特許第6184866号(P6184866)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6184866
(24)【登録日】2017年8月4日
(45)【発行日】2017年8月23日
(54)【発明の名称】新規抗がん剤
(51)【国際特許分類】
   C07D 403/12 20060101AFI20170814BHJP
   A61K 31/53 20060101ALI20170814BHJP
   A61K 31/5377 20060101ALI20170814BHJP
   A61P 35/00 20060101ALI20170814BHJP
【FI】
   C07D403/12CSP
   A61K31/53
   A61K31/5377
   A61P35/00
【請求項の数】19
【全頁数】61
(21)【出願番号】特願2013-535207(P2013-535207)
(86)(22)【出願日】2011年10月27日
(65)【公表番号】特表2013-540778(P2013-540778A)
(43)【公表日】2013年11月7日
(86)【国際出願番号】AU2011001376
(87)【国際公開番号】WO2012054978
(87)【国際公開日】20120503
【審査請求日】2014年10月21日
(31)【優先権主張番号】61/407,265
(32)【優先日】2010年10月27日
(33)【優先権主張国】US
【前置審査】
(73)【特許権者】
【識別番号】505098650
【氏名又は名称】ウォルター アンド エリザ ホール インスティテュート オブ メディカル リサーチ
(74)【代理人】
【識別番号】100076428
【弁理士】
【氏名又は名称】大塚 康徳
(74)【代理人】
【識別番号】100115071
【弁理士】
【氏名又は名称】大塚 康弘
(74)【代理人】
【識別番号】100112508
【弁理士】
【氏名又は名称】高柳 司郎
(74)【代理人】
【識別番号】100116894
【弁理士】
【氏名又は名称】木村 秀二
(74)【代理人】
【識別番号】100130409
【弁理士】
【氏名又は名称】下山 治
(72)【発明者】
【氏名】バーゲス, アントニー ウィルクス
(72)【発明者】
【氏名】ウォーカー, フランチェスカ
(72)【発明者】
【氏名】ワトソン, キース ジェフリー
(72)【発明者】
【氏名】ウィチャード, ヘレン
(72)【発明者】
【氏名】レセーヌ, ギョーム
【審査官】 伊佐地 公美
(56)【参考文献】
【文献】 特開2006−188533(JP,A)
【文献】 特表2004−517922(JP,A)
【文献】 特表2006−511476(JP,A)
【文献】 米国特許第05574057(US,A)
【文献】 国際公開第2003/032903(WO,A2)
【文献】 Zheng, M. et al.,Synthesis and antitumor evaluation of a novel series of triaminotriazine derivatives,Bioorganic & Medicinal Chemistry,2007年,Vol. 15, No. 4,p. 1815-1827
【文献】 Witchard, H. M. et al.,Synthesis of 5-Amino-3-methylimidazolidine-2,4-dione and 1,3,5-Triazine Derivatives as Analogues of the Alkaloids Naamidine A and G,Synthesis,2010年,No. 24,p. 4312-4316
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C07D
A61K
A61P
CAplus/REGISTRY(STN)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
式1の化合物又は薬学的に許容できるその誘導体、塩、又は水和物。
(式1において、E及びGはそれぞれ独立しいずれかの配向の−NH−C1−4アルキル−、−N(C1−4アルキル)−C1−4アルキル−、及び−O−C1−4アルキル−からなる群から選択され、
は単結合を意味し、
が単結合である場合、Kは独立してCH及びNから選択され、Jは独立してNH及びCHから選ばれ、
及びRはそれぞれ0〜2個の置換基であり、各置換基は−C1−4アルキル、−OH、−O−C1−4アルキル、−N(R、−C1−4アルキルN(R、−NO、ハロゲン、及びCFからなる群から独立して選択され、各RはH、OH、−C1−4アルキル、−C(O)OC1−4アルキル、及び−C(O)Rからなる群から独立して選択され、ただし一つのRが−OHである場合、もう一つのRは−OHであり得ない、又は、−N(Rはピロリジニル基、ピペリジニル基、ピペラジニル基、又はモルホリノ基であり、随意的にはメチルで置換され、
は−C1−4アルキル及びフェニルからなる群から選択され、
は、H、−C1−4アルキル、アリール、及びアルキルアリールからなる群から選択され、及び前記誘導体は、少なくとも1つの四級化された塩基性含窒素基又は少なくとも1つのエステル化された水酸基を含む。)
【請求項2】
請求項1に記載の式2の化合物又は前記薬学的に許容できるその誘導体、塩、又は水和物。
(式2において、E及びGはそれぞれ独立しいずれかの配向の−NH−C1−4アルキル−、及び−O−C1−4アルキル−からなる群から選択され、
及びRはそれぞれ0〜2個の置換基であり、各置換基は−C1−4アルキル、−OH、−O−C1−4アルキル、−N(R、−C1−4アルキルN(R、−NO、ハロゲン、及びCFからなる群から独立して選択され、各RはH、OH、−C1−4アルキル、−C(O)OC1−4アルキル、及び−C(O)Rからなる群から独立して選択され、ただし一つのRがOHである場合、もう一つのRはOHであり得ない、又はN(Rはピロリジニル基、ピペリジニル基、ピペラジニル基、又はモルホリノ基であり、随意的にはメチルで置換され、
は−C1−4アルキル及びフェニルからなる群から独立して選択され、及び
は、H、−C1−4アルキル、及びアリールからなる群から選択される。)
【請求項3】
請求項1に記載の式3の化合物又は前記薬学的に許容できるその誘導体、塩、又は水和物。
(式3において、E及びGはそれぞれ独立しいずれかの配向の−NH−C1−4アルキル−、及び−O−C1−4アルキル−からなる群から選択され、
及びRはそれぞれ0〜2個の置換基であり、各置換基は−C1−4アルキル、−OH、−O−C1−4アルキル、−N(R、−C1−4アルキルNHR、−NO、ハロゲン、及びCFからなる群から独立して選択され、各Rは−H、−OH、−C1−4アルキル、−C(O)OC1−4アルキル、及び−C(O)Rからなる群から独立して選択され、ただし一つのRがOHである場合、もう一つのRはOHであり得ない、又は、−N(Rはピロリジニル基、ピペリジニル基、ピペラジニル基、又はモルホリノ基であり、随意的にはメチルで置換され、
は−C1−4アルキル及びフェニルからなる群から独立して選択され、及び
は、H、C1−4アルキル、及びアリールからなる群から選択される。)
【請求項4】
E及びGは、それぞれ独立して−NHC1−4アルキルから選択される、請求項1から3のいずれかに記載の化合物。
【請求項5】
E及びGのヘテロ原子が両方トリアジン環に結合する、請求項4に記載の化合物。
【請求項6】
及びRはそれぞれ独立して1から2の置換基である、請求項1から5のいずれかに記載の化合物。
【請求項7】
及びRのそれぞれが、少なくとも一つのパラ置換基である、請求項1から6のいずれかに記載の化合物。
【請求項8】
各置換基Rは、−OH、−O−C1−4アルキル、及び−C1−4アルキルからなる群から独立して選択される、請求項1から7のいずれかに記載の化合物。
【請求項9】
各置換基Rは、−OH、O−C1−4アルキル、及び−C1−4アルキルN(Rからなる群から独立して選択される、請求項1から8のいずれかに記載の化合物。
【請求項10】
は、H、メチル、プロピル、ブチル、及びフェニルからなる群から選択される、請求項1から9のいずれかに記載の化合物。
【請求項11】
は水素である、請求項1から10のいずれかに記載の化合物。
【請求項12】
以下の式からなる群から選択される、請求項1に記載の化合物。
;
;
;
;
;
;
;
;
;
;
;及び
【請求項13】
以下の式からなる群から選択される、請求項12に記載の化合物。
【請求項14】
請求項1に記載の化合物又は前記薬学的に許容できるその塩であって、以下の式の化合物。
(1−[4−(4−アミノメチル−ベンジルアミノ)−6−(4‐メトキシベンジルアミノ)−{1,3,5}−トリアジン−2−イル−アミノ]−イミダゾリジン−2,4−ジオン。)
【請求項15】
前記薬学的に許容できる塩は塩酸塩である、請求項14に記載の化合物。
【請求項16】
がん治療薬であり、請求項1から15のいずれかに記載の化合物又は前記薬学的に許容可能な誘導体、塩、若しくは水和物を含む治療薬。
【請求項17】
前記がんは結腸がん、非小細胞肺がん、脳がん、又は乳がんである、請求項16に記載の治療薬。
【請求項18】
請求項1から15のいずれかに記載の化合物又は前記薬学的に許容できるその誘導体、塩、若しくは水和物、及び
薬学的に許容可能な担体、希釈剤、又は賦形剤を含む医薬組成物。
【請求項19】
請求項1に記載の化合物又は前記薬学的に許容できるその誘導体、塩、又は水和物であって、以下の式の化合物。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、結腸がん、肺がん、脳がん、及び乳がん等のがんの治療において有用な化合物群に関する。
【背景技術】
【0002】
がんは、世界中で主要な死因である大病である。がんの治療の一つの重要な態様は、抗がん剤を用いた化学療法である。しかし、化学療法でのがんの治療が簡単に進むことは珍しく、一般に新規でかつ改良された、異なるメカニズム及び経路で働く抗がん剤を開発する必要がある。
【発明の概要】
【0003】
【化1-1】
第一の態様において、本発明は、式1の化合物、又は薬学的に許容できるその誘導体、塩、又はプロドラッグを提供し、
E及びGはそれぞれ独立して−C1−4アルキル−、−NH−、−N(C1−4アルキル)−、−O−、及びいずれかの配向の−NH−C1−4アルキル−、−N(C1−4アルキル)−C1−4アルキル−、及び−O−C1−4アルキル−からなる群から選択され、
は単結合又は二重結合を意味し、
が単結合である場合、Kは独立してCH及びNから選択され、Jは独立してNH及びCHから選ばれ、
が二重結合である場合、KはCであり、Jは独立してN及びCHから選択され、
は0〜2個の置換基であり、各置換基は−C1−4アルキル、−C3−6シクロアルキル、−OH、−O−C1−4アルキル、−N(R、−C1−4アルキルN(R、−O−C1−4アルキル−N(R、−C3−6シクロアルキル−N(R、−O−フェニル、−O−ベンジル、−NO、ハロゲン、及びCFからなる群から独立して選択され、
各Rは−H、−OH、−C1−4アルキル、−C(O)OC1−4アルキル、−C1−4アルキル−OR、及び−C(O)Rからなる群から独立して選択され、ただし一つのRが−OHである場合、もう一つのRは−OHであり得ない、又は、−N(Rはピロリジニル基、ピペリジニル基、ピペラジニル基、又はモルホリノ基であり、随意的には−C1−4アルキルで置換され、
は0〜2個の置換基であり、各置換基は−C1−4アルキル、−C3−6シクロアルキル、−OH、−O−C1−4アルキル、−N(R、−C1−4アルキルN(R、−O−C1−4アルキル−N(R、−C3−6シクロアルキル−N(R、−O−フェニル、−O−ベンジル、−NO、ハロゲン、及び−CFからなる群から独立して選択され、
各Rは、−H、−OH、−C1−4アルキル、−C(O)OC1−4アルキル、−C1−4アルキル−OR、及び−C(O)Rからなる群から独立して選択され、ただし一つのRが−OHである場合、もう一つのRは−OHであり得ない、又は、−N(Rはピロリジニル基、ピペリジニル基、ピペラジニル基、又はモルホリノ基であり、随意的には−C1−4アルキルで置換され、
及びRはそれぞれ−C1−4アルキル及びフェニルからなる群から独立して選択され、
は、−H、−C1−4アルキル、アリール、及びアルキルアリールからなる群から選択され、及び
は−H及び−C1−4アルキルからなる群から選択される。
【0004】
第二の態様において、本発明は、被験者のがんの治療方法であって、本発明の化合物又は薬学的に許容できるその誘導体、塩、又はプロドラッグの有効な量を被験者に投与することを含む方法である。
【0005】
第三の態様において、本発明は、がんの治療のための薬剤の調製における、本発明の化合物又は薬学的に許容できるその誘導体、塩、又はプロドラッグの使用である。
【0006】
第四の態様において、本発明は、本発明の化合物又は薬学的に許容できるその誘導体、塩、若しくはプロドラッグ、並びに薬学的に許容できる担体、希釈剤、若しくは賦形剤を含む組成物である。
【図面の簡単な説明】
【0007】
図1】G2/M阻害薬で処理された細胞内における安定化されたチューブリン対溶解性チューブリンの判定である。担体、タキソール、又は化合物3(198−02)で処理されたLIM1215細胞を、NP−40により可溶化した。浮遊物及び再懸濁された不溶性物質の同量を、SDS/PAGEを用いて解析し、β−チューブリンに対する抗体を用いて免疫ブロットした。S=溶性、P=重合チューブリン。BaF/3細胞株においても同じ結果が得られた。
図2】「インビトロ」チューブリン重合に対する本発明の化合物の効果。Cary 50分光光度計のキュベット中にチューブリン(PIPES/MgCl/GTP緩衝剤に1mg/ml)を事前に平衡化させ、その後、緩衝剤(A)、タキソール(B)、トリアジン0.5 mM(C)又はトリアジン0.2 mM(D)を添加した(矢印)。30分間、5秒の間隔でOD[340]の測定を記録した。
図3】抽出されたマウス血漿の代表的なクロマトグラムである。A:正常なマウス血漿とHCである。B:標準曲線を得るための、化合物2(156−01)でスパイクされた正常なマウス血漿である。C:化合物2(156−01)の注入の二時間後に取得された血漿は、回収された化合物2のピーク及び他3つの推定上の代謝産物によるピークを示している。
図4】推定上の代謝産物のピークのスペクトル解析。Aは、血漿(点線)中の標準化合物2(156−01)(実線)及び注入されたマウスの血漿(実線)の重ねクロマトグラムである。Bは、精製ピークのUVスペクトルである。
図5】化合物2の注入後のマウス血漿から回収された代謝産物の抗有糸分裂効果。BAF/3の細胞を、段階的に大きくなる量の各構成ピークとともに24時間培養した。ヨウ化プロピジウムを用いてFACS解析で細胞周期の分布を評価した。ModFiを用いて細胞周期のG2/M期にいる細胞のパーセンテージを判定した。
図6】マウスに50mg/kgの皮下単回投与後の化合物2の血漿中濃度のプロット。各点は一つのマウスに対応する。A:ピーク1の値の算出濃度の片対数プロット。B:代謝産物のピークを全て含む値の片対数プロット。C:ピーク1のみを全てのピークと比較した平均及びSEの値。
図7】ヌードマウスにおけるLIM2537腫瘍の増殖。腫瘍の直径は、外部キャリパーを用いて、三日毎に測定され、式:π/6×(L×W)を用いて腫瘍体積を計算した。賦形剤対象で治療された動物(黒線)と、実験の3日目に開始した週三回の15mg/kgの化合物2で治療された動物(赤線)との間に明らかな違いが見られる。
図8】ヌードマウスにおけるU87MG(Δ2−7)腫瘍の増殖。腫瘍の直径は、外部キャリパーを用いて、三日毎に測定され、式:π/6×(L×W)を用いて腫瘍体積を計算した。賦形剤対象で治療された動物(黒線)と、実験の5日目に開始した週三回の20mg/kgの化合物2で治療された動物との間に明らかな違いが見られる。
図9】化合物2で治療された動物(「156−01」のラベル付き)(緑の棒)は、賦形剤対象で治療された動物(赤)に対して、腫瘍の重量が下がっていたが、肝臓及び脾臓の重量に関しては有意な差が見られなかった。
図10】ヌードマウスにおけるH1437腫瘍の増殖。腫瘍の直径は、外部キャリパーを用いて、三日毎に測定され、式:π/6×(L×W)を用いて腫瘍体積を計算した。賦形剤対象で治療された動物(黒線)と、実験の5日目に開始した週三回の20mg/kgの化合物2で治療された動物(赤線)との間に明らかな違いが見られる。
図11】賦形剤対象で治療された動物(上3行)及び化合物2で治療したもの(20mg/kg、週三回)(最下行)から取り出されたH1437の異種移植腫瘍の写真である。サイズにおける有意な違いが見える。
【発明を実施するための形態】
【0008】
Leucetta海綿から抽出されるイミダゾールアルカロイドであるナアミジンAが、上皮成長因子(EGF)のシグナル伝達経路を選択的に阻害し、EGF受容体を大幅に過剰に発現するヒトのがん細胞株を用いたマウスの異種移植モデルにおける腫瘍増殖を阻害することは報告されている(Copp et al., J.Med.Chem. 1998, 41:3909)。
【0009】
【0010】
EGF受容体に特異的な小分子阻害剤の探索にかかった本発明者は、複数のナアジミンA類似体を合成し、それぞれの生物学的活性を調べた。
【0011】
驚くべきことに、本発明者は、細胞増殖抑制作用及び/又は細胞毒性を示し、そしてEGFシグナル伝達経路を介して作用しない、ナアジミンAに関連する分子クラスを特定した。このトリアジン化合物のクラスは、ナノモル範囲の抗がん活性をもつ抗がん剤として有望である。
【0012】
よって、第一の態様において、本発明は、式1の化合物、又は薬学的に許容できるその誘導体、塩、又はプロドラッグを提供し、
【化1-2】
E及びGはそれぞれ独立して−C1−4アルキル−、−NH−、−N(C1−4アルキル)−、−O−、及びいずれかの配向の−NH−C1−4アルキル−、−N(C1−4アルキル)−C1−4アルキル−、及び−O−C1−4アルキル−からなる群から選択され、
は単結合又は二重結合を意味し、
が単結合である場合、Kは独立してCH及びNから選択され、Jは独立してNH及びCHから選ばれ、又は
が二重結合である場合、KはCであり、Jは独立してN及びCHから選択され、
は0〜2個の置換基(つまり0、1、又は2個の置換基又はその整数のいずれか二つを含む範囲)であり、各置換基は−C1−4アルキル、−C3−6シクロアルキル、−OH、−O−C1−4アルキル、−N(R、−C1−4アルキルN(R、−O−C1−4アルキル−N(R、−C3−6シクロアルキル−N(R、−O−フェニル、−O−ベンジル、−NO、ハロゲン、及び−CFからなる群から独立して選択され、
各Rは−H、−OH、−C1−4アルキル、−C(O)OC1−4アルキル、−C1−4アルキル−OR、及び−C(O)Rからなる群から独立して選択され、ただし一つのRが−OHである場合、もう一つのRは−OHであり得ない、又は、−N(Rはピロリジニル基、ピペリジニル基、ピペラジニル基、又はモルホリノ基であり、随意的には−C1−4アルキルで置換され、
は0〜2個の置換基(つまり0、1、又は2個の置換基又はその整数のいずれか二つを含む範囲)であり、各置換基は−C1−4アルキル、−C3−6シクロアルキル、−OH、−O−C1−4アルキル、−N(R、−C1−4アルキルN(R、−O−C1−4アルキル−N(R、−C3−6シクロアルキル−N(R、−O−フェニル、−O−ベンジル、−NO、ハロゲン、及び−CFからなる群から独立して選択され、
各Rは、−H、−OH、−C1−4アルキル、−C(O)OC1−4アルキル、−C1−4アルキル−OR、及び−C(O)Rからなる群から独立して選択され、ただし一つのRが−OHである場合、もう一つのRは−OHであり得ない、又は、−N(Rはピロリジニル基、ピペリジニル基、ピペラジニル基、又はモルホリノ基であり、随意的には−C1−4アルキルで置換され、
及びRはそれぞれ−C1−4アルキル及びフェニルからなる群から独立して選択され、
は、H、−C1−4アルキル、−アリール、及び−アルキルアリールからなる群から選択され、及び
は−H及び−C1−4アルキルからなる群から選択される。
【0013】
一つの実施態様において、
は単結合であり、(i)KはCH及びJはNH、又は(ii)KはN及びJはCHである。
【0014】
さらに一つの実施態様において、
は二重結合であり、KはCH及びJはNHである。
【0015】
は好ましくは、水素、メチル、プロピル、ブチル、及びフェニルからなる群から選択される。
【0016】
一つの実施態様において、Eは−NH−C1−4アルキル−、−N(C1−4アルキル)−C1−4アルキル−、及び−O−C1−4アルキル−からなる群から選択され、Eのヘテロ原子はトリアジン環に結合している。
【0017】
一つの実施態様において、Gは−NH−C1−4アルキル−、−N(C1−4アルキル)−C1−4アルキル−、及び−O−C1−4アルキル−からなる群から選択され、Gのヘテロ原子はトリアジン環に結合している。
【0018】
好ましくは、Eは−NH−C1−4アルキル−であり、さらに好ましくは、Eは−NH−CH−である。
【0019】
好ましくは、Gは−NH−C1−4アルキル−であり、さらに好ましくは、Gは−NH−CH−である。
【0020】
一つの実施態様において、Rは、−C1−4アルキルで置換されたピペラジニル基となる−N(Rであり、それは以下の式で表せる。
【0021】
好ましくは、R及びRはそれぞれ独立して1〜2個の置換基であり、さらに好ましくは、R及びRはそれぞれ1個の置換基である。
【0022】
一つの実施態様において、R及びRはそれぞれ少なくとも1個のパラ置換基である。
【0023】
好ましくは、各Rの置換基は、−OH、−O−C1−4アルキル、及び−C1−4アルキルからなる群から独立して選択され、さらに好ましくは、各Rの置換基は、−OH、−OMe、及び−CHからなる群から独立して選択される。
【0024】
好ましくは、各Rの置換基は、−OH、O−C1−4アルキル、及び−C1−4アルキルN(Rからなる群から独立して選択される。
【0025】
さらに好ましくは、各Rの置換基は、−OH、−OMe、−CHNH、及び−CHNH−C(O)O(t−Bu)からなる群から独立して選択される。
【0026】
好適な実施態様において、本発明は式2の化合物、又は薬学的に許容できるその誘導体、塩、又はプロドラッグを提供し、
【化2】
E及びGはそれぞれ独立して−C1−4アルキル−、−NH−、−O−、及びいずれかの配向の−NH−C1−4アルキル−、及び−O−C1−4アルキル−からなる群から選択され、
は0〜2個の置換基であり、各置換基は−C1−4アルキル、−C3−6シクロアルキル、−OH、−O−C1−4アルキル、−N(R、−C1−4アルキルN(R、−O−C1−4アルキル−N(R、−C3−6シクロアルキル−N(R、−O−フェニル、−O−ベンジル、−NO、ハロゲン、及び−CFからなる群から独立して選択され、
各Rは−H、−OH、−C1−4アルキル、−C(O)OC1−4アルキル、−C1−4アルキル−OR、及び−C(O)Rからなる群から独立して選択され、ただし一つのRが−OHである場合、もう一つのRは−OHであり得ない、又は、−N(Rはピロリジニル基、ピペリジニル基、ピペラジニル基、又はモルホリノ基であり、随意的には−C1−4アルキルで置換され、
は0〜2個の置換基であり、各置換基は−C1−4アルキル、−C3−6シクロアルキル、−OH、−O−C1−4アルキル、−N(R、−C1−4アルキルN(R、−O−C1−4アルキル−N(R、−C3−6シクロアルキル−N(R、−O−フェニル、−O−ベンジル、−NO、ハロゲン、及び−CFからなる群から独立して選択され、
各Rは、−H、−OH、−C1−4アルキル、−C(O)OC1−4アルキル、−C1−4アルキル−OR、及び−C(O)Rからなる群から独立して選択され、ただし一つのRが−OHである場合、もう一つのRは−OHであり得ない、又は、−N(Rはピロリジニル基、ピペリジニル基、ピペラジニル基、又はモルホリノ基であり、随意的には−C1−4アルキルで置換され、
及びRはそれぞれ−C1−4アルキル及びフェニルからなる群から独立して選択され、
は、−H、−C1−4アルキル、及び−アリールからなる群から選択され、及び
は−H及び−C1−4アルキルからなる群から選択される。
【0027】
一つの実施態様において、Eは−NH−C1−4アルキル−、−N(C1−4アルキル)−C1−4アルキル−、及び−O−C1−4アルキル−からなる群から選択され、Eのヘテロ原子はトリアジン環に結合している。
【0028】
一つの実施態様において、Gは−NH−C1−4アルキル−、−N(C1−4アルキル)−C1−4アルキル−、及び−O−C1−4アルキル−からなる群から選択され、Gのヘテロ原子はトリアジン環に結合している。
【0029】
好ましくは、Eは−NHC1−4アルキル−であり、さらに好ましくは、Eは−NH−CH−である。
【0030】
好ましくは、Gは−NHC1−4アルキル−であり、さらに好ましくは、Gは−NH−CH−である。
【0031】
一つの実施態様において、本発明は式2の化合物を提供し、Rは1〜2個の置換基であり、各置換基は−C1−4アルキル、−OH、−O−C1−4アルキル、及び−C1−4アルキルNHRからなる群から独立して選択され、及びRは1〜2個の置換基であり、各置換基は−C1−4アルキル、−OH、−O−C1−4アルキル、及び−C1−4アルキルNHRからなる群から独立して選択され、
は−H、−C1−4アルキル、及び−C(O)OC1−4アルキルからなる群から選択され、
は−H、−C1−4アルキル、及び−C(O)OC1−4アルキルからなる群から選択される。
【0032】
好ましくは、各Rの置換基は、−OH、−OMe、及び−CHからなる群から独立して選択され、各Rの置換基は、−OH、O−C1−4アルキル、及び−C1−4アルキルNHRからなる群から独立して選択され、
は−H、−C1−4アルキル、及び−C(O)OC1−4アルキルからなる群から選択される。
【0033】
さらに好ましくは、Rは、−OH、−OMe、−CHNH、及び−CHNH−C(O)O(t−Bu)からなる群から選択される。
【0034】
さらに一つの実施態様において、本発明は式2の化合物を提供し、Rは−H、メチル、プロピル、ブチル、及びフェニルからなる群から選択される。
【0035】
一つの実施態様において、Rは直鎖アルキルである。
【0036】
一つの実施態様において、本発明は式3の化合物、又は薬学的に許容できるその誘導体、塩、又はプロドラッグを提供し、
【化3】
E及びGはそれぞれ独立して−C1−4アルキル−、−NH−、−O−、及びいずれかの配向の−NH−C1−4アルキル−、及び−O−C1−4アルキル−からなる群から選択され、
は0〜2個の置換基であり、各置換基は−C1−4アルキル、−C3−6シクロアルキル、−OH、−O−C1−4アルキル、−N(R、−C1−4アルキルNHR、−O−C1−4アルキル−N(R、−C3−6シクロアルキル−N(R、−O−フェニル、−O−ベンジル、−NO、ハロゲン、及び−CFからなる群から独立して選択され、
各Rは−H、−OH、−C1−4アルキル、−C(O)OC1−4アルキル、−C1−4アルキル−OR、及び−C(O)Rからなる群から独立して選択され、ただし一つのRが−OHである場合、もう一つのRは−OHであり得ない、又は、−N(Rはピロリジニル基、ピペリジニル基、ピペラジニル基、又はモルホリノ基であり、随意的には−C1−4アルキルで置換され、
は0〜2個の置換基であり、各置換基は−C1−4アルキル、−C3−6シクロアルキル、−OH、−O−C1−4アルキル、−N(R、−C1−4アルキルN(R、−O−C1−4アルキル−N(R、−C3−6シクロアルキル−N(R、−O−フェニル、−O−ベンジル、−NO、ハロゲン、及び−CFからなる群から独立して選択され、
各Rは、−H、−OH、−C1−4アルキル、−C(O)OC1−4アルキル、−C1−4アルキル−OR、及び−C(O)Rからなる群から独立して選択され、ただし一つのRが−OHである場合、もう一つのRは−OHであり得ない、又は、−N(Rはピロリジニル基、ピペリジニル基、ピペラジニル基、又はモルホリノ基であり、随意的には−C1−4アルキルで置換され、
及びRはそれぞれ−C1−4アルキル及び−フェニルからなる群から独立して選択され、
は、−H、−C1−4アルキル、及び−アリールからなる群から選択され、及び
は−H及び−C1−4アルキルからなる群から選択される。
【0037】
一つの実施態様において、Eは−NH−C1−4アルキル−、−N(C1−4アルキル)−C1−4アルキル−、及び−O−C1−4アルキル−からなる群から選択され、Eのヘテロ原子はトリアジン環に結合している。
【0038】
一つの実施態様において、Gは−NH−C1−4アルキル−、−N(C1−4アルキル)−C1−4アルキル−、及び−O−C1−4アルキル−からなる群から選択され、Gのヘテロ原子はトリアジン環に結合している。
【0039】
好ましくは、Eは−NHC1−4アルキルであり、さらに好ましくはEは−NH−CH−である。
【0040】
好ましくは、Gは−NHC1−4アルキルであり、さらに好ましくはGは−NH−CH−である。
【0041】
一つの実施態様において、本発明は式3の化合物であり、Rは1〜2個の置換基であり、各置換基は−O−C1−4アルキル、及び−C1−4アルキルN(Rからなる群から独立して選択され、及びRは1〜2個の置換基であり、各置換基は−O−C1−4アルキル、及び−C1−4アルキルN(Rからなる群から独立して選択され,
各Rは−H、−C1−4アルキル、及び−C(O)OC1−4アルキルからなる群から独立して選択され、
各Rは−H、−C1−4アルキル、及び−C(O)OC1−4アルキルからなる群から独立して選択される。
【0042】
好ましくは、Rは−OMeであり、Rは−O−C1−4アルキル、及び−C1−4アルキルN(Rからなる群から選択され、
各Rは−H、−C1−4アルキル、及び−C(O)OC1−4アルキルからなる群から独立して選択される。
【0043】
さらに好ましくは、Rは、−OMe、−CHNH、及び−CHNH−C(O)O(t−Bu)からなる群から選択される。
【0044】
好ましくは、Rは水素である。
【0045】
一つの実施態様において、本発明は式4の化合物、又は薬学的に許容できるその誘導体、塩、又はプロドラッグを提供し、
【化4】
E及びGはそれぞれ独立して−C1−4アルキル−、−NH−、−O−、及びいずれかの配向の−NH−C1−4アルキル−、及び−O−C1−4アルキル−からなる群から選択され、
は0〜2個の置換基であり、各置換基は−C1−4アルキル、−C3−6シクロアルキル、−OH、−O−C1−4アルキル、−N(R、−C1−4アルキルNHR、−O−C1−4アルキル−N(R、−O−C1−4アルキル−N(R、−C3−6シクロアルキル−N(R、−O−フェニル、−O−ベンジル、−NO、ハロゲン、及び−CFからなる群から独立して選択され、
各Rは−H、−OH、C1−4アルキル、−C(O)OC1−4アルキル、−C1−4アルキル−OR、及び−C(O)Rからなる群から独立して選択され、又は、−N(Rはピロリジニル基、ピペリジニル基、ピペラジニル基、又はモルホリノ基であり、随意的には−C1−4アルキルで置換され、
は0〜2個の置換基であり、各置換基は−C1−4アルキル、−C3−6シクロアルキル、−OH、−O−C1−4アルキル、−N(R、−C1−4アルキルN(R、−O−C1−4アルキル−N(R、−C3−6シクロアルキル−N(R、−O−フェニル、−O−ベンジル、−NO、ハロゲン、及び−CFからなる群から独立して選択され、
各Rは、−H、−OH、−C1−4アルキル、−C(O)OC1−4アルキル、−C1−4アルキル−OR、及び−C(O)Rからなる群から独立して選択され、ただし一つのRが−OHである場合、もう一つのRは−OHであり得ない、又は、−N(Rはピロリジニル基、ピペリジニル基、ピペラジニル基、又はモルホリノ基であり、随意的には−C1−4アルキルで置換され、
及びRはそれぞれ−C1−4アルキル及びフェニルからなる群から独立して選択され、
は、−H、−C1−4アルキル、及び−アリールからなる群から選択され、及び
は−H及び−C1−4アルキルからなる群から選択される。
【0046】
一つの実施態様において、Eは−NH−C1−4アルキル−、−N(C1−4アルキル)−C1−4アルキル−、及び−O−C1−4アルキル−からなる群から選択され、Eのヘテロ原子はトリアジン環に結合している。
【0047】
一つの実施態様において、Gは−NH−C1−4アルキル−、−N(C1−4アルキル)−C1−4アルキル−、及び−O−C1−4アルキル−からなる群から選択され、Gのヘテロ原子はトリアジン環に結合している。
【0048】
好ましくは、Eは−NHC1−4アルキル−であり、さらに好ましくは、Eは−NH−CH−である。
【0049】
好ましくは、Gは−NHC1−4アルキル−であり、さらに好ましくは、Gは−NH−CH−である。
【0050】
一つの実施態様において、本発明は式4の化合物であり、Rは1〜2個の置換基であり、各置換基は−O−C1−4アルキル、及び−C1−4アルキルN(Rからなる群から独立して選択され、及びRは1〜2個の置換基であり、各置換基は、−O−C1−4アルキル、及び−C1−4アルキルN(Rからなる群から独立して選択され、
各Rは−H、−C1−4アルキル、及び−C(O)OC1−4アルキルからなる群から独立して選択され、
各Rは−H、−C1−4アルキル、及び−C(O)OC1−4アルキルからなる群から独立して選択される。
【0051】
好ましくは、Rは−OMeであり、及びRは−O−C1−4アルキル、及び−C1−4アルキルN(Rからなる群から選択され、
各Rは−H、−C1−4アルキル、及び−C(O)OC1−4アルキルからなる群から独立して選択される。
【0052】
さらに好ましくは、Rは、−OMe、−CHNH、及び−CHNH−C(O)O(t−Bu)からなる群から選択される。
【0053】
さらに一つの実施態様において、本発明は式4の化合物を提供し、Rは−H、メチル、プロピル、ブチル、及びフェニルからなる群から選択される。好ましくは、Rは水素である。
【0054】
一つの実施態様において、本発明は
からなる群から選択される化合物を提供する。
【0055】
好ましくは、化合物は
からなる群から選択される。
【0056】
Chang et al. (US 2004/0122009)は、ミオセべリンと同様の抗増殖効果を有するトリアジン化合物を合成した。Changの化合物は、本発明の化合物と構造的に違う化合物であり、がん細胞株に対する作用は桁違いに小さい。さらに、Chang et al.に開示された化合物は、本発明の化合物とは著しく異なる生物活性を有する。Chang et al.の研究において、彼らの化合物はチューブリン重合とU937ヒト白血病細胞の増殖阻害とに必要なIC50値の間に密接な相関を見出した(25頁、表1を参照)。一方、本発明者は、本発明の化合物の場合、チューブリン重合に必要な濃度は、細胞増殖分析によるIC50よりも1000倍よりも高いことを見出した。
【0057】
ここで使われる「ハロ」又は「ハロゲン」は、フッ素(フルオロ)、塩素(クロロ)、臭素(ブロモ)、及びヨウ素(ヨード)を意味する。
【0058】
ここで単独で、又はNH(アルキル)及びN(アルキル)等の化合物に関して使われる「アルキル」は、一価直鎖炭化水素基又は分岐炭化水素基を意味する。例えば、適切なアルキル基は、メチル、エチル、n−プロピル、イソプロピル、n−ブチル、sec−ブチル、及びtert−ブチルを含み、ただしこれらに限定されない。
【0059】
当業者に理解されるように、「C1−4アルキル」とは、1、2、3、又は4個の炭素原子を有する直鎖又は分岐鎖、又は1、2、3、又は4のいずれか二つの整数を含む範囲の炭素原子を有する直鎖又は分岐鎖である。
【0060】
ここで使われる「アリール」とは、フェニルやナフチル等のC−C10芳香族炭化水素基を意味する。
【0061】
ここで使われる「シクロアルキル」とは、環状炭化水素基を意味する。適切なシクロアルキル基は、シクロプロピル、シクロブチル、シクロペンチル、及びシクロへキシルを含み、ただしこれらに限定されない。
【0062】
当業者に理解されるように、「C3−6シクロアルキル」とは、3、4、5、又は6個の炭素原子を有する、又は3、4、5、又は6のいずれか二つの整数を含む範囲の炭素原子を有するシクロアルキル基である。
【0063】
「アルキルアリール」とは、例えば、ベンジルを含む。
【0064】
アミン窒素は、適切な窒素保護基により保護されてもよい(”Protective Groups in Organic Synthesis”、Theodora Greene、Peter Wuts、第3版、Wiley Interscience, 1999を参照)。
【0065】
式1の化合物の塩は、好ましくは薬学的に許容できるものであるが、薬学的に許容できるものの準備の際に有用であるため、薬学的に許容できない塩も本発明の範囲内であることが理解される。
【0066】
「薬学的に許容できる誘導体」とは薬学的に許容できる塩、水和物、又はプロドラッグ、又は、被験者への投与の際に、式1の化合物又はその代謝産物又は残留物を、直接又は間接的に提供できる他の化合物であるどのようなものでも含む。
【0067】
適切な薬学的に許容できる塩は、塩酸、硫酸、リン酸、硝酸、炭酸、ホウ酸、スルファミン酸、及び臭化水素酸等の薬学的に許容できる無機酸の塩、及び酢酸、プロピオン酸、酪酸、酒石酸、マレイン酸、ヒドロキシマレイン酸、フマル酸、リンゴ酸、クエン酸、乳酸、粘液酸、グルコン酸、安息香酸、コハク酸、シュウ酸、フェニル酢酸、メタンスルホン酸、トルエンスルホン酸、ベンゼンスルホン酸、サリチル酸、スルファニル酸、アスパラギン酸、グルタミン酸、エデト酸、ステアリン酸、パルミチン酸、オレイン酸、ラウリン酸、パントテン酸、タンニン酸、アスコルビン酸、及びバレリン酸等の薬学的に許容できる有機酸の塩を含むが、これらに限定されない。
【0068】
塩基塩は、ナトリウム、カリウム、リチウム、カルシウム、マグネシウム、亜鉛、アンモニウム、アルキルアンモニウム(トリエチルアミンで生成された塩等)及びアルコキシアンモニウム(エタノールアミンで生成された塩等)等の薬学的に許容できるカチオンで生成されたものを含むが、これらに限定されない。塩基塩はさらに、エチレンジアミン、コリン、及びアミノ酸(アルギニン、リジン、ヒスチジン等から生成された塩を含む)。薬学的に許容できる塩又はその生成についての一般的な情報は当業者に知られ、及び「Handbook of Pharmaceutical Salts」、P.H.Stahl、C.G.Wermuth、第1版、2002、Wiley−VCH等の一般的な本において説明されている。
【0069】
塩基性の窒素含有基は、塩化メチル、塩化エチル、塩化プロピル、塩化ブチル、臭化メチル、臭化エチル、臭化プロピル、臭化ブチル、ヨウ化メチル、ヨウ化エチル、ヨウ化プロピル、及びヨウ化ブチル等の低級アルキルハロゲン化物、及び硫酸ジメチル又は硫酸ジエチル等の硫酸ジアルキルにより四級化されてもよい。
【0070】
ヒドロキシル基は、酢酸及び2,2−ジメチルプロピオン酸等の低級アルキルカルボン酸を含む基によりエステル化、又はメチルスルホン酸等のアルキルスルホン酸を含む基によりスルホン化、又はグルクロニド誘導体を生成するようにグリコシル化されてもよい。
【0071】
本発明はさらに式1の化合物のプロドラッグを含む医薬組成物を含む。さらに、本発明は式1の化合物のプロドラッグ投与による被験者のがんの治療又は予防方法を含む。遊離アミノ基、アミド基、ヒドロキシ基又はカルボン酸基を有する式1による化合物は、プロドラッグに変換されてもよい。
【0072】
プロドラッグは、そのアミノ酸残基、又は2個以上の(例えば2、3、又は4)アミノ酸残基のポリペプチド鎖が式1の化合物の遊離アミノ基、ヒドロキシ基、及びカルボン酸基に共有結合している化合物を含む。アミノ酸残基は、一般に3文字略号によって表される天然に存在する20種アミノ酸を含み、また4−ヒドロキシプロリン、ヒドロキシリジン、デモシン、イソデモシン、3−メチルヒスチジン、ノルブリン、β−アラニン、γ−アミノ酪酸、シトルリン、ホモシステイン、ホモセリン、オルニチン、及びメチオニンスルホンを含む。プロドラッグはさらにカルボン酸塩、カルバミン酸塩、アミド、及びアルキルエステルが、カルボニル炭素プロドラッグ側鎖を介して上記式1の置換基に共有結合している化合物も含む。プロドラッグはさらに、式1の化合物の遊離ヒドロキシル基に、リン−酸素結合により結合された式1の化合物のリン酸塩誘導体(例えば酸、酸の塩、又はエステル)も含む。
【0073】
式1の化合物は、不斉中心を有する可能性があり、よって一つ以上の立体異性体として存在し得ることも理解される。従って、この発明はさらに、一つ以上の不斉中心における実質的に純粋な異性体化合物、例えば95%又は97%ee等の約90%eeより多く含むもの、及び例えばラセミ混合物等のその混合物にも関する。
【0074】
このような異体性は、不斉合成、例えばキラル中間体を用いた合成、又はキラル分割によって生成されてもよい。
【0075】
一つの実施態様において、本発明は、本発明の化合物、又はその薬学的に許容できる誘導体、塩、又はプロドラッグの有効な量を被験者に投与することによる被験者におけるがんの治療方法を提供する。
【0076】
別の実施態様において、本発明はがんの治療のための薬剤の調製における本発明の化合物の使用を提供する。
【0077】
さらに、別の実施態様において、本発明はがんの治療のために使用される化合物を提供する。
【0078】
好ましくは、がんは結腸がん、非小肺がん、脳がん、又は乳がんである。
【0079】
本発明者は、本発明のトリアジンは、最適濃度では、少なくともタキソール(Taxol)に等しいG2/M抑制を誘導する有効性をもつことを見出した。しかし、タキソールはチューブリン重合を安定化させるところ、さらなる実験により示されたのは、トリアジンに誘導されたチューブリン重合は最小限であり、それも分裂阻止剤としての効能を示す濃度をはるかに超える投与量で現れたことである。
【0080】
従って、一つの実施態様において、がんはパクリタキセル、ドセタキセル、及びカルバジタキセル(Carbazitaxel)等のタキサンに対して対抗力のあるがんである。
【0081】
一つの実施態様において、がんはチューブリンの形成及び分解を直接阻害する分裂抑制剤に耐久性のあるものである。
【0082】
一つの実施態様において、本発明は本発明の化合物及び薬学的に許容できる担体、希釈剤、又は賦形剤を含む医薬組成物を提供する。
【0083】
本発明の組成物は下記の別の治療剤を含んでもよく、例えば医薬品の調整技術に関して周知な従来の固体又は液体の担体又は希釈剤、及び望まれた投与方法に適切な種類の医薬品添加物(例えば、賦形剤、結合剤、保存剤、安定剤、香味料等)を用いて調整されてもよい。
【0084】
本発明の化合物は適切な方法により投与可能であり、例えば皮下、静脈内、又は筋肉内方法、又は嚢内注入、又は点滴技術(例えば、無菌の注入可能な水性又は不水性な溶液又は懸濁液)等の非経口方法であってもよい。
【0085】
薬学的製剤には、経口、直腸、経鼻、局所(口腔及び舌下を含む)、膣内、及び非経口(筋肉内、皮下、及び静脈内を含む)投与用のものが含まれ、及び吸入及び吹送による投与用のものが含まれる。本発明の化合物は、従来の補助剤、担体、又は希釈剤と合わせて、薬学的組成物及びその単位投与量として生成可能であり、それは錠又は詰められたカプセル等の固体状、又は溶液、懸濁液、エマルジョン剤、エリキシル剤等の液体状、又はそれで詰められたカプセルとして形成されてもよく、その全ては経口使用可能であり、又は直腸投与のために坐剤として、又は無菌注入可能な溶液として非経口(皮下を含む)使用可能である。
【0086】
ヒト等の霊長類に加えて、様々な種の哺乳類も本発明の方法により治療可能である。例えば、牛、羊、ヤギ、馬、犬、猫、モルモット、ネズミ、又は他のウシ属、羊属、ウマ属、イヌ属、ネコ属、齧歯類、又はネズミ属等、ただしこれらに限定されない、他の哺乳類も治療可能である。しかし、この方法は、鳥類(例えば鶏)など、他の種においても実践可能である。
【0087】
上記の方法により治療される被験者は哺乳類であり、牛、羊、ヤギ、馬、犬、猫、モルモット、ネズミ、又は他のウシ属、羊属、ウマ属、イヌ属、ネコ属、齧歯類、又はネズミ属を含むが、これらに限定されなく、好ましくは雄又は雌のヒトである。
【0088】
「有効な量」とは、研究者、獣医、医師、又は他の臨床医に求められる組織、システム、動物、又はヒトによる生物的又は医療的反応を及ぼす、対象組成物の量を意味する。
【0089】
がん治療技術に熟達した者に理解されるように、「治療」とは、必然的にがんを完全に治すことを意味する表現ではない。「治療」とは、被験者における、いかなるがん細胞の複製の阻害及び/又は腫瘍サイズの減少を含む。
【0090】
ここで使われる「組成物」は、特定された量の特定された材料を含む製品、及び特定された量の特定された材料の組み合わせから、直接又は間接的に得られる製品を含む表現である。「薬学的に許容できる」とは、担体、希釈剤、又は賦形剤が、製剤の他の材料と適合し、製剤の受容者に対して有害なものではないことを意味する。
【0091】
化合物「の投与」又は化合物「を投与する」とは治療を必要とする個人に本発明による化合物を提供することとして理解される。
【0092】
本発明の化合物の投与のための医薬品組成物は、単位投与量として提供可能であり、薬学技術分野における周知の方法を用いて調製可能である。全ての方法は、有効成分を、一つ以上の付属成分からなる担体と組み合わせるステップを含む。一般的には、医薬組成物は、均一に、かつ密接に有効成分を液体の担体又は細かく分割された固体の担体、又はその両方と組み合わせて、そして必要であれば、製品を求められた製剤として成形することで調製する。医薬組成物においては、病気の過程又は病状に対して求められた効果を及ぼすために必要な有効成分の量が含まれる。ここで使われる「組成物」は、特定された量の特定された材料を含む製品、及び特定された量の特定された材料の組み合わせから、直接又は間接的に得られる製品を含む表現である。
【0093】
医薬組成物は、無菌注入可能な水性又は油性の懸濁液であってもよい。この懸濁液は、上記の適切な分散剤又は湿潤剤及び懸濁化剤を用いて周知の技術により調製可能である。無菌注入可能な製剤は、1,3−ブタンジオール等の非毒性な非経口使用可能な希釈剤又は溶剤中の無菌の注入可能な溶液又は懸濁液であってもよい。可能な担体及び溶媒には、水、リンゲル溶液、及び等張塩化ナトリウム溶液が含まれる。そして、従来は、無菌な固定油が溶剤、又は懸濁化用の媒体として使用されている。このため、いかなる無菌の固定油、例えば合成モノグリセリドや合成ジグリセリド等を使用してもよい。尚、注入可能剤の調製において、オレイン酸等の脂肪酸も用いられる。
【0094】
本発明の医薬品組成物及び方法はさらに、上記の病的状態の治療の際に応用される他の治療的に有効な化合物を含んでもよい。併用療法において用いられる具体的な物質の選択は、従来の薬学的原則に従い、当業者により可能である。治療剤の併用は、上記の様々な疾患の治療又は予防に関して相乗効果を与えるように働く可能性もある。このアプローチにより、各物質の投与量を減らして治療効能を得られる可能性もあり、よって有害な副作用を抑える可能性もある。
【0095】
他の治療剤を本発明の化合物と併用に用いる場合には、例えば医師用卓上参考書(Physician Desk Reference,PDR)に記載の量、又は当業者により判断された量を用いてもよい。
【0096】
がん細胞の複製の阻害、及び/又は腫瘍サイズの低減を必要とする疾患の治療又は予防において、適切な投与量は、一般に、1日当たり、患者の体重1kgに当たり約0.01mgから500mgであり、これは単回投与又は複数回投与として投与可能である。好ましくは、投与量は1日当たり約0.1から約250mg/kg、さらに好ましくは1日当たり約0.5から約100mg/kgである。適切な投与量としては、1日当たり約0.01から250mg/kg、1日当たり約0.05から100mg/kg、又は1日当たり約0.1から50mg/kgが可能である。この範囲内において、投与量は1日当たり0.05から0.5、0.5から5、又は5から50mg/kgであってもよい。治療対象の患者の症状に関する調節のために、経口投与において、好意的には組成物は錠型として提供され、有効成分を1.0から1000mg、特に1.0、5.0、10.0、15.0、20.0、25.0、50.0、75.0、100.0、150.0、200.0、250.0、300.0、400.0、500.0、600.0、750.0、800.0、900.0、及び1000.0mgを含むものを提供する。化合物は、1日当たり1から4回の計画、好ましくは1日当たり1回又は2回の計画で投与可能である。
【0097】
しかし、具体的な投与量及び投薬頻度は、各患者によって異なり、具体的に応用される化合物の活性、該化合物の代謝的安定性及び活性時間、年齢、体重、全体的健康、性別、食生活、投与方法及び時間、排出率、薬の組み合わせ、及び具体的な疾患の重篤度等、及び治療を受ける患者等、様々な因子に依存することは理解される。
【0098】
この明細書で使われる「含む」、又はその変形した「含まれる」、「含んでいる」は、記載の要素、整数、ステップ、又は要素、整数、及びステップの群を含むように理解され、ただし他の要素、整数又はステップ、及び要素、整数又はステップの群を除外するように解釈されない。
【0099】
本明細書に含まれる文献、行為、材料、装置、及び品等の記載は、それらは本願の各クレームの優先日以前に存在し、先行技術を形成するもの、又は本発明に関する技術領域の一般常識であるものの認識としては理解されない。
【0100】
本発明の特性をより理解しやすくするために、次には本発明の好ましい態様を、以下の限定とならない実施例を参照しながら説明する。
【実施例】
【0101】
実施例1.合成化学
トリアジンで置換された一連の誘導体を生成するために、1,3,5−トリアジン骨格の修飾を可能とする急速、そして高収率の合成プロトコルが開発された。
【0102】
実施例1.1 − 1−[4,6−ビス−(4−メトキシベンジルアミノ)−{1,3,5}−トリアジン−2−イル−アミノ]−イミダゾリジン−2,4−ジオン(化合物1)の調製のための合成方法
【0103】
PART A 1−(4,6−ジクロロ−[1,3,5]−トリアジン−2−イル−アミノ)−イミダゾリジン−2,4−ジオンの調製
【0104】
1−アミノヒダントイン塩酸塩(457mg,3.0mmol)、塩化シアヌル(500mg,2.73mmol)、及び重炭酸ナトリウム(505mg,6mmol)のよく冷えた懸濁液を、アセトニトリル(5mL)中に、そして窒素雰囲気下で2時間かき混ぜ、それから室温で20時間かき混ぜた。反応混合物を、減圧蒸発乾固させ、酢酸エチルを用いて残留物を抽出し、酢酸エチルを分離して乾かした(MgSO)。粗生成物(770mg)は、薄層クロマトグラフィー[シリカ;CHCl/MeOH(10:1)]において、一つの点を与え、粗生成物はさらなる精製をなしに次のステップに用いられた。H NMR (CDCN): δ = 4.11 (s, 2H); 8.71 (s, 1H); 8.85 (s, 1H).
【0105】
PART B 1−[4,6−ビス−(4−メトキシベンジルアミノ)−[1,3,5]−トリアジン−2−イル−アミノ]−イミダゾリジン−2,4−ジオン(化合物1)の調製
【0106】
室温で、アセトニトリル(20mL)中の、かき混ぜられた1−(4,6−ジクロロ−[1,3,5]−トリアジン−2−イル−アミノ)−イミダゾリジン−2,4−ジオン(770mg,2.93mmol)及び炭酸カリウム(2.42g,17.6mmol)の懸濁液に、4−メトキシベンジルアミン(0.96mL,7.32mmol)を加えた。反応混合物を、室温及び窒素雰囲気下で24時間かき混ぜ、そして減圧下で溶媒を除去した。残留物は酢酸エチルを用いて抽出し、酢酸エチルは乾かし(MgSO)、蒸発させたことにより粗生成物が得られ、粗生成物は、溶離液としてCHCl/MeOH(50:1→10:1)を用いてシリカ上のフラッシュ・クロマトグラフィーによって精製した。純生成物は、無色の固体(587mg,43%)として分離された。H NMR (d DMSO): δ = 3.67 (s, 6H); 3.96及び4.05 (2s, 合計 2H); 4.20及び4.32 (2s, 合計 4H); 6.80 (bs, 4H); 7.13−7.39 (m, 6H); 8.67, 8.85及び8.99 (2s, 合計 1H); 11.0 (bs, 1H). マススペクトル (ES+) 465 (M+H).
【0107】
実施例1.2 − 1−[4−(4−アミノメチル−ベンジルアミノ)−6−(4−メトキシベンジルアミノ)−{1,3,5}−トリアジン−2−イル−アミノ]−イミダゾリジン−2,4−ジオン、HCl塩(化合物2)の調製のための合成方法
【0108】
PART A 1−[4−クロロ−6−(4−N−Boc−アミノメチル)−ベンジルアミノ−{1,3,5}−トリアジン−2−イル−アミノ]−イミダゾリジン−2,4−ジオンの調製
【0109】
乾燥ジメチルホルムアミド(DMF,10mL)中の、1−(4,6−ジクロロ−[1,3,5]−トリアジン−2−イル−アミノ)−イミダゾリジン−2,4−ジオン(実施例1.1,PART A)(590mg,2.24mmol)及び炭酸カリウム(681mg,4.94mmol)のかき混ぜられた懸濁液に、4−(N−Boc−アミノメチル)−ベンジルアミン(582mg,2.47mmol)を加えた。混合物を、室温で20時間かき混ぜ、水と酢酸エチルの混合液に注いだ。結果として得られたエマルジョンをろ過し、有機質の層を分離し、乾燥し、そして蒸発させた結果、黄色い固体の粗生成物が得られた(576mg,55%)。マススペクトル(ESI+):946(2M+Na),924(2M+H)。
【0110】
PART B 1−[4−(4−アミノメチル−ベンジルアミノ)−6−(4−メトキシベンジルアミノ)−{1,3,5}−トリアジン−2−イル−アミノ]−イミダゾリジン−2,4−ジオン、HCl塩(化合物2)の調製
【0111】
DMF(5mL)中の、1−[4−クロロ−6−(4−N−Boc−アミノメチル)−ベンジルアミノ−{1,3,5}−トリアジン−2−イル−アミノ]−イミダゾリジン−2,4−ジオン(実施例1.2、PART A)(200mg,0.43mmol)及び炭酸カリウム(131mg,0.95mmol)のかき混ぜられた懸濁液に、4−メトキシベンジルアミン(0.06mL,0.48mmol)を加えた。反応混合液を、35℃で18時間かき混ぜ、水に注ぎ、酢酸エチルを用いて抽出した。結果として得られたエマルジョンをろ過し、酢酸エチルの層を分離し、蒸発した結果、油性残留物としてN−Boc生成物が得られた(90mg,37%)。マススペクトル(ESI+):1127(2M+H),564(M+H)。N−Boc物質(90mg)を、ジクロロメタン/トリフルオロ酢酸(1:1,3mL)に溶かし、室温で、窒素雰囲気下で2時間かき混ぜた。溶媒及び過剰TFAは減圧下で除去し、残留物をメタノール(5mL)に溶かし、ジエチルエーテル中の塩化水素溶液(2Mの溶液を0.08mL)で処理した。メタノールは減圧下で除去し、残留物はメタノール/アセトニトリルから再結晶してオフホワイトの固体として粗塩酸塩が得られた(49mg,62%)。H NMR (d DMSO): δ = 3.72 (s, 3H); 3.96−4.12 (m, 6H); 4.32−4.52 (m, 4H); 6.84 (brs, 2H); 7.16−7.51 (m, 6H); 8.4 and 8.5 (brd, 6H); 11.3 (s, 1H). マススペクトル(ES+): 464 (M+H).
【0112】
実施例1.3 − トリアジン−イミダゾリジン−ジオン類の調製のための合成方法
【0113】
5−[4,6−ビス−(4−メトキシ−ベンジルアミノ)−[1,3,5]−トリアジン−2−イルアミノ]−3−メチル−イミダゾリジン−2,4−ジオン(化合物3)の調製
【0114】
PART A 1−メチル−イミダゾリジン−2,4,5−トリオンの調製
【0115】
乾燥テトラヒドロフラン(6mL)中の1−メチル尿素(200mg,2.70mmol)のよく冷えた溶液に、塩化オキサリル(0.26mL,2.97mmol)を、窒素雰囲気下で滴下した。反応混合液は、0〜5℃で2時間かき混ぜ、水で希釈する前に1時間、室温まで温めた。生成物は酢酸エチルで抽出し、抽出物は水で洗い、乾燥し、蒸発した結果、オフホワイトの固体として生成物が得られた(326mg,94%),mp146〜149℃(lit.145〜148℃)。
【0116】
PART B 5−ベンジルアミノ−3−メチル−イミダゾル−2,4−ジオンの調製
【0117】
クロロホルム(13mL)中の、1−メチル−イミダゾリジン−2,4,5−トリオン(実施例1.3,PART A)(800mg,6.25mmol)、イミダゾール(467mg,6.87mmol)、N,N−ジメチルアミノピリジン(触媒量)及びトリエチルアミン(1.82mL,13.1mmol)の溶液に、クロロトリメチルシラン(1.67mL,13.1mmol)を、室温で、窒素雰囲気下で滴下し、反応溶液を2時間かき混ぜた。ベンジルアミン(0.75mL,6.87mmol)を加え、さらに22.5時間混合液をかき混ぜた。反応溶液は、クロロホルム及び水で希釈し、クロロホルムの抽出物は乾燥し、蒸発させた。粗生成物はカラム・クロマトグラフィー(PS、 DCM:EtOAc 3:1までの勾配溶離液)により精製し、無色の固体として生成物が得られた(838 mg, 62%), mp 152−154℃. δ (300 MHz, CDCN) 7.95 (v br s, 1H, NH), 7.41−7.27 (m, 5H, PhH), 4.64 (s, 2H, CH), 2.95 (s, 3H, CH)。マススペクトル(ESI) m/z 218 (M+H).
【0118】
PART C 5−アミノ−3−メチル−イミダゾリジン−2,4−ジオンの調製
【0119】
エタノール/酢酸エチル(50mL,1:1)中の、5−ベンジルアミノ−3−メチル−イミダゾール−2,4−ジオン(実施例1.3,PART B)(400mg,1.84mmol)の溶液に、10%のPd/C触媒を加えた(195mg,0.18mmol)。フラスコから気体を抜き、三回水素を満たし、そして23時間室温でかき混ぜた。その後、反応混合物をセライトを通してろ過し、ろ過された液体は蒸発し、無色の固体の生成物を得た(214mg,90%),mp 122−125℃. δ (300 MHz, CDCN) 6.31 (br s, 1H, NH), 4.68 (d, J 1.5 Hz, 1H, CH), 2.87 (s, 3H, CH). δ (300 MHz, DO) 4.95 (s, 1H, CH), 2.96 (s, 3H, CH). δ (75 MHz, DO) 175.6, 158.5, 64.0 (CH), 24.3 (CH)。
【0120】
PART D 5−(4,6−ジクロロ−[1,3,5]トリアジン−2−イルアミノ)−3−メチル−イミダゾリジン−2,4−ジオンの調製
【0121】
アセトニトリル(15mL)中の、5−アミノ−3−メチル−イミダゾリジン−2,4−ジオン(実施例1.3,PART C)(266mg,2.06mmol)、塩化シアヌル(415mg,2.27mmol)及び重炭酸ナトリウム(191mg,2.27mmol)を、窒素雰囲気下、及び氷水上で1時間かき混ぜ、そして22時間室温でかき混ぜた。溶媒は蒸発し、粗生成物は酢酸エチルを用いて抽出した。有機層は乾燥し、蒸発し、粗生成物はカラム・クロマトグラフィー(PS、 DCM:EtOAc 1:1までの勾配溶離液)を用いて精製し、クリームの固体として生成物を得た(448 mg, 78%)。 δ (300 MHz, CDCN) 7.50 (br s, 1H, NH), 6.56 (br s, 1H, NH), 5.60 (dd, J 7.8, 1.8 Hz, 1H, CH), 2.97 (s, 3H, CH). マススペクトル (ESI) m/z 259 [M+H (OHでClが交換されたイオン)].
【0122】
PART E 5−[4,6−ビス−(4−メトキシ−ベンジルアミノ)−[1,3,5]−トリアジン−2−イルアミノ]−3−メチル−イミダゾリジン−2,4−ジオン(化合物3)の調製
【0123】
5℃のアセトニトリル(15mL)中の、5−(4,6−ジクロロ−[1,3,5]トリアジン−2−イルアミノ)−3−メチル−イミダゾリジン−2,4−ジオン(実施例1.3,PART D)(193mg,0.70mmol)及び炭酸カリウム(212mg,1.53mmol)のかき混ぜられた懸濁液に、4−メトキシベンジルアミン(0.10mL,0.77mmol)を滴下した。懸濁液は、氷温で1時間かけ混ぜ、それから室温で24時間かき混ぜた。反応混合液に水を加え、酢酸エチルを用いて抽出した。粗生成物は、シリカカラムにかけ、ジクロロメタン:酢酸エチル(10:1)の混合物で始め、それから5:1、そして最終的にジクロロメタン:メタノール(20:1)で溶出させた。早期の留分は一置換の5−[4−クロロ−6−(4−メトキシ−ベンジルアミノ)−[1,3,5]−トリアジン−2−イルアミノ]−3−メチル−イミダゾリジン−2,4−ジオン(133mg,51%)、そして後の留分はジベンジルアミノの生成物(112mg,34%)を生み出した。(Found: C, 55.46; H, 4.66; N, 18.39%. C2120 はC, 55.75; H, 4.46; N, 18.58)を要求)。 δ (300 MHz, CDCN): 7.19 (br d, 4H, Ar), 6.84 (br d, 4H, Ar), 6.35 (br s, 1H, NH), 5.9−5.8 (br, 3H, NH), 5.46 (br d, 1H, CH), 4.36 (s, 4H, CH), 3.74 (s, 6H, OMe), 2.9−2.8 (br, 3H, NMe). マススペクトル (ESI) m/z 479 [M+H].
【0124】
実施例1.4 − 5−[4−(4−アミノメチル−ベンジルアミノ)−6−(4−メトキシベンジルアミノ)−[1,3,5]−トリアジン−2−イルアミノ]−3−メチル−イミダゾリジン−2,4−ジオン(化合物4)の調製
【0125】
PART A 5−[4−クロロ−6−(N−Boc−{4−アミノメチル}−ベンジルアミノ)−[1,3,5]−トリアジン−2−イルアミノ]−3−メチル−イミダゾリジン−2,4−ジオンの調製
【0126】
室温で、ジメチルホルムアミド(5mL)中の、5−(4,6−ジクロロ−[1,3,5]トリアジン−2−イルアミノ)−3−メチル−イミダゾリジン−2,4−ジオン(実施例1.3,PART D)(300mg,1.08mmol)及び炭酸カリウム(329mg,2.38mmol)のかき混ぜられた懸濁液に、N−Boc−(4−アミノメチル)−ベンジルアミン(281mg,1.19mmol)を加えた。反応混合液は、室温で4時間かき混ぜ、そして水と酢酸エチルで希釈した。酢酸エチル層は、分離し、乾燥し、蒸発して次のステップに直接用いられた粗生成物を得た。
【0127】
PART B 5−[4−{(N−Boc−4−アミノメチル)−ベンジルアミノ}−6−(4−メトキシベンジルアミノ)−[1,3,5]−トリアジン−2−イルアミノ]−3−メチル−イミダゾリジン−2,4−ジオン(化合物4(B))の調製
【0128】
30℃で、ジメチルホルムアミド(5mL)中の、5−[4−クロロ−6−(N−Boc−{4−アミノメチル}−ベンジルアミノ)−[1,3,5]−トリアジン−2−イルアミノ]−3−メチル−イミダゾリジン−2,4−ジオン(実施例1.4,PART A)(377mg,0.79mmol)及び炭酸カリウム(240mg,1.74mmol)のかき混ぜられた懸濁液に、4−メトキシベンジルアミン(0.12mL,0.95mmol)を加えた。反応混合液は、30℃で18時間かき混ぜ、そして水で希釈し、酢酸エチルで抽出した。酢酸エチルの層は、希塩酸で洗い、それから分離し、乾燥し、そして凝縮して粗生成物を得、生成物は、初期の溶離液としてジクロロメタンを用いて、シリカゲル上のクロマトグラフィーで精製し、極性を徐々にジクロロメタン:メタノール(20:1)まで高めた。生成物は白い固体として得られた(71mg,16%)。NMRスペクトルδ (300 MHz, CDCN): 7.16 (br s, 6H, Ar), 6.82 (br d, 2H, Ar), 6.5 (br s, 1H, NH), 6.1−5.7 (br m, 4H, NH), 5.47 (br d, 1H, CH), 4.5−4.3 (br, 4H, CH), 4.15 (d, 2H, CH) 3.73 (s, 3H, OMe), 2.9−2.7 (br, 3H, NMe), 1.39 (s, 9H, Boc).
【0129】
PART C 5−[4−(4−アミノメチル−ベンジルアミノ)−6−(4−メトキシベンジルアミノ)−[1,3,5]−トリアジン−2−イルアミノ]−3−メチル−イミダゾリジン−2,4−ジオン(化合物4)の調製
【0130】
室温で、ジクロロメタン(2mL)中の、5−[4−{(N−Boc−4−アミノメチル)ベンジルアミノ}−6−(4−メトキシベンジルアミノ−[1,3,5]−トリアジン−2−イルアミノ}−3−メチル−イミダゾリジン−2,4−ジオン(実施例1.4,PART B)(63mg,0.11mol)のかき混ぜられた溶液に、トリフルオロ酢酸(2mL)を加えた。3時間後に、TFAおよび溶媒は減圧下の蒸発により除去し、追加のジクロロメタンを加え、再度除去することにより残っている余分のTFAを取り除いた。粗生成物は乾燥メタノールに溶かし、エーテル中の塩化水素溶液(2M,0.05mL)を加えた。反応混合物は室温において15分間かき混ぜ、そして濃縮し、残留物は氷を用いて冷やしながらメタノール/アセトニトリルを用いて粉末にすること(triturating)により結晶化させた。結果として得られた淡いピンクの固体は、ろ過により集め、HCl塩(48mg,86%)の生成物が得られた。NMRスペクトルδ (300 MHz, d−DMSO): 8.9−8.2 (br m, 6H, NH), 7.4−7.1 (br m, 6H, Ar), 6.85 (d, 2H, Ar), 5.6 (br, 1H, CH), 4.5−4.2 (br, 4H, CH), 3.95 (br s, 2H, CH) 3.70 (s, 3H, OMe), 2.8−2.6 (br, 3H, NMe); マススペクトル(ESI) m/z 478 [M+H].
【0131】
実施例1.5 − 5−[4−(4−メチル−ベンジルアミノ)−6−(4−メトキシベンジルアミノ)−[1,3,5]−トリアジン−2−イルアミノ]−3−メチルイミダゾリジン−2,4−ジオン(化合物5)の調製
【0132】
PART A 5−[4−クロロ−6−(4−メチル−ベンジルアミノ)−[1,3,5]−トリアジン−2−イルアミノ]−3−メチル−イミダゾリジン−2,4−ジオンの調製
【0133】
室温において、ジメチルホルムアミド(5mL)中の、5−(4,6−ジクロロ−[1,3,5]トリアジン−2−イルアミノ)−3−メチル−イミダゾリジン−2,4−ジオン(実施例1.3,PART D)(200mg,0.72mmol)及び炭酸カリウム(219mg,1.59mmol)のかき混ぜられた溶液に,4−メチル−ベンジルアミン(0.1mL,0.79mmol)を加えた。反応混合物は35℃において24時間かき混ぜ、そして水及び酢酸エチルで希釈した。酢酸エチル層は分離し、乾燥し、そして蒸発させ、次のステップに直接用いる粗生成物を得た。
【0134】
PART B 5−[4−(4−メチル−ベンジルアミノ)−6−(4−メトキシベンジルアミノ)−[1,3,5]−トリアジン−2−イルアミノ]−3−メチル−イミダゾリジン−2,4−ジオン(化合物5)の調製
【0135】
35℃における、ジメチルホルムアミド(5mL)中の5−[4−クロロ−6−(4−メチル−ベンジルアミノ)−[1,3,5]−トリアジン−2−イルアミノ]−3−メチル−イミダゾリジン−2,4−ジオン(実施例1.5,PART A)(80mg,0.22mmol)及び炭酸カリウム(67mg,0.49mmol)のかき混ぜられた懸濁液に、4−メトキシベンジルアミン(0.03mL,0.24mmol)を加えた。反応混合液は35℃において20時間かき混ぜ、そして水で希釈し、酢酸エチルを用いて抽出した。酢酸エチル層は乾燥し、濃縮して、泡(79mg,77%)として粗生成物を得た。NMR スペクトル δ (300 MHz, CDCN): 7.2−7.0 (br m, 7H, Ar + NH), 6.8 (br d, 2H, Ar), 6.5 (br, 1H, NH), 6.1−5.8 (br m, 2H, NH), 5.45 (br d, 1H, CH), 4.5−4.3 (br, 4H, CH), 4.15 (d, 2H, CH) 3.74 (s, 3H, OMe), 2.9−2.7 (br, 3H, NMe), 2.3 (s, 3H, Me). マススペクトル (ESI) m/z 463 [M+H].
【0136】
実施例1.6 − 5−[4,6−ビス−(4−メトキシ−ベンジルアミノ)−[1,3,5]−トリアジン−2−イルアミノ]−3−n−ブチル−イミダゾリジン−2,4−ジオン(化合物6)の調製
【0137】
表題化合物は基本的に、実施例1.3、PART BからEの記載と同じ反応シーケンス及び条件を用いて調製され、ただし1−メチル−イミダゾリジン−2,4,5−トリオンの代わりに1−(n−ブチル)−イミダゾリジン−2,4,5−トリオンを用いた。最終ステップから得られた生成物はクロマトグラフィーを用いて精製し、NMR及びマススペクトルによって特性を解析した。NMR スペクトル δ (300 MHz, CDCN): 7.19 (br d, 4H, Ar), 6.84 (br d, 4H, Ar), 6.38 (br s, 1H, NH), 6.0−5.7 (br, 3H, NH), 5.5 (br d, 1H, CH), 4.36 (s, 4H, CH), 3.74 (s, 6H, OMe), 3.38 (t, 2H, NCH); 1.52 (m, 2H, CH); 1.28 (m, 2H, CH); 0.89 (d, 3H, Me). マススペクトル (ESI) m/z 521 [M+H].
【0138】
実施例1.7 − 5−[4,6−ビス−(4−メトキシ−ベンジルアミノ)−[1,3,5]−トリアジン−2−イルアミノ]−3−n−プロピル−イミダゾリジン−2,4−ジオン(化合物7)の調製
【0139】
表題化合物は基本的に、実施例1.3、PART BからEの記載と同じ反応シーケンス及び条件を用いて調製され、ただし1−メチル−イミダゾリジン−2,4,5−トリオンの代わりに1−(n−プロピル)−イミダゾリジン−2,4,5−トリオンを用いた。最終ステップから得られた生成物はクロマトグラフィーを用いて精製し、NMR及びマススペクトルによって特性を解析した。NMR スペクトル δ (300 MHz, dDMSO): 8.31 (s, 1H, NH); 7.5 (br, 1H, NH); 7.1−7.3 (br, 6H, Ar+NH), 6.83 (br d, 4H, Ar), 5.5 (br d, 1H, CH), 4.32 (s, 4H, CH), 3.78 (s, 6H, OMe), 3.34 (br, 2H, NCH); 1.46 (m, 2H, CH); 0.79 (br, 3H, Me). マススペクトル (ESI) m/z 507 [M+H].
【0140】
実施例1.8 − 5−[4,6−ビス−(4−メトキシ−ベンジルアミノ)−[1,3,5]−トリアジン−2−イルアミノ]−3−フェニル−イミダゾリジン−2,4−ジオン(化合物8)の調製
【0141】
表題化合物は基本的に、実施例1.3、PART BからEの記載と同じ反応シーケンス及び条件を用いて調製され、ただし1−メチル−イミダゾリジン−2,4,5−トリオンの代わりに1−フェニル−イミダゾリジン−2,4,5−トリオンを用いた。最終ステップから得られた生成物はクロマトグラフィーを用いて精製し、NMR及びマススペクトルによって特性を解析した。NMR スペクトル δ (300 MHz, CDCN): 8.07 (s, 1H, NH); 7.4−7.0 (br, 9H, Ar+NH); 6.9−6.6 (br, 5H, Ar+NH), 6.2−5.5 (br, 3H, NH+CH), 5.5 (br d, 1H, CH), 4.38 (s, 4H, CH), 3.73 (s, 6H, OMe). マススペクトル (ESI) m/z 541 [M+H].
【0142】
実施例1.9 − 5−[4,6−ビス−(4−メトキシ−フェノキシ)−[1,3,5]トリアジン−2−イルアミノ]−3−メチル−イミダゾリジン−2,4−ジオン(化合物9)の調製
【0143】
アセトニトリル(5mL)中の5−アミノ−3−メチル−イミダゾリジン−2,4−ジオン(実施例1.3,PART C)(80mg,0.29mmol)、p−メトキシフェノール(39mg,0.32mmol)及び炭酸カリウム(88mg,0.64mmol)の懸濁液を、室温において、窒素雰囲気下で18時間かき混ぜた。反応混合液は酢酸エチル及び水を用いて希釈し、粗生成物は酢酸エチルを用いて抽出した。有機層は乾燥し、蒸発し、粗生成物はカラム・クロマトグラフィーを用いて精製し(シリカ;ジクロロメタン:酢酸エチル、溶媒比率は10:1から1:2へと高めた)、そしてアセトニトリルから再結晶化し、無色の固体(17mg,13%)として表題化合物を得た。(Found: C, 55.5; H, 4.7; N, 18.4%. C2120 はCを要求, 55.8; H, 4.5; N, 18.6%). δ (300 MHz, (CDCO) 7.81 (d, J 8.1 Hz, 1H, NH), 7.40 (s, 1H, NH), 7.08 (d, J 9.0 Hz, 2H, ArH (OPh結合のオルト位)), 7.07 (d, J 9.0 Hz, 2H, ArH (OPh結合のオルト位)), 6.92 (d, J 9.0 Hz, 4H, ArH (OCH結合のオルト位)), 5.73 (d, J 8.4 Hz, 1H, CH), 3.81 (s, 6H, OCH), 2.77 (s, 3H, NCH). マススペクトル(ESI) m/z 453 (72%, MH).
【0144】
実施例1.10 − 5−[4,6−ビス−(4−メトキシ−フェニルアミノ)−[1,3,5]トリアジン−2−イルアミノ]−3−メチル−イミダゾリジン−2,4−ジオン(化合物10)の調製
PART A 5−[4−クロロ−6−(4−メトキシ−フェニルアミノ)−[1,3,5]トリアジン−2−イルアミノ]−3−メチル−イミダゾリジン−2,4−ジオンの調製
【0145】
アセトニトリル(7mL)中の5−アミノ−3−メチル−イミダゾリジン−2,4−ジオン(実施例1.3,PART C)(228mg,0.82mmol),p−メトキシアニリン(111mg,0.90mmol)及び重炭酸ナトリウム(76mg,0.90mmol)の懸濁液を、室温において、窒素雰囲気下で25時間かき混ぜた。溶媒は蒸発し、粗生成物は酢酸エチルを用いて抽出した。有機層は乾燥し、蒸発し、粗生成物はカラム・クロマトグラフィーを用いて精製し(シリカ;ジクロロメタン:酢酸エチルを、10:1の溶媒比率で始め、極性をジクロロメタン:メタノール,10:1まで高めた)、表題化合物はクリーム色の固体として得られた(288mg,96%)。δ (300 MHz, (CDCO) 8.88 (br s, 0.5H, NH), 8.84 (br s, 0.5H, NH), 7.87 and 7.70 (2 br s, 1H, NH), 7.61 (br s, 1H, NH), 7.51 (d, J 9.0 Hz, 2H, ArH (NH結合のオルト位)), 6.91 及び 6.89 (2 d, J 8.7, 6.6 Hz, 2H ArH (O結合のオルト位)), 5.82 (br d, J 7.8 Hz, 1H, CH), 3.79 (s, 3H, OCH), 2.95 (s, 1.4H, NCH), 2.73 (s, 1.6H, NCH). マススペクトル(ESI) m/z 364 (100%, MH).
【0146】
PART B 5−[4,6−ビス−(4−メトキシ−フェニルアミノ)−[1,3,5]トリアジン−2−イルアミノ]−3−メチル−イミダゾリジン−2,4−ジオン(化合物10)の調製
【0147】
無水DMF(5mL)中の5−[4−クロロ−6−(4−メトキシ−フェニルアミノ)−[1,3,5]トリアジン−2−イルアミノ]−3−メチル−イミダゾリジン−2,4−ジオン(実施例1.10,PART A)(50mg,0.14mmol)、p−メトキシアニリン(25mg,0.21mmol)及び炭酸カリウム(48mg,0.34mmol)の懸濁液を、窒素雰囲気下で18.5時間かき混ぜた。反応混合液は水で希釈し、粗生成物は酢酸エチルを用いて抽出した。有機層は乾燥し、蒸発し、粗生成物はカラム・クロマトグラフィーを用いて精製し(シリカ;ジクロロメタン:酢酸エチルを、10:1の溶媒比率で始め、極性をジクロロメタン:メタノール,10:1まで高めた)、生成物(36mg,58%)は淡い黄色い固体として得た。δ (300 MHz, (CDCO) 8.14 (br s, 2H, NH), 7.60 (br s, 4H, ArH (NH結合のオルト位)), 7.43 (br s, 1H, NH), 6.91 (d, J 8.7 Hz, 1H, NH), 6.85 (d, J 9.0 Hz, 4H, ArH (O結合のオルト位)), 5.91 (d, J 7.8 Hz, 1H, CH), 3.77 (s, 6H, OCH), 2.86 (br s, 2.0H, NCH), 2.73 (br s, 1.0H, NCH). マススペクトル (ESI) m/z 451 (37%, MH).
【0148】
実施例1.11 − 5−[4−(4−ヒドロキシ−フェニルアミノ)−6−(4−メトキシ−フェニルアミノ)−[1,3,5]トリアジン−2−イルアミノ]−3−メチル−イミダゾリジン−2,4−ジオン(化合物11)の調製
【0149】
無水DMF(3mL)中の5−[4−クロロ−6−(4−メトキシ−フェニルアミノ)−[1,3,5]トリアジン−2−イルアミノ]−3−メチル−イミダゾリジン−2,4−ジオン(実施例1.10,PART A)(76mg,0.05mmol)、p−アミノフェノール(50mg,0.46mol)及び酢酸カリウム(25mg,0.25mmol)の懸濁液を、窒素雰囲気下で、油浴上の35℃で22時間かき混ぜた。反応混合液は水で希釈し、粗生成物は酢酸エチルを用いて抽出した。有機層は乾燥し、蒸発し、カラム・クロマトグラフィーを用いて精製し(シリカ;ジクロロメタン:酢酸エチルを、10:1の溶媒比率で始め、極性をジクロロメタン:メタノール,10:1まで高めた)、生成物は淡黄褐色の固体(24mg,33%)として得た。(Found: C, 54.1; H, 4.9; N, 24.3%. C20H20N8O4.MeOHは Cを要求, 53.8; H, 5.2; N, 23.9%).δ (300 MHz, CDCN) 7.49 (br d, J 8.7 Hz, 2H, ArH (NH結合のオルト位)), 7.37 (br s, 4H, NH 及び ArH (NH結合のオルト位)), 6.87 (d, J 9.0 Hz, 2H, ArH (O結合のオルト位)), 6.75 (d, J 9.0 Hz, 2H, ArH (O結合のオルト位)), 6.70 (br s, 1H, OH), 6.48 (s, 1H, NH), 6.10 (br d, J 7.8 Hz, 1H, NH), 5.67 (d, J 7.8 Hz, 1H, CH), 3.78 (s, 3H, OCH), 2.88 (br s, 3H, NCH). マススペクトル (ESI) m/z 437 (36%, MH).
【0150】
実施例1.12 − 5−[4−(4−ベンジルオキシ−フェニルアミノ)−6−(4−メトキシ−フェニルアミノ)−[1,3,5]トリアジン−2−イルアミノ]−3−メチル−イミダゾリジン−2,4−ジオン(化合物12)の調製
【0151】
無水DMF(5mL)中の5−[4−クロロ−6−(4−メトキシ−フェニルアミノ)−[1,3,5]トリアジン−2−イルアミノ]−3−メチル−イミダゾリジン−2,4−ジオン(実施例1.10,PART A)(93mg,0.26mmol)、塩酸p−ベンジルオキシアニリン(132mg,0.56mmol)及び炭酸セシウム(184mg,0.56mmol)の懸濁液を、窒素雰囲気下で、油浴上の30℃で19時間かき混ぜた。反応混合液は水で希釈し、粗生成物は酢酸エチルを用いて抽出した。有機層は乾燥し、蒸発し、粗生成物はカラム・クロマトグラフィーを用いて精製した(シリカ;ジクロロメタン:酢酸エチルを、10:1の溶媒比率で始め、極性をジクロロメタン:メタノール,20:1まで高めた)。PS/DCM/EtOAcから再結晶化した結果、生成物はクリーム色の固体(90mg,62%)として得た。(Found: C, 61.5; H, 5.1; N, 21.2%. C2726 はCを要求, 61.6; H, 5.0; N, 21.3%). δ (300 MHz, CDCN) 7.58−7.30 (m, 11H, ArH (NH結合のオルト位), PhH 及び 2 NH), 6.94 (d, J 8.7 Hz, 2H, ArH (O結合のオルト位)), 6.87 (d, J 8.7 Hz, 2H, ArH (O結合のオルト位)), 6.49 (br s, 1H, NH), 6.14 (m, 1H, NH), 5.67 (d, J 7.2 Hz, 1H, CH), 5.09 (s, 2H, CH), 3.78 (s, 3H, OCH), 2.88 (br s, 3H, NCH). マススペクトル(ESI) m/z 527 (100%, MH).
【0152】
実施例1.13 − 1−((4−((4−メトキシベンジル)アミノ)−6−((4−(ピぺリジン−1−イルメチル)ベンジル)アミノ)−1,3,5−トリアジン−2−イル)アミノ)イミダゾリジン−2,4−ジオン(化合物13)の調製
【0153】
PART A 1−[4−クロロ−6−(4−メトキシベンジル)アミノ−{1,3,5}−トリアジン−2−イル−アミノ]−イミダゾリジン−2,4−ジオンの調製
【0154】
CHCN(50mL)中の、1−(4,6−ジクロロ−[1,3,5]−トリアジン−2−イル−アミノ)−イミダゾリジン−2,4−ジオン(実施例1.1,PART A)(3.84g,14.6mmol)及びKCO(4.4g,31.8mmol)の混合物に、(4−メトキシフェニル)−メタンアミン(2.0g,14.6mmol)を0℃で滴加した。混合物は室温で一晩中かき混ぜた。TLCによって、反応の完了が示された。混合物はろ過し、ケーキを水及びEtOAcの間で分けた。有機層は分離し、水性層はEtOAcを用いて抽出した。組み合わせた有機層は塩水で洗い、NaSO上で乾燥し、真空内で濃縮して、予期された化合物(3.50g,収率:66%)を、白い固体として得た。さらなる精製をせずに次のステップに用いた。δ (400 MHz, DMSO−d): 11.30−11.23 (m, 1H), 10,06−9.83 (m, 1H), 8.67−8.60 (m, 1H), 7.24−7.13 (m, 2H), 6.90−6.83 (m, 2H), 4.40−4.35 (m, 2H), 4.26−4.05 (m, 2H), 3.73 (s, 3H). マススペクトル(ESI) m/z 364 (100%, MH).
【0155】
PART B 1−((4−((4−メトキシベンジル)アミノ)−6−((4−(ピぺリジン−1−イルメチル)ベンジル)アミノ)−1,3,5−トリアジン−2−イル)アミノ)イミダゾリジン−2,4−ジオン(化合物13)の調製
【0156】
THF(8.0mL)中の、1−[4−クロロ−6−(4−メトキシベンジル)アミノ−{1,3,5}−トリアジン−2−イル−アミノ]−イミダゾリジン−2,4−ジオン(実施例1.13,PART A)(150mg,0.41mmol)、4−ピぺリジニルメチレン−ベンジルアミン(101mg,0.49mmol)及びKCO(171mg,1.24mmol)の混合物は、一晩中還流下で加熱した。TLCによって反応の完了が示された。混合物は室温まで冷まし、水に注ぎ、EtOAcで繰り返し抽出した。組み合わせた有機層は、塩水で洗い、NaSO上で乾燥し、真空内で濃縮した。残留物の固体は、フラッシュ・クロマトグラフィーにより精製し(シリカゲル;CHCl : MeOH= 20 :1, v/v)、オフホワイトな固体として化合物13を得た(65mg,収率:30%)。δ (400 MHz, DMSO−d): 11.13 (br, 1H), 9.03−8.74 (m, 1H), 7.66−6.77 (m, 10H), 3.91 (s, 1H), 3.72−3.45 (m, 4H), 2.38 (s,2H), 1.53−1.24 (m, 6H). マススペクトル(ESI) m/z 532.3 (100%, MH).
【0157】
実施例1.14 − 1−((4−((4−メトキシベンジル)アミノ)−6−((4−(モルホリノメチル)ベンジル)アミノ)−1,3,5−トリアジン−2−イル)アミノ)イミダゾリジン−2,4−ジオン(化合物14)の調製
【0158】
実施例1.13、PART A及びBにより説明された合成方法を用いて化合物14を生成した。δ (400 MHz, DMSO−d): 11,14−11,04 (m, 1H), 7.50−5.50 (m, 10H), 4.41−3.80 (m, 6H), 3.72 (s, 3H), 3.56 (s, 2H), 3.41 (s, 4H), 2.33 (s, 4H). マススペクトル (ESI) m/z 534.2 (100%, MH).
【0159】
実施例1.15 − 1−((4−((4−((ジエチルアミノ)メチル)ベンジル)アミノ)−6−((4−メトキシベンジル)アミノ)−1,3,5−トリアジン−2−イル)アミノ)イミダゾリジン−2,4−ジオン(化合物15)の調製
【0160】
実施例1.13、PART A及びBにより説明された合成方法を用いて化合物15を生成した。δ (400 MHz, DMSO−d): 11.12−11.04 (m, 1H), 9.02−8.92 (m, 1H), 7.62−6.77 (m, 10H), 4.42−4.23 (m, 4H), 4.09, 3.92 (m, 2H), 3.72 (s, 3H), 3.53 (s, 2H), 3.55−3.52 (m, 4H), 0.99 (br s., 6H). マススペクトル (ESI) m/z 520.3 (100%, MH).
【0161】
実施例1.16 − 1−((4−((4−メトキシベンジル)アミノ)−6−((4−((4−メチルピペラジン−1−イル)メチル)ベンジル)アミノ)−1,3,5−トリアジン−2−イル)アミノ)イミダゾリジン−2,4−ジオン(化合物16)の調製
【0162】
実施例1.13、PART A及びBにより説明された合成方法を用いて化合物16を生成した。δ (400 MHz, DMSO−d): 11.07 (br s, 1H), 9.04−8.89 (m, 1H), 7.49−6.72 (m, 10H), 4.42−4.21 (m, 4H), 4.09−3.94 (m, 2H), 3.72 (s, 3H), 3.40 (s, 2H), 2.34 (br s, 8H), 1.92 (s, 3H). マススペクトル (ESI) m/z 547.3 (100%, MH).
【0163】
実施例1.17 − 1−((4−((4−メトキシベンジル)アミノ)−6−((4−(ピぺリジン−1−イル)ベンジル)アミノ)−1,3,5−トリアジン−2−イル)アミノ)イミダゾリジン−2,4−ジオン(化合物17)の調製
【0164】
実施例1.13、PART A及びBにより説明された合成方法を用いて化合物17を生成した。δ (400 MHz, DMSO−d): 11.14−11.03 (m, 1H), 8.90− 8.70 (m, 1H), 7.56−6.84 (m, 10H), 4.35−4.02 (m, 6H), 3.72 (s, 3H), 3.07 (s, 4H), 1.60−1.51 (m, 6H). マススペクトル (ESI) m/z 518.3 (100%, MH).
【0165】
実施例1.18 − 1−((4−((4−メトキシベンジル)アミノ−6−((4−モルホリノベンジル)アミノ)−1,3,5−トリアジン−2−イル)アミノ)イミダゾリジン−2,4−ジオン(化合物18)の調製
【0166】
実施例1.13、PART A及びBにより説明された合成方法を用いて化合物18を生成した。δ (400 MHz, DMSO−d): 10.94 (br s, 1H), 8.89−8.70 (m, 1H), 7.75−6.77 (m, 10H), 4.34−4.06 (m, 6H), 3.74−3.72 (m, 7H), 3.04 (s, 4H). マススペクトル (ESI) m/z 520.2 (100%, MH).
【0167】
実施例1.19 − 1−((4−((4−メトキシベンジル)アミノ)−6−((4−(4−メチルピペラジン−1−イル)ベンジル)アミノ)−1,3,5−トリアジン−2−イル)アミノ)イミダゾリジン−2,4−ジオン(化合物19)の調製
【0168】
実施例1.13、PART A及びBにより説明された合成方法を用いて化合物19を生成した。δ (400 MHz, DMSO−d): 8.89−8.70 (m, 1H), 7.40−6.81 (m, 10H), 4.35−4.01 (m, 6H), 3.72 (s, 3H), 3.39 (br s, 4H), 3.10 (s, 4H), 2.27 (s, 3H). マススペクトル (ESI) m/z 533.3 (100%, MH).
【0169】
実施例1.20 − 1−((4−((4−メトキシベンジル)アミノ)−6−((3−(ピぺリジン−1−イル)ベンジル)アミノ)−1,3,5−トリアジン−2−イル)アミノ)イミダゾリジン−2,4−ジオン(化合物20)の調製
【0170】
実施例1.13、PART A及びBにより説明された合成方法を用いて化合物20を生成した。δ (400 MHz, DMSO−d): 11.12−11.04 (m, 1H), 9.03−8.71 (m, 1H), 7.59−6.60 (m, 10H), 4.37−3.98 (m, 6H), 3.71 (s, 3H), 3.09 (s, 4H), 1.59−1.51 (m, 6H). マススペクトル (ESI) m/z 518.3 (100%, MH).
【0171】
実施例1.21 − 1−((4−((4−メトキシベンジル)アミノ)−6−((3−モルホリノベンジル)アミノ)−1,3,5−トリアジン−2−イル)アミノ)イミダゾリジン−2,4−ジオン(化合物21)の調製
【0172】
実施例1.13、PART A及びBにより説明された合成方法を用いて化合物21を生成した。δ (400 MHz, DMSO−d): 11.13−11.03 (m, 1H), 9.04−8.72 (m, 1H), 7.58−6.66 (m, 10H), 4.37−3.98 (m, 6H), 3.72 (s, 7H), 3.07 (s, 4H). マススペクトル (ESI) m/z 520.2 (100%, MH).
【0173】
実施例1.22 − 1−((4−((4−メトキシベンジル)アミノ)−6−((3−(4−メチルピペラジン−1−イル)ベンジル)アミノ)−1,3,5−トリアジン−2−イル)アミノ)イミダゾリジン−2,4−ジオン(化合物22)の調製
【0174】
実施例1.13、PART A及びBにより説明された合成方法を用いて化合物22を生成した。δ (400 MHz, DMSO−d): 11.07 (br s, 1H), 9.03−8.71 (m, 1H), 7.56−6.61 (m, 10H), 4.36−3.98 (m, 6H), 3.72 (br s, 7H), 3.12 (s, 4H), 2.27 (s, 3H). マススペクトル (ESI) m/z 533.3 (100%, MH).
【0175】
実施例1.23 − 1−((4−((4−(2−(ジエチルアミノ)エトキシ)ベンジル)アミノ)−6−((4−メトキシベンジルアミノ)−1,3,5−トリアジン−2−イル)アミノ)イミダゾリジン−2,4−ジオン(化合物23)の調製
【0176】
実施例1.13、PART A及びBにより説明された合成方法を用いて化合物23を生成した。δ (400 MHz, DMSO−d): 11.07 (br s, 1H), 9.03−8.71 (m, 1H), 7.57−6.77 (m, 10H), 4.35−3.98 (m, 8H), 3.72 (s, 3H), 2.81 (s, 2H), 2.60−2.51 (m, 4H), 0.99 (t, J = 7.2 Hz, 6H). マススペクトル (ESI) m/z 550.3 (100%, MH).
【0177】
実施例1.24 − 1−((4−((4−メトキシベンジル)アミノ)−6−((4−(2−モルホリノエトキシ)ベンジル)アミノ)−1,3,5−トリアジン−2−イル)アミノ)イミダゾリジン−2,4−ジオン(化合物24)の調製
【0178】
実施例1.13、PART A及びBにより説明された合成方法を用いて化合物24を生成した。δ (400 MHz, DMSO−d): 11.16−11.06 (m, 1H), 9.03−8.72 (m, 1H), 7.57−6.81 (m, 10H), 4.35−3.99 (m, 8H), 3.72 (s, 3H), 3.58 (s, 4H), 2.67 (s, 2H), 2.52−2.46 (m, 4H). マススペクトル (ESI) m/z 564.3 (100%, MH).
【0179】
実施例1.25 − 1−((4−((4−メトキシベンジル)アミノ)−6−((4−(2−(ピロリジン−1−イル)エトキシ)ベンジル)アミノ)−1,3,5−トリアジン−2−イル)アミノ)イミダゾリジン−2,4−ジオン(化合物25)の調製
【0180】
実施例1.13、PART A及びBにより説明された合成方法を用いて化合物25を生成した。δ (400 MHz, DMSO−d): 10.78 (br s, 1H), 9.03−8.73 (m, 1H), 7.65−6.77 (m, 10H), 4.41−3.95 (m, 6H), 3.72 (s, 3H), 3.60 (s, 2H), 2.55 (br s, 4H), 1.71 (s, 4H). マススペクトル (ESI) m/z 518.3 (100%, MH).
【0181】
実施例1.26 − 1−((4−((4−メトキシベンジル)アミノ)−6−((4−(((2−メトキシエチル)アミノ)メチル)ベンジル)アミノ)−1,3,5−トリアジン−2−イル)アミノ)イミダゾリジン−2,4−ジオン(化合物26)の調製
【0182】
実施例1.13、PART A及びBにより説明された合成方法を用いて化合物26を生成した。δ (400 MHz, DMSO−d): 9.03−8.73 (m, 1H), 7.52−6.77 (m, 10H), 4.40−4.09 (m, 6H), 3.72 (s, 3H), 3.67 (s, 2H), 3.39 (m, 2H), 3.23 (s, 3H), 2.63 (s, 2H). マススペクトル (ESI) m/z 522.2 (100%, MH).
【0183】
実施例1.27 − 1−((4−((4−((ジメチルアミノ)メチル)ベンジル)アミノ)−6−((4−メトキシベンジル)アミノ)−1,3,5−トリアジン−2−イル)アミノ)イミダゾリジン−2,4−ジオン(化合物27)の調製
【0184】
実施例1.13、PART A及びBにより説明された合成方法を用いて化合物27を生成した。δ (400 MHz, DMSO−d): 11.07 (br s, 1H), 9.04−8.75 (m, 1H), 7.66−6.74 (m, 10H), 4.44−3.91 (m, 6H), 3.72 (s, 5H), 2.34 (s, 6H). マススペクトル (ESI) m/z 492.2 (100%, MH).
【0185】
実施例1.28 − 1−((4−((4−メトキシベンジル)アミノ)−6−((4−(ピペラジン−1−イルメチル)ベンジル)アミノ)−1,3,5−トリアジン−2−イル)アミノ)イミダゾリジン−2,4−ジオン 2,2,2−トリフルオロ酢酸塩(化合物28)の調製
【0186】
化合物28は、実施例1.13、PART A及びBにより説明された合成方法を用いて生成した対応するBoc保護された4−(ピペラジン−1−イルメチル)ベンジル)アミノ誘導体の脱保護より得られた。δ (400 MHz, CDOD): 7.42−6.83 (m, 8H), 4.64−4.47 (m, 4H), 4.20−3.93 (m, 4H), 3.79 (s, 3H), 3.34−3.32 (m, 4H), 3.12−3.01 (m, 4H). マススペクトル (ESI) m/z 533.3 (100%, MH).
【0187】
実施例1.29 − tert−ブチル 4−(((4−((2,4−ジオキソイミダゾリジン−1−イル)アミノ)−6−((4−メトキシベンジル)アミノ)−1,3,5−トリアジン−2−イル)アミノ)メチル)ベンジルカルバミン酸塩(化合物29)の調製
【0188】
実施例1.4、PART A及びBにより説明された合成方法及び出発原料として1−(4,6−ジクロロ−[1,3,5]−トリアジン−2−イル−アミノ)−イミダゾリジン−2,4−ジオン(実施例1.1,PART A)を用いて化合物27を生成した。
【0189】
実施例1.30 − 5−((4,6−ビス((4−ヒドロキシベンジル)アミノ)−1,3,5−トリアジン−2−イル)アミノ)−3−メチルイミダゾリジン−2,4−ジオン(化合物30)の調製
【0190】
化合物30は上記の合成方法を適合させて生成した。
【0191】
実施例2 − 生物学的検査
実施例2.1 − がん細胞株における増殖の阻害および阻害期間
本発明のトリアジン化合物はG2/Mで細胞周期を阻害することを示した。トリアジンは、腫瘍細胞株のインビトロ増殖に対する阻害活性に関して検査された。初期研究では、二つの結腸がん細胞株(LIM1215及びSW480)及び二つの乳がん細胞株( MDA−MB−231及びMCF−7)を使用した。これらの実験では、比較対象としてタキソールを用いた(表1)。
【0192】
検査された全てのトリアジンは、最適の濃度で、G2/M阻害を誘導することに関しては、少なくともタキソールと同等の効果を示した(表1)。
【0193】
表1: がん細胞株におけるトリアジンの抗有糸分裂効果。24時間の対数的な増殖期を示した細胞に、阻害剤を加えた。細胞周期の分布は、DNA染色により監視し、ModFitにより解析した。(a)細胞周期の進行についてのIC50、(b)1μMのタキソールへの暴露の後の、G2/M期にある細胞の割合を基準とした;トリアジンの効能はG2Mにある細胞の割合(実験)/G2Mにある細胞の割合(タキソール)として表現した。この実験では、G2/Mにある細胞の最高数は:LIM1215=78.5%;SW480=72%;MDA−MB−231=55%;MCF−7=62%。NT=非実験。
【表1】
【0194】
実施例2.2 − インビトロにおけるがん細胞増殖に対するトリアジンの効果
増殖の阻害はさらにMTTアッセイを用いて腫瘍細胞株のパネルにおいて測定した(一般プロトコル、実施例2.6を参照)。細胞増殖を測定するこのアッセイにより認定されたIC50は、G2/MブロックのFACS解析より計算された値とよく一致し、実にG2/Mの停止は細胞の増殖を防ぐことを示した。薬剤との細胞の培養後、ウォッシュアウト実験の結果、乳がん細胞株においては増殖の復元が見え、一つの結腸直腸がん細胞株においては完全な停止が見え、少なくともいくつかの細胞株に関しては、薬剤は細胞毒性をもつことを示している。
【0195】
実施例2.3.1 − 腫瘍細胞増殖におけるトリアジンの生物学的効果
活性及び選択性を確定するために、化合物2を一連の細胞株において検査した(表2)。細胞増殖は阻害剤とともに、三日間の培養後にMTTアッセイ(プロトコルは実施例2.6を参照)を用いて測定した。
【0196】
表2: 化合物2による腫瘍細胞株の増殖の阻害:(a)マウスB細胞前駆株;(b)ヒト結腸直腸がん;及び(c)ヒト乳がん。
【表2】
【0197】
それぞれ異なる細胞株のIC50はよく似て、化合物2は、G2/Mの完了に必要な共通経路を狙うことを示している。
【0198】
実施例2.3.2 − 「インビトロ」及び「インビボ」におけるチューブリン重合に対するトリアジンの効果
「インビトロ」及び「インビボ」におけるチューブリン重合に対するトリアジンの効果を実験した。この実験は、トリアジンに誘導されたチューブリン重合は最小限であり、有糸分裂ブロッカーとしての能力をはるかに超える投与量で見えた。
【0199】
チューブリンに対するトリアジンの効果を監視するために、本発明者は、薬物への暴露後の無傷細胞におけるチューブリン重合を検査した。
【0200】
タキソール及び化合物3により処理された細胞は、0.5% NP−40を含む低張緩衝液中で溶解し、細胞の抽出物は、高速度で遠心分離機にかけた。重合されたチューブリンは界面活性剤不溶性である:従って、この処理後は、浮遊物(supernatant,S)中に溶性チューブリンを回収し、細胞ペレット(P)中に重合したチューブリンを回収した。この二つの形態の相対的比率は、SDS/PAGE及びチューブリンに特異的な抗体を用いた免疫ブロット法により監視した。
【0201】
この実験において、タキソールは用量依存的にチューブリンを安定化し、一方トリアジンは高濃度を用いてもほとんど影響を及ぼさないことを示した(図1)。
【0202】
トリアジン及びチューブリンの直接的な相互作用を調べようとするために、「インビトロ」のチューブリン重合アッセイを使用した(図2)。これらのアッセイにおいてトリアジンは、小さいとはいえ重要なチューブリン重合の増加を起こした。しかし、チューブリン重合に必要なトリアジンの濃度は、細胞増殖アッセイにおけるIC50の1000倍より高い濃度であった。
【0203】
実施例2.3.4 − マウスにおける投与量の増加
最初に、化合物1はマウスにおける忍容性及び毒性に関して検査された。増量の化合物1を、一定の量のDMSOとともにC57B1/6マウス(生後8−12週間)に皮下注射した。注射24時間後にマウスを犠牲にした。このタイムフレームにおいては、80mg/kgの投与量までは悪影響はなかった。従って、化合物は「インビトロ」において観察されたIC50をはるかに超える投与量で化合物は忍容された。
【0204】
化合物2に関しては、64.5mg/kgの投与量までは、4日間外見上の健康状態及び行動に関する悪影響は示されなかった。21.5及び64.5mg/kgの場合、注射部位において皮膚薄化が示された。BALB/cヌードマウスにおいて、化合物2は、20mg/kgでいくつかの皮膚損傷を起こした。この軽い皮膚損傷は2−3日内で、容易に治った。
【0205】
実施例2.4 − 薬物動態
化合物2の薬物動態パラメータは、マウスへの注射後に検査された。
【0206】
水溶液中の50mg/kgの投与量で与えられた場合、薬剤は血中60μMのプラトー濃度に達し、6〜10時間の間は6μM以上のレベルを維持する。排出半減期は約1.5時間である。「インビトロ」においてG2/M細胞周期ブロックを誘導する少なくとも二つの活性代謝物も血漿から検出され、それらの構造はマススペクトルにより確認された。薬物動態計算に活性代謝物を含む場合、活性薬剤の総濃度は、血漿から除去し始められる前に、6時間まで30μMの平均を持っていた。
【0207】
実施例2.4.1 − マウス血液からトリアジンの抽出及び定量
マウス血漿から活性トリアジンの抽出及び抽出薬剤のRP−HPLC定量のために開発されたプロトコル、及び代謝物の特性の解析及び化合物の薬物動態的特性を以下に説明する。
【0208】
実施例2.4.1.1 − マウス血漿からのトリアジンの抽出
マウス血液を、COガスによる麻酔後に、心穿刺により回収した。その後マウスは安楽死させた。血塊形成を防ぐために、血はEDTAチューブに移し、そして血漿は遠心分離による分離後に回収した。各サンプルにおいて、75μlの0.1%TFA(v/v)を25μl血漿に加え、内部標準として5μMヒドロコルチゾン(HC)を用いた。このように処理されたサンプルは必要時までに−20℃で保管した。溶かした場合は、遠心分離により澄まし、抽出物をRP−HPLCを用いて解析した。
【0209】
実施例2.4.1.2 − マウス血漿におけるトリアジン定量
各100μlの血漿抽出物は、Zorbax SB−C18,2.1X150mm,5μのカラムにおいて分離し、0.1%(v/v)TFA中のアセトニトリルの50分かけての直線的勾配、及び一分間につき0.1mlの流速で用い、45℃のカラム温度を用いた。検出は250nm。代表的なクロマトグラム2は図3において示す。
【0210】
実施例2.4.1.3 − 化合物2の代謝物の解析
化合物2で注射されたマウスの血漿のクロマトグラムは、小さいピークを示したが、比較対象のマウスのクロマトグラムは小さいピークを示さない。このピークは化合物2の注射の後に現れ、恐らく代謝物である。このピークの正体を明らかにするためには、それらの吸収スペクトルを化合物2の標準と比べた。
【0211】
図4に示されるように、全てのピークは、250nmの特性ピークを示し、関連化合物のようである。マウス血漿はRP−HPLCにより断片化し、上に示したピークを回収した。合わせてためたピークサンプルは凍結乾燥により濃縮した。各ピークサンプルの一部はバイオアッセイのために、培地において再構成した(図5)。残りは質量及び構造を確認するために、LC−MSを用いて解析した。
【0212】
回収した化合物2(ピーク1)、ピーク2、及びピーク3のIC50はそれぞれ、0.1μM、0.2μM、及び>1μMであった。微量のため、回収ピークの正確な濃度を計ることは難しいが、アッセイは、すべての回収ピークがある程度の生物学的活性を有することを示す。
【0213】
回収された化合物のLC−MS解析の結果を表3に示す。
【0214】
表3:化合物2の注射後のマウス血漿から回収された代謝物のLC−MS解析の結果
【表3】
【0215】
出発原料の化合物2の解析は、遊離塩基化合物の分子量を464Daであることを確認した。ピーク1は同じ質量をもち、血漿から回収された化合物と同じであることを確認した。ピーク3は479Daの質量をもち、ヒドロキシルの誘導体であることを示唆した。ピーク2は655Daの質量をもつ、より大きい化合物であった。付加的な質量は、ヒドロキシル誘導体のグルクロニド誘導体であることを示す。
【0216】
これらの結果は、回収された化合物は化合物2の活性代謝物であることを明確にし、血漿における薬剤の活性度の計算に含むべきであること、及び化合物の排出半減期を明らかにした。
【0217】
実施例2.4.1.4 − 化合物2の薬物動態的解析
血漿における薬剤の濃度は、内部標準方法により決定し、知られている標準に対して薬剤及びHCピーク領域の比率を比較することにより決定した。一つの薬物動態的実験のマウスにおける血漿中の化合物2の濃度は、図6において描いている。
【0218】
これらの結果は、治療的に有意な化合物2の濃度は血清において達成可能であること、及び10時間まで維持することも可能であることを示唆する。
【0219】
実施例2.5 − 異種移植実験における抗腫瘍薬としての効能
腫瘍増殖の抑制に関する化合物2の効能を認定するために、異種移植実験を用いた。初期実験において、確定された腫瘍モデルを結腸直腸がん細胞株LIM2537とともに用い、化合物2は腫瘍の増殖速度を有意に抑えた。
【0220】
実施例2.5.1 − LIM2537細胞(結腸直腸細胞株)を用いた腫瘍異種移植実験
方法:
結腸がん細胞株LIM2537は、増殖が化合物2により阻害されることが示されたため、BALB/cヌードマウスにおける腫瘍異種移植実験のために選択された(「腫瘍細胞増殖におけるトリアジンの生物学的効果」を参照)。
【0221】
マウスは100μlPBS中の各腫瘍につき3×10細胞、各脇腹に一つの腫瘍を皮下に(SC)植菌された。担体対象(VC)又は15mg/kgの投与量となる、水溶液中に3mg/mlの薬剤を100μl用いた治療を植菌後三日目に始めた。マウスは実験の期間中、週に3回腹部においてSCで注射された。マウスは体重、腫瘍体積及び外観、及び薬剤に関する悪影響について監視された。実験は33日時点で停止し、対象群では腫瘍組織量が許容された最大量を達したため、その群を安楽死させた。残りのマウスはそして、腫瘍増殖の復旧を監視するために、さらに9日間治療無でおいた。
【0222】
結果:
マウスの体重は薬剤での治療により影響を受けなかった。対象群及び薬剤群における腫瘍のサイズの差は12日時点で見られ、そして33日目、対象群を安楽死させた時点では、はっきりとした差が見えた。それぞれの群内では、対象群の内では一つのゆっくり増殖する腫瘍があり、治療を受けた群の内に一つの早く増殖する腫瘍があった。この異常腫瘍が大きい標準偏差の原因である(図7)。
【0223】
この実験からは、この治療のスケジュール(化合物2を15mg/kgの投与量で週に3回注射)はLIM2537細胞の増殖を遅くすることに成功したことが認定される。この投与量及び組成物に関しては、長期的な悪影響はない。
【0224】
実施例2.5.2 − U87MG(Δ2−7)−(脳がん細胞株)を用いた腫瘍異種移植研究
方法:
マウス:Balb/c nu/nu 雄;対象8匹及び治療8匹。
植菌された細胞:U87MG(Δ2−7)を腫瘍毎に2.13×10細胞;マウス毎に腫瘍2つ。
投与量:化合物2を20mg/kg=マウス20gにつき水中の4mg/mlを100μl注射。対象マウスに注射用水を100μl注射した。
治療及び監視:治療は植菌後5日目に開始した。マウスは週に3回(月、水、金)両体側に交互に腹部においてSC注射した。
マウスを犠牲にした後:腫瘍を解剖し、重さを計った;脾臓及び肝臓の重さも計った。
【0225】
結果:
腫瘍は動物間、急速に、及び一貫に増殖した。対象マウスのほとんどが許容される腫瘍組織量を達し、そしていくつかの腫瘍が潰瘍を生じたため、実験は植菌後14日目に終了させた。実験の最後には、対象と治療された腫瘍との間に有意な差が見えた(図8)。
【0226】
肝臓及び脾臓の重さも死後に計った。図9にこの臓器の平均重さを、腫瘍の平均重さとともに比較した。
【0227】
20mg/kgを週3回、化合物2を用いるU87MG(Δ2−7)腫瘍の治療は、担体対象を注射したマウスに比べて腫瘍の増殖を減らした。
【0228】
実施例2.5.3 − H1437を用いた腫瘍異種移植検査(非小細胞肺がん細胞株)
方法:
マウス:Balb/c nu/nu 雄;対象8匹及び治療8匹;生後5週間。
植菌された細胞:H1437(非小細胞肺がん細胞株)を腫瘍毎に2×10細胞;マウス毎に腫瘍2つ。
投与量:化合物2を20mg/kg=マウス20gにつき水中の4mg/mlを100μl注射。対象マウスに注射用水を100μl注射した。
治療及び監視:治療は植菌後5日目に開始した。マウスは週に3回両体側に交互に腹部においてSC注射した。マウスの重さを計った;腫瘍の直径は二次元で計り、マウスの健康を監視した。注射はプロットのデータ点に対応し、そして測定をしていない14日目に追加の治療をした。
【0229】
結果:
対象群における腫瘍は急速に増殖したが、動物間にある程度の変異をみた。腫瘍の測定体積は21日後に安定化し、他の細胞株を用いて以前の実験でみえたような増殖速度の増加はなかった。この腫瘍は一般に動物の脇腹に広がるよりも、高い、丸い球として成長した。対象マウスのほとんどが許容される腫瘍組織量を達したため、実験は26日目に終了させた。皮下に残った腫瘍において、潰瘍形成はなく、特に血管が発達していたようには見えなかった。一方、治療群における腫瘍は26日間にかけて非常に小さく、硬いままであった。実験の最後には、対象と治療された腫瘍との間に有意な差が見えた(図10)。
【0230】
マウスを犠牲にした後、腫瘍を解剖し、重さを計った。解剖後に、2つの群の腫瘍を比較した。2つの群の腫瘍の間に、腫瘍の観測サイズに著しい差がみえた(図11)。
【0231】
当業者は、具体的な実施態様に示された発明に、いくつかの変化及び/又は変更を与えても、広く説明された発明の範囲から離れるとは限らないことを理解する。本実施態様は、つまり、全ての面にたいして、実例として理解され、限定するものとしては理解されない。
【0232】
実施例2.6
全ての細胞及び阻害剤のためのMTT及びMTSアッセイのプロトコル
【0233】
実施例2.6.1 − 一般概要
●細胞は100μl培地+5%FCS(+Adds)中104/ウェルでプレート。
●細胞は一晩かけて培養。
●新たなプレートに、150μl媒体中で阻害剤をを用量設定。
●細胞プレートの対応するウェルに100μlの用量設定された化合物を移す。
●さらに4日間培養。
●10μlMTS又はMTTを1.5から2時間加え、マルチスキャナーで計る(波長492/690)
【0234】
LIM細胞株の培養のための添加物(Additives):チオグリセロール10μM、インシュリン0.025U/ml、ヒドロコルチゾン1μg/ml。3−(4,5−ジメチルチアゾール−2−イル)−5−(3−カルボキシメトキシフェニル)−2−(4−スルフォフェニル)−2H−テトラゾリウム。臭化3−(4,5−ジメチルチアゾール−2−イル)−2,5−ジフェニルテトラゾリウム。
【0235】
実施例2.6.2 − MTSアッセイに用いられる細胞株
●RPMIにおいて増殖させたLIM2537ヒト結腸がん細胞株+Adds+5%FCS
【0236】
実施例2.6.3 − 細胞のプレート化:一プレートにつき一つの細胞株
細胞をトリプシン処理し、2回培地+5%FCSで洗い位、ウェル当たり100μl中10の細胞でプレートした。
プレートをo/n37℃及び5%−10%COで培養器で培養
【0237】
実施例2.6.4 − 阻害剤
阻害剤はDMSOに溶かして10mMのストックを作り、テストプレートのためのストックとして使用するために96ウェルのプレートに複製して用量設定した。用量設定の範囲は1/2の希釈で40μMから0.01μMまでで、各希釈段階の100μlを(100μl中に)細胞を含むテストプレートの適切なウェルに写し、最終的な阻害剤の濃度は複製の例にわたって20μMから0.01μMである。この阻害剤はプレートごとに検査した(列A〜F)。
【0238】
各プレートは以下を有する:
列A、B:阻害剤1の希釈物、1ウェルにつき200μl
列C、D:阻害剤2の希釈物、1ウェルにつき200μl
列E、F:阻害剤3の希釈物、1ウェルにつき200μl
対象列G1〜6:培地+5%FCS(最高増殖のため)
対象列G7〜12:タキソール(最高阻害のため250mM)
対象列H:細胞から培地を取り除き、無血清条件での増殖率のため、200μlの無血清培地で交換
【0239】
実施例2.6.5 − 培養
プレートを培養器において4日間培養させた。下記の通りにMTS又はMTTで処理した。
【0240】
実施例2.6.6 − MTSアッセイ
各ウェルに10μlのMTS(シグマ)溶液を加えた。MTSを1.5から2時間、MTTは4時間培養した。10μl 10%SDSを各ウェルに加えて反応を停止させる。マルチスキャン(492/690)プレートリーダーで解析し、色変化対阻害剤の濃度を描いてIC50を確定した。
【0241】
実施例2.6.7 − MTTアッセイ
MTT溶液
MTT(シグマM−2128)−PBSに5gを溶かし、5mg/mlで、フィルター殺菌し、−20℃において保管する。必要に応じて解かす。
【0242】
MTT溶媒(酸性化イソプロパノール)
a. 1M HCl:
44.6mlの濃HCl(11.2M)を500ml DDWと混ぜる。
b. 酸性化イソプロパノール(0.04N HClを含むイソプロパノール):
20ml 1M HClを480mlイソプロパノール(プロパン−2−オール、イソプロピル アルコール)と混ぜる
【0243】
MTT付加
各ウェルに10μlMTT溶液を加え、37℃の培養器において4時間培養した。
プレートを、1500rpmで5分間スピンし、結晶を刺激しないように注意深く培地を取り除いた。各ウェルにつき200μlの酸性化イソプロパノール(MTT溶液)を加えた。
プレート振とう機の上に、室温で、6.5の速度で10〜3分間おいた。
Thermo Multiskan Exで560/690nmでプレートのODを読み取った。
【0244】
実施例2.6.8 − LIM2537ヒト結腸がん細胞株を用いた本発明の選択化合物のMTSアッセイの結果
表4:LIM2537ヒト結腸がん細胞株を用いた本発明の選択化合物のMTSアッセイの結果
【表4】
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11