特許第6184835号(P6184835)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6184835
(24)【登録日】2017年8月4日
(45)【発行日】2017年8月23日
(54)【発明の名称】植物栽培用の環状支柱連結具
(51)【国際特許分類】
   A01G 9/12 20060101AFI20170814BHJP
【FI】
   A01G9/12 A
【請求項の数】11
【全頁数】24
(21)【出願番号】特願2013-220914(P2013-220914)
(22)【出願日】2013年10月24日
(65)【公開番号】特開2015-80461(P2015-80461A)
(43)【公開日】2015年4月27日
【審査請求日】2016年9月28日
(73)【特許権者】
【識別番号】392003225
【氏名又は名称】第一ビニール株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100085246
【弁理士】
【氏名又は名称】岡本 清一郎
(72)【発明者】
【氏名】小林 秀夫
【審査官】 坂田 誠
(56)【参考文献】
【文献】 登録実用新案第3148053(JP,U)
【文献】 特開2003−169547(JP,A)
【文献】 特開2008−224023(JP,A)
【文献】 実開昭55−45712(JP,U)
【文献】 特開2002−335774(JP,A)
【文献】 特開平11−127698(JP,A)
【文献】 登録実用新案第3146549(JP,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A01G 9/12
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
立設された支柱を連結する環状を呈した連結具本体の内周面部及び/又は外周面部に、支柱を嵌入させる嵌入凹部を有し且つ該嵌入凹部に嵌入された支柱を弾性的に挾持し得る可動支柱挾持部材が設けられており、該可動支柱挾持部材は、該嵌入凹部の底部の外面側で、蝶番部を介して前記連結具本体に連結されており、該蝶番部の変形によって該可動支柱挾持部材が、少なくとも上下方向で首振り可能となされていることを特徴とする植物栽培用の環状支柱連結具。
【請求項2】
前記可動支柱挾持部材の前記嵌入凹部に支柱が嵌入されて、該嵌入凹部を構成する対向する左右の挾持片が拡開されたときに、該左右の挾持片の一定以上の拡開を、該左右の挾持片の外面に当接することによって規制する拡開規制部が、前記可動支柱挾持部材の両側に設けられていることを特徴とする請求項1記載の環状支柱連結具。
【請求項3】
前記可動支柱挾持部材の前記嵌入凹部に支柱が嵌入された状態で前記蝶番部が、該支柱の軸線と略直交する回動軸線回りに回動可能となされると共に、該蝶番部の一定以上の回動を、該嵌入凹部を構成する対向する左右の挾持片の外面に当接することによって規制する回動規制部が設けられていることを特徴とする請求項1記載の環状支柱連結具。
【請求項4】
立設された支柱を連結する環状を呈した連結具本体の環状部の一部分を外方又は内方に凹ませることによって凹状部が形成され、該凹状部に可動支柱挾持部材が納められており、該可動支柱挾持部材は、前記支柱を嵌入させる嵌入凹部を有し且つ該嵌入凹部に嵌入された支柱を弾性的に挾持可能となされ、又該可動支柱挾持部材は、該嵌入凹部の底部の外面側で、蝶番部を介して前記凹状部の底部に連結されており、該蝶番部の変形によって該可動支柱挾持部材が、少なくとも上下方向で首振り可能となされていることを特徴とする環状支柱連結具。
【請求項5】
前記可動支柱挾持部材は、前記支柱を嵌入させる嵌入凹部を有し、該嵌入凹部に嵌入された支柱を弾性的に挾持し得る横断面C字状を呈しており、該嵌入凹部の底部の外面側で、蝶番部を介して前記凹状部の底部に連結され、該蝶番部の変形によって該支柱挾持部材が、少なくとも上下方向で首振り可能となされており、又、前記支柱挾持部材の前記嵌入凹部に支柱が嵌入されて該嵌入凹部を構成する対向する左右の挾持片が拡開されたときに、該左右の挾持片の一定以上の拡開が、前記凹状部の対向する左右の内側面としての拡開規制部が該左右の挾持片の外面に当接することによって規制されることを特徴とする請求項4記載の環状支柱連結具。
【請求項6】
前記可動支柱挾持部材の前記嵌入凹部に支柱が嵌入された状態で前記蝶番部が、該支柱の軸線と略直交する回動軸線回りに回動可能となされると共に、該蝶番部の一定以上の回動が、前記凹状部の対向する左右の内側面としての回動規制部が前記左右の挾持片の外面に当接することによって規制されることを特徴とする請求項5記載の環状支柱連結具。
【請求項7】
立設された支柱相互を連結する円環状を呈した連結具本体の円弧状部としての環状部の一部分を外方に半円弧状の突状に屈曲変形させることによって半円弧状の凹状部が形成され、該凹状部に可動支柱挾持部材が納められており、該可動支柱挾持部材は、前記支柱を嵌入させる嵌入凹部を有し、該嵌入凹部に嵌入された支柱を弾性的に挾持し得る横断面C字状を呈しており、該嵌入凹部の底部の外面側で、蝶番部を介して前記凹状部の底部に連結され、該蝶番部の変形によって該支柱挾持部材が、少なくとも上下方向で首振り可能となされており、又、前記嵌入凹部に支柱が嵌入された状態で前記蝶番部が、該支柱の軸線と略直交する回動軸線回りに回動可能となされると共に、前記嵌入凹部に支柱が嵌入されて該嵌入凹部を構成する対向する左右の挾持片が拡開されたときに、該左右の挾持片の一定以上の拡開が、前記凹状部の対向する左右の内側面としての拡開規制部が該左右の挾持片の外面に当接することによって規制される一方、該蝶番部の一定以上の回動が、前記凹状部の対向する左右の内側面としての回動規制部が前記左右の挾持片の外面に当接することによって規制されることを特徴とする環状支柱連結具。
【請求項8】
前記蝶番部は、前記嵌入凹部の底部の外面側と前記凹状部の底部とを連結する軸部を以て構成されており、該軸部が上下方向で屈曲変形でき且つ、該軸部がその軸線回りで捩れて回動できることを特徴とする請求項4〜7の何れかに記載の環状支柱連結具。
【請求項9】
前記軸部が円柱状の軸部として構成されていることを特徴とする請求項8記載の環状支柱連結具。
【請求項10】
前記可動支柱挾持部材が凹状部に納められる場合において、該可動支柱挾持部材が有する嵌入凹部の両側の先端が、前記連結具本体の前記内周面部又は外周面部から稍突出していることを特徴とする請求項4〜9の何れかに記載の環状支柱連結具。
【請求項11】
全体が合成樹脂で一体成形されていることを特徴とする請求項1〜9記載の環状支柱連結具。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、立設された支柱を連結して筒状植物支持枠体を構成するに際し、立設された支柱を安定的に連結し得る植物栽培用の環状支柱連結具に関するものである。
【背景技術】
【0002】
本出願人は特許文献1において、例えば図27(A)に示すような植物支持装置aを提供した。該植物支持装置aは、例えば植木鉢bの栽培土cの上面dで筒状植物支持枠体eを構成してなり、該筒状植物支持枠体eで蔓性植物等の植物を良好に栽培できるものであった。該筒状植物支持枠体eは、より具体的には図27(A)に示すように、正三角形の頂点位置で垂直状態に立設された三本の支柱f,f,fを具え、立設された支柱f,f,fが、その上端側部分と中間部分と下端側部分において、円環状の支柱連結具g,g,gで連結されていた。そして該円環状の支柱連結具gは、図27(A)(B)に示すように、円環状部hの内周面部jに、横断面C字状を呈する支柱挾持部kが、周方向に120度の角度ピッチで突設されており、該支柱挾持部kの嵌入凹部mに前記支柱fを嵌入させることにより、3本の支柱f,f,fの全体を同時に連結できるものであった。該支柱挾持部kは、前記支柱fを嵌入させる円弧面からなる、軸線nが垂直方向(前記支柱連結具gの周方向に対して直角を呈する方向)である嵌入凹部mを有し、該嵌入凹部mに収容された支柱fを弾性的に挾持し得る横断面C字状を呈しており、該C字状の幅広の底部分pの全体が前記内周面部jに完全に固定状態とされていた。
【0003】
そして、前記円環状の支柱連結具gに設けられている夫々の支柱挾持部k,k,kの嵌入凹部m,m,mに、垂直状態に立設された前記支柱fが嵌入されることにより、3本の支柱f,f,fの全体が該支柱連結具gにより安定状態で連結されていた。
【0004】
しかしながら例えば図28(A)に示すように、3本以上の支柱fで円錐状乃至多角錐状を呈する筒状植物支持枠体eを形成したり、例えば図29(A)に示すように、3本以上の支柱fで、上方に向けて末広がり状態となる筒状植物支持枠体eを形成する場合のように、夫々の支柱fを傾斜状態で立設した場合は、これらの支柱の全体を環状の支柱連結具gで連結したとすれば、次のような問題があった。
【0005】
即ち、夫々の支柱fが傾斜状態にあることから、図28(C)、図29(C)に示すように、前記嵌入凹部mの軸線nが垂直状態にあるのに対して前記支柱fの軸線qが傾斜状態にあることから、該嵌入凹部mへの該支柱fの嵌入状態が不完全となって、該支柱挟持部kによる支柱fの挟持力が弱くなり、又、該嵌入凹部mの入口rが図27(B)に示す場合に比してより拡開状態となる結果、該支柱fが該入口rから外れ易くもあった。かかることから、円錐筒状や多角錐筒状を呈する前記筒状植物支持枠体eや末広がり状態となる前記筒状植物支持枠体eが、構造的に不安定なものとならざるを得なかった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】実用新案登録第3148053号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明は、前記従来の問題点に鑑みて開発されたものであり、垂直状態に立設された支柱を安定的に連結できるだけでなく、傾斜状態で立設された支柱であってもこれを安定的に連結でき、これによって、円錐筒状や多角錐筒状を呈する筒状植物支持枠体や、上方に向けて末広がり状態を呈する前記筒状植物支持枠体を安定構造のものとして構成し得る植物栽培用の環状支柱連結具の提供を課題とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
前記課題を解決するため本発明は以下の手段を採用する。
即ち、本発明に係る植物栽培用の環状支柱連結具(以下環状支柱連結具という)の第1の態様は、立設された支柱を連結する環状を呈した連結具本体の内周面部及び/又は外周面部に、支柱を嵌入させる嵌入凹部を有し且つ該嵌入凹部に嵌入された支柱を弾性的に挾持し得る可動支柱挾持部材が設けられており、該可動支柱挾持部材は、該嵌入凹部の底部の外面側で、蝶番部を介して前記連結具本体に連結されており、該蝶番部の変形によって該可動支柱挾持部材が、少なくとも上下方向で首振り可能となされていることを特徴とするものである。
【0009】
該環状支柱連結具において、前記可動支柱挾持部材の前記嵌入凹部に支柱が嵌入されて、該嵌入凹部を構成する対向する左右の挾持片が拡開されたときに、該左右の挾持片の一定以上の拡開を、該左右の挾持片の外面に当接することによって規制する拡開規制部が、前記可動支柱挾持部材の両側に設けられたものとして構成するのがよい。又該環状支柱連結具において、前記可動支柱挾持部材の前記嵌入凹部に支柱が嵌入された状態で前記蝶番部が、該支柱の軸線と略直交する回動軸線回りに回動可能となされると共に、該蝶番部の一定以上の回動を、該嵌入凹部を構成する対向する左右の挾持片の外面に当接することによって規制する回動規制部が設けられたものとして構成するのがよい。
【0010】
本発明に係る環状支柱連結具の第2の態様は、立設された支柱を連結する環状を呈した連結具本体の環状部の一部分を外方又は内方に凹ませることによって凹状部が形成され、該凹状部に可動支柱挾持部材が納められており、該可動支柱挾持部材は、前記支柱を嵌入させる嵌入凹部を有し且つ該嵌入凹部に嵌入された支柱を弾性的に挾持可能となされ、又該可動支柱挾持部材は、該嵌入凹部の底部の外面側で、蝶番部を介して前記凹状部の底部に連結されており、該蝶番部の変形によって該可動支柱挾持部材が、少なくとも上下方向で首振り可能となされていることを特徴とするものである。
【0011】
該環状支柱連結具において、前記可動支柱挾持部材は、前記支柱を嵌入させる嵌入凹部を有し、該嵌入凹部に嵌入された支柱を弾性的に挾持し得る横断面C字状を呈しており、該嵌入凹部の底部の外面側で、蝶番部を介して前記凹状部の底部に連結され、該蝶番部の変形によって該支柱挾持部材が、少なくとも上下方向で首振り可能となされており、又、前記支柱挾持部材の前記嵌入凹部に支柱が嵌入されて該嵌入凹部を構成する対向する左右の挾持片が拡開されたときに、該左右の挾持片の一定以上の拡開が、前記凹状部の対向する左右の内側面としての拡開規制部が該左右の挾持片の外面に当接することによって規制されることを特徴とするものである。
【0012】
該環状支柱連結具において、前記可動支柱挾持部材の前記嵌入凹部に支柱が嵌入された状態で、前記蝶番部が、該支柱の軸線と略直交する回動軸線回りに回動可能となされると共に、該蝶番部の一定以上の回動が、前記凹状部の対向する左右の内側面としての回動規制部が前記左右の挾持片の外面に当接することによって規制される如く構成するのがよい。
【0013】
前記第2の態様の環状支柱連結具のより好ましい態様は、立設された支柱相互を連結する円環状を呈した連結具本体の円弧状部としての環状部の一部分を外方に半円弧状の突状に屈曲変形させることによって半円弧状の凹状部が形成され、該凹状部に可動支柱挾持部材が納められており、該可動支柱挾持部材は、前記支柱を嵌入させる嵌入凹部を有し、該嵌入凹部に嵌入された支柱を弾性的に挾持し得る横断面C字状を呈しており、該嵌入凹部の底部の外面で、蝶番部を介して前記凹状部の底部に連結され、該蝶番部の変形によって該支柱挾持部材が、少なくとも上下方向で首振り可能となされており、又、前記嵌入凹部に支柱が嵌入された状態で前記蝶番部が、該支柱の軸線と略直交する回動軸線回りに回動可能となされると共に、前記嵌入凹部に支柱が嵌入されて該嵌入凹部を構成する対向する左右の挾持片が拡開されたときに、該左右の挾持片の一定以上の拡開が、前記凹状部の対向する左右の内側面としての拡開規制部が該左右の挾持片の外面に当接することによって規制される一方、該蝶番部の一定以上の回動が、前記凹状部の対向する左右の内側面としての回動規制部が前記左右の挾持片の外面に当接することによって規制されることを特徴とするものである。
【0014】
前記第2の態様の環状支柱連結具のより好ましい態様において、前記蝶番部は、前記嵌入凹部の底部の外面側と前記凹状部の底部とを連結する軸部を以て構成し、該軸部が上下方向で屈曲変形でき且つ、該軸部がその軸線回りで回動できるように構成するのがよい。この場合、該軸部は円柱状の軸部として構成するのがよい。
【0015】
前記可動支柱挾持部材が凹状部に納められる場合において、該可動支柱挾持部材が有する嵌入凹部の両側の先端が、前記連結具本体の前記内周面部又は外周面部から稍突出する如く構成するのがよい。
【0016】
前記の各環状支柱連結具において、全体を合成樹脂で一体成形するのがよい。
【発明の効果】
【0017】
本発明は以下の如き優れた効果を奏する。
(1) 本発明に係る環状支柱連結具は、環状を呈した連結具本体の内周面部及び/又は外周面部に、支柱を嵌入させる嵌入凹部を有し且つ該嵌入凹部に嵌入された支柱を弾性的に挾持し得る可動支柱挾持部材が設けられており、該可動支柱挾持部材は、少なくとも上下方向で首振り可能となされている。
【0018】
従って本発明によるときは、垂直状態に立設された支柱であっても、傾斜状態で立設された支柱であっても、これらの支柱を、前記嵌入凹部に、その軸線方向の全体で、安定した密接嵌入状態となし得る。
【0019】
かかることから、円筒状や円錐筒状、多角錐筒状、上方に向けて末広がりの筒状を呈する等の筒状植物支持枠体を安定構造のものとして構成でき、該筒状植物支持枠体で植物を良好に栽培できることとなる。
【0020】
(2) 前記可動支柱挾持部材の両側に前記拡開規制部が設けられているときは、前記嵌入凹部を構成する対向する左右の挾持片が拡開されたときに、該両挾持片の一定以上の拡開が該拡開規制部によって規制される。かかることから、該嵌入凹部に嵌入された支柱が不用意に外れるのを防止できることとなる。
【0021】
(3) 前記蝶番部の一定以上の回動を規制する回動規制部が設けられているときは、前記可動支柱挾持部材の前記嵌入凹部に支柱が嵌入された状態で該蝶番部が、該支柱の軸線と略直交する回動軸線回りに回動したとき、その一定以上の回動が前記回動規制部で規制されることになる。
【0022】
(4) 立設された支柱相互を連結する環状を呈した連結具本体の環状部の一部分を外方又は内方に凹ませることによって凹状部を形成し、該凹状部に可動支柱挾持部材を納め、該可動支柱挾持部材を、前記嵌入凹部の底部の外面側で、蝶番部を介して前記凹状部の底部に連結するときは、該可動支柱挾持部材の上下方向での首振りにより、前記と同様にして、前記嵌入凹部の軸線方向の全体で前記支柱を安定した密着状態となし得る。これに加え、前記嵌入凹部に支柱が嵌入されて該嵌入凹部を構成する対向する左右の挾持片が拡開されたときに、該左右の挾持片の一定以上の拡開が、前記凹状部の対向する左右の内側面としての拡開規制部が該左右の挾持片の外面に当接することによって規制され、これによって、該嵌入凹部に嵌入された支柱が不用意に外れるのが防止される。又、このように左右の挾持片の一定以上の拡開が規制されることから、規格間違いの太径の支柱を該嵌入凹部に嵌入させんとしてもこの嵌入を阻止できるため、前記可動支柱挾持部材の破損を防止できる。
【0023】
又、前記嵌入凹部に支柱が嵌入された状態で前記蝶番部が、該支柱の軸線と略直交する回動軸線回りに回動したとき、前記回動規制部が前記左右の挾持片の外面に当接することによって前記蝶番部の一定以上の回動が規制されることとなる。
【0024】
更に、前記凹状部に納められている前記可動支柱挾持部材の前記嵌入凹部に支柱が嵌入状態となるため、各支柱が連結具本体の円周方向の延長線上に存した状態となるため、支柱と連結具本体とがデザイン的な一体感を有することになり、構成された筒状植物支持枠体の見栄えを向上させ得る。
【0025】
(5) 前記蝶番部を、前記嵌入凹部の底部の外面側と前記凹状部の底部とを連結する軸部を以て構成し、該軸部が上下方向で屈曲変形でき且つ、該軸部がその軸線回りで捩れて回動できるように構成するときは、前記可動支柱挾持部材の上下方向の首振りと、捩れによる回動を円滑に行わせることができる。
【0026】
特に該軸部が円柱状を呈する場合は、かかる上下方向での首振りや捩れをより円滑に行わせることができる。
【0027】
(6) 前記可動支柱挾持部材が凹状部に納められる場合において、該可動支柱挾持部材が有する嵌入凹部の両側の先端が、前記連結具本体の前記内周面部又は外周面部から稍突出する如く構成する場合は、該嵌入凹部に支柱を嵌めやすい。
【0028】
(7) 前記凹状部を、前記連結具本体の環状部を外方に凹ませることによって形成する場合は、該凹状部に嵌入された支柱に対して外向きの力が作用したとき、該凹状部が該支柱を安定的に支持できることとなって好ましい。
【0029】
(8) 環状支柱連結具の全体を合成樹脂で一体成形する場合は、特別な部品の組み合わせ加工を必要とせず、生産性向上を期し得る。
【図面の簡単な説明】
【0030】
図1】本発明に係る環状支柱連結具を示す斜視図とその部分拡大図である。
図2】本発明に係る環状支柱連結具を示す平面図とその部分拡大図である。
図3】可動支柱挾持部材の嵌入凹部に支柱を嵌入させる工程を示す平面図である。
図4】嵌入凹部に支柱を嵌入させた状態を、蝶番部の首振り作用と共に示す側面図である。
図5】連結具本体の外周面部に突設された引っ掛け部にネット状物を引っ掛けた状態を示す斜視図と断面図である。
図6】直径の異なる環状支柱連結具を例示する平面図である。
図7】環状支柱連結具に設けられている固定支柱挾持部材を用いて立設された支柱を連結して構成された筒状植物支持枠体を示す斜視図と、固定支柱挾持部材の嵌入凹部に支柱を嵌入させた状態を示す平面図と側面図である。
図8】環状支柱連結具の内周面部に設けた可動支柱挾持部材の嵌入凹部に、垂直状態に立設された支柱を嵌入させて構成された筒状植物支持枠体を示す斜視図と、可動支柱挾持部材に支柱を嵌入させた状態を示す平面図と側面図である。
図9】環状支柱連結具の内周面部に設けられている可動支柱挾持部材の嵌入凹部に、内方に向けて傾斜する如く立設された支柱を嵌入させることにより構成された筒状植物支持枠体を示す斜視図と、可動支柱挾持部材の嵌入凹部に支柱を嵌入させた状態を示す平面図と側面図である。
図10】環状支柱連結具の内周面に設けた可動支柱挾持部材の嵌入凹部に、外方に傾斜して立設された支柱を嵌入させることにより構成された筒状植物支持枠体を示す斜視図と、可動支柱挾持部材に支柱を嵌入させた状態を示す平面図と側面図である。
図11】環状支柱連結具に設けられた凹状部に、可動支柱挾持部材が蝶番部を介して納められてなる環状支柱連結具を示す斜視図である。
図12】その平面図である。
図13】可動支柱挾持部材が凹状部に納められている状態を示す部分平面図と、その可動支柱挾持部材の嵌入凹部に支柱を嵌入させる工程を示す平面図である。
図14】可動支柱挾持部材の嵌入凹部に嵌入された支柱の脱落が拡開規制部によって規制された状態を示す平面図である。
図15】可動支柱挾持部材の嵌入凹部に対する規格間違いの太径の支柱の嵌入が、拡開規制部によって阻止された状態を示す平面図である。
図16】凹状部に納められている可動支柱挾持部材の嵌入凹部に支柱を嵌入させた状態と、該可動支柱挾持部材の首振り作用と、回動規制部による可動支柱挾持部材の回動規制作用を説明する正面図である。
図17】垂直状態に立設されている支柱を、凹状部を具える環状支柱連結具を用いて連結して構成された筒状植物支持枠体を示す斜視図と、その可動支柱挾持部材の嵌入凹部に支柱を嵌入した状態を示す平面図と側面図である。
図18】内方に向けて傾斜する如く立設された支柱を、凹状部を具える環状支柱連結具を用いて連結して構成された筒状植物支持枠体を示す斜視図と、その可動支柱挾持部材の嵌入凹部に支柱を嵌入させた状態を示す平面図と側面図である。
図19】下端から上端に向けて外方に傾斜するように立設された支柱相互を、凹状部を具える環状支柱連結具を用いて連結して構成された筒状植物支持枠体を示す斜視図と、その可動支柱挾持部材の嵌入凹部に支柱を嵌入させた状態を示す平面図と側面図である。
図20】周方向で見て同一側に傾斜する如く立設された支柱を、凹状部を具える環状支柱連結具で連結して構成された筒状植物支持枠体を示す斜視図と、嵌入凹部に支柱が嵌入された状態で該可動支柱挾持部材の回動角度が回動規制部で規制された状態を示す正面図と平面図である。
図21】係合頭部が設けられてなる係合軸を用いて構成された蝶番部の構成を示す分解斜視図と、該蝶番部の上下方向の首振り作用を説明する一部断面側面図である。
図22】係合頭部が設けられてなる係合軸を用いて構成された蝶番部の他の態様を示す断面図と分解斜視図である。
図23】連結具本体の外周面部に蝶番部を介して可動支柱挾持部材が設けられてなる環状支柱連結具を用いて構成された筒状植物支持枠体を例示する斜視図と、その可動支柱挾持部材の嵌入凹部に支柱を嵌入させた状態を示す平面図と側面図である。
図24】環状支柱連結具のその他の態様を示す平面図である。
図25】連結具本体の一部分を内方に凹ませて凹状部が構成されてなる環状支柱連結具を示す平面図とその部分拡大図である。
図26】凹状部を具える環状支柱連結具のその他の態様を示す平面図とその部分拡大図である。
図27】筒状植物支持枠体を構成する従来の植物支持装置の一例を示す斜視図と、その支柱連結具に設けられている支持挾持部が支柱を挾持した状態を示す平面図と側面図である。
図28】筒状植物支持枠体を構成する従来の植物支持装置の他の例を示す斜視図と、その支柱連結具に設けられている支持挾持部が支柱を挾持した状態を示す平面図と側面図である。
図29】筒状植物支持枠体を構成する従来の植物支持装置のその他の例を示す斜視図と、その支柱連結具に設けられている支持挾持部が支柱を挾持した状態を示す平面図と側面図である。
【発明を実施するための形態】
【実施例1】
【0031】
図1〜4において本発明に係る環状支柱連結具1は、立設された支柱2を連結する環状を呈した連結具本体3の内周面部5に可動支柱挾持部材6が設けられており、該可動支柱挾持部材6は、該支柱2を嵌入させる嵌入凹部7を有し且つ該嵌入凹部7に嵌入された支柱2を弾性的に挾持し得る。該可動支柱挾持部材6は、該嵌入凹部7の底部9の外面側10で、蝶番部11を介して前記内周面部5(即ち、前記連結具本体3)に連結されており、該蝶番部11の変形によって、該可動支柱挾持部材6が上下方向で首振り可能となされている。
【0032】
前記環状支柱連結具1は、本実施例においては、例えばポリプロピレン等の合成樹脂を以て一体に形成されており、内径が250〜350mmの円環状を呈しており、前記連結具本体3の側面視での幅L1(図4(B))は例えば10mm程度に設定され、その平面視での幅L2(図3(A))は例えば5mm程度に設定されている。
【0033】
前記可動支柱挾持部材6は、本実施例においては図3(A)に示すように、ガイド片12,12が突設された挾持部本体13を具えている。該挾持部本体13には、図3(B)に示すように前記支柱2を嵌入させるための前記嵌入凹部7が設けられており、該嵌入凹部7は、嵌入された該支柱2を弾性的に挾持し得る横断面C字状部14の内側凹部として構成されている。
【0034】
そして図3(A)に示すように、該挾持部本体13の、前記嵌入凹部7の開放端としての支柱導入口15は、前記支柱2の径よりも小さく形成されており、該支柱導入口15の両側の縁部16,16に前記ガイド片12,12が突設されている。該ガイド片12,12は、両者間の幅が先端に向けて拡大するハの字状を呈するように互いに逆方向に斜めに突設されている。そして該両側の縁部16,16の内面には、図3(A)(B)、図1(B)に示すように、前記嵌入凹部7に嵌入された支柱2の表面17に当接して該支柱2を前記嵌入凹部7に一層確実に拘束させるための点状突出部19,19が突設されている。
【0035】
かかる構成を有する可動支柱挾持部材6は、図3(A)、図1(B)に示すように、前記嵌入凹部7の底部9の外面側10の上下方向の中央部位において、板部11aとしての前記蝶番部11を介して、前記内周面部5に連結されている。該板部11aは本実施例においては、平面視で平板状を呈しており、上下厚さが1mm程度に設定され、図4(B)(C)に示すように、前記樹脂の弾力性によって弾性変形でき、上下方向で首振り可能となされている。図1(B)、図4(A)は、前記嵌入凹部7の軸線L3が垂直方向(前記連結具本体3の周方向に対して直角を呈する方向)である状態を示しており、図4(B)は、該可動支柱挾持部材6が下向きに首振りした状態を示すと共に、図4(C)は、前記可動支柱挾持部材6が上向きに首振りした状態を示している。
【0036】
本実施例においては図1〜2に示すように、前記連結具本体3の内周面部5に、16mm径の支柱2を嵌入させ得る第1の可動支柱挾持部材6aと、11mm径の支柱2を嵌入させ得る第2の可動支柱挾持部材6bと、8mm径の支柱2を嵌入させ得る第3の可動支柱挾持部材6cの3種類が設けられている。そして図2においては、該内周面部5の周方向に40mm程度の小間隔を置いて配置された該第1、第2、第3の可動支柱挾持部材6a,6b,6cの組が、該周方向に所要角度で少なくとも3組配置されている。例えば、該組が、周方向に120度の角度ピッチで配置されている。本実施例においては図1〜2に示すように、前記内周面部5に、夫々の可動支柱挾持部材に近接させて、例えば半円弧板状の寸法表示片20が突設され、その上面21には、例えば図2(B)に示すように、該可動支柱挾持部材6の嵌入凹部7に嵌入させ得る支柱2の径が数字で表示されている。
【0037】
なお本実施例においては図1〜2に示すように、前記連結具本体3の外周面部22に、その周方向に90度の角度ピッチで固定支柱挾持部材23が設けられている。該固定支柱挾持部材23は、前記可動支柱挾持部材6と同様の構成を有し、支柱2を嵌入させるための嵌入凹部25が設けられている。そして該嵌入凹部25の底部26が、図1(B)、図2(B)に示すように、該外周面部22に直接に固定状態で設けられている。該嵌入凹部25の軸線L4(図1(B))は垂直方向であり、例えば図1(A)、図7に示すように、14mm径の支柱2を嵌入させ得る。そして前記外周面部22には、該固定支柱挾持部材23に近接させて、半円弧板状の寸法表示片29が設けられ、その上面30に、該固定支柱挾持部材23の嵌入凹部25に嵌入させ得る支柱2の径が数字で表示されている。又、周方向で隣り合う前記固定支柱挾持部材23,23間の中央部位に、例えば図5に示すようにネット状物31を引っ掛けるための引っ掛け部32が設けられている。該引っ掛け部32は、例えば図5(B)に示すように、前記外周面部22から突出する突出片33の先端で、上下に突部35,35が設けられた構成を有している。
【0038】
図6は、直径の異なる第1〜第4の環状支柱連結具1a,1b,1c,1dを示しており、第1の環状支柱連結具1aの内径は200mm程度であり、第2の環状支柱連結具1bの内径は250mm程度であり、第3の環状支柱連結具1cの内径は300mm程度であり、第4の環状支柱連結具1dの内径は350mm程度に設定されている。
【0039】
これら第1〜4の環状支柱連結具1a,1b,1c,1dは、構成せんとする筒状植物支持枠体36の各部分の平面視での径に合わせして適宜選択されるものである。
【0040】
以下、前記環状支柱連結具1を用いて構成された筒状植物支持枠体36を例示する。図7(A)に示す筒状植物支持枠体36は、2本のア−チ状支柱37,37を用いて構成されており、該ア−チ状支柱37は、間隔を隔てて平行する直線状の支柱(例えば14mm径の支柱)2,2の上端相互が倒U字状をなす連結部39で連結されてア−チ状を呈している。
【0041】
かかる構成を有する2本のア−チ状支柱37,37は、例えば植木鉢40の栽培土41の上面42で立設され、その連結部39,39の上端相互を当接させて略直角の交差状態となされ、垂直状態で立設されている4本の支柱2,2,2,2が、その高さ方向で見て下側部分と中間部分と上側側部分の3箇所で、前記環状支柱連結具1で連結されている。この連結は、夫々の支柱2,2,2,2を、前記連結具本体3の外周面部22に固定されている前記固定支柱挾持部材23,23,23,23の前記嵌入凹部25,25,25,25に嵌入させて行われる。
【0042】
前記したように、前記嵌入凹部25の軸線L4(図1(B))が垂直状態(前記連結具本体3の周方向に対して直角を呈する状態)であるため、前記支柱2は、図7(C)(D)に示すように、該嵌入凹部7の軸線L4方向の全体で、安定した密着嵌入状態となされることとなる。このようにして構成された円筒状の筒状植物支持枠体36は構造的に安定しており、前記支柱2,2,2の下端部分が土に例えば30cm程度の深さに突き刺された状態(図7(A))で、植物を良好に栽培できる。
【0043】
図8(A)に示す筒状植物支持枠体36は、正三角形の頂点位置で垂直状態に立設された3本の支柱(例えば11mm径の支柱)2,2,2が、その高さ方向で見て下側部分と中間部分の上下と上側部分の4箇所で、前記環状支柱連結具1で連結されている。この場合は、夫々の支柱2,2,2が、前記連結具本体3の内周面部5に設けられている前記第1の可動支柱挾持部材6a,6a,6aの前記嵌入凹部7,7,7に嵌入される。前記のように、該可動支柱挾持部材6は上下方向で首振り可能ではあるが、前記嵌入凹部7の軸線L3(図1(B))が垂直状態を呈し得るため、垂直状態に立設されている前記支柱2は、図8(D)に示すように、前記嵌入凹部7の軸線L3方向の全体で、安定した密着嵌入状態となり、これによって、構造的に安定した三角筒状の筒状植物支持枠体36を構成できることとなる。該筒状植物支持枠体36で植物を良好に栽培できる。
【0044】
図9に示す筒状植物支持枠体36は、3本の支柱(例えば11mm径の支柱)2,2,2が、正三角形の頂点位置で、内方に向けて傾斜する如く立設されている。そして該3本の支柱2,2,2が、支柱の長さ方向で見てその下側部分と中間部分と上側部分において、前記環状支柱連結具1で連結されている。該下側部分においては、内径が350mm程度である第4の環状支柱連結具1dが用いられ、中間部分においては、内径が300mm程度である第3の環状支柱連結具1cが用いられ、上側部分においては、例えば内径が250mm程度である第2の環状支柱連結具1bが用いられている。そして、夫々の環状支柱連結具1d,1c,1bにおいて、径が11mmである支柱を嵌入させるための前記第2の可動支柱挾持部材6b,6b,6bが選択され、夫々の嵌入凹部7,7,7に支柱2,2,2が密接な嵌入状態とされる。前記3本の支柱2,2,2は全て、下端から上端に向うにつれて内方に傾斜しているため、該嵌入凹部7に該支柱2が嵌入された状態で、夫々の可動支柱挾持部材6b,6b,6bは、前記蝶番部11での屈曲変形によって、下向きの首振り状態を呈している。かかることから、前記嵌入凹部7の軸線L3方向の全体で、前記支柱2が安定した密着嵌入状態となっている。
【0045】
このようにして構成された三角錐筒状の筒状植物支持枠体36は構造的に安定しており、該筒状植物支持枠体36で植物を良好に栽培できる。
【0046】
図10に示す筒状植物支持枠体36は、正三角形の頂点位置で立設された3本の支柱(例えば11mm径の支柱)2,2,2が、下端から上端に向けて外方に傾斜するように立設されており、支柱の長さ方向で見て、下側部分と中間部分と上側部分の夫々において、該3本の支柱2,2,2が前記環状支柱連結具1で連結されている。該下側部分においては、内径が250mm程度である前記第2の環状支柱連結具1bが用いられており、中間部分においては、内径が300mm程度である前記第3の環状支柱連結具1cが用いられており、上側部分においては、内径が300mm程度である前記第4の環状支柱連結具1dが用いられている。そして、夫々の環状支柱連結具1b,1c,1dにおいて、径が11mmである支柱を嵌入させるための前記第2の可動支柱挾持部材6b,6b,6bが選択され、夫々の嵌入凹部7,7,7に支柱2,2,2が密接な嵌入状態とされる。
【0047】
前記3本の支柱2,2,2は全て、下端から上端に向うにつれて外方に傾斜しているため、該嵌入凹部7に該支柱2が嵌入された状態で、夫々の可動支柱挾持部材6b,6b,6bは、前記蝶番部11での屈曲変形によって、上向きの首振り状態を呈している。かかることから、前記嵌入凹部7の軸線L3方向の全体で、前記支柱2が安定した密着嵌入状態となっている。
【0048】
このようにして構成された、上方に向けて末広がり型の三角筒状の筒状植物支持枠体36は構造的に安定しており、該筒状植物支持枠体36で植物を良好に栽培できることとなる。
【0049】
これらの筒状植物支持枠体36において、例えば図5に示すように、該筒状植物支持枠体36の外周面部47を覆うようにネット状物31が設けられることがある。その際、該ネット状物31の所要部位を、図5に示すように前記引っ掛け部32に引っ掛けることにより、該ネット状物31の装着を安定化させ得る。これによって、ネット状物31が張設された植物栽培棚を簡易に構成でき、キュウリや豆類、朝顔等のつる性植物を良好に栽培できることとなる。
【実施例2】
【0050】
図11〜13は、本発明に係る環状支柱連結具1の他の実施例を示すものである。該環状支柱連結具1を構成する連結具本体3は、立設された支柱2を連結する。該連結具本体3は本実施例においては、例えばポリプロピレン等の合成樹脂を以て一体に形成されており、内径が150〜300mmの円環状を呈し、図11に示すように、その側面視での幅L5は例えば10mm程度に設定され、その平面視での幅L6は例えば7mm程度に設定されている。
【0051】
又該連結具本体3は、本実施例においては図11〜12に示すように、円弧状部49aとしての環状部49の一部分が、半径方向で外方に向けて、半円弧状の突状に屈曲され、その内方側に、半円弧状の凹状部50が形成され、該凹状部50に可動支柱挾持部材6が納められている。然して該連結具本体3は、図13(A)に示すように、前記凹状部50が形成されている部位においては、該凹状部50の両端部分48,48の側方部分51,51相互が突状部52で連結された構成を有している。該凹状部50は、該連結具本体3の周方向で見て3個以上設けられている。本実施例においては、90度の角度ピッチで4個設けられている。
【0052】
該可動支柱挾持部材6は、例えば8mm径の支柱2を嵌入させる嵌入凹部7を有し且つ該嵌入凹部7に嵌入された該支柱2を弾性的に挾持可能となされている。該嵌入凹部7は、図13(B)(C)に示すように、嵌入された該支柱2を弾性的に挾持し得る横断面C字状を呈している。そして、該嵌入凹部7の開放端としての支柱導入口55は、前記支柱2の径よりも小さく形成されており、該支柱導入口55の両開放端の両側部分56,56は、該両側部分56,56間の幅が先端に向けて拡大するハの字状を呈するように逆方向に傾斜している。
【0053】
かかる構成を有する可動支柱挾持部材6は、前記嵌入凹部7の底部9の外面側10の上下方向の中央部位で、円柱状軸部11bとしての蝶番部11を介して、前記凹状部50の底部53に連結されている。該円柱状軸部11bの径は例えば1.5mm程度に設定されると共に、その突出長さは1.5mm程度に設定されている。
【0054】
又、図13(A)に示すように前記可動支柱挾持部材6の外面57と前記凹状部50の内面59との間には、1.5mm程度の間隙60が設けられている。又本実施例においては、図11に示すように、該可動支柱挾持部材6の上下幅は前記連結具本体3の上下幅に略等しく設定されると共に、該可動支柱挾持部材6の、前記嵌入凹部7の両側の先端61,61は、図13(A)に示すように、前記連結具本体3の前記内周面部5から2mm程度突出している。該先端61,61をこのように稍突出させているのは、図13(B)に示すように、前記嵌入凹部7に支柱2を嵌め易くするためである。
【0055】
図13(C)に示すように、かかる構成を有する可動支柱挾持部材6の前記嵌入凹部7に前記支柱2が嵌入された状態で、該支柱2は、前記連結具本体3の、前記凹状部50の両端部分48,48の側方部分51,51間をなす途切れ部62に略位置した状態となる。
【0056】
かかる構成を有する環状支柱連結具1にあっては、前記嵌入凹部7を構成する左右の挾持片63,63の一定以上の拡開が、図14に示すように、前記凹状部50の対向する左右の内側面65,65としての拡開規制部66,66が該左右の挾持片63,63の外面67,67に当接することによって規制されるため、該嵌入凹部7に嵌入された支柱2が不用意に外れるのが防止される。
【0057】
又、設定径よりも大径の支柱2を前記嵌入凹部7に嵌入させんとしたときは、図15に示すように、該嵌入凹部7を構成する左右の挾持片63,63が拡開されたときに該挾持片63,63の外面67,67が、前記拡開規制部66,66に当接することによって、該左右の挾持片63,63の一定以上の拡開が規制されることになる。従って、規格間違いの太径の支柱を前記嵌入凹部7に嵌入させて前記可動支柱挾持部材6を破損してしまうといった事態を防止できる。
【0058】
そして前記可動支柱挾持部材6は、図16(A)に示すようにその嵌入凹部7の軸線L3が垂直方向を呈する他、図16(B)(C)に示すように、実施例1におけると同様にして、前記蝶番部11である円柱状の軸部11bの屈曲変形によって上下方向での首振りが可能である。
【0059】
図16(D)に示すように、前記可動支柱挾持部材6の前記嵌入凹部7に支柱2が嵌入された状態で、前記円柱状の軸部11bがその軸線回りに捩れて回動したとき、前記凹状部50の対向する左右の内側面65,65としての回動規制部69,69が前記左右の挾持片63,63の外面67,67に当接することによって、該円柱状の軸部11bの一定以上の回動が規制されることとなる。
【0060】
図17〜20は、前記構成を有する環状支柱連結具1を用いて構成された筒状植物支持枠体36を示すものであり、図17(A)に示す筒状植物支持枠体36は、正方形の頂点位置で垂直状態に立設された4本の支柱(例えば8mm径の支柱)2,2,2,2が、その長さ方向で見て下側部分と中間部分と上側部分の3箇所で、前記環状支柱連結具1で連結されている。該支柱2,2,2,2は、前記連結具本体3の内周面部5で設けられている前記可動支柱挾持部材6,6,6,6の夫々の嵌入凹部7に嵌入される。前記のように、該可動支柱挾持部材6は上下方向で首振り可能ではあるが、前記嵌入凹部7の軸線L3は垂直状態を呈し得るため、垂直状態に立設されている前記支柱2を、図17(C)(D)に示すように、前記嵌入凹部7の軸線方向の全体で、安定した密着嵌入状態となし得る。これによって、構造的に安定した四角筒状の筒状植物支持枠体36を構成できることとなり、該筒状植物支持枠体36で植物を良好に栽培できる。
【0061】
図18に示す筒状植物支持枠体36は、4本の支柱(例えば8mm径の支柱)2,2,2,2が、正方形の頂点位置で、内方に向けて傾斜する如く立設されている。そして該4本の支柱2,2,2,2が、支柱の長さ方向で見てその下側部分と中間部分と上側部分において、前記環状支柱連結具1で連結されている。該下側部分においては、内径が350mm程度である第1の環状支柱連結具1aが用いられ、中間部分においては、内径が300mm程度である第2の環状支柱連結具1bが用いられ、上側部分においては、例えば内径が250mm程度である第3の環状支柱連結具1cが用いられている。そして図18(C)に示すように、夫々の環状支柱連結具1a,1b,1cにおいて、前記可動支柱挾持部材6の嵌入凹部7に支柱2が密接な嵌入状態とされる。前記4本の支柱2,2,2,2は全て、下端から上端に向うにつれて内方に傾斜しているため、該嵌入凹部7に該支柱2が嵌入された状態で、図18(D)に示すように、夫々の可動支柱挾持部材6は、前記蝶番部11での屈曲変形によって、下向きの首振り状態を呈している。このようにして構成された三角錐筒状の筒状植物支持枠体36は構造的に安定しており、該筒植物支持枠体36で植物を良好に栽培できる。
【0062】
図19に示す筒状植物支持枠体36は、正方形の頂点位置で立設された4本の支柱(例えば8mm径の支柱)2,2,2,2が、下端から上端に向けて外方に傾斜するように立設されており、支柱の長さ方向で見て、下側部分と中間部分と上側部分の夫々において、該4本の支柱2,2,2,2が前記環状支柱連結具1で連結されている。該下側部分においては、内径が190mm程度である第3の環状支柱連結具1cが用いられており、中間部分においては、内径が240mm程度である第2の環状支柱連結具1bが用いられており、上側部分においては、内径が290mm程度である第1の環状支柱連結具1aが用いられている。そして図19(C)に示すように、夫々の環状支柱連結具1において、前記可動支柱挾持部材6の嵌入凹部7に支柱2が密接な嵌入状態とされる。前記4本の支柱2,2,2,2は全て、下端から上端に向うにつれて外方に傾斜しているため、該嵌入凹部7に該支柱2が嵌入された状態で、図19(D)に示すように、夫々の可動支柱挾持部材6は、前記蝶番部11での屈曲変形によって、上向きの首振り状態を呈している。かかることから、前記嵌入凹部7の軸線方向の全体で、前記支柱2が安定した密着嵌入状態となっている。このようにして構成された、上方に向けて末広がり型の四角筒状の筒状植物支持枠体36は構造的に安定しており、該筒状植物支持枠体36で植物を良好に栽培できる。
【0063】
図20に示す筒状植物支持枠体36は、正方形の頂点位置で立設された4本の支柱(例えば8mm径の支柱)2,2,2,2が、周方向で見て同一側に傾斜しており、該傾斜した立設状態にある4本の支柱2,2,2,2が前記環状支柱連結具1で連結されている。この場合は、各支柱2,2 ,2 ,2 が同一方向に傾斜しているため、嵌入凹部7に支柱2が嵌入されてなる前記可動支柱挾持部材6は、図20(B)に示すように、前記蝶番部11の軸線回りでの所要の捩れに伴う、前記支柱2の軸線と略直交する回動軸線回りの回動(即ち、前記蝶番部11の変形)によって傾いている。
【0064】
かかる構成を有する筒状植物支持枠体36は、上下方向で見て全体として螺旋状に捩れており、独特の外観を呈している。該筒状植物支持枠体36は、構造的に安定しており、植物を良好に栽培できる。
【0065】
そして、前記の各筒状植物支持枠体36にあっては、立設された4本の支柱2,2,2,2が、環状を呈する連結具本体3の前記途切れ部62に存し、該途切れ部62に配置された各支柱2が連結具本体3の周方向の延長線上に存した状態にある。そのため、該4本の支柱2,2,2,2と該連結具本体3とがデザイン的な一体感を有し、筒状植物支持枠体の見栄えが良い。
【0066】
又本実施例においては、前記連結具本体3の環状部49の一部分を外方に凹ませることによって前記凹状部50を形成している。このように外方に凹ませると共に、これによって形成された凹状部50に前記可動支柱挾持部材6を納めている理由は、前記嵌入凹部7に嵌入された支柱2に対して外側に向けての力が作用した場合、該支柱2を該凹状部50(即ち、前記連結具本体3)で、より安定的に支持できるようにするためである。
【実施例3】
【0067】
本発明は、前記実施例で示したものに限定されるものでは決してなく、「特許請求の範囲」の記載内で種々の設計変更が可能であることはいうまでもない。その一例を挙げれば次のようである。
【0068】
(1) 前記蝶番部11は、前記可動支柱挾持部材6を、少なくとも上下方向で首振り可能とするものであれば各種に構成できる。
【0069】
該蝶番部11を前記板部11aとして構成する場合は、その一部分に、屈曲を容易化するための薄肉部や溝部を設けたり、該板部11aを、弾性変形可能な軟質樹脂を以て構成することもできる。
【0070】
図21図22は、前記蝶番部11の他の態様を示すものであり、下端開放の断面コ字状を呈する前記連結具本体3の内周面部5(図22にあっては前記凹状部50の底部53)に係合孔部70が設けられ、前記可動支柱挾持部材6の前記嵌入凹部7の底部9の外面側10で係合軸71が突設されている。該係合軸71は本実施例においては、球形状の係合頭部73を設けて構成されており、該係合頭部73は、前記係合孔部70に弾性的に押し込まれて、図21(C)(D)、図22(A)に示すように、前記連結具本体3の内周面部5と外周面部22との間をなす溝状空所75に収容される。そしてこの状態で、図21(C)(D)(E)、図22(A)に示すように、該軸部72が該係合孔部70に遊挿状態となって該可動支柱挾持部材6が前記内周面部5に連結された状態とされている。この場合は、該係合孔部70内における該軸部72の動きの自由度によって、該可動支柱挾持部材6は、該蝶番部11の、該軸部72の動きに伴う変形によって、上下方向で首振り可能であり、又、該軸部72の軸線回りでの回動に伴い、前記支柱2の軸線と略直交する回動軸線(本実施例においては、前記軸部72の軸線)回りの回動(即ち、該蝶番部11の変形)も自由である。図21(B)、図22(B)は、前記係合軸71の他の態様を示すものであり、前記係合孔部70への前記係合頭部73の弾性的な押し込みをより容易とするために、前記軸部72と前記係合頭部73に割り溝76が設けられている。
【0071】
(2) 実施例1においては、前記連結具本体3の外周面部22に固定支柱挾持部材23を設けているが、該固定支柱挾持部材23を、少なくとも上下方向で首振り可能な可動支柱挾持部材6に変更することもできる。該可動支柱挾持部材6の首振り等を可能とする構成としては、実施例1で示した構成や図21図22で示した構成等を採用できる。この場合、前記連結具本体3の内周面部5に、実施例1で示したと同様構成の固定支柱挾持部材23を設けることもある。
【0072】
要するに、連結具本体3の内周面部5と外周面部22の双方に可動支柱挾持部材6を設けることがある他、該可動支柱挾持部材6を該内周面部5にのみ設けたり、外周面部22にのみ設けることもあるということである。又、該内周面部5、該外周面部22において、可動支柱挾持部材6と固定支柱挾持部材23とが混在することもある。
【0073】
(3) 図23は、前記連結具本体3の外周面部22に可動支柱挾持部材6が設けられてなる環状支柱連結具1を用いて構成された筒状植物支持枠体36を例示するものである。該筒状植物支持枠体36にあっては、前記ア−チ状支柱37,37が山形状に構成されており、該外周面部22に設けられている各可動支柱挾持部材6,6,6,6の夫々が、前記蝶番部11の屈曲変形によって、上向きの首振り状態を呈して、その嵌入凹部7に支柱2が密接な嵌入状態となっている。
【0074】
(4) 前記連結具本体3の外周面部22に前記固定支柱挾持部材23や前記可動支柱挾持部材6を設ける場合、径の異なる支柱を前記嵌入凹部25や前記嵌入凹部7に嵌入させることができるように、実施例1における可動支柱挾持部材6の配置状態の設定と同様に、該嵌入凹部のサイズが異なる複数種類の固定支柱挾持部材23や可動支柱挾持部材6を設けることもできる。
【0075】
(5) 環状を呈する前記連結具本体3は、円環状を呈するものが好ましいが、四角形や六角形、八角形等の多角形の環状を呈するものであってもよい。
【0076】
(6) 図24は、前記連結具本体3の内周面部5に、前記と同様構成の第1、第2、第3の可動支柱挾持部材6a,6b,6cの3種類が設けられている環状支柱連結具1の他の実施例を示すものであり、該第1、第2、第3の可動支柱挾持部材6a,6b,6cが、この順序で反時計回りに40度の角度ピッチで配置され、第1の可動支柱挾持部材6a,6a,6aは120度の角度ピッチで配置されている。又、第2の可動支柱挾持部材6b、第3の可動支柱挾持部材6cも、夫々、120度の角度ピッチで配置されている。そして本実施例においては図24に示すように、前記内周面部5に、夫々の可動支柱挾持部材6に近接させて、例えば半円弧板状の寸法表示片20が突設され、その上面21に、該可動支柱挾持部材6の嵌入凹部7に嵌入させ得る支柱2の径が数字で表示される。
【0077】
(7) 図1図24に示す場合において、前記内周面部5には、第1、第2、第3の可動支柱挾持部材6a,6b,6c等の内の1種類のサイズのもののみが設けられることもある。又、該内周面部5や前記外周面部22に設けられる可動支柱挾持部材6の個数は、少なくとも3個以上である。
【0078】
(8) 連結具本体3の一部分を凹ませることによって凹状部50を形成し、該凹状部50に前記可動支柱挾持部材6を納める如く構成された前記環状支柱連結具1は、例えば図25に示すように、該凹状部50が、該連結具本体3の一部分を内方に凹ませることによって構成されることもある。この場合も前記と同様、前記嵌入凹部7の両側の先端61,61は、図25(B)に示すように、前記連結具本体3の前記外周面部22から2mm程度突出している。
【0079】
(9) 前記凹状部50の形態は、該凹状部50に前記支柱挾持部材6を納めることができ且つ該可動支柱挾持部材6を前記蝶番部11の変形によって少なくとも上下方向で首振り可能となし得るものである限り、楕円形状を呈するものの他、三角形状や五角形状、六角形状、八角形状等の形態を呈するものであってもよい。
【0080】
又、該凹状部50を、該連結具本体3の環状部49の一部分を突状に屈曲変形させて構成する場合、半円弧状の突状に屈曲させることの他、楕円形状や三角形状、五角形状、六角形状、八角形状等の各種形態の突状に屈曲変形させることもできる。
【0081】
連結具本体3が凹状部50を具える場合も、径の異なる複数種類の支柱2に応じられるように、サイズの異なる複数種類の凹状部50が前記連結具本体3に設けられることもある。又、該凹状部50は、前記連結具本体3の幅が大きい場合は、例えば図26に示すように、該連結具本体3を屈曲させることなく、その内周面部5又はその外周面部22を凹ませて構成されることもある。
【0082】
(10)前記連結具本体3が、前記可動支柱挾持部材6を納めるための凹状部50を有する場合、該可動支柱挾持部材6は、前記蝶番部11の変形によって上下方向の首振りだけが可能であり回動変形できない場合もある。
【0083】
(11)実施例1で示した環状支柱連結具1において、前記可動支柱挾持部材6の対向する挾持片63,63の一定以上の拡開を規制する拡開規制部66を設けたり、前記蝶番部11の一定以上の回動を規制する回動規制部69を設ける場合、該拡開規制部66や該回動規制部69を、前記可動支柱挾持部材6を構成する対向する挾持片63,63の夫々の側方に位置させて設けることもできる。
【0084】
(12)本発明に係る環状支柱連結具1は、前記したように植木鉢の栽培土の上面で立設された支柱に対しての他、囲み枠内の栽培土の上面で立設された支柱に対してや、地面に立設された支柱に対して応用することもできる。
【符号の説明】
【0085】
1 環状支柱連結具
2 支柱
3 連結具本体
5 内周面部
6 可動支柱挾持部材
7 嵌入凹部
9 底部
10 外面側
11 蝶番部
12 ガイド片
13 挾持部本体
15 支柱導入口
23 固定支柱挾持部材
25 嵌入凹部
26 底部
31 ネット状物
32 引っ掛け部
37 アーチ状支柱
36 筒状植物支持枠体
49 環状部
50 凹状部
52 突状部
60 間隙
63 挾持片
66 拡開規制部
69 回動規制部
図1
図2
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