特許第6184851号(P6184851)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6184851
(24)【登録日】2017年8月4日
(45)【発行日】2017年8月23日
(54)【発明の名称】ブロー成形用金型
(51)【国際特許分類】
   B29C 49/48 20060101AFI20170814BHJP
   B65D 1/02 20060101ALN20170814BHJP
   B29L 22/00 20060101ALN20170814BHJP
【FI】
   B29C49/48
   !B65D1/02 221
   B29L22:00
【請求項の数】1
【全頁数】11
(21)【出願番号】特願2013-246216(P2013-246216)
(22)【出願日】2013年11月28日
(65)【公開番号】特開2015-104805(P2015-104805A)
(43)【公開日】2015年6月8日
【審査請求日】2016年5月30日
(73)【特許権者】
【識別番号】000006909
【氏名又は名称】株式会社吉野工業所
(74)【代理人】
【識別番号】100147485
【弁理士】
【氏名又は名称】杉村 憲司
(74)【代理人】
【識別番号】100156867
【弁理士】
【氏名又は名称】上村 欣浩
(74)【代理人】
【識別番号】100179947
【弁理士】
【氏名又は名称】坂本 晃太郎
(72)【発明者】
【氏名】田端 真一
(72)【発明者】
【氏名】田中 敏正
【審査官】 川崎 良平
(56)【参考文献】
【文献】 特開昭62−138226(JP,A)
【文献】 特開2013−208834(JP,A)
【文献】 特開平02−045123(JP,A)
【文献】 米国特許第03892829(US,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B29C 33/00,49/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
その内側にキャビティ面を有するとともに有底筒状のプリフォームを装着可能としてなり、該プリフォームの口筒部に接続されるブローノズルから加圧した液体を供給して該プリフォームを該キャビティ面に向けて延伸させて容器を成形する加圧液体供給機能と、該容器内に充填した液体の一部を該ブローノズルから引き戻す、或いは該プリフォームを縦方向に延伸させる延伸ロッドを液体を充填した容器内から引き抜くことで該容器内にヘッドスペースを形成するヘッドスペース形成機能とを有するブロー成形装置に用いられるブロー成形用金型であって、
前記キャビティ面は、容器の底部、胴部、肩部、及び口部の外形に対応する底部形成面、胴部形成面、肩部形成面、及び口部形成面を備え、
該胴部形成面は、横断面形状が扁平状をなす扁平部を備え
前記底部形成面と前記胴部形成面との境界部分、及び前記胴部形成面と前記肩部形成面との境界部分の横断面形状は、ともに正方形状であるブロー成形用金型。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、プリフォームを容器として成形するにあたって、加圧流体として液体を使用するブロー成形装置を用いるブロー成形用金型に関する。
【背景技術】
【0002】
ポリエチレンテレフタレート(PET)樹脂製やポリプロピレン(PP)樹脂製のボトルに代表されるような合成樹脂製の容器は、飲料用、食品用、化粧料用等の様々な用途に使用されている。このような容器は、射出成形等により有底筒状に形成されたプリフォームをブロー成形用金型に装着し、ブロー成形装置からプリフォーム内に加圧流体を供給することで所定形状に形成されるのが一般的である。
【0003】
ブロー成形装置としては、プリフォーム内に充填される加圧流体として、空気や液体を用いるものが知られている。この場合、液体として飲料、化粧品、薬品等の最終的に製品に充填される内容液を使用することにより、容器への内容液の充填工程を省略して、その生産工程やブロー成形装置の構成を簡略化することができる。例えば特許文献1には、所定の温度に加熱されたプリフォームをブロー用金型にセットするとともにブロー用金型内で延伸ロッドによりプリフォームを延伸させ、しかる後延伸したプリフォーム内に所定の温度に加熱した液体を充填してプリフォームを膨張させ、ブロー用金型の内周面に倣った外形のプラスチック容器を形成するプラスチック容器の成形方法が示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2000−043129号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
特許文献1のように加圧流体として液体を用いる場合は、ブロー成形用金型から容器を取り出す際に容器内の液体が溢れるのを防止するため、容器の上部にヘッドスペースを形成する必要がある。そのためには、例えば容器を成形した後、容器内に充填した液体の一部を液体の供給側に引き戻すこと(サックバック)、或いは、プリフォームを延伸させる延伸ロッドを液体を充填した容器内から引き抜くことによって、容器内を減圧状態にして容器の胴部を減容変形させ、その後、容器内に空気を導入して元の形状に復元させる手段がある。
【0006】
ところで、容器の形状や肉厚によっては、胴部のみならず肩部や底部も減容変形することがあり、空気を導入しても元の形状に復元できずに窪み状に変形したままになることがあった。このような窪み状の変形は、内容液の量がばらつく原因になる他、見栄えの上でも好ましいものではない。このような問題に対し、容器の胴部に減容変形しやすい減圧吸収パネルを設けることも検討されたが、デザイン上の要請から減圧吸収パネルを設けることができない場合も多く、新たな解決手段が望まれていた。
【0007】
本発明は、このような点を解決することを課題とするものであり、その目的は、加圧流体として液体を使用するブロー成形装置によってプリフォームを容器として成形するにあたり、ヘッドスペースを設けるために容器を減容変形させる場合でも、容器が窪み状に変形したままになる不具合を防止することができる、新たなブロー成形用金型を提案するところにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明は、その内側にキャビティ面を有するとともに有底筒状のプリフォームを装着可能としてなり、該プリフォームの口筒部に接続されるブローノズルから加圧した液体を供給して該プリフォームを該キャビティ面に向けて延伸させて容器を成形する加圧液体供給機能と、該容器内に充填した液体の一部を該ブローノズルから引き戻す、或いは該プリフォームを縦方向に延伸させる延伸ロッドを液体を充填した容器内から引き抜くことで該容器内にヘッドスペースを形成するヘッドスペース形成機能とを有するブロー成形装置に用いられるブロー成形用金型であって、
前記キャビティ面は、容器の底部、胴部、肩部、及び口部の外形に対応する底部形成面、胴部形成面、肩部形成面、及び口部形成面を備え、
該胴部形成面は、横断面形状が扁平状をなす扁平部を備え
前記底部形成面と前記胴部形成面との境界部分、及び前記胴部形成面と前記肩部形成面との境界部分の横断面形状は、ともに正方形状であるブロー成形用金型である。
【発明の効果】
【0010】
本発明のブロー成形用金型は、キャビティ面が、底部形成面、胴部形成面、肩部形成面、及び口部形成面を有し、胴部形成面は、横断面形状が扁平状をなす扁平部を備えるものであるので、キャビティ面の扁平部に対応して形成される容器の扁平部では、容器の中心軸線から近い側での対向する面同士が、相互に近づく向きに変形しやすくなる。このため、ヘッドスペースを形成すべく、容器内に充填した液体の一部をブローノズルから引き戻す、或いはプリフォームを縦方向に延伸させる延伸ロッドを液体を充填した容器内から引き抜くことによって、容器内が減圧状態になっても、容器の扁平部が優先して変形することになるので、肩部や底部へ及ぶ減容変形が抑制され、窪み状の変形を防止することができる。
【0011】
底部形成面と胴部形成面との境界部分、及び胴部形成面と肩部形成面との境界部分の横断面形状がともに正方形状であって、且つ胴部形成面の横断面形状が縦方向に亘って全て正方形状である場合は、容器の胴部における正方形の角部同士や面同士では、何れも剛性が略同一となるため、意図しない部位での減容変形が特に起こりやすくなる。一方、底部形成面と胴部形成面との境界部分、及び胴部形成面と肩部形成面との境界部分の横断面形状がともに正方形状であっても、上述したキャビティ面の扁平部を設ける場合は、この扁平部に対応して形成される容器の扁平部が優先して変形することになるため、窪み状の変形防止に特に有効となる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
図1】本発明に従うブロー成形用金型の一実施形態につき、その要部をプリフォーム及びブロー成形装置とともに示す断面図である。
図2図1に示すA−Aに沿う断面図である。
図3】(a)は、図1に示すブロー成形用金型のキャビティ面に対し、これに対応する外形を持つ容器の側面図であり、(b)は、(a)に対して容器の中心軸線を中心として90度ずれた向きからの側面図である。
図4】(a)は図3に示す容器の平面図であり、(b)はその下面図である。
図5図3(a)、(b)に示すB−Bに沿う断面図である。
図6図1に示すブロー成形装置の全体を示す概略図である。
図7図6に対して、加圧した液体をプリフォームに供給した状態を示す概略図である。
図8図7に対して、容器内に充填した液体の一部を引き戻し、また、延伸ロッドを液体を充填した容器内から引き抜くことによって、容器を減容変形させた状態を示す概略図である。
図9図8に対して、容器内に気体が導入されヘッドスペースが形成された状態を示す概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、図面を参照して、本発明の一実施形態についてより詳細に例示説明する。なお、本願において「縦」方向とは、図1に示すブロー成形用金型におけるキャビティ面の中心軸線Mに沿う向きであり、「横」方向とは、中心軸線Mに対する垂直面に沿う向きである。
【0014】
図1に示す符号1は、本発明の一実施形態であるブロー成形用金型(以下、「金型」と称する)を示す。金型1の内側には、所望する容器の外形となるキャビティ面2が形成されている。
【0015】
本実施形態のキャビティ面2は、図3図5に示す容器3の外形に対応する形状をなしている。容器3は、中央部分が容器3の内側に向けて凹をなすとともに平面視にて全体が正方形状となる底部3aと、この底部3aの外縁から上方に向けて容器3の内側に湾曲しながら延在する胴部3bと、胴部3bから縮径しながら上方に向かうとともに平面視にて全体が正方形状になる肩部3cと、肩部3cから上方に向かう円筒状の口部3dと、口部3dから径方向外側に向けて延在するネックリング3eとからなる。なお、ともに正方形状となる底部3aと肩部3cは、容器3の中心軸線mに対して周方向にねじれることなく配置されるものである。また、胴部3bは、正方形状となる底部3aの各辺とこれに対向する肩部3cの各辺との間を、容器3の内側に湾曲しながら延在する4つの胴部壁3b1〜3b4でつないだ形態をなすものである。なお、対向する胴部壁(例えば胴部壁3b1と3b3)同士は同一形状となっているが、隣り合う胴部壁(例えば胴部壁3b1と3b2)は、図3(a)、(b)に示すように、容器3の内側に最も近づく部分の縦方向位置や、湾曲度合いが相互に異なっていて、これにより胴部3bには、図5に示すように、横断面形状が扁平状をなす扁平部3b5が形成される。
【0016】
そして、図1に示すようにこのような容器3の外形に対応するキャビティ面2は、容器3の底部3a、胴部3b、肩部3c、口部3dにそれぞれ対応する底部形成面2a、胴部形成面2b、肩部形成面2c、及び口部形成面2dで構成されている。また胴部形成面2bは、容器3の4つの胴部壁3b1〜3b4に対応する胴部形成面部分2b1〜2b4で構成されている。そして、容器3の扁平部3b5に対応して、キャビティ面2の扁平部2b5が形成されている。
【0017】
また、金型1は、キャビティ面2を分割するように形成される複数の金型部分によって構成され、これらの金型部分は相互に離反する向きに移動可能になっている。本実施形態の金型1は、図2に示すように、中心軸線Mを含む垂直面で合わさる2つの金型部分1a、1bと、図示は省略するが、金型部分1a、1bに対して下方で合わさる1つの金型部分の合計3つで構成されている。
【0018】
また、図1に示すように金型1の上面には、開口1cが設けられている。開口1cには、例えばポリプロピレン(PP)等の合成樹脂によって形成される有底筒状のプリフォーム4が装着される。本実施形態のプリフォーム4は、試験管形状となる本体部4aの上端に円筒状の口筒部4bが一体に設けられるとともに、口筒部4bの下端部にネックリング4cが一体に設けられた形状のものを用いている。
【0019】
上記のような構成になる金型1は、例えば図6に示す構成になるブロー成形装置10に取り付け可能となっている。本実施形態のブロー成形装置10は、隔壁部材11、ブローノズル12、シール体13、延伸ロッド14を備えていて、付属設備として加圧液体供給部20、液体調整部22を接続している。
【0020】
隔壁部材11は、その下端部をプリフォーム4のネックリング4cに対して上方から当接し、プリフォーム4の装着姿勢を保持するようにしている。
【0021】
ブローノズル12は、筒片15と供給筒部16から構成されている。筒片15は、中空状をなしていて、プリフォーム4の口筒部4bに液密に接続される。また供給筒部16も中空状をなしていて、下方において筒片15と連結するとともに、上方にはプリフォーム4を延伸させるための液体Lの導入路16aが設けられている。また、供給筒部16の下部内周面には、下方に向かって縮径するテーパー状のシール段部16bが設けられている。また、このシール段部16bの下には供給筒部16の外部と内部を連通するための通気孔16cが設けられていて、この通気孔16cはバルブV3により開閉される。更にブローノズル12には、液体Lを循環させる為の流出路16dが設けられている。
【0022】
シール体13は、供給筒部16の内部に配置され、上下方向に移動可能となっている。シール体13は、細長い筒状の筒体17の先端部に円筒状のシール筒片18を同軸心状に組み付けたものである。筒体17とシール筒片18は、一体となって上下方向に移動することができる。なお、シール筒片18の下端面の外周縁部は、角取りしてテーパー縁部18aとなっている。
【0023】
延伸ロッド14は、シール体13の筒体17及びシール筒片18を貫くとともに、シール体13に対して独立して上下方向に移動することができるようになっている。
【0024】
ここで、ブローノズル12とこのシール体13によって、ブローノズル12の内部には、プリフォーム4内に連通する円筒状のノズル内供給路Fsが形成される。そして、図6に示すようにシール体13を下降させ、シール筒片18のテーパー縁部18aが供給筒部16のシール段部16bに当接することによって、ノズル内供給路Fsのプリフォーム内部への連通が閉状態とされ、また、シール体13を図7に示すように上昇させることによって、開状態とすることができる。
【0025】
加圧液体供給部20は、内部にプランジャー21aを挿入したプランジャーポンプ21を備えていて、プランジャー21aの動作を、サーボモータ(図示省略)を配設したサーボ機構Svで制御するようにしている。加圧液体供給部20は、配管P1を介してブローノズル12の導入路16aに接続されていて、プランジャー21aを下方に移動させることでノズル内供給路Fsに液体Lを供給し、プランジャー21aを上方に移動させることでノズル内供給路Fsの液体Lを引き戻すことができる。また配管P1には、流路を開閉するバルブV2が設けられている。
【0026】
また液体調整部22は、流出路16dにつながる配管R3を通してノズル内供給路Fs内の液体Lを導入し、必要に応じて配管R1から新たな液体Lを補給して、所要の温度に加温した上で配管R2により加圧液体供給部20に液体Lを供給する機能を有する。これにより、ノズル内供給路Fs内の液体Lを、温度を一定に保った状態で循環させることができる。また配管R2、R3には、流路を開閉するバルブV1、V4が設けられている。
【0027】
次に、このような構成となる金型1及びブロー成形装置10を用いたプリフォーム4のブロー成形工程を、図6図9を参照しつつ説明する。
【0028】
まず、図6に示すように、金型1にプリフォーム4を装着し、型締めするとともに、ブロー成形装置10の筒片15をプリフォーム4の口筒部4bに接続する。なお、バルブV1、V3、V4は閉状態にしておく。そして、図中、二点鎖線で示すように、延伸ロッド14を下降させてプリフォーム4を縦方向に延伸する。
【0029】
次に、図7に示すように、シール体13を上昇させてノズル内供給路Fsを開状態にするとともにバルブV2を開状態とし、プランジャーポンプ21のプランジャー21aを下方に移動させる。これによって加圧した液体Lをプリフォーム4の内部に供給し、縦方向に延伸したプリフォーム4を、金型1のキャビティ面2に向けて延伸させて容器3を成形する(加圧液体供給機能)。
【0030】
そして、上記のように容器3を成形した後、図8に示すようにプランジャー21aを上昇させて(この状態でシール体13は、図7のように上昇していてノズル内供給路Fsは開状態であるとする)、容器3内に充填した液体の一部をブローノズル12を通してプランジャーポンプ21内に引き戻すことで容器3を減容変形させる。更に、シール体13を下降させてノズル内供給路Fsを閉状態とし、延伸ロッド14を上昇させることで容器3を更に減容変形させる。
【0031】
ここで金型1には、図2に示すように横断面形状が扁平状をなす扁平部2b5が設けられているので、容器3には、図5に示すようにこの扁平部2b5に対応する扁平部3b5が形成されることになる。これにより、扁平部3b5では、容器3の中心軸線mに近い胴部壁3b1、3b3が、相互に近づくように優先して変形することになるので、意図しない部位の減容変形を防止することができる。
【0032】
その後、図9に示すようにバルブV3を開状態とし、大気開放することで容器3を復元させる。なお、通気孔16cから加圧気体を導入して復元させても良い。これにより容器3にはヘッドスペースHsが形成される(ヘッドスペース形成機能)。なお、容器3は、金型1から取り出すことで最終的な形状になる(金型1から取り出す前後で容器3の内容積が多少変化する)ので、この時のヘッドスペースHsは、最終的な形状を見越した容積に調整している。
【0033】
しかる後は、図示は省略するが、ブローノズル12上方に移動させて容器3から切り離し、更に金型1を型開きして液体Lが充填された容器3を取り出す。その後は、口部3dをキャップ等で閉塞して製品とする。
【実施例】
【0034】
以下、図3図5に示す容器を成形するための金型(実施例)と、図3図5に示す容器と同様な正方形状となる底部と肩部とを有する一方、胴部は垂直状になる金型(比較例)を準備し、所定の数の容器を成形して、窪み状に変形したままになる容器が成形される頻度について調査を行った。なお、実施例の金型、及び比較例の金型を取り付けるブロー成形装置は同一のものを用いた。その結果、比較例の金型で成形した場合は、胴部と肩部の境界付近で窪み状に変形したままになる容器が90%以上の頻度で発生したが、実施例の金型ではこの変形が生じなかった。この結果から、胴部形成面に横断面形状が扁平状をなす扁平部を設けることは、窪み状の変形の防止に有効であることが分かる。
【0035】
本発明に従うブロー成形用金型は、前述の実施形態に限定されるものではなく、特許請求の範囲に従う範囲で種々の変更が可能である。例えば、図2に示すキャビティ面2の扁平部2b5は角部に丸みを持たせた矩形状になるものであるが、楕円状であってもよい。また、上述したブロー成形装置10では、ヘッドスペースHsを形成するにあたり、プランジャー21aを上昇させて、容器3内に充填した液体の一部をブローノズル12を通してプランジャーポンプ21内に引き戻し、更に、液体Lを充填した容器3内から延伸ロッド14を上昇させて容器3を減容変形させたが、何れか一方のみでもよい。また、延伸ロッド14での縦方向の延伸を省略して、加圧した液体Lをプリフォーム4の内部に供給することのみでプリフォーム4を延伸させてもよい。
【産業上の利用可能性】
【0036】
本発明によれば、加圧流体として液体を使用するブロー成形装置を用いてプリフォームを容器として成形するにあたり、ヘッドスペースを設けるために容器を減容変形させる場合でも、窪み状の変形を防止することができる、新たなブロー成形用金型を提供できる。
【符号の説明】
【0037】
1 金型
1a、1b 金型部分
1c 開口
2 キャビティ面
2a 底部形成面
2b 胴部形成面
2c 肩部形成面
2d 口部形成面
2b1〜2b4 胴部形成面部分
2b5 キャビティ面の扁平部
3 容器
3a 底部
3b 胴部
3c 肩部
3d 口部
3e ネックリング
3b1〜3b4 胴部壁
3b5 容器の扁平部
4 プリフォーム
4a 本体部
4b 口筒部
4c ネックリング
10 ブロー成形装置
11 隔壁部材
12 ブローノズル
13 シール体
14 延伸ロッド
15 筒片
16 供給筒部
16a 導入路
16b シール段部
16c 通気孔
16d 流出路
17 筒体
18 シール筒片
18a テーパー縁部
20 加圧液体供給部
21 プランジャーポンプ
21a プランジャー
22 液体調整部
Fs ノズル内供給路
Hs ヘッドスペース
L 液体
M キャビティ面の中心軸線
m 容器の中心軸線
P1 配管
R1 配管
R2 配管
R3 配管
Sv サーボ機構
V1 バルブ
V2 バルブ
V3 バルブ
V4 バルブ
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9