(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6184887
(24)【登録日】2017年8月4日
(45)【発行日】2017年8月23日
(54)【発明の名称】静電気媒体の搬送部内の印字ヘッドの直下の電界を軽減するアクティブバイアス電極
(51)【国際特許分類】
B41J 2/01 20060101AFI20170814BHJP
B41J 11/02 20060101ALI20170814BHJP
【FI】
B41J2/01 121
B41J11/02
B41J2/01 305
【請求項の数】17
【全頁数】14
(21)【出願番号】特願2014-32730(P2014-32730)
(22)【出願日】2014年2月24日
(65)【公開番号】特開2014-180871(P2014-180871A)
(43)【公開日】2014年9月29日
【審査請求日】2017年2月22日
(31)【優先権主張番号】13/837,263
(32)【優先日】2013年3月15日
(33)【優先権主張国】US
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】596170170
【氏名又は名称】ゼロックス コーポレイション
【氏名又は名称原語表記】XEROX CORPORATION
(74)【代理人】
【識別番号】110001210
【氏名又は名称】特許業務法人YKI国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】パールガート・エス・ラメシュ
(72)【発明者】
【氏名】ヨハネス・エヌ・エム・ディヤング
(72)【発明者】
【氏名】ジェラルド・エム・フレッチャー
【審査官】
村石 桂一
(56)【参考文献】
【文献】
特開2007−176045(JP,A)
【文献】
特開2006−062804(JP,A)
【文献】
特開平07−330185(JP,A)
【文献】
特開2007−144790(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B41J2/01−2/215
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
印字ヘッドの直下の静電界を軽減するシステムであって、
1つ以上のインク塗布領域内の媒体基材の表面上にインクを塗布する1つ以上の印字ヘッドと、
前記媒体基材を、媒体経路に沿って1つ以上の印字ヘッドを通過する処理方向に移動させる媒体搬送部であって、前記媒体搬送部は、第1の側と第2の側を有する媒体搬送ベルトを含み、前記媒体基材は、静電界を有し、前記第1の側と接触する、媒体搬送部と、
1つ以上の開口を有し、前記第2の側において前記媒体搬送ベルトに接触する導電性の圧盤と、
前記1つ以上の印字ヘッドの前記1つ以上のインク塗布領域の位置に対応する前記1つ以上の開口内に配置され、前記処理方向およびトランス処理方向にそれぞれが延在する1つ以上の電気的に隔てられたバイアス電極と、
前記1つ以上の電気的に隔てられたバイアス電極に電圧を供給する1つ以上の電圧源と、を含み、
前記電圧が前記1つ以上の電気的に隔てられたバイアス電極に供給されて、前記インクを受ける前記媒体の前記表面上の前記静電界を軽減する、システム。
【請求項2】
前記導電性の圧盤が実質的に平坦である、請求項1に記載の印字ヘッドの直下の静電界を軽減するシステム。
【請求項3】
前記1つ以上の印字ヘッドの前記処理方向における上流位置の電界を測定するための電界プローブまたは非接触式の静電電圧計をさらに含む請求項1に記載の印字ヘッドの直下の静電界を軽減するシステム。
【請求項4】
前記1つ以上の電気的に隔てられたバイアス電極に供給される前記電圧を調整する制御装置をさらに含む請求項3に記載の印字ヘッドの直下の静電界を軽減するシステム。
【請求項5】
前記1つ以上の電気的に隔てられたバイアス電極が、前記処理方向およびトランス処理方向に、前記対応するインク塗布領域を少なくとも3mm超えて延在する寸法を有する、請求項3に記載の印字ヘッドの直下の静電界を軽減するシステム。
【請求項6】
前記1つ以上の電気的に隔てられたバイアス電極が、前記処理方向およびトランス処理方向に、前記対応するインク塗布領域を少なくとも5mm超えて延在する寸法を有する、請求項3に記載の印字ヘッドの直下の静電界を軽減するシステム。
【請求項7】
前記媒体搬送ベルトが、絶縁性の高い材料または半導電性材料から形成される、請求項1に記載の印字ヘッドの直下の静電界を軽減するシステム。
【請求項8】
前記媒体搬送ベルト内の前記半導電性材料が、層状に形成され、108Ω/□より高いシート抵抗率を有する、請求項7に記載の印字ヘッドの直下の静電界を軽減するシステム。
【請求項9】
前記電圧源により供給される前記電圧が、1V〜3,000Vである、請求項1に記載の印字ヘッドの直下の静電界を軽減するシステム。
【請求項10】
複数の電気的に隔てられたバイアス電極が、アレイの全幅にジグザグに配列される、請求項1に記載の印字ヘッドの直下の静電界を軽減するシステム。
【請求項11】
前記システムは、前記媒体搬送ベルト上に前記媒体基材を静電気で付着させるローラを一つ以上含む、請求項1に記載の印字ヘッドの直下の静電界を軽減するシステム。
【請求項12】
静電界リデューサをさらに含み、静電界リデューサは、前記処理方向において前記1つ以上の印字ヘッドの上流に配置される電圧感知式帯電機器を含む、請求項1に記載の印字ヘッドの直下の静電界を軽減するシステム。
【請求項13】
前記電圧感知式帯電機器は、電位0の状態で作動されるグリッドを有するスコロトロンであり、コロナ電極の電圧は、媒体の電位を0の電圧にする条件で動作する、請求項12に記載の印字ヘッドの直下の静電界を軽減するシステム。
【請求項14】
前記電圧感知式帯電機器は、シールドの電圧が0の状態で作動されるディコロトロンである、請求項12に記載の印字ヘッドの直下の静電界を軽減するシステム。
【請求項15】
前記電圧感知式帯電機器は、前記導電性圧盤の接地領域の上の位置で、前記媒体基材の前記表面への放電を行う、請求項12に記載の印字ヘッドの直下の静電界を軽減するシステム。
【請求項16】
前記静電界リデューサは、前記インクを受け取った前記媒体の前記表面上の静電界を5V/ミクロンより弱くする、請求項12に記載の印字ヘッドの直下の静電界を軽減するシステム。
【請求項17】
前記静電界リデューサは、前記インクを受け取った前記媒体の前記表面上の静電界を1V/ミクロンより弱くする、請求項12に記載の印字ヘッドの直下の静電界を軽減するシステム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
ここで開示される技術は、印刷媒体の基材が印字ヘッドの直下を搬送されるときに電界の強さを軽減するシステムおよび方法に関する。本明細書に記載されるシステムおよび方法では、アクティブバイアス電極を用いて印刷される媒体基材上の電界の強さを軽減し、印刷品質の不具合の可能性を低くする。
【背景技術】
【0002】
紙に直接印刷する方式(「DTP」)のインクジェット印刷システムにおいて、良好な印刷品質を保証するために、印刷ゾーンでは媒体を非常に平坦な状態で保持しなければならない。これを実現するために提案されている方法の中には、画像形成ゾーン内の導電性の圧盤に対して平坦に保持される移動搬送ベルトに静電気を用いて媒体基材を付着させるものがある。静電気を用いて媒体を付着させる際に望ましくない副産物として、媒体と画像形成ヘッド(印字ヘッドとも呼ばれる)の間で強い電界が発生してしまう。媒体が印刷ゾーンを移動するとき、この強い電界がインクの噴射に悪影響を及ぼし、これにより印刷品質の不具合が生じてしまう。
【0003】
図1は、従来技術の例示的な印刷システムを示している。従来のニップを用いて位置合わせを行う、押さえ付け式の搬送部の上を、ニップを開いた状態で媒体基材(MS)を搬送する。媒体の先端が押さえ付け式搬送部により保持されるとすぐに、位置合わせ用のニップを開く。印刷ゾーンの搬送部(PZT)では、媒体基材(MS)を保持するために、真空ベルト搬送部が用いられる。
【0004】
図2は、従来技術による媒体を保持する別の方法を示している。この方法では、静電力を用いて紙などの媒体基材(MS)を搬送ベルト(TB)の上に保持し、この搬送ベルトは印刷ゾーンの直下にある導電性ベルトの金属圧盤支持体(BS)により支持される。この図は、現在の技術水準では周知の媒体の保持方法の一例を示している。搬送ベルト(TB)は、相対的に絶縁性の高い(すなわち、一般に体積抵抗率が10
12Ω・cmより大きい)材料から作ることができる。あるいは、搬送ベルト(TB)は、その最上部の層が相対的に絶縁性の高い材料から作られていれば半導電性の材料の層を含むことができる。搬送ベルトが半導電性の層を含む場合、そのような含まれた全ての層に関して「横方向すなわちクロス方向における体積抵抗率を、層の厚さで除算した」値、すなわち「シート抵抗率」は、一般に10
8Ω/□よりも高い。基本的なベルト搬送システムは、駆動ローラ(D)、張力調整ローラ(T)、および操作ローラ(S)を含む。搬送ベルトの材料は絶縁体または半導体でよい。印字ヘッド(PH)の上流の点線のボックス内は、基本的な媒体保持機構を示している。2つのローラ(ローラ1およびローラ2)が使用されている。ローラ1はベルト/媒体の上部に配置され、ローラ2はベルト(TB)の下に配置される。ローラ1およびローラ2に高い電圧を供給して保持するための電荷を生成し、これにより媒体基材(MS)を搬送ベルト(TB)に付着させる。随意的には、ブレード(B)(ローラの上流に示す)を用いて、ローラの直前で紙をベルトに強制的に押し付けることにより、保持力を向上させることができる。一般にバイアスローラによる帯電が好まれているが、これは1つの選択肢であり、当技術分野ではその他にも多くの媒体の帯電手段が周知であり、例示される一組のバイアスローラに代わってこれらの帯電手段を用いることもできる。本開示の目的のため、使用可能な様々な帯電手段の全において、バイアスローラによる帯電を行うことができる。
【0005】
ローラ1またはローラ2のどちらを接地してもよいが、ローラ1を接地する方が好ましい。ローラ1を接地する方が好ましいというのは、主として、非常に湿った、抵抗率の低い媒体で発生する媒体保持に関する問題のためである。この問題は、帯電ローラの前で媒体に接触する引き込みバッフルなどの接地された導電性の部品への横方向の電荷伝導により、媒体上の電荷の導電性が失われてしまうために発生する。当技術分野で知られている通り、このような電荷の損失の問題は、引き込みバッフルに高い電圧を印加する、かつ/または、誘導することにより解決可能であるが、このような電圧を供給するためには余分なコストがかかってしまう。この方法では、バッフルを十分に接地から隔てる必要があり、操作者が機械の操作中にバッフルに触れないよう事前に警告する必要もある。上段のローラを接地することにより、これらの必要性を全て回避することができる。
【0006】
搬送ベルトの最上段の表面は相対的に絶縁性が高いため、ベルトが1回転するごとに電荷が蓄積されてしまう可能性がある。これにより、何回も回転した後、媒体帯電ゾーン内で媒体が搬送ベルトに適切に付着することが阻まれてしまうことがある。これを避けるために、ローラ1およびローラ2の帯電ゾーンの前にベルトの帯電状態を安定させることが必要である。具体的には、媒体帯電ゾーンの直前の接地ローラ(
図2のローラSなど)でのベルトの上方の電位V
Sを、ベルトが1回転するごとに比較的安定した制御値に維持しなければならない。媒体帯電ゾーンの前の搬送ベルトの下に配置された接地ローラのうちの1つに対向するように帯電機器を設けることにより、ベルトの帯電状態を1回転ごとに安定させることができる。例えば、コロトロン帯電機器(図示せず)を
図2のローラTの位置に設ける。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
静電気を用いる保持方法により保持された媒体から、ほぼ絶えず電界が発生している。媒体が印刷ゾーンを通過するとき、静電気を用いた保持により発生する、媒体と印字ヘッドの間の強い電界がインクの吐出に影響を及ぼす可能性があり、これにより印刷品質の不具合が頻繁に発生する恐れがある。したがって、印刷品質の不具合を軽減する、または取り除くために、媒体が印字ヘッドを通過するときの電界の強さを軽減することが望まれる。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本明細書に記載される一様態により、印字ヘッドの直下の静電気媒体内の電界を軽減するシステムが開示される。このシステムは、1つ以上の印字ヘッドと、媒体搬送部と、導電性の圧盤と、1つ以上の電気的に隔てられたバイアス電極(本明細書では、バイアス電極または電極とも呼ぶ)と、1つ以上の電圧源とを含む。1つ以上の印字ヘッドは、1種類以上のインクの塗布領域で媒体基材にインクを塗布する。媒体搬送部は、媒体基材を媒体経路に沿って処理方向に移動させ、1つ以上の印字ヘッドを通過させる。媒体搬送部は、媒体搬送ベルトを含み、この媒体搬送ベルトは、好ましくは、絶縁性の高い材料、または半導電性の材料から形成される。この半導電性の材料は層状に形成され、10
8Ω/□より高いシート抵抗率を有し得る。最上段の層は、絶縁性の高い材料(体積抵抗率が一般に10
12Ω・cmより高い)であることが好ましい。媒体は搬送ベルトに静電的に保持され、これにより電界が発生する。
【0009】
1つ以上の開口を有する導電性の圧盤は印字ヘッドの下に配置され、媒体搬送ベルトと接触する。導電性の圧盤は、実質的に平坦であることが好ましい。電気的に隔てられた1つ以上のバイアス電極は、1つ以上の開口内に配置され、これらの開口は1つ以上の印字ヘッドの1種類以上のインクの塗布領域に対応する。印字ヘッド部は、多くの個々のアドレス指定可能なノズルのアレイを含むことができ、これらのノズルはいくらかの距離に渡って処理方向およびクロス処理方向に延在する。
【0010】
電気的に隔てられた1つ以上のバイアス電極は、処理方向およびトランス処理方向にそれぞれ延在する。電気的に隔てられたバイアス電極は、好ましくは、対応するインク塗布領域内で、処理方向およびトランス処理方向に、全てのノズルの位置を少なくとも3mm超える寸法を有し、より好ましくは、少なくとも5mm超える寸法を有する。非常に好ましくは、導電性の圧盤は複数の電気的に隔てられたバイアス電極を含み、これらの電極はアレイの全幅にジグザグに配列される。電圧源は、1つ以上の電気的に隔てられたバイアス電極にそれぞれ電圧を供給する。電圧源により供給される電圧は1V〜3,000Vであることが好ましく、電圧源は、媒体の表面上で測定される静電荷に基づいて、1V〜3,000Vの範囲で制御可能であることがより好ましい。1つ以上の電気的に隔てられたバイアス電極に電圧が印加されて、インクを受ける媒体の表面上の電界を軽減する。
【0011】
このシステムは、1つ以上の印字ヘッドの処理方向における上流の電界を測定するために、媒体の上方の電圧を感知する電界プローブまたは非接触式の静電電圧計(ESV)、および/または、1つ以上の電気的に隔てられたバイアス電極に供給する電圧を調整する制御装置を含むこともできる。さらに、このシステムは、媒体搬送ベルト上に媒体基材を静電力で保持する1つ以上のローラ、および/または、電界リデューサを含むことができ、この電界リデューサは1つ以上の印字ヘッドの処理方向における上流に配置された電圧感知式帯電機器を含む。電圧感知式帯電機器は0のシールド電圧で動作するディコロトロン、または0の電位で動作する、グリッドを有するスコロトロンであることが好ましく、コロナ電極の電圧は媒体の電位を0の電圧にする条件で動作する。電圧感知式帯電機器は、導電性の圧盤のうちの接地領域の上の位置で、媒体基材の表面への放電を行う。この電界リデューサは、インクを受け取る媒体の表面の上の電界を1V/ミクロンより弱くし、好ましくは、0.5V/ミクロンより弱くし、非常に好ましくはほぼ0V/ミクロンにする。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【
図1】
図1は、ニップを用いて位置合わせを行う搬送部を用いて、媒体を搬送し印字ヘッドを通過させる、従来技術のインクジェット印刷システムを示す図である。
【
図2】
図2は、静電気を用いて媒体を保持して搬送し印字ヘッドを通過させる、従来技術のインクジェット印刷システムを示す図である。
【
図3】
図3は、静電気を用いて媒体を保持して搬送し印字ヘッドを通過させ、インク塗布領域の下の圧盤内の帯電機器およびバイアス電極を用いて印字ヘッドの下の電界を軽減する、インクジェット印刷システムの実施形態を示す図である。
【
図4】
図4は、インク塗布領域の位置に対応する開口内に配置された複数のバイアス電極を有する導電性の圧盤の上面図である。
【
図5】
図5は、電界プローブおよび制御装置を用いて、インク塗布領域の下に配置された圧盤内の電極に印加されるバイアスを調整する、インクジェット印刷システムの実施形態を示す図である。
【
図6】
図6は、圧盤、搬送ベルト、およびベルト表面上の紙のシートの側面図であり、電荷の分布を示している。
【
図7】
図7は、0V〜1,850Vの間の様々なバイアスに対する、印字ヘッドでの電界を示すグラフである。
【発明を実施するための形態】
【0013】
次に、図面を参照して例示的な実施形態をさらに詳細に説明する。
【0014】
本明細書で使用される「基材媒体」および「媒体」とは、紙(例えば、紙のシート、長いロール紙、1連の紙など)、透明シート、羊皮紙、フィルム、布地、プラスチック、現像焼付け用紙、またはその上に情報または画像を印刷、塗布、または再生可能な、その他の被覆の基材またな非被覆の基材などの有形の媒体のことを指す。本明細書では、具体的にシートまたは紙に関して言及されているが、シートの形態を有する全ての基材媒体がその均等物を意味することは理解されよう。
【0015】
本明細書で使用される「帯電機器」という用語とは、所定の位置に静電荷を放つ機器のことを指す。
【0016】
本明細書で使用される用語「電気的に隔てられたバイアス電極」、「バイアス電極」、および「電極」とは、所定の電圧を放電する電極のことを指し、これらの電極は圧盤内に配置されるが、絶縁されているためこの圧盤とは電気的に接触していない。
【0017】
本明細書で使用される用語「処理」および「処理方向」とは、基材媒体の移動、搬送、および/または操作の処理に関する方向のことを指す。この処理方向は、流れ順路Pの方向と実質的に一致し、主としてこの流れ経路Pに沿って基材媒体が媒体操作組立体内を移動する。このような流れ順路Pとは上流から下流への流れである。「横の方向」または「トランス処理方向」は、本明細書では区別なく使用され、一般に処理方向に対して横方向に延在する2方向のうちの少なくとも1方向のことを指す。処理経路内で操作されるシートの基準からシートの2つの対向する縁を通り、かつ処理方向と直交して延在する軸は、横の方向すなわちトランス処理方向に沿って延在するとみなされる。
【0018】
本明細書で使用される、材料の「体積抵抗率」または「比絶縁抵抗」とは、(RA/t)の量のことを指し、「R」は材料の厚さ「t」を貫通し材料の領域Aの対向する面の間の電気抵抗であり、通常Ω・センチメートルまたはΩ・cmで表される。
【0019】
本明細書で使用される「シート抵抗」または「表面抵抗率」とは、薄い膜の抵抗の測定値のことを指し、これらの膜は厚さが均一でその膜の厚さ(t)全体に渡って実質的に同じ電気特性を有する。シート抵抗は体積抵抗率を膜の厚さ(t)で除算した値であり、薄い膜が2次元の存在とみなされる2次元系に適用可能である。表面抵抗率またはシート抵抗が使用されるとき、電流の流れは実質的にシートの平面に沿っており、そのシートの平面には直交していないことが示唆される。体積抵抗率(Ω・cm)は厚さの単位(cm)で除算されるため、シート抵抗の単位は技術的にはオームであるが、表面抵抗率は通常「オーム・パー・スクエア」(Ω/□)と呼ばれ、この「□」とは、単純な抵抗値と表面抵抗率値とを区別するために用いられる無次量である。
【0020】
本明細書で使用される「画像」とは、表示機器により表示され、かつ/または、体上に印刷可能な、図、写真、テキスト、グラフィックス、図を含むコンピュータ文書、および/または写真などの視覚的表現形式のことを指す。
【0021】
本明細書で使用される「相転移インクジェットプリンタ」とは、プリンタ内でインクが個体から熱を加えられて液体状態に変化するインクジェットプリンタのタイプのことを指す。インクが液体状態の間、圧電水晶振動子による推進力によりインク滴が基材に噴射される。インク滴が基材に付着した後、インクが冷えると再度その相の状態が変化し瞬時に固体の状態に戻る。この相転移インクジェットプリンタでは、印刷品質が優れ、プリンタはほとんど全ての種類の紙または透明シートにインクを塗布することが可能である。
【0022】
本明細書で使用される「コロナ機器」とは、帯電される表面の上方に間隔を開けて配置されるコロナ電極(細い針金または鋭いピンなど)に高い電圧を印加することにより、制御してコロナ放電を行う帯電機器のことを指す。一般に、コロナ機器はいくらかの種類のシールドを有する。コロナ電極に高い電圧のDCが印加される場合、この機器を一般にDCコロナ機器と呼び、そのシールドの材料は一般に金属が非常に好まれる。このシールドは接地することができる、あるいはバイアスをかけることができる。コロナ電極に高い電圧のACが印加される場合、この機器を一般にACコロナ機器と呼び、そのシールドは随意的に金属または絶縁性の高い材料である。用途により、ACコロナ機器では一般に、コロナ電極に印加される高いAC電圧にいくらかのレベルのDCが加えられる。コロナ電極に印加された高い電圧が、このコロナ電極に非常に近い空間をイオン化し、これらのイオンがコロナ電極の電圧により弾かれ、帯電される表面に向かって流れる。
【0023】
本明細書で使用される「電圧感知式帯電機器」とは、その機器を通過する表面の電位を一定の制御レベルにしやすくする機器のことを指す。
【0024】
本明細書で使用される「位置」とは、基準点または基準領域に対する空間的な位置のことを指す。
【0025】
本明細書で使用される「媒体印刷システム」または「印刷システム」とは、インク、トナーなどを用いて基材媒体に画像を形成する機器、機械、装置などのことを指し、「マルチカラー印刷システム」とは、1色以上インクまたはトナー(例えば、レッド、ブルー、グリーン、ブラック、シアン、マゼンタ、イエロー、透明など)を用いて基材媒体に画像を形成する印刷システムのことを指す。「印刷システム」には、プリンタ、デジタル複写機、製本機、ファクシミリ、多機能機器などの印刷の出力機能を実行する全ての機器が包含され得る。印刷システムの例には、ゼログラフィ―式、DTP式(例えば、直接マーキング式)、モジュール式オーバプリントプレス(MOP)、インクジェット式、個体インク式、およびその他の印刷システムが含まれる。
【0026】
本明細書に含まれる例示的な実施形態は、印字ヘッドの直下の電界を軽減するシステムに関し、このシステムは、基材媒体上にインクを吐出する一連の印字ヘッドと、特定可能な電気特性(ベルトの抵抗率など)を有する絶縁性の高いベルトまたは半導電性のベルトの搬送部の材料を含む印刷ゾーンの搬送部(すなわち、印字ヘッドが配置されているゾーン内の媒体搬送部の一部)を用いて媒体基材を移動させ印字ヘッドを通過させる手段と、印刷ゾーンの搬送部を平坦に保持する導電性の圧盤と、媒体が平坦に保持されるよう印刷ゾーンの搬送ベルトに対して媒体を保持するための静電荷、および1か所以上のバイアスをかけられた導電性領域を発生させる静電荷発生機器と、を含む。随意的に、電界リデューサシステムを含むことができる。この電界リデューサシステムは、媒体帯電ゾーンの下流かつ印字ヘッドの上流のベルトの下に接地された導電性の支持圧盤の部分がある領域内に配置される。この電界リデューサは、十分なベアープレート特性の勾配を有する電圧感知式帯電機器を用いて、搬送ベルト上の媒体がこの電界リデューサを通過した後に、その媒体の上方の電位を実質的に0にする。例えば、スコロトロンを電圧感知式機器として選択した場合、グリッドの電位を0の電位(接地電位)に設定する。電界リデューサを通過する媒体の上方の0Vの状態に注意していないと、媒体上の電荷が弱くなり、その結果、媒体と搬送ベルトと付着力が弱まってしまう。
図3を参照すると、媒体帯電ゾーンの前のベルトの上方の表面電位V
Sを高い電圧状態に制御することにより、媒体の上方が0Vの状態になり付着力が弱まることを回避している。媒体の上方が0V状態では、媒体上の電荷は、V
Sと直接比例する。
【0027】
帯電ゾーンの前のベルト搬送ローラD、CまたはSのうちのいずれかの上に配置された電圧感知式帯電機器を使用し、遮断電圧状態のために制御される高電圧レベルを選択することにより、周期的な表面電位V
Sを制御することができる。一般に、搬送ベルトの周期的な帯電状態は、随意的に電界リデューサを用いる、または用いないに関わらず制御する必要である、とういのも、そうしない場合には、ベルトが何周も回転するうちに非常に高い帯電レベルに達してしまうからである。これにより、媒体帯電ゾーンでの媒体の適切な帯電が阻害されてしまう可能性がある。
【0028】
電圧を安定させる帯電機器は、当技術分野では一般に「電圧感知機器」と呼ばれる。「電圧感知」という用語とは、バイアスをかけられた導電性プレートをその機器の下に配置し、機器の長さあたりの電流をそのプレート上の印加電圧の関数として測定する簡単なテストのことを指す。「電圧感知」とは、一般に、「遮断レベル」として知られているプレート上の規定の電圧で、プレートへのDC電流が非常に小さなレベルになり、プレートへの電流対プレート上の電圧の曲線の勾配が大きくなることを意味する。プレート電流対プレート電圧の曲線を一般に「ベアープレート特性」と呼ぶ。当技術分野では、スコロトロンが一般に「電圧感知機器」と呼ぶことができる周知の機器の一例である。スコロトロンは、一般にDC電位またはAC電位で動作する、電荷を発生させるためのコロナ機器(薄い針金または鋭いピンのコロナ電極機器など)から成り、このコロナ機器は、コロナ電極と帯電される表面との間に配置される導電性のグリッド配列を有する。ベアープレート特性の曲線の勾配が「十分に大きい」場合、この機器を通過する表面の電圧は、ベアープレート特性の「遮断レベル」の印加電位に向かいやすく、この遮断レベルの印加電位は一般にグリッドに印加される電位の付近である。「十分に大きい」とは表面が機器を通過する速度と直接比例し、機器を通過するシステムの効果的な静電容量の厚さと反比例することは周知である。当技術分野では、「電圧感知」するよう動作可能な機器が数多く存在し、この特性が電圧を安定させる機器に関して最も好まれる。
【0029】
この用途に関して、電圧感知機器は、接地された導電性の圧盤がベルトの直下にある、媒体帯電ステーションの下流の領域に配置される。媒体と印字ヘッドとの間の電界を0に向かわせるため、電圧感知式安定機器を用いて、電圧を安定させる帯電機器を通過する位置で、ベルト搬送部上の媒体の上方の電位を0に向けて変化させる。一般に、これには、電圧安定機器が0付近の遮断レベルを有するベアープレート特性の曲線を有する必要がある。例えば、スコロトロンを使用する場合、これは一般に0電位でこの機器のグリッドを動作させることを意味する。
【0030】
媒体の電荷が0になることにより、媒体と搬送ベルトとの間の付着力が失われる可能性があるため、電圧安定機器による0電圧の状態の実現は、媒体上の実効電荷を0にすることなく行わなければならない。ベルト上の媒体の上方の電位を0にして、その一方で高い媒体電荷を維持することは、回転するベルトの帯電を媒体帯電ゾーンの前で制御することにより行われる。好ましい構成では、周期的に安定機器を用いて、ベルトの電位V
Sを高く比較的安定したレベルに制御する。次いで、電圧感知機器を通過後に、媒体の上方の電位が0に向かって変化するとき、媒体上の電荷は高くなり、かつベルトに付着する媒体の効果的な静電容量の厚さにより除算した量V
Sに比例する。一方のローラが設置され、対向するローラがバイアスをかけられた、好ましい媒体の帯電構成では、さらに電圧安定機器により媒体の上方の電圧を0にした状態で、高い媒体電荷および付着力が保証される。
【0031】
電圧を安定させる帯電機器と印字ヘッドの間を搬送させるためのドウェル時間中にベルト上の媒体の上方の電圧が0に保たれている場合、媒体と接地された印字ヘッドの間の電界は0になるであろう。しかし、残念ながらドウェル時間中に媒体の厚さを貫通して導電性の電荷の移動が発生し、これにより媒体の上方の電位が変化する。これにより、今度は、媒体抵抗率の一定のストレス状態のもと、媒体と印字ヘッドの間に電界が発生する。電荷の移動率は媒体の抵抗率に依存し、この抵抗率は一般に媒体の含水率にかなりの程度まで依存する。したがって、対策を講じなければ、媒体に一定のストレスがかかる相対湿度の状態では、媒体と印字ヘッドの間に電界が発生してしまう可能性がある。媒体を貫通して電荷が移動しても印刷ゾーン内の電界が弱く抑えられるように、印刷ゾーン内の隔てられた電極に印加される電圧を制御し、印刷ゾーンの前で媒体の上方の電圧と同じで大きさで反対の極性に選択する。電界リデューサは、インクを受ける媒体の表面上の電界を1V/ミクロンより弱くし、好ましくは0.5V/ミクロンより弱くし、非常に好ましくは、ほぼ0V/ミクロンにする。
【0032】
電界を軽減し、かつベルトの電荷を周期的に調整するために用いられる、電圧感知式帯電機器は、随意的にACコロナ帯電機器またはDCコロナ帯電機器でよい。しかし、DC機器を選択する場合、媒体帯電ステーションに対して用いられるバイアスの構成に合わせてコロナ電極の高い電圧の極性を選択しなければならない。というのも、DCコロナ電極機器は、機器からの1方の極性の電荷しか有することができないからである。DCを用いる場合は、機器の極性は帯電ステーションにより媒体の表面にかけられる電荷と反対の極性を選択しなければならない。ACバイアスのコロナ電極機器は、コロナ電極からの両方の極性の電荷を有することができ、したがって、この問題を考慮する必要はない。
【0033】
導電性の圧盤は、印刷ゾーン内でベルトを支持し、電界を軽減するために、インクの吐出領域の近辺の圧盤内に形成されるバイアス導電性領域を有する。バイアス導電性領域は、好ましくは、1つ以上の電気的に隔てられたバイアス電極から成り、これらのバイアス電極は導電性の圧盤内の開口の中に埋め込まれ、これらの開口は1つ以上の印字ヘッドのインク塗布領域と位置を合わせている。電気的に隔てられたバイアス電極は、それに応じて、各印字ヘッドと一列に並べて配置されることが好ましい。各電気的に隔てられたバイアス電極の電位を、各印字ヘッドステーションで異なる電位に制御することができる。このシステムは、電界プローブまたは非接触式の静電電圧計(ESV)センサを含み、これらは、印字ヘッドの前でベルトの下で導電性の支持圧盤の接地部分がある領域に配置される。各印字ヘッドの直前にESVセンサが配置されることが好ましい。印字ヘッドの前の媒体の上方の電圧を感知し、この電圧の逆の極性の電圧を、この後の印字ヘッドの下に配置された隔てられたバイアス電極に印加する。媒体がセンサから印刷ゾーンに移動するのにかかるドウェル時間を考慮して、センサが読まれてから一定時間後に隔てられた電極に電圧を印加する。このシステムおよび方法により、インク塗布領域内の電界を著しく軽減することができ、その結果印刷品質の不具合を減らすことができる。
【0034】
電圧感知式電界リデューサの下流の媒体の上方の電圧が機器と印字ヘッドゾーンの間を移動するためのドウェル時間中0電位で保たれている場合、印字ヘッドの下の圧盤内の電極の電位を0に設定すると媒体と印字ヘッドの間の電界は0になるであろう。しかし、ドウェル時間中に電荷伝導が媒体の厚さを貫通して発生し、これにより媒体の上方の電位が変化する可能性がある。補償を行わなければ、特定の媒体ストレス条件もとで、媒体と印字ヘッドの間に強い電界が発生してしまう可能性がある。媒体の上方の電位が変化するのにかかる時間は、媒体の抵抗率に依存し、今度は、この抵抗率は一般に(環境に依存する)媒体の含水率に著しく依存する。
【0035】
電極にバイアスを印加することにより、印字ヘッドの付近の電界を軽減することができる。印刷ゾーンの上流に配置された制御装置を伴う電界プローブを用いて、このバイアスを調整することができる。電界プローブの代わりに、制御装置を伴うESVセンサを使用し、搬送ベルトの下で支持する導電性の圧盤のうちの接地部分のある印刷ゾーンの直前に配置することができる。電気的に隔てられた電極の電圧を、測定されたESV電圧と同じ大きさの値で反対の極性に制御する。媒体により覆われているベルトの領域と、媒体により覆われていない位置とでは、測定された電圧が異なる可能性があるため、隔てられた電極上で制御される電圧は、測定機器の位置と印字ヘッドの位置の間を搬送するためのドウェル時間と同じ時間だけ遅らせることが好ましい。ESVプローブは容易に購入可能で、当技術分野では広く使用されている。キーエンスセンサは、距離すなわち近さを非常に正確に計測するため、これを用いて紙が平坦に保持されているどうかを判定し、静電気によるベルトおよび圧盤との良好な媒体の付着力(静電圧)を示す。
【0036】
特定な媒体抵抗率の範囲の極端なストレスがかかる場合、各印字ヘッドゾーンの間のドウェル時間中、電圧を変化させ続けることができる。ストレスのかかる媒体の状態に対して弱い電界を供給するために、印字ヘッドの前で別々に電圧の感知を行い、ヘッドの下の電圧の制御を各画像形成ヘッドに対して適用して、ヘッド間の搬送のためのドウェル時間中の媒体の厚さを貫通した電荷伝導を補償する。
【0037】
次に図面を参照すると、
図3には、印字ヘッド12の下の電界を軽減するためのシステム10の実施形態が示される。
図3の左側から搬送ベルト16上に媒体14が供給されると、媒体14は静電付着機器18によりベルト16に静電的に付着され、この静電付着機器18は、媒体14が処理方向Pに移動するとき、媒体14をベルト16にしっかりと保持させる電界を発生させる。媒体14をベルト16上に保持することに加えて、この電界はインクジェット印字ヘッド12による媒体14の表面15へのインクの塗布に影響を及ぼし、印刷の不具合が生じる。したがって、この電界を中和するために、静電付着機器18と印刷ゾーン(すなわち、インクジェット印字ヘッド12の位置)の間に電流電圧感知式帯電機器20を配置が配置される。この機器20は、ベルト16の下に導電性ベルト支持圧盤22の接地部分がある領域に配置される。この電圧感知式帯電機器20は、その機器を通過した直後の移動する媒体の上方の電位を0にする条件で動作する。電圧感知式帯電機器20は、周知で市販の複数の機器の中から選択することができる。媒体の上方の電圧0の状態での媒体上の低い電荷レベル(および、それに伴って付着力が失われている状態)を避けるために、電圧感知機器20は、ベルト16の表面電位V
Sを高いレベルにし、かつ媒体帯電ステーション18により媒体上に付着した電荷の極性と反対の極性にする。例えば、ローラ1が接地され、ローラ2に正のバイアスをかけられている場合、媒体帯電ステーション18により媒体上に負の電荷が付着される。次いで、機器20が電位V
Sを高い正のレベルにするよう選択されなければならない。媒体14の上方が電圧0の状態で強い付着力を得るために、V
Sの大きさは、一般に2,000Vであることが好ましく、3,000Vであることがより好ましい。媒体の電荷は、V
Sのレベルに比例し、非常に湿気の低い媒体では媒体の厚さが増すにつれ減少する可能性があるため、一般に低い湿気を有する厚い媒体では、薄い媒体条件または高い湿気の媒体条件のときよりもより高い電圧が好まれる。随意的に、この機器は印刷される媒体および媒体の湿気に影響する環境条件を判定する手段を含むことができ、参照テーブルを用いてV
Sのレベルを調整し、特定の媒体と環境条件に関する適切な付着力を保証することができる。
【0038】
帯電機器20を通過後、媒体14が圧盤22沿って印字ヘッド12の下を移動する際、ベルト16により搬送され、この印字ヘッド12の下では1か所以上のインク塗布領域24内で媒体14にインクが塗布される。この機器20により、媒体14およびベルト16の上方の電界を非常に低い値に軽減することができるが、特定のストレスがかかる媒体の抵抗率の条件で機器20の位置と印字ヘッドの間のドウェル時間に媒体の厚さを貫通する電荷伝導がベルトの表面の界面に向かって発生する可能性がある。印字ヘッドゾーン内のベルト16の下の支持圧盤22が接地されている場合、これにより媒体14と印字ヘッド12の間に強い電界が発生する可能性がある。このような電界を軽減するために、圧盤22内の1つ以上の開口28内に1つ以上の電気的に隔てられたバイアス電極26を埋め込む(
図4を参照)。インクを塗布する領域内で媒体14にバイアスをかけられた電子電荷を供給するよう、電極26はインク塗布領域24に対応して(すなわち、位置合わせて)配置される。印字ヘッド12の前に配置されているESVプローブ25は、印刷ゾーンの直前の圧盤22の接地領域内にちょうど入っている媒体14の上方の電圧を測定し、隔てられたバイアス電極26に印加する電圧を調整してESVの読み取りと同じレベルの大きさで反対の極性にする制御装置30(
図5を参照)を介して信号を送信する。これにより、媒体14を貫通する導電性の電荷の移動により発生する媒体14の上方の全ての電圧の変化が、印刷ゾーンに印加される逆の電圧により打ち消されることが保証される。これにより、次に印刷ゾーン内の電界が低い値となり、印刷へのあらゆる干渉を最小にする。極端にストレスのかかる媒体の状態を処理するために、個々のESVが検知し、各印字ヘッド12の下の各電極26にかける電圧を別々に制御することができる。また、媒体が搬送される間の領域で強い電界が発生するのを最小限に抑えるために、ESVセンサから印字ヘッド12にベルトが移動するドウェル時間と同じ時間だけ電圧を電極26にかける時間を遅らせる。
【0039】
印字ヘッド12の直下の電界を軽減するためのシステム10の好ましい実施形態では、圧盤22(すなわち、導電性ベルトの金属支持体)内のアレイの全幅にジグザグに配列された(「SFWA」)埋め込み電極26を用いる。
図4は、SWFA内に配列された埋め込み電極26を有する圧盤22により支持されたベルト16の上面図である。処理方向Pは左から右であり、埋め込み電極26の位置は、印字ヘッド12のインク塗布領域24(すなわち、インクが印字ヘッド12から吐出される媒体14上の領域)に対応する(すなわち、位置合わせをする)。この開口28は処理方向Pに幅、トランス処理方向に長さを有する。この長さは好ましくは幅よりも長く、この幅は少なくとも20mmであり、好ましくは少なくとも25mmであり、非常に好ましくは少なくとも30mmである。電極26には、周囲の圧盤22とは無関係にバイアスをかけることができる。これにより、印刷に干渉することがないようインク塗布領域24内の全ての電荷を軽減することができる。一対の埋め込み電極26の列は、それぞれの印字ヘッド12専用であり、開口28が重なり処理方向P、およびトランス処理方向への連続印刷を提供する。
図4には、8列の開口28が示され、これらの開口28は4色の異なる色のインク用の印字ヘッド12に対応する。
【0040】
図5は、システム10の動作を示すための、2つの印字ヘッド12を有するシステム10の構成を示している。搬送ベルト16は、左から右の処理方向Pに媒体14を移動させる。媒体14が印字ヘッド12の下を通過するとき、圧盤22内の埋め込み電極26と位置と合があった場所で、媒体14の表面15に異なるインクが塗布される。ESVプローブ25からの出力が制御装置30(例えば、PID制御装置)に供給され、この制御装置30が電圧源機器32のバイアスを調整し、この電圧源機器32が電圧を電極28に印加して媒体14の表面上の電界を0に向けて変化させる。
【0041】
図5は、各電極28に同じバイアスが印加されるように、印刷ゾーン内の電極28が全て電気的に接続されていることを示している。しかし、画像形成ヘッド(すなわち、印字ヘッド12)間のドウェル時間中の媒体の厚さに渡る体積電荷の緩和によって、その後の印字ヘッド12ごとに別々のバイアスをかけることが望ましくなる可能性がある。このことは、媒体の導電性に関する特定のストレス範囲を有する媒体に対して特に望まれる。このような場合、付加的な電界プローブ25(またはESVセンサ)を用いて、それぞれの電極28を別々に調整し、それぞれの印字ヘッド12の下流のインク塗布領域24内の静電荷に個々にバイアスをかける。これにより、それぞれの下流の印字ヘッド12がさらに上流に配置された印字ヘッド12とは異なる最適化レベルを有することができる。好ましい実施形態では、第1の印字ヘッド12の上流の区間に2つまたは3つのESVを配置して、媒体の厚さを貫通する電荷崩壊の率を感知し、この情報を参照テーブルと共に用いて、各印字ヘッド12で電界が低く維持されるよう、その後の印字ヘッド12の下の個々の電極28ごとに好適な異なる電圧レベルを選択する。
【0042】
印字ヘッド12の下の電界は、ベルト16および紙14内の電荷の分布によりかなり程度まで決定される。紙(すなわち、媒体14)およびベルト16内の電荷の分布は、複雑であり(
図6を参照)、ベルトの古さおよび環境条件により変化し得るベルトの導電性、紙の種類および連に渡り変化し得、紙の環境条件の強い関数である紙の導電性など多くの要因に依存する。例えば、電荷伝導およびその他の要因により、媒体14は、その上面(σ
ptop)とその底面(σ
pbottom)とで異なる電荷を持つ可能性があり、ベルト16もその上面(σ
ptop)とその底面(σ
pbottom)とで異なる電荷を持つ可能性がある。これにより印字ヘッドの前の媒体の上方の電圧、およびそれに伴って印字ヘッド12の下の電界を判定することが難しくなる。印字ヘッド12の直前のESVセンサが、媒体14およびベルト16の上の様々な電荷条件を評価し、本発明の調整可能なバイアスシステム10により電界を調整して、媒体14およびベルト16の帯電状態の複雑さとは関係なく印刷ゾーン内に弱い電界を提供する。媒体およびベルトの帯電状態の条件の広い範囲に対して所望の弱い電界状態を実現するために、制御システムを介してバイアスを自動的に調整する。
【0043】
別の例示的な実施形態では、印刷ゾーンの下流に配置される紙上の画像(「IOP」)センサなどのインクセンサを用いて、滴(例えば、方向性)の画質(「IQ」)属性を評価し、それを用いてバイアスを調整することができる。
【実施例】
【0044】
様々な圧盤の設計に対する、ベルトおよび紙内の現実的な電荷の分布(紙およびベルトの帯電ニップ内の空気の絶縁破壊の詳細な模擬実験から得られる)に関する印刷ゾーン内の電界を検証するためにモデルを開発した。このモデルは実験データにより確認された。
【0045】
図7は、接地圧盤および様々なバイアス(0V、100V、1000Vおよび1850V)での、圧盤内に埋め込まれた電極に関する印字ヘッドでの電界を示すグラフである。このグラフにより、印字ヘッドの表面の電界を著しく軽減することができる最適なバイアスが存在することが示される。下の例では、1850Vのバイアスで印刷ゾーン内の電界と軽減してほぼ0なることが観察された。