる。
【0033】
ガイド指標供給手段208は、ガイド指標作成手段206により作成されたガイド指標をガイド提示部80へ提供する。これにより、ガイド提示部80は、レーザー光による走査、または投射画像によりガイド指標を出力する。その結果、撮像カメラ60が撮像する撮像範囲内であってジェスチャー入力が検出可能な範囲に、ガイド指標が可視化させることができる。複数の誘導指標を提示する場合、誘導指標同士を重ね合わせるように同時に提示するが(図5)、それぞれの誘導指標を順次個別に提示することも可能である。
【0034】
ジェスチャー判別手段210は、ジェスチャー解析部100によって解析されたジェスチャー画像を受け取り、当該ジェスチャー画像からジェスチャーを判別する。その判別結果は、入力実行手段212に提供される。
【0035】
入力実行手段212は、ジェスチャー判別手段210の判別結果に基づき、対応する入力操作を実行する。入力実行手段212は、例えば、メニュー画面から特定の項目を選択したり、道路地図をスクロールしたり、次の楽曲を再生したりする。
【0036】
次に、図6のフローチャートに従って、本実施例の車載装置におけるジェスチャー入力のガイド指標の制御動作について説明する。車載装置10にて、ナビゲーション機能が起動されるものとする。ナビゲーション機能が実行されると、画面表示手段202は、ディスプレイ120にナビゲーション画面を表示するが、その動作の中で、目的地検索画面や施設検索画面などのユーザーからの入力を受け取るユーザー入力画面を表示する(S101)。
【0037】
判定手段204によってユーザー入力画面が表示されたと判定されると、撮像カメラ60は、ジェスチャー入力を可能にするため図2に示すような検出エリア190の撮像を開始する(S102)。但し、撮像カメラ60は、必ずしもユーザー入力画面の表示に連動されなくてもよく、エンジンが始動されたとき、車載装置10が起動されたときなどに撮像を開始するようにしてもよい。
【0038】
ユーザー入力画面が表示されると、ガイド指標作成手段206は、ディスプレイ120に表示されたユーザー入力画面が関連するジェスチャー情報を有するか否かを判定する(S103)。ジェスチャー情報があると判定された場合には、ガイド指標作成手段206は、当該ジェスチャー情報を取得し、図5に示すような誘導指標194を作成する(S104)。ジェスチャー情報の有無を判定することで、ガイド指標作成手段206に誘導指標194の作成を優先させることができる。
【0039】
ジェスチャー情報がないと判定された場合、ユーザー入力画面がジェスチャー情報を保持していないため、ガイド指標作成手段206は、図4に示すような、ジェスチャー入力が検出可能な検出エリア190の範囲を示すガイド指標192を作成する(S106)。
【0040】
ガイド指標が作成されると、ガイド指標供給手段208は、ガイド指標をガイド提示部80へ供給する。ジェスチャー情報がありと判定された場合には、ジェスチャー入力の検出エリアの範囲を示すガイド指標とともに誘導指標がガイド提示部80へ供給される。ガイド指標を受け取ると、ガイド提示部80は、図2に示すように、ジェスチャー入力の検出エリア190を示すガイド指標192および/または誘導指標194をユーザーに提示する(S107)。ガイド指標192や誘導指標194は、それぞれ検出エリア190の位置や範囲を可視化するものであり、ユーザーは視覚によりジェスチャーを実行すべきエリアを容易に認識することができ、検出エリア190を外れたジェスチャー入力が防止される。
【0041】
また、ガイド指標供給手段208は、予め設定された条件に従い、誘導指標194のみを提示することも可能である。誘導指標194は、ジェスチャー入力の検出エリアを示すと同時に、現在表示されているユーザー入力画面が要求する入力操作を示すものであり、ユーザーは、可視化された誘導指標194に従い、対応するジェスチャーを的確に入力することができる。
【0042】
次に、ユーザーは、可視化されたガイド指標に応答して、検出エリア190内でジェスチャーによる入力を行う。このジェスチャー入力が撮像カメラ60によって撮像され、ジェスチャー解析部100によってジェスチャー解析が行われた後、ジェスチャー判別手段210によってジェスチャーが判別される(S108)。好ましくは、ジェスチャー判別手段210は、予め用意された照合パターンを用いて、ジェスチャーの種別を判別する。
【0043】
入力実行手段212は、ジェスチャー判別手段210による判別結果に基づき、ジェスチャーによる入力を実行し、例えば、道路地図の表示エリアを移動や拡大/縮小、目的地の候補リストをスクロール、音声案内のボリュームを調整するなどを実行する(S109)。
【0044】
上記実施例では、ガイド提示部80は、レーザー光等の光学的手段を用いてガイド指標を可視化する例を示したが、ガイド提示部80は、ガイド指標をより鮮明に可視化させるためにスクリーンを提供してもよい。さらにジェスチャー入力を阻害しないよう、例えば、フォグスクリーン(霧スクリーン)が用いることも可能である。フォグスクリーンによってレーザー光が散乱し、ガイド指標がより鮮明に映し出される。なお、フォグスクリーンの厚さは、レーザー光等の出力と同様に、ユーザーが適宜設定することができ、ガイド指標の鮮明度を調整することができる。
【0045】
このように本実施例によれば、撮像カメラによるジェスチャー入力の検出エリアを示す誘導指標やガイド指標を可視化することで、ユーザーは、ジェスチャー入力すべきエリアや入力方法を容易に認識することができ、ジェスチャー入力による利便性が向上する。
【0046】
本発明の好ましい実施の形態について詳述したが、本発明は、特定の実施形態に限定されるものではなく、特許請求の範囲に記載された発明の要旨の範囲において、種々の変形・変更が可能である。
【符号の説明】
【0047】
10:車載装置 20:マルチメディア再生部
40:ナビゲーション部 60:撮像カメラ
80:ガイド提示部 100:ジェスチャー解析部
120:ディスプレイ 140:記憶部
160:入力部 180:制御部
200:ガイド指標可視化プログラム 202:画面表示手段
204:判定手段 206:ガイド指標作成手段
208:ガイド指標供給手段 210:ジェスチャー判別手段
212:入力実行手段
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7