【実施例】
【0101】
実施例1.合成化学
トリアジンで置換された一連の誘導体を生成するために、1,3,5−トリアジン骨格の修飾を可能とする急速、そして高収率の合成プロトコルが開発された。
【0102】
実施例1.1 −
1−[4,6−ビス−(4−メトキシベンジルアミノ)−{1,3,5}−トリアジン−2−イル−アミノ]−イミダゾリジン−2,4−ジオン(化合物1)の調製のための合成方法
【0103】
PART A 1−(4,6−ジクロロ−[1,3,5]−トリアジン−2−イル−アミノ)−イミダゾリジン−2,4−ジオンの調製
【0104】
1−アミノヒダントイン塩酸塩(457mg,3.0mmol)、塩化シアヌル(500mg,2.73mmol)、及び重炭酸ナトリウム(505mg,6mmol)のよく冷えた懸濁液を、アセトニトリル(5mL)中に、そして窒素雰囲気下で2時間かき混ぜ、それから室温で20時間かき混ぜた。反応混合物を、減圧蒸発乾固させ、酢酸エチルを用いて残留物を抽出し、酢酸エチルを分離して乾かした(MgSO
4)。粗生成物(770mg)は、薄層クロマトグラフィー[シリカ;CH
2Cl
2/MeOH(10:1)]において、一つの点を与え、粗生成物はさらなる精製をなしに次のステップに用いられた。
1H NMR (CD
3CN): δ = 4.11 (s, 2H); 8.71 (s, 1H); 8.85 (s, 1H).
【0105】
PART B 1−[4,6−ビス−(4−メトキシベンジルアミノ)−[1,3,5]−トリアジン−2−イル−アミノ]−イミダゾリジン−2,4−ジオン(化合物1)の調製
【0106】
室温で、アセトニトリル(20mL)中の、かき混ぜられた1−(4,6−ジクロロ−[1,3,5]−トリアジン−2−イル−アミノ)−イミダゾリジン−2,4−ジオン(770mg,2.93mmol)及び炭酸カリウム(2.42g,17.6mmol)の懸濁液に、4−メトキシベンジルアミン(0.96mL,7.32mmol)を加えた。反応混合物を、室温及び窒素雰囲気下で24時間かき混ぜ、そして減圧下で溶媒を除去した。残留物は酢酸エチルを用いて抽出し、酢酸エチルは乾かし(MgSO
4)、蒸発させたことにより粗生成物が得られ、粗生成物は、溶離液としてCH
2Cl
2/MeOH(50:1→10:1)を用いてシリカ上のフラッシュ・クロマトグラフィーによって精製した。純生成物は、無色の固体(587mg,43%)として分離された。
1H NMR (d
6 DMSO): δ = 3.67 (s, 6H); 3.96及び4.05 (2s, 合計 2H); 4.20及び4.32 (2s, 合計 4H); 6.80 (bs, 4H); 7.13−7.39 (m, 6H); 8.67, 8.85及び8.99 (2s, 合計 1H); 11.0 (bs, 1H). マススペクトル (ES+) 465 (M+H).
【0107】
実施例1.2 −
1−[4−(4−アミノメチル−ベンジルアミノ)−6−(4−メトキシベンジルアミノ)−{1,3,5}−トリアジン−2−イル−アミノ]−イミダゾリジン−2,4−ジオン、HCl塩(化合物2)の調製のための合成方法
【0108】
PART A 1−[4−クロロ−6−(4−N−Boc−アミノメチル)−ベンジルアミノ−{1,3,5}−トリアジン−2−イル−アミノ]−イミダゾリジン−2,4−ジオンの調製
【0109】
乾燥ジメチルホルムアミド(DMF,10mL)中の、1−(4,6−ジクロロ−[1,3,5]−トリアジン−2−イル−アミノ)−イミダゾリジン−2,4−ジオン(実施例1.1,PART A)(590mg,2.24mmol)及び炭酸カリウム(681mg,4.94mmol)のかき混ぜられた懸濁液に、4−(N−Boc−アミノメチル)−ベンジルアミン(582mg,2.47mmol)を加えた。混合物を、室温で20時間かき混ぜ、水と酢酸エチルの混合液に注いだ。結果として得られたエマルジョンをろ過し、有機質の層を分離し、乾燥し、そして蒸発させた結果、黄色い固体の粗生成物が得られた(576mg,55%)。マススペクトル(ESI+):946(2M+Na),924(2M+H)。
【0110】
PART B 1−[4−(4−アミノメチル−ベンジルアミノ)−6−(4−メトキシベンジルアミノ)−{1,3,5}−トリアジン−2−イル−アミノ]−イミダゾリジン−2,4−ジオン、HCl塩(化合物2)の調製
【0111】
DMF(5mL)中の、1−[4−クロロ−6−(4−N−Boc−アミノメチル)−ベンジルアミノ−{1,3,5}−トリアジン−2−イル−アミノ]−イミダゾリジン−2,4−ジオン(実施例1.2、PART A)(200mg,0.43mmol)及び炭酸カリウム(131mg,0.95mmol)のかき混ぜられた懸濁液に、4−メトキシベンジルアミン(0.06mL,0.48mmol)を加えた。反応混合液を、35℃で18時間かき混ぜ、水に注ぎ、酢酸エチルを用いて抽出した。結果として得られたエマルジョンをろ過し、酢酸エチルの層を分離し、蒸発した結果、油性残留物としてN−Boc生成物が得られた(90mg,37%)。マススペクトル(ESI+):1127(2M+H),564(M+H)。N−Boc物質(90mg)を、ジクロロメタン/トリフルオロ酢酸(1:1,3mL)に溶かし、室温で、窒素雰囲気下で2時間かき混ぜた。溶媒及び過剰TFAは減圧下で除去し、残留物をメタノール(5mL)に溶かし、ジエチルエーテル中の塩化水素溶液(2Mの溶液を0.08mL)で処理した。メタノールは減圧下で除去し、残留物はメタノール/アセトニトリルから再結晶してオフホワイトの固体として粗塩酸塩が得られた(49mg,62%)。
1H NMR (d
6 DMSO): δ = 3.72 (s, 3H); 3.96−4.12 (m, 6H); 4.32−4.52 (m, 4H); 6.84 (brs, 2H); 7.16−7.51 (m, 6H); 8.4 and 8.5 (brd, 6H); 11.3 (s, 1H). マススペクトル(ES+): 464 (M+H).
【0112】
実施例1.3 −
トリアジン−イミダゾリジン−ジオン類の調製のための合成方法
【0113】
5−[4,6−ビス−(4−メトキシ−ベンジルアミノ)−[1,3,5]−トリアジン−2−イルアミノ]−3−メチル−イミダゾリジン−2,4−ジオン(化合物3)の調製
【0114】
PART A 1−メチル−イミダゾリジン−2,4,5−トリオンの調製
【0115】
乾燥テトラヒドロフラン(6mL)中の1−メチル尿素(200mg,2.70mmol)のよく冷えた溶液に、塩化オキサリル(0.26mL,2.97mmol)を、窒素雰囲気下で滴下した。反応混合液は、0〜5℃で2時間かき混ぜ、水で希釈する前に1時間、室温まで温めた。生成物は酢酸エチルで抽出し、抽出物は水で洗い、乾燥し、蒸発した結果、オフホワイトの固体として生成物が得られた(326mg,94%),mp146〜149℃(lit.145〜148℃)。
【0116】
PART B 5−ベンジルアミノ−3−メチル−イミダゾル−2,4−ジオンの調製
【0117】
クロロホルム(13mL)中の、1−メチル−イミダゾリジン−2,4,5−トリオン(実施例1.3,PART A)(800mg,6.25mmol)、イミダゾール(467mg,6.87mmol)、N,N−ジメチルアミノピリジン(触媒量)及びトリエチルアミン(1.82mL,13.1mmol)の溶液に、クロロトリメチルシラン(1.67mL,13.1mmol)を、室温で、窒素雰囲気下で滴下し、反応溶液を2時間かき混ぜた。ベンジルアミン(0.75mL,6.87mmol)を加え、さらに22.5時間混合液をかき混ぜた。反応溶液は、クロロホルム及び水で希釈し、クロロホルムの抽出物は乾燥し、蒸発させた。粗生成物はカラム・クロマトグラフィー(PS、 DCM:EtOAc 3:1までの勾配溶離液)により精製し、無色の固体として生成物が得られた(838 mg, 62%), mp 152−154℃.
δ
H (300 MHz, CD
3CN) 7.95 (v br s, 1H, NH), 7.41−7.27 (m, 5H, PhH), 4.64 (s, 2H, CH
2), 2.95 (s, 3H, CH
3)。マススペクトル(ESI) m/z 218 (M+H).
【0118】
PART C 5−アミノ−3−メチル−イミダゾリジン−2,4−ジオンの調製
【0119】
エタノール/酢酸エチル(50mL,1:1)中の、5−ベンジルアミノ−3−メチル−イミダゾール−2,4−ジオン(実施例1.3,PART B)(400mg,1.84mmol)の溶液に、10%のPd/C触媒を加えた(195mg,0.18mmol)。フラスコから気体を抜き、三回水素を満たし、そして23時間室温でかき混ぜた。その後、反応混合物をセライトを通してろ過し、ろ過された液体は蒸発し、無色の固体の生成物を得た(214mg,90%),mp 122−125℃.
δ
H (300 MHz, CD
3CN) 6.31 (br s, 1H, NH), 4.68 (d, J 1.5 Hz, 1H, CH), 2.87 (s, 3H, CH
3). δ
H (300 MHz, D
2O) 4.95 (s, 1H, CH), 2.96 (s, 3H, CH
3). δ
C (75 MHz, D
2O) 175.6, 158.5, 64.0 (CH), 24.3 (CH
3)。
【0120】
PART D 5−(4,6−ジクロロ−[1,3,5]トリアジン−2−イルアミノ)−3−メチル−イミダゾリジン−2,4−ジオンの調製
【0121】
アセトニトリル(15mL)中の、5−アミノ−3−メチル−イミダゾリジン−2,4−ジオン(実施例1.3,PART C)(266mg,2.06mmol)、塩化シアヌル(415mg,2.27mmol)及び重炭酸ナトリウム(191mg,2.27mmol)を、窒素雰囲気下、及び氷水上で1時間かき混ぜ、そして22時間室温でかき混ぜた。溶媒は蒸発し、粗生成物は酢酸エチルを用いて抽出した。有機層は乾燥し、蒸発し、粗生成物はカラム・クロマトグラフィー(PS、 DCM:EtOAc 1:1までの勾配溶離液)を用いて精製し、クリームの固体として生成物を得た(448 mg, 78%)。
δ
H (300 MHz, CD
3CN) 7.50 (br s, 1H, NH), 6.56 (br s, 1H, NH), 5.60 (dd, J 7.8, 1.8 Hz, 1H, CH), 2.97 (s, 3H, CH
3). マススペクトル (ESI) m/z 259 [M+H (OHでClが交換されたイオン)].
【0122】
PART E 5−[4,6−ビス−(4−メトキシ−ベンジルアミノ)−[1,3,5]−トリアジン−2−イルアミノ]−3−メチル−イミダゾリジン−2,4−ジオン(化合物3)の調製
【0123】
5℃のアセトニトリル(15mL)中の、5−(4,6−ジクロロ−[1,3,5]トリアジン−2−イルアミノ)−3−メチル−イミダゾリジン−2,4−ジオン(実施例1.3,PART D)(193mg,0.70mmol)及び炭酸カリウム(212mg,1.53mmol)のかき混ぜられた懸濁液に、4−メトキシベンジルアミン(0.10mL,0.77mmol)を滴下した。懸濁液は、氷温で1時間かけ混ぜ、それから室温で24時間かき混ぜた。反応混合液に水を加え、酢酸エチルを用いて抽出した。粗生成物は、シリカカラムにかけ、ジクロロメタン:酢酸エチル(10:1)の混合物で始め、それから5:1、そして最終的にジクロロメタン:メタノール(20:1)で溶出させた。早期の留分は一置換の5−[4−クロロ−6−(4−メトキシ−ベンジルアミノ)−[1,3,5]−トリアジン−2−イルアミノ]−3−メチル−イミダゾリジン−2,4−ジオン(133mg,51%)、そして後の留分はジベンジルアミノの生成物(112mg,34%)を生み出した。(Found: C, 55.46; H, 4.66; N, 18.39%. C
21H
20N
6O
6 はC, 55.75; H, 4.46; N, 18.58)を要求)。 δ
H (300 MHz, CD
3CN): 7.19 (br d, 4H, Ar), 6.84 (br d, 4H, Ar), 6.35 (br s, 1H, NH), 5.9−5.8 (br, 3H, NH), 5.46 (br d, 1H, CH), 4.36 (s, 4H, CH
2), 3.74 (s, 6H, OMe), 2.9−2.8 (br, 3H, NMe). マススペクトル (ESI) m/z 479 [M+H].
【0124】
実施例1.4 −
5−[4−(4−アミノメチル−ベンジルアミノ)−6−(4−メトキシベンジルアミノ)−[1,3,5]−トリアジン−2−イルアミノ]−3−メチル−イミダゾリジン−2,4−ジオン(化合物4)の調製
【0125】
PART A 5−[4−クロロ−6−(N−Boc−{4−アミノメチル}−ベンジルアミノ)−[1,3,5]−トリアジン−2−イルアミノ]−3−メチル−イミダゾリジン−2,4−ジオンの調製
【0126】
室温で、ジメチルホルムアミド(5mL)中の、5−(4,6−ジクロロ−[1,3,5]トリアジン−2−イルアミノ)−3−メチル−イミダゾリジン−2,4−ジオン(実施例1.3,PART D)(300mg,1.08mmol)及び炭酸カリウム(329mg,2.38mmol)のかき混ぜられた懸濁液に、N−Boc−(4−アミノメチル)−ベンジルアミン(281mg,1.19mmol)を加えた。反応混合液は、室温で4時間かき混ぜ、そして水と酢酸エチルで希釈した。酢酸エチル層は、分離し、乾燥し、蒸発して次のステップに直接用いられた粗生成物を得た。
【0127】
PART B 5−[4−{(N−Boc−4−アミノメチル)−ベンジルアミノ}−6−(4−メトキシベンジルアミノ)−[1,3,5]−トリアジン−2−イルアミノ]−3−メチル−イミダゾリジン−2,4−ジオン(化合物4(B))の調製
【0128】
30℃で、ジメチルホルムアミド(5mL)中の、5−[4−クロロ−6−(N−Boc−{4−アミノメチル}−ベンジルアミノ)−[1,3,5]−トリアジン−2−イルアミノ]−3−メチル−イミダゾリジン−2,4−ジオン(実施例1.4,PART A)(377mg,0.79mmol)及び炭酸カリウム(240mg,1.74mmol)のかき混ぜられた懸濁液に、4−メトキシベンジルアミン(0.12mL,0.95mmol)を加えた。反応混合液は、30℃で18時間かき混ぜ、そして水で希釈し、酢酸エチルで抽出した。酢酸エチルの層は、希塩酸で洗い、それから分離し、乾燥し、そして凝縮して粗生成物を得、生成物は、初期の溶離液としてジクロロメタンを用いて、シリカゲル上のクロマトグラフィーで精製し、極性を徐々にジクロロメタン:メタノール(20:1)まで高めた。生成物は白い固体として得られた(71mg,16%)。NMRスペクトルδ
H (300 MHz, CD
3CN): 7.16 (br s, 6H, Ar), 6.82 (br d, 2H, Ar), 6.5 (br s, 1H, NH), 6.1−5.7 (br m, 4H, NH), 5.47 (br d, 1H, CH), 4.5−4.3 (br, 4H, CH
2), 4.15 (d, 2H, CH
2) 3.73 (s, 3H, OMe), 2.9−2.7 (br, 3H, NMe), 1.39 (s, 9H, Boc).
【0129】
PART C 5−[4−(4−アミノメチル−ベンジルアミノ)−6−(4−メトキシベンジルアミノ)−[1,3,5]−トリアジン−2−イルアミノ]−3−メチル−イミダゾリジン−2,4−ジオン(化合物4)の調製
【0130】
室温で、ジクロロメタン(2mL)中の、5−[4−{(N−Boc−4−アミノメチル)ベンジルアミノ}−6−(4−メトキシベンジルアミノ−[1,3,5]−トリアジン−2−イルアミノ}−3−メチル−イミダゾリジン−2,4−ジオン(実施例1.4,PART B)(63mg,0.11mol)のかき混ぜられた溶液に、トリフルオロ酢酸(2mL)を加えた。3時間後に、TFAおよび溶媒は減圧下の蒸発により除去し、追加のジクロロメタンを加え、再度除去することにより残っている余分のTFAを取り除いた。粗生成物は乾燥メタノールに溶かし、エーテル中の塩化水素溶液(2M,0.05mL)を加えた。反応混合物は室温において15分間かき混ぜ、そして濃縮し、残留物は氷を用いて冷やしながらメタノール/アセトニトリルを用いて粉末にすること(triturating)により結晶化させた。結果として得られた淡いピンクの固体は、ろ過により集め、HCl塩(48mg,86%)の生成物が得られた。NMRスペクトルδ
H (300 MHz, d
6−DMSO): 8.9−8.2 (br m, 6H, NH), 7.4−7.1 (br m, 6H, Ar), 6.85 (d, 2H, Ar), 5.6 (br, 1H, CH), 4.5−4.2 (br, 4H, CH
2), 3.95 (br s, 2H, CH
2) 3.70 (s, 3H, OMe), 2.8−2.6 (br, 3H, NMe); マススペクトル(ESI) m/z 478 [M+H].
【0131】
実施例1.5 −
5−[4−(4−メチル−ベンジルアミノ)−6−(4−メトキシベンジルアミノ)−[1,3,5]−トリアジン−2−イルアミノ]−3−メチルイミダゾリジン−2,4−ジオン(化合物5)の調製
【0132】
PART A 5−[4−クロロ−6−(4−メチル−ベンジルアミノ)−[1,3,5]−トリアジン−2−イルアミノ]−3−メチル−イミダゾリジン−2,4−ジオンの調製
【0133】
室温において、ジメチルホルムアミド(5mL)中の、5−(4,6−ジクロロ−[1,3,5]トリアジン−2−イルアミノ)−3−メチル−イミダゾリジン−2,4−ジオン(実施例1.3,PART D)(200mg,0.72mmol)及び炭酸カリウム(219mg,1.59mmol)のかき混ぜられた溶液に,4−メチル−ベンジルアミン(0.1mL,0.79mmol)を加えた。反応混合物は35℃において24時間かき混ぜ、そして水及び酢酸エチルで希釈した。酢酸エチル層は分離し、乾燥し、そして蒸発させ、次のステップに直接用いる粗生成物を得た。
【0134】
PART B 5−[4−(4−メチル−ベンジルアミノ)−6−(4−メトキシベンジルアミノ)−[1,3,5]−トリアジン−2−イルアミノ]−3−メチル−イミダゾリジン−2,4−ジオン(化合物5)の調製
【0135】
35℃における、ジメチルホルムアミド(5mL)中の5−[4−クロロ−6−(4−メチル−ベンジルアミノ)−[1,3,5]−トリアジン−2−イルアミノ]−3−メチル−イミダゾリジン−2,4−ジオン(実施例1.5,PART A)(80mg,0.22mmol)及び炭酸カリウム(67mg,0.49mmol)のかき混ぜられた懸濁液に、4−メトキシベンジルアミン(0.03mL,0.24mmol)を加えた。反応混合液は35℃において20時間かき混ぜ、そして水で希釈し、酢酸エチルを用いて抽出した。酢酸エチル層は乾燥し、濃縮して、泡(79mg,77%)として粗生成物を得た。NMR スペクトル δ
H (300 MHz, CD
3CN): 7.2−7.0 (br m, 7H, Ar + NH), 6.8 (br d, 2H, Ar), 6.5 (br, 1H, NH), 6.1−5.8 (br m, 2H, NH), 5.45 (br d, 1H, CH), 4.5−4.3 (br, 4H, CH
2), 4.15 (d, 2H, CH
2) 3.74 (s, 3H, OMe), 2.9−2.7 (br, 3H, NMe), 2.3 (s, 3H, Me). マススペクトル (ESI) m/z 463 [M+H].
【0136】
実施例1.6 −
5−[4,6−ビス−(4−メトキシ−ベンジルアミノ)−[1,3,5]−トリアジン−2−イルアミノ]−3−n−ブチル−イミダゾリジン−2,4−ジオン(化合物6)の調製
【0137】
表題化合物は基本的に、実施例1.3、PART BからEの記載と同じ反応シーケンス及び条件を用いて調製され、ただし1−メチル−イミダゾリジン−2,4,5−トリオンの代わりに1−(n−ブチル)−イミダゾリジン−2,4,5−トリオンを用いた。最終ステップから得られた生成物はクロマトグラフィーを用いて精製し、NMR及びマススペクトルによって特性を解析した。NMR スペクトル δ
H (300 MHz, CD
3CN): 7.19 (br d, 4H, Ar), 6.84 (br d, 4H, Ar), 6.38 (br s, 1H, NH), 6.0−5.7 (br, 3H, NH), 5.5 (br d, 1H, CH), 4.36 (s, 4H, CH
2), 3.74 (s, 6H, OMe), 3.38 (t, 2H, NCH
2); 1.52 (m, 2H, CH
2); 1.28 (m, 2H, CH
2); 0.89 (d, 3H, Me). マススペクトル (ESI) m/z 521 [M+H].
【0138】
実施例1.7 −
5−[4,6−ビス−(4−メトキシ−ベンジルアミノ)−[1,3,5]−トリアジン−2−イルアミノ]−3−n−プロピル−イミダゾリジン−2,4−ジオン(化合物7)の調製
【0139】
表題化合物は基本的に、実施例1.3、PART BからEの記載と同じ反応シーケンス及び条件を用いて調製され、ただし1−メチル−イミダゾリジン−2,4,5−トリオンの代わりに1−(n−プロピル)−イミダゾリジン−2,4,5−トリオンを用いた。最終ステップから得られた生成物はクロマトグラフィーを用いて精製し、NMR及びマススペクトルによって特性を解析した。NMR スペクトル δ
H (300 MHz, d
6DMSO): 8.31 (s, 1H, NH); 7.5 (br, 1H, NH); 7.1−7.3 (br, 6H, Ar+NH), 6.83 (br d, 4H, Ar), 5.5 (br d, 1H, CH), 4.32 (s, 4H, CH
2), 3.78 (s, 6H, OMe), 3.34 (br, 2H, NCH
2); 1.46 (m, 2H, CH
2); 0.79 (br, 3H, Me). マススペクトル (ESI) m/z 507 [M+H].
【0140】
実施例1.8 −
5−[4,6−ビス−(4−メトキシ−ベンジルアミノ)−[1,3,5]−トリアジン−2−イルアミノ]−3−フェニル−イミダゾリジン−2,4−ジオン(化合物8)の調製
【0141】
表題化合物は基本的に、実施例1.3、PART BからEの記載と同じ反応シーケンス及び条件を用いて調製され、ただし1−メチル−イミダゾリジン−2,4,5−トリオンの代わりに1−フェニル−イミダゾリジン−2,4,5−トリオンを用いた。最終ステップから得られた生成物はクロマトグラフィーを用いて精製し、NMR及びマススペクトルによって特性を解析した。NMR スペクトル δ
H (300 MHz, CD
3CN): 8.07 (s, 1H, NH); 7.4−7.0 (br, 9H, Ar+NH); 6.9−6.6 (br, 5H, Ar+NH), 6.2−5.5 (br, 3H, NH+CH), 5.5 (br d, 1H, CH), 4.38 (s, 4H, CH
2), 3.73 (s, 6H, OMe). マススペクトル (ESI) m/z 541 [M+H].
【0142】
実施例1.9 −
5−[4,6−ビス−(4−メトキシ−フェノキシ)−[1,3,5]トリアジン−2−イルアミノ]−3−メチル−イミダゾリジン−2,4−ジオン(化合物9)の調製
【0143】
アセトニトリル(5mL)中の5−アミノ−3−メチル−イミダゾリジン−2,4−ジオン(実施例1.3,PART C)(80mg,0.29mmol)、p−メトキシフェノール(39mg,0.32mmol)及び炭酸カリウム(88mg,0.64mmol)の懸濁液を、室温において、窒素雰囲気下で18時間かき混ぜた。反応混合液は酢酸エチル及び水を用いて希釈し、粗生成物は酢酸エチルを用いて抽出した。有機層は乾燥し、蒸発し、粗生成物はカラム・クロマトグラフィーを用いて精製し(シリカ;ジクロロメタン:酢酸エチル、溶媒比率は10:1から1:2へと高めた)、そしてアセトニトリルから再結晶化し、無色の固体(17mg,13%)として表題化合物を得た。(Found: C, 55.5; H, 4.7; N, 18.4%. C
21H
20N
6O
6 はCを要求, 55.8; H, 4.5; N, 18.6%). δ
H (300 MHz, (CD
3)
2CO) 7.81 (d, J 8.1 Hz, 1H, NH), 7.40 (s, 1H, NH), 7.08 (d, J 9.0 Hz, 2H, ArH (OPh結合のオルト位)), 7.07 (d, J 9.0 Hz, 2H, ArH (OPh結合のオルト位)), 6.92 (d, J 9.0 Hz, 4H, ArH (OCH
3結合のオルト位)), 5.73 (d, J 8.4 Hz, 1H, CH), 3.81 (s, 6H, OCH
3), 2.77 (s, 3H, NCH
3). マススペクトル(ESI) m/z 453 (72%, MH
+).
【0144】
実施例1.10 −
5−[4,6−ビス−(4−メトキシ−フェニルアミノ)−[1,3,5]トリアジン−2−イルアミノ]−3−メチル−イミダゾリジン−2,4−ジオン(化合物10)の調製
PART A 5−[4−クロロ−6−(4−メトキシ−フェニルアミノ)−[1,3,5]トリアジン−2−イルアミノ]−3−メチル−イミダゾリジン−2,4−ジオンの調製
【0145】
アセトニトリル(7mL)中の5−アミノ−3−メチル−イミダゾリジン−2,4−ジオン(実施例1.3,PART C)(228mg,0.82mmol),p−メトキシアニリン(111mg,0.90mmol)及び重炭酸ナトリウム(76mg,0.90mmol)の懸濁液を、室温において、窒素雰囲気下で25時間かき混ぜた。溶媒は蒸発し、粗生成物は酢酸エチルを用いて抽出した。有機層は乾燥し、蒸発し、粗生成物はカラム・クロマトグラフィーを用いて精製し(シリカ;ジクロロメタン:酢酸エチルを、10:1の溶媒比率で始め、極性をジクロロメタン:メタノール,10:1まで高めた)、表題化合物はクリーム色の固体として得られた(288mg,96%)。δ
H (300 MHz, (CD
3)
2CO) 8.88 (br s, 0.5H, NH), 8.84 (br s, 0.5H, NH), 7.87 and 7.70 (2 br s, 1H, NH), 7.61 (br s, 1H, NH), 7.51 (d, J 9.0 Hz, 2H, ArH (NH結合のオルト位)), 6.91 及び 6.89 (2 d, J 8.7, 6.6 Hz, 2H ArH (O結合のオルト位)), 5.82 (br d, J 7.8 Hz, 1H, CH), 3.79 (s, 3H, OCH
3), 2.95 (s, 1.4H, NCH
3), 2.73 (s, 1.6H, NCH
3). マススペクトル(ESI) m/z 364 (100%, MH
+).
【0146】
PART B 5−[4,6−ビス−(4−メトキシ−フェニルアミノ)−[1,3,5]トリアジン−2−イルアミノ]−3−メチル−イミダゾリジン−2,4−ジオン(化合物10)の調製
【0147】
無水DMF(5mL)中の5−[4−クロロ−6−(4−メトキシ−フェニルアミノ)−[1,3,5]トリアジン−2−イルアミノ]−3−メチル−イミダゾリジン−2,4−ジオン(実施例1.10,PART A)(50mg,0.14mmol)、p−メトキシアニリン(25mg,0.21mmol)及び炭酸カリウム(48mg,0.34mmol)の懸濁液を、窒素雰囲気下で18.5時間かき混ぜた。反応混合液は水で希釈し、粗生成物は酢酸エチルを用いて抽出した。有機層は乾燥し、蒸発し、粗生成物はカラム・クロマトグラフィーを用いて精製し(シリカ;ジクロロメタン:酢酸エチルを、10:1の溶媒比率で始め、極性をジクロロメタン:メタノール,10:1まで高めた)、生成物(36mg,58%)は淡い黄色い固体として得た。δ
H (300 MHz, (CD
3)
2CO) 8.14 (br s, 2H, NH), 7.60 (br s, 4H, ArH (NH結合のオルト位)), 7.43 (br s, 1H, NH), 6.91 (d, J 8.7 Hz, 1H, NH), 6.85 (d, J 9.0 Hz, 4H, ArH (O結合のオルト位)), 5.91 (d, J 7.8 Hz, 1H, CH), 3.77 (s, 6H, OCH
3), 2.86 (br s, 2.0H, NCH
3), 2.73 (br s, 1.0H, NCH
3). マススペクトル (ESI) m/z 451 (37%, MH
+).
【0148】
実施例1.11 −
5−[4−(4−ヒドロキシ−フェニルアミノ)−6−(4−メトキシ−フェニルアミノ)−[1,3,5]トリアジン−2−イルアミノ]−3−メチル−イミダゾリジン−2,4−ジオン(化合物11)の調製
【0149】
無水DMF(3mL)中の5−[4−クロロ−6−(4−メトキシ−フェニルアミノ)−[1,3,5]トリアジン−2−イルアミノ]−3−メチル−イミダゾリジン−2,4−ジオン(実施例1.10,PART A)(76mg,0.05mmol)、p−アミノフェノール(50mg,0.46mol)及び酢酸カリウム(25mg,0.25mmol)の懸濁液を、窒素雰囲気下で、油浴上の35℃で22時間かき混ぜた。反応混合液は水で希釈し、粗生成物は酢酸エチルを用いて抽出した。有機層は乾燥し、蒸発し、カラム・クロマトグラフィーを用いて精製し(シリカ;ジクロロメタン:酢酸エチルを、10:1の溶媒比率で始め、極性をジクロロメタン:メタノール,10:1まで高めた)、生成物は淡黄褐色の固体(24mg,33%)として得た。(Found: C, 54.1; H, 4.9; N, 24.3%. C20H20N8O4.MeOHは Cを要求, 53.8; H, 5.2; N, 23.9%).δ
H (300 MHz, CD
3CN) 7.49 (br d, J 8.7 Hz, 2H, ArH (NH結合のオルト位)), 7.37 (br s, 4H, NH 及び ArH (NH結合のオルト位)), 6.87 (d, J 9.0 Hz, 2H, ArH (O結合のオルト位)), 6.75 (d, J 9.0 Hz, 2H, ArH (O結合のオルト位)), 6.70 (br s, 1H, OH), 6.48 (s, 1H, NH), 6.10 (br d, J 7.8 Hz, 1H, NH), 5.67 (d, J 7.8 Hz, 1H, CH), 3.78 (s, 3H, OCH
3), 2.88 (br s, 3H, NCH
3). マススペクトル (ESI) m/z 437 (36%, MH
+).
【0150】
実施例1.12 −
5−[4−(4−ベンジルオキシ−フェニルアミノ)−6−(4−メトキシ−フェニルアミノ)−[1,3,5]トリアジン−2−イルアミノ]−3−メチル−イミダゾリジン−2,4−ジオン(化合物12)の調製
【0151】
無水DMF(5mL)中の5−[4−クロロ−6−(4−メトキシ−フェニルアミノ)−[1,3,5]トリアジン−2−イルアミノ]−3−メチル−イミダゾリジン−2,4−ジオン(実施例1.10,PART A)(93mg,0.26mmol)、塩酸p−ベンジルオキシアニリン(132mg,0.56mmol)及び炭酸セシウム(184mg,0.56mmol)の懸濁液を、窒素雰囲気下で、油浴上の30℃で19時間かき混ぜた。反応混合液は水で希釈し、粗生成物は酢酸エチルを用いて抽出した。有機層は乾燥し、蒸発し、粗生成物はカラム・クロマトグラフィーを用いて精製した(シリカ;ジクロロメタン:酢酸エチルを、10:1の溶媒比率で始め、極性をジクロロメタン:メタノール,20:1まで高めた)。PS/DCM/EtOAcから再結晶化した結果、生成物はクリーム色の固体(90mg,62%)として得た。(Found: C, 61.5; H, 5.1; N, 21.2%. C
27H
26N
8O
4 はCを要求, 61.6; H, 5.0; N, 21.3%). δ
H (300 MHz, CD
3CN) 7.58−7.30 (m, 11H, ArH (NH結合のオルト位), PhH 及び 2 NH), 6.94 (d, J 8.7 Hz, 2H, ArH (O結合のオルト位)), 6.87 (d, J 8.7 Hz, 2H, ArH (O結合のオルト位)), 6.49 (br s, 1H, NH), 6.14 (m, 1H, NH), 5.67 (d, J 7.2 Hz, 1H, CH), 5.09 (s, 2H, CH
2), 3.78 (s, 3H, OCH
3), 2.88 (br s, 3H, NCH
3). マススペクトル(ESI) m/z 527 (100%, MH
+).
【0152】
実施例1.13 −
1−((4−((4−メトキシベンジル)アミノ)−6−((4−(ピぺリジン−1−イルメチル)ベンジル)アミノ)−1,3,5−トリアジン−2−イル)アミノ)イミダゾリジン−2,4−ジオン(化合物13)の調製
【0153】
PART A 1−[4−クロロ−6−(4−メトキシベンジル)アミノ−{1,3,5}−トリアジン−2−イル−アミノ]−イミダゾリジン−2,4−ジオンの調製
【0154】
CH
3CN(50mL)中の、1−(4,6−ジクロロ−[1,3,5]−トリアジン−2−イル−アミノ)−イミダゾリジン−2,4−ジオン(実施例1.1,PART A)(3.84g,14.6mmol)及びK
2CO
3(4.4g,31.8mmol)の混合物に、(4−メトキシフェニル)−メタンアミン(2.0g,14.6mmol)を0℃で滴加した。混合物は室温で一晩中かき混ぜた。TLCによって、反応の完了が示された。混合物はろ過し、ケーキを水及びEtOAcの間で分けた。有機層は分離し、水性層はEtOAcを用いて抽出した。組み合わせた有機層は塩水で洗い、Na
2SO
4上で乾燥し、真空内で濃縮して、予期された化合物(3.50g,収率:66%)を、白い固体として得た。さらなる精製をせずに次のステップに用いた。δ
H (400 MHz, DMSO−d
6): 11.30−11.23 (m, 1H), 10,06−9.83 (m, 1H), 8.67−8.60 (m, 1H), 7.24−7.13 (m, 2H), 6.90−6.83 (m, 2H), 4.40−4.35 (m, 2H), 4.26−4.05 (m, 2H), 3.73 (s, 3H). マススペクトル(ESI) m/z 364 (100%, MH
+).
【0155】
PART B 1−((4−((4−メトキシベンジル)アミノ)−6−((4−(ピぺリジン−1−イルメチル)ベンジル)アミノ)−1,3,5−トリアジン−2−イル)アミノ)イミダゾリジン−2,4−ジオン(化合物13)の調製
【0156】
THF(8.0mL)中の、1−[4−クロロ−6−(4−メトキシベンジル)アミノ−{1,3,5}−トリアジン−2−イル−アミノ]−イミダゾリジン−2,4−ジオン(実施例1.13,PART A)(150mg,0.41mmol)、4−ピぺリジニルメチレン−ベンジルアミン(101mg,0.49mmol)及びK
2CO
3(171mg,1.24mmol)の混合物は、一晩中還流下で加熱した。TLCによって反応の完了が示された。混合物は室温まで冷まし、水に注ぎ、EtOAcで繰り返し抽出した。組み合わせた有機層は、塩水で洗い、Na
2SO
4上で乾燥し、真空内で濃縮した。残留物の固体は、フラッシュ・クロマトグラフィーにより精製し(シリカゲル;CH
2Cl
2 : MeOH= 20 :1, v/v)、オフホワイトな固体として化合物13を得た(65mg,収率:30%)。δ
H (400 MHz, DMSO−d
6): 11.13 (br, 1H), 9.03−8.74 (m, 1H), 7.66−6.77 (m, 10H), 3.91 (s, 1H), 3.72−3.45 (m, 4H), 2.38 (s,2H), 1.53−1.24 (m, 6H). マススペクトル(ESI) m/z 532.3 (100%, MH
+).
【0157】
実施例1.14 −
1−((4−((4−メトキシベンジル)アミノ)−6−((4−(モルホリノメチル)ベンジル)アミノ)−1,3,5−トリアジン−2−イル)アミノ)イミダゾリジン−2,4−ジオン(化合物14)の調製
【0158】
実施例1.13、PART A及びBにより説明された合成方法を用いて化合物14を生成した。δ
H (400 MHz, DMSO−d
6): 11,14−11,04 (m, 1H), 7.50−5.50 (m, 10H), 4.41−3.80 (m, 6H), 3.72 (s, 3H), 3.56 (s, 2H), 3.41 (s, 4H), 2.33 (s, 4H). マススペクトル (ESI) m/z 534.2 (100%, MH
+).
【0159】
実施例1.15 −
1−((4−((4−((ジエチルアミノ)メチル)ベンジル)アミノ)−6−((4−メトキシベンジル)アミノ)−1,3,5−トリアジン−2−イル)アミノ)イミダゾリジン−2,4−ジオン(化合物15)の調製
【0160】
実施例1.13、PART A及びBにより説明された合成方法を用いて化合物15を生成した。δ
H (400 MHz, DMSO−d
6): 11.12−11.04 (m, 1H), 9.02−8.92 (m, 1H), 7.62−6.77 (m, 10H), 4.42−4.23 (m, 4H), 4.09, 3.92 (m, 2H), 3.72 (s, 3H), 3.53 (s, 2H), 3.55−3.52 (m, 4H), 0.99 (br s., 6H). マススペクトル (ESI) m/z 520.3 (100%, MH
+).
【0161】
実施例1.16 −
1−((4−((4−メトキシベンジル)アミノ)−6−((4−((4−メチルピペラジン−1−イル)メチル)ベンジル)アミノ)−1,3,5−トリアジン−2−イル)アミノ)イミダゾリジン−2,4−ジオン(化合物16)の調製
【0162】
実施例1.13、PART A及びBにより説明された合成方法を用いて化合物16を生成した。δ
H (400 MHz, DMSO−d
6): 11.07 (br s, 1H), 9.04−8.89 (m, 1H), 7.49−6.72 (m, 10H), 4.42−4.21 (m, 4H), 4.09−3.94 (m, 2H), 3.72 (s, 3H), 3.40 (s, 2H), 2.34 (br s, 8H), 1.92 (s, 3H). マススペクトル (ESI) m/z 547.3 (100%, MH
+).
【0163】
実施例1.17 −
1−((4−((4−メトキシベンジル)アミノ)−6−((4−(ピぺリジン−1−イル)ベンジル)アミノ)−1,3,5−トリアジン−2−イル)アミノ)イミダゾリジン−2,4−ジオン(化合物17)の調製
【0164】
実施例1.13、PART A及びBにより説明された合成方法を用いて化合物17を生成した。δ
H (400 MHz, DMSO−d
6): 11.14−11.03 (m, 1H), 8.90− 8.70 (m, 1H), 7.56−6.84 (m, 10H), 4.35−4.02 (m, 6H), 3.72 (s, 3H), 3.07 (s, 4H), 1.60−1.51 (m, 6H). マススペクトル (ESI) m/z 518.3 (100%, MH
+).
【0165】
実施例1.18 −
1−((4−((4−メトキシベンジル)アミノ−6−((4−モルホリノベンジル)アミノ)−1,3,5−トリアジン−2−イル)アミノ)イミダゾリジン−2,4−ジオン(化合物18)の調製
【0166】
実施例1.13、PART A及びBにより説明された合成方法を用いて化合物18を生成した。δ
H (400 MHz, DMSO−d
6): 10.94 (br s, 1H), 8.89−8.70 (m, 1H), 7.75−6.77 (m, 10H), 4.34−4.06 (m, 6H), 3.74−3.72 (m, 7H), 3.04 (s, 4H). マススペクトル (ESI) m/z 520.2 (100%, MH
+).
【0167】
実施例1.19 −
1−((4−((4−メトキシベンジル)アミノ)−6−((4−(4−メチルピペラジン−1−イル)ベンジル)アミノ)−1,3,5−トリアジン−2−イル)アミノ)イミダゾリジン−2,4−ジオン(化合物19)の調製
【0168】
実施例1.13、PART A及びBにより説明された合成方法を用いて化合物19を生成した。δ
H (400 MHz, DMSO−d
6): 8.89−8.70 (m, 1H), 7.40−6.81 (m, 10H), 4.35−4.01 (m, 6H), 3.72 (s, 3H), 3.39 (br s, 4H), 3.10 (s, 4H), 2.27 (s, 3H). マススペクトル (ESI) m/z 533.3 (100%, MH
+).
【0169】
実施例1.20 −
1−((4−((4−メトキシベンジル)アミノ)−6−((3−(ピぺリジン−1−イル)ベンジル)アミノ)−1,3,5−トリアジン−2−イル)アミノ)イミダゾリジン−2,4−ジオン(化合物20)の調製
【0170】
実施例1.13、PART A及びBにより説明された合成方法を用いて化合物20を生成した。δ
H (400 MHz, DMSO−d
6): 11.12−11.04 (m, 1H), 9.03−8.71 (m, 1H), 7.59−6.60 (m, 10H), 4.37−3.98 (m, 6H), 3.71 (s, 3H), 3.09 (s, 4H), 1.59−1.51 (m, 6H). マススペクトル (ESI) m/z 518.3 (100%, MH
+).
【0171】
実施例1.21 −
1−((4−((4−メトキシベンジル)アミノ)−6−((3−モルホリノベンジル)アミノ)−1,3,5−トリアジン−2−イル)アミノ)イミダゾリジン−2,4−ジオン(化合物21)の調製
【0172】
実施例1.13、PART A及びBにより説明された合成方法を用いて化合物21を生成した。δ
H (400 MHz, DMSO−d
6): 11.13−11.03 (m, 1H), 9.04−8.72 (m, 1H), 7.58−6.66 (m, 10H), 4.37−3.98 (m, 6H), 3.72 (s, 7H), 3.07 (s, 4H). マススペクトル (ESI) m/z 520.2 (100%, MH
+).
【0173】
実施例1.22 −
1−((4−((4−メトキシベンジル)アミノ)−6−((3−(4−メチルピペラジン−1−イル)ベンジル)アミノ)−1,3,5−トリアジン−2−イル)アミノ)イミダゾリジン−2,4−ジオン(化合物22)の調製
【0174】
実施例1.13、PART A及びBにより説明された合成方法を用いて化合物22を生成した。δ
H (400 MHz, DMSO−d
6): 11.07 (br s, 1H), 9.03−8.71 (m, 1H), 7.56−6.61 (m, 10H), 4.36−3.98 (m, 6H), 3.72 (br s, 7H), 3.12 (s, 4H), 2.27 (s, 3H). マススペクトル (ESI) m/z 533.3 (100%, MH
+).
【0175】
実施例1.23 −
1−((4−((4−(2−(ジエチルアミノ)エトキシ)ベンジル)アミノ)−6−((4−メトキシベンジルアミノ)−1,3,5−トリアジン−2−イル)アミノ)イミダゾリジン−2,4−ジオン(化合物23)の調製
【0176】
実施例1.13、PART A及びBにより説明された合成方法を用いて化合物23を生成した。δ
H (400 MHz, DMSO−d
6): 11.07 (br s, 1H), 9.03−8.71 (m, 1H), 7.57−6.77 (m, 10H), 4.35−3.98 (m, 8H), 3.72 (s, 3H), 2.81 (s, 2H), 2.60−2.51 (m, 4H), 0.99 (t, J = 7.2 Hz, 6H). マススペクトル (ESI) m/z 550.3 (100%, MH
+).
【0177】
実施例1.24 −
1−((4−((4−メトキシベンジル)アミノ)−6−((4−(2−モルホリノエトキシ)ベンジル)アミノ)−1,3,5−トリアジン−2−イル)アミノ)イミダゾリジン−2,4−ジオン(化合物24)の調製
【0178】
実施例1.13、PART A及びBにより説明された合成方法を用いて化合物24を生成した。δ
H (400 MHz, DMSO−d
6): 11.16−11.06 (m, 1H), 9.03−8.72 (m, 1H), 7.57−6.81 (m, 10H), 4.35−3.99 (m, 8H), 3.72 (s, 3H), 3.58 (s, 4H), 2.67 (s, 2H), 2.52−2.46 (m, 4H). マススペクトル (ESI) m/z 564.3 (100%, MH
+).
【0179】
実施例1.25 −
1−((4−((4−メトキシベンジル)アミノ)−6−((4−(2−(ピロリジン−1−イル)エトキシ)ベンジル)アミノ)−1,3,5−トリアジン−2−イル)アミノ)イミダゾリジン−2,4−ジオン(化合物25)の調製
【0180】
実施例1.13、PART A及びBにより説明された合成方法を用いて化合物25を生成した。δ
H (400 MHz, DMSO−d
6): 10.78 (br s, 1H), 9.03−8.73 (m, 1H), 7.65−6.77 (m, 10H), 4.41−3.95 (m, 6H), 3.72 (s, 3H), 3.60 (s, 2H), 2.55 (br s, 4H), 1.71 (s, 4H). マススペクトル (ESI) m/z 518.3 (100%, MH
+).
【0181】
実施例1.26 −
1−((4−((4−メトキシベンジル)アミノ)−6−((4−(((2−メトキシエチル)アミノ)メチル)ベンジル)アミノ)−1,3,5−トリアジン−2−イル)アミノ)イミダゾリジン−2,4−ジオン(化合物26)の調製
【0182】
実施例1.13、PART A及びBにより説明された合成方法を用いて化合物26を生成した。δ
H (400 MHz, DMSO−d
6): 9.03−8.73 (m, 1H), 7.52−6.77 (m, 10H), 4.40−4.09 (m, 6H), 3.72 (s, 3H), 3.67 (s, 2H), 3.39 (m, 2H), 3.23 (s, 3H), 2.63 (s, 2H). マススペクトル (ESI) m/z 522.2 (100%, MH
+).
【0183】
実施例1.27 −
1−((4−((4−((ジメチルアミノ)メチル)ベンジル)アミノ)−6−((4−メトキシベンジル)アミノ)−1,3,5−トリアジン−2−イル)アミノ)イミダゾリジン−2,4−ジオン(化合物27)の調製
【0184】
実施例1.13、PART A及びBにより説明された合成方法を用いて化合物27を生成した。δ
H (400 MHz, DMSO−d
6): 11.07 (br s, 1H), 9.04−8.75 (m, 1H), 7.66−6.74 (m, 10H), 4.44−3.91 (m, 6H), 3.72 (s, 5H), 2.34 (s, 6H). マススペクトル (ESI) m/z 492.2 (100%, MH
+).
【0185】
実施例1.28 −
1−((4−((4−メトキシベンジル)アミノ)−6−((4−(ピペラジン−1−イルメチル)ベンジル)アミノ)−1,3,5−トリアジン−2−イル)アミノ)イミダゾリジン−2,4−ジオン 2,2,2−トリフルオロ酢酸塩(化合物28)の調製
【0186】
化合物28は、実施例1.13、PART A及びBにより説明された合成方法を用いて生成した対応するBoc保護された4−(ピペラジン−1−イルメチル)ベンジル)アミノ誘導体の脱保護より得られた。δ
H (400 MHz, CD
3OD): 7.42−6.83 (m, 8H), 4.64−4.47 (m, 4H), 4.20−3.93 (m, 4H), 3.79 (s, 3H), 3.34−3.32 (m, 4H), 3.12−3.01 (m, 4H). マススペクトル (ESI) m/z 533.3 (100%, MH
+).
【0187】
実施例1.29 −
tert−ブチル 4−(((4−((2,4−ジオキソイミダゾリジン−1−イル)アミノ)−6−((4−メトキシベンジル)アミノ)−1,3,5−トリアジン−2−イル)アミノ)メチル)ベンジルカルバミン酸塩(化合物29)の調製
【0188】
実施例1.4、PART A及びBにより説明された合成方法及び出発原料として1−(4,6−ジクロロ−[1,3,5]−トリアジン−2−イル−アミノ)−イミダゾリジン−2,4−ジオン(実施例1.1,PART A)を用いて化合物27を生成した。
【0189】
実施例1.30 − 5−((4,6−ビス((4−ヒドロキシベンジル)アミノ)−1,3,5−トリアジン−2−イル)アミノ)−3−メチルイミダゾリジン−2,4−ジオン(化合物30)の調製
【0190】
化合物30は上記の合成方法を適合させて生成した。
【0191】
実施例2 − 生物学的検査
実施例2.1 −
がん細胞株における増殖の阻害および阻害期間
本発明のトリアジン化合物はG2/Mで細胞周期を阻害することを示した。トリアジンは、腫瘍細胞株のインビトロ増殖に対する阻害活性に関して検査された。初期研究では、二つの結腸がん細胞株(LIM1215及びSW480)及び二つの乳がん細胞株( MDA−MB−231及びMCF−7)を使用した。これらの実験では、比較対象としてタキソールを用いた(表1)。
【0192】
検査された全てのトリアジンは、最適の濃度で、G2/M阻害を誘導することに関しては、少なくともタキソールと同等の効果を示した(表1)。
【0193】
表1: がん細胞株におけるトリアジンの抗有糸分裂効果。24時間の対数的な増殖期を示した細胞に、阻害剤を加えた。細胞周期の分布は、DNA染色により監視し、ModFitにより解析した。(a)細胞周期の進行についてのIC
50、(b)1μMのタキソールへの暴露の後の、G2/M期にある細胞の割合を基準とした;トリアジンの効能はG2Mにある細胞の割合(実験)/G2Mにある細胞の割合(タキソール)として表現した。この実験では、G2/Mにある細胞の最高数は:LIM1215=78.5%;SW480=72%;MDA−MB−231=55%;MCF−7=62%。NT=非実験。
【表1】
【0194】
実施例2.2 −
インビトロにおけるがん細胞増殖に対するトリアジンの効果
増殖の阻害はさらにMTTアッセイを用いて腫瘍細胞株のパネルにおいて測定した(一般プロトコル、実施例2.6を参照)。細胞増殖を測定するこのアッセイにより認定されたIC
50は、G2/MブロックのFACS解析より計算された値とよく一致し、実にG2/Mの停止は細胞の増殖を防ぐことを示した。薬剤との細胞の培養後、ウォッシュアウト実験の結果、乳がん細胞株においては増殖の復元が見え、一つの結腸直腸がん細胞株においては完全な停止が見え、少なくともいくつかの細胞株に関しては、薬剤は細胞毒性をもつことを示している。
【0195】
実施例2.3.1 −
腫瘍細胞増殖におけるトリアジンの生物学的効果
活性及び選択性を確定するために、化合物2を一連の細胞株において検査した(表2)。細胞増殖は阻害剤とともに、三日間の培養後にMTTアッセイ(プロトコルは実施例2.6を参照)を用いて測定した。
【0196】
表2: 化合物2による腫瘍細胞株の増殖の阻害:(a)マウスB細胞前駆株;(b)ヒト結腸直腸がん;及び(c)ヒト乳がん。
【表2】
【0197】
それぞれ異なる細胞株のIC
50はよく似て、化合物2は、G2/Mの完了に必要な共通経路を狙うことを示している。
【0198】
実施例2.3.2 −
「インビトロ」及び「インビボ」におけるチューブリン重合に対するトリアジンの効果
「インビトロ」及び「インビボ」におけるチューブリン重合に対するトリアジンの効果を実験した。この実験は、トリアジンに誘導されたチューブリン重合は最小限であり、有糸分裂ブロッカーとしての能力をはるかに超える投与量で見えた。
【0199】
チューブリンに対するトリアジンの効果を監視するために、本発明者は、薬物への暴露後の無傷細胞におけるチューブリン重合を検査した。
【0200】
タキソール及び化合物3により処理された細胞は、0.5% NP−40を含む低張緩衝液中で溶解し、細胞の抽出物は、高速度で遠心分離機にかけた。重合されたチューブリンは界面活性剤不溶性である:従って、この処理後は、浮遊物(supernatant,S)中に溶性チューブリンを回収し、細胞ペレット(P)中に重合したチューブリンを回収した。この二つの形態の相対的比率は、SDS/PAGE及びチューブリンに特異的な抗体を用いた免疫ブロット法により監視した。
【0201】
この実験において、タキソールは用量依存的にチューブリンを安定化し、一方トリアジンは高濃度を用いてもほとんど影響を及ぼさないことを示した(
図1)。
【0202】
トリアジン及びチューブリンの直接的な相互作用を調べようとするために、「インビトロ」のチューブリン重合アッセイを使用した(
図2)。これらのアッセイにおいてトリアジンは、小さいとはいえ重要なチューブリン重合の増加を起こした。しかし、チューブリン重合に必要なトリアジンの濃度は、細胞増殖アッセイにおけるIC
50の1000倍より高い濃度であった。
【0203】
実施例2.3.4 −
マウスにおける投与量の増加
最初に、化合物1はマウスにおける忍容性及び毒性に関して検査された。増量の化合物1を、一定の量のDMSOとともにC57B1/6マウス(生後8−12週間)に皮下注射した。注射24時間後にマウスを犠牲にした。このタイムフレームにおいては、80mg/kgの投与量までは悪影響はなかった。従って、化合物は「インビトロ」において観察されたIC
50をはるかに超える投与量で化合物は忍容された。
【0204】
化合物2に関しては、64.5mg/kgの投与量までは、4日間外見上の健康状態及び行動に関する悪影響は示されなかった。21.5及び64.5mg/kgの場合、注射部位において皮膚薄化が示された。BALB/cヌードマウスにおいて、化合物2は、20mg/kgでいくつかの皮膚損傷を起こした。この軽い皮膚損傷は2−3日内で、容易に治った。
【0205】
実施例2.4 −
薬物動態
化合物2の薬物動態パラメータは、マウスへの注射後に検査された。
【0206】
水溶液中の50mg/kgの投与量で与えられた場合、薬剤は血中60μMのプラトー濃度に達し、6〜10時間の間は6μM以上のレベルを維持する。排出半減期は約1.5時間である。「インビトロ」においてG2/M細胞周期ブロックを誘導する少なくとも二つの活性代謝物も血漿から検出され、それらの構造はマススペクトルにより確認された。薬物動態計算に活性代謝物を含む場合、活性薬剤の総濃度は、血漿から除去し始められる前に、6時間まで30μMの平均を持っていた。
【0207】
実施例2.4.1 −
マウス血液からトリアジンの抽出及び定量
マウス血漿から活性トリアジンの抽出及び抽出薬剤のRP−HPLC定量のために開発されたプロトコル、及び代謝物の特性の解析及び化合物の薬物動態的特性を以下に説明する。
【0208】
実施例2.4.1.1 −
マウス血漿からのトリアジンの抽出
マウス血液を、CO
2ガスによる麻酔後に、心穿刺により回収した。その後マウスは安楽死させた。血塊形成を防ぐために、血はEDTAチューブに移し、そして血漿は遠心分離による分離後に回収した。各サンプルにおいて、75μlの0.1%TFA(v/v)を25μl血漿に加え、内部標準として5μMヒドロコルチゾン(HC)を用いた。このように処理されたサンプルは必要時までに−20℃で保管した。溶かした場合は、遠心分離により澄まし、抽出物をRP−HPLCを用いて解析した。
【0209】
実施例2.4.1.2 −
マウス血漿におけるトリアジン定量
各100μlの血漿抽出物は、Zorbax SB−C18,2.1X150mm,5μのカラムにおいて分離し、0.1%(v/v)TFA中のアセトニトリルの50分かけての直線的勾配、及び一分間につき0.1mlの流速で用い、45℃のカラム温度を用いた。検出は250nm。代表的なクロマトグラム2は
図3において示す。
【0210】
実施例2.4.1.3 −
化合物2の代謝物の解析
化合物2で注射されたマウスの血漿のクロマトグラムは、小さいピークを示したが、比較対象のマウスのクロマトグラムは小さいピークを示さない。このピークは化合物2の注射の後に現れ、恐らく代謝物である。このピークの正体を明らかにするためには、それらの吸収スペクトルを化合物2の標準と比べた。
【0211】
図4に示されるように、全てのピークは、250nmの特性ピークを示し、関連化合物のようである。マウス血漿はRP−HPLCにより断片化し、上に示したピークを回収した。合わせてためたピークサンプルは凍結乾燥により濃縮した。各ピークサンプルの一部はバイオアッセイのために、培地において再構成した(
図5)。残りは質量及び構造を確認するために、LC−MSを用いて解析した。
【0212】
回収した化合物2(ピーク1)、ピーク2、及びピーク3のIC
50はそれぞれ、0.1μM、0.2μM、及び>1μMであった。微量のため、回収ピークの正確な濃度を計ることは難しいが、アッセイは、すべての回収ピークがある程度の生物学的活性を有することを示す。
【0213】
回収された化合物のLC−MS解析の結果を表3に示す。
【0214】
表3:化合物2の注射後のマウス血漿から回収された代謝物のLC−MS解析の結果
【表3】
【0215】
出発原料の化合物2の解析は、遊離塩基化合物の分子量を464Daであることを確認した。ピーク1は同じ質量をもち、血漿から回収された化合物と同じであることを確認した。ピーク3は479Daの質量をもち、ヒドロキシルの誘導体であることを示唆した。ピーク2は655Daの質量をもつ、より大きい化合物であった。付加的な質量は、ヒドロキシル誘導体のグルクロニド誘導体であることを示す。
【0216】
これらの結果は、回収された化合物は化合物2の活性代謝物であることを明確にし、血漿における薬剤の活性度の計算に含むべきであること、及び化合物の排出半減期を明らかにした。
【0217】
実施例2.4.1.4 −
化合物2の薬物動態的解析
血漿における薬剤の濃度は、内部標準方法により決定し、知られている標準に対して薬剤及びHCピーク領域の比率を比較することにより決定した。一つの薬物動態的実験のマウスにおける血漿中の化合物2の濃度は、
図6において描いている。
【0218】
これらの結果は、治療的に有意な化合物2の濃度は血清において達成可能であること、及び10時間まで維持することも可能であることを示唆する。
【0219】
実施例2.5 −
異種移植実験における抗腫瘍薬としての効能
腫瘍増殖の抑制に関する化合物2の効能を認定するために、異種移植実験を用いた。初期実験において、確定された腫瘍モデルを結腸直腸がん細胞株LIM2537とともに用い、化合物2は腫瘍の増殖速度を有意に抑えた。
【0220】
実施例2.5.1 −
LIM2537細胞(結腸直腸細胞株)を用いた腫瘍異種移植実験
方法:
結腸がん細胞株LIM2537は、増殖が化合物2により阻害されることが示されたため、BALB/cヌードマウスにおける腫瘍異種移植実験のために選択された(「腫瘍細胞増殖におけるトリアジンの生物学的効果」を参照)。
【0221】
マウスは100μlPBS中の各腫瘍につき3×10
6細胞、各脇腹に一つの腫瘍を皮下に(SC)植菌された。担体対象(VC)又は15mg/kgの投与量となる、水溶液中に3mg/mlの薬剤を100μl用いた治療を植菌後三日目に始めた。マウスは実験の期間中、週に3回腹部においてSCで注射された。マウスは体重、腫瘍体積及び外観、及び薬剤に関する悪影響について監視された。実験は33日時点で停止し、対象群では腫瘍組織量が許容された最大量を達したため、その群を安楽死させた。残りのマウスはそして、腫瘍増殖の復旧を監視するために、さらに9日間治療無でおいた。
【0222】
結果:
マウスの体重は薬剤での治療により影響を受けなかった。対象群及び薬剤群における腫瘍のサイズの差は12日時点で見られ、そして33日目、対象群を安楽死させた時点では、はっきりとした差が見えた。それぞれの群内では、対象群の内では一つのゆっくり増殖する腫瘍があり、治療を受けた群の内に一つの早く増殖する腫瘍があった。この異常腫瘍が大きい標準偏差の原因である(
図7)。
【0223】
この実験からは、この治療のスケジュール(化合物2を15mg/kgの投与量で週に3回注射)はLIM2537細胞の増殖を遅くすることに成功したことが認定される。この投与量及び組成物に関しては、長期的な悪影響はない。
【0224】
実施例2.5.2 −
U87MG(Δ2−7)−(脳がん細胞株)を用いた腫瘍異種移植研究
方法:
マウス:Balb/c nu/nu 雄;対象8匹及び治療8匹。
植菌された細胞:U87MG(Δ2−7)を腫瘍毎に2.13×10
6細胞;マウス毎に腫瘍2つ。
投与量:化合物2を20mg/kg=マウス20gにつき水中の4mg/mlを100μl注射。対象マウスに注射用水を100μl注射した。
治療及び監視:治療は植菌後5日目に開始した。マウスは週に3回(月、水、金)両体側に交互に腹部においてSC注射した。
マウスを犠牲にした後:腫瘍を解剖し、重さを計った;脾臓及び肝臓の重さも計った。
【0225】
結果:
腫瘍は動物間、急速に、及び一貫に増殖した。対象マウスのほとんどが許容される腫瘍組織量を達し、そしていくつかの腫瘍が潰瘍を生じたため、実験は植菌後14日目に終了させた。実験の最後には、対象と治療された腫瘍との間に有意な差が見えた(
図8)。
【0226】
肝臓及び脾臓の重さも死後に計った。
図9にこの臓器の平均重さを、腫瘍の平均重さとともに比較した。
【0227】
20mg/kgを週3回、化合物2を用いるU87MG(Δ2−7)腫瘍の治療は、担体対象を注射したマウスに比べて腫瘍の増殖を減らした。
【0228】
実施例2.5.3 −
H1437を用いた腫瘍異種移植検査(非小細胞肺がん細胞株)
方法:
マウス:Balb/c nu/nu 雄;対象8匹及び治療8匹;生後5週間。
植菌された細胞:H1437(非小細胞肺がん細胞株)を腫瘍毎に2×10
6細胞;マウス毎に腫瘍2つ。
投与量:化合物2を20mg/kg=マウス20gにつき水中の4mg/mlを100μl注射。対象マウスに注射用水を100μl注射した。
治療及び監視:治療は植菌後5日目に開始した。マウスは週に3回両体側に交互に腹部においてSC注射した。マウスの重さを計った;腫瘍の直径は二次元で計り、マウスの健康を監視した。注射はプロットのデータ点に対応し、そして測定をしていない14日目に追加の治療をした。
【0229】
結果:
対象群における腫瘍は急速に増殖したが、動物間にある程度の変異をみた。腫瘍の測定体積は21日後に安定化し、他の細胞株を用いて以前の実験でみえたような増殖速度の増加はなかった。この腫瘍は一般に動物の脇腹に広がるよりも、高い、丸い球として成長した。対象マウスのほとんどが許容される腫瘍組織量を達したため、実験は26日目に終了させた。皮下に残った腫瘍において、潰瘍形成はなく、特に血管が発達していたようには見えなかった。一方、治療群における腫瘍は26日間にかけて非常に小さく、硬いままであった。実験の最後には、対象と治療された腫瘍との間に有意な差が見えた(
図10)。
【0230】
マウスを犠牲にした後、腫瘍を解剖し、重さを計った。解剖後に、2つの群の腫瘍を比較した。2つの群の腫瘍の間に、腫瘍の観測サイズに著しい差がみえた(
図11)。
【0231】
当業者は、具体的な実施態様に示された発明に、いくつかの変化及び/又は変更を与えても、広く説明された発明の範囲から離れるとは限らないことを理解する。本実施態様は、つまり、全ての面にたいして、実例として理解され、限定するものとしては理解されない。
【0232】
実施例2.6
全ての細胞及び阻害剤のためのMTT及びMTSアッセイのプロトコル
【0233】
実施例2.6.1 −
一般概要
●細胞は100μl培地+5%FCS(+Adds
1)中104/ウェルでプレート。
●細胞は一晩かけて培養。
●新たなプレートに、150μl媒体中で阻害剤をを用量設定。
●細胞プレートの対応するウェルに100μlの用量設定された化合物を移す。
●さらに4日間培養。
●10μlMTS
2又はMTT
3を1.5から2時間加え、マルチスキャナーで計る(波長492/690)
【0234】
1LIM細胞株の培養のための添加物(Additives):チオグリセロール10μM、インシュリン0.025U/ml、ヒドロコルチゾン1μg/ml。
23−(4,5−ジメチルチアゾール−2−イル)−5−(3−カルボキシメトキシフェニル)−2−(4−スルフォフェニル)−2H−テトラゾリウム。
3臭化3−(4,5−ジメチルチアゾール−2−イル)−2,5−ジフェニルテトラゾリウム。
【0235】
実施例2.6.2 −
MTSアッセイに用いられる細胞株
●RPMIにおいて増殖させたLIM2537ヒト結腸がん細胞株+Adds
1+5%FCS
【0236】
実施例2.6.3 −
細胞のプレート化:一プレートにつき一つの細胞株
細胞をトリプシン処理し、2回培地+5%FCSで洗い位、ウェル当たり100μl中10
4の細胞でプレートした。
プレートをo/n37℃及び5%−10%CO
2で培養器で培養
【0237】
実施例2.6.4 −
阻害剤
阻害剤はDMSOに溶かして10mMのストックを作り、テストプレートのためのストックとして使用するために96ウェルのプレートに複製して用量設定した。用量設定の範囲は1/2の希釈で40μMから0.01μMまでで、各希釈段階の100μlを(100μl中に)細胞を含むテストプレートの適切なウェルに写し、最終的な阻害剤の濃度は複製の例にわたって20μMから0.01μMである。この阻害剤はプレートごとに検査した(列A〜F)。
【0238】
各プレートは以下を有する:
列A、B:阻害剤1の希釈物、1ウェルにつき200μl
列C、D:阻害剤2の希釈物、1ウェルにつき200μl
列E、F:阻害剤3の希釈物、1ウェルにつき200μl
対象列G1〜6:培地+5%FCS(最高増殖のため)
対象列G7〜12:タキソール(最高阻害のため250mM)
対象列H:細胞から培地を取り除き、無血清条件での増殖率のため、200μlの無血清培地で交換
【0239】
実施例2.6.5 −
培養
プレートを培養器において4日間培養させた。下記の通りにMTS又はMTTで処理した。
【0240】
実施例2.6.6 −
MTSアッセイ
各ウェルに10μlのMTS(シグマ)溶液を加えた。MTSを1.5から2時間、MTTは4時間培養した。10μl 10%SDSを各ウェルに加えて反応を停止させる。マルチスキャン(492/690)プレートリーダーで解析し、色変化対阻害剤の濃度を描いてIC
50を確定した。
【0241】
実施例2.6.7 −
MTTアッセイ
MTT溶液
MTT(シグマM−2128)−PBSに5gを溶かし、5mg/mlで、フィルター殺菌し、−20℃において保管する。必要に応じて解かす。
【0242】
MTT溶媒(酸性化イソプロパノール)
a. 1M HCl:
44.6mlの濃HCl(11.2M)を500ml DDWと混ぜる。
b. 酸性化イソプロパノール(0.04N HClを含むイソプロパノール):
20ml 1M HClを480mlイソプロパノール(プロパン−2−オール、イソプロピル アルコール)と混ぜる
【0243】
MTT付加
各ウェルに10μlMTT溶液を加え、37℃の培養器において4時間培養した。
プレートを、1500rpmで5分間スピンし、結晶を刺激しないように注意深く培地を取り除いた。各ウェルにつき200μlの酸性化イソプロパノール(MTT溶液)を加えた。
プレート振とう機の上に、室温で、6.5の速度で10〜3分間おいた。
Thermo Multiskan Exで560/690nmでプレートのODを読み取った。
【0244】
実施例2.6.8 −
LIM2537ヒト結腸がん細胞株を用いた本発明の選択化合物のMTSアッセイの結果
表4:LIM2537ヒト結腸がん細胞株を用いた本発明の選択化合物のMTSアッセイの結果
【表4】