特許第6184889号(P6184889)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ シャープ株式会社の特許一覧

特許6184889携帯電気器具のバッテリー係脱機構およびこれを備えた電気掃除機
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6184889
(24)【登録日】2017年8月4日
(45)【発行日】2017年8月23日
(54)【発明の名称】携帯電気器具のバッテリー係脱機構およびこれを備えた電気掃除機
(51)【国際特許分類】
   A47L 9/28 20060101AFI20170814BHJP
   A47L 5/24 20060101ALI20170814BHJP
   B25F 5/00 20060101ALI20170814BHJP
   H01M 2/10 20060101ALI20170814BHJP
【FI】
   A47L9/28 U
   A47L5/24 A
   B25F5/00 H
   H01M2/10 E
【請求項の数】5
【全頁数】23
(21)【出願番号】特願2014-38387(P2014-38387)
(22)【出願日】2014年2月28日
(65)【公開番号】特開2015-160071(P2015-160071A)
(43)【公開日】2015年9月7日
【審査請求日】2016年9月23日
(73)【特許権者】
【識別番号】000005049
【氏名又は名称】シャープ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100065248
【弁理士】
【氏名又は名称】野河 信太郎
(74)【代理人】
【識別番号】100159385
【弁理士】
【氏名又は名称】甲斐 伸二
(74)【代理人】
【識別番号】100163407
【弁理士】
【氏名又は名称】金子 裕輔
(74)【代理人】
【識別番号】100166936
【弁理士】
【氏名又は名称】稲本 潔
(74)【代理人】
【識別番号】100174883
【弁理士】
【氏名又は名称】冨田 雅己
(72)【発明者】
【氏名】児玉 健次
【審査官】 梶本 直樹
(56)【参考文献】
【文献】 特開2008−132550(JP,A)
【文献】 特開2012−221780(JP,A)
【文献】 実開昭58−188754(JP,U)
【文献】 特開2005−052552(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A47L 9/28
A47L 5/24
B25F 5/00
H01M 2/10
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
バッテリー駆動式の電気器具本体に設けられる携帯電気器具のバッテリー係脱機構であって、係止部と、弾発部と、係止解除ボタン部と、動作ロック部とを備え、
前記係止部は、電気器具本体に装着されたバッテリーの凹部に係脱可能に係止する係止爪を有し、
前記弾発部は、前記係止爪をバッテリーの凹部に係止させる方向へ弾発的に付勢し、
前記係止解除ボタン部は、前記係止部の方向に押圧されることにより前記弾発部の付勢力に抗して前記係止爪をバッテリーの凹部から離脱させる方向に移動させ、
前記動作ロック部は、電気器具本体の姿勢によってロック方向またはロック解除方向に移動可能に設けられ、
前記動作ロック部が前記ロック方向に移動することにより前記係止部または前記係止解除ボタン部の動作がロックし、かつ前記動作ロック部が前記ロック解除方向に移動することにより前記係止部または前記係止解除ボタン部の動作ロックが解除されるように構成されたことを特徴とする携帯電気器具のバッテリー係脱機構。
【請求項2】
前記係止部と前記弾発部と前記動作ロック部とを収納するケース部をさらに備え、
前記ケース部は、前記動作ロック部を前記係止部と接近離間する方向に移動可能に収納する第1凹部と、前記係止部および前記弾発部を移動可能に収納する第2凹部と、前記第1凹部と前記第2凹部とを連通させる連通孔とを有し、
前記動作ロック部が前記係止部に接近する方向に移動した状態では前記動作ロック部が前記連通孔の位置で前記係止部の動作を阻止し、かつ前記動作ロック部が前記係止部から離間する方向に移動した状態では前記動作ロック部が前記第1凹部へ戻って前記係止部が動作可能となるように構成された請求項1に記載の携帯電気器具のバッテリー係脱機構。
【請求項3】
前記係止部と前記弾発部とを収納するケース部と、このケース部を支持しかつ前記ケース部と協働して前記動作ロック部を移動可能に収納する支持部とをさらに備え、
前記支持部は、前記動作ロック部を前記係止部と接近離間する方向に移動可能に収納する第1凹部を有し、
前記ケース部は、前記係止部および前記弾発部を移動可能に収納しかつ前記支持部側に開口する第2凹部を有し、
前記動作ロック部が前記係止部に接近する方向に移動した状態では前記動作ロック部が前記第2凹部の位置で前記係止解除ボタン部の動作を阻止し、かつ前記動作ロック部が前記係止部から離間する方向に移動した状態では前記動作ロック部が前記第1凹部へ戻って前記係止解除ボタン部が動作可能となるように構成された請求項1に記載の携帯電気器具のバッテリー係脱機構。
【請求項4】
前記ケース部は、前記動作ロック部を前記第2凹部内に収容可能とする凹みを有し、
前記動作ロック部を前記第2凹部内の前記凹みに収容することにより、前記係止解除ボタン部を動作ロックしながら前記動作ロック部を前記係止部と共に移動可能とした請求項3に記載の携帯電気器具のバッテリー係脱機構。
【請求項5】
請求項1〜4のいずれか1つに記載の携帯電気器具のバッテリー係脱機構を備えた電気掃除機。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、姿勢により動作ロックがかかる携帯電気器具のバッテリー係脱機構およびこれを備えた電気掃除機に関する。
【背景技術】
【0002】
ユーザーが手で持って使用するハンディークリーナー、ドライヤー、電動ドライバー等の携帯電気器具ではバッテリー駆動式のものがある。例えば、特許文献1には、バッテリー駆動式のハンディークリーナーが提案されている。
【0003】
特許文献1のハンディークリーナーは、掃除機本体の後部に配置されたハンドルの下部にバッテリーが着脱可能に取り付けられるよう構成されている。具体的には、掃除機本体のハンドル下部に前後方向に延びる案内レールが左右一対設けられ、一方、バッテリーには前記一対の案内レールにスライド可能に係止する係止凸部が設けられている。さらに、掃除機本体の下部には凹部が設けられ、一方、バッテリーには凹部に係脱可能に係止する係止爪を含むバッテリー係脱機構が設けられている。
【0004】
バッテリー係脱機構は、バッテリーの筐体外面に対して突出・引っ込み可能に設けられた前記係止爪と、筐体外面に対して係止爪を突出させる方向に付勢する弾発部材と、取り外しボタンとを備え、取り外しボタンを押すことにより弾発部材の付勢力に抗して係止爪を筐体外面に対して引っ込めて係止爪を凹部から離脱させるように構成されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2013−90959号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
特許文献1のハンディークリーナーにおいて、掃除機本体からバッテリーを取り外す際は、一方の手で掃除機本体を支持し、かつ他方の手で取り外しボタンを押しながらバッテリーを掴んでスライドさせる。この場合、ユーザーはバッテリーをみながら取り外しボタンを押す動作を自然と行うため、ハンディークリーナーが傾いていてもバッテリーが自重で落下することはない。
【0007】
また、バッテリー係脱機構としては、特許文献1の場合と逆構造も考えられる。つまり、この場合、バッテリー側に凹部が設けられ、掃除機本体側に係止爪を含むバッテリー係脱機構が設けられる。
【0008】
掃除機本体側にバッテリー係脱機構を設けたハンディークリーナーにおいて、掃除機本体からバッテリーを取り外す際は、一方の手で掃除機本体を支持しながら取り外しボタンを押し、かつ他方の手でバッテリーを掴んでスライドさせる。この場合、片手で掃除機本体のハンドルを掴みながら取り外しボタンを押すことができるため、ハンディークリーナーが傾いていると、バッテリーを掴んでいなければバッテリーは自重でスライドして案内レールから抜け落ちる。そのため、ユーザーによるこのような取り外し方によってバッテリーが抜け落ちたり、あるいは掃除中に取り外しボタンがユーザーの身体や物に当たって不意にバッテリーが抜け落ちて破損するおそれがある。なお、この問題はバッテリー駆動式のドライヤーや電動ドライバー等の携帯電気器具についても同様である。
【0009】
本発明はこのような課題に鑑みなされたものであり、使用時の携帯電気器具の姿勢により自然に動作ロックがかかってバッテリーの落下防止を行うことができる携帯電気器具のバッテリー係脱機構およびこれを備えた電気掃除機を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
かくして、本発明によれば、バッテリー駆動式の電気器具本体に設けられる携帯電気器具のバッテリー係脱機構であって、係止部と、弾発部と、係止解除ボタン部と、動作ロック部とを備え、
前記係止部は、電気器具本体に装着されたバッテリーの凹部に係脱可能に係止する係止爪を有し、
前記弾発部は、前記係止爪をバッテリーの凹部に係止させる方向へ弾発的に付勢し、
前記係止解除ボタン部は、前記係止部の方向に押圧されることにより前記弾発部の付勢力に抗して前記係止爪をバッテリーの凹部から離脱させる方向に移動させ、
前記動作ロック部は、電気器具本体の姿勢によってロック方向またはロック解除方向に移動可能に設けられ、
前記動作ロック部が前記ロック方向に移動することにより前記係止部または前記係止解除ボタン部の動作がロックし、かつ前記動作ロック部が前記ロック解除方向に移動することにより前記係止部または前記係止解除ボタン部の動作ロックが解除されるように構成された携帯電気器具のバッテリー係脱機構が提供される。
なお、本発明において「係脱」とは、前記係止部の係止爪のバッテリー凹部に対する係止および離脱を意味する。
【0011】
また、本発明の別の観点によれば、前記携帯電気器具のバッテリー係脱機構を備えた電気掃除機が提供される。
【発明の効果】
【0012】
本発明の携帯電気器具のバッテリー係脱機構によれば、使用時の携帯電気器具の姿勢によって動作ロック部がロック方向に移動したときは係止部または係止解除ボタン部の動作がロックするため、係止解除ボタン部を押してバッテリーを掴まずに取り外そうとしても係止解除ボタン部が動作せず、係止解除ボタン部がユーザーの身体や物に当たっても係止解除ボタン部は動作しない。よって、不意にバッテリーが脱落して破損するというトラブルを防止できる。
なお、動作ロック部がロック解除方向に移動するようユーザーが意識的に携帯電気器具を扱うと係止解除ボタン部は動作可能となるため、係止解除ボタン部を押して係止爪をバッテリーの凹部から離脱させてバッテリーを取り外すことができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
図1】本発明の携帯電気器具のバッテリー係脱機構を備えかつブラシ付きノズルが接続された電気掃除機の実施形態1を示す左側面図である。
図2】先細ノズルが接続された実施形態1の電気掃除機の左側面図である。
図3】吸込口体が接続された実施形態1の電気掃除機の左側面図である。
図4】片掛けベルトが取り付けられた実施形態1の電気掃除機の左側面図である。
図5】実施形態1の電気掃除機の使用状態を説明する図である。
図6】実施形態1の電気掃除機の左側断面図である。
図7】実施形態1の電気掃除機の断面図であって(A)は図6のA−A矢視図、(B)図6のB−B矢視図である。
図8】実施形態1の電気掃除機の分解図である。
図9】実施形態1におけるバッテリー装着部であって(A)は平面図、(B)は正面図、(C)は左側面図、(D)は背面図、(E)は右側面図、(F)は底面図である。
図10】実施形態1におけるバッテリー装着部の分解斜視図である。
図11】実施形態1におけるバッテリー装着部の分解断面図である。
図12】実施形態1におけるバッテリーであって(A)は平面図、(B)は正面図、(C)は左側面図、(D)は背面図、(E)は右側面図、(F)は底面図である。
図13】実施形態1におけるバッテリー収容ケースであって(A)は平面図、(B)は正面図、(C)は左側面図、(D)は背面図、(E)は右側面図、(F)は底面図である。
図14】実施形態1におけるバッテリー係脱機構の係止部材であって(A)は平面図、(B)は正面図、(C)は左側面図、(D)は背面図、(E)は右側面図、(F)は底面図である。
図15】実施形態1におけるバッテリー係脱機構のケース部であって(A)は平面図、(B)は正面図、(C)は左側面図、(D)は背面図、(E)は右側面図、(F)は底面図である。
図16】実施形態1におけるバッテリー係脱機構の側断面図である。
図17】実施形態1におけるバッテリー係脱機構における係止部の係止解除状態を示す側断面図である。
図18】実施形態1におけるバッテリー係脱機構の側断面図であって(A)は動作ロック前状態を示し、(B)は動作ロック完了状態を示す。
図19】実施形態1におけるダストカップユニットの分解図である。
図20】実施形態2におけるバッテリー係脱機構の側断面図である。
図21】実施形態2におけるバッテリー係脱機構における係止部の係止解除状態を示す側断面図である。
図22】実施形態2におけるバッテリー係脱機構の側断面図であって(A)は動作ロック前状態を示し、(B)は動作ロック完了状態を示す。
図23】実施形態2におけるバッテリー係脱機構のバッテリー装着状態を示す側断面図である。
図24】実施形態2におけるバッテリー係脱機構の上下反転姿勢を示す側断面図である。
図25】実施形態2におけるバッテリー係脱機構の上下反転姿勢でのバッテリー装着状態を示す側断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
(実施形態1)
図1は本発明の携帯電気器具のバッテリー係脱機構を備えかつブラシ付きノズルが接続された電気掃除機の実施形態1を示す左側面図であり、図2は先細ノズルが接続された実施形態1の電気掃除機の左側面図であり、図3は吸込口体が接続された実施形態1の電気掃除機の左側面図であり、図4は片掛けベルトが取り付けられた実施形態1の電気掃除機の左側面図である。
【0015】
ここで、本明細書において、「前方」とは電気掃除機100の吸込口11a1側(図6参照)を意味し、「左右」は水平状態の電気掃除機100を後方から視たときの「左右」を意味し、「上下」は水平状態の電気掃除機100を前後左右から視たときの「上下」を意味している。なお、「水平状態」とは図6のA−A線を鉛直線としたとき電気掃除機100の状態である。
【0016】
実施形態1における電気掃除機100は、バッテリー係脱機構30を備えた掃除機本体10と、掃除機本体10に着脱可能に装着されるダストカップユニット20およびバッテリーBを備えたコードレス型電気掃除機である。なお、実施形態1では、本発明のバッテリー係脱機構を備えた携帯電気器具としてコードレス型電気掃除機の場合を例示しているが、本発明のバッテリー係脱機構を備えた携帯電気器具はこれに限定されるものではない。
【0017】
この電気掃除機100は、図1に示すようにブラシ付きノズル70を接続したり、あるいは、図2に示すようにブラシ付きノズル70を介して先細ノズル80を接続することにより、ハンディータイプの電気掃除機として使用することができる。
【0018】
さらに、図3に示すようにブラシ付きノズル70および接続パイプ60を介して吸込口体50を接続することによりスティックタイプの電気掃除機として使用することができると共に、肩掛けベルト90を取り付けることによりショルダータイプの電気掃除機として使用することもできる。
【0019】
このような様々な形態で用いられる電気掃除機100は、使用状況によって様々な方向に向けられ、特に図5に示すように、高い位置を掃除する際はバッテリーBが下に向けられる。このとき、バッテリーBが掃除機本体10から不意に脱落しないように本発明のバッテリー係脱機構30は構成されている。
以下、電気掃除機100の全体構成について説明した後、本発明の特徴であるバッテリー係脱機構30について説明する。
【0020】
<掃除機本体>
図6は実施形態1の電気掃除機の左側断面図であり、図7は実施形態1の電気掃除機の断面図であって(A)は図6のA−A矢視図、(B)図6のB−B矢視図であり、図8は実施形態1の電気掃除機の分解図である。
図1図8に示すように、掃除機本体10は、電動送風機Mと、回路基板K、Nと、複数のスイッを有する操作部Sと、電動送風機Mおよび複数のスイッチ等を収納する筐体とを有する。なお、図1では、掃除機本体10にブラシ付きノズル70を介して先細ノズル80が接続されている場合を例示している。
【0021】
掃除機本体10の筐体は、吸込口部材11aと、電動送風機Mを収納する電動送風機カバー11bと、回路基板Kを格納する回路格納部材11cと、吸込口部材11aの後部に組み付けられて電動送風機カバー11bの前方開口部と連結する連結部材11dと、回路格納部材11cの後部に組み付けられるバッテリー収容ケース11eと、一対の左右カバー部材11fと、組み付けられた一対の左右カバー部材11fの上方開口部を施蓋する上カバー部材11gと、上カバー部材11gに取り付けられる下ハンドル部材11h1と、下ハンドル部材11h1に取り付けられる上ハンドル部材11h2とを含み、これらが一体的に組み立てられる。なお、掃除機本体10において、下ハンドル部材11h1と上ハンドル部材11h2とからハンドルhが構成される。
【0022】
ここで、バッテリー収容ケース11eは、後述するバッテリー係脱機構30と協働してバッテリーBを掃除機本体10に着脱可能に装着するバッテリー装着部40の構成部材であり、詳しくはバッテリー装着部として後述する。
【0023】
吸込口部材11aは、筒形の部材であり、前方に開口する前方吸込口11a1と、前方吸込口11a1よりも後方に設けられて上方に開口する排出口11a2と、前方吸込口11a1と排出口11a2とを連通させる内部通風路11a3とを有する。また、吸込口部材11aの上面の前端には、上方へ突出して後方へ折れ曲がったL形の係止突片11a4が設けられている。なお、排出口11a2の開口端縁には気密を保つためにパッキンが設けられている。
【0024】
電動送風機カバー11bは、収納した電動送風機Mの吸引口側および排気口側に配置された前方開口部および複数の小孔からなる後方排気口11b1を有する。
【0025】
回路格納部材11cは、電動送風機Mを収納した電動送風機カバー11bを支持する部材であり、電動送風機Mからの空気流を流通させる複数の小孔からなる通気口11c1が形成された左右側壁および後壁を有している。
【0026】
連結部材11dは、筒部11d1と、筒部11d1の前端に設けられた前フランジ部11d2と、筒部11d1の後端に設けられた後フランジ部11d3とを有する。前フランジ部11d2は、後述するダストカップユニット20のカップカバー24と嵌合するサイズおよび形状に形成されており、カップカバー24との当接部位にはパッキンおよび係止凹部11d4が設けられている。後フランジ部11d3は、電動送風機カバー11bの前記前方開口部と嵌合するサイズおよび形状に形成されており、電動送風機カバー11bとの当接部位にはパッキンが設けられてネジにて連結している。
【0027】
一対の左右カバー部材11fは、吸込口部材11a、電動送風機カバー11b、回路格納部材11c、連結部材11dおよびバッテリー収容ケース11eを左右および下方から覆いかつ支持するように構成されている。一対の左右カバー部材11fは、電動送風機Mに対応する位置に円盤形状部11f1を有しているが、実施形態1の場合、右カバー部材11fの円盤形状部11f1には複数の孔からなる排気口11f2が設けられ、左カバー部材11fの円盤形状部11f1には排気口11f2が設けられていない。この点については後述する。
【0028】
図7(A)および(B)に示すように、上カバー部材11gは、前方または後方から視ると左右両側から中央に向かって下方へ湾曲する凹曲面部11g1を有している。一方、上カバー部材11gの左右両端は一対の左右カバー部材11fの円盤形状部11f1の円弧状の上縁に沿って取り付けられる形状であるため、左右方向から視た凹曲面部11g1の断面形状は円弧状である。
【0029】
また、凹曲面部11g1には、表示部Dおよび運転ランプLが設けられている。表示部Dには、例えば、電池残量、ゴミ詰まり状態(ゴミ捨ての時期)等が表示される。表示部Dおよび運転ランプLは、これらがユーザーから見えやすいように、凹曲面部11g1の左右中央よりも左右一方側に配置される。
【0030】
ハンドル11hは、前後方向に延びる円弧形状に形成されており、電動送風機MおよびバッテリーBの上方位置に配置されている。これにより、筐体におけるハンドル11hの下方にユーザーの手を差し入れる円弧開口部Hが形成される。ハンドル11h、円弧開口部Hおよび凹曲面部11g1は、左右方向から視て、左右カバー部材11fの円盤形状部11f1の中心軸Pを中心とする略同心円状に配置されている(図1参照)。
【0031】
ハンドル11hの下部を構成する下ハンドル部材11h1の前端は上カバー部材11gの前端および連結部材11dの上端と結合し、下ハンドル部材11h1の後端は上カバー部材11gの後端およびバッテリー収容ケース11eの後端と結合する。
この下ハンドル部材11h1の内部には操作部Sの後述する第1〜第4スイッチs1〜s4の図示しない各スイッチ本体および各スイッチ本体と電気的に接続されたリード線が収納されている。
【0032】
ハンドル11hの上部を構成する上ハンドル部材11h2は、下ハンドル部材11h1の上方開口部を覆うカバーであると共に、第1〜第4スイッチs1〜s4の各スイッチ本体の押しボタン部と個別に当接する4個の当接部を構成している。各当接部は、上ハンドル部材11h2の一部に略U形の切れ込みを形成することにより板バネのように上下方向に弾性変形可能に構成されており、ユーザーは当接部を介してスイッチ本体の押しボタン部を押すことにより所定の操作を行うことができる。
【0033】
ハンドル11hと上カバー部材11gによって形成される円弧開口部Hは中心角度αが 100〜140°の円弧形状に形成されており、実施形態1の場合、中心角度αは約130°である。中心角度α100〜140°の範囲で円弧開口部Hを形成することにより、ハンドル11hが大きくなり過ぎず、かつユーザーが握ることができるハンドル11hの前後方向の範囲を十分に確保することができる。
【0034】
図8に示すように、ハンドル11hの上部には前記操作部Sの第1〜第4スイッチs1〜s4が設けられており、例えば、第1スイッチs1は電動送風機MをOFFするスイッチであり、第2スイッチs2は電動送風機をONするスイッチであり、第3スイッチs3は電動送風機を最大入力でONするスイッチであり、第4スイッチs4は後述する吸込口体50(図10参照)の吸込口に設けられたブラシ回転をON/OFFするスイッチである。これらのスイッチは手の親指で押して操作することができる。なお、上ハンドル部材11h2の操作部対応領域には第1〜第4スイッチs1〜s4を表示する粘着シートが貼り付けられている。
【0035】
また、組み付けられた左右カバー部材11fの下面の後部には、左右方向の幅が広いU形のフック掛け部材41が取り付けられている。図3に示すように、掃除が終了した後、壁WのフックFにフック掛け部材41を引っ掛けて電気掃除機100を収納することができる。
また、フック掛け部材41の外周はゴムなどの軟質材が被されており、例えば、電気掃除機100を床面上に置いたときに、バッテリーBが床面に接触することなく浮き上がり、床面への傷付きもなく、バッテリーBが床面に衝突して故障するという不具合を抑制することができる。
【0036】
また、図4に示すように、フック掛け部材41は、肩掛けベルト90を通す孔としても利用できる。この場合、フック掛け部材41の孔とハンドル11hの円弧開口部Hに肩掛けベルトを通し、肩掛けベルトを肩に掛けた状態でハンドル11hを持って電気掃除機100にて掃除することもできる。
【0037】
<バッテリーおよびバッテリー装着部>
図9は実施形態1におけるバッテリー装着部であって(A)は平面図、(B)は正面図、(C)は左側面図、(D)は背面図、(E)は右側面図、(F)は底面図である。また、図10は実施形態1におけるバッテリー装着部の分解斜視図であり、図11は実施形態1におけるバッテリー装着部の分解断面図である。また、図12は実施形態1におけるバッテリーであって(A)は平面図、(B)は正面図、(C)は左側面図、(D)は背面図、(E)は右側面図、(F)は底面図である。また、図13は実施形態1におけるバッテリー収容ケースであって(A)は平面図、(B)は正面図、(C)は左側面図、(D)は背面図、(E)は右側面図、(F)は底面図である。
【0038】
バッテリーBは、略直方体形であり、その左右側面には左右一対の係止凸部b1が設けられ、上面の後端には切欠き状の凹部b2が設けられ、上面の前端側にはスリット状の複数の電極端子b3が設けられている。左右一対の係止凸部b1は前後方向に延びており、これらのうちの少なくとも一方の係止凸部b1(実施形態1では左側の係止凸部b1)は後端部分が上下方向に僅かに屈曲した屈曲部b11を有している。
また、バッテリーBの上面の左右中間位置には前後方向に延びた細長い凸条b4が設けられている。なお、この凸条b4の前後両端には傾斜面が設けられている。
【0039】
バッテリー装着部40を構成するバッテリー収容ケース11eは、上壁11e1、前壁11e2、左右側壁11e3を有する下方および後方開口状の箱形に形成されている。そして、左右側壁11e3の内面には溝状の前後方向に延びる左右一対のガイドレール11e4が形成されており、バッテリー装着時にはこの左右一対のガイドレール11e4に沿ってバッテリーBの左右一対の係止凸部b1がスライド可能に係止する。バッテリーBの少なくとも一方の係止凸部b1に屈曲部b11を設けたことにより、バッテリーBを逆向きにバッテリー装着部40に装着しようとすると屈曲部b11がガイドレール11e4に挿入できないため、バッテリーBの誤装着を防止することができる。なお、屈曲部b11は右の係止凸部b1に設けてもよく、左右両方の係止凸部b1に設けてもよい。
【0040】
また、バッテリー収容ケース11eの上壁11e1の前端側には、バッテリーBの複数の電極端子b3と個別に電気的に接続可能な小片形の複数の導電部材11e5が上壁11e1を貫通するようにして設けられている。一方、この上壁11e1の上面には回路基板Nが設置されており、回路基板Nに複数の導電部材11e5が電気的に接続している。なお、図示省略するが、回路基板K、Nは操作部Sの第1〜第4スイッチs1〜s4および電動送風機Mとリード線を介して電気的に接続されている。
【0041】
また、バッテリー収容ケース11eの上壁11e2の後端側はバッテリー係脱機構30が組み付けられる凹部11e6とされており、この凹部11e6の後端には開口部11e7が設けられている。また、凹部11e6の前端には左右一対の突起部11e8が設けられると共に、凹部11e6よりも前方にはボス部11e9が設けられている。
【0042】
[バッテリー係脱機構]
バッテリー収容ケース11e内にバッテリーBが収容された状態において、図5に示すように、電気掃除機100の吸込口側(図5の場合は先細ノズル80側)を水平よりも上方に傾けると、重力によりバッテリーBは一対の係止凸部b1がバッテリー収容ケース11eの一対のガイドレール11e4から滑り落ちようとする。
バッテリー係脱機構30は、このような使用状況でのバッテリーBの脱落防止のために電気器具本体10に設けられ、しかも、誤操作による脱落も防止するよう、次のように構成されている。
【0043】
図14は実施形態1におけるバッテリー係脱機構の係止部材であって(A)は平面図、(B)は正面図、(C)は左側面図、(D)は背面図、(E)は右側面図、(F)は底面図である。また、図16は実施形態1におけるバッテリー係脱機構の側断面図である。
このバッテリー係脱機構30は、係止部31と、弾発部32aと、係止解除ボタン部33と、動作ロック部34とを備え、補助弾発部32bと、ケース部35と、ボタンカバー部36とをさらに備えている。
【0044】
係止部31は、電気器具本体10に装着されたバッテリーBの凹部b2に係脱可能に係止する係止爪31aを有する。
弾発部32aは、係止爪31aをバッテリーBの凹部b2に係止させる方向へ弾発的に付勢するものである。この弾発部32aとして、実施形態1では圧縮バネが用いられているが、これに限定されるものではなく、例えば、板バネを用いてもよい。
【0045】
係止解除ボタン部33は、係止部31の方向に押圧されることにより弾発部32aの付勢力に抗して係止爪31aをバッテリーBの凹部b2から離脱させる方向に移動させる。
動作ロック部34は、電気器具本体10の姿勢によってロック方向またはロック解除方向に移動可能に設けられている。この動作ロック部34として、実施形態1では球体が用いられているが、ロック方向またはロック解除方向に移動可能な形状であれば球体に限定されるものではなく、例えば、正六面体でもよい。
【0046】
さらに詳しく説明すると、係止部31は、前記係止爪31aの上方に連設された斜面部31bと、斜面部31bの上部に設けられて弾発部32aの一端を受ける受け凹部31cと、斜面部31bの前面に設けられて動作ロック部34の下部を受ける受け凹部31dと、受け凹部31dの下方に下方開口状に設けられかつ斜面部31bの下部に開口する開口凹部31eとを有する。なお、斜面部31bは、後方から前方に向かうにつれて下傾斜している。
【0047】
また、係止解除ボタン部33は、上下方向に長いボタン端部33aと、係止部31の斜面部31bに摺接可能にボタン端部33aに連設された接触端部33bと、ボタン端部33aの前面側に設けられて補助弾発部32bの一端を受ける受け凹部33cと、ボタン端部33aの前端外周面に設けられた段部33dとを有する。なお、接触端部33bは、斜面部31bに対して約45°の角度で接触したときに斜面部31bに沿って摺接するよう傾斜した形状に形成されている。
【0048】
係止部31、弾発部32aおよび係止解除ボタン部33をメイン構成部材として備えるバッテリー係脱機構30は、動作ロック部34がロック方向に移動することにより係止部31の動作がロックし、かつ動作ロック部34がロック解除方向に移動することにより係止部31の動作ロックが解除されるように構成されており、これについて詳しくは後述する。なお、実施形態1において、係止部31と係止解除ボタン部33は別部材であるが、係止部31と係止解除ボタン部33は一つの部材で構成されてもよく、これについては実施形態4で後述する。
【0049】
図15は実施形態1におけるバッテリー係脱機構の係止部材カバーであって(A)は平面図、(B)は正面図、(C)は左側面図、(D)は背面図、(E)は右側面図、(F)は底面図である。
ケース部35は、係止部31と、弾発部32aと、動作ロック部34とを収納するケースである。
【0050】
このケース部35は、動作ロック部34を係止部31と接近離間する方向に移動可能に収納する上方開口状の第1凹部35aと、係止部31および弾発部32aを移動可能に収納する下方開口状の第2凹部35bと、第1凹部35aと第2凹部35bとを連通させる連通孔35cと、前方から後方へ向かうにつれて上傾する上端縁を有する第1凹部35aの下部に設けられた傾斜片35dと、第2凹部35bの後方下部を後方に開口させる後方開口部35eとを有する。なお、第1凹部35aの上方開口部は動作ロック部34が抜けでないサイズに形成されている。
【0051】
さらに、ケース部35は、第2凹部35bの上方に設けられて弾発部32aの他端を受ける受け凹部35fと、第2凹部35bの後方の後面に設けられて補助弾発部32bの他端を位置決めする凸部35gと、第1凹部35aの前方に設けられてバッテリー収容ケース11eのボス部11e9の上端と嵌合する孔付き嵌合部35hとを有する。また、傾斜片35dの第2凹部35b側の下端には凹み35iが設けられている(図11参照)。なお、この凹み35iについては実施形態2で後述する。
【0052】
ボタンカバー部36は、係止解除ボタン部33のボタン端部33aを前後スライド可能に挿通させる孔部36a1を有するカバー部36aと、カバー部36aの前端に設けられて係止部材カバー35の後部左右端と連結する左右一対の連結部36bとを有する。カバー部36aにおける孔部36a1の周囲の上半部36a11(図10図11参照)は後半部よりも後方へ少し突出している。これにより、ユーザーがハンドル11hと一緒に係止解除ボタン部33を握っても、上半部36a11の出っ張りが邪魔となって係止解除ボタン部33が奥まで押し込まれることがないため、意図しない係止解除が防止される。
なお、カバー部36aの孔部36a1に挿通された係止解除ボタン部33のボタン端部33aは、その段部33dが孔部36a1の周縁に当接することによって抜け止めされる。
【0053】
このように構成されたバッテリー係脱機構30によれば、バッテリーBをバッテリー収容ケース11eに装着する際、係止部31の係止爪31aは、バッテリーBの上面の凸条b4に摺接しながら押されて引っ込むが、弾発部32aによって外部へ突出する方向に付勢されているため、前方(矢印X1方向)へ移動してきたバッテリーBの凹部b2に係止する(図16参照)。このとき、係止部31の斜面部31bによって係止解除ボタン部33の接触端部33bが後方(矢印X2方向)へ押されるが、補助弾発部32bが係止解除ボタン部33の矢印X2方向への移動を補助している。これにより、弾発部32aの付勢力を係止部31の押圧に集中させて係止爪31aの凹部b2への係止を強固にすることができる。
【0054】
一方、図17に示すように、係止解除ボタン部33のボタン端部33aを前方(矢印X1方向)へ押すことにより、弾発部32の付勢力に抗して係止部31の斜面部31bが押圧されて係止爪31aがケース部35の内部へ引っ込む。これにより係止爪31aがバッテリーBの凹部b2から離脱するため、バッテリーBをバッテリー収容ケース11eから後方(矢印X2方向)へ引き抜くことができる。このとき、係止解除ボタン部33を矢印X1方向へ押すには、補助弾発部32bの付勢力と弾発部32aの付勢力とを合わせた力を上回る押圧力が必要である。これにより、ユーザーの手や物が軽く係止解除ボタン部33に当たった程度では係止爪31aが凹部b2から離脱しないようにすることができる。
【0055】
図16および図17で示すように、バッテリーBが略水平状態にあるとき、傾斜片35dは前方に向かって下傾しているため球体である動作ロック部34は第1凹部35aの前部に位置している。そのため、動作ロック部34は係止部31に対して全く干渉しておらず、バッテリー係脱機構30は非動作ロック状態にある。つまり、係止解除ボタン部33が矢印X1方向へ押されたときに動作することができる状態にある。
【0056】
図18は実施形態1におけるバッテリー係脱機構の側断面図であって(A)は動作ロック前状態を示し、(B)は動作ロック完了状態を示す。
図18(A)に示すように、電気掃除機の使用状況によって傾斜片35dが水平よりも後方へ向かって下傾した状態となると、球体である動作ロック部34は傾斜片35d上を転がって後方の連通孔35cの位置まで移動する。このとき動作ロック部34は動作ロック方向へ移動したことになる。なお、係止部31によって動作ロック部34が第2凹部35b内まで入り込むことはない。
【0057】
この状態において、図18(B)に示すように、係止解除ボタン部33のボタン端部33aを前方(矢印X1方向)へ押すと係止部31が弾発部32a側へ移動しようとする。しかしながら、係止部31の受け凹部31dが動作ロック部34に突き当たり、それによって動作ロック部34は連通孔35cの上縁に突き当たるため、連通孔35cの上縁と受け凹部31dとによって動作ロック部34が挟み込まれた状態となる。この状態はバッテリー係脱機構30の動作ロック状態、つまり、係止解除ボタン部33を矢印X1方向へ押し込むことができない状態にある。よって、不意に係止爪31aがバッテリーBの凹部b2から外れてバッテリーBが脱落するという不具合が防止される。
【0058】
なお、動作ロック部34は前記のように挟み込まれた状態でも大きく凹まないようある程度の硬さを有する材料にて形成されることが好ましい。さらに、動作ロック部34が移動したときにケース部35および係止部31と衝突して発生する音を抑制するために、動作ロック部34を硬質ゴムで形成するか、あるいはケース部35および係止部31における動作ロック部34と接触する部位に布や不織布等を貼り付けてもよい。
【0059】
また、本発明の実施形態では、図16および図17に示すように、球体である動作ロック部34を支持する傾斜片35dは、略水平方向(図面上では左右方向)に対して傾斜している。傾斜片35dの傾斜角度βは約15°であり、この傾斜角度βが約15°を超えるようにバッテリー係脱機構30(掃除機本体10)を傾斜させると、図18に示すように動作ロック部34が移動し始めることになる。
【0060】
係止部31の係止爪31aがバッテリーBの凹部b2から離脱している場合、バッテリー係脱機構30が図18に示すような方向に傾きだすと、バッテリーBが脱落する方向に力が働き、バッテリーBが移動し脱落することになる。しかしながら、バッテリーBが移動する際には、負荷が発生するため少し傾けた程度では脱落することはない。この負荷としては、バッテリーBがスライド移動するためのスライド構造による摩擦がある。また、バッテリーBの電極端子b3と本体側の電極端子(図示なし)とが接続される際に、これらの端子は相互に圧着するよう弾性力を有しており、この弾性力により、バッテリー係脱機構30が図18に示すような方向に少し傾いた程度ではバッテリーBが容易に脱落しないようになっている。
【0061】
したがって、バッテリー係脱機構30がある程度傾いてバッテリーBが実際に脱落する状態になったときに動作ロック部34が移動してロック状態となるようにするために、傾斜角度βを設けている。なお、傾斜角度βは、本実施形態では約15°としているがこれに限定されず、約5〜15°の範囲で広く設定してもよく、上述した摩擦等を考慮して適宜設定してもよい。
【0062】
上述のように係止解除ボタン部33は軽い力では押し込むことができないようになっているが、図5のように電気掃除機100を使用している場合、仮に、動作ロック部34が無く、かつ係止解除ボタン部33が強い力で押されたとすると、バッテリー収容ケース11eからバッテリーBが脱落してユーザーに当たって怪我を負わせたり、バッテリーBが床面に落下して破損するという事故が発生するおそれがある。
【0063】
このような事故が発生しないよう、本発明のバッテリー係脱機構30では、電気掃除機100の吸込口11a1図6参照)を水平よりも上げたときには自動的に係止解除ボタン部33が動作ロック状態に切り換わり、動作ロックされた係止解除ボタン部33に不意に強い押圧力が作用しても係止爪31aがバッテリーBの凹部b2から外れないように構成されている。なお、電気掃除機100を水平に戻せば、図17に示すように動作ロック部34がロック解除方向に移動して係止解除ボタン部33の動作ロックが解除される。
【0064】
<ダストカップユニット>
図19は実施形態1におけるダストカップユニットの分解図である。
ダストカップユニット20は、ダストカップ21と、第1フィルター部22と、第2フィルター部23と、カップカバー24とを備える。
【0065】
ダストカップ21は、底壁21aおよび周囲壁21bを有する円筒形に形成され、その軸心方向一端側に上方開口部を有し、周囲壁21bにおける上方開口部の近傍に流入口21dおよび第1ロック部材21eが設けられている。さらに、ダストカップ21は、底壁21aにおける流入口21dと同じ側に係止凹部21fを有している。
【0066】
第1フィルター部22は、ダストカップ21の上方開口部と気密に嵌合しかつ第2フィルター部23のフィルター本体23aを気密に収容する上部カップ部22aと、上部カップ部22aの中心孔と連通連結する筒状のメッシュフィルター22bと、メッシュフィルター22bの外周に設けられた内筒体22cと、内筒体22cの下端に連結しかつダストカップ21の底面に当接する円筒状支持部22dとを有する。
【0067】
第2フィルター部23は、中心孔を有するプリーツ状のフィルター本体23aと、フィルター本体23aを除塵する除塵機構23bとを有する。実施形態1の場合、フィルター本体23aとして高集塵フィルターが用いられている。また、フィルター本体23aの外周面にはパッキンが設けられている。
【0068】
除塵機構23bは、フィルター本体23aの中心孔に挿入された軸部23b1と、フィルター本体23aの外周部に設けられた環状部23b2と、軸部23b1と環状部23b2とを連結する放射状に設けられた複数の連結部23b3と、各連結部23b3に設けられた複数の当接部23b4とを有する。
【0069】
各連結部23b3にはリブ23b31が設けられており、リブ23b31を手動で回すことによりフィルター本体23aの各山襞に各当接部23b4が衝突してフィルター本体23aが振動し、それによってフィルター本体23aに付着した塵埃が第1フィルター部22の上部カップ部22a内に落下する。
【0070】
実施形態1の場合、当接部23b4は、フィルター本体23aに当接する図示しない弾丸形状の当接部材と、当接部材をフィルター本体23a側に付勢する図示しないコイルスプリングと、当接部材およびコイルスプリングを保持しかつ連結部23b3に連結するホルダ部23b21とを有する。
【0071】
第2フィルター部23を第1フィルター部22の上部カップ部22a内に収容し、かつ上部カップ部22aをダストカップ21の上方開口部に嵌め込んだ後、第2フィルター部23を覆うようにカップカバー24をフィルター本体23aの外周面を介して嵌め込む。なお、上部カップ部22aにフィルター部23が収納されていない場合、カップカバー24が嵌め込めないように上部カップ部22aには忘れ防止機構22fが設けられている。忘れ防止機構22fは、フィルター部23に第2フィルター部23が装着されていない場合、忘れ防止機構22fがカップカバー21の一部に引っ掛かる位置に移動することで、カップカバー21が第1フィルター部22に装着できないようになることで忘れ防止機構として機能する。
【0072】
このカップカバー24は、除塵機構23bを回す際にユーザーの手が差し入れられるよう円形の窓部が設けられている。また、カップカバー24の外周面には、相互に係合した第2ロック部材24dおよび忘れ防止機構22fを収納する囲い部24bが設けられると共に、囲い部24bの反対側には掃除機本体10の係止凹部11d4と係脱可能に係合する係止爪24c1を有する第3ロック部材24cが設けられている。また、カップカバー24の外周面には前記第1ロック部材21eの係合爪と係合する係合凹部22eが設けられている。
【0073】
ダストカップユニット20を掃除機本体10に装着する際は、ダストカップ21の係止凹部21fを掃除機本体10の係止突片11a4に引っ掛けながら、ダストカップユニット20を掃除機本体10の吸込口部材11aに対して平行にさせる。これにより、ダストカップユニット20の第3ロック部材24cの係止爪24c1が掃除機本体10の係止凹部11d4に係止する。このとき、掃除機本体10の吸込口部材11aとダストカップユニット20の流入口21dとがパッキンを介して気密に接続する。一方、第3ロック部材24cを操作して係止爪24c1を係止凹部11d4から離脱させればダストカップユニット20を掃除機本体10から取り外すことができる。
【0074】
<電気掃除機の動作>
図6および図8に示すように、操作部Sの第2スイッチs2または第3スイッチs3をON操作して電動送風機Mを駆動させることにより、図6中の太線矢印に示すように、塵埃等のゴミを含む空気が掃除機本体10の吸込口部材11aの内部を通過してダストカップ21内に流入する。ダストカップ21内に流入した塵埃を含む空気はダストカップ21内を旋回し、それによって大きなゴミは遠心分離されてダストカップ21の底壁21a側へ寄せられる。
【0075】
大きなゴミが取り除かれた空気において、第1フィルター部22のメッシュフィルター22bの網目よりも大きいゴミはダストカップ21内に留まり、網目よりも小さなゴミ(主に塵埃)は空気と共に第2フィルター部23へ向かう。そして、小さなゴミはフィルター本体23aにて捕捉され、ゴミをほぼ含まない空気がフィルター本体23aを通過して電動送風機M内に流入し、電動送風機カバー11bの後方排気口11b1および回路格納部材11cの通気口11c1を通って掃除機本体10の後方のスペースに流入し、右カバー部材11fの排気口11f2から外部に排出される。
【0076】
このとき、排気口11f2は左カバー部材11fに設けられていないため、後方排気口11b1および通気口11c1から排出された空気の大部分を回路基板Nの方へ回り込ませ、それによって回路基板Nを効率よく空冷することができるようにしてもよい。
【0077】
ダストカップ21内のゴミを廃棄する際は、例えば、前述のようにダストカップユニット20を掃除機本体10から取り外し、次いで、除塵機構23bにてフィルター本体23aに付着した塵埃を上部カップ部22aを介してダストカップ21内に落とし込んで清掃する。その後、第1ロック部材21eの係合爪を係合凹部22eから離脱させ、ダストカップ21を第1フィルター部22から分離させて内部のゴミを廃棄する。このとき、図19のようにダストカップユニット20を分解して各部品を清掃してもよい。
【0078】
(実施形態2)
図20は実施形態2におけるバッテリー係脱機構の側断面図であり、図21は実施形態2におけるバッテリー係脱機構における係止部材の係止解除状態を示す側断面図である。また、図22は実施形態2におけるバッテリー係脱機構の側断面図であって(A)は動作ロック前状態を示し、(B)は動作ロック完了状態を示し、図23は実施形態2におけるバッテリー係脱機構のバッテリー装着状態を示す側断面図である。なお、図20図23において、図16図18中の要素と同様の要素には同一の符号を付している。
【0079】
実施形態2のバッテリー係脱機構130は、実施形態1と同一の係止部31、弾発部32a、係止解除ボタン部33および動作ロック部34をメイン構成部材として備え、実施形態1と同一の補助弾発部32b、ケース部35およびボタンカバー部36をサブ構成部材として備えている。さらに、このバッテリー係脱機構130は、メイン構成部材として、ケース部35を支持しかつケース部35と協働して動作ロック部34を移動可能に収納する支持部を備えている。この支持部は、実施形態1と同一のバッテリー収容ケース11eである。
すなわち、実施形態2のバッテリー係脱機構130は、実施形態1のバッテリー係脱機構30と同じ部材によって同じ構造で形成されているが、動作ロック部34の設置箇所が異なっている。なお、支持部としてのバッテリー収容ケース11eとケース部35とは一体化した一つの部材であってもよい。
【0080】
実施形態2の場合、支持部としてのバッテリー収容ケース11eは動作ロック部34を係止部31と接近離間する方向に移動可能に収納する第1凹部を有し、ケース部35は係止部31および弾発部32aを移動可能に収納しかつ支持部側に開口する第2凹部を有する。ここで、図11図20で示すように、バッテリー収容ケース11eの第1凹部とは前記凹部11e1であり、ケース部35の第2凹部とは前記第2凹部35bである。つまり、実施形態2のバッテリー係脱機構130は、ケース部35とバッテリー収容ケース11eとの間のスペースである凹部11e1に球体である動作ロック部34が収納されている。
【0081】
図20および図21に示すように、動作ロック部34が凹部11e1の前部に移動している場合、動作ロック部34は係止部31にも係止解除ボタン部33にも干渉しない。このとき、係止解除ボタン部33を(矢印X1方向に)押すと、係止爪31aがバッテリーBの凹部b2から外れるため、バッテリー収容ケース11eからバッテリーBを後方(矢印X2方向)へ引き抜くことができる。なお、バッテリーBを引き抜く際は、バッテリーBが水平状態(図20)よりも前端がやや下に傾いた状態である方が好ましい。
【0082】
図22(A)に示すように、電気掃除機の使用状況によってバッテリーBが水平よりも後方へ向かって下傾した状態となると、球体である動作ロック部34は凹部11e1内を転がって後方の第2凹部35bの下方位置まで移動して係止部31の開口凹部31e(図14(B)、(F)参照)に嵌り込む。このとき動作ロック部34は動作ロック方向へ移動したことになる。
【0083】
この状態において、図22(B)に示すように、係止解除ボタン部33のボタン端部33aを前方(矢印X1方向)へ押すと係止部31が弾発部32a側へ少し移動する。すると、係止部31の開口凹部31eに嵌り込んだ動作ロック部34が少し持ち上げられるが、係止解除ボタン部33の接触端部33bおよびケース部35の傾斜片35dの下端に動作ロック部34が突き当たる。これにより、係止部31の開口凹部31eと係止解除ボタン部33の接触端部33bとケース部35の傾斜片35dとによって動作ロック部34が挟み込まれた状態となる。この状態はバッテリー係脱機構130の動作ロック状態、つまり、係止解除ボタン部33を矢印X1方向へ押し込むことができない状態にある。よって、不意に係止爪31aがバッテリーBの凹部b2から外れてバッテリーBが脱落するという不具合が防止される。
【0084】
このように、実施形態2のバッテリー係脱機構130は、動作ロック部34が係止部31に接近する方向に移動した状態では動作ロック部34が第2凹部35bの位置で係止解除ボタン部33の動作を阻止し、かつ動作ロック部34が係止部31から離間する方向に移動した状態では動作ロック部34が第1凹部11e6へ戻って係止解除ボタン部33が動作可能となるように構成されている。
【0085】
ところで、実施形態2のバッテリー係脱機構130は、図22(A)に示すように動作ロック部34が動作ロック方向へ移動した状態であるとき、上述のように係止解除ボタン部33を押しても係止爪31aが係止解除するまで動作はしない。しかしながら、取り外されていたバッテリーBをバッテリー装着部40に装着する際、図23に示すように、バッテリーBにて係止爪31aが押し込まれると、係止部31の開口凹部31eに嵌り込んだ動作ロック部34は係止部31と一緒に係止解除する方向に移動する。つまり、動作ロック部34が動作ロック方向へ移動した状態であっても矢印X1方向へのバッテリーBの装着は可能である。このとき、ケース部35の第2凹部35b側に設けられた凹み35iによって動作ロック部34の一部が受けられる(図11参照)。すなわち、凹み35iを設けたことにより、係止解除ボタン部33を動作ロックしながら動作ロック部34を係止部31と共に移動可能としている。
【0086】
図24は実施形態2におけるバッテリー係脱機構の上下反転姿勢を示す側断面図であり、図25は実施形態2におけるバッテリー係脱機構の上下反転姿勢でのバッテリー装着状態を示す側断面図である。
図24図25に示すように、実施形態2のバッテリー係脱機構130は、動作ロック部34が動作ロック方向へ移動し、かつ電気器具本体が上下反転した状態であっても、バッテリーBにて係止爪31aが押し込まれると、係止部31の開口凹部31eに嵌り込んだ動作ロック部34は係止部31と一緒に係止解除する方向に移動するため、上下反転状態であっても矢印X1方向へのバッテリーBの装着は可能である。なお、電池装着部40がほぼ真下に位置した状態(図5参照)のときも同様である。
【0087】
(実施形態3)
実施形態1および2では、バッテリー係脱機構の係止解除ボタン33が後方へ突出した場合を例示したが、係止解除ボタン33を右カバー部材11fから右方向へ突出するようにしてもよく、あるいは係止解除ボタン33を左カバー部材11fから左方向へ突出するようにしてもよい。
【0088】
(実施形態4)
実施形態1および2では、バッテリー係脱機構における係止部31と係止解除ボタン部33が別部材である場合を例示したが、係止部31と係止解除ボタン部33は一つの部材で構成されてもよい。この場合、例えば、両端に係止爪部と押しボタン部を有する棒状部材を用意し、棒状部材の長手方向の略中間位置を支点としてシーソーのように揺動可能に支持部等の構造部材に枢着し、係止爪部がバッテリーの凹部に係止するよう押しボタン部を付勢する位置に弾発部を設置する。そして、動作ロック部がロック方向に移動することにより棒状部材の動作がロックし、かつ動作ロック部材がロック解除方向に移動することにより棒状部材の動作ロックが解除されるように、動作ロック部材を設ける。
【0089】
(まとめ)
本発明の携帯電気器具のバッテリー係脱機構は、バッテリー駆動式の電気器具本体に設けられる携帯電気器具のバッテリー係脱機構であって、係止部と、弾発部と、係止解除ボタン部と、動作ロック部とを備え、
前記係止部は、電気器具本体に装着されたバッテリーの凹部に係脱可能に係止する係止爪を有し、
前記弾発部は、前記係止爪をバッテリーの凹部に係止させる方向へ弾発的に付勢し、
前記係止解除ボタン部は、前記係止部の方向に押圧されることにより前記弾発部の付勢力に抗して前記係止爪をバッテリーの凹部から離脱させる方向に移動させ、
前記動作ロック部は、電気器具本体の姿勢によってロック方向またはロック解除方向に移動可能に設けられ、
前記動作ロック部が前記ロック方向に移動することにより前記係止部または前記係止解除ボタン部の動作がロックし、かつ前記動作ロック部が前記ロック解除方向に移動することにより前記係止部または前記係止解除ボタン部の動作ロックが解除されるように構成されている。
【0090】
本発明の携帯電気器具のバッテリー係脱機構は次のように構成されてもよい。
(1)前記係止部と前記弾発部と前記動作ロック部とを収納するケース部をさらに備え、
前記ケース部は、前記動作ロック部を前記係止部と接近離間する方向に移動可能に収納する第1凹部と、前記係止部および前記弾発部を移動可能に収納する第2凹部と、前記第1凹部と前記第2凹部とを連通させる連通孔とを有し、
前記動作ロック部が前記係止部に接近する方向に移動した状態では前記動作ロック部が前記連通孔の位置で前記係止部の動作を阻止し、かつ前記動作ロック部が前記係止部から離間する方向に移動した状態では前記動作ロック部が前記第1凹部へ戻って前記係止部が動作可能となるように構成されてもよい。
【0091】
このようにすれば、バッテリーの凹部に係止する係止部の動作を直接的にロックすることができる。
【0092】
(2)前記係止部と前記弾発部とを収納するケース部と、このケース部を支持しかつ前記ケース部と協働して前記動作ロック部を移動可能に収納する支持部とをさらに備え、
前記支持部は、前記動作ロック部を前記係止部と接近離間する方向に移動可能に収納する第1凹部を有し、
前記ケース部は、前記係止部および前記弾発部を移動可能に収納しかつ前記支持部側に開口する第2凹部を有し、
前記動作ロック部が前記係止部に接近する方向に移動した状態では前記動作ロック部が前記第2凹部の位置で前記係止解除ボタン部の動作を阻止し、かつ前記動作ロック部が前記係止部から離間する方向に移動した状態では前記動作ロック部が前記第1凹部へ戻って前記係止解除ボタン部が動作可能となるように構成されてもよい。
【0093】
このようにすれば、バッテリーの凹部に係止する係止部の動作を間接的にロックすることができる。この場合、次の(3)のようにしてもよい。
【0094】
(3)前記ケース部は、前記動作ロック部を前記第2凹部内に収容可能とする凹みを有し、
前記動作ロック部を前記第2凹部内の前記凹みに収容することにより、前記係止解除ボタン部を動作ロックしながら前記動作ロック部を前記係止部と共に移動可能としてもよい。
このようにすれば、動作ロック部が係止解除ボタン部の動作をロックする位置にあっても係止部は動作可能であるため、電気器具本体にバッテリーを装着することができる。
【0095】
なお、開示された実施の形態は、全ての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は上述の説明ではなくて特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味及び範囲内での全ての変更が含まれることが意図される。
【符号の説明】
【0096】
10 掃除機本体
11e バッテリー収容ケース
11e6 凹部
30、130 バッテリー係脱機構
31 係止部
31a 係止爪
32a 弾発部
33 係止解除ボタン部
34 動作ロック部
35 ケース部
35a 第1凹部
35b 第2凹部
35c 連通孔
100 電気掃除機
B バッテリー
2 凹部
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16
図17
図18
図19
図20
図21
図22
図23
図24
図25