(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6184836
(24)【登録日】2017年8月4日
(45)【発行日】2017年8月23日
(54)【発明の名称】動物飼育ラック
(51)【国際特許分類】
A01K 1/03 20060101AFI20170814BHJP
【FI】
A01K1/03 A
【請求項の数】5
【全頁数】9
(21)【出願番号】特願2013-225106(P2013-225106)
(22)【出願日】2013年10月30日
(65)【公開番号】特開2015-84703(P2015-84703A)
(43)【公開日】2015年5月7日
【審査請求日】2016年10月3日
(73)【特許権者】
【識別番号】000222956
【氏名又は名称】東洋熱工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100180415
【弁理士】
【氏名又は名称】荒井 滋人
(72)【発明者】
【氏名】杉田 清隆
(72)【発明者】
【氏名】内山 憲一
(72)【発明者】
【氏名】柳原 茂
(72)【発明者】
【氏名】溝下 真治
【審査官】
竹中 靖典
(56)【参考文献】
【文献】
特開2005−095004(JP,A)
【文献】
特開昭55−165731(JP,A)
【文献】
登録実用新案第3063669(JP,U)
【文献】
特開2012−010615(JP,A)
【文献】
実開昭58−007553(JP,U)
【文献】
特開2005−231298(JP,A)
【文献】
特開平10−280556(JP,A)
【文献】
特開平05−311806(JP,A)
【文献】
特開平10−136817(JP,A)
【文献】
米国特許第04085705(US,A)
【文献】
米国特許出願公開第2006/0011143(US,A1)
【文献】
米国特許出願公開第2005/0205017(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A01K 1/00 − 3/00
A01K 31/00 −31/24
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
間隔を存して上下方向に平行に配された複数の棚板を収容した棚本体と、
前記棚板の下側に取り付けられて飼育動物を収容するケージの左右上縁の全長と密着するレールユニットと、
前記棚本体内の後側に備わって前記ケージの後側上縁の全長と略密着する受け板と
を備え、
前記ケージは、前記飼育動物の大きさに応じた幅方向の長さである指定幅長さを有した複数種類からなり、
前記レールユニットは前記指定幅長さに応じて前記棚板に対して左右方向に可動的に取り付けられることを特徴とする動物飼育ラック。
【請求項2】
前記レールユニット及び前記受け板により前記ケージの上方に形成されて前記棚本体の前面側が開放された上方空間と、
前記棚本体の後側に配された排気チャンバと、
前記棚本体の後板を貫通して該排気チャンバと前記上方空間とを連通させる排気流路と
をさらに備えたことを特徴とする請求項1に記載の動物飼育ラック。
【請求項3】
前記レールユニットは、前記ケージの左右上縁をスライドさせて前記棚本体内に収容するガイドレール及び該ガイドレールを前記棚板に固定する固定治具を有し、
前記ガイドレールは、前記棚板から下側に垂れ下がる垂れ板と、該垂れ板と連続して前記上方空間に向けて突出して前記ケージの左右上縁から左右方向にそれぞれ突出する鍔部が載置される受け板と、前記垂れ板の後側から突出して前記棚本体の後板に形成された嵌合孔に嵌合する突出片とを有し、
前記固定治具は、前記棚板の前面に固定される固定板と、該固定板と連続して前記棚内に向けて突出して前記垂れ板を前記棚板に係止する係止片とを有し、
前記嵌合孔は、前記後板に対して左右方向に間隔を存して複数形成されていることを特徴とする請求項2に記載の動物飼育ラック。
【請求項4】
前記ケージは前記飼育動物の大きさに応じた奥行き方向の長さである指定奥行き長さを有し、
前記レールユニットは前記指定奥行き長さに応じて前記棚本体内に対する前記ケージの前後方向の位置決めを行うストッパ片を備えていることを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の動物飼育ラック。
【請求項5】
前記棚板間の間隔は、前記複数種類のケージのうち最も高さ方向の長さが長い最長高さケージを前記レールユニットに取り付けた際に、前記最長高さケージの底面と前記棚板が接するように設定されていることを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載の動物飼育ラック。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、動物飼育ラックに関する。より詳しくは空気の流れが一方向に形成された動物飼育ラックに関するものである。
【背景技術】
【0002】
動物飼育ラックとして陰圧一方向式の動物飼育ラックが知られている(例えば特許文献1参照)。この陰圧一方向式の動物飼育ラックは、棚の後面に備わる排気口から空気を吸引することにより、棚に収容されているケージ内を陰圧とし、ケージ前面の開口部における気流を陰圧一方向流れに維持するものである。これにより、ケージ内の動物からの臭気やアレルギー性物質等を棚前面の室内に漏らすことなく、空調又は浄化された室内空気をケージ内に供給して実験動物を飼育するものである。
【0003】
動物を収容するためのケージは例えばマウス用、ラット用等、飼育する動物の大きさに合わせてそれぞれ大きさが異なっている。このケージは、予め棚に取り付けられたガイドレールに沿ってスライドして収容される。しかしながら、ガイドレールが棚に固定されて取り付けられているため、ガイドレールにて規定されたケージの収容空間にはマウス用であればマウス用、ラット用であればラット用の決まったケージしか収容することができなかった。動物飼育施設においては、動物実験の目的により動物の種類(マウスやラット等)を変更して飼育するので、同一の飼育ラックを全ての動物に対して適用させたいという要望がある。また、同一の飼育ラック内で異なる動物を同時に飼育したいという要望もある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特許第4191565号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明は、上記従来技術を考慮したものであり、陰圧一方向式のラックが有する効果を損なうことなく、種々の大きさのケージを収容することができ、同一のラックを用いて目的に応じた複数種類の動物の飼育をすることができる動物飼育ラックを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
前記目的を達成するため、本発明では、間隔を存して上下方向に平行に配された複数の棚板を収容した棚本体と、前記棚板の下側に取り付けられて飼育動物を収容するケージの左右上縁の全長と略密着するレールユニットと、前記棚本体内の後側に備わって前記ケージの後側上縁の全長と密着する受け板とを備え、前記ケージは、前記飼育動物の大きさに応じた幅方向の長さである指定幅長さを有した複数種類からなり、前記レールユニットは前記指定幅長さに応じて前記棚板に対して左右方向に可動的に取り付けられることを特徴とする動物飼育ラックを提供する。
【0007】
好ましくは、動物飼育ラックは、前記レールユニット及び前記受け板により前記ケージの上方に形成されて前記棚本体の前面側が開放された上方空間と、前記棚本体の後側に配された排気チャンバと、前記棚本体の後板を貫通して該排気チャンバと前記上方空間とを連通させる排気流路とをさらに備えている。
【0008】
好ましくは、前記レールユニットは、前記ケージの左右上縁をスライドさせて前記棚本体内に収容するガイドレール及び該ガイドレールを前記棚板に固定する固定治具を有し、前記ガイドレールは、前記棚板から下側に垂れ下がる垂れ板と、該垂れ板と連続して前記上方空間に向けて突出して、前記ケージの左右上縁から左右方向にそれぞれ突出する鍔部が載置される受け板と、前記垂れ板の後側から突出して前記棚本体の後板に形成された嵌合孔に嵌合する突出片とを有し、前記固定治具は、前記棚板の前面に固定される固定板と、該固定板と連続して前記棚内に向けて突出して前記垂れ板を前記棚板に係止する係止片とを有し、前記嵌合孔は、前記後板に対して左右方向に間隔を存して複数形成されている。
【0009】
好ましくは、前記ケージは前記飼育動物の大きさに応じた奥行き方向の長さである指定奥行き長さを有し、前記レールユニットは前記指定奥行き長さに応じて前記棚本体内に対する前記ケージの前後方向の位置決めを行うストッパ片を備えている。
【0010】
好ましくは、前記棚板間の間隔は、前記複数種類のケージのうち最も高さ方向の長さが長い最長高さケージを前記レールユニットに取り付けた際に、前記最長高さケージの底面と前記棚板が接するように設定されている。
【発明の効果】
【0011】
本発明によれば、ケージが飼育動物の大きさに応じた幅方向の長さである指定幅長さを有した複数種類からなり、レールユニットが指定幅長さに応じて棚板に対して左右方向に可動的に取り付けられているので、種々の大きさのケージに合わせてレールユニットの取り付け位置を適宜変更することができる。このため、陰圧一方向流れのラックが有する効果を損なうことなく、種々の大きさのケージを収容することができ、同一のラックを用いて目的に応じた動物の飼育をすることができる。
【0012】
また、レールユニットをガイドレールと固定治具とにより形成することで、簡単な構造で迅速にレールユニットの位置を変更することができ、取り扱い性が向上する。
【0013】
また、飼育動物の大きさに応じてケージの奥行き長さが異なる場合でも、当該奥行き方向に取り付け位置が可動なストッパ片を用いて前後方向の位置決めを行うことができるので、確実に左右及び後側が密閉された上部空間を形成することができる。
【0014】
また、複数種類のケージのうち最長高さケージをレールユニットに取り付けた場合に棚板が最長高さケージの底面に接するように設定されているので、収容されるべきケージの最低限の収容高さを確保しつつ棚板同士の間隔を狭めて棚板の枚数を増加させ、結果として収容できるケージの数を増加させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【
図1】本発明に係る動物飼育ラックの概略正面図である。
【
図2】本発明に係る動物飼育ラックの概略断面図である。
【
図6】ケージ収容時の棚本体後側を示す概略断面図である。
【
図7】ガイドレールの取り付け方法を示す概略図(斜め横からの見上げ図)である。
【
図8】ガイドレールの取り付け方法を示す概略図(斜め横からの見上げ図)である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
図1及び
図2に示すように、本発明に係る動物飼育ラック1は、外形を規定する板体(天板2a、底板2b、左右の側板2c、後板2d)で形成された棚本体2を備えている。なお、板体には薄い板を折り曲げて形成されたものも含まれる。棚本体2を形成する板体には前側の前板は存在せず、したがって棚本体2は前面が開口している。この棚本体2には、複数枚の棚板3が配設されている。棚板3はそれぞれ間隔を存して上下方向に平行に配されている。この棚板3同士の間に形成された空間に飼育動物を収容するためのケージ4が配される。ケージ4は収容する飼育動物、例えばマウスやラット等の大きさに応じて種々の大きさを有している。この実施例では、マウス用のケージ4aとラット用のケージ4bとを同一の動物飼育ラック1に収容した例を示す。
【0017】
棚板3の下側には、レールユニット5がそれぞれ取り付けられている。レールユニット5はガイドレール6及び固定治具7を有している。
図3及び
図4に示すように、ガイドレール6は断面略C形状を有していて、棚板3の下面に密着する上板6aと、上板6aと連続して棚板3から下側(下方)に垂れ下がる垂れ板6bと、垂れ板6bと連続して上板6aと略平行に配された受け板6cとで形成されている。このレールユニット5は棚板3の左右方向に適宜間隔を存して取り付けられる。このとき、ガイドレール6の断面略C形状の開放部分がそれぞれ向かいあって一対をなしている。
図3の例では、一対のガイドレール6が隣り合っている部分の垂れ板6bが接している例を示している。この接している部分を溶接して一体化させてもよい。
【0018】
一方で、ケージ4の上縁からは外方に突出する鍔部8が形成されていて、
図5に示すように、左右の鍔部8aはガイドレール6の受け板6cと略密着している。鍔部8aは全長に亘って受け板6cと略密着している。ここで、
図6に示すように、ガイドレール6は棚本体2の後板2dと密着している。後板2dには、密着部としての受け板9が棚本体2内に突出するように取り付けられている。この受け板9はケージ4を収容時にケージ4の後側上縁の鍔部8bと略密着する。鍔部8bは全長に亘って受け板9と略密着している。したがって、鍔部8aと受け板6cとが略密着し、鍔部8bと受け板9とが略密着しているので、一対のガイドレール6と後板2dで規定され且つケージ4の上方の空間は棚本体2の前面のみが開放された上方空間10として形成される。鍔部8a、8bと受け板6c、9とは上方空間10を流れる空気が鍔部8a、8bを超えてケージ4の側方に流れない程度に略密着していればよい。受け板9の先端からは斜め下方に連続して垂れ下がる当て片9aが形成されている。一方で、ケージの4隅には外方に向けて突出する板状のケージ鍔部補強部材21が形成されている。当て片9aはこのケージ鍔部補強部材21に当接し、これによりケージ4の位置は規定される。なお、受け板9は後板2dに対して一体で形成してもよい。
【0019】
また、棚本体2の後側には、後板2dを介して排気チャンバ11が形成されている。この排気チャンバ11は棚本体2の背面全域に形成され、上側に配された排気ダクト12に連通している。後板2dには排気流路13としての貫通孔が設けられ、この排気流路13を介して排気ダクト12と上方空間10とが連通している。
【0020】
上述したように、ケージ4にはマウス用のケージ4aとラット用のケージ4bとがあり、ケージ4aとケージ4bとはその大きさが異なる。具体的には、それぞれのケージ4a、4bは幅方向(左右方向)の長さである指定幅長さA及びBを有している。すなわち、ケージ4aと4bとでは幅方向の長さが異なっている。上述したレールユニット5は、このケージ4a、4bが有する指定幅長さA、Bに応じて棚板3に対して左右方向に可動的に取り付けられる。このようにレールユニット5の取り付け位置を変更できることで、種々の大きさのケージ4a、4bに合わせてレールユニット5の取り付け位置を適宜変更することができ、陰圧一方向流れのラック1が有する効果を損なうことなく、種々の大きさのケージ4a、4bを収容することができ、同一のラック1を用いて目的に応じた動物の飼育をすることができる。例えば、
図1に示すように、ある段ではマウス用のケージ4aのみを、ある段ではラット用のケージ4bのみを、他の段ではマウス用のケージ4aとラット用のケージ4bとを交互に収容することができる。
【0021】
このようなレールユニット5の移動は以下の構造により実現される。上方空間10を形成する位置の後板2dには上述した排気流路13の他にスリット状の嵌合孔14が貫通して形成されている。すなわち嵌合孔14は上方空間10に面している。この嵌合孔14は後板2dに所定間隔を存して複数形成されている。
図7に示すように、この嵌合孔14には、ガイドレール6の垂れ板6bの後側から突出する突出片15が嵌め込まれる(矢印E)。嵌合孔14同士の間隔は各ケージ4a、4bに対応して形成されているので、ケージ4a、4bのいずれを収容する場合であってもガイドレール6の突出片15を嵌合させる位置を変更することで指定幅長さA、Bに適用できる。
【0022】
ガイドレール6は、嵌合孔14に突出片15を嵌合させた状態で上板6aを上側の棚板3に密着させた状態で固定治具7によりその位置を固定される。固定治具7は、固定板7aとこの固定板7aと連続して形成された係止片7bとを有している。固定板7aは棚板3の前面にねじ16(結束治具)により固定される。このとき、
図8に示すように、係止片7bは垂れ板6bを挟み込んでいて、係止片7bと垂れ板6bとは互いに係止されている。すなわち固定板7aを棚板3に固定した際に、係止片7bは棚本体2の内側に向けて突出し、垂れ板6bを挟み込むために二股に分かれている。これにより、ガイドレール6はその後側を嵌合孔14に、その前側を固定治具7により固定されるので、結果としてガイドレール6は棚板3の下側に固定されることになる。このようにガイドレール6の可動操作は突出片15を嵌合孔14に嵌合させる作業と固定治具7により固定する作業のみで行うことができるので、簡単な構造で迅速にレールユニットの位置を変更することができ、取り扱い性が向上している。
【0023】
また上述したように、ケージ4a、4bの大きさがそれぞれ異なることから、幅方向だけでなく奥行き方向の長さもケージ4a、4bによってそれぞれ異なる。ケージ4a、4bを受け板9に密着させても、何らかの振動があったときにケージ4a、4bが前面側に移動してしまい、鍔部8bが受け板9から離れて上方空間10の密閉性が保てない事態が生じる場合がある。このため、ガイドレール6には、ケージ4a、4bが有する奥行き方向の長さである指定奥行き長さC、Dに対応する位置にストッパ片17が設けられている。
【0024】
ストッパ片17は、
図3、
図4に示すように、受け板6c上に突出するように形成されている。具体的には、樹脂材料からなるストッパ片17を受け板6cの下側からビス固定されて形成される。ビスが受け板6cを挿通する孔を長孔に形成し、ストッパ片17の位置を微調整できるようにしてもよい。これにより、ケージ4a、4bを棚本体2内に収容した際にケージ4a、4bの前後方向の位置決めができるとともに、ケージ4a、4bの棚本体2の前面側への飛び出しを防止できる。ケージ4を収容する際は、棚本体2の前面側から鍔部8aを左右一対のガイドレール6に沿ってスライドさせ、鍔部8bが受け板9に載置されるまで奥に入れ込む。そして、前側の鍔部の前面をストッパ片17に当接させる。このようにストッパ片17によりケージ4を位置決めすることで、確実に略密閉された上部空間10を得ることができる。
【0025】
このとき、ガイドレール6の受け板6cの前面側は、上方空間10側に突出した角部20が下方に湾曲しながら折り曲げられて形成されている。このように角部20を湾曲しながら折り曲げることにより、ケージ4をガイドレール6に挿入しやすくすることができる。特にラック1の下側の段は作業者にとって見えにくいため、ケージ4を挿入するための間口が広がることになるので作業性が向上する。またこの角部20を丸めることで安全性にも寄与することができる。すなわち、角部20が湾曲するように面取り加工をすればよい。
【0026】
また、棚板3間の間隔は、複数種類のケージ4a、4bのうち最も高さ方向の長さが長い最長高さケージ(この実施例ではラット用のケージ4b)をレールユニット5に取り付けた際に、最長高さケージ4bの底面と棚板3が接するように設定されている。これにより、収容されるべきケージ4bの最低限の収容高さを確保しつつ棚板3同士の間隔を狭めることができるので、棚板3の枚数を増加させ、結果として収容できるケージ4の数を増加させることができる。
【0027】
上記のように、レールユニット5が可動式であっても、陰圧一方向式の動物飼育ラック1の利点が損なわれていることはない。すなわち、上方空間10の前面開口部から排気流路13を介して排気チャンバ11、排気ダクト12へと空気を吸引することで上方空間10及びケージ4内を陰圧による一方向流れの空気流を形成することができる。このため、ケージ4内の飼育動物から発生する汚染物質が棚本体2の前面側に流出することを防止できる。また汚染物質は排気チャンバ11と排気ダクト12との間に配されたフィルタ18にて捕集できる。またケージ4内は動物による発熱で十分に換気されることになり、飼育動物にとっても快適な環境を維持できる。このように陰圧一方向式とすることで、ラック1の前面に扉を設ける必要がなくなり、ケージの出し入れが容易となり、作業性が向上するとともに清掃しやすくなり、清掃時の作業性も向上する。さらにラック1自体の小型化にも寄与できる。なお、動物飼育ラック1はキャスター18が備わっているのでラック1自体を移動させることが可能である。このため、部屋のレイアウト変更に適宜対応できる。ラック1の下部には、キャスター18の他に脚部となる固定治具19も備わっている。この固定治具19は、上下方向に伸長可能なアジャスタ機構を有している。ラック1の位置を固定する場合は、固定治具19をキャスター18よりも下方向に長くすればよい。
【符号の説明】
【0028】
1:動物飼育ラック、2:棚本体、2a:天板、2b:底板、2c:左右の側板、2d:後板、3:棚板、4:ケージ、5:レールユニット、6:ガイドレール、6a:上板、6b:垂れ板、6c:受け板、7:固定治具、7a:固定板、7b:係止片、8:鍔部、8a:左右の鍔部、8b:後側の鍔部、9:受け板、9a:当て片、10:上方空間、11:排気チャンバ、12:排気ダクト、13:排気流路、14:嵌合孔、15:突出片、16:ねじ、17:ストッパ片、18:キャスター、19:固定治具、20:角部、21:ケージ鍔部補強部材