特許第6184969号(P6184969)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6184969減圧トンネル創ドレッシング、システムおよび方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6184969
(24)【登録日】2017年8月4日
(45)【発行日】2017年8月23日
(54)【発明の名称】減圧トンネル創ドレッシング、システムおよび方法
(51)【国際特許分類】
   A61M 27/00 20060101AFI20170814BHJP
   A61M 1/00 20060101ALI20170814BHJP
【FI】
   A61M27/00
   A61M1/00 161
【請求項の数】38
【全頁数】19
(21)【出願番号】特願2014-541374(P2014-541374)
(86)(22)【出願日】2012年11月12日
(65)【公表番号】特表2014-534891(P2014-534891A)
(43)【公表日】2014年12月25日
(86)【国際出願番号】US2012064689
(87)【国際公開番号】WO2013071243
(87)【国際公開日】20130516
【審査請求日】2015年11月11日
(31)【優先権主張番号】61/558,642
(32)【優先日】2011年11月11日
(33)【優先権主張国】US
(73)【特許権者】
【識別番号】508268713
【氏名又は名称】ケーシーアイ ライセンシング インコーポレイテッド
(74)【代理人】
【識別番号】110001302
【氏名又は名称】特許業務法人北青山インターナショナル
(72)【発明者】
【氏名】ロビンソン,ティモシー,マーク
(72)【発明者】
【氏名】タウト,エイダン,マーカス
(72)【発明者】
【氏名】ロック,クリストファー,ブライアン
(72)【発明者】
【氏名】クルサード,リチャード,ダニエル ジョン
【審査官】 安田 昌司
(56)【参考文献】
【文献】 国際公開第2010/017437(WO,A1)
【文献】 国際公開第2009/021523(WO,A1)
【文献】 特表2011−507655(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61M 27/00
A61M 1/00
A61F 13/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
トンネル創または瘻孔を治療するための減圧トンネル創ドレッシングにおいて、
独立気泡発泡体から形成されかつ第1閾値より大きい減圧下で膨張するように動作可能な長手方向コア部材と、
マニホールド材料から形成された第1長手方向同心部材であって、前記長手方向コア部材の周囲に同心状に配置され、前記第1閾値より大きい減圧下で圧縮されるように動作可能な第1長手方向同心部材と、
を具備することを特徴とする減圧トンネル創ドレッシング。
【請求項2】
請求項1に記載の減圧トンネル創ドレッシングにおいて、複数の穴を有する非粘着性材料から形成された第2長手方向同心部材をさらに具備し、前記第2長手方向同心部材が、前記第1長手方向同心部材の周囲に同心状に配置され、かつさらに前記第1長手方向同心部材の遠位端を覆っていることを特徴とする減圧トンネル創ドレッシング。
【請求項3】
請求項1または2に記載の減圧トンネル創ドレッシングにおいて、前記マニホールド材料が連続気泡発泡体を含むことを特徴とする減圧トンネル創ドレッシング。
【請求項4】
請求項1、2または3に記載の減圧トンネル創ドレッシングにおいて、前記第2長手方向同心部材が小面のある部材を含むことを特徴とする減圧トンネル創ドレッシング。
【請求項5】
請求項1に記載の減圧トンネル創ドレッシングにおいて、前記減圧トンネル創ドレッシングが、その長さの少なくとも一部に横断面を有し、前記長手方向コア部材が、前記横断面面積の40%から95%の間を構成し、前記第1長手方向同心部材が、前記横断面面積の5%と60%との間を構成していることを特徴とする減圧トンネル創ドレッシング。
【請求項6】
請求項1または1乃至5の何れか一項に記載の減圧トンネル創ドレッシングにおいて、前記減圧トンネル創ドレッシングが初期径D1から第2径D2になるように、減圧下で膨張するように動作可能であり、D2が101%D1以上であることを特徴とする減圧トンネル創ドレッシング。
【請求項7】
請求項1または1乃至6の何れか一項に記載の減圧トンネル創ドレッシングにおいて、前記減圧トンネル創ドレッシングが初期径D1から第2径D2になるように、減圧下で膨張するように動作可能であり、D2が105%D1以上であることを特徴とする減圧トンネル創ドレッシング。
【請求項8】
請求項1または1乃至7の何れか一項に記載の減圧トンネル創ドレッシングにおいて、前記減圧トンネル創ドレッシングに追加の剛性を提供する半剛性内部コア部材をさらに具備することを特徴とする減圧トンネル創ドレッシング。
【請求項9】
請求項1または1乃至8の何れか一項に記載の減圧トンネル創ドレッシングにおいて、前記第2長手方向同心部材の内側に配置された複数の液体導管をさらに具備することを特徴とする減圧トンネル創ドレッシング。
【請求項10】
患者のトンネル創または瘻孔を治療するための減圧システムにおいて、
減圧トンネル創ドレッシングであって、
独立気泡発泡体から形成されかつ第1閾値より大きい減圧下で膨張するように動作可能な長手方向コア部材と、
マニホールド材料から形成された第1長手方向同心部材であって、前記長手方向コア部材の周囲に同心状に配置され、前記第1閾値より大きい減圧下で圧縮されるように動作可能な第1長手方向同心部材と、
を備える減圧トンネル創ドレッシングと、
前記減圧トンネル創ドレッシングの上に封止空間を形成するように患者の皮膚の一部を覆うドレープと、
前記減圧トンネル創ドレッシングに流体結合された減圧源と、
を具備することを特徴とするシステム。
【請求項11】
請求項10に記載のシステムにおいて、前記減圧トンネル創ドレッシングが、複数の穴を有する非粘着性材料から形成された第2長手方向同心部材をさらに備え、前記第2長手方向同心部材が、前記第1長手方向同心部材の周囲に同心状に配置され、かつさらに前記第1長手方向同心部材の遠位端を覆っていることを特徴とするシステム。
【請求項12】
請求項10または11に記載のシステムにおいて、前記マニホールド材料が連続気泡発泡体を含むことを特徴とするシステム。
【請求項13】
請求項11または12に記載のシステムにおいて、前記第2長手方向同心部材が小面のある部材を含むことを特徴とするシステム。
【請求項14】
請求項10または11乃至13の何れか一項に記載のシステムにおいて、前記減圧トンネル創ドレッシングが、その長さの少なくとも一部に横断面を有し、前記長手方向コア部材が、前記横断面面積の40%から95%の間を構成し、前記第1長手方向同心部材が、前記横断面面積の5%と60%との間を構成していることを特徴とするシステム。
【請求項15】
請求項10または11乃至14の何れか一項に記載のシステムにおいて、前記減圧トンネル創ドレッシングが、前記減圧トンネル創ドレッシングが初期径D1から第2径D2になるように、減圧下で膨張するように動作可能であり、D2が101%D1以上であることを特徴とするシステム。
【請求項16】
請求項10または11乃至15の何れか一項に記載のシステムにおいて、前記減圧トンネル創ドレッシングが、前記減圧トンネル創ドレッシングが初期径D1から第2径D2になるように、減圧下で膨張するように動作可能であり、D2が110%D1以上であることを特徴とするシステム。
【請求項17】
請求項10または11乃至16の何れか一項に記載のシステムにおいて、前記減圧トンネル創ドレッシングに追加の剛性を提供する半剛性内部コア部材をさらに具備することを特徴とするシステム。
【請求項18】
請求項10または11乃至17の何れか一項に記載のシステムにおいて、前記第2長手方向同心部材の内側に配置された複数の液体導管をさらに具備することを特徴とするシステム。
【請求項19】
減圧トンネル創ドレッシングを製造する方法において、
第1閾値より大きい減圧下で膨張するように動作可能な独立気泡発泡体から長手方向コア部材を押出成形するステップと、
前記第1閾値より大きい減圧下で圧縮するように動作可能な連続気泡発泡体から第1長手方向同心部材を、前記第1長手方向同心部材が前記長手方向コア部材の周囲に形成されるように押出成形するステップと、
前記第1長手方向同心部材の周囲に第2長手方向同心部材をあてがうステップであって、前記第2長手方向同心部材が複数の穴を有する不浸透性材料を含む、ステップと、
を含むことを特徴とする方法。
【請求項20】
請求項19に記載の方法において、前記第1長手方向同心部材の周囲に第2長手方向同心部材をあてがう前記ステップが、前記第1長手方向同心部材の周囲の材料をラップ加工することと、ホットメルトを使用して前記材料を結合することとを含むことを特徴とする方法。
【請求項21】
トンネル創または瘻孔を治療するための減圧トンネル創ドレッシングにおいて、
マニホールド材料から形成され、かつ第1閾値より大きい減圧下で圧縮されるように動作可能な長手方向コア部材と、
独立気泡発泡体から形成された第1長手方向同心部材であって、前記長手方向コア部材の周囲に同心状に配置され、前記第1閾値より大きい減圧下で膨張するように動作可能な第1長手方向同心部材と、
前記長手方向コア部材および第2長手方向同心部材を流体結合する複数の流体導管と、
を具備することを特徴とする減圧トンネル創ドレッシング。
【請求項22】
請求項21に記載の減圧トンネル創ドレッシングにおいて、複数の穴を有する非粘着性材料から形成された第2長手方向同心部材をさらに具備し、前記第2長手方向同心部材が、前記第1長手方向同心部材の周囲に同心状に配置され、かつさらに前記第1長手方向同心部材の遠位端を覆っていることを特徴とする減圧トンネル創ドレッシング。
【請求項23】
トンネル創または瘻孔を治療するための減圧トンネル創ドレッシングにおいて、
気体が充填される円柱状シェルブラダであって、外面、近位端および遠位端を有する円柱状シェルブラダと、
前記円柱状シェルブラダの前記外面を覆う連続気泡発泡体層と、
を具備し、
前記円柱状シェルブラダの前記遠位端が、前記円柱状シェルブラダ内に折り返されて、減圧に晒されると広がるように動作可能な部分を形成することを特徴とする減圧トンネル創ドレッシング。
【請求項24】
トンネル創または瘻孔を治療するための減圧トンネル創ドレッシングにおいて、
減圧下で膨張するように適合された、独立気泡発泡体から形成された長手方向コア部材と、
マニホールド材料から形成された第1長手方向同心部材であって、前記長手方向コア部材の周囲に同心状に配置されている第1長手方向同心部材と、
を具備することを特徴とする減圧トンネル創ドレッシング。
【請求項25】
請求項24に記載の減圧トンネル創ドレッシングにおいて、複数の穴を有する非粘着性材料から形成された第2長手方向同心部材をさらに具備し、前記第2長手方向同心部材が、前記第1長手方向同心部材の周囲に同心状に配置され、かつさらに前記第1長手方向同心部材の遠位端を覆っていることを特徴とする減圧トンネル創ドレッシング。
【請求項26】
請求項24または25に記載の減圧トンネル創ドレッシングにおいて、前記マニホールド材料が連続気泡発泡体を含むことを特徴とする減圧トンネル創ドレッシング。
【請求項27】
請求項24乃至26の何れか一項に記載の減圧トンネル創ドレッシングにおいて、前記第2長手方向同心部材が小面のある部材を含むことを特徴とする減圧トンネル創ドレッシング。
【請求項28】
請求項24乃至27の何れか一項に記載の減圧トンネル創ドレッシングにおいて、前記減圧トンネル創ドレッシングが、その長さの少なくとも一部に横断面を有し、前記長手方向コア部材が、前記横断面面積の約40%から約95%の間を構成し、前記第1長手方向同心部材が、前記横断面面積の約5%と約60%との間を構成していることを特徴とする減圧トンネル創ドレッシング。
【請求項29】
請求項24乃至28の何れか一項に記載の減圧トンネル創ドレッシングにおいて、前記減圧トンネル創ドレッシングが初期径D1から第2径D2になるように、減圧下で膨張するように動作可能であり、D2が101%D1以上であることを特徴とする減圧トンネル創ドレッシング。
【請求項30】
請求項24乃至28の何れか一項に記載の減圧トンネル創ドレッシングにおいて、前記減圧トンネル創ドレッシングが初期径D1から第2径D2になるように、減圧下で膨張するように動作可能であり、D2が105%D1以上であることを特徴とする減圧トンネル創ドレッシング。
【請求項31】
請求項24乃至30の何れか一項に記載の減圧トンネル創ドレッシングにおいて、前記減圧トンネル創ドレッシングに追加の剛性を提供する半剛性内部コア部材をさらに具備することを特徴とする減圧トンネル創ドレッシング。
【請求項32】
請求項24乃至31の何れか一項に記載の減圧トンネル創ドレッシングにおいて、前記第2長手方向同心部材の内側に配置された複数の液体導管をさらに具備することを特徴とする減圧トンネル創ドレッシング。
【請求項33】
トンネル創または瘻孔を治療するための減圧トンネル創ドレッシングにおいて、
マニホールド材料から形成されかつ第1閾値より大きい減圧下で圧縮されるように動作可能な長手方向コア部材と、
独立気泡発泡体から形成された第1長手方向同心部材であって、前記長手方向コア部材の周囲に同心状に配置され、前記第1閾値より大きい減圧下で膨張するように動作可能な第1長手方向同心部材と、
前記長手方向コア部材に流体結合された、前記第1長手方向同心部材の複数の流体導管と、
を具備することを特徴とする減圧トンネル創ドレッシング。
【請求項34】
請求項33に記載の減圧トンネル創ドレッシングにおいて、第2長手方向同心部材をさらに具備し、前記第2長手方向同心部材が、前記第1長手方向同心部材の周囲に同心状に配置され、かつさらに前記第1長手方向同心部材の遠位端を覆っており、前記流体導管が、前記第2長手方向同心部材に流体結合されていることを特徴とする減圧トンネル創ドレッシング。
【請求項35】
請求項34に記載の減圧トンネル創ドレッシングにおいて、前記第2長手方向同心部材が、複数の穴を有する非粘着性材料から形成されていることを特徴とする減圧トンネル創ドレッシング。
【請求項36】
請求項33乃至35の何れか一項に記載の減圧トンネル創ドレッシングにおいて、前記減圧トンネル創ドレッシングが初期径D1から第2径D2になるように、減圧下で膨張するように動作可能であり、D2が101%D1以上であることを特徴とする減圧トンネル創ドレッシング。
【請求項37】
トンネル創または瘻孔を治療するための減圧トンネル創ドレッシングにおいて、
気体が充填される円柱状シェルブラダであって、外面、近位端および遠位端を有する円柱状シェルブラダと、
前記円柱状シェルブラダの前記外面を覆う連続気泡発泡体層と、
を具備し、
前記円柱状シェルブラダの前記遠位端が、前記円柱状シェルブラダ内に折り返されて、減圧に晒されると広がるように動作可能な部分を形成する
ことを特徴とする減圧トンネル創ドレッシング。
【請求項38】
患者のトンネル創または瘻孔を治療するための減圧システムにおいて、
請求項24乃至37の何れか一項に記載の減圧トンネル創ドレッシングと、
患者の皮膚の一部を覆って、前記減圧トンネル創ドレッシングの上に封止空間を形成するドレープと、
前記減圧トンネル創ドレッシングに流体結合された減圧源と、
を具備することを特徴とする減圧システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願の相互参照
本出願は、開示内容が全体として参照により本明細書に組み込まれる、「REDUCED−PRESSURE,TUNNEL−WOUND DRESSING,SYSTEM,AND METHODS」と題する2011年11月11日に出願された米国仮特許出願第61/558,642号明細書に対する優先権を主張する。
【0002】
本開示は、概して医療システムに関し、より詳細には、ただし限定としてではなく、減圧トンネル創(tunnel−wound)ドレッシング、システムおよび方法に関する。
【背景技術】
【0003】
患者を介護する際に遭遇する1つのタイプの創傷は、トンネル創または洞管(sinus tract)である。トンネル創は、患者の肉の中に開口およびトンネルを有する。トンネル創は、複雑な形状または入り組んだ形状を含むことが多い。本文書を通して使用される「または」は、相互の排他性を必要としない。トンネル創は、創床の上にある場合もあるがない場合もある近位開口を有し、遠位端に底部がある。トンネル創は、皮膚の下の軟組織を通してあらゆる方向に伸びる可能性がある。トンネル創は、トンネル創から滲出物または他の流体を除去することが困難であるために合併症の危険性の原因となる。
【0004】
時に発生する別の医療問題は望ましくない瘻孔(fistula)である。一般論として、「瘻孔」は、膿瘍、中空臓器あるいは器官から体表までまたは1つの中空臓器あるいは器官から別の中空臓器あるいは器官まで至る異常な通路である。形状および関連する流体が、瘻孔の治療を同様に困難にする可能性がある。
【発明の概要】
【0005】
例示的な実施形態によれば、トンネル創または瘻孔を治療するための減圧トンネル創ドレッシングは、独立気泡発泡体から形成されかつ減圧下で膨張するように動作可能な長手方向コア部材と、マニホールド材料から形成された第1長手方向同心部材とを含む。第1長手方向同心部材は、長手方向コア部材の周囲に同心状に配置されている。第1長手方向同心部材は、減圧下で圧縮されるように動作可能である。
【0006】
別の例示的な実施形態によれば、患者のトンネル創または瘻孔を治療するための減圧システムは、減圧トンネル創ドレッシングを含む。減圧トンネル創ドレッシングは、独立気泡発泡体から形成されかつ減圧下で膨張するように動作可能な長手方向コア部材と、連続気泡発泡体から形成された第1長手方向同心部材とを含む。第1長手方向同心部材は、長手方向コア部材の周囲に同心状に配置されている。第1長手方向同心部材は、減圧下で圧縮されるように動作可能である。本システムはまた、減圧トンネル創ドレッシングの上に封止空間を形成するように患者の皮膚の一部を覆うドレープと、減圧トンネル創ドレッシングに流体結合された減圧源とを含む。
【0007】
別の例示的な実施形態によれば、トンネル創または瘻孔を治療する方法は、減圧トンネル創ドレッシングを提供するステップを含む。減圧トンネル創ドレッシングは、独立気泡発泡体から形成されかつ減圧下で膨張するように動作可能な長手方向コア部材と、連続気泡発泡体から形成された第1長手方向同心部材とを含む。第1長手方向同心部材は、長手方向コア部材の周囲に同心状に配置される。第1長手方向同心部材は、減圧下で圧縮されるように動作可能である。本方法は、トンネル創または瘻孔の中に減圧トンネル創ドレッシングを挿入するステップと、減圧トンネル創ドレッシングに減圧を送達して、トンネル縁と減圧トンネル創ドレッシングとの間に密接した接触をもたらすステップとをさらに含む。長手方向コア部材は、減圧下で膨張し、第1長手方向同心部材は圧縮される。本方法は、減圧を解除するステップであって、それにより、減圧トンネル創ドレッシングが収縮し、減圧トンネル創ドレッシングと患者の創縁との間に間隙が形成される、ステップをさらに含む。
【0008】
別の例示的な実施形態によれば、減圧トンネル創ドレッシングを製造する方法は、独立気泡発泡体から長手方向コア部材を押出成形するステップと、連続気泡発泡体から第1長手方向同心部材を、第1長手方向同心部材が長手方向コア部材の周囲に形成されるように押出成形するステップと、第1長手方向同心部材の周囲に第2長手方向同心部材をあてがうステップであって、第2長手方向同心部材が複数の穴を有する不浸透性材料を含む、ステップとを含む。
【0009】
別の例示的な実施形態によれば、トンネル創または瘻孔を治療するための減圧トンネル創ドレッシングは、マニホールド材料から形成されかつ減圧下で圧縮されるように動作可能な長手方向コア部材と、独立気泡発泡体から形成された第1長手方向同心部材とを含む。第1長手方向同心部材は、長手方向コア部材の周囲に同心状に配置さている。第1長手方向同心部材は、減圧下で膨張するように動作可能である。減圧トンネル創ドレッシングは、長手方向コア部材および第1長手方向同心部材を流体結合する複数の流体導管をさらに備えている。
【0010】
別の例示的な実施形態によれば、トンネル創または瘻孔を治療するための減圧トンネル創ドレッシングは、気体が充填される円柱状シェルブラダを含む。円柱状シェルブラダは、外面、近位端および遠位端を有している。減圧トンネル創ドレッシングは、円柱状シェルブラダの外面を覆う連続気泡発泡体層をさらに備えている。円柱状シェルブラダの遠位端は、円柱状シェルブラダ内に折り返されて、減圧に晒されると広がるように動作可能な部分を形成する。
【0011】
例示的な実施形態の他の態様、特徴および利点は、図面および以下の詳細な説明を参照して明らかとなろう。
【図面の簡単な説明】
【0012】
図1図1は、患者の(図示するような)トンネル創または瘻孔を治療するための減圧システムの例示的な実施形態の、一部が断面図で示されている概略図である。
図2図2は、図1の詳細である。
図3A図3Aは、減圧が加えられていない状態で示されている図1図2の減圧トンネル創ドレッシングの横断面図である。
図3B図3Bは、減圧が加えられており、矢印が相対移動を示す、図3Aの減圧トンネル創ドレッシングである。
図4図4は、図1の減圧トンネル創ドレッシングの例示的な実施形態の概略縦側面図である。
図5図5は、図3Aに類似するが、小面のある第2長手方向同心部材が示されている減圧トンネル創ドレッシングの例示的な実施形態の概略横断面図である。
図6A図6Aは、減圧が加えられる前にインサイチュで示されている減圧トンネル創ドレッシングの例示的な実施形態の概略断面図である。
図6B図6Bは、減圧が加えられた状態で示されている図6Aの減圧トンネル創ドレッシングである。
図7図7は、半剛性内部コア部材を含む減圧トンネル創ドレッシングの概略横断面図である。
図8図8は、複数の液体導管を有する減圧トンネル創ドレッシングの別の例示的な実施形態の、一部が断面図で示されている概略斜視図である。
図9図9は、代替実施形態を示す減圧トンネル創ドレッシングの概略横断面図である。
図10A図10Aは、気体が充填されかつ減圧が加えられていない状態で示されている、円柱状シェルブラダを有する、減圧トンネル創ドレッシングの別の例示的な実施形態の概略縦断面図である。
図10B図10Bは、減圧が加えられた状態で示されている図10Aの減圧トンネル創ドレッシングの例示的な実施形態の概略縦断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
例示的な限定しない実施形態の以下の詳細な説明では、実施形態の一部を形成する添付図面を参照する。これらの実施形態は、当業者が本明細書における主題を実施することができるように十分詳細に記載されており、他の実施形態を利用することができること、および本明細書の範囲から逸脱することなく論理構造的変更、機械的変更、電気的変更および化学的変更を行うことができることが理解される。当業者が本明細書に記載されている実施形態を実施するのを可能にするために必要ではない詳細を避けるために、説明は、当業者に既知であるいくつかの情報を省略している場合がある。以下の詳細な説明は、限定する意味で解釈されるべきではなく、例示的な実施形態の範囲は添付の特許請求の範囲によってのみ定義される。
【0014】
本明細書の実施形態は、減圧を使用してトンネル創または瘻孔を治療することを含む。本明細書のドレッシング、方法およびシステムは、トンネルまたは瘻孔内にドレッシングを容易に配置することを可能にし、組織のドレッシングへの付着を回避し、トンネル創に異物が保持されることなく除去することを可能にし、またはトンネルあるいは瘻孔の内面に減圧を均一に加えることができるという点で特に有利であり得る。本明細書に提示するシステム、装置および方法がなければ、ドレッシング内の組織の内部成長、付着、またはドレッシングが除去された後にトンネル内に残る異物に関する問題がある可能性がある。
【0015】
ここで主に図1図4、最初に図1を参照すると、トンネル創104または瘻孔を治療するための減圧トンネル創ドレッシング102を有する減圧治療システム100が提示されている。トンネル創傷104は、開口105を有し、図示するように表皮106、真皮108を通り、皮下組織110内に伸びる場合があり、または創床から伸びる場合がある。減圧トンネル創傷ドレッシング102は、トンネル創104内への挿入を可能にするのに十分堅いが、トンネル創104の経路に一致するのに十分可撓性を有している。これは、トンネル創が、頻繁に起こるように10cmより深く伸びる場合に重要である。減圧トンネル創ドレッシング102は、トンネル創104より直径が小さいようにサイズが決められており、それにより、トンネル創縁114と減圧トンネル創ドレッシング102との間に間隙112(図6A)が存在する。減圧トンネル創ドレッシング102に減圧が加えられると、トンネル創縁114は、減圧トンネル創ドレッシング102の外面116と密接に接触する。密接な接触は、減圧トンネル創ドレッシング102が減圧の影響下で膨張するか、または後述するように、減圧によりトンネル創縁114が減圧トンネル創ドレッシング102まで引っ張られることによる。
【0016】
減圧トンネル創ドレッシング102は、独立気泡発泡体から形成されかつ減圧下で膨張するように動作可能な、長手方向コア部材118を含む。減圧トンネル創ドレッシング102はまた、連続気泡発泡体または他のマニホールド材料から形成された第1長手方向同心部材120も含む。第1長手方向同心部材120は、長手方向コア部材118の周囲122すなわち長手方向部分の外面に同心状に配置されている。第1長手方向同心部材120は、減圧下で圧縮されかつ流体を送るように動作可能である。減圧トンネル創ドレッシング102はまた、細孔またはより大きい開口部であり得る複数の穴を有する非粘着性材料から形成された第2長手方向同心部材124も含むことができる。第2長手方向同心部材124は、第1長手方向同心部材120の周囲126に同心状に配置され、第1長手方向同心部材120の遠位端128をさらに覆っている。これらの構成要素についてはさらに後述する。
【0017】
長手方向コア部材118は、減圧トンネル創ドレッシング102の配置に役立つ剛性を提供する独立気泡発泡体から形成されている。長手方向コア部材118は、トンネル創104(さらに深いトンネル創)内への挿入を容易にするのに十分堅いが、トンネル創104に湾曲または折返しがあってもトンネル創104の経路をたどるのに十分な可撓性がある。長手方向コア部材118は、減圧下で膨張する。言い換えれば、長手方向コア部材118は、減圧のない状態では有効横径がDであるが、長手方向コア部材118の周囲に減圧が加えられると、独立気泡内の捕捉された気体により、長手方向コア部材118が径D(D>D)となるまで膨張する。この膨張は、減圧トンネル創ドレッシング102の外面116とトンネル縁114との間の密接な接触を形成するかまたは形成するのに役立つ。一実施形態では、長手方向コア部材118は、第1閾値減圧より大きい減圧下で膨張することができる。第1閾値減圧を、長手方向コア部材118を形成する独立気泡発泡体の材料特性、たとえば弾性特性、および/または独立気泡発泡体内に保持される気体の組成によって確定することができる。長手方向コア部材118は、減圧トンネル創ドレッシング102の最内部分である。長手方向コア部材を、ポリウレタン、熱可塑性エラストマー、ポリエチレンビニルアセテート(EVA)、ポリイソプレン、ポリスチレンブタジエン、ポリイソブチレン、フルオロポリマー、シリコーンエラストマーまたは他の材料等、弾性発泡材料から形成することができる。
【0018】
第1長手方向同心部材120は、長手方向コア部材118の外側に配置されている。第1長手方向同心部材120は、多孔質の連続気泡発泡体、または減圧および流体を送るように動作可能な他の材料から形成されている。言い換えれば、第1長手方向同心部材120はマニホールドとして機能する。第1長手方向同心部材120を、たとえば、San Antonio,TexasのKCI Inc.から入手可能なGRANUFOAM発泡体、ポリビニルアルコール発泡体、たとえば同様にKCI Inc.から入手可能なWHITEFOAM、ポリウレタン発泡体、ポリビニルアルコール発泡体、連続気泡ポリオレフィン発泡体、熱可塑性エラストマー、ポリエチレンビニルアセテート(EVA)、ポリイソプレン、ポリスチレンブタジエン、ポリイソブチレン、フルオロポリマー、シリコーンエラストマーまたは他の同様の材料から形成することができる。可撓性の維持に役立つように発泡体を可塑化することができる。
【0019】
第2長手方向同心部材124は、減圧トンネル創ドレッシング102の最も外側の部材である。第2長手方向同心部材124は、組織の内部成長を阻止する部材である。第2長手方向同心部材124は、トンネル創104内での減圧トンネル創ドレッシング102の配置を容易にするように滑らかであり得る。第2長手方向同心部材124は、親水性の滑りやすい部材、微多孔性ろ過膜部材、たとえばPTFE部材、GORE材料、穿孔ポリウレタンフィルム、穴のある焼結ポリマー、親水性微多孔性あるいは微細穿孔シリコーンエラストマー、微多孔性あるいは微細穿孔ポリエステル、または親水性特性を与えるようにコーティングまたはプラズマ処理されたアクリル膜であり得る。第2長手方向同心部材124の穴(明示的に示さず)は、10ミクロン〜20ミクロンの細孔であり得るか、またはそれより大きい穴であり得る。
【0020】
第2長手方向同心部材124は、トンネル創104の深さを測定するのに役立つように、長手方向長さに沿ってマーキングを有することができる。トンネル創104から除去する際にいかなる欠損部分も特定するのに役立つように、第2長手方向同心部材124の色または凹凸もまた使用することができる。これに関して、長手方向コア部材118、第1長手方向同心部材120または第2長手方向同心部材124を、トンネル創104内に保持することができる減圧トンネル創ドレッシング102のいかなる部分も位置特定するかまたは識別するのに役立つようにX線不透過性マーカが施されるように形成することができる。
【0021】
第2長手方向同心部材124および第1長手方向同心部材120は、図3Aに示すように平滑な丸い表面を形成することができ、または図5に示すように複数の小面146のある表面を形成することができる。複数の小面146は、トンネル縁において減圧を分配するのに役立つ。複数の小面146は、特に減圧を加える初期段階中に流体移動を可能にするのに役立ち、かつ流体が遠位端130に通されるのを確実にするのに役立つ。流体は、小面146に近接する領域内に引き込まれる。
【0022】
減圧トンネル創ドレッシング102は、遠位端130および近位端132を有している。遠位端130を、トンネル創104の底部134に近接して位置決めすることができる。近位端132は、表皮106(または創床)と同一平面であり得るか、または表皮106(または創床)を越えて延在することができる。近位端132の上に封止部材136が配置されて封止空間138が形成される。近位端132は封止空間138内にある。封止部材136は、流体シールを提供するいかなる材料でもあり得る。流体シールは、関連する特定の減圧源またはサブシステムを考慮して所望の部位において減圧を維持するのに適している。封止部材136は、たとえば不浸透性または半浸透性エラストマー材料であり得る。半浸透性材料の場合、浸透性は、所与の減圧源に対して所望の減圧が維持され得るように十分低くなければならない。トンネル創104が創床から伸びている場合、封止部材136で覆う前に創床および近位端132の上にマニホールド部材を配置することができる。したがって、マニホールド部材および近位端132は封止空間138内にある。
【0023】
封止部材136は、患者に面する面に取付装置137を含む。取付装置137は、周辺部、一部または全体的な封止部材136の周囲に延在する医学的に許容可能な感圧接着剤、両面ドレープテープ、ペースト、親水コロイド、ヒドロゲルまたは他の封止装置あるいは要素であり得る。
【0024】
マニホールドという用語は、概して、創床に減圧を加えるか、創床に流体を送達するか、または創床から流体を除去するのに役立つように提供される物質または構造体を指す。マニホールドは、典型的には、マニホールドの周囲の創床に提供されかつ創床から除去される流体を分配する複数の流路または経路を含む。1つの例示的な実施形態では、流路または経路は、創床に提供されかつ創床から除去される流体の分配を促進するように相互接続されている。マニホールドの例としては、限定されないが、たとえば、流路を含むかまたは含むように硬化する、気泡質発泡体、連続気泡発泡体、多孔質組織収集体、液体、ゲルおよび発泡体、特定の生物学的用途に適した発泡体、ガーゼ、フェルトマットまたは他のあらゆる材料、流路として作用する複数の相互接続された気泡または細孔を含むことができる多孔質発泡体、たとえば、San Antonio,TexasのKinetic Concepts,Incorporatedによって製造されるGranuFoam(登録商標)材料等のポリウレタン、連続気泡、網状発泡体等、流路を形成するように配置された構造的要素を有するデバイスが挙げられる。状況によっては、マニホールドを使用して、薬剤、抗菌薬、成長因子およびさまざまな溶液等の流体を組織部位に分配することも可能である。吸収性材料、ウィッキング材料、疎水性材料および親水性材料等、他の層を、マニホールド内にまたはその上に含めることができる。
【0025】
減圧インタフェース140を使用して、減圧導管142を封止空間138に流体結合することができる。1つの例示的な実施形態では、減圧インタフェース140は、San Antonio,TexasのKCIから入手可能なT.R.A.C.(登録商標)PadまたはSensa T.R.A.C.(登録商標)Padである。別法として、減圧導管142を、封止部材136を通して封止空間138内に挿入することができる。
【0026】
減圧導管142はまた、減圧源144にも流体結合されている。減圧源144は減圧を提供する。減圧源144は、真空ポンプ、壁面吸込み、マイクロポンプまたは他の供給源等、減圧を供給するいかなる装置でもあり得る。組織部位に加えられる減圧の量および特質は、通常、用途に従って変化するが、減圧は、典型的には、−5mmHg(−667Pa)と−500mmHg(−66.7kPa)との間、より典型的には、−75mmHg(−9.9kPa)と−300mmHg(−39.9kPa)との間、より典型的にはさらに−25mm(−3.33kPa)と−200mmHg(26.6kPa)との間となる。減圧の量を使用して、減圧トンネル創ドレッシング102の外面116とトンネル縁114との間の力を制御することができる。
【0027】
減圧とは、治療を受けている組織部位において周囲圧力より低い圧力を指す。大部分の場合、減圧は、患者が位置する大気圧より低くなる。別法として、減圧は、組織部位における静水圧より低い場合もある。特に示さない限り、本明細書で述べる圧力の定量値はゲージ圧である。送達される減圧は、一定であるかまたは変化する(パターン化されるかまたはランダム)場合があり、連続的にあるいは断続的に送達される場合がある。
【0028】
主に図3Aを参照すると、横断面図で示す構成要素の相対的な面積および寸法を変更することができる。減圧トンネル創ドレッシング102の全直径は、トンネル創104の共通サイズに従って変更することができ、たとえば0.25センチメートルから8センチメートルの長さである。全体的な所望のサイズに応じて、第2長手方向同心部材124は、厚さが0ミクロンから20ミクロンの範囲となる可能性があり、典型的には10ミクロンから15ミクロンの範囲である。第1長手方向同心部材120は、厚さが2mmから4cmの範囲となる可能性がある。長手方向コア部材118は、直径が1cmから5cmの範囲であり得る。これらの寸法は、例として示されており、限定するように意図されていない。減圧トンネル創ドレッシング102を、異なるサイズのトンネル創に適応するように要求に応じて変更することができる。横断面における相対的な面積に関して、長手方向コア部材118は、典型的には、20%から90%の範囲となる。第1長手方向同心部材120は、典型的には、10%から60%の範囲となる。第2長手方向同心部材124を、0%から10%、より典型的には0%と2%との間で変更することができる。
【0029】
図4に示すように、減圧トンネル創ドレッシング102を、その長手方向輪郭において近位端132と遠位端130またはそのいずれかの部分との間で先細りにすることができる。大きい方の径は、通常近位端132である。たとえば、近位端132は、有効断面径Dを有することができ、遠位端130(または実際には遠位端130に近いが長手方向長さLのわずかな距離、たとえば5%内側である)は、有効断面径がD(DはDより大きい)であり得る。底部から外側に治癒が発生するため、先細りは、この治癒のパターンに役立つことができる。いくつかの実施形態では、減圧トンネル創ドレッシング102を先細りにされなくてもよく、その長手方向側面図において一定輪郭を有することができる。
【0030】
いくつかの実施形態では、第2長手方向同心部材124を省略することができる。こうした場合、第1長手方向同心部材120を、組織内部成長を阻止するように、細孔サイズが1インチ辺り少なくとも160細孔(ppi)である連続気泡発泡体から形成することができる。さらに、第2長手方向同心部材124なしにより密度の高い発泡体を使用することにより、内部成長の問題なしに遠位端130を切断することが容易になる。
【0031】
図1図4および図6A図6Bを参照すると、動作時、1つの例示的な実施形態によれば、初期ステップとして減圧トンネル創ドレッシング102のサイズが決められる。減圧トンネル創ドレッシング102のサイズ決めは、最も広い部分がトンネル創104の直径より小さい有効径であるドレッシングを選択することを含むことができる。言い換えれば、減圧トンネル創ドレッシング102は、外面116とトンネル縁114との間に間隙112(図6A)が存在するように選択される。サイズ決めはまた、遠位端130が底部134にまたはその近くにあり、近位端132が表皮106あるいは創床と同一平面にあるかまたはわずかにのみ、たとえば減圧トンネル創ドレッシング102の長さの5%−10%を越えて延在するように、適切な長さの減圧トンネル創ドレッシング102を選択することを含むことができる。長さを、近位端132または場合によっては遠位端130を切断することによっても調整することができる。遠位端130が切断される場合、遠位端130を、穿孔封止材料で覆う必要がある場合がある。
【0032】
サイズが決められた減圧トンネル創ドレッシング102は、遠位端130がトンネル創104の底部134に近接するまでトンネル創104内に挿入される。瘻孔が治療されている場合、減圧トンネル創ドレッシング102は、瘻孔を充填するように推定される距離だけ挿入される。トンネル創104の開口105が創床にある場合、マニホールド部材を、創床および減圧トンネル創ドレッシング102の近位端132の上に配置することができる。
【0033】
減圧トンネル創ドレッシング102および適用可能な場合はマニホールド部材が封止部材136によって覆われることにより封止空間138が生成される。封止部材136は、取付装置137によって無傷の表皮106に対して保持される。
【0034】
減圧導管142が封止空間138に流体結合される。これを、封止部材136の下に減圧インタフェース140を付与し、そこに減圧導管142を結合することによって達成することができる。別法として、封止部材136に穴を形成することができ、その穴に減圧導管142の端部を挿入して封止することができる。流体結合されると、減圧は、減圧導管142を通して封止空間138に送達される。
【0035】
図3A図3Bおよび図6A図6Bを参照して、減圧の効果を説明する。減圧が加えられる前(図3Aおよび図6A)、減圧トンネル創ドレッシング102は、直径Dを有し、トンネル縁114と減圧トンネル創ドレッシング102の外面116との間に間隙112があって、トンネル創104に嵌まる。減圧が加えられると(図3Bおよび図6B)、長手方向コア部材118は矢印150によって示唆されるように膨張し、その膨張は、周囲圧が絶対圧力スケールで低下する際に独立気泡内の気体が膨張することによる。減圧はまた、矢印152(図6B)によって示唆されるように、トンネル縁114を減圧トンネル創ドレッシング102に向かって付勢する。さらに、第1長手方向同心部材120は、矢印154によって示唆されるように圧縮される(図3B)。これらの動きのうちの1つまたは複数により、減圧トンネル創ドレッシング102とトンネル縁114との間に密接な接触がもたらされる。減圧は、治療が望まれる限り加えられる。減圧治療時間の後、減圧が解除される。トンネル創104に対する外傷を回避するために、減圧を段階的に解除することが望ましい場合がある。
【0036】
減圧を解除した結果、長手方向コア部材118は、その元のサイズまたはおよそその元のサイズまで収縮し、第1長手方向同心部材120は、その元のサイズまたはおよそその元のサイズまで膨張する。さらに、トンネル縁と減圧トンネル創ドレッシング102との間の間隙112または間隙112の一部が回復する。これらの変化のうちの1つまたは複数により、トンネル創104からの減圧トンネル創ドレッシング102の引出しが容易になる。いくつかの実施形態では、トンネル創104から減圧トンネル創ドレッシング102の除去を容易にするために、減圧トンネル創ドレッシング102内に陽圧下で生理食塩水または別の液体を送ることができる。また、図8の実施形態に関連して考察するように、治療中に流体を導入することができる。
【0037】
減圧トンネル創ドレッシング102を、多くの技法を使用して製造することができる。1つの例示的な実施形態によれば、構成要素またはそれらの合計は同時押出成形される。長手方向コア部材118を、独立気泡発泡体から押出成形することができ、その後、長手方向コア部材118の周囲に連続気泡発泡体を押出成形して第1長手方向同心部材120を形成することができる。第2長手方向同心部材124を、第1長手方向同心部材120の周囲126にあてがうことができる。第2長手方向同心部材124が十分に多孔質でない場合、ピンを使用して、第2長手方向同心部材124を穿孔することができ、またはレーザを使用して穴を生成することができる。レーザが使用される場合、長手方向コア部材118を穿孔するのを避けるように、レーザの電力印加を制限することができ、またはレーザを接線で与えることができる。別法として、長手方向コア部材118を押出成形し、その後、第1長手方向同心部材120を形成する材料でコーティングすることができる。別法として、気体で充填されたスチレンビードを加熱して長手方向コア部材118を形成することができ、その後、長手方向コア部材118の上に連続気泡発泡体を押出成形して第1長手方向同心部材120を形成することができる。
【0038】
第2長手方向同心部材124を、ラップ剤によって形成するかまたはある巻き角(wind angle)で形成することができる。ホットメルトを使用していくつかの部分を溶融することができる。第2長手方向同心部材124を、第1長手方向同心部材120の外側に押出成形することも可能である。
【0039】
ここで主に図7を参照すると、減圧トンネル創ドレッシング102が、半剛性内部コア部材155があるように横断面図で示されている。この半剛性内部コア部材155の追加により、減圧トンネル創ドレッシング102に剛性が追加される。追加の剛性は、減圧トンネル創ドレッシング102を入り組んだトンネル創104内に配置するのにさらに役立つことができる。半剛性内部コア部材155を、たとえば適合性のあるシリコーン、ポリウレタン、熱可塑性エラストマー、架橋エラストマーまたは他の同様の材料から形成することができる。
【0040】
ここで図8を参照すると、減圧トンネル創ドレッシング102が、複数の液体導管158が追加されて示されている。液体導管158を使用して、トンネル創104にフラッシング液等の薬剤を提供することができる。明示的には示さないが、液体導管158は、その長手方向長さに沿って、トンネル創104を通して液体を分配するように複数の穴を有することができる。
【0041】
ここで主に図9を参照すると、減圧トンネル創ドレッシング202の別の実施形態が提示されている。減圧トンネル創ドレッシング202は、連続気泡発泡体から形成されかつ横方向外半径Rを有する、長手方向コア部材218を有している。第1長手方向同心部材220が、長手方向コア部材218を包囲し、横方向外半径Riiを有している。第2長手方向個同心部材224が、第1長手方向同心部材220を包囲することができる。第2長手方向同心部材224は、横方向外半径Riiiを有している。この実施形態における長手方向コア部材218は、図1の長手方向同心部材120と同様の材料から作製され、同様の寸法および機能を有している。第1長手方向同心部材220は、図1の長手方向コア部材118と同様の材料から作製され、同様の寸法および機能を有している。複数の導管256が、第2長手方向同心部材を長手方向コア部材218に流体結合して、この実施形態ではマニホールドとして機能する。減圧トンネル創ドレッシング202では、図5に示すもののような小面のある第2長手方向同心部材224を使用することが有利であり得る。小面は、減圧をトンネル縁に分配するのに役立つ。
【0042】
長手方向コア部材218は、減圧を、減圧トンネル創ドレッシング202の中心を下って導管256にまたは端部開口部(図示せず)に送る。減圧は、長手方向コア部材218を移動する際にこのように最小限に制限される。したがって、遠位端においてより顕著な圧力差を達成することができる。このように減圧を減圧トンネル創ドレッシング202で送ることにより、減圧トンネル創ドレッシング202をトンネル創の最も遠いリーチまたは部分から引き戻すことによって、底部134からトンネル創104(図1)の縫合(閉鎖)を促進することができる。これが、トンネル創104の底部104を収縮させ、三次縫合の形態でトンネル壁の一方の側が他方の側に付着するのを促進するのに役立つ。減圧トンネル創ドレッシング202の存在により、創傷が底部から閉鎖されるまで一次縫合を遷延させることができる。
【0043】
図10Aおよび図10Bを参照すると、代替的な現圧トンネル創ドレッシング302が提示されている。この実施形態では、減圧トンネル創ドレッシング302は、不浸透性弾性材料から形成された円柱状シェルブラダ304を含む。円柱状シェルブラダ304は、モデリングバルーンに形態が類似している。円柱状シェルブラダ304の外側305は、第1同心部材306によって包囲されており、第1同心部材306は、連続気泡発泡体、または第1長手方向同心部材120に関連して上述した他の材料等、マニホールド材料から形成されている。第1同心部材306を、第2同心部材(図示しないが第2同心部材124に類似する)によって包囲することができる。
【0044】
円柱状シェルブラダ304が、その近位端308および遠位端310の両方において封止されて内部空間312を形成している。内部空間312は、空気、窒素または他の不活性ガス等の気体で充填されている。円柱状シェルブラダ304の遠位端310は、円柱状シェルブラダ304内に折り返されて、減圧に晒された時に広がるように動作可能な部分314を形成している。図10Aは、たたまれた状態をもたらすように折り込まれた円柱状シェルブラダ304を示す。減圧が加えられると、円柱状シェルブラダ304内の気体の相対圧力が上昇して、部分314が、長手方向外側方向において展開または拡張する。したがって、図10Bに示すように、減圧が加えられ、矢印316によって示唆されるように、減圧トンネル創ドレッシング302が初期長手方向長さL図10A)から長さL図10B)まで膨張する。減圧トンネル創ドレッシング302は、遠位端310が完全に広がるまで膨張し続けることができる。
【0045】
減圧トンネル創ドレッシング302がトンネル創(たとえば図1のトンネル創104)内に挿入される。トンネル創が、封止部材(たとえば図1の封止部材136)で覆われて、トンネル創および減圧トンネル創ドレッシング302の上に封止空間(たとえば図1の封止空間138)が形成される。そして、減圧導管(たとえば図1の減圧導管142)によって封止空間に減圧が加えられる。減圧が加えられると、減圧トンネル創ドレッシング302は、減圧トンネル創ドレッシング302がトンネル創の底部(たとえば図1の底部134)等の障害物に達するまで広がる。さらに、減圧トンネル創ドレッシング302の外側318が膨張して、トンネル創のトンネル縁との密接な接触を形成するかまたは形成するのに役立つ。言い換えれば、減圧トンネル創ドレッシング302は、初期径Dから膨張径D(D>D)になる。減圧はまた、トンネル縁を外面318に向かって引っ張る。減圧を、所望の治療時間、第1同心部材306を用いてトンネル創のトンネル縁に加えることができる。
【0046】
治療後、減圧が解除され、トンネル縁が減圧トンネル創ドレッシング302から後退し、それにより、減圧トンネル創ドレッシング302のトンネル創からの後退が容易になる。中心ブラダ310は、圧力が解除されると、中心ブラダ310が元の位置まで後退するように記憶効果があるように成形されている。減圧トンネル創ドレッシング302の外側の周囲圧力が、減圧トンネル創ドレッシング302を元の位置に戻るように付勢する。
【0047】
さらに別の代替実施形態では、減圧トンネル創ドレッシング302を、内部空間312に陽圧を提供する流体源に結合することができる。医療提供者は、減圧トンネル創ドレッシング302を挿入し、その後、要求に応じて流体源を使用して減圧トンネル創ドレッシング302を手動で膨張させることができる。流体源は、たとえば加圧された生理食塩水源であり得る。
【0048】
再び図1図4を参照すると、一実施形態では、減圧トンネル創ドレッシング102を、ともに生体吸収性(bioresorbable)材料または溶解性材料から作製される、長手方向コア部材118および第1長手方向同心部材120(ただし第2長手方向同心部材124はない)で形成することができる。この実施形態では、減圧トンネル創ドレッシング102を、減圧トンネル創ドレッシング102が溶解するまでトンネル創104内に残すことができる。同様の実施形態では、減圧トンネル創ドレッシング102は、同様に形成されるが、図7の半剛性内部コア部材155が追加されている。半剛性内部コア部材155は、取外し可能であり得る。こうした倍、半剛性内部コア部材155は、減圧トンネル創ドレッシング102を配置するために使用され、その後取り外される。減圧は所望の治療時間、加えられる。そして、減圧トンネル創ドレッシング102は、溶解するまで適所に残ることができる。
【0049】
1つの例示的な実施形態では、長手方向コア部材118は、治療範囲で減圧下(たとえば−75mmHg − −200mmHg)で、減圧トンネル創ドレッシング102の全直径が、減圧源が加えられる前の直径より大きいように、十分に膨張する。言い換えれば、直径を、減圧トンネル創ドレッシングのDがDの100%を超える、たとえばD=101%D、D=102%D、D=103%D、D=104%D、D=105%D、D=106%D、D=110%D、D=115%D等(またはそれらの間のあらゆる範囲)であるようにすることができる。
【0050】
本明細書の実施形態は、トンネル創が減圧下でつぶれないようにするのに役立つ。減圧トンネル創ドレッシングは、減圧下で膨張している部分によってこうしたつぶれに能動的に抵抗する。本明細書における減圧トンネル創ドレッシングは、その長さに沿ったトンネル縁とドレッシングとの間の均一な密接した接触を促進する。本明細書における減圧トンネル創ドレッシングは、トンネル創の種々の深さに対して容易にサイズが決められる。減圧トンネル創ドレッシングは、曲がりくねって入り組んだ経路のある多くのトンネル創における配置を可能にするように剛性および可撓性を提供し、ドレッシングの膨張は、トンネル創のそれらの長さに沿った開口の変動に適応する。減圧の解除により、トンネル縁から減圧トンネル創ドレッシングが能動的に後退する。
【0051】
本明細書の主題およびその利点を、いくつかの例示的な限定しない実施形態の文脈で開示したが、添付の特許請求の範囲によって定義される本発明の範囲から逸脱することなく、さまざまな変更、置換、並べ替えおよび改変を行うことができることが理解されるべきである。いずれか1つの実施形態に関連して記載されているあらゆる特徴を他のいずれの実施形態にも適用可能であり得ることが理解されよう。たとえば、図7の半剛性内部コア部材155および図8の導管を、本明細書の他のいずれの実施形態にも追加することができる。
【0052】
上述した利益および利点は、1つの実施形態に関連する場合があり、またはいくつかの実施形態に関連する場合があることが理解されよう。「1つの」項目を参照する場合、それはそれらの項目のうちの1つまたは複数を参照することがさらに理解されよう。
【0053】
本明細書に記載した方法のステップを、あらゆる好適な順序で、または適切な場合は同時に行うことができる。
【0054】
適切な場合は、上述した実施形態のうちのいずれかの態様を、記載した他の実施形態のいずれかの態様に結合して、相当するかまたは異なる特性を有しかつ同じかまたは異なる問題に対処するさらなる例を形成することができる。
【0055】
実施形態の上記説明は、単に例として与えられ、当業者によってさまざまな変更を行うことができることが理解されよう。上記明細書、例およびデータは、構造の完全な説明および本明細書の主題の例示的な実施形態の使用を提供する。さまざまな実施形態を、ある程度の特殊性をもって、または1つあるいは複数の個々の実施形態に関連して上述したが、当業者は、特許請求の範囲の範囲から逸脱することなく開示した実施形態に多数の変更を行うことができる。
図1
図2
図3A
図3B
図4
図5
図6A
図6B
図7
図8
図9
図10A
図10B