特許第6184837号(P6184837)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6184837
(24)【登録日】2017年8月4日
(45)【発行日】2017年8月23日
(54)【発明の名称】スクリュー圧縮機
(51)【国際特許分類】
   F04C 18/16 20060101AFI20170814BHJP
   F04C 29/00 20060101ALI20170814BHJP
   F04C 29/12 20060101ALI20170814BHJP
【FI】
   F04C18/16 C
   F04C29/00 D
   F04C29/12 A
【請求項の数】9
【全頁数】15
(21)【出願番号】特願2013-225764(P2013-225764)
(22)【出願日】2013年10月30日
(65)【公開番号】特開2015-86782(P2015-86782A)
(43)【公開日】2015年5月7日
【審査請求日】2016年6月21日
(73)【特許権者】
【識別番号】502129933
【氏名又は名称】株式会社日立産機システム
(74)【代理人】
【識別番号】110001807
【氏名又は名称】特許業務法人磯野国際特許商標事務所
(74)【代理人】
【識別番号】100064414
【弁理士】
【氏名又は名称】磯野 道造
(74)【代理人】
【識別番号】100111545
【弁理士】
【氏名又は名称】多田 悦夫
(72)【発明者】
【氏名】千葉 紘太郎
(72)【発明者】
【氏名】土屋 豪
(72)【発明者】
【氏名】太田 広志
(72)【発明者】
【氏名】高野 正彦
(72)【発明者】
【氏名】頼金 茂幸
【審査官】 所村 陽一
(56)【参考文献】
【文献】 米国特許第05002472(US,A)
【文献】 特開2002−013494(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F04C 18/16
F04C 29/00
F04C 29/12
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ケーシング内の作動室で互いに噛み合って回転して作動流体を圧縮する第1ロータおよび第2ロータと、
前記第1ロータおよび前記第2ロータの軸方向端面に向かい合う前記作動室内の端面に開口する吐出口と、を有し、
前記作動流体は、前記第1ロータの歯部が噛み合った前記第2ロータの歯溝に形成される圧縮室の縮小にともなって圧縮された後に、前記圧縮室と連通するように設けられている前記吐出口を通って前記ケーシングの外部に吐出され、
前記圧縮室は消滅するまで縮小して前記作動流体を吐出し、
前記第1ロータの歯部に、軸方向端面が凹んだ第1凹部が形成され、
前記第1凹部は前記第1ロータの歯部の歯先に形成される第1開口部で前記作動室または前記圧縮室と連通し、
前記第1開口部は、前記圧縮室が消滅したときに前記第1ロータの歯部の歯先と前記第2ロータの歯溝の歯底が重なりあう位置に開口し
前記第1凹部において前記第1開口部を臨む底面の法線は、前記第1ロータの回転軸の軸線方向の成分が、軸方向端面に向かい合う前記作動室内の端面の方向を向く
ことを特徴とするスクリュー圧縮機。
【請求項2】
少なくとも前記圧縮室が消滅した時点で、前記第2ロータの歯溝に噛み合っている前記第1ロータの歯部に形成されている前記第1凹部の軸方向端面の側が前記吐出口と連通して全開することを特徴とする請求項に記載のスクリュー圧縮機。
【請求項3】
ケーシング内の作動室で互いに噛み合って回転して作動流体を圧縮する第1ロータおよび第2ロータと、
前記第1ロータおよび前記第2ロータの軸方向端面に向かい合う前記作動室内の端面に開口する吐出口と、を有し、
前記作動流体は、前記第1ロータの歯部が噛み合った前記第2ロータの歯溝に形成される圧縮室の縮小にともなって圧縮された後に、前記圧縮室と連通するように設けられている前記吐出口を通って前記ケーシングの外部に吐出され、
前記圧縮室は消滅するまで縮小して前記作動流体を吐出し、
前記第1ロータの歯部に、軸方向端面が凹んだ第1凹部が形成され、
前記第1凹部は前記第1ロータの歯部の歯先に形成される第1開口部で前記作動室または前記圧縮室と連通し、
前記第1開口部は、前記圧縮室が消滅したときに前記第1ロータの歯部の歯先と前記第2ロータの歯溝の歯底が重なりあう位置に開口し、
少なくとも前記圧縮室が消滅した時点で、前記第2ロータの歯溝に噛み合っている前記第1ロータの歯部に形成されている前記第1凹部の軸方向端面の側が前記吐出口と連通して全開する
ことを特徴とするスクリュー圧縮機。
【請求項4】
ケーシング内の作動室で互いに噛み合って回転して作動流体を圧縮する第1ロータおよび第2ロータと、
前記第1ロータおよび前記第2ロータの軸方向端面に向かい合う前記作動室内の端面に開口する吐出口と、を有し、
前記作動流体は、前記第1ロータの歯部が噛み合った前記第2ロータの歯溝に形成される圧縮室の縮小にともなって圧縮された後に、前記圧縮室と連通するように設けられている前記吐出口を通って前記ケーシングの外部に吐出され、
前記圧縮室は消滅するまで縮小して前記作動流体を吐出し、
前記第2ロータの歯部に、軸方向端面が凹んだ第2凹部が形成され、
前記第2凹部は前記第2ロータの歯部の歯先に形成される第2開口部で前記作動室と連通し、
前記第2開口部は、前記第2ロータのピッチ円よりも外側に開口し
前記第2凹部において前記第2開口部を臨む底面の法線は、前記第2ロータの回転軸の軸線方向の成分が、軸方向端面に向かい合う前記作動室内の端面の方向を向く
ことを特徴とするスクリュー圧縮機。
【請求項5】
少なくとも前記圧縮室が消滅した時点で、前記第1ロータの歯溝に噛み合っている前記第2ロータの歯部に形成されている前記第2凹部の軸方向端面の側が前記吐出口と連通して全開することを特徴とする請求項に記載のスクリュー圧縮機。
【請求項6】
ケーシング内の作動室で互いに噛み合って回転して作動流体を圧縮する第1ロータおよび第2ロータと、
前記第1ロータおよび前記第2ロータの軸方向端面に向かい合う前記作動室内の端面に開口する吐出口と、を有し、
前記作動流体は、前記第1ロータの歯部が噛み合った前記第2ロータの歯溝に形成される圧縮室の縮小にともなって圧縮された後に、前記圧縮室と連通するように設けられている前記吐出口を通って前記ケーシングの外部に吐出され、
前記圧縮室は消滅するまで縮小して前記作動流体を吐出し、
前記第2ロータの歯部に、軸方向端面が凹んだ第2凹部が形成され、
前記第2凹部は前記第2ロータの歯部の歯先に形成される第2開口部で前記作動室と連通し、
前記第2開口部は、前記第2ロータのピッチ円よりも外側に開口し、
少なくとも前記圧縮室が消滅した時点で、前記第1ロータの歯溝に噛み合っている前記第2ロータの歯部に形成されている前記第2凹部の軸方向端面の側が前記吐出口と連通して全開することを特徴とするスクリュー圧縮機。
【請求項7】
ケーシング内の作動室で互いに噛み合って回転して作動流体を圧縮する第1ロータおよび第2ロータと、
前記第1ロータおよび前記第2ロータの軸方向端面に向かい合う前記作動室内の端面に開口する吐出口と、を有し、
前記作動流体は、前記第1ロータの歯部が噛み合った前記第2ロータの歯溝に形成される圧縮室の縮小にともなって圧縮された後に、前記圧縮室と連通するように設けられている前記吐出口を通って前記ケーシングの外部に吐出され、
前記圧縮室は消滅するまで縮小して前記作動流体を吐出し、
前記第1ロータの歯部に、軸方向端面が凹んだ第1凹部が形成されて、前記第2ロータの歯部に、軸方向端面が凹んだ第2凹部が形成され、
前記第1凹部は前記第1ロータの歯部の歯先に形成される第1開口部で前記作動室または前記圧縮室と連通し、
前記第1開口部は、前記圧縮室が消滅したときに前記第1ロータの歯部の歯先と前記第2ロータの歯溝の歯底が重なりあう位置に開口し、
前記第2凹部は前記第2ロータの歯部の歯先に形成される第2開口部で前記作動室と連通し、
前記第2開口部は、前記第2ロータのピッチ円よりも外側に開口し
前記第1凹部において前記第1開口部を臨む底面の法線は、前記第1ロータの回転軸の軸線方向の成分が、軸方向端面に向かい合う前記作動室内の端面の方向を向き、
前記第2凹部において前記第2開口部を臨む底面の法線は、前記第2ロータの回転軸の軸線方向の成分が、軸方向端面に向かい合う前記作動室内の端面の方向を向く
ことを特徴とするスクリュー圧縮機。
【請求項8】
少なくとも前記圧縮室が消滅した時点で、
前記第2ロータの歯溝に噛み合っている前記第1ロータの歯部に形成されている前記第1凹部の軸方向端面の側が前記吐出口と連通して全開し、
前記第1ロータの歯溝に噛み合っている前記第2ロータの歯部に形成されている前記第2凹部の軸方向端面の側が前記吐出口と連通して全開することを特徴とする請求項に記載のスクリュー圧縮機。
【請求項9】
ケーシング内の作動室で互いに噛み合って回転して作動流体を圧縮する第1ロータおよび第2ロータと、
前記第1ロータおよび前記第2ロータの軸方向端面に向かい合う前記作動室内の端面に開口する吐出口と、を有し、
前記作動流体は、前記第1ロータの歯部が噛み合った前記第2ロータの歯溝に形成される圧縮室の縮小にともなって圧縮された後に、前記圧縮室と連通するように設けられている前記吐出口を通って前記ケーシングの外部に吐出され、
前記圧縮室は消滅するまで縮小して前記作動流体を吐出し、
前記第1ロータの歯部に、軸方向端面が凹んだ第1凹部が形成されて、前記第2ロータの歯部に、軸方向端面が凹んだ第2凹部が形成され、
前記第1凹部は前記第1ロータの歯部の歯先に形成される第1開口部で前記作動室または前記圧縮室と連通し、
前記第1開口部は、前記圧縮室が消滅したときに前記第1ロータの歯部の歯先と前記第2ロータの歯溝の歯底が重なりあう位置に開口し、
前記第2凹部は前記第2ロータの歯部の歯先に形成される第2開口部で前記作動室と連通し、
前記第2開口部は、前記第2ロータのピッチ円よりも外側に開口し、
少なくとも前記圧縮室が消滅した時点で、
前記第2ロータの歯溝に噛み合っている前記第1ロータの歯部に形成されている前記第1凹部の軸方向端面の側が前記吐出口と連通して全開し、
前記第1ロータの歯溝に噛み合っている前記第2ロータの歯部に形成されている前記第2凹部の軸方向端面の側が前記吐出口と連通して全開することを特徴とするスクリュー圧縮機。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、スクリュー圧縮機に関する。
【背景技術】
【0002】
一対のロータ(雄ロータと雌ロータ)が噛み合って回転して作動流体を圧縮するスクリュー圧縮機は、潤滑や冷却を目的として、2つのロータに作動油が供給される。供給された作動油は、圧縮される作動流体とともに吐出端面まで移動して吐出口から排出される。このとき、吐出口が作動油によって一時的に閉塞されると、吐出口からの作動流体の吐出が妨げられる。そして、作動流体の圧力が一時的に高くなる。
このように作動流体の圧力が一時的に高くなると、2つのロータなどの構造物に高圧が作用するため構造物の寿命が短くなるなどの問題が生じる。
【0003】
この問題を解決するための技術として特許文献1には、「ベアリングヘッドケーシングの吐出端面上の吐出ポート部に隣接し、かつ流体の閉じ込みが形成される部分に、閉じ込み流体を一旦収容することのできる凹所を形成するか、ベアリングヘッドケーシングの吐出端面に接するオスロータ又はメスロータの吐出端面上の流体の閉じ込みが形成される部分に、閉じ込み流体を一旦収容することのできる凹所を形成する」と記載されている(問題点を解決するための手段の項参照)。
特許文献1に記載されるスクリュー式圧縮機は、吐出端面まで移動した作動油(閉じ込み流体)を一旦収容する凹所を設けて作動油による吐出口(吐出ポート)の閉塞を抑制するように構成されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開昭63−36083号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
特許文献1に記載されるスクリュー式圧縮機のように、2つのロータの少なくとも一方に凹所が形成される場合、この凹所は、ロータの吐出端面側の端面において互いに噛み合う部位に形成される。したがって、噛み合う2つのロータが回転すると、それぞれのロータの吐出端面側の端面で、隣接して形成されている螺旋状の溝(歯溝)が凹所を介して連通する場合がある。
【0006】
作動室内に2つのロータを有するスクリュー圧縮機は、一方のロータ(雌ロータ)の歯溝に他方のロータ(雄ロータ)の歯部が噛み合って形成される空間に、作動流体を圧縮する圧縮室が形成される。また、雌ロータにおいて圧縮室となる歯溝に隣接する歯溝は、雄雄ロータおよび雌ロータを収容する作動室に連通する。圧縮室は圧縮された作動流体が存在する高圧の空間であり、作動室は圧縮途中の作動流体が存在する低圧の空間である。したがって、隣接して形成される歯溝が連通すると高圧の圧縮室と低圧の作動室が連通する。そして、圧縮室で圧縮された高圧の作動流体の一部が低圧の作動室に流入する。このため、圧縮された作動流体の一部が消失することになってロスが生じる。
【0007】
そこで本発明は、圧縮された作動流体の消失を抑制可能で、吐出時の圧力上昇を抑制可能な構造のスクリュー圧縮機を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
前記課題を解決するため本発明は、ケーシング内の作動室で互いに噛み合って回転して作動流体を圧縮する第1ロータおよび第2ロータと、前記第1ロータおよび前記第2ロータの軸方向端面に向かい合う前記作動室内の端面に開口する吐出口と、を有し、前記作動流体は、前記第1ロータの歯部が噛み合った前記第2ロータの歯溝に形成される圧縮室の縮小にともなって圧縮された後に、前記圧縮室と連通するように設けられている前記吐出口を通って前記ケーシングの外部に吐出され、前記圧縮室は消滅するまで縮小して前記作動流体を吐出し、前記第1ロータの歯部に、軸方向端面が凹んだ第1凹部が形成され、前記第1凹部は前記第1ロータの歯部の歯先に形成される第1開口部で前記作動室または前記圧縮室と連通し、前記第1開口部は、前記圧縮室が消滅したときに前記第1ロータの歯部の歯先と前記第2ロータの歯溝の歯底が重なりあう位置に開口し、前記第1凹部において前記第1開口部を臨む底面の法線は、前記第1ロータの回転軸の軸線方向の成分が、軸方向端面に向かい合う前記作動室内の端面の方向を向くことを特徴とする
【発明の効果】
【0009】
本発明によると、圧縮された作動流体の消失を抑制可能で、吐出時の圧力上昇を抑制可能な構造のスクリュー圧縮機を提供できる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1】スクリュー圧縮機の圧縮機本体の構成を示す断面図である。
図2】吐出端面の側から従来形状の第1ロータと第2ロータを見た図である。
図3】圧縮室における圧力の変化を示すグラフである。
図4】(a)は、第1ロータの歯部に形成される油分収容部を示す図、(b)は、油分収容部の斜視図である。
図5】圧縮室が消滅した状態を示す図である。
図6】第1ロータの歯部にかき集められる作動油が油分収容部に流れ込む状態を示す図である。
図7図6におけるSec1−Sec1での断面図である。
図8】(a)は、実施例2の油分収容部を示す図、(b)は、油分収容部の斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、適宜図を参照して本発明の実施例を詳細に説明する。
【実施例1】
【0012】
図1は、本発明の実施例1に係るスクリュー圧縮機の構成を示す断面図である。また、図2は、吐出端面の側から従来形状の第1ロータと第2ロータを見た図、図3は、圧縮室における圧力の変化を示すグラフである。また、図4の(a)は、第1ロータの歯部に形成される油分収容部を示す図、(b)は、油分収容部の斜視図である。また、図5は、圧縮室が消滅した状態を示す図である。
【0013】
実施例1のスクリュー圧縮機1は、図1図2に示すように、互いに噛み合って回転する第1ロータ11(雄ロータ)と第2ロータ20(雌ロータ)で作動流体を圧縮する。なお、図2に示すように、第1ロータ11の回転方向Rot1と、第2ロータ20の回転方向Rot2は、互いに逆方向になる。
【0014】
第1ロータ11と第2ロータ20は、ケーシング12の中空部として形成される作動室13内に収納される。また、第1ロータ11の回転軸10aが作動室13を貫通するように備わっている。そして、回転軸10aの軸線方向の作動室13の両端には、軸受室15a,15bが形成される。軸受室15a,15bには、回転軸10aを両端側で支持する軸受14a,14bが取り付けられる。なお、第2ロータ20も同様に構成され、その回転軸10bは、軸受室15a,15bに取り付けられる軸受(図示せず)で支持される。
【0015】
ケーシング12には、吸込口16aと吐出口16bが形成される。吸込口16aは、圧縮する作動流体(実施例1では空気Airとする)を作動室13に取り込む。吐出口16bは、圧縮された空気Airを作動室13から吐出する。そして、吸込口16aから吸い込まれた空気Airが第1ロータ11と第2ロータ20の回転で圧縮されて吐出口16bからケーシング12の外部に吐出される。なお、作動室13の端面を形成して吐出口16bが開口する面を吐出端面13aとする。また、第1ロータ11と第2ロータ20において吐出端面13aに向かい合う端面を軸方向端面11c,20cとする。また、第1ロータ11と第2ロータ20が噛み合う空間が圧縮室30になる。
【0016】
また、ケーシング12には、作動室給油口19が形成される。作動室給油口19から作動室13に作動油Oilが供給される。スクリュー圧縮機1は、作動室13で圧縮される空気Airの冷却や、第1ロータ11と第2ロータ20の潤滑や、作動室13に形成される隙間の密封のために作動室13に作動油Oilが供給される。そして、作動室13に供給された作動油Oilは圧縮された空気Airとともに吐出口16bから排出される。
【0017】
図1図2に示すように、吐出口16bは、作動室13の吐出端面13aに開口する。吐出口16bの形状は限定されるものではなく、第1ロータ11と第2ロータ20が噛み合って形成される圧縮室30で圧縮された空気Airが効率よく吐出される形状であればよい。
【0018】
圧縮室30は、螺旋状に形成される第2ロータ20の歯溝20aに、螺旋状に形成される第1ロータ11の歯部11bが噛み合って形成される。第1ロータ11および第2ロータ20の歯溝11a,20aは、それぞれ螺旋状の歯部11b,20bの間に形成される。図2の符号11b1は、歯部11bの歯先であり、符号20a1は、歯溝20aの歯底である。
なお、第1ロータ11および第2ロータ20には、それぞれ複数条の歯部11b,20bが形成される。例えば、第2ロータ20には6条の歯部20bが形成され、第1ロータ11には4条の歯部11bが形成される。したがって、第2ロータ20には6本の歯溝20aが形成され、第1ロータ11には4本の歯溝11aが形成される。
そして、第1ロータ11の歯部11bが噛み合っている第2ロータ20の歯溝20aが圧縮室30になり、第2ロータ20のその他の歯溝20aや第1ロータ11の歯溝11aは作動室13に連通する。このように、圧縮室30は作動室13から隔離された室になる。
【0019】
吸込口16a(図1参照)から吸い込まれた空気Airは、作動室13に取り込まれる。そして、第1ロータ11と第2ロータ20が回転して、第2ロータ20の歯溝20aに第1ロータ11の歯部11bが噛み合うと、その歯溝20aが圧縮室30になる。圧縮室30の空気Airは、第1ロータ11と第2ロータ20の回転にともなって吐出端面13aの側に送られながら圧縮される。そして、圧縮された空気Airが吐出端面13aに開口している吐出口16bから吐出する。
【0020】
また、作動室給油口19(図1参照)から作動室13に供給された作動油Oilは、回転する第1ロータ11と第2ロータ20の歯部11b,20bによってかき集められて圧縮室30に入り込む。圧縮室30に入り込んだ作動油Oilは、圧縮される空気Airとともに吐出端面13aの側に送られて吐出口16bから排出される。
このとき、図2に示すように作動油Oilが吐出口16bの一部を閉塞すると、空気Ailの吐出が妨げられる。そして、吐出されない空気Airが圧縮室30に溜まって高圧になる。その後、作動油Oilが吐出口16bから排出されるのにともなって空気Airが吐出口16bから吐出される。
【0021】
従来、圧縮室30の圧力(空気Airの圧力)は、図3に示すグラフのように変化する。図3は、横軸が第1ロータ11の回転角度θ、縦軸が圧縮室30の圧力Pを示す。なお、第1ロータ11の回転角度は、第1ロータ11の歯部11bが第2ロータ20の歯溝20aに噛み合い始めた時点を起点(0度)とする。
【0022】
第1ロータ11と第2ロータ20が回転して第1ロータ11の回転角度θが大きくなると、圧縮室30での空気Airの圧縮が進行して圧縮室30の圧力Pが昇圧する(圧縮過程)。第1ロータ11の回転角度θが所定の角度(θ=「θ1」)に達すると、圧縮室30が吐出口16bと連通し、圧縮室30の空気Airが吐出口16bから吐出される(吐出過程)。吐出過程で圧縮室30の圧力Pは昇圧しない。なお、吐出過程における圧縮室30の圧力が、スクリュー圧縮機1(図1参照)に設定される定格の吐出圧力「Pstd」になる。
【0023】
第1ロータ11がさらに回転して回転角度θがある角度(θ=「θ2」)になったとき、第1ロータ11の歯部11bと第2ロータ20の歯部20bでかき集められた作動油Oilが吐出口16bに到達して排出される。作動油Oilが吐出口16bから吐出される回転角度θの値「θ2」は定まった値ではない。
【0024】
作動油Oilが吐出口16bに到達すると圧縮室30と連通している吐出口16bの一部が作動油Oilで閉塞され、空気Airの吐出が妨げられる。これによって、空気Airの吐出口16bからの吐出に対する抵抗(吐出抵抗)が大きくなる。このため、圧縮室30の圧力Pが吐出圧力「Pstd」より昇圧する。その後、作動油Oilが吐出口16bから排出されると吐出口16bが開放される。そして、吐出口16bにおける空気Airの吐出抵抗が小さくなり、圧縮室30の圧力Pが低格の吐出圧力「Pstd」まで降圧する。作動油Oilが吐出口16bを閉塞するのは一時的なものであり、圧縮室30の圧力Pが昇圧するのも一時的なものになる。
【0025】
このように、従来のスクリュー圧縮機1の吐出過程には、圧縮室30の圧力Pが吐出圧力「Pstd」よりも昇圧する瞬間がある。
そこで、図4の(a),(b)に示すように、実施例1の第1ロータ11には、軸方向端面11cが凹んだ第1凹部(第1油分収容部22)が設けられている。
【0026】
第1油分収容部22は、第1ロータ11の歯部11bの軸方向端面11cが、回転軸10a(図2参照)の軸方向に向かって凹んで形成される。また、第1油分収容部22には、歯部11bの歯先11b1に第1開口部22aが形成される。そして、第1ロータ11の歯部11bが第2ロータ20の歯溝20aに噛み合って形成される圧縮部30と第1油分収容部22が第1開口部22aを介して連通する。また、第2ロータ20の歯溝20aに噛み合わない歯部11bの第1油分収容部22は、第1開口部22aを介して作動室13と連通する。なお、符号22bは、第1開口部22aを臨む底面である。
【0027】
第1開口部22aは、軸方向端面11c上で歯部11bの輪郭線上にある2つの特異点X1,X2の間に形成される。ここでいう輪郭線は、第1ロータ11の軸方向端面11cにおける歯部11bの輪郭線を示す。
また、特異点X1,X2は、第1ロータ11と第2ロータ20が噛み合って回転しているときに、第2ロータ20の特異点Y1,Y2と重なる点である。特異点X1,X2、および特異点Y1,Y2は、下記のように設定される点である。
【0028】
圧縮過程では、第1ロータ11と第2ロータ20の回転にともなって圧縮室30は容積が減少する。また、吐出過程に移行しても第1ロータ11と第2ロータ20の回転にともなって圧縮室30の容積は減少する。そして、圧縮室30の容積が最小になった時点で吐出過程が終了する(吐出完了)。
実施例1のスクリュー圧縮機1(図1参照)は、吐出過程が終了する吐出完了時に、図5に示すように、圧縮室30が消滅するように構成される。そして、このとき(すなわち、吐出完了時)、軸方向端面11c,20cにおいて第1ロータ11の歯部11bと第2ロータ20の歯溝20aが所定の幅で接触する。つまり、吐出完了時に、軸方向端面11c,20cにおいて、第1ロータ11の輪郭線の一部(歯先11b1)と第2ロータ20の輪郭線の一部(歯底20a1)が重なり合うように構成される。
【0029】
そして、第1ロータ11の歯部11b(歯先11b1)は、吐出完了時に特異点X1からX2までの間が、第2ロータ20の歯溝20a(歯底20a1)の特異点Y1からY2までの間と重なる。換言すると、第1ロータ11の歯部11bの輪郭線における特異点X1からX2までの間の曲率半径と、第2ロータ20の歯溝20aの輪郭線における特異点Y1からY2までの間の曲率半径が等しく構成される。第1ロータ11の特異点X1,X2、および、第2ロータ20の特異点Y1,Y2はこのように設定される点とする。
【0030】
そして、第1開口部22aは、吐出完了時に圧縮室30が消滅したときに、第1ロータ11の歯部11b(歯先11b1)と、第2ロータ20の歯溝20a(歯底20a1)が重なり合う位置に開口する。
【0031】
このような構成であれば、図4の(a)に示すように、圧縮過程や吐出過程で第1開口部22aは、圧縮室30のみに開口する。また、図5に示すように、吐出完了時に圧縮室30が消滅すると第1開口部22aは閉塞される。そして、吐出完了時から、さらに第1ロータ11と第2ロータ20が回転すると、第1開口部22aは作動室13のみに開口する。
【0032】
このように、実施例1の第1ロータ11に設けられる第1開口部22aは、圧縮室30のみに開口するか、作動室13のみに開口するか、閉塞されるか、のいずれかになる。このため、第1開口部22aは、圧縮室30と作動室13の両方に同時に開口することがない。したがって、圧縮室30と作動室13が第1油分収容部22を介して連通することがない。よって、圧縮室30で圧縮された高圧の空気Airが第1油分収容部22を流通して作動室13に流れ込まないので、圧縮された空気Airは消失することなく吐出口16bから吐出される。つまり、圧縮された空気Airの消失を抑制できる。
【0033】
なお、図4の(a)に図示される特異点X1,X2は、第1ロータ11の歯部11bに沿って螺旋状に連続して設けられて螺旋状の連続線を形成する。同様に、図4の(a)に図示される特異点Y1,Y2は、第2ロータ20の歯溝20aに沿って螺旋状に連続して設けられて螺旋状の連続線を形成する。
そして第1開口部22aは、連続して設けられる特異点X1による連続線と、連続して設けられる特異点X2による連続線と、の間に形成される。
【0034】
図6は、第1ロータの歯部にかき集められる作動油が油分収容部に流れ込む状態を示す図である。
図4の(a)に示すように第1油分収容部22が形成される第1ロータ11が回転すると、図6に示すように、第1ロータ11の歯部11bにかき集められる作動油Oilは第1油分収容部22に流れ込む。また、第2ロータ20の歯部20bにかき集められる作動油Oilは、圧縮室30で第1油分収容部22に流れ込む。したがって、圧縮室30に溜まる作動油Oilの量は少なくなる。このため、圧縮室30と連通している吐出口16bが作動油Oilで閉塞されることが抑制される。したがって、吐出口16bからの空気Airの吐出は妨げられず吐出抵抗は大きくならない。ひいては、吐出過程に圧縮室30の圧力Pが低格の吐出圧力「Pstd」よりも上昇する、図3に示すような圧力上昇が抑制される。
【0035】
また、吐出過程で第1油分収容部22と連通するように吐出口16bの形状が設定され、第1油分収容部22に収容されている作動油Oilが吐出口16bから排出されるように構成される。このため、吐出完了時には第1油分収容部22の作動油Oilが全て排出される。特に、吐出完了時に、第1油分収容部22の軸方向端面11cの側が全領域に亘って吐出口16bと連通する構成(つまり、吐出完了時に第1油分収容部22の軸方向端面11cの側が吐出口16bと連通して全開する構成)とすれば、第1油分収容部22に収容されている作動油Oilが効果的に吐出口16bから排出される。つまり、少なくとも吐出完了時に、第1油分収容部22の軸方向端面11cの側が全開するように、吐出口16bが形成されていることが好ましい。
そして、圧縮過程で第1ロータ11が回転するとき、新たな作動油Oilが第1油分収容部22に収容される。
【0036】
図7は、図6におけるSec1−Sec1での断面図であり、油分収容部の形状を示す図である。
図7に示すように、実施例1の第1油分収容部22は、第1開口部22aを臨む面(底面22b)が傾斜面になっている。具体的に、吐出口16bと連通している第1油分収容部22の底面22bの法線L1を、回転軸10a(図1参照)に平行な軸平行成分L1pと、回転軸10aと直交する軸垂直成分L1vと、に分解したとき、軸平行成分L1pが吐出口16bの方向を向くように底面22bが形成されている。
【0037】
底面22bが図7に示すような傾斜面で形成されていると、第1ロータ11の回転で第1油分収容部22に収容された作動油Oilには、底面22bによって吐出口16bの方向への速度成分が生じる。したがって、吐出過程で第1油分収容部22が吐出口16bと連通したとき、第1油分収容部22に収容された作動油Oilが効率よく吐出口16bから排出される。
【0038】
以上のように、実施例1のスクリュー圧縮機1(図1参照)は、図4の(a),(b)に示すように、第1ロータ11の歯部11bに、軸方向端面11cが凹んで形成される第1油分収容部22が設けられている。そして、圧縮過程で第1ロータ11と第2ロータ20の歯部11b,20bでかき集められる作動油Oilは、図6に示すように第1油分収容部22に収容される。したがって、吐出過程で、作動油Oilによる吐出口16bの閉塞が抑制される。このため、吐出口16bにおける空気Airの吐出抵抗が小さくなり、空気Airは圧縮室30から吐出口16bを介して効率よく吐出される。このことによって、吐出過程で圧縮室30の圧力Pが吐出圧力「Pstd」より昇圧することが抑制される。
【0039】
また、図6に示すように、第1ロータ11の回転でかき集められる作動油Oilが第1油分収容部22に収容されるため、吐出過程で圧縮室30に溜まる作動油Oilが減少する。このことによっても、吐出過程における作動油Oilによる吐出口16bの閉塞が抑制される。
【0040】
また、圧縮室30で圧縮された高圧の空気Airが第1油分収容部22を流通して作動室13に流れ込まない。したがって、圧縮された空気Airの消失が抑制され、圧縮された空気Airの消失にともなうロスが軽減される。
【実施例2】
【0041】
図8の(a)は、実施例2の油分収容部を示す図、(b)は、油分収容部の斜視図である。
なお、実施例2の第1ロータと第2ロータが備わるスクリュー圧縮機は、図1図2に示す実施例1のスクリュー圧縮機1と同じ構成である。したがって、実施例1のスクリュー圧縮機1と同じ構成要素には、図1図2と同じ符号を付して詳細な説明は省略する。
【0042】
図8の(a)、(b)に示すように、実施例2では、第1ロータ11に形成される第1油分収容部22(図4の(a)参照)に替わって第2ロータ20の歯部20bに第2凹部(第2油分収容部23)が設けられている。
実施例2の第2ロータ20に形成される第2油分収容部23は、歯部20bの軸方向端面20cが、回転軸10b(図2参照)の軸方向に向かって凹んで形成される。
【0043】
また、第2油分収容部23には、歯部20bの歯先20b1に第2開口部23aが形成される。そして、作動室13と第2油分収容部23が第2開口部23aを介して連通する。さらに、第2開口部23aが、第2ロータ20の歯部20bのピッチ円C1よりも外側(歯先20b1の側)に開口している。
【0044】
空気Airを圧縮する圧縮室30は、第2ロータ20の歯溝20aに第1ロータ11の歯部11bが噛み合って形成される。したがって、第2ロータ20の歯部20bのピッチ円C1より外側(歯先20b1の側)に開口する第2開口部23aは圧縮室30に入り込まない。このため、第2開口部23aは圧縮室30で開口せず、圧縮室30と作動室13が第2油分収容部23を介して連通しない。
【0045】
また、圧縮過程で第1ロータ11の歯部11bと第2ロータ20の歯部20bにかき集められた作動油Oilは、作動室13で開口する第2開口部23aから第2油分収容部23に収容される。したがって、圧縮室30において吐出口16bが開口する部分に溜まる作動油Oilの量が少なくなり、吐出口16bにおける空気Airの吐出抵抗が小さくなる。
【0046】
また、吐出過程で第2油分収容部23と連通するように吐出口16bの形状が設定され、第2油分収容部23に収容されている作動油Oilが吐出口16bから排出されるように構成される。このため、吐出完了時には第2油分収容部23の作動油Oilが全て排出される。特に、吐出完了時に、第2油分収容部23の軸方向端面20cの側が全領域に亘って吐出口16bと連通する構成(つまり、吐出完了時に第2油分収容部23の軸方向端面20cの側が吐出口16bと連通して全開する構成)とすれば、第2油分収容部23に収容されている作動油Oilが効果的に吐出口16bから排出される。そして、圧縮過程で第2ロータ20が回転するとき、新たな作動油Oilが第2油分収容部23に収容される。つまり、少なくとも吐出完了時に、第2油分収容部23の軸方向端面20cの側が全開するように、吐出口16bが形成されていることが好ましい。
【0047】
また、実施例2の第2油分収容部23も、第2開口部23aを臨む底面23bが傾斜面になっていることが好ましい。つまり、図示はしないが、底面23bの法線を、軸平行成分と、軸垂直成分と、に分解したとき、軸平行成分が吐出口16b(図2参照)の方向を向くように底面23bが形成されていることが好ましい。
【0048】
以上のように、実施例2のスクリュー圧縮機は、図8の(a),(b)に示すように、第2ロータ20の歯部20bに、軸方向端面20cが凹んだ第2油分収容部23が設けられている。そして、圧縮過程で第1ロータ11と第2ロータ20の歯部11b,20bでかき集められた作動油Oilは第2油分収容部23に収容される。したがって、吐出過程で、作動油Oilによる吐出口16bの閉塞が抑制される。このため、吐出口16bにおける空気Airの吐出抵抗が小さくなり、空気Airは吐出口16bから効率よく吐出される。このことによって、吐出過程において圧縮室30の圧力Pが吐出圧力「Pstd」より昇圧する圧力上昇が抑制される。
【0049】
また、実施例1と同様に、第1ロータ11と第2ロータ20の回転でかき集められる作動油Oilが第2油分収容部23に収容されるため、吐出過程で圧縮室30に溜まる作動油Oilが減少する。このことによっても、吐出過程における作動油Oilによる吐出口16bの閉塞が抑制される。
【0050】
また、第2油分収容部23の第2開口部23aは、第2ロータ20のピッチ円C1よりも外側(歯先20b1の側)に開口している。この構成によって、第2開口部23aは圧縮室30で開口しない。このため、圧縮室30と作動室13は第2油分収容部23を介して連通しない。したがって、圧縮室30で圧縮された高圧の空気Airが第2油分収容部23を流通して作動室13に流れ込むことがない。よって、圧縮された空気Airの消失が抑制されるため、圧縮された空気Airの消失にともなうロスが軽減される。
【0051】
なお、本発明は前記した実施例に限定されるものではない。例えば、前記した実施例は本発明をわかりやすく説明するために詳細に説明したものであり、必ずしも説明した全ての構成を備えるものに限定されるものではない。
また、ある実施例の構成の一部を他の実施例の構成に置き換えることも可能であり、また、ある実施例の構成に他の実施例の構成を加えることも可能である。
【0052】
例えば、実施例1のスクリュー圧縮機は、図4の(a)に示すように、第1ロータ11の歯部11bに第1油分収容部22が設けられる。また、実施例2のスクリュー圧縮機は、図8の(a)に示すように、第2ロータ20の歯部20bに第2油分収容部23が設けられる。そこで、実施例1と実施例2を組み合わせ、第1ロータ11の歯部11bに第1油分収容部22が設けられ、かつ、第2ロータ20の歯部20bに第2油分収容部23が設けられるスクリュー圧縮機であってもよい。
なお、この場合には、少なくとも吐出完了時に、第1油分収容部22の軸方向端面11cの側が全開し、かつ、第2油分収容部23の軸方向端面20cの側が全開するように、吐出口16bが形成されていることが好ましい。
【0053】
この他、本発明は、前記した実施例に限定されるものではなく、発明の趣旨を逸脱しない範囲で適宜変更が可能である。
例えば、図4の(a)に示す第1油分収容部22の形状や、図8の(a)に示す第2油分収容部23の形状は一例に過ぎず、それらの形状は限定されない。
つまり、図4の(a)に示す第1開口部22aが前記した特異点X1,X2の間に開口する構成であれば、第1油分収容部22の形状は限定されない。また、図8の(a)に示す第2開口部23aがピッチ円C1よりも外側に開口する構成であれば、第2油分収容部23の形状は限定されない。但し、第1開口部22a,第2開口部23aの形状は、作動油Oilが第1油分収容部22,第2油分収容部23に容易に流入する形状であることが好ましい。
【符号の説明】
【0054】
1 スクリュー圧縮機
10a 回転軸(第1ロータの回転軸)
10b 回転軸(第2ロータの回転軸)
11 第1ロータ
11a,20a 歯溝
11b,20b 歯部
11b1,20b1 歯先
11c,20c 軸方向端面
12 ケーシング
13 作動室
16b 吐出口
20 第2ロータ
20a1 歯底
22 第1油分収容部(第1凹部)
22a 第1開口部
22b,23b 底面
23 第2油分収容部(第2凹部)
23a 第2開口部
30 圧縮室
Air 空気(作動流体)
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8