【課題を解決するための手段】
【0004】
本発明に従う方法は、請求項1の特徴の組み合わせによって定義される。従って、本発明の1つの態様において、絶対または相対血液体積を表す値または再充満体積を表す値を計算または近似または予測するための方法、あるいは将来の値(RBV_endと同様)を予測するための方法は、患者の水分過剰レベルを反映する1つ以上の計算もしくは測定された値またはそれらの近似を考慮する工程を含む。
【0005】
患者は、ヒトまたは動物のいずれかであることができる。患者は健常者であってもよく、病気であってもよい。患者は、医療的ケアを必要としていてもよく、またはしていなくてもよい。
【0006】
本発明に従う装置は、請求項11の特徴の組み合わせによって定義される。従って、本発明の別の態様において、装置は、本発明に従う方法を行うように構成される。
【0007】
本発明に従う血液処理デバイスは、請求項18の特徴の組み合わせによって定義される。従って、本発明の別の態様において、血液処理デバイスは、本発明に従う少なくとも1つの装置を含む。
【0008】
本発明に従うデジタル記憶手段は、請求項21の特徴の組み合わせによって定義される。従って、本発明の別の態様において、デジタル記憶手段、特にディスク、CDまたはDVD、フラッシュメモリ、USBメモリなどは、電気的に読取可能な制御シグナルを有し、これらは本発明に従う方法を実行するようにプログラム可能なコンピュータシステムと相互作用できる。
【0009】
本発明に従うコンピュータプログラム製品は、請求項22の特徴の組み合わせによって定義される。従って、本発明の別の態様において、コンピュータプログラム製品は、コンピュータ上でプログラム製品を実行する場合に、本発明に従う方法を実行するための機械読取可能なデータ媒体に記憶されるプログラムコードを有する。
【0010】
本発明に従うコンピュータプログラムは、請求項23の特徴の組み合わせによって定義される。従って、本発明の別の態様において、コンピュータプログラムは、コンピュータ上でプログラムを実行する場合に、本発明に従う方法の実行のためのプログラムコードを有する。
【0011】
実施形態は、以下の特徴の1つ以上を含むことができる。
【0012】
本発明に従う特定実施形態において、時間点は、特定の血液処理セッション内にある。一部の実施形態において、時間点は、血液処理セッションがまさに終了したときである。
【0013】
本発明に従う一部の実施形態において、値を観測または実測することは、値を測定すること、値を計算すること、または対象となる値に影響する他のパラメータの他の値から誘導もしくは決定することとして理解される。
【0014】
本発明に従う特定実施形態において、「血液処理により」測定、観測、計算または決定される値は、血液処理により変更されたパラメータの値を意味する。その値自体は、血液処理セッション中、血液処理セッション前または血液処理セッション後に測定、観測、計算または決定されてもよい。
【0015】
本発明に従う一部の実施形態において、血液処理は、血液ろ過、限外ろ過、および/または血液透析法であってもよい。
【0016】
本発明の特定実施形態において、値を「考慮すること」は、特に後に述べる数学的コンピュータ計算において値を考慮することを意味する。これは、考慮された値を指すまたはそれを含む数式によって、あるいは「考慮された」値を含む特定パラメータまたは値間の数学的関係を確立することによって行われ得る。本発明に従う一部の実施形態において、値を「考慮すること」は、例えば(数学的)式、コンピュータ、コントロールユニット、プロセッサなどに、インプットする入力値としてその値を用いることとして理解されてもよい。入力値は、例えば測定、ダイアグラム、スプレッドシート、テーブルなどを基点としてもよい。
【0017】
本発明に従う一部の実施形態において、患者の絶対血液体積または水分過剰レベルのようなパラメータを表すまたは反映する値は、そのパラメータを直接的にまたは間接的に記述するまたは示す値のいずれかを意味する。例えば本発明に従う特定実施形態において、患者の水分過剰を表すまたは反映する値は、ディメンジョン「リットル」が続く「3」であってもよく、一方で間接的に患者の水分過剰を誘導または決定または近似できる値も、ディメンジョン「キログラム」を有する「3」であってもよく、例えば腹囲であってもよい。
【0018】
本発明に従う一部の実施形態において、患者の絶対血液体積、相対血液体積、再充満体積または水分過剰のようなパラメータを表すまたは反映する値は、例えば「リットル」にて記述される絶対血液体積、相対血液体積、再充満体積もしくは水分過剰またはそれらの値として理解されるべきである。
【0019】
本発明に従う特定実施形態において、水分過剰「レベル」は、水分過剰の量または程度として理解され得る。用語「水分過剰」および用語「水分過剰レベル」の両方は、絶対値または相対値に関する場合がある。相対値として理解される場合、「水分過剰」は、流体除去を必要としない患者および/または腎臓が健常者のように作用している患者の正常水分状態に関連する場合がある。
【0020】
本発明に従う一部の実施形態において、水分過剰または水分過剰レベルは、腎臓障害のために過剰の水分除去を必要とする患者の体重と、患者の乾燥体重との差として定義される。乾燥体重は、過剰の流体が存在しないまたは除去されるべき過剰の流体はない条件での患者の体重であってもよい。患者の乾燥体重は、国際公開公報WO2006/002685A1におけるように定義され得る。国際公開公報WO2006/002685A1のそれぞれの開示は、本明細書に参考として組み込まれる。
【0021】
本発明に従う特定実施形態において、水分過剰および水分過剰レベル(これらの用語は、本発明に従う一部の実施形態において交換可能に使用されてもよい)は、血液処理セッションの開始直前、血液処理セッションの開始時、または血液処理セッション中の、患者の水分過剰または水分過剰値に関する。
【0022】
本発明に従う一部の実施形態において、患者の水分過剰または水分過剰レベルは、体内に蓄積された水または過剰の流体を意味し、当業者は、これを、血液処理によって−その一部または全体を−除去されるべき流体として理解する。
【0023】
本発明に従う特定実施形態において、水分過剰または水分過剰レベルは、腎臓が適切に作用した場合に、腎臓によって体から除去された体内に蓄積された水または過剰の流体に等しい。
【0024】
本発明に従う一部の実施形態において、一部のまたはすべての方法工程は、例えば1つ以上のプロセッサに対応するデバイスによって行われる。デバイスは、それぞれの方法工程を行うために適合および/または構成される。
【0025】
本発明に従う特定実施形態において、方法は、コンピュータで実施される方法である。
【0026】
本発明に従う一部の実施形態において、方法は、自動透析方法である。
【0027】
本発明に従う一部の実施形態において、方法は、絶対血液体積、相対血液体積または再充満体積を表す値を計算または近似または予測するための、または血液処理デバイスを制御するための操作者から独立した方法である。
【0028】
特定実施形態において、本発明に従う方法は、相対血液体積を表す値または再充満体積を表す値のいずれかを計算または近似または予測するための、血液処理の開始時または血液処理の開始前に、絶対開始血液体積を考慮することを包含する。
【0029】
一部の実施形態において、絶対開始血液体積を評価するために、除脂肪質量を反映する少なくとも1つの値および患者の体の脂肪質量を反映する少なくとも1つの値、および/またはそれらの近似が考慮される。
【0030】
本発明の特定実施形態において、再充満体積(V_refill)は、以下の式によって得られる(以下においても式(7)として対処される):
【数7】
【0031】
この式において、UFV、UFRおよびOHは、本明細書に使用される場合に、限外ろ過体積、限外ろ過率および水分過剰レベルを表す。「hb_start」は、処理セッションの開始前または開始時、例えば処理の開始直後の、血液、またはいずれかの他の好適な体液または組織中のヘモグロビン濃度である。
【0032】
本発明に従う特定実施形態において、パラメータaは0.6015に等しく、bは0.0097に等しく、cは0.0223に等しく、dは0.0442に等しい。
【0033】
本発明に従う一部の実施形態において、a、b、cおよびdの1つ以上は、負の値であってもよい。本発明に従う特定実施形態において、a、b、cおよびdの1つ以上は、0に等しい場合がある。
【0034】
a、b、cおよびdに関する上述された値は、本発明者らにより、本発明にとって有用であることがわかったが、上記式の使用は、もちろんそれらに限定されない。a、b、cおよび/またはdについて選択された値の偏差ももちろん可能であり、同様に想定される。
【0035】
もちろん、上記で与えられた式はまた、異なる方法で記述されてもよい。明らかなように、それは同様に別の構造、例えばV_refill=a*UFV/Hb+b*OH+...などを有していてもよい。
【0036】
一部の実施形態において、処理セッション全体にわたって合計されたまたは加えられた再充満体積が、計算または近似されてもよい。特定実施形態において、再充満体積に関する値は、特定の時点について計算または近似されてもよい。後者の場合、対象となる再充満体積値は、例えば指数関数または指数関数様の外挿または内挿から得られてもよい。
【0037】
本発明に従う一部の実施形態において、透析時の罹患事象、例えば低張性症状、急性発作、虚脱、痙攣、嘔吐、不調、悪心などを生じることなく、血液処理セッションの終了時に到達する相対血液体積の終了値が予測される。
【0038】
低張性症状、または急性発作は、本発明の特定実施形態において、低血圧または多かれ少なかれ突然生じる血圧降下に関連する、主観的に感じられる不快として定義される。
【0039】
本発明に従う一部の実施形態において、低張性症状、急性発作、または虚脱は、処理セッションの開始前または開始時において測定された収縮期血圧から、例えば30mmHgの低下を超える血圧の降下(または別に定義されたもしくは予め定義されたmmHg単位の低下)として定義される。
【0040】
本発明に従う特定実施形態において、低張性症状、急性発作、または虚脱は、患者の姿勢を変えること、または限外ろ過を停止すること、または例えばNaClの浸出液を供給することなどのような医療補助を必要とする患者の症状として定義される。
【0041】
本発明の特定実施形態において、方法は、本発明に従う方法によって計算または近似された相対血液体積に基づく血液処理装置を制御する工程を包含する。同様に、本発明の一部の実施形態において、方法は、本発明に従う方法によって計算または近似または予測された相対血液体積の終了値に基づいて血液処理装置を制御する工程を包含する。
【0042】
本発明の特定実施形態において、方法は、特定の将来の血液処理セッションが継続する処理期間または時間を計算または最適化する工程を包含する。計算または最適化は、本発明に従う方法から得られた、相対血液体積または相対血液体積の終了値を考慮することによって行われる。
【0043】
本発明に従う一部の実施形態において、方法は、患者の水分過剰レベルによって−またはそれらを考慮して−相対血液体積を、規格化されたまたは正常水分の相対血液体積(RBV_normohyd)であるように補正する工程を包含する。
【0044】
本発明の特定実施形態において、方法は、処理セッションの終了時、血液処理によって満たされることが意図される相対血液体積のターゲット範囲を決定する工程を包含する。
【0045】
本発明の一部の実施形態において、装置は、コントローラまたはいずれか(他の)タイプのコンピュータである。
【0046】
本発明の多くの実施形態において、装置は、本発明に従う方法を行うための1つ以上のプロセッサのような対応するデバイスを含む。デバイスは、それぞれの方法工程を行うために適合および/または構成される。
【0047】
本発明の特定実施形態において、装置はモニタであるまたはモニタを含む。
【0048】
本発明の一部の実施形態において、装置は、本発明のいずれかの実施形態に従う方法を行うように構成される。
【0049】
本発明の特定実施形態において、装置は、それぞれの方法を行うことによって提供される結果をアウトプットするためのアウトプットデバイスを含む。
【0050】
本発明の一部の実施形態において、装置は、本発明に従う方法によって計算または近似または予測される相対血液体積を表す値またはターゲット範囲に関連して、患者の血液を処理するためのデバイスを制御するように構成される。
【0051】
特定実施形態において、制御は、一旦相対血液体積を表す計算もしくは近似された値またはターゲット範囲が処理によって達成または満たされた時点で、処理セッションが終了または中断されるというものである、−または絶対血液体積もしくは相対血液体積(RBV)が、特定もしくは所定の値未満に降下しないように限外ろ過率(UFR)が調節される。
【0052】
本発明の一部の実施形態において、装置は、一旦相対血液体積の終了値またはターゲット範囲として予測されている相対血液体積の終了値が測定または計算された時点で、処理セッションが終了または中断されるように、患者の血液を処理するデバイスを制御するように構成される。これは、患者の一部に低張性症状を被ることなく達成または満たされる相対血液体積の終了値またはターゲット範囲であってもよい。
【0053】
本発明の特定実施形態において、本発明に従うデバイスは、透析によって患者を治療することを対象とする。
【0054】
本発明に従う一部の実施形態において、患者を治療するためのデバイスは、血液ろ過、限外ろ過、および/または血液透析によって処理するための機器である。
【0055】
本発明の特定実施形態において、装置は、一旦患者の絶対血液体積の閾値または所定値が検出または計算された時点で、処理セッションが終了または中断されるように、患者の血液を処理するデバイスを制御するように構成される。
【0056】
本発明に従う一部の実施形態において、患者の絶対血液体積は、血液処理セッション中に決定される相対血液体積を考慮することによって、血液処理セッション中に決定される。
【0057】
本発明に従う特定実施形態において、水分過剰レベルは、患者の水分過剰または相対水分過剰(relOH:細胞外水分(ECW)を超える水分過剰)などを反映する測定された値および/または計算に基づいて近似、計算または定義される。本発明の特定実施形態で使用される場合に水分過剰の定義に関して、国際公開公報WO2006/002685A1を指し、ここでOHはa*ECW+b*ICW+c*体重に等しい。国際公開公報WO2006/002685A1のそれぞれの開示は、参考として本明細書に組み込まれる。水分過剰が異なる方法で決定され得ることが理解されるべきであり、それらのすべては、当業者に既知である。こうした方法の1つは、希釈を測定することを含み、それらに基づいて水分過剰を計算する。
【0058】
本発明に従う一部の実施形態において、患者の水分過剰レベルは、年齢補正された水分過剰または相対水分過剰(relAEOH)によって表されてもよい。そうする際に、特定の作用、例えば年齢による作用は、より相対的な値を得るために削除され得る。
【0059】
本発明に従う一部の実施形態において、患者の水分過剰レベルは、ただ1つの値、特にディメンジョン「リットル」を有する値によって表される。
【0060】
本発明に従う特定実施形態において、水分過剰レベルは、透析前に測定または近似され、あるいは患者の透析前値に基づく。
【0061】
本発明に従う一部の実施形態において、透析前(pre−Dx)値または計算は、直ちに、すなわち次の透析処理を開始するときまたは開始する数分前に得られたデータであってもよい。しかし、本発明は、これに限定されない。データはまた、いずれか他の時間点で得られ得る。Pre−Dxデータは、他のデータよりもより安定しているようである。そのため、それらを用いることが有利であり得る。
【0062】
本発明に従う特定実施形態において、ターゲット範囲は、相対血液体積および時間の両方を表すダイアグラムにて定義される。ターゲット範囲は、代わりにターゲット領域であってもよい。ダイアグラムは、別の方法ではプロットであってもよい。ダイアグラムは、「直交座標系」と呼ばれるデカルト座標系であってもよい。
【0063】
また、水和または水分過剰レベルを決定するために、いずれかの適切なモニタ、例えば生体インピーダンスまたは希釈技術に基づくモニタが使用され得る。
【0064】
水和状態または水分過剰レベルに関連するデータを得るためのモニタは、国際公開公報WO2006/002685A1に記載されるようなモニタであることができる。国際公開公報WO2006/002685A1のそれぞれの開示は、参考として本願に組み込まれる。もちろん、本発明は、WO2006/002685A1に記載されるような、生体インピーダンス測定によって患者の水和状態を決定するモニタに限定されないことを理解すべきである。希釈測定のような当該技術分野において既知の他の方法、および同様に当業者に既知のいずれかの他の方法も、同様に本発明によって想定および包含される。
【0065】
一部の実施形態において、装置はさらに、その装置によって与えられる結果をアウトプットするためのアウトプットデバイスを含む。アウトプットデバイスは、ディスプレイ、プロッタ、プリンタまたはアウトプットを行うためのいずれか他の手段を有するモニタであってもよい。
【0066】
特定実施形態において、患者のヘモグロビン(Hb)レベル、質量または濃度は、計算および/または測定される。測定および計算は、当該技術分野において既知のいずれかの方法によって、そのために好適ないずれかのデバイスを用いて、行われてもよい。特に、一部の実施形態において、それぞれのデータは、適切なモニタによって、体外血液ラインに含まれる血液サンプルおよび/または血液から、ヘモグロビン濃度または質量を測定することによって得られてもよい。測定は、光学センサによって血液の光学的特性を測定することによって、ならびに/または超音波センサによる超音波パルスの移行時間および/もしくは伝搬速度のような音響特性を評価することによって、行うことができる。
【0067】
特定実施形態において、装置は、ヘモグロビン(Hb)濃度(例えば、[g/dl]単位)を測定するための、および/またはDrukker,ParsonおよびMaherによる「Replacement of Renal Function by Dialysis」(Kluwer Academic Publisher,5th edition,2004,Dordrecht,The Netherlands,on pages 397 to 401「Hemodialysis machines and monitors」)に記載されるようないずれかのモニタによって、血液体積を決定するためのモニタを含み、そのそれぞれの開示は、参考として本明細書に組み込まれる。
【0068】
一部の実施形態において、モニタは、電気伝導度を測定することによって、血液体積および/またはヘモグロビン濃度を測定するように構成される。
【0069】
特定実施形態において、モニタは、光学密度を測定することによって、血液体積および/またはヘモグロビン濃度を測定するように構成される。
【0070】
一部の実施形態において、装置は、粘度を測定することによって、血液体積および/またはヘモグロビン濃度を測定するように構成される。
【0071】
特定実施形態において、装置は、密度を測定することによって、血液体積および/またはヘモグロビン濃度を測定するように構成される。
【0072】
一部の実施形態において、装置は、電気伝導度センサ、光学センサ、粘度センサ、密度センサなどのような測定を行うための1つ以上の対応するプローブおよび/または1つ以上のセンサを含む。
【0073】
特定実施形態において、デバイスは、透析によって患者を治療するために使用されてもよい。
【0074】
特定実施形態において、デバイスは、血液ろ過、限外ろ過、血液透析などによって患者(または患者の血液)を治療するために使用されてもよい。
【0075】
実施形態は、以下の利点を1つ以上提供し得る。
【0076】
本発明によって、重篤な血圧降下、血圧急性発作または虚脱(後者はまた本明細書において罹患事象とも称される)なしに、患者によって高い確率で認容される相対血液体積についての終了値が、処理セッションの処理に先立ってまたは処理中の早期に(例えば、初期または開始Hb濃度の情報が必要である場合、処理が開始された後に(直後に)のみ、得られ得る値)決定されてもよい。これは、確実に予測される(RBV)基準に基づいて透析器を制御する可能性を提供してもよい。故に、前もって計算または予測された(臨界)相対血液体積は、有利なことには、相対血液体積のためのターゲット値として使用される得る。透析器は、これに応じて制御され得る。例えば、機器がプログラムされ、計算または予測された(臨界)相対血液体積が決定または得られたら、限外ろ過を停止する、またはターゲットRBVが下回らないように、UFRを調節することができる。
【0077】
さらに、特定実施形態において、透析時間または期間は、有利なことには、本発明の特定実施形態において最適化され得るが、これは、特定の患者に高い確率で許容され得る予測された相対血液体積に前もって気付くことにより、状況が必要とする限り迅速に予測された相対血液体積が得られるように透析器を制御できるからである。
【0078】
また、前もって一旦予測された相対血液体積が得られた時点、透析手順は、さらなる限外ろ過を必要とせず、推奨もされないことは明らかであるので、停止されてもよい。
【0079】
さらに、透析時間の最適化のために、本明細書に記載される制御は、特定実施形態において、所定の限外ろ過体積が最小量または最適な時間内で患者から吸引されることを確実にする。
【0080】
さらに、限外ろ過率は、透析期間が一旦設定された時点で、および相対血液体積または臨界相対血液体積が本発明によって予測もしくは計算された時点で、設定されてもよい。こうして決定された限外ろ過率は、血圧の重篤な低下(急性発作、虚脱など)を生じない。
【0081】
別の利点は、特定の再充満体積が既知となったら、対象となる患者の個々の再充満状態量が評価できるということであってもよい。再充満体積は、本発明に関して上記で記載されるように計算されてもよい。個々の再充満体積の評価は、毛細血管状態に関する患者の特定疾患または欠陥(例えば毛細血管漏出症候群の存在)を発見することに寄与し得、それは、浸透圧(アルブミン濃度)などを確認するのに役立ち得る。また、個々の再充満体積の評価は、より多くの個々の透析治療を提供できる。例えば、透析期間−これは少なくとも部分的には再充満体積から誘導され得る−は、患者の特定の必要性に適合されてもよい。多少なりとも、患者の再充満体積の特殊性を知ることは、患者の特定の必要性に治療をさらに適合させることに役立ち得る。
【0082】
さらに、上記で示される式の適切な使用により、次の処理セッションの開始のために予測される水分過剰レベルが見積もられてもよい。
【0083】
故に、本発明に従う方法、装置およびさらなるデバイスは、有利なことには、患者が不快さに苦しんだり、または不快さを感じ始めたりする前に、自動血液処理を如何にして自動的に停止するかという技術的問題を解決できる。本発明によって有利なことには解決され得る別の技術的問題は、過剰流体(または水分過剰)の意図されるまたは必要な除去を達成しながら、血液処理装置が患者の治療に必要とされる時間を如何にして短縮するかである。
【0084】
他の態様、特徴、および利点は、明細書、図面および特許請求の範囲から明らかである。