(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6184839
(24)【登録日】2017年8月4日
(45)【発行日】2017年8月23日
(54)【発明の名称】作業機の防音箱
(51)【国際特許分類】
F02B 77/13 20060101AFI20170814BHJP
F02B 63/00 20060101ALI20170814BHJP
F02B 63/04 20060101ALI20170814BHJP
【FI】
F02B77/13 B
F02B77/13 C
F02B77/13 M
F02B77/13 R
F02B63/00 B
F02B63/04 B
【請求項の数】6
【全頁数】12
(21)【出願番号】特願2013-228561(P2013-228561)
(22)【出願日】2013年11月1日
(65)【公開番号】特開2015-86846(P2015-86846A)
(43)【公開日】2015年5月7日
【審査請求日】2016年10月28日
(73)【特許権者】
【識別番号】000241795
【氏名又は名称】北越工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002398
【氏名又は名称】特許業務法人小倉特許事務所
(74)【代理人】
【識別番号】100081695
【弁理士】
【氏名又は名称】小倉 正明
(74)【代理人】
【識別番号】100103414
【弁理士】
【氏名又は名称】戸村 哲郎
(72)【発明者】
【氏名】戸川 聡
(72)【発明者】
【氏名】渡邉 政史
【審査官】
瀬戸 康平
(56)【参考文献】
【文献】
実開昭57−78719(JP,U)
【文献】
実開昭51−12824(JP,U)
【文献】
実開昭52−65726(JP,U)
【文献】
特開2000−130182(JP,A)
【文献】
実開昭61−25546(JP,U)
【文献】
特開2008−298035(JP,A)
【文献】
特開2011−21521(JP,A)
【文献】
特開2002−4857(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F02B 63/00,77/11
DWPI(Thomson Innovation)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
一端を中心に回動して防音箱の上部に形成した点検窓を開閉すると共に,肉厚を貫通して形成された排風口を備えた開閉扉を設け,該開閉扉によって前記防音箱の天板の少なくとも一部を形成し,
底板と,前記底板の周縁部より立設された側壁と,前記底板に前記側壁に対し低い突出高さで立設した仕切壁を備えると共に,前記仕切壁によって仕切られた底板の一方側に形成された水抜き穴と,前記底板の他方側に形成された通風口を備えた排風ダクトを形成し,
前記排風ダクトの底板の一方側が前記排風口と対向するように,前記側壁上端を前記開閉扉の裏面に固定すると共に,
前記開閉扉を閉じた状態における前記水抜き穴を,機外に雨水を排水する排水路に連通したことを特徴とする作業機の防音箱。
【請求項2】
前記開閉扉を開放した際に目視可能な位置に,定期的に点検又は交換が必要な部品を配置したことを特徴とする請求項1記載の作業機の防音箱。
【請求項3】
前記水抜き穴を,前記開閉扉をヒンジ止めしている側と同一側の前記底板の端部に設けたことを特徴とする請求項1又は2記載の作業機の防音箱。
【請求項4】
前記開閉扉が閉状態にあるとき,前記排風ダクトの底板の裏面と前記排水路の開口縁間をシールするシール材を設けたことを特徴とする請求項1〜3いずれか1項記載の作業機の防音箱。
【請求項5】
前記点検窓の開口縁を上向きに立ち上げて,止水壁を形成したことを特徴とする請求項1〜4いずれか1項記載の作業機の防音箱。
【請求項6】
前記開閉扉の周縁部に,閉扉時,前記点検窓の開口縁の外周部分と接触するシール材を取り付けたことを特徴とする請求項1〜5いずれか1項記載の作業機の防音箱。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は,圧縮機や発電機等の作業機を収容する防音箱に関する。
【背景技術】
【0002】
圧縮機や発電機等の作業機は,構成機器の作動時に生じる騒音が機外に漏出することを防止するために,一般に構成機器を防音箱内に収容することが行われており,このようにして防音箱内に収容されてパッケージ化された作業機にあっては,運搬,設置が容易であることから,建設工事現場や土木工事現場等の屋外において使用される機会も多い。
【0003】
そのため,内部に収容された機器が雨水に濡れることによる故障や誤作動の発生を防止するために,防音箱には,収容機器の作動音等の騒音が機外に漏出することを防止する役割が課されているだけでなく,内部に収容した機器を風雨より保護する役割も課されている。
【0004】
その一方で,構成機器の作動により発熱した収容機器を冷却するために,また,エンジンや圧縮機等の給気を必要とする機器の吸気を確保するために,防音箱には機外の空気を内部に導入するための吸気口,及び機内の空気を排気するための排風口を設ける必要があり,これらの吸気口や排風口が防音箱内への雨水の浸入経路となっている。
【0005】
そのため,吸気口や排風口からの雨水の浸入を防止するための構造を備えた防音箱も提案されている。
【0006】
このような構造の一例として,後掲の特許文献1には,
図8に示すように,構成機器を防音箱81内に収容したパッケージ型圧縮機80の上面及び側面を更に上部防音カバー91と側部防音カバー92とで覆い,防音箱81の天板82及び側板83と,上部及び側部防音カバー91,92間に空間84,85を形成すると共に,防音箱81の側板83と側部防音カバー92間に形成された空間85に排水受け86と排水ホース87を配置すると共に,排水受け86の上部位置において,上部防音カバー91に排気口93を設ける構成を採用する。
【0007】
そして,上部防音カバー91に設けた排気口93を介して浸入した雨水が防音箱81の天板82と上部防音カバー91間の空間84を介して防音箱81の天板82に形成した排風口88側に導入されないようにするために,この空間84内に遮蔽板126と傾斜板125を設け,排気口93を介して排風口88側に吹き込んだ雨水を受け止めて,排水受け86に誘導できるようにしている(特許文献1の
図1〜3参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】特開2011−21521号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
以上のように構成された特許文献1に記載のパッケージ型圧縮機の構造にあっては,上側防音カバー91に設けた排気口93を通過した雨水は,排水受け86に捕集されて防音箱81の底部より機外に排出される構成となっているため,内部に収容された構成機器が雨滴によって濡れることが好適に防止されている。
【0010】
しかし,前掲の特許文献1に記載の構成では,雨水が防音箱81内に収容した機器を濡らすことを防止するために,防音箱81の上面及び側面を,更に防音カバー91,92によって覆う二重構造としているために,収容機器の保守,点検作業が困難となる。
【0011】
例えば,パッケージ型圧縮機80の防音箱81内部に収容された機器を,二重に覆われた上面側より点検しようとした場合,上部防音カバー91を除去した後,更に,防音箱81の天板82を開放する必要があり,作業が困難である。
【0012】
特に,防音箱内81内を上下に仕切り,下側を圧縮機本体やモータを収容する機械室,上側をラジエータや冷却ファンを収容する冷却室として構成した特許文献1に記載の構成では,定期的に交換が必要となるエアフィルタ,オイルフィルタ,オイルセパレータなどの部品は,圧縮機本体と共に防音箱81内の下側に形成された機械室に圧縮機等と共に収容されることとなるため,上部側からの点検,交換作業は更に困難となる。
【0013】
なお,特許文献1に記載のパッケージ型圧縮機80にあっては,前述したように防音箱81の外周に更に防音カバー91,92を取り付けて二重構造とするものであるため,装置全体が大型化することも免れない。
【0014】
そこで本発明は,上記従来技術の欠点を解消するために成されたもので,内部に対する雨水の浸入を防止しつつ,排風口から浸入した雨水を確実に機外へ排出することができ,高い防水性を発揮するものでありながら,収容機器の保守・点検作業,特に定期的に交換が必要となるフィルタ類やオイルセパレータなど機器に対するメンテナンス性を向上させた作業機の防音箱を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0015】
以下に,課題を解決するための手段を,発明を実施するための形態で使用する符号と共に記載する。この符号の記載は,特許請求の範囲の記載と発明を実施するための形態の記載との対応を明らかにするためのものであり,言うまでもなく,本願発明の技術的範囲の解釈に制限的に用いられるものではない。
【0016】
上記目的を達成するために,本発明の作業機の防音箱1は,
たとえば,ヒンジ18止めされた,一端を中心に回動して防音箱1の上部に形成した点検窓17を開閉すると共に,肉厚を貫通して形成された排風口21を備えた開閉扉16を設け,該開閉扉16によって前記防音箱1の天板の少なくとも一部(図示の実施形態にあっては全部)を形成し(
図1〜3参照),
底板31と,前記底板31の周縁部より立設された側壁32〜35と,前記底板31の,実施形態では,略二分する位置に,前記側壁32〜35に対し低い突出高さで立設した仕切壁36を備えると共に,前記仕切壁36によって仕切られた底板31の一方側31aに形成された水抜き穴37と,前記底板31の他方側31bに形成された通風口38を備えた排風ダクト30を設け(
図5参照),
前記排風ダクト30の底板の一方側31aが前記排風口21と対向するように,前記側壁32〜35上端を前記開閉扉16の裏面に固定すると共に,
前記開閉扉16を閉じた状態における前記水抜き穴37を,実施形態では,その下方に,機外に雨水を排水する排水路50を上向きに開口して,前記排水路50に連通した(
図2参照)ことを特徴とする(請求項1)。
【0017】
上記構成の防音箱1において,前記開閉扉16を開放した際に目視可能な位置に,フィルタ類62,63やオイルセパレータ64などの定期的に点検又は交換が必要な部品を配置することが好ましい(請求項2:
図6参照)。
【0018】
前述の水抜き穴37は,前記開閉扉16をヒンジ止めしている側と同一側の前記底板31の端部(図示の例では,リアカバー13寄りの端部)に設けることが好ましい(請求項3:
図2参照)。
【0019】
また,前記開閉扉16が閉状態にあるとき,前記排風ダクト30の底板31の裏面と前記排水路50の開口縁間をシールするシール材(図示せず)を設けることが好ましい(請求項4)。
【0020】
更に,前述の点検窓17の開口縁を上向きに立ち上げて止水壁19を形成することが好ましい(請求項5:
図2,4,7参照)。
【0021】
また,前記開閉扉16の周縁部に,閉扉時,前記点検窓17の開口縁の外周部分と接触するシール材41を取り付けるものとしても良い(請求項6:
図4中の拡大図参照)。
【発明の効果】
【0022】
以上で説明した本発明の構成により,本発明の防音箱1によれば,以下の顕著な効果を得ることができた。
【0023】
開閉扉16の裏面に前述した構造の排風ダクト30を取り付けたことで,開閉扉16に設けた排風口21を介して浸入した雨水は,排風ダクト30の底板31の一方側31aによって受け止められた後,水抜き穴37,排水路50を介して機外へ排水されることから,排風口21の下方に配置されている収容機器を濡らすことが無い。
【0024】
しかも,このように排風口21を通過した雨水によって収容機器が濡れることを防止できる構成でありながら,排風ダクト30を開閉扉16に取り付けたことで,開閉扉16を開くと,排風ダクト30も共に点検窓17上より取り除かれることから,収容機器の保守・点検作業に際し排風ダクト30の取り外し等といった煩雑な作業を必要としない。
【0025】
その結果,定期的な点検や交換が必要となる構成部品,例えば,収容する作業機がコンプレッサである場合等には,エアフィルタ,オイルフィルタ,オイルセパレータ等といった部品を,開閉扉を開放した際に目視可能な位置に取り付けておくことで,保守・点検作業の際の労力を大幅に軽減することができた。
【0026】
なお,前述した水抜き穴37を,前記開閉扉16をヒンジ止めしていると同一側の底板31の端部に設けた構成にあっては,開閉扉16を開く度に,水抜き穴37に向かって排風ダクト30の底板31を傾斜させることとなるため,底板31上に溜まった水を確実に排水することができた。
【0027】
更に,前記排風ダクト30の底板31裏側と前記排水路50の開口縁間をシールするシール部材(図示せず)を設けた構成にあっては,水抜き穴37を介して排水される水が排水路50内に導入される際に防音箱1内で漏出することを確実に防止することができた。
【0028】
なお,防音箱1の上部に設けた点検窓17の開口縁より止水板19を立設した構成,及び,開閉扉16の周縁部にシール材41を取り付けた構成にあっては,点検窓17を介して防音箱1内に雨水が浸入することを更に好適に防止することができた。
【図面の簡単な説明】
【0029】
【
図1】本発明の防音箱を正面側より見た斜視図(開閉扉16を閉じた状態)。
【
図2】本発明の防音箱を正面側より見た斜視図(開閉扉16を開いた状態)。
【
図4】本発明の防音箱を備えた作業機の側面透視図。
【
図6】本発明の防音箱を備えた作業機の平面図(開閉扉16を除去した状態)。
【
図7】開閉扉13及びフロントドア12bを除去した状態の本発明の防音箱を備えた作業機の(A)は正面図,(B)は側面透視図。
【
図8】従来のパッケージ型圧縮機の防音箱の説明図(特許文献1の
図2に対応)。
【発明を実施するための形態】
【0030】
以下に,添付図面を参照しながら本発明の防音箱1について説明する。
【0031】
〔防音箱の全体構成〕
図1〜3において符号1は本発明の防音箱であり,この防音箱1は,底部を成す平面視において矩形状のフレーム11と,このフレーム11の4辺より立設された側板(フロントカバー12,リアカバー13,サイドカバー14,15),及び前記側板12〜15上に架設された天板16によって構成されている。
【0032】
本発明の防音箱1にあっては,この天板16の少なくとも一部が,防音箱1の上部に設けた点検窓17を開閉する開閉扉によって構成されており,図示の実施形態にあっては,天板16の幅方向の一端を,側板のいずれか(図示の例ではリアカバー13)の上端にヒンジ18で固定して,天板の全体をヒンジ止め位置を中心に回動する開閉扉16として構成している。
【0033】
なお,図示の構成では,天板全体で1枚の開閉扉16を形成した構成としているが,この構成に代え,天板の一部を開閉扉によって構成するものとしても良く,又は,天板を二枚以上の開閉扉によって構成するものとしても良い。
【0034】
このように構成された開閉扉16を開放すると,
図2に示すように防音箱1の上端部分には,前述した点検窓17が現れ,この点検窓17を介して収容機器の保守,点検,交換等の作業を行うことができるように構成されている。
【0035】
この点検窓17の開口縁は,好ましくは,
図2,
図4,及び
図7に示すように開口縁の全周に亘り上向きに立ち上げて止水板19を形成することで,点検窓17を介して防音箱1内に雨水が浸入することを防止している。
【0036】
本実施形態の防音箱1では,更に,
図4中に拡大図で示すように開閉扉16の周縁部を断面コ字状に折り曲げて補強すると共に,内向きに突出する折り曲げ端部16aを形成し,この折り曲げ端部16aの内周縁に,シール材41を全周に亘って取り付けることで,開閉扉16を閉じた際,このシール材41が点検窓17の外周部分に形成された平坦部と接触して,点検窓17に向かう水の浸入を防止している。
【0037】
なお,防音箱1の上面のみならず前面についても開閉可能に構成した図示の防音箱1にあっては,防音箱1のフロントカバー12を,
図1に示すように表示灯等が設けられた上部のフロントパネル12aと,開閉可能に構成した下部のフロントドア12bによって構成し,フロントドア12bの開放,あるいは取り外しによって,
図7(A)に示すように前面点検窓17’を開放することができるように構成している。
【0038】
そして,この前面点検窓17’の下端縁にも同様に止水板19’を立設して雨水の浸入を防止している。
【0039】
なお,図示は省略するが,フロントドア12bの周縁部にも,
図4中の拡大図を参照して説明したと同様のシール材を取り付けるものとしても良い。
【0040】
前述した開閉扉16と防音箱1の本体部分間は,
図2及び
図4に示すようにワイヤロープ42で連結されており,開閉扉16を,所定の回転角度迄回転させると,ワイヤロープ42によって開閉扉16の回動が規制されて,それ以上回動させることができないように構成されており,これにより,保守・点検等の作業に際し,開閉扉16を
図2に示すように所定の回動角度で開放状態に保持させておくことができるようになっている。
【0041】
〔排風ダクト〕
以上のように構成された防音箱1の天板を成す開閉扉16には,
図1〜3に示すように防音箱1内の冷却に使用された冷却風を機外に排出するための排風口21が形成されていると共に,
図2に示すように,この排風口21を介して雨水等が防音箱1内に浸入することを防止するために,排風ダクト30が取り付けられている。
【0042】
この排風ダクト30は,
図5に示すように底板31と,底板31より立設された側壁32〜35と,前記底板31を二分する,前記側壁32〜35に対し低い突出高さに形成された仕切壁36を備えており,図示の実施形態にあっては,平面視において矩形状に形成された底板31の四辺からそれぞれ側壁32〜35を立設させた,全体として上向きに開口する箱型の構造に形成している。
【0043】
そして,前述の仕切壁36で二分割された底板31の一方側31aが,開閉扉16に設けた排風口21と対向するように前記開閉扉16の裏面に側壁32〜35の上端を取り付けることで,排風ダクト30と開閉扉16の裏面間で囲まれた空間内に,冷却風の排出流路を形成している。
【0044】
この,排風口21と対向配置された前記底板31の一方側31aには,水抜き穴37が形成されており,この水抜き穴37の下方において,防音箱1外に雨水を排水するための排水路50が開口している。
【0045】
この排水路50は,図示の例では防音箱の側壁(リアカバー13)に形成された排水孔53(
図2,3参照)に向かって下向きに傾斜する底面51を備えた,断面上向きコ字状の排水シュートであり,この排水路50の底板51上に水抜き穴37を介して雨水が落下すると,雨水は傾斜した底面51上を伝ってリアカバー13に設けた排水孔53より機外に排出される。
【0046】
前述の水抜き穴37は,
図2に示すように,開閉扉16をヒンジ18止めしている側における底板31の端部(リアカバー13寄りの端部)に設けることが好ましく,この位置に水抜き穴37を設けることで,開閉扉16を開放する毎に,水抜き穴37側に向かって排風ダクト30の底板31を傾けることとなるため,排風ダクト30の底板31上に溜まった水を確実に排水することができるようになっている。
【0047】
好ましくは,排風ダクト30の底板31を,水抜き穴37側に向かって傾斜する構造としても良く,このように構成することで,開閉扉16を閉じた状態においても,排風ダクト30の底板31上に溜まった雨水を,水抜き穴37側に向けて誘導することができる。
【0048】
また,排水路50の開口縁55(
図2参照)にシール材を貼着しておき,開閉扉16を閉じた際,このシール材が水抜き穴37を囲むように排風ダクト30の底板31裏面の所定の位置(
図2中にハッチングで示した位置)と接触してシールし,水抜き穴37から落下した雨水を,防音箱1内に漏らすことなく確実に回収することができるように構成するものとしても良い。
【0049】
以上のように構成された排風ダクト30を介して,防音箱1内の排気を行うために,前記底板31の他方側31bには通風口38が形成されており(
図5参照),この通風口38の下方に,防音箱1内に収容する機器が備える排風機,例えば冷却ファンを,前記通風口38に向けて配置することで,通風口38を介した排風ダクト30内に導入された冷却風は,仕切壁36の上端と開閉扉16の裏面間に形成された隙間を介して排風口21の下方に形成された室内に導入され,排風口21を介して機外に排出される。
【0050】
なお,排風口21を通過した雨水が仕切壁36を越えて通風口38側に浸入することをより確実に防止するため,
図5に示す例に比較して仕切壁36の高さを高く形成して仕切壁36の上端と開閉扉16の裏面間に形成される隙間を狭く形成するものとしても良い。
【0051】
防音箱1内に油冷式の圧縮機を収容した本実施形態にあっては,前述の排風機としてオイルクーラのコア61に冷却風を導入する冷却ファン(図示せず)が収容されており,前述の通風口38を,オイルクーラのコア61の寸法に対応する大きさに形成し,この通風口38の直下にオイルクーラのコア61を配置すると共に,オイルクーラのコア61の下方に設けた冷却ファンによってオイルクーラのコア61に冷却風を導入することで,オイルクーラのコア61で熱交換された後の暖まった空気が排風ダクト30及び排風口21を介して機外に排出できるようにしている。
【0052】
〔作用等〕
以上のように構成された本発明の防音箱1内に収容された作業機を作動させると,作業機の運転中は,冷却ファンの回転により発生した冷却風がオイルクーラのコア61を通り、ここで熱交換がされた後,排風口21から吹き出していることから,雨水は冷却風によって吹き飛ばされ,排風口21から防音箱1内へ侵入することができない。
【0053】
一方,圧縮機の停止時には,排風口21からの冷却風の吹き出しも停止することから,雨水が排風口21を介して防音箱1内に侵入する。
【0054】
しかし,排風口21の下方には,排風ダクト30の底板31の一方側31aが配置されており,この底板の一方側31a上に雨水が受け止められると共に,底板31の一方側31aに受け止められた雨水は,仕切壁36によって堰き止められているために通風口38が形成された他方側31bへ移動することができず,排風口38から侵入した雨水が通風口38を介して更に防音箱1の内部へ浸入することが防止されている。
【0055】
また仕切壁36は,風等と共に斜め方向から排風口21内へ侵入した雨水が通風口38側に向かうことをも阻止し得るもので,特に,仕切壁の上端と開閉扉の裏面間の間隔を狭くした構成にあっては,このような雨水の浸入をより一層防止できる。
【0056】
従って,排風口21を介して防音箱1内に入り込んだ雨水は,排風ダクト30の底板31の一方側31aに捕集され,水抜き穴37及び排水路50を介して防音箱1のリアカバー13に形成した排水孔53を介して機外に排出される。
【0057】
また,排風ダクト30の底板31を,水抜き穴側に向かって下向きに傾斜するよう構成することで,排風ダクト30の底板31上に捕集された雨水が機外へ排出され易くなり,また,作業機の作動時,冷却風の一部が水抜き穴37及び排水路50を介して機外へ排風されることから,圧縮機の停止時に排風ダクト30内へ侵入し,排風ダクト30の底板31上に溜まった雨水は,作業機の始動と共に水抜き穴37に向かって冷却風に吹かれ(押され)、機外へ排水される。
【0058】
本発明の防音箱1にあっては,前述したように優れた防水性が実現されるのみならず,防音箱1の天板の少なくとも一部を開閉扉16によって形成し,この開閉扉に,前述した排風ダクト30を取り付けた構成としたことで,開閉扉16を回動させて防音箱1の上面に設けた点検窓17を開放すると,開閉扉16と共に,排風ダクト30についても収容機器の上方より取り除かれるため,内部に収容した機器の保守・点検作業が容易となる。
【0059】
特に,開閉扉16を開放した状態において,点検窓17から定期的に交換が必要な部品,例えば防音箱1内に収容する作業機が油冷式の圧縮機である場合,エアフィルタ62やオイルフィルタ63,オイルセパレータ64等の機器を
図6に示したように点検窓17より目視可能な位置に設けることで,これらの部品の点検や交換作業が行い易いものとなる。
【0060】
このような点検・交換作業に際し,開閉扉16はワイヤロープ42を介して防音箱1の本体部分に連結されていることから,開閉扉16を所定の回動角度に開いた状態で保持しておくことができ,前述した保守・点検等の作業性の向上を図ることができる。
【符号の説明】
【0061】
1 防音箱
11 フレーム
12 側板(フロントカバー)
12a フロントパネル
12b フロントドア
13 側板(リアカバー)
14,15 側板(サイドカバー)
16 天板(開閉扉)
16a 折り曲げ端部
17 点検窓(上面)
17’ 前面点検窓
18 ヒンジ
19,19’ 止水板
21 排風口
30 排風ダクト
31 底板
31a 一方側(底板31の)
31b 他方側(底板31の)
32,33,34,35 側壁
36 仕切壁
37 水抜き穴
38 通風口
41 シール材
42 ワイヤロープ
50 排水路
51 底板
53 排水孔
55 開口縁
61 オイルクーラのコア
62 エアフィルタ
63 オイルフィルタ
64 オイルセパレータ
80 パッケージ型圧縮機
81 防音箱
82 天板
83 側板
84,85 空間
86 排水受け
87 排水ホース
88 排風口
91 上部防音カバー
92 側部防音カバー
93 排気口
126 遮蔽板
125 傾斜板