【実施例1】
【0012】
図1は、本発明の実施例1に係るスクリュー圧縮機の構成を示す断面図である。また、
図2は、吐出端面の側から従来形状の第1ロータと第2ロータを見た図、
図3は、圧縮室における圧力の変化を示すグラフである。また、
図4の(a)は、第1ロータの歯部に形成される油分収容部を示す図、(b)は、油分収容部の斜視図である。また、
図5は、圧縮室が消滅した状態を示す図である。
【0013】
実施例1のスクリュー圧縮機1は、
図1,
図2に示すように、互いに噛み合って回転する第1ロータ11(雄ロータ)と第2ロータ20(雌ロータ)で作動流体を圧縮する。なお、
図2に示すように、第1ロータ11の回転方向Rot1と、第2ロータ20の回転方向Rot2は、互いに逆方向になる。
【0014】
第1ロータ11と第2ロータ20は、ケーシング12の中空部として形成される作動室13内に収納される。また、第1ロータ11の回転軸10aが作動室13を貫通するように備わっている。そして、回転軸10aの軸線方向の作動室13の両端には、軸受室15a,15bが形成される。軸受室15a,15bには、回転軸10aを両端側で支持する軸受14a,14bが取り付けられる。なお、第2ロータ20も同様に構成され、その回転軸10bは、軸受室15a,15bに取り付けられる軸受(図示せず)で支持される。
【0015】
ケーシング12には、吸込口16aと吐出口16bが形成される。吸込口16aは、圧縮する作動流体(実施例1では空気Airとする)を作動室13に取り込む。吐出口16bは、圧縮された空気Airを作動室13から吐出する。そして、吸込口16aから吸い込まれた空気Airが第1ロータ11と第2ロータ20の回転で圧縮されて吐出口16bからケーシング12の外部に吐出される。なお、作動室13の端面を形成して吐出口16bが開口する面を吐出端面13aとする。また、第1ロータ11と第2ロータ20において吐出端面13aに向かい合う端面を軸方向端面11c,20cとする。また、第1ロータ11と第2ロータ20が噛み合う空間が圧縮室30になる。
【0016】
また、ケーシング12には、作動室給油口19が形成される。作動室給油口19から作動室13に作動油Oilが供給される。スクリュー圧縮機1は、作動室13で圧縮される空気Airの冷却や、第1ロータ11と第2ロータ20の潤滑や、作動室13に形成される隙間の密封のために作動室13に作動油Oilが供給される。そして、作動室13に供給された作動油Oilは圧縮された空気Airとともに吐出口16bから排出される。
【0017】
図1,
図2に示すように、吐出口16bは、作動室13の吐出端面13aに開口する。吐出口16bの形状は限定されるものではなく、第1ロータ11と第2ロータ20が噛み合って形成される圧縮室30で圧縮された空気Airが効率よく吐出される形状であればよい。
【0018】
圧縮室30は、螺旋状に形成される第2ロータ20の歯溝20aに、螺旋状に形成される第1ロータ11の歯部11bが噛み合って形成される。第1ロータ11および第2ロータ20の歯溝11a,20aは、それぞれ螺旋状の歯部11b,20bの間に形成される。
図2の符号11b1は、歯部11bの歯先であり、符号20a1は、歯溝20aの歯底である。
なお、第1ロータ11および第2ロータ20には、それぞれ複数条の歯部11b,20bが形成される。例えば、第2ロータ20には6条の歯部20bが形成され、第1ロータ11には4条の歯部11bが形成される。したがって、第2ロータ20には6本の歯溝20aが形成され、第1ロータ11には4本の歯溝11aが形成される。
そして、第1ロータ11の歯部11bが噛み合っている第2ロータ20の歯溝20aが圧縮室30になり、第2ロータ20のその他の歯溝20aや第1ロータ11の歯溝11aは作動室13に連通する。このように、圧縮室30は作動室13から隔離された室になる。
【0019】
吸込口16a(
図1参照)から吸い込まれた空気Airは、作動室13に取り込まれる。そして、第1ロータ11と第2ロータ20が回転して、第2ロータ20の歯溝20aに第1ロータ11の歯部11bが噛み合うと、その歯溝20aが圧縮室30になる。圧縮室30の空気Airは、第1ロータ11と第2ロータ20の回転にともなって吐出端面13aの側に送られながら圧縮される。そして、圧縮された空気Airが吐出端面13aに開口している吐出口16bから吐出する。
【0020】
また、作動室給油口19(
図1参照)から作動室13に供給された作動油Oilは、回転する第1ロータ11と第2ロータ20の歯部11b,20bによってかき集められて圧縮室30に入り込む。圧縮室30に入り込んだ作動油Oilは、圧縮される空気Airとともに吐出端面13aの側に送られて吐出口16bから排出される。
このとき、
図2に示すように作動油Oilが吐出口16bの一部を閉塞すると、空気Ailの吐出が妨げられる。そして、吐出されない空気Airが圧縮室30に溜まって高圧になる。その後、作動油Oilが吐出口16bから排出されるのにともなって空気Airが吐出口16bから吐出される。
【0021】
従来、圧縮室30の圧力(空気Airの圧力)は、
図3に示すグラフのように変化する。
図3は、横軸が第1ロータ11の回転角度θ、縦軸が圧縮室30の圧力Pを示す。なお、第1ロータ11の回転角度は、第1ロータ11の歯部11bが第2ロータ20の歯溝20aに噛み合い始めた時点を起点(0度)とする。
【0022】
第1ロータ11と第2ロータ20が回転して第1ロータ11の回転角度θが大きくなると、圧縮室30での空気Airの圧縮が進行して圧縮室30の圧力Pが昇圧する(圧縮過程)。第1ロータ11の回転角度θが所定の角度(θ=「θ1」)に達すると、圧縮室30が吐出口16bと連通し、圧縮室30の空気Airが吐出口16bから吐出される(吐出過程)。吐出過程で圧縮室30の圧力Pは昇圧しない。なお、吐出過程における圧縮室30の圧力が、スクリュー圧縮機1(
図1参照)に設定される定格の吐出圧力「Pstd」になる。
【0023】
第1ロータ11がさらに回転して回転角度θがある角度(θ=「θ2」)になったとき、第1ロータ11の歯部11bと第2ロータ20の歯部20bでかき集められた作動油Oilが吐出口16bに到達して排出される。作動油Oilが吐出口16bから吐出される回転角度θの値「θ2」は定まった値ではない。
【0024】
作動油Oilが吐出口16bに到達すると圧縮室30と連通している吐出口16bの一部が作動油Oilで閉塞され、空気Airの吐出が妨げられる。これによって、空気Airの吐出口16bからの吐出に対する抵抗(吐出抵抗)が大きくなる。このため、圧縮室30の圧力Pが吐出圧力「Pstd」より昇圧する。その後、作動油Oilが吐出口16bから排出されると吐出口16bが開放される。そして、吐出口16bにおける空気Airの吐出抵抗が小さくなり、圧縮室30の圧力Pが低格の吐出圧力「Pstd」まで降圧する。作動油Oilが吐出口16bを閉塞するのは一時的なものであり、圧縮室30の圧力Pが昇圧するのも一時的なものになる。
【0025】
このように、従来のスクリュー圧縮機1の吐出過程には、圧縮室30の圧力Pが吐出圧力「Pstd」よりも昇圧する瞬間がある。
そこで、
図4の(a),(b)に示すように、実施例1の第1ロータ11には、軸方向端面11cが凹んだ第1凹部(第1油分収容部22)が設けられている。
【0026】
第1油分収容部22は、第1ロータ11の歯部11bの軸方向端面11cが、回転軸10a(
図2参照)の軸方向に向かって凹んで形成される。また、第1油分収容部22には、歯部11bの歯先11b1に第1開口部22aが形成される。そして、第1ロータ11の歯部11bが第2ロータ20の歯溝20aに噛み合って形成される圧縮部30と第1油分収容部22が第1開口部22aを介して連通する。また、第2ロータ20の歯溝20aに噛み合わない歯部11bの第1油分収容部22は、第1開口部22aを介して作動室13と連通する。なお、符号22bは、第1開口部22aを臨む底面である。
【0027】
第1開口部22aは、軸方向端面11c上で歯部11bの輪郭線上にある2つの特異点X1,X2の間に形成される。ここでいう輪郭線は、第1ロータ11の軸方向端面11cにおける歯部11bの輪郭線を示す。
また、特異点X1,X2は、第1ロータ11と第2ロータ20が噛み合って回転しているときに、第2ロータ20の特異点Y1,Y2と重なる点である。特異点X1,X2、および特異点Y1,Y2は、下記のように設定される点である。
【0028】
圧縮過程では、第1ロータ11と第2ロータ20の回転にともなって圧縮室30は容積が減少する。また、吐出過程に移行しても第1ロータ11と第2ロータ20の回転にともなって圧縮室30の容積は減少する。そして、圧縮室30の容積が最小になった時点で吐出過程が終了する(吐出完了)。
実施例1のスクリュー圧縮機1(
図1参照)は、吐出過程が終了する吐出完了時に、
図5に示すように、圧縮室30が消滅するように構成される。そして、このとき(すなわち、吐出完了時)、軸方向端面11c,20cにおいて第1ロータ11の歯部11bと第2ロータ20の歯溝20aが所定の幅で接触する。つまり、吐出完了時に、軸方向端面11c,20cにおいて、第1ロータ11の輪郭線の一部(歯先11b1)と第2ロータ20の輪郭線の一部(歯底20a1)が重なり合うように構成される。
【0029】
そして、第1ロータ11の歯部11b(歯先11b1)は、吐出完了時に特異点X1からX2までの間が、第2ロータ20の歯溝20a(歯底20a1)の特異点Y1からY2までの間と重なる。換言すると、第1ロータ11の歯部11bの輪郭線における特異点X1からX2までの間の曲率半径と、第2ロータ20の歯溝20aの輪郭線における特異点Y1からY2までの間の曲率半径が等しく構成される。第1ロータ11の特異点X1,X2、および、第2ロータ20の特異点Y1,Y2はこのように設定される点とする。
【0030】
そして、第1開口部22aは、吐出完了時に圧縮室30が消滅したときに、第1ロータ11の歯部11b(歯先11b1)と、第2ロータ20の歯溝20a(歯底20a1)が重なり合う位置に開口する。
【0031】
このような構成であれば、
図4の(a)に示すように、圧縮過程や吐出過程で第1開口部22aは、圧縮室30のみに開口する。また、
図5に示すように、吐出完了時に圧縮室30が消滅すると第1開口部22aは閉塞される。そして、吐出完了時から、さらに第1ロータ11と第2ロータ20が回転すると、第1開口部22aは作動室13のみに開口する。
【0032】
このように、実施例1の第1ロータ11に設けられる第1開口部22aは、圧縮室30のみに開口するか、作動室13のみに開口するか、閉塞されるか、のいずれかになる。このため、第1開口部22aは、圧縮室30と作動室13の両方に同時に開口することがない。したがって、圧縮室30と作動室13が第1油分収容部22を介して連通することがない。よって、圧縮室30で圧縮された高圧の空気Airが第1油分収容部22を流通して作動室13に流れ込まないので、圧縮された空気Airは消失することなく吐出口16bから吐出される。つまり、圧縮された空気Airの消失を抑制できる。
【0033】
なお、
図4の(a)に図示される特異点X1,X2は、第1ロータ11の歯部11bに沿って螺旋状に連続して設けられて螺旋状の連続線を形成する。同様に、
図4の(a)に図示される特異点Y1,Y2は、第2ロータ20の歯溝20aに沿って螺旋状に連続して設けられて螺旋状の連続線を形成する。
そして第1開口部22aは、連続して設けられる特異点X1による連続線と、連続して設けられる特異点X2による連続線と、の間に形成される。
【0034】
図6は、第1ロータの歯部にかき集められる作動油が油分収容部に流れ込む状態を示す図である。
図4の(a)に示すように第1油分収容部22が形成される第1ロータ11が回転すると、
図6に示すように、第1ロータ11の歯部11bにかき集められる作動油Oilは第1油分収容部22に流れ込む。また、第2ロータ20の歯部20bにかき集められる作動油Oilは、圧縮室30で第1油分収容部22に流れ込む。したがって、圧縮室30に溜まる作動油Oilの量は少なくなる。このため、圧縮室30と連通している吐出口16bが作動油Oilで閉塞されることが抑制される。したがって、吐出口16bからの空気Airの吐出は妨げられず吐出抵抗は大きくならない。ひいては、吐出過程に圧縮室30の圧力Pが低格の吐出圧力「Pstd」よりも上昇する、
図3に示すような圧力上昇が抑制される。
【0035】
また、吐出過程で第1油分収容部22と連通するように吐出口16bの形状が設定され、第1油分収容部22に収容されている作動油Oilが吐出口16bから排出されるように構成される。このため、吐出完了時には第1油分収容部22の作動油Oilが全て排出される。特に、吐出完了時に、第1油分収容部22の軸方向端面11cの側が全領域に亘って吐出口16bと連通する構成(つまり、吐出完了時に第1油分収容部22の軸方向端面11cの側が吐出口16bと連通して全開する構成)とすれば、第1油分収容部22に収容されている作動油Oilが効果的に吐出口16bから排出される。つまり、少なくとも吐出完了時に、第1油分収容部22の軸方向端面11cの側が全開するように、吐出口16bが形成されていることが好ましい。
そして、圧縮過程で第1ロータ11が回転するとき、新たな作動油Oilが第1油分収容部22に収容される。
【0036】
図7は、
図6におけるSec1−Sec1での断面図であり、油分収容部の形状を示す図である。
図7に示すように、実施例1の第1油分収容部22は、第1開口部22aを臨む面(底面22b)が傾斜面になっている。具体的に、吐出口16bと連通している第1油分収容部22の底面22bの法線L1を、回転軸10a(
図1参照)に平行な軸平行成分L1pと、回転軸10aと直交する軸垂直成分L1vと、に分解したとき、軸平行成分L1pが吐出口16bの方向を向くように底面22bが形成されている。
【0037】
底面22bが
図7に示すような傾斜面で形成されていると、第1ロータ11の回転で第1油分収容部22に収容された作動油Oilには、底面22bによって吐出口16bの方向への速度成分が生じる。したがって、吐出過程で第1油分収容部22が吐出口16bと連通したとき、第1油分収容部22に収容された作動油Oilが効率よく吐出口16bから排出される。
【0038】
以上のように、実施例1のスクリュー圧縮機1(
図1参照)は、
図4の(a),(b)に示すように、第1ロータ11の歯部11bに、軸方向端面11cが凹んで形成される第1油分収容部22が設けられている。そして、圧縮過程で第1ロータ11と第2ロータ20の歯部11b,20bでかき集められる作動油Oilは、
図6に示すように第1油分収容部22に収容される。したがって、吐出過程で、作動油Oilによる吐出口16bの閉塞が抑制される。このため、吐出口16bにおける空気Airの吐出抵抗が小さくなり、空気Airは圧縮室30から吐出口16bを介して効率よく吐出される。このことによって、吐出過程で圧縮室30の圧力Pが吐出圧力「Pstd」より昇圧することが抑制される。
【0039】
また、
図6に示すように、第1ロータ11の回転でかき集められる作動油Oilが第1油分収容部22に収容されるため、吐出過程で圧縮室30に溜まる作動油Oilが減少する。このことによっても、吐出過程における作動油Oilによる吐出口16bの閉塞が抑制される。
【0040】
また、圧縮室30で圧縮された高圧の空気Airが第1油分収容部22を流通して作動室13に流れ込まない。したがって、圧縮された空気Airの消失が抑制され、圧縮された空気Airの消失にともなうロスが軽減される。
【実施例2】
【0041】
図8の(a)は、実施例2の油分収容部を示す図、(b)は、油分収容部の斜視図である。
なお、実施例2の第1ロータと第2ロータが備わるスクリュー圧縮機は、
図1,
図2に示す実施例1のスクリュー圧縮機1と同じ構成である。したがって、実施例1のスクリュー圧縮機1と同じ構成要素には、
図1,
図2と同じ符号を付して詳細な説明は省略する。
【0042】
図8の(a)、(b)に示すように、実施例2では、第1ロータ11に形成される第1油分収容部22(
図4の(a)参照)に替わって第2ロータ20の歯部20bに第2凹部(第2油分収容部23)が設けられている。
実施例2の第2ロータ20に形成される第2油分収容部23は、歯部20bの軸方向端面20cが、回転軸10b(
図2参照)の軸方向に向かって凹んで形成される。
【0043】
また、第2油分収容部23には、歯部20bの歯先20b1に第2開口部23aが形成される。そして、作動室13と第2油分収容部23が第2開口部23aを介して連通する。さらに、第2開口部23aが、第2ロータ20の歯部20bのピッチ円C1よりも外側(歯先20b1の側)に開口している。
【0044】
空気Airを圧縮する圧縮室30は、第2ロータ20の歯溝20aに第1ロータ11の歯部11bが噛み合って形成される。したがって、第2ロータ20の歯部20bのピッチ円C1より外側(歯先20b1の側)に開口する第2開口部23aは圧縮室30に入り込まない。このため、第2開口部23aは圧縮室30で開口せず、圧縮室30と作動室13が第2油分収容部23を介して連通しない。
【0045】
また、圧縮過程で第1ロータ11の歯部11bと第2ロータ20の歯部20bにかき集められた作動油Oilは、作動室13で開口する第2開口部23aから第2油分収容部23に収容される。したがって、圧縮室30において吐出口16bが開口する部分に溜まる作動油Oilの量が少なくなり、吐出口16bにおける空気Airの吐出抵抗が小さくなる。
【0046】
また、吐出過程で第2油分収容部23と連通するように吐出口16bの形状が設定され、第2油分収容部23に収容されている作動油Oilが吐出口16bから排出されるように構成される。このため、吐出完了時には第2油分収容部23の作動油Oilが全て排出される。特に、吐出完了時に、第2油分収容部23の軸方向端面20cの側が全領域に亘って吐出口16bと連通する構成(つまり、吐出完了時に第2油分収容部23の軸方向端面20cの側が吐出口16bと連通して全開する構成)とすれば、第2油分収容部23に収容されている作動油Oilが効果的に吐出口16bから排出される。そして、圧縮過程で第2ロータ20が回転するとき、新たな作動油Oilが第2油分収容部23に収容される。つまり、少なくとも吐出完了時に、第2油分収容部23の軸方向端面20cの側が全開するように、吐出口16bが形成されていることが好ましい。
【0047】
また、実施例2の第2油分収容部23も、第2開口部23aを臨む底面23bが傾斜面になっていることが好ましい。つまり、図示はしないが、底面23bの法線を、軸平行成分と、軸垂直成分と、に分解したとき、軸平行成分が吐出口16b(
図2参照)の方向を向くように底面23bが形成されていることが好ましい。
【0048】
以上のように、実施例2のスクリュー圧縮機は、
図8の(a),(b)に示すように、第2ロータ20の歯部20bに、軸方向端面20cが凹んだ第2油分収容部23が設けられている。そして、圧縮過程で第1ロータ11と第2ロータ20の歯部11b,20bでかき集められた作動油Oilは第2油分収容部23に収容される。したがって、吐出過程で、作動油Oilによる吐出口16bの閉塞が抑制される。このため、吐出口16bにおける空気Airの吐出抵抗が小さくなり、空気Airは吐出口16bから効率よく吐出される。このことによって、吐出過程において圧縮室30の圧力Pが吐出圧力「Pstd」より昇圧する圧力上昇が抑制される。
【0049】
また、実施例1と同様に、第1ロータ11と第2ロータ20の回転でかき集められる作動油Oilが第2油分収容部23に収容されるため、吐出過程で圧縮室30に溜まる作動油Oilが減少する。このことによっても、吐出過程における作動油Oilによる吐出口16bの閉塞が抑制される。
【0050】
また、第2油分収容部23の第2開口部23aは、第2ロータ20のピッチ円C1よりも外側(歯先20b1の側)に開口している。この構成によって、第2開口部23aは圧縮室30で開口しない。このため、圧縮室30と作動室13は第2油分収容部23を介して連通しない。したがって、圧縮室30で圧縮された高圧の空気Airが第2油分収容部23を流通して作動室13に流れ込むことがない。よって、圧縮された空気Airの消失が抑制されるため、圧縮された空気Airの消失にともなうロスが軽減される。
【0051】
なお、本発明は前記した実施例に限定されるものではない。例えば、前記した実施例は本発明をわかりやすく説明するために詳細に説明したものであり、必ずしも説明した全ての構成を備えるものに限定されるものではない。
また、ある実施例の構成の一部を他の実施例の構成に置き換えることも可能であり、また、ある実施例の構成に他の実施例の構成を加えることも可能である。
【0052】
例えば、実施例1のスクリュー圧縮機は、
図4の(a)に示すように、第1ロータ11の歯部11bに第1油分収容部22が設けられる。また、実施例2のスクリュー圧縮機は、
図8の(a)に示すように、第2ロータ20の歯部20bに第2油分収容部23が設けられる。そこで、実施例1と実施例2を組み合わせ、第1ロータ11の歯部11bに第1油分収容部22が設けられ、かつ、第2ロータ20の歯部20bに第2油分収容部23が設けられるスクリュー圧縮機であってもよい。
なお、この場合には、少なくとも吐出完了時に、第1油分収容部22の軸方向端面11cの側が全開し、かつ、第2油分収容部23の軸方向端面20cの側が全開するように、吐出口16bが形成されていることが好ましい。
【0053】
この他、本発明は、前記した実施例に限定されるものではなく、発明の趣旨を逸脱しない範囲で適宜変更が可能である。
例えば、
図4の(a)に示す第1油分収容部22の形状や、
図8の(a)に示す第2油分収容部23の形状は一例に過ぎず、それらの形状は限定されない。
つまり、
図4の(a)に示す第1開口部22aが前記した特異点X1,X2の間に開口する構成であれば、第1油分収容部22の形状は限定されない。また、
図8の(a)に示す第2開口部23aがピッチ円C1よりも外側に開口する構成であれば、第2油分収容部23の形状は限定されない。但し、第1開口部22a,第2開口部23aの形状は、作動油Oilが第1油分収容部22,第2油分収容部23に容易に流入する形状であることが好ましい。