(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0023】
(A)第1の実施形態及び変形実施形態
以下では、本発明の二次電池の第1の実施形態及び変形実施形態について、図面を参照しながら詳細に説明する。
【0024】
以下に説明する各実施形態は、薄膜化した固体型の二次電池(電池部ともいう)を複数個用いて、以下で説明するように並列接続で積層させた積層構造の二次電池である。
【0025】
電池部である二次電池は、第1電極層と第2電極層との間に、少なくとも電子を蓄電する充電層を有するものを広く適用することができる。例えば、電池部とする二次電池は、正極と負極との間に無機固体質の電解質を有する全固体リチウム二次電池や、
図3に例示する固体型二次電池等を用いることができる。この実施形態では、後者の固体型二次電池を用いる場合を例示する。
【0026】
また、以下において、単層とは、積層構造の二次電池を構成するための構成単位をいう。
【0027】
(A−1)二次電池の説明
図1は、電池部である二次電池の構造を示す説明図である。
図1に示すように、二次電池1は、第1電極層3と第2電極層4との間に挟まれた充電層2を有し、各層を薄膜化した固体型のものである。各層が薄膜化されているので、二次電池1はシート状からなっている。
図1では、第1電極層3は負電極の層であり、第2電極層4は正電極の層であるものとする。
【0028】
図1の例では、二次電池1が基材5上に取り付けられ、第1電極層3及び第2電極層4にそれぞれ、負極端子6及び正極端子7が取り付けられている状態を示している。
【0029】
なお、
図1では、二次電池1が基材5上に取り付けられている状態を示すが、基材5は二次電池1の動作原理に寄与するものではない。つまり、二次電池1は、充電層2が第1電極層3及び第2電極層4に挟まれており、負極端子6及び正極端子7が第1電極層3及び第2電極層4に取り付けられていればよい。
【0030】
図1に例示する二次電池1は、光励起構造変化を利用して繰り返し充電及び放電を行うことができる量子電池である。量子電池とは、金属酸化物の光励起構造変化を利用して、バンドギャップ中に新たなエネルギー準位を形成して電子を捕獲する動作原理に基づく電池をいう。
【0031】
充電層2は、充電動作で電子を蓄え、放電動作で蓄電電子を放出し、充放電がなされていない状態で電子を保持(蓄電)している層であり、光励起構造変化技術が適用されて形成されている。
【0032】
ここで、光励起構造変化は、例えば、国際公開WO/2008/053561に記載されており、その出願の発明者である中澤明氏(本願の発明者でもある)が見出した現象(技術)である。すなわち、中澤明氏は、所定値以上のバンドギャップを持つ半導体であって透光性をもつ金属酸化物が、絶縁被覆された状態で有効な励起エネルギーを与えられると、バンドギャップ内に電子不在のエネルギー準位が多数発生することを見出した。量子電池は、これらのエネルギー準位に電子を捕獲させることで充電し、捕獲した電子を放出させることで放電するものである。
【0033】
量子電池の場合、第2電極層4は、電極本体層4Aと、充電層2に接するように形成されたp型金属酸化物半導体層4Bとを有する。p型金属酸化物半導体層4Bは、電極本体層4Aから充電層2への電子の注入を防止するために設けられている。
【0034】
第1電極層3と第2電極層4の電極本体層4Aとは、導電層として形成されたものであれば良い。
【0035】
充電層2は、絶縁被膜で覆われたn型金属酸化物半導体の微粒子が、第1電極層3に対して薄膜状に付着され、n型金属酸化物半導体が紫外線照射によって光励起構造変化を起こし、電子を蓄えることができるように変化したものである。
【0036】
以下に説明する二次電池は、
図1に示す単独の量子電池として機能するものを複数利用したものである。二次電池の形状は、矩形である場合を例示するが、矩形に限定されるものではなく、円形、楕円形、六角形等の他の形状であってもよい。
図1に示す量子電池の第1電極層3及び第2電極層4の膜厚は10nm〜1μm程度にでき、充電層2の膜厚は50nm〜10μm程度にできる。
【0037】
以下に例示する二次電池が量子電池を適用するものである場合、上述したように、量子電池は充電層が完全な固体で構成されている。そのため、充電層が液体電解質でなる二次電池の場合と異なり、量子電池は液体電解質を封じこむための密閉構造を必要としない。また、最近研究成果が報告されている全固体リチウム二次電池のように粒状電解質を用いることもない。そのため、二次電池として量子電池を適用する場合、膜構造の作成が容易であり、かつ、層構造だけで電池が構成できる。その結果、比較的、自由な形状に加工することができる点で従来の二次電池に対して有利である。
【0038】
(A−2)並列接続の積層構造
次に、
図1の電池部である二次電池1を複数個用いて並列接続させた積層構造を、図面を参照しながら説明する。
【0039】
(A−2−1)第2電極層4を向かい合わせた並列接続の交互積層構造
図7は、2個の二次電池1の第2電極層4を向かい合わせにして隣接接続させて並列接続の積層構造を示す断面図である。
【0040】
図8は、
図7に示す構造を単層として、この単層を複数個用いて並列接続の交互積層構造を示す断面図である。
【0041】
図7に示す単層10Aは、2個の二次電池1を、並列接続させた積層構造である。
図7に示すように、2個の二次電池1のうち、一方の二次電池1は、負極端子7−1と正極端子6との間に挟み込まれ、他方の二次電池1は、正極端子6と負極端子7−2との間に挟み込まれた構造をしている。
【0042】
ここで、一方の二次電池1と他方の二次電池1は、それぞれの第2電極層4が向かい合うようにして正極端子6に接続されている。すなわち、
図7において、一方の二次電池1は、負極端子7−1から正極端子6に向けて、第1電極層3、充電層2、第2電極層4の順となり、また、他方の二次電池1は、正極端子6から負極端子7−2に向けて、第2電極層4、充電層2、第1電極層3の順となる。
【0043】
また、一方の二次電池1及び他方の二次電池1のそれぞれの第1電極層3は、負極端子7−1及び7−2と配線接続されている。
【0044】
図8に示す並列接続の積層10Bは、
図7に示す3個の単層10Aを積層させた構造である。
【0045】
ある単層10Aに別の単層10Aを積層させる場合、ある単層10Aの負極端子7−2の上に、別単層10Aの負極端子7−1が積層される。このような構造であってもよいが、この実施形態では、さらに容積を小さくするために、
図8に示すように、積層される単層10A間の2個の負極端子7−1及び7−2を1個の負極端子7とする。
【0046】
なお、
図8では、負極端子7が第1電極層3の全面に亘って接続している場合を例示するが、電子を授受することができればよいので、負極端子7が第1電極層3の少なくとも一部に接続するようにしてもよい。また、正極端子6も、同様の理由から第2電極層4の少なくとも一部に接続していればよい。
【0047】
二次電池1の電圧がV
0であり、電流容量がI
0とした場合、
図8の積層10Bの電圧V
10BはV
10B=V
0であり、積層数Nが6層であるから、
図8の積層10Bの電流容量I
10BはI
10B=N × I
0=6 × I
0となり、並列接続することで電流容量が大きくなる。
【0048】
図7及び
図8に示すような構造とすることで、従来のように、並列接続としたときに、負極端子と正極端子との間に絶縁体を設ける必要がなくなるので、その分、電池の容積が小さくなり、単位容積当たりの電流容量が向上する。
【0049】
なお、
図8では、3個の単層10Aを積層させた場合を例示するが、2個又4個以上の単層10Aを積層させるようにしてもよい。
【0050】
(A−2−2)第2電極層4を向かい合わせ、第1電極層3が負極端子を兼ねた並列接続の交互積層構造
図9は、2個の二次電池1の第2電極層4を向かい合わせに隣接接続させて並列接続の積層構造を示す断面図である。
【0051】
図10は、
図9に示す構造を単層として、この単層を複数個用いて並列接続の交互積層構造を示す断面図である。
【0052】
図9に示す単層20Aは、
図7に示す引き出し用の負極端子7−1及び7−
2を、第1電極層3が兼ねた場合の構成である。すなわち、
図9において、2個の二次電池1は、第2電極層4が向かい合うようにして、2個の二次電池1が正極端子6を挟ん
だ構造である。一方の二次電池1の第1電極層3−1は、
図7の引き出し用の負極端子7−1に相当し、他方の二次電池1の第1電極層3−2は、
図7の負極端子7−2に相当する。
【0053】
従って、
図9の単層20Aは、
図7の単層10Aに比べて、引き出し用の負極端子7−1及び7−2の分だけ容積が小さくなる。
【0054】
図10に示す並列接続の積層20Bは、3個の単層20Aを積層させた構造である。
【0055】
ある単層20Aに別の単層20Aを積層させる場合、ある単層20Aの第1電極層3−2の上に、別単層20Aの第1電極層3−1が積層される。このような構造であってもよいが、この実施形態では、さらに容積を小さくするために、
図10に示すように、積層される単層20A間の2個の第1電極層3−1及び3−2を1個の第1電極層3とする。
【0056】
図10において、第1電極層3は引き出し用の負極端子7に相当する。そのため、
図10の積層20Bは、第1電極層3が負極端子7に配線接続するように、第1電極層3は一方向に延設されている。
【0057】
二次電池1の電圧がV
0であり、電流容量がI
0とした場合、
図10の積層20Bの電圧V
20BはV
20B=V
0であり、積層数Nが6層であるから、
図10の積層20Bの電流容量I
20BはI
20B=N × I
0=6 × I
0となり、並列接続することで電流容量が大きくなる。
【0058】
図9及び
図10に示すような構造とすることで、
図7及び
図8の構造と同様に、負極端子と正極端子との間に設ける絶縁体が不要となることに加え、更に、積層する負極端子7−1及び7−2の分だけ更に小さくすることができ、単位容積当たりの電流容量も向上する。
【0059】
(A−2−3)第1電極層3を向かい合わせた並列接続の交互積層構造
図11は、2個の二次電池1の第1電極層3を向かい合わせに隣接接続させて並列接続の積層構造を示す断面図である。
【0060】
図12は、
図11に示す構造を単層として、この単層を複数個用いて並列接続の交互積層構造を示す断面図である。
【0061】
図11に示す単層30Aは、正極端子6−1と負極端子7との間に一方の二次電池1を挟み込み、負極端子7と正極端子6−2との間に他方の二次電池1を挟み込んだ構造をしている。
【0062】
ここで、単層30Aは、一方の二次電池1と他方の二次電池1のそれぞれの第1電極層3同士がお互いに向き合うようにして、負極端子7を挟んだ構造である。一方の二次電池1の第1電極層3と他方の二次電池1の第1電極層3はそれぞれ隣接接続しており、一方の二次電池1の第2電極層4と他方の二次電池1の第2電極層4は正極端子6−1及び6−2と配線接続されている。
【0063】
図11に示すように、単層30Aは、正極端子6−1と負極端子7との間に挟まれる一方の二次電池1は、正極端子6−1から負極端子7に向けて、第2電極層4、充電層2、第1電極層3の順となるようにする。また、負極端子7と正極端子6−2との間に挟まれる他方の二次電池1は、負極端子7から正極端子6−2に向けて、第1電極層3、充電層2、第2電極層4の順となるようにする。
【0064】
図12に示す並列接続の積層30Bは、3個の単層30Aを積層させた構造である。
【0065】
ある単層30Aに別の単層30Aを積層させる場合、ある単層30Aの正極端子6−2の上に、別単層30Aの正極端子6−1が積層される。このような構造であってもよいが、この実施形態では、さらに容積を小さくするために、
図12に示すように、積層される単層30A間の2個の正極端子6−1及び6−2を1個の正極端子6とする。
【0066】
二次電池1の電圧がV
0であり、電流容量がI
0とした場合、
図12の積層30Bの電圧V
30BはV
30B=V
0であり、積層数Nが6層であるから、
図12の積層30Bの電流容量I
30BはI
30B=N × I
0=6 × I
0となり、並列接続することで電流容量が大きくなる。
【0067】
図11及び
図12に示す構造とすることで、
図7及び
図8の構造と同様に、並列接続としたときに、負極端子と正極端子との間に絶縁体を設ける必要がなくなるので、その分容積が小さくなり、単位容積当たりの電流容量が向上する。
【0068】
(A−2−4)第1電極層3を向かい合わせ、第2電極層4が正極端子を兼ねた並列接続の交互積層構造
図13は、2個の二次電池1の第1電極層3を向かい合わせに隣接接続させて並列接続の積層構造を示す断面図である。
【0069】
図14は、
図13に示す構造を単層として、この単層を複数個用いて並列接続の交互積層構造を示す断面図である。
【0070】
図13に示す単層40Aは、
図11に示す引き出し用の正極端子6−1及び6−2を、第2電極層4が兼ねた場合の構成である。すなわち、
図13において、2個の二次電池1は、第1電極層3が向かい合うようにして、2個の二次電池1が負極端子7を挟ん
だ構造である。一方の二次電池1の第2電極層4−1は、
図11の引き出し用の正極端子6−1に相当し、他方の二次電池1の第2電極層4−2は、
図11の正極端子6−2に相当する。
【0071】
従って、
図13の単層40Aは、
図11の単層30Aに比べて、引き出し用の正極端子6−1及び6−2の分だけ容積が小さくなる。
【0072】
図14に示す並列接続の積層40Bは、3個の単層40Aを積層させた構造である。
【0073】
ある単層40Aに別の単層40Aを積層させる場合、ある単層40Aの第2電極層4−2の上に、別単層40Aの第2電極層4−1が積層される。このような構造であってもよいが、この実施形態では、さらに容積を小さくするために、
図14に示すように、積層される単層40A間の2個の第2電極層4−1及び4−2を1個の第2電極層4とする。
【0074】
図14において、第2電極層4は引き出し用の正極端子6に相当する。そのため、
図14の積層40Bは、第2電極層4が正極端子6に配線接続するように、第2電極層4は一方向に延設されている。
【0075】
二次電池1の電圧がV
0であり、電流容量がI
0とした場合、
図14の積層40Bの電圧V
40BはV
40B=V
0であり、積層数Nが6層であるから、
図14の積層40Bの電流容量I
40BはI
40B=N × I
0=6 × I
0となり、並列接続することで電流容量が大きくなる。
【0076】
図13及び
図14に示すような構造とすることで、負極端子と正極端子との間に設ける絶縁体が不要となることに加え、更に、積層する正極端子6の分も更に小さくすることができ、単位容積当たりの電流容量も向上する。
【0077】
また、
図14に示す並列積層構造とすることで、並列接続の積層40Bを形成する製造負担も軽減される。すなわち、
図14の積層40Bは、第2電極層4を一方向に延設させるようにして二次電池1を製造すればよく、単層40Aを積層させる際に、延設させた第2電極層4を正極端子6に接続させるだけで完成できる。
【0078】
(A−2−5)直接交互積層構造
図15は、直接交互積層構造を形成する単層構造を示す断面図である。
図15では、2種類の単層構造を示す。
図15(A)に示す単層50Aは、延設した第1電極層3に充電層2及び第2電極層4が形成された構造である。
図15(B)に示す単層50Bは、延設した第2電極層4に充電層2及び第1電極層3が形成された構造である。
【0079】
ここでは、
図15(A)及び
図15(B)に示す2種類の単層50Aと単層50Bを、交互に直接積層して、並列接続の積層構造を形成する。
【0080】
図16及び
図17は、
図15に示す2種類の単層50A及び50Bを交互に積層した直接交互積層構造を示す断面図である。
図16と
図17に示す積層は、単層50A及び単層50Bの積層順序が異なる。
【0081】
図16の積層50Cは、下から、単層50A、単層50B、単層
50A、単層
50B、…の順で合計6層を積層させた構造である。
【0082】
図16において、単層50Aの第1電極層3は一方向に延設されているので、負極端子7と接続できるようになっている。すなわち、引き出し用の負極端子は不要である。同様に、単層50Bの第2電極層4も一方向に延設されているので、正極端子6と接続できるようになっており、引き出し用の正極端子は不要である。
【0083】
図17の積層50Dは、下から、単層50B、単層50A、単層50B、単層50A、…の順で合計6層を積層させた構造である。この場合も、単層50Aの第1電極層3と単層50Bの第2電極層4とが一方向に延設されて負極端子7と正極端子6に接続しているので、引き出し用端子が不要であり、その分、積層構造の電池の全容量が小さくなる。
【0084】
(A−3)第1の実施形態及び変形実施形態の効果
以上のように、上述した各実施形態によれば、第1電極層3及び第2電極層4の間に充電層2を有する複数の二次電池1を用いて、各二次電池1の第1電極層3又は第2電極層4がお互いに向かい合うようにして隣接接続し、第2電極層4又は第1電極層3を配線接続して、並列接続とすることで、従来必要だった絶縁層が不要となるので、その分、電池の全容量が小さくなり、単位容積当たりの電流容量が向上する。
【0085】
また、積層構造の二次電池の製造工程では、シート状の二次電池1を所定サイズに切断したものを積層させていき積層構造を形成することが考えられる。従って、面積を同じにした積層構造を形成することができる。更に、シート状の二次電池1に欠陥部分が生じた場合でも、その欠陥部分を避けて、同じ面積の積層構造を形成することができる。
【0086】
(B)第2の実施形態
次に、本発明の二次電池の第2の実施形態を、図面を参照しながら説明する。
【0087】
第1の実施形態では、負極端子7や正極端子6、第1電極層3や第2電極層4を基材として二次電池1を形成し、これらを単層とした積層構造を説明した。
【0088】
これに対して、第2の実施形態は、
図1に示すように基材5に二次電池1を取り付けたものを用いた並列積層構造を説明する。
【0089】
(B−1)二次電池1が基材5に取り付けられた場合の並列接続の交互積層構造
図18は、二次電池1が基材5に取り付けられた場合の並列接続の交互積層の単層構造を示す断面図である。
【0090】
図18に示す単層60Aは、例えば、ポリイミド等の絶縁体からなる基材(支持体)5に、第1電極層3、充電層2及び第2電極層4の順序でなる二次電池1を取り付け、第2電極層4に正極端子6を接続させた構造である。
【0091】
また、第1電極層3は基材5に取り付けられているので、第1電極層3に負極端子7を接続するために、取り付けられている基材5と共に第1電極層3を一方向に延設し、その延設した部分に負極端子7を内側から配線接続させる。すなわち、
図18において、延設された第1電極層3の上面部に負極端子7が接続するようにする。
【0092】
なお、
図18では、第2電極層4の全面に亘って正極端子6が接続されている場合を例示するが、第2電極層4の一部に正極端子6が接続されるようにしてもよい。
【0093】
図19は、二次電池1が基材5に取り付けられたものを2個用いて並列接続させた積層構造を示す断面図である。
【0094】
図19の積層60Bは、基材5に取り付けた二次電池1のそれぞれの第2電極層4同士がお互いに向かい合うようにして、正極端子6を挟んだ構造である。正極端子6は、それぞれの第2電極層4と接続しており、電子を授受することができる。また、負極端子7は、上述したように、延設された第1電極層3に接続しており、電子を授受することができる。
【0095】
図20は、
図19で示す単層60Bを複数用いた並列接続の積層構造を示す断面図である。
図20に示す並列接続の積層60Cは、3個の単層60Bを積層させた構造である。
【0096】
(B−2)二次電池が基材に取り付けられた場合の並列接続の交互積層構造
図21は、二次電池が基材に取り付けられた場合の並列接続の交互積層の単層構造を示す断面図である。
図21に示す単層70Aは、例えば、ポリイミド等の絶縁体からなる基材(支持体)5に、第
1電極層
3、充電層2及び第1電極層3の順序でなる二次電池1を取り付け、第2電極層4に負極端子7を接続させた構造である。
【0097】
また、第2電極層4は基材5に取り付けられているので、第2電極層4に正極端子6を接続するために、取り付けられている基材と共に第2電極層4を一方向に延設し、その延設した部分に正極端子6を内側から配線接続させる。すなわち、
図21において、延設された第2電極層4の上面部に正極端子6が接続するようにする。
【0098】
なお、
図21では、第1電極層3の全面に亘って負極端子7が接続されている場合を例示するが、第1電極層3の一部に負極端子7が接続されるようにしてもよい。
【0099】
図22は、基材5に取り付けられた二次電池1を2個用いて並列接続させた積層構造を示す断面図である。
【0100】
図22の積層70Bは、2個の二次電池1のそれぞれの第1電極層3同士がお互いに向かい合うようにして、負極端子7を挟んだ構造である。負極端子7は、それぞれの第
1電極層
3と接続しており、電子を授受することができる。また、正極端子6は、上述したように、延設された第2電極層4に接続しており、電子を授受することができる。
【0101】
図23は、
図22で示す単層70Bを複数用いた並列積層構造を示す断面図である。
図23に示す並列接続の積層70Cは、3個の単層70Bを積層させた構造である。
【0102】
(C)第3の実施形態
次に、本発明の二次電池の第3の実施形態について図面を参照しながら説明する。
【0103】
第3の実施形態は、直列接続による積層構造と、並列接続による積層構造とを組み合わせた積層構造である。
【0104】
(C−1)直列接続と並列接続の組み合わせ構造
図24は、
図15に例示した2種類の単層50A及び50Bを用いて、直列接続の積層構造と並列接続の積層構造とを組み合わせた積層構造を示す断面図である。
【0105】
図24では、3個の直列接続と2個の並列接続とを組み合わせた積層構造を例示している。すなわち、
図24において、
図15(A)に例示する単層50Aを用いた3層の直列接続の積層に、
図15(B)に例示する単層50Bを用いた3層の直列接続の積層を並列接続させる。この並列接続を2個形成している。
【0106】
なお、
図15(A)の単層50Aを直列接続させた積層構造を第1電池群、
図15(B)の単層50Bを直列接続させた積層構造を第2電池群ともいう。
【0107】
図24の積層80Aの場合、二次電池1の電圧がV
0で、単層の電流容量がI
0であるとすると、積層80Aの電圧V
80AはV
80A=3×V
0となり、積層80Aの電流容量I
80AがI
80A=2×I
0となる。すなわち、直列接続の積層とすることで、電圧値を大きくすることができ、更に並列接続の積層とすることで、電流容量も大きくすることができる。
【0108】
また、
図24の積層80Aは、第1電極層3及び第2電極層4への引き出し電極は、第1電極層3及び第2電極層4を延設させて、負極端子7及び正極端子6に接続させるようにしている。これにより、負極端子7及び正極端子6が、第1電極層3及び第2電極層4に接続して電子を授受することができる構造としている。
【0109】
なお、
図24に例示する積層80Aは、直列接続と並列接続の組み合わせ構造の一例である。
図24では、単層50A及び単層50Bの直列接続の積層数を3層としたが、これに限定されるものではない。また、並列接続の積層数を2個としたが、これに限定されるものではない。
【0110】
また、積層する単層50A及び50Bの積層順序が逆であってもよい。例えば、
図24では、単層50Aの直列接続の積層に、単層50Bの直列接続の積層を載せた場合を例示するが、逆に単層50Bの直列接続の積層に、単層50Aの直列接続を載せた場合でもよい。
【0111】
(D)第4の実施形態
図25は、
図15に示す単層50A及び50Bを環状にし、単層50Aと単層50Bとが交互に同心円状に配置させて形成した積層構造を示す図である。
【0112】
図25に示す積層90は、一番内側に、単層50Aが環状に巻かれ、その外側に単層50Bが環状に巻かれ、更に単層50Bの外側に単層50Aが環状に巻かれるというように、単層50Aと単層50Bが交互に巻かれる。
【0113】
一番内側の単層50Aは、第2電極層4が内側となるようにして巻かれる。一番内側の単層50Aは、棒状正極端子に巻きつけるようにしてもよいし、単層50Aの第2電極層4が正極端子と配線接続できるのであれば棒状正極端子がない状態であってもよい。
【0114】
なお、一番内側の単層が単層50Bであり、第1電極層3が内側となるようにして巻いてもよい。この場合、内側の第1電極層3が配線接続できるように、棒状負極端子に単層50Bが巻きつけるようにしてもよいし、棒状負極端子がなくても配線接続できるようにすればよい。
【0115】
一番内側の単層50Aの外側に巻かれる単層50Bは、自身の第1電極層3が内側の単層50Aの第1電極層3と向かい合うように、内側の単層50Aの外側に巻かれる。また、単層50Bと内側の単層50Aの第1電極層3は引き出し線を介して負極端子と接続する。
【0116】
同様に、単層50Bの外側に巻かれる単層50Aは、自身の第2電極層4が内側の単層50Bの第2電極層4と向かい合うようにして巻かれる。また、単層50Aと内側の単層50Bの第2電極層は引き出し線を介して正極端子と接続する。
【0117】
なお、さらに環状の単層50Aや単層50Bを外側に巻く場合も、上記と同様に、内側の単層50A又は単層50Bの第1電極層3又は第2電極層4と、外側の単層50B又は単層50Aの第1電極層3又は第2電極層4とが向かい合い並列接続となるように形成する。
【0118】
また、
図25に示す積層90Aは、積層構造の断面が同心円状に積層されたものを例示したが、積層構造の断面が楕円であってもよいし扁平であってもよい。
【0119】
(E)第5の実施形態
次に、本発明の二次電池の第5の実施形態を、図面を参照しながら詳細に説明する。
【0120】
上述した第1〜第4の実施形態では、電池部である二次電池を並列接続で積層させた積層構造の例を説明した。これに対して、第5の実施形態では、第1〜第4の実施形態と同様に単位容積当たりの電流容量を向上させつつ、積層する電池部の形状に特徴を有する。形状に特徴を有する電池部を第1〜第4の実施形態のように積層させることにより、単位容積当たりの電流容量を向上させながら、電極層から電子を取り出す引き出し部を確保した積層構造を実現できる。
【0121】
図26は、第5の実施形態に係る二次電池1を示す説明図である。
図26は、
図1に例示する構造を有する二次電池1を上から見た図であり、第5の実施形態の二次電池1はL字形状をしている。
【0122】
図27は、
図26の二次電池を直列接続させたときの構造を説明する説明図である。
図28は、直列接続させた二次電池の積層構造の断面図である。
【0123】
図27は、説明を簡単にするために、2個の二次電池1−1及び二次電池1−2を直列接続させる場合を例示するが、積層数は特に限定されるものではない。
図27の例の場合、
図28に示すように、二次電池1−1及び1−2は両方とも、下から、第1電極層3、充電層2、第2電極層4の順となる。
【0124】
図27に示すように、例えば、シート状の二次電池1−2を同一平面上で反時計回りに90度回転させて、二次電池1−1の上に積層させる。そうすると、積層の下にある二次電池1−1と、積層の上にある二次電池1−2との関係において、非重複部分が露出することになる。この非重複部分は、第1電極層3又は第2電極層4から電子を取り出す引き出し部100とすることができる。
【0125】
図29は、
図26の二次電池を並列接続させたときの構造を説明する説明図である。
図29の場合も、2個の二次電池1−1及び1−2を並列接続させる場合を例示するが、積層数は特に限定されるものではない。
図30は、並列接続させた二次電池の積層構造の断面図である。
【0126】
図29に示すように、2個の二次電池1−1及び1−2を並列接続させる場合、
図30に示すように、二次電池1−1は、下から、第1電極層3、充電層2、第2電極層4の順となり、二次電池1−2は、下から、第2電極層4、充電層2、第1電極層3の順となる。
【0127】
このように二次電池1−1及び1−2を並列接続させる場合でも、
図29に示すように、例えば、二次電池1−2を同一平面上で反時計回りに90度回転させて、二次電池1−1の上に積層させると、積層の下にある二次電池1−1と積層の上にある二次電池1−2との関係において、非重複部分が露出することになる。この非重複部分は、第1電極層3又は第2電極層4から電子を取り出す引き出し部100とすることができる。
【0128】
図27の直列接続の場合と
図29の並列接続の場合とのいずれの場合も、非重複部分である引き出し部100は、積層構造とする二次電池全体の外形の内側に存在する。つまり、
図26に示すL字形状の二次電池1をシート平面上で90度ずつ回転させたものを積層させていくことで、第1電極層3又は第2電極層4から電子を取り出す引き出し部100が、積層構造の外形の内側に形成される。二次電池の積層構造は、第1〜第4の実施形態で説明した構造を適用できる。そうすると、第1〜第4の実施形態と同様に、積層構造の二次電池全体の電流容量を向上させたまま、第1電極層3又は第2電極層4から電子を取り出す引き出し部100を確保することができる。また、
図24で例示したような、直列接続の積層構造と並列接続の積層構造とを組み合わせた積層構造とすることもできる。
【0129】
また、複数個の二次電池1を直列接続で積層構造とする場合、及び又は、複数個の二次電池1を並列接続で積層構造とする場合、電圧と電流容量を任意に調整することができる。
図26の形状の二次電池1を積層させる場合、積層させる各二次電池1の引き出し部100から電子を取り出すことができるため、電圧や電流容量の調整が可能となる。
【0130】
第5の実施形態では、二次電池1が
図26に示すようなL字形状である場合を例示する。しかし、二次電池1の形状はL字形状に限定されるものではない。つまり、複数個の二次電池1を積層させたときに、積層の上にある二次電池1と積層の下にある二次電池との間で、積層構造の外形の内側に、非重複部分が生じ得る形状であれば良い。例えば、二次電池は、直角三角形等の三角形であっても良いし、T字形状であっても良いし、U字形状等であっても良い。
【0131】
(F)他の実施形態
(F−1)第1〜第5の実施形態で説明した積層構造の二次電池の積層数は、特に限定されるものではない。上述したように、積層数が多くなると、積層構造の二次電池の電流容量I
1(I
1=N × I
0)は大きくなるが、その分、積層構造の二次電池の容量も大きくなる。従って、二次電池の使用される用途や利用態様等に応じて、積層数を適宜決定することができる。
【0132】
(F−2)第1〜第5の実施形態では、説明便宜上、単層構造及び積層構造の断面図を用いて説明したが、第1〜第5の実施形態で例示した単層構造及び積層構造は一例であり、各図面で示した構造に限定されるものではない。
【0133】
例えば、第1〜第5の実施形態では、負極端子及び正極端子が、積層構造の両端に存在する場合を例示したが、負極端子及び正極端子が積層構造の両端に存在している必要はない。つまり、各二次電池の第1電極層、第2電極層に電子を授受させることができる位置に、負極端子及び正極端子が存在していればよい。例えば、
図8では、負極端子及び正極端子が左右に設けられたものを示したが、紙面の法線方向の手前及び奥側に負極端子及び正極端子を設けるようしても良く、又負極端子を紙面の左に、正極端子を紙面の法線方向の手前に設ける等としても良い。また、負極端子及び正極端子は、板状のものであっても良いし、又は棒状のものであっても良く、また、1つの部材に限定されず、複数の部材が紙面の法線方向に配列されたものであっても良い。上記各実施形態では、複数の単層電池を上下に並設(積層)する場合を示したが、複数の単層電池を左右に併設するようにしてもよい。
【0134】
(F−3)第1〜第5の実施形態では、第1電極層及び又は第2電極層に電子を授受させるための引き出し用の電極は、第1電極層及び又は第2電極層の全面に接続している場合を例示したが、第1電極層及び又は第2電極層の一部に接続していても良い。
【0135】
(F−4)単層の形成プロセスは、特に限定されるものではなく種々の方法を適用することができる。
【0136】
(F−5)第1〜第5の実施形態において、二次電池は、固体型の二次電池を想定して説明した。第1電極層と第2電極層との間の充電層は、有機系の固体物であってもよいし、無機系の固体物であってもよい。
【0137】
(F−6)第1〜第3の実施形態では、二次電池が平面であるものを例示したが説明したが、二次電池は平面に限定されるものでない。例えば断面が円弧のように曲率を持った二次電池を用いて、上述した第1〜第3の実施形態で説明した積層構造を形成するものであってもよい。