(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6184958
(24)【登録日】2017年8月4日
(45)【発行日】2017年8月23日
(54)【発明の名称】高精度ヒータおよびその動作方法
(51)【国際特許分類】
H01L 21/683 20060101AFI20170814BHJP
【FI】
H01L21/68 N
【請求項の数】35
【全頁数】18
(21)【出願番号】特願2014-528598(P2014-528598)
(86)(22)【出願日】2012年8月30日
(65)【公表番号】特表2014-529910(P2014-529910A)
(43)【公表日】2014年11月13日
(86)【国際出願番号】US2012053117
(87)【国際公開番号】WO2013033381
(87)【国際公開日】20130307
【審査請求日】2015年7月28日
(31)【優先権主張番号】61/635,310
(32)【優先日】2012年4月19日
(33)【優先権主張国】US
(31)【優先権主張番号】61/528,939
(32)【優先日】2011年8月30日
(33)【優先権主張国】US
【前置審査】
(73)【特許権者】
【識別番号】500157653
【氏名又は名称】ワトロウ エレクトリック マニュファクチュアリング カンパニー
(74)【代理人】
【識別番号】100089462
【弁理士】
【氏名又は名称】溝上 哲也
(74)【代理人】
【識別番号】100129827
【弁理士】
【氏名又は名称】山本 進
(72)【発明者】
【氏名】パタシェンスキー、ケビン
(72)【発明者】
【氏名】スミス、ケビン、ロバート
(72)【発明者】
【氏名】スワンソン、カル、トーマス
(72)【発明者】
【氏名】シュミッド、フィリップ、スティーブン
(72)【発明者】
【氏名】ノスラティ、ムハンマド
(72)【発明者】
【氏名】リンドレイ、ジェイコブ
(72)【発明者】
【氏名】ボールド、アレン、ノーマン
(72)【発明者】
【氏名】ジャン、サンホン
(72)【発明者】
【氏名】ステインハウザー、ルイス、ピー.
(72)【発明者】
【氏名】グリマード、デニス、スタンレー
【審査官】
中田 剛史
(56)【参考文献】
【文献】
特開平11−111823(JP,A)
【文献】
特開2002−373862(JP,A)
【文献】
特開平09−270454(JP,A)
【文献】
特開2003−123943(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01L 21/683
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
少なくとも一つの抵抗発熱体と、少なくとも一つの機能領域を含むベース機能層と、
前記ベース機能層に固定され、第1の面と前記第1の面に対向する第2の面を含み、前記ベース機能層が前記第1の面側に設けられる基板と、
前記ベース機能層との間に前記基板が配置されることになるように、前記ベース機能層の反対側である前記基板の前記第2の面に固定され、前記ベース機能層における領域の数より多い数の複数の領域を有しており、前記ベース機能層よりも少ない熱を発生するチューニング層と、
前記基板の前記第2の面に隣接した前記チューニング層に固定した構成要素と、を含む装置において、
前記基板は、前記ベース機能層からの熱が、前記基板の前記第1の面から前記基板の前記第2の面へ、次いで前記チューニング層及び前記構成要素へ、散逸することを許容する熱伝導率を有し、
前記チューニング層は、前記構成要素の熱損失または熱変動を補うことにより、前記ベース機能層によって前記構成要素に適用される加熱プロファイルを調整することを特徴とする装置。
【請求項2】
前記ベース機能層および前記チューニング層のうちの少なくとも一つが温度センサであることを特徴とする請求項1に記載の装置。
【請求項3】
前記構成要素は、チャック、ペデスタル、ウェハテーブル、基板支持部材およびシャワーヘッドからなる群から選択されることを特徴とする請求項1に記載の装置。
【請求項4】
前記ベース機能層および前記チューニング層のうちの少なくとも一つがヒータおよび温度センサのいずれとしても機能するように、前記ベース機能層および前記チューニング層のうちの少なくとも一つが十分なTCR特性を有する抵抗材料から成ることを特徴とする請求項1に記載の装置。
【請求項5】
前記ベース機能層および前記チューニング層のうちの少なくとも一つが前記基板の熱膨張率(CTE)に適合させたCTEを有することを特徴とする請求項1に記載の装置。
【請求項6】
前記構成要素の上面に固定した二次チューニング層を更に含む請求項1に記載の装置。
【請求項7】
複数のチューニング層を更に含むことを特徴とする請求項1に記載の装置。
【請求項8】
前記ベース機能層と前記チューニング層との間に配置されており電源ラインを取り回すための内部キャビティを構成するルーティング層を更に含むことを特徴とする請求項1に記載の装置。
【請求項9】
前記ベース機能層および前記チューニング層のうちの少なくとも一つが前記構成要素の周辺部に配置されていることを特徴とする請求項1に記載の装置。
【請求項10】
前記チューニング層の近傍に配置されており、前記チューニング層の前記領域のそれぞれに適合する複数のテーパ状キャビティを構成し、更に複数の電力ビアを含む上側部材と、
前記上側部材に隣接して設けられており、前記上側部材の前記テーパ状キャビティに適合する複数の逆テーパ状キャビティを構成し、複数の前記上側部材の前記電力ビアに連通する複数の電力ビアを更に含む下側部材と、を更に含み、
制御素子が、前記下側部材の前記逆テーパ状キャビティ内に配置されておりかつ前記ベース機能層および前記チューニング層のうちの少なくとも一つと接続されていることを特徴とする請求項1に記載の装置。
【請求項11】
前記制御素子がデジタルバスを介して通信することを特徴とする請求項10に記載の装置。
【請求項12】
前記ベース機能層が複数の熱電素子を含むことを特徴とする請求項1に記載の装置。
【請求項13】
前記熱電素子は領域内に設けられていることを特徴とする請求項12に記載の装置。
【請求項14】
前記熱電素子が冷却板の上に配置されていることを特徴とする請求項12に記載の装置。
【請求項15】
ベースプレートと、
前記ベースプレートに固定されており少なくとも一つの抵抗発熱体と、少なくとも一つの領域を含むベースヒータと、
前記ベースヒータに固定され、第1の面と前記第1の面に対向する第2の面を含み、前記ベースヒータが前記第1の面側に設けられる基板と、
前記ベースヒータとの間に前記基板が配置されることになるように、前記ベースヒータの反対側である前記基板の前記第2の面に固定されており、前記ベースヒータにおける領域の数より多い数の複数の領域を有しており、前記ベースヒータよりも少ない熱を発生するチューニングヒータと、
前記基板の前記第2の面に隣接した前記チューニングヒータに固定したチャックと、を備えるヒータにおいて、
前記基板は、前記ベースヒータからの熱が、前記基板の前記第1の面から前記基板の前記第2の面へ、次いで前記チューニングヒータ及び前記チャックへ、散逸することを許容する熱伝導率を有し、
前記チューニングヒータは、前記チャックの熱損失または熱変動を補うことにより、前記ベースヒータによって前記チャックに適用される加熱プロファイルを調整することを特徴とするヒータ。
【請求項16】
前記ベースヒータおよび前記チューニングヒータのうちの少なくとも一つがヒータおよび温度センサのいずれとしても機能するように、前記ベースヒータおよび前記チューニングヒータのうちの少なくとも一つが十分なTCR特性を有する抵抗材料から成ることを特徴とする請求項15に記載のヒータ。
【請求項17】
前記ベースヒータおよび前記チューニングヒータのうちの少なくとも一つが積層構造を構成することを特徴とする請求項15に記載のヒータ。
【請求項18】
前記ベースヒータおよび前記チューニングヒータのうちの少なくとも一つがポリイミドヒータを構成することを特徴とする請求項15に記載のヒータ。
【請求項19】
隣接するチューニングヒータの抵抗性回路からオフセットした位置に設けた抵抗性回路を構成する複数のチューニングヒータを更に含むことを特徴とする請求項15に記載のヒータ。
【請求項20】
隣接するベースヒータの抵抗性回路からオフセットした位置に設けた抵抗性回路を構成する複数のベースヒータを更に含むことを特徴とする請求項15に記載のヒータ。
【請求項21】
前記チャックの上面に固定した二次チューニング層を更に含むことを特徴とする請求項15に記載のヒータ。
【請求項22】
複数のチューニング層を更に含むことを特徴とする請求項15に記載のヒータ。
【請求項23】
前記ベースヒータが、前記ベースヒータの回路トレース間に配置した複数の支持要素を含むことを特徴とする請求項15に記載のヒータ。
【請求項24】
前記支持要素が分割構造を構成していることを特徴とする請求項23に記載のヒータ。
【請求項25】
前記ベースヒータおよび前記チューニングヒータのうちの少なくとも一つが前記チャックの周辺部に配置されていることを特徴とする請求項15に記載のヒータ。
【請求項26】
前記チューニングヒータの各領域の近傍に配置された複数のヒートスプレッダを更に含むことを特徴とする請求項15に記載のヒータ。
【請求項27】
前記ヒートスプレッダは、アルミニウム、銅、パイロリティックグラファイト、および窒化アルミニウムからなる群から選択される材料から構成されていることを特徴とする請求項26に記載のヒータ。
【請求項28】
少なくとも一つの抵抗発熱体と、少なくとも一つの機能領域を含むベース機能層と、
前記ベース機能層に固定され、第1の面と前記第1の面に対向する第2の面を含み、前記ベース機能層が前記第1の面側に設けられる基板と、
前記ベース機能層との間に前記基板が配置されることになるように、前記ベース機能層の反対側である前記基板の前記第2の面に固定されており、前記ベース機能層における領域の数より多い数の複数の領域を有しており、前記ベース機能層よりも少ない熱を発生するチューニング層と、
前記基板の前記第2の面に隣接した前記チューニング層に固定した構成要素と、を含むヒータシステムにおいて、
前記基板は、前記ベース機能層からの熱が、前記基板の前記第1の面から前記基板の前記第2の面へ、次いで前記チューニング層及び前記構成要素へ、散逸することを許容する熱伝導率を有し、
前記チューニング層は、前記構成要素の熱損失または熱変動を補うことにより、前記ベース機能層によって前記構成要素に適用される加熱プロファイルを調整し、
前記ヒータシステムはまた、
前記チューニング層と接続された複数のセットの電源ラインと、
前記電源ラインおよび前記チューニング層に電気的に接続されており前記チューニング層における領域に対し選択的制御を行う複数のアドレス可能制御素子と、を有する制御システムをも含むことを特徴とするヒータシステム。
【請求項29】
前記制御素子が閾値電圧スイッチング回路であることを特徴とする請求項28に記載のヒータシステム。
【請求項30】
前記閾値電圧スイッチング回路が半導体スイッチを含むことを特徴とする請求項29に記載のヒータシステム。
【請求項31】
前記閾値電圧スイッチング回路がパッケージとして実装されることを特徴とする請求項29に記載のヒータシステム。
【請求項32】
前記パッケージは特定用途IC(Application Specific Integrated Circuit:ASIC)であることを特徴とする請求項31に記載のヒータシステム。
【請求項33】
前記制御素子が前記構成要素内に組み込まれることを特徴とする請求項28に記載のヒータシステム。
【請求項34】
前記ベース機能層および前記チューニング層のうちの少なくとも一つが温度センサであることを特徴とする請求項28に記載のヒータシステム。
【請求項35】
前記ベース機能層および前記チューニング層のうちの少なくとも一つがヒータおよび温度センサのいずれとしても機能するように、前記ベース機能層および前記チューニング層のうちの少なくとも一つが十分なTCR特性を有する抵抗材料から成ることを特徴とする請求項28に記載のヒータシステム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
(関連出願の相互参照)
本願は、2011年8月30日に出願された米国仮特許出願第61/528,939号および2012年4月19日に出願された米国仮特許出願第61/635,310号の利益を主張するものであり、参照によりその全内容が本明細書に組み込まれる。本願はまた、本願と同時に出願され、本明細書と同一の出願人による、「System and Method for Controlling a Thermal Array」と題しその全内容が参照により本明細書に組み込まれる同時係属出願、および「Thermal Array System」と題しその全内容が参照により本明細書に組み込まれる出願にも関連する。
【0002】
本開示はヒータシステムに関し、特に、半導体処理において用いられるチャックまたはサセプタとしての用途において、熱損失および/または他の変動を補償するために、動作中に正確な温度プロファイルを被加熱物に対して設定することが可能なヒータシステムに関する。
【背景技術】
【0003】
(背景)
本項における説明は本開示に関連する背景に関する情報を提供するためのみのものであり、先行技術を構成するものではない。
【0004】
半導体処理技術において、例えば、処理中に基板(あるいはウェハ)を保持して基板に対し均一な温度プロファイルを設定するために、チャックまたはサセプタが用いられる。
図1は静電チャック用支持アセンブリ10を示す。支持アセンブリ10は、電極14を組み込んで備える静電チャック12と、通常シリコン接着剤である接着剤層18により静電チャック12に対し接合したヒータプレート16とを含む。ヒータプレート16にはヒータ20が固定されている。ヒータ20は、例えばエッチドフォイルヒータであってもよい。このヒータアセンブリは、冷却板22に対し、上記と同様に、通常はシリコン接着剤である接着剤層24により接合されている。基板26は静電チャック12上に配置されており、また基板26を適切な位置に保持する電極14は、静電電力を生じるよう電圧源(図示せず)に接続されている。無線周波数(Radio Frequency:RF)電源またはマイクロ波電源(図示せず)が、支持アセンブリ10を囲むプラズマリアクタチャンバ内において静電チャック12と結合されていてもよい。このように、ヒータ20は、プラズマ強化膜形成またはエッチングを含む、チャンバ内で行う種々の半導体処理工程中に基板26の温度を維持するために必要な加熱を行う。
【0005】
基板26に対する処理のあらゆる段階において、処理中にエッチングする基板26の変動を低減し総処理時間を短縮するためには、静電チャック12に対する温度プロファイルを厳密に制御することが重要である。数ある適用の中でも特に半導体処理技術において、基板上の温度の均一性を向上する装置および方法の改良が現在も求められている。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
(概要)
本開示の一形態において、少なくとも一つの機能領域を含むベース機能層を含む装置が提供される。基板は前記ベース機能層に固定されており、チューニング層は前記ベース機能層の反対側に前記基板に固定されている。前記チューニング層は前記ベース機能層における領域の数より多い数の複数の領域を有しており、ベース機能層よりも少ない電力を有する。構成要素が前記基板の反対側に前記チューニング層に固定されており、前記基板は、前記ベース機能層から必要な量の電力を損失させるための熱伝導率を有する。
【0007】
本開示の他の形態において、ベースプレートと、前記ベースプレートに固定されており少なくとも一つの領域を含むベースヒータとを備えるヒータが提供される。基板は前記ベースヒータに固定されており、チューニングヒータは前記ベースヒータの反対側に前記基板に固定されている。前記チューニングヒータは前記ベースヒータにおける領域の数より多い数の複数の領域を有しており、前記ベースヒータより低い電力を有している。チャックは前記基板の反対側に前記チューニングヒータに固定されており、前記基板は前記ベースヒータから必要な量の電力を損失させるための熱伝導率を有する。
【0008】
更に他の形態において、少なくとも一つの機能領域を含むベース機能層を備えたヒータシステムが提供される。基板は前記機能部材に固定されており、チューニング層は前記ベース機能層の反対側に前記基板に固定されている。前記チューニング層は前記ベース機能層における領域の数より多い数の複数の領域を有しており、前記ベース機能層より低い電力を有している。構成要素は前記基板の反対側に前記チューニング層に固定されており、前記基板は、前記ベース機能層から必要な量の電力を吸収して損失させるための熱伝導率を有する。また、前記チューニング層と接続された複数のセットの電源ラインと、前記電源ラインおよび前記チューニング層とに電気的に接続されておりチューニング層における領域に対し選択的制御を行う複数のアドレス可能制御素子とを有する制御システムが提供される。
【0009】
本開示の更なる適用可能範囲は、本願の記載より明らかとなるであろう。本願における説明および具体例は、例示のみのためのものであり、本開示の範囲を何ら限定するためのものではないことが理解されるべきである。
【図面の簡単な説明】
【0010】
本開示のより良い理解のために、以下の添付の図面を参照して、以下に本開示の種々の形態の例を説明する。
【0011】
【
図1】先行技術における静電チャックの側面図である。
【0012】
【
図2】チューニング層を有しており、本開示の一形態の原理に基づき構成したヒータの部分側面図である。
【0013】
【
図3】チューニング層またはチューニングヒータを有しており、本開示の原理に基づき構成した
図1のヒータの他の形態の分解側面図である。
【0014】
【
図4】例えばベースヒータが4個の領域を含みチューニングヒータが18個の領域を含む、本開示の原理に基づき構成した
図3のヒータの分解斜視図である。
【0015】
【
図5】追加のチューニング層を有しており、本開示の原理に基づき構成した高精度ヒータシステムの他の形態の側面図である。
【0016】
【
図6】互いにオフセットさせた配置による、本開示の他の形態に係る交互に配置したチューニング層の分解斜視図である。
【0017】
【
図7】本開示の一形態に係るヒータのチャックアセンブリの層に組み込まれる制御装置の斜視図である。
【0018】
【
図8】本開示の原理に基づき構成した個別制御可能な発熱体を有するヒータシステムの斜視図である。
【0019】
【
図9】本開示の原理に基づき構成したヒータシステムのビアを示す、
図8の9−9線に沿った断面図である。
【0020】
【
図10】本開示の原理に基づき構成したヒータシステムの上部ベースを示す、
図8の10−10線に沿った部分断面図である。
【0021】
【
図11】本開示の原理に基づき構成したヒータシステムの下部ベースを示す、
図8の11−11線に沿った部分断面図である。
【0022】
【
図12】下部ベースのテーパ状キャビティ内に設けた、本開示の原理に基づき構成した素子を示す、
図11の上面図である。
【0023】
【
図13】二相流体のための流体通路を有するベース部材を備える、本開示の教示に基づき構成した高精度ヒータシステムの他の形態の断面図である。
【0024】
【
図14】本開示の他の形態に基づき構成した複数の支持要素を示す斜視図である。
【0025】
【
図15】本開示の教示に基づく支持要素を示す断面図である。
【0026】
【
図16】本開示の教示に基づく支持要素の拡大平面図である。
【0027】
【
図17】本開示の教示に基づき構成したヒートスプレッダを示す斜視図である。
【0028】
本願明細書に示す図面は例示のみのためのものであり、いかなる形においても本開示の範囲を限定することを目的としていない。
【発明を実施するための形態】
【0029】
(詳細な説明)
以下の説明は、本質的に、単に説明のためのものであり、本開示、適用、または用途を限定するものではない。例えば、本開示の以下に示す形態は、半導体処理における使用、および、場合により静電チャックに用いることを目的とする。しかしながら、本開示に記載のヒータおよびシステムは半導体処理における適用に限らず、種々の適用に採用してよいことが理解されるべきである。
【0030】
図2に示すように、本開示の一形態はヒータ50である。ヒータ50は、ベースヒータ層52を含み、ベースヒータ層52に少なくとも一つのヒータ回路54が埋設されている。ベースヒータ層52は、ベースヒータ層52を通して形成した、ヒータ回路54を電源(図示せず)に接続するための少なくとも一つの開口(またはビア)56を有する。ベースヒータ層52は主な加熱を行い、図に示すように、ヒータ層52の近傍に設けたチューニングヒータ層60は、ヒータ50による熱分配の微調整を行う。チューニング層60は、チューニング層60に埋設した複数の個別の発熱体62を含む。発熱体62は個別に制御できるようになっている。チューニング層60には、複数の個別の発熱体62を電源およびコントローラ(図示せず)に接続するための少なくとも一つの開口64が形成されている。更に、図に示すように、ベースヒータ層52とチューニング層60との間に内部キャビティ68を規定するルーティング層66を配している。ヒータ層開口56を通り延伸する第1の電気リードセット70は、ヒータ回路54を電源に接続する。ベースヒータ層52の開口55に加えルーティング層66の内部キャビティ68を通り延伸する第2の電気リードセット72は、複数の発熱体62を電源に接続する。なお、ルーティング層66は省略可能で、ヒータ50は上述構成に替えてルーティング層66を含まない構成を採用することができると理解すべきであり、この場合、ベースヒータ層52およびチューニングヒータ層60のみを含む。
【0031】
他の形態では、チューニング層60は熱分配の微調整に用いずにチャック12の温度を測定するために用いてもよい。この形態では、温度依存性を有する抵抗回路に、複数の領域特有あるいは固有の位置を設けている。これらの温度センサはそれぞれ多重化切替装置を介し個別に読み取ることができ、例えば、以下により詳細に説明するように、各センサによる測定に必要な信号線の数に比例するより多数のセンサを用いる形態とすることができる。温度検出のフィードバックにより、制御における判断に必要な情報、例えば、裏側の特定領域を冷却するガスの圧力を制御し基板26からチャック12へ流れる熱流束を規制するために必要な情報を提供することができる。これと同様のフィードバックは、補助冷却液熱交換器を介したベース加熱領域54の温度あるいはバランスプレート冷却液の温度(図示せず)の制御のための、ベースヒータ50の近傍に設けた温度センサを置き換えるため、あるいはその数を増やすために用いることもできる。
【0032】
一形態において、ベースヒータ層50およびチューニングヒータ層60は、密閉ヒータ回路54とチューニング層発熱体62から、通常250℃未満の中温に加熱するためのポリイミド材料中に形成されている。更に、熱伝導率を高めるために、このポリイミド材料に別の材料を添加してもよい。
【0033】
他の形態としては、ベースヒータ層50および/またはチューニングヒータ層60は、材料を基板にあるいは特に厚膜、薄膜、熱スプレーまたはゾル−ゲル法に関する処理を用いた他の層に塗布または積層することにより層を形成する層化プロセスにより形成される。
【0034】
一形態において、ベースヒータ回路54はインコネル(登録商標)により形成されており、チューニング層発熱体62はニッケル材料により形成されている。更に他の形態において、チューニング層発熱体62は、素子がヒータおよび温度センサとして機能するように、十分な抵抗温度係数を有する材料により形成される。このような制御は、一般に「二線式制御」と呼ばれる。このようなヒータおよびそれらを形成する材料は、本明細書と同一の譲受人による、その全内容が参照により本明細書に組み込まれる米国特許第7,196,295号および係属中の米国特許出願第11/475,534号に開示されている。
【0035】
上記二線式制御により、本開示の種々の形態は、温度、電力、および/または熱インピーダンスに基づき行う、層発熱体62に対する制御を含む。具体的に、本制御は、熱インピーダンスチューニング層60の個別の素子のそれぞれに加える、掛け算と割り算により第1にはこれらの素子のそれぞれから出力される熱流束に対し同一に対応し、第2には素子温度に対する既知の関係に対応する、電力および抵抗に換算された電圧および/または電流の既知の値あるいは測定値に基づく、温度、電力、および/または熱インピーダンスに基づき行う、層発熱体62に対する制御を含む。これらはともに、チャンバまたはチャックの使用または保守、処理エラー、装置の劣化による物理的変化、およびこれらに限らない原因に基づき生じる領域に特有の熱変化を、オペレータまたは制御システムが検出し補償することができるように、各素子に対する熱インピーダンス負荷を算出および監視するために用いることができる。あるいは、熱インピーダンスチューニング層60の個別に制御される各発熱体に対し、半導体処理中に基板温度を制御するために、基板上の対応する領域において生じベースヒータ層52へと流れる熱流束を後に調整あるいはゲート制御するための、同一のまたは異なる所定の温度の目標抵抗値を設定することができる。
【0036】
一形態において、ベースヒータ50は、例えば、シリコン接着剤、あるいは感圧接着剤でもよい、を用いてチャック51に接着される。したがって、均一または所望の温度プロファイルがチャック51に対し適用され、それにより基板(図示せず)に対しても均一または所望の温度プロファイルが適用されるように、ヒータ層52が主要な加熱を行い、チューニング層60が加熱プロファイルの微調整または調整を行う。
【0037】
本開示の他の形態においては、歪み負荷が加えられた場合にチューニング層発熱体62の温度感度を向上させるために、チューニング層発熱体62の熱膨張率(CTE:Coefficient of Thermal Expansion)をチューニング発熱層基板60のCTEに適合させている。二線式制御のための適切な材料の多くは、温度と歪みの両方に対する抵抗感度を含め、抵抗温度装置(Resistor Temperature Devices (RTDs))と同様の特性を示す。チューニング層発熱体62のCTEをチューニングヒータ層基板60に適合させると、実際の発熱体に生じる歪みが低減する。そして、歪みレベルは動作温度の上昇に伴い上昇する傾向があるため、CTEの適合化は、一層の要因となる。一形態において、チューニング層発熱体62は約15ppm/℃のCTEを有する高純度のニッケル鉄合金であり、それを囲むポリイミド材料は約16ppm/℃のCTEを有する。この形態において、チューニングヒータ層60を他の層に接着する材料は、チューニングヒータ層60をチャック12の他の部材から物理的に分離する弾性特性を示す。同等のCTEを有する他の材料を用いても本開示の範囲を逸脱しないことが理解されるべきである。
【0038】
ここで、
図3〜
図5に、(
図2を参照して概要を上述した)ベースヒータ層とチューニング層との両方を備えるヒータの形態の一例を、参照番号80を付して示す。ヒータ80はベースプレート(冷却板とも呼ぶ)82を含み、一形態におけるベースプレート82は厚さ約16mmのアルミ板である。一形態において、ベースヒータ84は、弾性接着層86を用いてベースプレート82に固定される。弾性接着は、その全内容が参照により本明細書に組み込まれる米国特許第6,073,577号に開示されるものでもよい。本開示の一形態において、基板88は、ベースヒータ84上に設けられており、厚さ約1mmのアルミ材料である。基板88は、必要な量だけ電力をベースヒータ84から損失させるための熱伝導率を有するように設計されている。ベースヒータ84が比較的高い電力を有するので、必要な熱伝導率を備えていない場合、このベースヒータ84は、隣接する構成要素に「証拠」の印(抵抗性回路の痕跡から)を付与し、それによりヒータ系全体の効率を下げる。
【0039】
チューニングヒータ90は、基板88上に設けられ、上述のように弾性接着層94を用いてチャック92に固着されている。一形態において、チャック92は、約2.5mmの厚さを有する酸化アルミニウム材料である。本明細書に記載する材料および寸法は、単に例示のためのものであり、本開示は、本明細書に記載の特定の形態に限らないものであることが理解されるべきである。また、チューニングヒータ90は、ベースヒータ84より低い電力を有し、上述のように、基板88は、チューニングヒータ90に「証拠」の印が付されないように電力をベースヒータ84から損失させる機能を備える。
【0040】
図4はベースヒータ84およびチューニングヒータ90の更なる詳細を示し、図中、ベースヒータ84は、例えば4つの領域を有し、チューニングヒータ90は、例えば18の領域を有する。一形態において、ヒータ80は、寸法450mmのチャックに用いるが、熱分配を高度に調整する能力を有することから、これより寸法の大きいまたは小さいチャックに用いてもよい。また、高精度ヒータ80は、図に示すような積層/平面構成に替えて、チャックの(水平面上の)周辺部(
図4中に領域Pとして示す。)、あるいは
図3にチューニング層90’として示す上下に平行な位置、またあるいはチャック上のもしくはチャックに沿った個別の所定位置、またあるいは他の構成要素の周辺部もしくは構成要素同士の組合せの周辺部に設けてもよい。また更に、高精度ヒータ80は、半導体処理装置内の他の構成要素の内、プロセスキット、チャンバ壁、チャンバ蓋、ガスライン、およびシャワーヘッドに設けてもよい。また、本明細書および図に示すヒータおよび制御システムはいかなる数の装置に採用してもよく、そのため、ここに例示した半導体ヒータチャック装置は本開示の範囲を何ら限定しないと解釈されるべきことが理解されるべきである。
【0041】
本開示はまた、ベースヒータ84およびチューニングヒータ90を加熱機能に限定しないことを考慮している。なお、一つまたは複数のこれら部材はそれぞれ、以下、「ベース機能層」および「チューニング層」とし、あるいは温度センサ層もしくは他の機能部材としてもよく、この場合にも本開示の範囲を逸脱しないことが理解されるべきである。他の機能として、例えば、特に冷却層、あるいは種々の電気的特性などのセンサ入力を受信する診断層を含んでいてもよい。
【0042】
図5に示すように、ヒータ80に含まれる二次チューニング層ヒータ120をチャック12の上面に設けることにより、二重調整能力を付与してもよい。二次チューニング層は、発熱層ではなく温度検出層として用いてもよく、この場合にも本開示の範囲を逸脱しない。したがって、採用するチューニング層ヒータの数は特に限られず、本開示に記載のものに限定されない。
【0043】
他の形態では、ベース機能層は、上述のベースヒータ84の構造とは異なり、複数の熱電素子を含んでいてもよい。また、これらの熱電素子は領域内に設けてもよく、通常、基板または冷却板82上あるいはその近傍に設ける。
【0044】
更に他の形態において、複数のチューニング層は「積層」構成としてもよく、あるいは、垂直方向に配置してもよく、個別の抵抗のトレースが対向する層における隣接した抵抗のトレースからオフセットした位置に配置され、これによりトレース間に存在する隙間を埋めるように構成される。例えば、
図6に示すように、第1のチューニング層130を第2のチューニング層140からオフセットした位置に設け、チューニング層140のトレース142を第1のチューニング層130のトレース134内の隙間132に隣接するよう(逆もまた同様)配置する。他の形態において、隣接層間の隙間を埋めるためあるいはホットスポットを抑制するために、「チェッカーボード」設計を用いてもよい。
【0045】
図7は閾値電圧スイッチング回路を示しており、一形態において、この閾値電圧スイッチング回路は、回路全体の電圧が閾値を超えた場合に電気を一方向に流す個別の固体装置を備えており、またこのスイッチング回路は、ヒータチャック本体に組み込むあるいは取り付けることによりパッケージの形で実装してもよいが、通常はベアダイの金型の構成部品として組み込まれる。他の形態において、制御素子は、図示したように上記の接着層86に組み込まれている。制御素子がヒータのどの要素あるいはアセンブリにおいて組み込まれていても本開示の範囲を逸脱しないことが理解されるべきである。本開示の一形態において、シングルパッケージシリコン制御素子上の閾値電圧スイッチング回路(Application−Specific Integrated Circuit:ASIC)は、あるいはチャックに組み込まれていても取り付けられていてもよい。構成要素のいずれかが動作中に停止した場合に冗長を行うために追加の制御デバイスを用いてもよい。
【0046】
図8〜
図12は、このような制御を実施するための一形態を示す。図において、このヒータシステムの変形例を参照番号200を付して示す。このヒータシステム200は、上述のように半導体処理において基板に対し均一な温度プロファイルを設定するなどにより高度に調整した温度プロファイルを被加熱物に設定するために、個別に制御可能な複数の発熱体202を備えている。発熱体202の動作の更なる詳細は以下に示す。上部ベース204は発熱体202の近傍に設けられており、一形態において、発熱体202は上部ベース204上に配置され、上部ベース204に対し接着したエッチドフォイルあるいは上部ベース204上に設けた層状のヒータである。複数のテーパ状キャビティ206を構成する上部ベース204は、各発熱体の位置に適合するように配置されている。本形態におけるテーパ状キャビティ206は、図に示すように、上壁208およびテーパ状の側壁210を含む。上部ベース204は更に、電源ラインと制御ラインとの間の通路を形成するために、後述のように複数の電源ビア212を備える。
【0047】
下部ベース220は、上部ベース204に隣接しており、上部ベース204のテーパ状キャビティ206の位置に合わせて複数の逆テーパ状キャビティ222を構成する。逆テーパ状キャビティ222は、上記と同様に下壁224およびテーパ側面226から成る。下部ベース220は、上部ベース204の電源ビア212と連通する複数の電源ビア228を更に含み、電源ビア228はまた電源ラインと制御ラインとの間の通路となる。
【0048】
図14に好適に示すように、キャビティ206および222は、発熱体202から冷却板(
図1に要素22として示す)への効率的な熱伝導を得るための、またキャビティおよびその構成要素に対する熱衝撃を低減させることにより性能を維持し発熱体202が設定する温度プロファイルを適切なものとするための形状を有する。したがって、キャビティの「実装面積」は、キャビティの寸法が発熱体202の近傍側において小さくそこから徐々に増加してキャビティ206の周囲の熱流束が冷却板22へ流れるように、また徐々に減少してキャビティ222の周囲の熱流束が冷却板22へ流れるように設計されている。本開示において、キャビティ206および222は他の形状を有していてもよく、上記テーパ状の構成が本開示の範囲を限定するものと解釈してはならないことが理解されるべきである。
【0049】
更に図に示すように、スイッチング素子230および制御素子232の複数の対を、下部ベース220の逆テーパ状キャビティ222内に、複数の発熱体202と連通するように配置している。通常、スイッチング素子230および制御素子232は、必要な温度プロファイルを設定するために、また一適用例においては、半導体処理中に上述のように均一な温度プロファイルを基板に対し設定するために、発熱体202の動作を制御する。より具体的には、一形態において、制御素子は、マイクロプロセッサである。他の形態において、制御素子は、上述のラスタブーストヒータに基づく回路である。一形態において、制御素子232は、発熱体202の温度制御のためにデジタルバス234を介して通信を行う。
【0050】
ヒータシステム200は更に、各制御素子232と接続したマルチプレクサ240を備える。マルチプレクサ240は、各発熱体202に対し、所望の温度プロファイルを得るための適切な制御信号を送信する。一形態において、マルチプレクサ240は、光バス242を介して電源(図示せず)との通信を行う。
【0051】
また、ヒータシステム200は、複数の発熱体202の近傍に設けた複数の個別の温度センサ250を含んでよい。本願において本開示の他の形態として示すのと同様に、変形例において、発熱体202は、抵抗材料がヒータおよび温度センサとして機能するように、十分な抵抗温度係数を有する材料により形成される。
【0052】
静電チャックの適用例において、ヒータシステム200は更にRFフィルタ260を備えており、一形態において、RFフィルタ260はデジタルバス262と接続している。
【0053】
本願に記載のいずれのシステムの温度較正も、まずチューニング層ヒータの個別の抵抗値を一般的な抵抗計を用いて測定することにより実行されてもよい。他の方法においては、他の方法を単独で行うあるいは上述の方法に加えて他の方法を行うことにより、チューニング層発熱体62を、一定の温度に保ちかつ通常の動作におけるパルスにより短時間のみ駆動し、その後抵抗値を算出して制御システムに対し設定する。これと同様の手順を同じ温度あるいは複数の温度において実行し、システムの制御のための較正を行う。
【0054】
図13は、ヒータシステムの他の形態である装置300の概要を示す。本開示の一形態におけるヒータである装置300は、少なくとも一つの流体通路320を有するベース部材310を含む。本形態においては複数の流体通路320を有する例を示すが、本開示の他の形態においては、通路320には、領域(例えば上述のヒータ領域など)を更に設けてもよい。二相流体325を流体通路320内に配し、二相流体325の圧力は、二相流体325がベース部材310を加熱するように制御する。このシステムの更なる詳細は、例えば、その全内容が参照により本明細書に組み込まれる米国特許第7,178,353号および第7,415,835号、ならびに米国出願公開第2010/0076611号に記載されている。通常、これらのシステムにおいて、加圧冷媒としては、凝縮された液体のものおよび気体状態のものを用いている。凝縮された液体は膨張させて気状混合物とし、気体冷媒を加え、圧力に基づき測定し目標温度を得る。このようにすることで、温度補正は、ガス圧の調整により非常に高速で行うことができる。このようなシステムはAdvanced Thermal Sciences社が提供しており、本開示の教示において採用してよい。更に、図に示すように、チューニング層330はベース部材310に固定されており、チューニング層330は複数の領域335を含む。このチューニング層330は上述のチューニング層およびヒータと同様であるので、明確性のためにその詳細な説明をここでは省略する。上述の形態と同様に、チューニング層335の電力はベース部材310よりより低い。そして更に、図に示すように、例えばチャック、ペデスタル、ウェハテーブル、基板支持部材、またはシャワーヘッドなどである構成要素340が、チューニング層330に固定されている。本願中の用法として、「構成要素」は、半導体処理のために直接にあるいは間接にその上にウェハを支持する一切の部材またはアセンブリを意味すると解釈されるべきである。
【0055】
一形態において、チューニング層330はヒータであり、一方、他の形態においては、上記に詳述したように、チューニング層330は温度センサである。これらチューニング層330およびベース部材310は、ヒータおよび温度センサのいずれとしても機能するために十分なTCR特性を有する材料により設計されていてよい。また、二次チューニング層(
図5参照)は構成要素340の上面に固定されており、また、ヒータおよび/または温度センサとして機能するいかなる数のチューニング層も採用してよく、任意の数としても本開示の範囲を逸脱しないことが理解されるべきである。構成要素340の上面に二次チューニング層が固定されている場合、ウェハが間接的に支持され、逆に、ウェハが構成要素340の上面にある場合、直接的に支持される。
【0056】
装置300はまた、多数の電源ラインに対応するため、
図2に示すルーティング層66を備えていてもよい。全図面を参照し本願に記載する追加的特徴は、本開示の流体通路320を有するベース部材310を備える本形態において採用してもよく、この場合にも本開示の範囲を逸脱しない。
【0057】
ここで、
図14〜
図16を参照して、本開示の他の形態においては、本形態ではプレス加工である製造中に必要な平坦度を得るため、複数の指示要素600をチューニングヒータ層とブーストヒータ層との間に設ける。より具体的には、本開示の本形態において、支持要素600は、ヒータ回路を有する銅層602にエッチングされる。
図14に示すように、銅層602のトレース間の間隔が比較的広くなっており、この広い間隔のために、積層は平坦でないあるいは所望の平坦度を有していないものとなっている。平坦度を向上させるため、支持要素600を設けることにより付加構造を設けている。そして、
図16に示すように、支持要素600は「分割」構造を構成しており、すなわち、開口610を間に有する二つの部分602および604から成る。これにより、接着剤620(
図15参照)が各指示要素の間をより均一に流れるように構成している。
【0058】
図17に、チューニングヒータ700の他の形態を示す。図に示すように、個別の素子720全体に対し均一な温度を得るために、各素子720の上部にヒートスプレッダ710を設けている。このヒートスプレッダは、アルミニウムおよび銅ならびにパイロリティックグラファイトシート(Pyrolytic Graphite Sheet:PGS)を含むパイロリティックグラファイトを含むがこれらに限定しない種々の材料により構成することができる。一形態において、ヒートスプレッダ710は、図に示すようにモノリシックであり、厚さが一定となるよう構成している。しかしながら、一体形成した溝あるいは熱ガイド部730を備える他の構成を採用してもよく、この場合にも本開示の範囲を逸脱しないことが理解されるべきである。
【0059】
本願に記載のチューニング層およびヒータのそれぞれは制御システムにより制御されており、そのような制御システムの種々の形態は、本願と同時に出願され、本明細書と同一の譲受人による、「System and Method for Controlling A Thermal Array」と題した同時係属出願および「Thermal Array System」と題した出願において、その更なる詳細が記載されている。通常、この制御システムは、チューニング層と接続した複数のセットの電源ラインと、電源ラインとチューニング層とに電気的に接続した複数のアドレス可能制御素子とを備えており、この制御素子はチューニング層の領域に対し選択的制御を行う。この制御素子は、例えば閾値電圧スイッチング回路でもよく、この閾値電圧スイッチング回路は半導体スイッチでもよい。この閾値電圧スイッチング回路はパッケージとして実装されてよく、例えば特定用途IC(Application Specific Integrated Circuit:ASIC)として実装してよい。更に、制御素子は、上述のように、チャックなどの構成要素内に組み込まれていてもよい。これら制御システムおよび関連するアルゴリズムは、上述の同時係属出願においてその更なる詳細が図を参照して説明されているので、明確性のために本願には含めない。
【0060】
なお、本開示は、本願および添付の図面に実施例として記載した実施形態に限定されない。多種多様な変更を説明したが、当業者の知識にはその一部として更に多くの変更が含まれる。これらの変更、更なる変更、および技術的均等物による一切の代替物は本願明細書および図面に追加してよく、その場合にも本件特許出願における本開示の保護範囲を逸脱するものではない。