特許第6184986号(P6184986)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6184986パーキンソン病の治療のための新規治療方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6184986
(24)【登録日】2017年8月4日
(45)【発行日】2017年8月23日
(54)【発明の名称】パーキンソン病の治療のための新規治療方法
(51)【国際特許分類】
   A61K 31/185 20060101AFI20170814BHJP
   A61K 31/195 20060101ALI20170814BHJP
   A61K 31/198 20060101ALI20170814BHJP
   A61K 31/137 20060101ALI20170814BHJP
   A61K 31/138 20060101ALI20170814BHJP
   A61K 31/44 20060101ALI20170814BHJP
   A61K 45/00 20060101ALI20170814BHJP
   A61P 25/16 20060101ALI20170814BHJP
   A61P 43/00 20060101ALI20170814BHJP
【FI】
   A61K31/185
   A61K31/195
   A61K31/198
   A61K31/137
   A61K31/138
   A61K31/44
   A61K45/00
   A61P25/16
   A61P43/00 121
【請求項の数】19
【全頁数】39
(21)【出願番号】特願2014-559214(P2014-559214)
(86)(22)【出願日】2013年2月28日
(65)【公表番号】特表2015-508798(P2015-508798A)
(43)【公表日】2015年3月23日
(86)【国際出願番号】EP2013054026
(87)【国際公開番号】WO2013127918
(87)【国際公開日】20130906
【審査請求日】2016年1月14日
(31)【優先権主張番号】PCT/EP2012/053565
(32)【優先日】2012年3月1日
(33)【優先権主張国】EP
(31)【優先権主張番号】PCT/EP2012/053568
(32)【優先日】2012年3月1日
(33)【優先権主張国】EP
(31)【優先権主張番号】PCT/EP2012/053570
(32)【優先日】2012年3月1日
(33)【優先権主張国】EP
(31)【優先権主張番号】12306063.4
(32)【優先日】2012年9月5日
(33)【優先権主張国】EP
(31)【優先権主張番号】61/696,992
(32)【優先日】2012年9月5日
(33)【優先権主張国】US
(73)【特許権者】
【識別番号】510149471
【氏名又は名称】ファーネクスト
【氏名又は名称原語表記】PHARNEXT
(74)【代理人】
【識別番号】100121728
【弁理士】
【氏名又は名称】井関 勝守
(74)【代理人】
【識別番号】100165803
【弁理士】
【氏名又は名称】金子 修平
(72)【発明者】
【氏名】コーアン ダニエル
(72)【発明者】
【氏名】ナビロシュカン セルゲイ
(72)【発明者】
【氏名】チュマコフ イリヤ
(72)【発明者】
【氏名】ハジ ロドルフ
【審査官】 金田 康平
(56)【参考文献】
【文献】 特表2007−505099(JP,A)
【文献】 特表2007−502795(JP,A)
【文献】 特表2009−531327(JP,A)
【文献】 特表2009−511629(JP,A)
【文献】 特表2009−516751(JP,A)
【文献】 Acamprosate improves impulse control disorders on Parkinson's disease,Neurology.,2008年,Vol. 70. No. 11. Suppl.1,pp. A288,Abstract No.P05.148
【文献】 Baclofen in Parkinson's disease,J Neurol Neurosurg Psychiatry,1978年,vol.41, no.8,p707-708
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61K31/00−33/44
JSTPlus/JMEDPlus/JST7580(JDreamIII)
CAplus/REGISTRY/MEDLINE/EMBASE/BIOSIS(STN)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
アカンプロセート、又はその塩若しくは徐放性製剤と、
バクロフェン、又はその塩若しくは徐放性製剤と、を含むことを特徴とするパーキンソニズムの治療に使用するための組成物。
【請求項2】
前記アカンプロセート及びバクロフェン、又はそれらの塩若しくは徐放性製剤のみが活性薬剤として含まれる、請求項1に記載の組成物。
【請求項3】
前記パーキンソニズムは、パーキンソン病、進行性核上性麻痺、多系統萎縮症、大脳皮質基底核神経節変性症、びまん性レビー小体病、パーキンソン認知症、X連鎖ジストニア・パーキンソニズム、および二次性パーキンソニズムから選択される状態である、請求項1又は2に記載の組成物。
【請求項4】
パーキンソン病の治療に使用するための、請求項1又は2に記載の組成物。
【請求項5】
下記の薬剤の組合せ、
‐バクロフェンおよびアカンプロセートおよびシナカルセト
‐バクロフェンおよびアカンプロセートおよびトラセミド、または、
‐バクロフェンおよびアカンプロセートおよびメキシレチン、
のうち少なくとも1つを含む、請求項1または請求項4に記載の組成物。
【請求項6】
少なくとも1つのドーパミン前駆体、少なくとも1つのドーパミン受容体アゴニスト、および/または少なくとも1つのドーパミン代謝酵素阻害剤をさらに含む、請求項1〜5のいずれか1項に記載の組成物。
【請求項7】
前記少なくとも1つのドーパミン前駆体は、レボドパ、およびメレボドパ、またはそれらの塩もしくは徐放性製剤からなる群より選択され、前記少なくとも1つのドーパミン受容体アゴニストはタリペキソール、ピリベジル、ロチゴチン、ブロモクリプチン、ペルゴリド、カベルゴリン、リスリド、プラミペキソール、ロピニロール、もしくはアポモルフィン、またはそれらの塩もしくは徐放性製剤からなる群より選択され、そして前記少なくとも1つのドーパミン代謝酵素阻害剤はセレギリン、およびラサギリン、またはそれらの塩もしくは徐放性製剤からなる群より選択される、請求項6に記載の組成物。
【請求項8】
下記の薬剤の組合せ、
‐バクロフェンおよびアカンプロセートおよびレボドパ、
‐バクロフェンおよびアカンプロセートおよびシナカルセト、およびレボドパ、
‐バクロフェンおよびアカンプロセートおよびトラセミド、およびレボドパ、または、
‐バクロフェンおよびアカンプロセートおよびメキシレチン、およびレボドパ、
のうち少なくとも1つを含む、請求項6または請求項7に記載の組成物。
【請求項9】
カルビドパ、またはその塩もしくは徐放性製剤をさらに含む、請求項8に記載の組成物。
【請求項10】
薬学的に許容される担体または賦形剤をさらに含む、請求項1〜9のいずれか1項に記載の組成物。
【請求項11】
前記化合物は、一緒に、個別に、または連続して製剤化または投与される、請求項1〜10のいずれか1項に記載の組成物。
【請求項12】
前記組成物は対象者に繰り返して投与される、請求項1〜11のいずれか1項に記載の組成物。
【請求項13】
前記組成物は経口投与される、請求項1〜12のいずれか1項に記載の組成物。
【請求項14】
アカンプロセートは、1日当たり50mg未満の用量で投与される、請求項1〜13のいずれか1項に記載の組成物。
【請求項15】
アカンプロセートは、1日当たり10mg未満の用量で投与される、請求項14に記載の組成物。
【請求項16】
バクロフェンは、1日当たり30mg未満の用量で投与される、請求項1〜15のいずれか1項に記載の組成物。
【請求項17】
黒質線条体系のドーパミン作動性ニューロンを変性から保護することに使用するための、請求項1〜16のいずれか1項に記載の組成物。
【請求項18】
動作緩慢または無動の治療に使用するための、請求項1〜16のいずれか1項に記載の組成物。
【請求項19】
パーキンソニズムの治療を必要とする、およびパーキンソニズムのリスクのある対象者における予防治療に使用するための、請求項1〜16のいずれか1項に記載の組成物。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、パーキンソン病および関連障害の治療のための組成物および方法に関する。より具体的には、本発明はパーキンソン病および関連障害の新規の組合せ療法に関する。
【背景技術】
【0002】
パーキンソニズムまたはパーキンソン症候群は、進行性、多中心性神経変性障害群であり、その主な特徴は、安静時振戦、固縮、動作緩慢、および姿勢の不安定性である。パーキンソン病(PD)は、パーキンソニズムの最も一般的形態であり、アルツハイマー病に次いで2番目に一般的な神経変性障害である。工業国においては、パーキンソン病の有病率は一般人口のうちの約0.3%であり、高齢者のリスクが最も高い(80歳以上の人口のうちの4%が発症していると推定される)と推定されている。発症の平均年齢はおよそ60歳であるが、早期発症(20歳程度の若年)も起こり得る(参考文献1)。
【0003】
パーキンソン病はしばしば運動障害として分類される。安静時振戦は極めて一般的で、通常最も初期に発現する症状のうちの1つである。動作緩慢もまた初期において、筆記または衣服を着るなどをおこなう際に困難を伴って現れる。また、運動亢進性運動障害(Hyperkinetic movement disorders)はパーキンソン病の一部の治療の副作用として報告されている。これについて、米国特許第5,952,389号は、レボドパ誘発性運動亢進性運動障害を緩和するためのアカンプロセートの使用を公開している。しかし、薬剤の副次的効果を制限することは、疾患または関連症状の治療とは区別され、また大きく異なる。固縮は動作能力を低下させて、硬直および身体全体の動きに対する抵抗を起こし、進行する。疾患はその後期に、バランス障害および頻繁な転倒を引き起こして姿勢の不安定性に進行する。また、歩行または飲み込み障害などの他の運動症状が起こり得る。患者は治療をしなければ、運動症状によって平均して10年で寝たきりになる(参考文献2および3)。
【0004】
パーキンソン病では、疾患の後期に個体によって大きく変わる多くの非運動症状が増加する。そして、自律神経性および神経精神性障害の進行によって、身体障害は非常に悪化する。言語、認知、気分、行動、および/または思考の障害が現れ、やがて認知症を導く。他の一般的な症状として、知覚、睡眠および感情の問題が含まれる。これらの障害は発症した個体の平均余命を下げ、その死亡率はパーキンソン病ではない人の約2倍になる(参考文献2〜4)。
【0005】
パーキンソン病は特発性疾患であり、その病態生理もまた理解が不十分なままである(参考文献4)。しかし、パーキンソン病症例の少なくとも5%は遺伝的変異に起因し得る。SNCA(アルファ‐シヌクレイン)、PRKN(パーキン)、LRRK2(ロイシンリッチリピートキナーゼ2)、PINK1(PTEN誘導性推定キナーゼ1)、DJ−1、およびATP13A2、ならびに11の遺伝子座(PARK1〜PARK11)などの遺伝子内の突然変異が家族性パーキンソン病と関連している(参考文献5)。DJ1は、パーキンソン病における酸化ストレスの中心的役割を裏付ける、遍在性レドックス応答細胞保護タンパク質であると考えられ(参考文献28)、酸化ストレス、ミトコンドリア機能不全、および鉄ホメオスタシス障害に対する黒質のドーパミン作動性細胞保護における低酸素誘導因子の保護的役割によってさらに証拠づけられる(参考文献29)。遺伝的因子とは別に、多くの環境リスク因子がパーキンソン病の発症に関わるということが提示されているが、明白な証拠を有するものはない。最も頻繁に言及されるリスク因子は、金属、殺虫剤、またはオレンジ剤(Agent Orange)などの除草剤への曝露である。一方で、喫煙やカフェインの摂取は、個体をパーキンソン病から保護すると考えられる(参考文献1)。
【0006】
パーキンソン病の病態生理は以下の4つの特性により特徴づけられる(参考文献4)。
【0007】
(i)シヌクレイノパシーは、アルファ‐シヌクレインタンパク質が脳内のレビー小体と呼ばれる封入体に異常蓄積することに特徴をもつ。脳の至る所にあるレビー小体の分布は個体によって異なるが、臨床症状の発現や程度にしばしば直接的に関連する。
【0008】
(ii)グルタミン酸は、哺乳類の神経系において最も豊富な興奮性神経伝達物質である。病的状態のもとでは、シナプス間隙のグルタミン酸異常蓄積が、グルタミン酸受容体の過剰活性を引き起こす。シナプス間隙のグルタミン酸異常蓄積は、病的状態、そして最終的にはニューロン細胞死をもたらすグルタミン酸受容体の過剰活性を引き起こす。このプロセスは興奮毒性と名付けられ、一般に、急性および慢性的な神経疾患におけるニューロン組織に見受けられる。また、興奮毒性がパーキンソン病の発病に関わるということが明らかになってきている。
【0009】
(iii)中脳の一領域である黒質におけるドーパミンを生成する細胞の死によるドーパミン作動性活性欠失は、筋肉運動および緊張度制御の欠如をもたらし、パーキンソン病の運動症状を起こす。
【0010】
(iv)NANC(非アドレナリン作動性、非コリン作動性)、セロトニン作動性およびコリン作動性ニューロンの変性も疾患の後期に起こり、パーキンソン病の非運動症状をもたらす。
【0011】
パーキンソン病の診断では生体検査は不可能であることから、主に臨床症状の観察および類似の臨床的特徴を有する他の障害の除外に基づく(参考文献3)。確定的な診断には死後の検証が必要である。ドーパミン作動性ニューロンの変化の特定および他の疾患の除外には、神経画像測定(Neuroimaging)による神経学的検査が有用である。レボドパに対する陽性の治療反応は、また別の診断基準である。診断がおこなわれたら、疾患の進行と重症度は、統一パーキンソン病評価尺度(the Unified Parkinson’s Disease Rating Scale)などの段階的尺度を用いて評価される。
【0012】
特に初期段階において最も広く用いられている治療は、ドーパミン前駆物質レボドパ(L−DOPA)である(参考文献6)。この薬剤は不足している神経伝達物質をドーパミン作動性ニューロンにもたらして運動症状を低減する。しかし、大部分の薬剤は血液脳関門に到達する前に代謝され、様々な副作用、特に消化器系作用(食欲不振、悪心、または嘔吐など)、ジスキネジアおよび精神医学的症状を引き起こす(参考文献7)。ジスキネジア現象を阻止するため、L−DOPAは通常、カルビドパまたはベンセラジド(末梢性ドーパデカルボキシラーゼ阻害剤)との組合せ、そしてしばしばエンタカポンなどのカテコール−O−メチルトランスフェラーゼ阻害剤との組合せで投与される。これらの薬剤は、薬剤の活性を増進して、脳に到達する前のL−DOPAの代謝を阻止することを目的とする(参考文献6)。運動症状の改善にはあまり効果的がないが、ペルゴリド、カベルゴリン、アポモルフィンまたはリスリドなどのドーパミンアゴニスト、およびセレギリン、またはラサギリンなどのモノアミンオキシダーゼ‐B阻害剤(ドーパミンの異化分解に関連する)は、一般に疾患の初期に用いられる。これらはあまり効果的がないものの、レボドパの使用、そしてジスキネジアの発症の遅延に有用である(参考文献7)。
【0013】
抗コリン薬およびニコチン性アセチルコリン受容体アゴニストなどの他の薬剤は有用であるが、パーキンソン病に対するその効能についてはまだ確実とは言えない(参考文献7)。また、現在の研究は神経保護的な治療に焦点を当てているが、そのうちのどれも変性を改善する証拠を提示していない。これらは、アポトーシス(オミガピル(omigapil)、CEP−1347)、グルタミン酸受容体、アデノシンA2A受容体、カルシウムチャネル(イスラジピン(isradipine))、成長因子(GDNF)、アルファ‐シヌクレイン、および炎症を標的にする(参考文献8)。
【0014】
進行中の医薬研究では、遺伝子治療および神経移植治療への関心が大きくなっていることが示されている(参考文献8)。
【0015】
国際公開第2009/133128号、国際公開第2009/133141号、国際公開第2009/133142号、国際公開第2011/054759号、国際公開第2009/068668号、および国際公開第2009/153291号は、パーキンソン病を含むいくつかの神経変性疾患のための有望な治療法を公開している。
【0016】
パーキンソン病は現在のところ難治性疾患であり、その効果的な根治療法は未だ見つかっていない。そのため現在の治療は、症状を緩和すること、および疾患進行を遅らせることを目的としている。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0017】
本発明は、パーキンソニズムの治療のための新規治療方法および組成物に関する。特に本発明は、パーキンソニズム症状を有する対象者、具体的にはパーキンソン病を有する対象者に対して改善した治療効果と臨床的有用性とをもたらす、薬剤の組合せを特定することからなる。
【0018】
より具体的には、本発明の目的は、パーキンソニズム、特にパーキンソン病の治療における使用のための、アカンプロセート、バクロフェン、シナカルセト、メキシレチン、スルフィソキサゾールおよびトラセミド、またはその塩、プロドラッグ、任意の化学純度の誘導体、もしくは徐放性製剤から選択される1つの、好ましくは少なくとも2つの薬剤を含む組成物に関する。
【0019】
本発明のさらなる目的は、パーキンソニズム、特にパーキンソン病の治療のための方法であり、その治療を必要とする対象者において、アカンプロセート、バクロフェン、シナカルセト、メキシレチン、スルフィソキサゾールおよびトラセミド、またはその塩、プロドラッグ、任意の化学純度の誘導体、もしくは徐放性製剤から選択される少なくとも2つの薬剤をその対象者に投与することを含む。
【課題を解決するための手段】
【0020】
本発明における使用のための組合せ薬剤の好ましい実施例は、例えば、バクロフェンおよびアカンプロセート、バクロフェンおよびシナカルセト、メキシレチンおよびシナカルセト、トラセミドおよびバクロフェン、またはトラセミドおよびスルフィソキサゾールを含む。特定の実施形態では本組成物および方法にさらにレボドパが含まれる。
【0021】
本発明の組成物は、1つまたはいくつかの薬学的に許容される担体または賦形剤をさらに含み、対象者に繰り返し投与されてもよい。また、好適な組成物は経口投与される。さらに、薬剤は、一緒に、個別に、または連続して製剤または投与されてもよい。
【0022】
本発明は、任意の哺乳類対象、特にヒト対象における、疾患の任意の段階でのパーキンソニズムの治療に適する。本発明は、例えば、疾患の発現の遅延のため、振戦、寡動(例として、動作緩慢、無動、固縮)、姿勢の不安定性、および/もしくは疼痛の低減、遅延もしくは阻止のため、ならびに/または生存期間の延長ために用いられてもよい。
【図面の簡単な説明】
【0023】
図1図1は、ニューロン皮質細胞におけるグルタミン酸毒性に対する、シナカルセトとメキシレチンとの組合せ療法の作用を示す。グルタミン酸中毒は、シナカルセト(64pM)とメキシレチン(25.6pM)との組合せで有意に抑えられるが、一方で、組合せの場合で使用したのと同じ濃度の単独のシナカルセトおよびメキシレチンは、中毒に対する有意な作用を有しない。*:p<0.001、グルタミン酸中毒と有意差がある(ANOVA+Dunnett Post−Hoc テスト)。
図2図2は、ニューロン皮質細胞におけるグルタミン酸中毒に対する、スルフィソキサゾールとトラセミドとの組合せ療法の作用を示す。グルタミン酸中毒は、スルフィソキサゾール(6.8nM)とトラセミド(400nM)との組合せで有意に抑えられるが、一方で、組合せの場合で使用したのと同じ濃度の単独のスルフィソキサゾールおよびトラセミドは、中毒に対する有意な作用を有しない。*:p<0.001、グルタミン酸中毒と有意差がある(ANOVA+Dunnett Post−Hoc テスト)。
図3図3は、ニューロン皮質細胞におけるグルタミン酸中毒に対する、バクロフェンとアカンプロセートとの組合せ療法の作用を示す。グルタミン酸中毒は、バクロフェン(400nM)とアカンプロセート(1.6nM)との組合せで有意に抑えられるが、一方で、組合せの場合で使用したのと同じ濃度の単独のバクロフェンおよびアカンプロセートは、中毒に対する有意な作用を有しない。*:p<0.001、グルタミン酸中毒と有意差がある(ANOVA+Dunnett Post−Hoc テスト)。
図4図4は、バクロフェンとアカンプロセートとの組合せの、虚血傷害に対する保護作用を示す。バクロフェン(80nM)またはアカンプロセート(0.32nM)を単独で用いた場合に有意な保護は得られないが、単独で使用したのと同じ濃度での2つの薬剤の組合せでは、有意な保護(*:p<0.0001)が認められた。
図5図5は、シナカルセトとメキシレチンとの組合せの、虚血傷害に対する保護作用を示す。シナカルセト(64pM)またはメキシレチン(25.6pM)を単独で用いた場合に有意な保護作用はないが、単独で使用したのと同じ濃度での2つの薬剤の組合せでは、有意な保護作用(*:p<0.0001)が認められた。
図6図6は、虚血傷害に対するスルフィソキサゾールとトラセミドとの組合せの保護作用を示す。スルフィソキサゾール(1.36nM)とトラセミド(80nM)との組合せは、トラセミドを単独で用いて得られた保護より110%高い、有意な保護(*:p<0.0001)を引き出す。しかし、スルフィソキサゾールを単独で用いた場合には保護が得られない。
図7図7は、ドーパミン作動性ニューロン細胞における6OHDA傷害に対するバクロフェンとアカンプロセートとの組合せ療法の作用を示す。保護作用は混合物の濃度に相関的して増加する。有意な保護作用は、THニューロンの生存において、用量1(それぞれ16nMと64pM)で34%、用量2(80nMと144pM)で46%、そして用量3(400nMと1600pM)で51%増加することにより観察される(***:p<0.0001;*:p<0.001:6OHDA中毒細胞と有意差がある(ANOVA+Dunnettテスト)。
図8図8は、ドーパミン作動性ニューロン細胞における6OHDA傷害に対するバクロフェンとトラセミドとの組合せ療法の作用を示す。有意な保護作用は、THニューロン生存において、低用量1(それぞれ80nMと16nM)で50%、中用量2(240nMと48nM)で62%、そして高用量3(720nMと144nM)で58%増加することにより観察される(***:p<0.0001;6OHDA中毒細胞と有意差がある(ANOVA+Dunnettテスト))。
図9図9は、ドーパミン作動性ニューロン細胞における6OHDA傷害に対するシナカルセトとメキシレチンとの組合せ療法の作用を示す。テストをしたすべての濃度で6OHDAに対する有意な保護を示した。実際に、有意な保護作用は、THニューロン生存において、用量1(それぞれ64pMと5pM)で36%、用量2(64pMと26pM)で38%、そして用量3(1600pMと64pM)で48%増加することにより観察される(***:p<0.0001;*:p<0.001:6OHDA中毒細胞と有意差がある(ANOVA+Dunnettテスト)。
図10図10は、左黒質緻密部における6OHDAの定位的損傷に対する、バクロフェンとアカンプロセートとの組合せ療法の作用の開始時間テストを示す。左足では有意な変化はない。右足では、左黒質におけるニューロン死の結果として、6OHDA注射により開始時間が著しく遅延した。バクロフェンとアカンプロセートとの処置は6OHDAから誘発される無動から著しく保護をし、これは最弱用量1によるものである。(バクロフェンおよびアカンプロセートの用量1は、それぞれ0.6mg/kg/bid、0.04mg/kg/bid、用量2は、それぞれ1.5mg/kg/bid、0.1mg/kg/bid、用量3は、それぞれ3.75mg/kg/bid、0.25mg/kg/bid、***:p<0.0001;**:p<0.001;*:p<0.05:6OHDA中毒細胞と有意差がある(ANOVA+Dunnettテスト))
図11図11は、左黒質緻密部における6OHDAの定位的損傷に対するバクロフェンとアカンプロセートとの組合せ療法の作用の反応時間テストを示す。左足では有意な変化はない。右足では、左黒質におけるニューロン死の結果として、6OHDA注射により反応時間が著しく遅延した。バクロフェンとアカンプロセートとの処置は6OHDA誘発無動から著しく保護をし、これは最弱用量1によるものである。用量2および用量3は、ほとんど完全に6OHDA誘発無動を緩和する。(バクロフェンおよびアカンプロセートの用量1は、それぞれ0.6mg/kg/bid、0.04mg/kg/bid、用量2は、それぞれ1.5mg/kg/bid、0.1mg/kg/bid、用量3は、それぞれ3.75mg/kg/bid、0.25mg/kg/bid、***:p<0.0001;**:p<0.001;*:p<0.05:、6OHDA中毒細胞と有意差がある(ANOVA+Dunnettテスト))。
【発明を実施するための形態】
【0024】
本発明の目的は、パーキンソニズム、より具体的にはパーキンソン病の治療のための新規の治療方法を提供することである。より詳細には、本発明において、そのような疾患を効果的に改善可能であり、かつ哺乳類の対象に用いられる、薬剤および組合せ薬剤の新規の使用および方法が開示される。
【0025】
パーキンソニズムは、固縮、姿勢の不安定性、姿勢反射の欠失、屈曲姿勢、および/またはすくみ現象(足が一時的に地面に「貼りつく」場合)に関連した、安静時振戦および/または動作緩慢によって特徴づけられる、進行性神経変性障害群を定義する。パーキンソニズム状態の例として、パーキンソン病、進行性核上性麻痺、多系統萎縮症、大脳皮質基底核神経節変性症、びまん性レビー小体病、パーキンソン認知症、X連鎖ジストニア・パーキンソニズム、および二次性パーキンソニズム(例えば、毒素、薬剤、脳炎後、脳腫瘍、頭部外傷、正常圧水頭症などの環境的病因に起因する)が含まれる。
【0026】
パーキンソン病はパーキンソニズムの最も一般的な形態である。パーキンソン病(「PD」)は、運動および非運動症状を引き起こす神経変性疾患であり、黒質線条体系における広範囲のドーパミン作動性ニューロン変性によって特徴づけられる。パーキンソン病の運動症状は、黒質内のドーパミン作動性ニューロンの変性に起因する。その運動症状として、振戦、寡動(例えば、動作緩慢、無動、固縮など)、姿勢の不安定性、歩行異常、および嚥下障害が含まれる。非運動症状には、無嗅覚または睡眠異常などの自律神経性および神経精神性障害が含まれる。本発明の文脈では、パーキンソン病(PD)という用語には上述した疾患の任意の症状が含まれる。
【0027】
本明細書で用いられる「治療」は、パーキンソニズム、特にパーキンソン病によって引き起された症状の、またはパーキンソニズム、特にパーキンソン病の原因の治療、抑止、予防、遅延、または低減を含む。また、治療という用語は、振戦の遅延もしくは発症遅延、疼痛の低減、動作緩慢、無動、固縮、姿勢の不安定性、歩行異常、無嗅覚および/もしくは睡眠異常の減少もしくは低減、および/または生存期間の延長を指す。特に、治療という用語は、疾患進行、ならびに関連する運動および非運動症状の管理を含む。また治療という用語は、特に、i)アルファ‐シヌクレインに起因する毒性に対する保護、またはその毒性の低減もしくは遅延、および/またはii)治療対象における、異常なグルタミン酸蓄積、酸化ストレス、ミトコンドリア機能不全、もしくは神経炎症の結果としての毒性に対するドーパミン作動性ニューロンの保護、または、その毒性の低減もしくは遅延、を含む。
【0028】
本発明の文脈内において、特定の薬剤または化合物の指定は、具体的に名前を挙げた分子だけでなく、薬学的に許容されるすべての、その塩、水和物、誘導体、異性体、ラセミ化合物、複合体、プロドラッグ、または任意の化学純度の誘導体を含むことを意図している。
【0029】
「組合せまたは組合せ治療/療法」という用語は、生物学的作用を起こすために少なくとも2つ以上の薬剤を対象者に併用投与する治療を指す。本発明の組合せ療法では、少なくとも2つの薬剤が一緒にまたは個別に、同時にまたは連続して投与されてもよい。また、この少なくとも2つの薬剤は様々な経路およびプロトコルにより投与されてもよい。その結果として、これらを一緒に製剤化してもよいが、組合せ薬剤を個別に製剤化することもできる。
【0030】
酸化ストレス、ミトコンドリア機能不全、および神経炎症などのいくつかの生物学的プロセスは、ドーパミン作動性ニューロンの変性を引き起こす凝集アルファ‐シヌクレイン蓄積を伴う。一方で、シナプス間隙のグルタミン酸の異常蓄積はグルタミン酸受容体の過剰活性を引き起し、病的プロセス、および最終的にニューロン細胞死という結果になる。このプロセスは興奮毒性として知られ、パーキンソン病の発現に関連する重要な病因として認識されている。
【0031】
本発明者らは、パーキンソン病に影響する主要な機能ネットワークであるアルファ‐シヌクレイン凝集に潜むネットワークを確立することができた。本発明者らは、アルファ‐シヌクレイン凝集ネットワーク内で、いくつかの標的タンパク質から構成される機能モジュールを特定した。このようなタンパク質は、パーキンソン病およびパーキンソニズムの発現および制御に機能的に関連し、治療に、特に組合せ療法にとって有用な標的になる。
【0032】
ゆえに、本発明は、パーキンソニズム、特にパーキンソン病を治療するために上述の経路を変化させる、単独または優先的には組合せでの特定の薬剤の使用に関連する。
【0033】
特定の実施形態によると、本発明は、より具体的には、アルファ‐シヌクレイン凝集ネットワークに関連する少なくとも2つの異なるタンパク質の活性を阻害する組合せ薬剤を用いる組成物および方法に関する。本発明の治療的方法は、中脳、より具体的には黒質において、ニューロン細胞の保護、特にドーパミン作動性ニューロンの保護に有効である。
【0034】
とりわけ本発明は、アカンプロセート、バクロフェン、シナカルセト、メキシレチン、スルフィソキサゾール、およびトラセミド、またはそれらの塩、もしくはプロドラッグ、もしくは任意の純度の誘導体、もしくは徐放性製剤から選択される少なくとも2つの薬剤を含む、パーキンソニズム、特にパーキンソン病(PD)の治療における使用のための組成物に関する。
【0035】
実際に、本発明者らは、これらの化合物がパーキンソン病およびパーキンソニズムにおけるニューロン細胞死の既知の原因であるグルタミン酸毒性に対する保護的活性を示すという驚くべき発見をした。また、本発明の化合物および組合せ療法は、パーキンソン病と共通の生理学的特性を有する虚血ストレスに対する保護的活性をも示す(特に、ミトコンドリア機能不全および酸化ストレス)。より具体的には、本発明の化合物は、ドーパミン作動性ニューロンに対するアルファ‐シヌクレイン毒性の1つの要素である酸化ストレスに対して、インビボおよびインビトロで特に効果的である。
【0036】
本発明はまた、アカンプロセート、バクロフェン、シナカルセト、メキシレチン、スルフィソキサゾール、およびトラセミド、またはそれらの塩、プロドラッグ、任意の純度の誘導体、もしくは徐放性製剤から選択される少なくとも2つの化合物を、治療を必要とする対象者に投与することを含む、パーキンソニズム、特にパーキンソン病(PD)の治療のための方法に関する。
【0037】
本明細書で使用される「プロドラッグ」という用語は、生体系へ投与されると、例えば自然化学反応(spontaneous chemical reactions)、酵素触媒化学反応、および/または、代謝化学反応などの結果として前述の化合物を生成するような、本発明の化合物の任意の機能性誘導体(または前駆体)に関する。通常、プロドラッグは、不活性であるか、または結果として生じる薬剤より低活性であり、例えば、薬剤の物理化学的特性の改善、特定組織への薬剤の標的化、薬剤の薬剤動態および薬力学的特性の改善、ならびに/または、望ましくない副作用の低減などに使用可能である。プロドラッグの設計に適する共通の官能基のいくつかは、カルボキシル基、ヒドロキシル基、アミン基、リン酸塩/ホスホン基およびカルボニル基を含むが、これに限らない。典型的に、これらの基の修飾を介して製造されるプロドラッグは、エステル類、炭酸塩類、カルバメート類、アミド類およびリン酸塩類を含むが、これには限らない。適切なプロドラッグ選択のための具体的な技術ガイダンスは技術常識である(参考文献29〜33)。また、プロドラッグの調製は当業者には既知の従来法によっておこなわれてもよい。他のプロドラッグを合成するために使用可能な方法は、本主題の数多くの先行文献に記載されている(参考文献9、14〜20)。例を挙げると、アルバクロフェン・プラカルビルは、ChemID plus Advanceデータベース(ウェブサイト:chem.sis.nlm.nih.gov/chemidplus/)に掲載されており、アルバクロフェン・プラカルビルはバクロフェンのプロドラッグとして知られている(参考文献21および22)。バクロフェンのプロドラッグの具体例は、Hanafi他の文献(参考文献26、2011年)に掲載されており、具体的には、中枢神経系(CNS)を標的に特定指向するバクロフェンエステルおよびバクロフェンエステルカルバメートが挙げられている。それゆえ、このようなプロドラッグは本発明の組成物に特に適している。また、前述のアルバクロフェン・プラカルビルは既知のプロドラッグであり、本発明の組成物において、バクロフェンの代わりに用いられてもよい。バクロフェンのその他のプロドラッグは、特許出願である、国際公開第2010102071号、米国特許第2009197958号、国際公開第2009096985号、国際公開第2009061934号、国際公開第2008086492号、米国特許第2009216037号、国際公開第2005066122号、米国特許第2011021571号、国際公開第2003077902号、および国際公開第2010120370号において見受けられる。
【0038】
アカンプロセートの有用なプロドラッグである、アカンプロセートのパントイン酸エステルネオペンチルスルホニルエステル、ネオペンチルスルホニルエステルプロドラッグ、または潜在性カルボキシレートネオペンチルスルホニルエステルプロドラッグなどは、特に、国際公開第2009033069号、国際公開第2009033061号、国際公開第2009033054号、国際公開第2009052191号、国際公開第2009033079号、米国特許第2009/0099253号、米国特許第2009/0069419号、米国特許第2009/0082464号、米国特許第2009/0082440号、および米国特許第2009/0076147号に記載されている。
【0039】
上述のようなプロドラッグは本明細書で開示される本発明の化合物の代わりに用いられてもよい。
【0040】
化合物の「誘導体」という用語は、該化合物に機能上および構造上関連するあらゆる分子を含み、例えばそのような化合物の酸、アミド、エステル、エーテル、アセチル化変異体、ヒドロキシル化変異体、またはアルキル化(C1−C6)変異体などのことである。また、誘導体という用語は、先に挙げたような1つ以上の置換基を失った状態の構造上関連した化合物を含む。例として、ホモタウリンはアカンプロセートの脱アセチル化誘導体である。既知の方法で定められているように、化合物の好適な誘導体は該化合物にかなりの程度の類似性を有する分子である。親分子と類似の指標を有する類似化合物は、PubChem(http://pubchem.ncbi.nlm.nih.gov/search/)またはDrugBank(http://www.drugbank.ca/)など、数多くのデータベースに見受けられる。より好ましい実施形態では、誘導体は、親薬剤に対して、0.4を超える、好ましくは0.5を超える、より好ましくは0.6を超える、さらにより好ましくは0.7を超える谷本類似係数(Tanimoto similarity index)を有するべきである。谷本類似係数は2分子間の構造的類似の程度を測定するために広く用いられている。また谷本類似係数は、インターネット上で利用可能なthe Small Molecule Subgraph Detector(http://www.ebi.ac.uk/thornton−srv/software/SMSD/)(参考文献23〜24)などのソフトウェアにより解析可能である。好適な誘導体は構造上および機能上の両面において親化合物に関連するべきであり、言い換えれば、親薬剤の活性の少なくとも一部をもまた保持すべきであり、より好ましくは、ドーパミン作動性ニューロンにおいて6OHDA誘導ストレスおよび/またはグルタミン酸毒性および/または虚血ストレスに対する保護活性を有するべきである(実験の項において例示される)。
【0041】
誘導体という用語はまた、例えば、組織への投与後に通常は特別な酵素系を通過する薬剤における(生化学の)変化または作用の結果であり、その薬剤の生物活性を示すか、または保持する分子などの薬剤の代謝物を含む。代謝物は、親薬剤の治療作用の多くを担っていることが開示されている。具体的な実施形態では、本明細書で使用される「代謝物」は、親薬剤の活性の少なくとも一部を保持し、好ましくは、ドーパミン作動性ニューロンにおいて、6OHDA誘導ストレスおよび/またはグルタミン酸毒性および/または虚血ストレスに対する保護活性を有する、改変または作用後の薬剤を指す。代謝物の例には、薬剤の肝代謝の結果としてのトラセミドのヒドロキシル化形態を含む(参考文献27)。
【0042】
用語「塩」は、薬学的に許容され、そして比較的非毒性の、本発明における化合物の無機または有機酸付加塩を示す。医薬塩の形成では、酸性、塩基性、または双性イオン性の薬剤分子を反対イオンと対形成させて薬剤の塩型を生成する。幅広い種類の化学種を中和反応において使用することができる。このように、本発明の薬学的に許容される塩は、塩基として機能する主化合物を、塩を形成するための無機または有機酸と反応させることにより得られる塩を含み、例として、酢酸、硝酸、酒石酸、塩酸、硫酸、リン酸、メタンスルホン酸、カンファースルホン酸、シュウ酸、マレイン酸、コハク酸、またはクエン酸の塩が挙げられる。また、本発明の薬学的に許容される塩は、主化合物が酸として機能し、例えば、ナトリウム塩、カリウム塩、カルシウム塩、マグネシウム塩、アンモニウム塩またはコリン塩を形成するために適切な塩基と反応させた塩を含む。所定の活性成分の大部分の塩は生物学的に同等であるが、とりわけ一部の塩は溶解性または生物学的利用能が増加し得る。現在、塩の選択は、H.StahlおよびC.G Wermuthのハンドブックによる教示のように、薬剤開発過程において一般的な標準作業になっている(参考文献25)。
【0043】
好ましい実施形態では、化合物の指示は、化合物それ自体、および任意の薬学的に許容されるその塩、水和物、異性体、ラセミ化合物を指すことを意図する。
【0044】
下記の表1は、本発明に用いられる化合物、ならびにそれらの化合物の塩、誘導体、代謝物、および/またはプロドラッグのCAS番号の非限定的例である。
【0045】
【表1】
【0046】
特定の実施形態では、化合物の徐放性製剤が用いられる。
【0047】
本発明者らは、アカンプロセート、バクロフェン、シナカルセト、メキシレチン、スルフィソキサゾールおよびトラセミドがアルファ‐シヌクレイン凝集分子経路の改善に特に効果的であることを発見した。
【0048】
実施例で開示されるように、本発明の分子は、パーキンソニズム、特にパーキンソン病に関わる生物学的プロセスに強力で予期しなかった効果を有し、病理学的に新規の治療方法を表す。特に、本発明の組成物はグルタミン酸毒性において予期せぬ効果を有する。さらに本発明の薬剤および組合せ薬剤は、6OHDA誘導酸化ストレスおよび虚血ストレス下のドーパミン作動性ニューロン生存を増進させ、パーキンソン病の運動および非運動症状に保護作用をもたらす。ゆえに、本発明の治療方法は、インビボで示すように、ニューロン細胞の保護、特に中脳のドーパミン作動性ニューロンの保護、より具体的には黒質のドーパミン作動性ニューロンの保護に効果的である。
【0049】
特定の実施形態では、本発明は、アカンプロセート、バクロフェン、シナカルセト、メキシレチン、スルフィソキサゾール、およびトラセミドから選択される化合物を用いた、パーキンソニズム、特にパーキンソン病の治療のための組成物および方法に関する。
【0050】
アルファ‐シヌクレイン凝集ネットワークに関わる少なくとも2つの異なるタンパク質の活性を調節する組合せ薬剤は、特に本発明の有利な実施形態を構成する。本発明者らは、実際に、前述の薬剤が組合せでの投与時に相乗的に作用してドーパミン作動性ニューロンを有効に保護することを認めた。本発明の組成物は、特に、グルタミン酸毒性、虚血誘導細胞死、および酸化ストレスに予期せぬ効果を有する。パーキンソニズム、特にパーキンソン病に関わる生物学的プロセスへのこのような強力で予期せぬ作用が、特定の関心の病理学において新規の組合せ治療方法をもたらす。
【0051】
本発明はまた、アカンプロセート、バクロフェン、シナカルセト、メキシレチン、スルフィソキサゾール、およびトラセミドから選択される少なくとも2つの薬剤を用いた、パーキンソニズム、特にパーキンソン病の治療のための組成物および方法に関する。
【0052】
本発明の組成物および方法は、疾患の運動および非運動症状への作用によってパーキンソン病の改善をもたらす。本発明の治療方法は、酸化ストレス、ミトコンドリア機能不全、興奮毒性障害、神経炎症、またはアポトーシスに対する、効果的な神経保護、特にドーパミン作動性ニューロンの効果的な神経保護を提供する。より具体的には、本発明の治療方法は、ドーパミン作動性細胞の欠失の割合または範囲を低減するため、そして、疾患進行過程に作用するために、アルファ‐シヌクレイン凝集毒性に対する黒質神経の保護を提供する。
【0053】
この点で、本発明の目的は、パーキンソニズム、特にパーキンソン病(PD)の治療に使用するための、アカンプロセート、バクロフェン、シナカルセト、メキシレチン、スルフィソキサゾール、およびトラセミド、またはそれらの塩、もしくはプロドラッグ、もしくは任意の純度の誘導体、もしくは徐放性製剤からなる群より選択される化合物を含む組成物に関する。好ましい実施形態では、組成物として、トラセミドまたはメキシレチン、またはそれらの塩、もしくはプロドラッグ、もしくは任意の純度の誘導体、もしくは徐放性製剤を含む。
【0054】
本発明は、パーキンソニズム、特にパーキンソン病(PD)の治療に使用するための、アカンプロセート、バクロフェン、シナカルセト、メキシレチン、スルフィソキサゾール、およびトラセミド、またはそれらの塩、もしくはプロドラッグ、もしくは任意の純度の誘導体、もしくは徐放性製剤から選択される少なくとも2つの化合物を含む組成物に関する。
【0055】
本発明は、パーキンソニズム、特にパーキンソン病(PD)の治療に使用するための、アカンプロセート、シナカルセト、およびトラセミド、またはそれらの塩、プロドラッグ、任意の純度の誘導体、もしくは徐放性製剤から選択される少なくとも1つの化合物と、バクロフェン、メキシレチン、またはスルフィソキサゾール、またはそれらの塩、プロドラッグ、任意の純度の誘導体、もしくは徐放性製剤から選択される少なくとも1つの化合物とを含む組成物に関する。
【0056】
より具体的には、本発明は、パーキンソニズム、特にパーキンソン病(PD)の治療での使用のための、下記の組合せ薬剤、
‐バクロフェンおよびアカンプロセート、
‐バクロフェンおよびシナカルセト、
‐シナカルセトおよびアカンプロセート、
‐メキシレチンおよびシナカルセト、
‐トラセミドおよびバクロフェン、または、
‐トラセミドおよびスルフィソキサゾール、
またはそれらの塩、もしくはプロドラッグ、もしくは任意の純度の誘導体、もしくは徐放性製剤のうちの少なくとも1つを含む、同時、連続または個別投与のための組成物に関する。
【0057】
また、本発明は、前述の薬剤または組成物のいずれか1つを用いて、対象者におけるパーキンソニズム、特にパーキンソン病を治療する方法に関する。
【0058】
本発明の特に好ましい組成物または方法では、バクロフェン、およびアカンプロセート、またはそれらの塩、プロドラッグ、任意の純度の誘導体、もしくは徐放性製剤が用いられる。
【0059】
本発明の別の好ましい組成物または方法では、バクロフェン、およびトラセミド、またはそれらの塩、プロドラッグ、任意の純度の誘導体、もしくは徐放性製剤が用いられる。
【0060】
別の特定の実施形態では、本発明の組成物または方法において、アカンプロセート、およびシナカルセト、またはそれらの塩、プロドラッグ、任意の純度の誘導体、もしくは徐放性製剤が用いられ、アカンプロセートの1日当たりの用量は10mgと等しいか、またはより低い。
【0061】
また本発明は、パーキンソニズム、特にパーキンソン病の治療のため、組合せ、個別、または連続で対象者へ投与される、アカンプロセート、またはその塩、プロドラッグ、任意の純度の誘導体、もしくは徐放性製剤、との組合せで使用するための、バクロフェン、またはその塩、プロドラッグ、任意の純度の誘導体、もしくは徐放性製剤に関する。
【0062】
ゆえに、本発明の好ましい薬剤組成物は、パーキンソニズム、特にパーキンソン病の組合せ療法を必要とする対象者におけるその組合せ療法のための、2、3、4、または5つの異なる薬剤、より好ましくは2、3、または4つの異なる薬剤を含む。好ましい実施形態において、本発明の薬剤は、最も高い効果を提供する目的で、組合せ、個別、または連続投与のための組合せで用いられる。
【0063】
さらに、本発明者らは、
‐バクロフェンおよびアカンプロセート、
‐バクロフェンおよびシナカルセト、
‐メキシレチンおよびシナカルセト、
‐シナカルセトおよびアカンプロセート、
‐トラセミドおよびバクロフェン、または、
‐トラセミドおよびスルフィソキサゾール、
からなる群より選択される少なくとも1つの組合せ薬剤と、
上述とは異なる薬剤であり、上記2成分の組合せの治療作用を増進し、そしてパーキンソニズム、特にパーキンソン病の治療における使用のためのさらに効果的な組成物をもたらす、アカンプロセート、バクロフェン、シナカルセト、メキシレチン、スルフィソキサゾール、およびトラセミド、から選択される薬剤との組合せを発見した。
【0064】
そして本発明はまた、組合せ、個別、または連続投与のための、バクロフェン、メキシレチン、スルフィソキサゾール、およびトラセミド、またはそれらの塩、プロドラッグ、誘導体、もしくは徐放性製剤から選択される薬剤との組合せにおける、シナカルセトおよびアカンプロセートを含む、パーキンソニズム、特にパーキンソン病(PD)の治療に使用するための組成物に関する。
【0065】
また本発明は、組合せ、個別、または連続投与のための、シナカルセト、メキシレチン、スルフィソキサゾール、およびトラセミド、またはそれらの塩、プロドラッグ、誘導体、もしくは徐放性製剤から選択される薬剤との組合せにおける、バクロフェンおよびアカンプロセートを含む、パーキンソニズム、特にパーキンソン病の治療に使用するための組成物に関する。
【0066】
さらに本発明は、組合せ、個別、または連続投与のための、アカンプロセート、メキシレチン、スルフィソキサゾール、およびトラセミド、またはそれらの塩、プロドラッグ、誘導体、もしくは徐放性製剤から選択される薬剤との組合せにおける、バクロフェンおよびシナカルセトを含む、パーキンソニズム、特にパーキンソン病の治療に使用するための組成物に関する。
【0067】
ひとつの実施形態では、本発明はまた、組合せ、個別、または連続投与のための、アカンプロセート、バクロフェン、スルフィソキサゾール、およびトラセミド、またはそれらの塩、プロドラッグ、誘導体、もしくは徐放性製剤から選択される薬剤との組合せにおける、メキシレチンおよびシナカルセトを含む、パーキンソニズム、特にパーキンソン病の治療に使用するための組成物に関する。
【0068】
別の実施形態では、本発明は、組合せ、個別、または連続投与のための、アカンプロセート、スルフィソキサゾール、シナカルセト、およびメキシレチン、またはそれらの塩、プロドラッグ、誘導体、もしくは徐放性製剤から選択される薬剤との組合せにおける、トラセミドおよびバクロフェンを含む、パーキンソニズム、特にパーキンソン病の治療に使用するための組成物に関する。
【0069】
さらに、本発明は、組合せ、個別、または連続投与のための、アカンプロセート、バクロフェン、メキシレチン、およびシナカルセト、またはそれらの塩、プロドラッグ、誘導体、もしくは徐放性製剤から選択される薬剤との組合せにおける、トラセミドおよびスルフィソキサゾールを含む、パーキンソニズム、特にパーキンソン病の治療に使用するための組成物に関する。
【0070】
さらに特定の実施形態では、本発明は、組合せ、個別、または連続投与のための、下記の組合せ薬剤、
‐バクロフェン、およびシナカルセト、およびメキシレチン、
‐シナカルセト、およびアカンプロセート、およびメキシレチン、
‐バクロフェン、およびアカンプロセート、およびシナカルセト、
‐バクロフェン、およびアカンプロセート、およびトラセミド、
‐バクロフェン、およびアカンプロセート、およびメキシレチン、または、
‐トラセミド、およびバクロフェン、およびシナカルセト、
またはそれらの塩、プロドラッグ、誘導体、もしくは徐放性製剤、のうち少なくとも1つを含む、パーキンソニズム、特にパーキンソン病の治療に使用するための組成物に関する。
【0071】
本発明のさらなる目的は、パーキンソニズム、特にパーキンソン病の治療用の薬剤を製造するための、上述で定義されるような組成物の使用にある。
【0072】
既に示したように、本発明の組合せ療法においては、化合物または薬剤は、一緒にまたは個別に製剤化され、同時、個別、または連続して投与されてもよい。
【0073】
本発明のさらなる目的は、パーキンソニズム、特にパーキンソン病の治療方法であって、その治療を必要とする対象者に、上記に開示した有効量の組成物を、同時、個別、または連続して投与することを含む方法である。
【0074】
この点で、本発明の具体的な目的は、パーキンソニズム、特にパーキンソン病の治療方法であって、その治療を必要とする対象者に、有効量の上記に開示した組合せ薬剤を、同時、個別、または連続して投与することを含む方法である。
【0075】
好ましい実施形態では、本発明は、アカンプロセート、バクロフェン、シナカルセト、メキシレチン、スルフィソキサゾール、およびトラセミドからなる群より選択される少なくとも1つの化合物である組成物の有効量を、対象者に、同時、個別、または連続して投与することを含む、パーキンソニズム、特にパーキンソン病の治療を必要とする対象者における、その治療方法に関する。
【0076】
より好ましい実施形態では、本発明は、アカンプロセート、バクロフェン、シナカルセト、メキシレチン、スルフィソキサゾール、およびトラセミドからなる群より選択される少なくとも2つの化合物の組合せの有効量を、対象者に、同時、個別、または連続して投与することを含む、パーキンソニズム、特にパーキンソン病の治療を必要とする対象者における、その治療方法に関する。
【0077】
さらにより好ましい実施形態では、本発明は、下記の組合せ薬剤、
‐バクロフェンおよびアカンプロセート、
‐バクロフェンおよびシナカルセト、
‐シナカルセトおよびアカンプロセート、
‐メキシレチンおよびシナカルセト、
‐トラセミドおよびバクロフェン、または、
‐トラセミドおよびスルフィソキサゾール、
またはそれらの塩、プロドラッグ、誘導体、もしくは徐放性製剤のうちの少なくとも1つの組合せの有効量を、対象者に、同時、個別、または連続して投与することを含む、パーキンソニズム、特にパーキンソン病の治療を必要とする対象者における、その治療方法に関する。
【0078】
別の好ましい実施形態では、本発明は、下記の組合せ薬剤、
‐バクロフェン、およびシナカルセト、およびメキシレチン、
‐シナカルセト、およびアカンプロセート、およびメキシレチン、
‐バクロフェン、およびアカンプロセート、およびシナカルセト、
‐バクロフェン、およびアカンプロセート、およびトラセミド、
‐バクロフェン、およびアカンプロセート、およびメキシレチン、または、
‐トラセミド、およびバクロフェン、およびシナカルセト、
またはそれらの塩、プロドラッグ、誘導体、もしくは徐放性製剤のうちの少なくとも1つの組合せの有効量を、対象者に、同時、個別、または連続して投与することを含む、パーキンソニズム、特にパーキンソン病の治療を必要とする対象者における、その治療方法に関する。
【0079】
本発明の組成物は、典型的には、1つまたは複数の薬学的に許容される担体または賦形剤を含む。また通常、本発明において使用される薬剤または化合物は、薬学的に許容される賦形剤または担体と混合される。
【0080】
この点で、本発明のさらなる目的は、医薬組成物の調製方法であり、その方法は、上述の化合物または組合せ化合物を、適切な賦形剤または担体内に混合することを含む。
【0081】
インビトロおよびインビボでは実に有効であるが、上述の方法、組成物、または組合せ療法は、対象者または特定の状態に依拠して、さらに追加の薬剤または治療と併用して、関連させて、または組み合わせて用いられてもよい。
【0082】
本発明の薬剤または組合せ薬剤と併用して用いられる追加の治療として、パーキンソン病の症状を改善する1つ以上の薬剤、パーキンソン病の緩和治療に用いられる1つ以上の薬剤、またはパーキンソン病の治療において現在臨床試験の枠組み内で評価されている1つ以上の薬剤を含んでもよい。
【0083】
ゆえに、本発明の組成物は、ドーパミン前駆体(好ましくは、レボドパ、メレボドパ)、ドーパミン受容体アゴニスト(好ましくは、タリペキソール、ピリベジル、ロチゴチン、ブロモクリプチン、ペルゴリド、カベルゴリン、リスリド、プラミペキソール、ロピニロール、もしくはアポモルフィン)、または、ドーパミン代謝酵素阻害剤(好ましくは、セレギリン、ラサギリン)などのドーパミン作動性薬剤と組み合わせてもよい。
【0084】
本発明の組成物はまた、パーキンソン病のための他の既知の療法、パーキンソン病のための付加的療法、パーキンソン病の非運動症状の治療、または、好ましくは、モノシアロテトラヘキソシルガングリオシド、シチコリン、ドロキシドパ、マザチコール、プロメタジン、クエチアピン、プロシクリジン、オルフェナドリン、ドンペリドン、ベンザトロピン、トリヘキシフェニジル、ビペリデン、クロザピン、デシプラミン、シタロプラム、ノルトリプチリン、パロキセチン、アトモキセチン、ベンラファキシン、アマンタジン、ドネペジル、リバスチグミン、もしくはメマンチンと組み合わせてもよい。
【0085】
上述で言及した療法を伴う本発明の方法、組成物、または組合せのこのような使用は、関連する薬剤の治療量の低減を可能にし、例えばレボドパで処置をした患者に見受けられるピーク・ドーズ・ジスキネジアなどの、これらの薬剤に関連する既知の副作用を低減、遅延、または回避できるであろう。
【0086】
この点で、本発明のさらなる目的は、パーキンソニズム、特にパーキンソン病の治療における使用のための、レボドパ、タリペキソール、ピリベジル、ロチゴチン、ブロモクリプチン、ペルゴリド、カベルゴリン、リスリド、プラミペキソール、ロピニロール、アポモルフィン、セレギリン、ラサギリン、モノシアロテトラヘキソシルガングリオシド、シチコリン、ドロキシドパ、マザチコール、プロメタジン、クエチアピン、プロシクリジン、オルフェナドリン、ドンペリドン、ベンザトロピン、トリヘキシフェニジル、ビペリデン、クロザピン、デシプラミン、シタロプラム、ノルトリプチリン、パロキセチン、アトモキセチン、ベンラファキシン、アマンタジン、ドネペジル、リバスチグミン、およびメマンチン、またはそれらの塩、プロドラッグ、任意の純度の誘導体、もしくは徐放性製剤からなる群から選択される少なくとも1つの化合物との組合せにおける、上述のような組成物を含む組成物に関する。
【0087】
ゆえに、本発明の特定の実施形態は、パーキンソニズム、特にパーキンソン病の治療における使用のための、レボドパ、タリペキソール、ピリベジル、ロチゴチン、ブロモクリプチン、ペルゴリド、カベルゴリン、リスリド、プラミペキソール、ロピニロール、アポモルフィン、セレギリン、ラサギリン、モノシアロテトラヘキソシルガングリオシド、シチコリン、ドロキシドパ、マザチコール、プロメタジン、クエチアピン、プロシクリジン、オルフェナドリン、ドンペリドン、ベンザトロピン、トリヘキシフェニジル、ビペリデン、クロザピン、デシプラミン、シタロプラム、ノルトリプチリン、パロキセチン、アトモキセチン、ベンラファキシン、アマンタジン、ドネペジル、リバスチグミン、およびメマンチン、またはそれらの塩、プロドラッグ、任意の純度の誘導体、もしくは徐放性製剤からなる群より選択される少なくとも1つの化合物との組合せにおける、アカンプロセート、バクロフェン、シナカルセト、メキシレチン、スルフィソキサゾール、およびトラセミド、またはそれらの塩、プロドラッグ、任意の純度の誘導体、もしくは徐放性製剤からなる群より選択される少なくとも1つの化合物を含む、組成物に関する。
【0088】
本発明の好ましい実施形態は、パーキンソニズム、特にパーキンソン病の治療における使用のための、下記組合せ薬剤、
‐バクロフェンおよびレボドパ、
‐トラセミドおよびレボドパ、
‐スルフィソキサゾールおよびレボドパ、
‐メキシレチンおよびレボドパ、または
‐シナカルセトおよびレボドパ、
またはそれらの塩、プロドラッグ、任意の純度の誘導体、もしくは徐放性製剤のうちの少なくとも1つを含む、組合せ、個別、または連続で投与される組成物に関する。
【0089】
また本発明は、下記組合せ薬剤、
‐バクロフェンおよびレボドパ、
‐トラセミドおよびレボドパ、
‐スルフィソキサゾールおよびレボドパ、
‐メキシレチンおよびレボドパ、または
‐シナカルセトおよびレボドパ、
またはそれらの塩、プロドラッグ、任意の純度の誘導体、もしくは徐放性製剤のうちの少なくとも1つを含む、組合せ、個別、または連続投与のための、組成物それ自体に関する。
【0090】
ひとつの実施形態では、本発明はまた、レボドパ、タリペキソール、ピリベジル、ロチゴチン、ブロモクリプチン、ペルゴリド、カベルゴリン、リスリド、プラミペキソール、ロピニロール、アポモルフィン、セレギリン、ラサギリン、モノシアロテトラヘキソシルガングリオシド、シチコリン、ドロキシドパ、マザチコール、プロメタジン、クエチアピン、プロシクリジン、オルフェナドリン、ドンペリドン、ベンザトロピン、トリヘキシフェニジル、ビペリデン、クロザピン、デシプラミン、シタロプラム、ノルトリプチリン、パロキセチン、アトモキセチン、ベンラファキシン、アマンタジン、ドネペジル、リバスチグミン、およびメマンチン、またはそれらの塩、プロドラッグ、任意の純度の誘導体、もしくは徐放性製剤からなる群より選択される少なくとも1つの化合物との組合せにおける、アカンプロセート、バクロフェン、シナカルセト、メキシレチン、スルフィソキサゾール、およびトラセミドからなる群より選択される少なくとも2つの化合物の組合せの有効量を、同時、個別、または連続で対象者へ投与することを含む、パーキンソニズム、特にパーキンソン病の治療を必要とする対象者における、その治療方法に関する。
【0091】
別の実施形態では、本発明は、レボドパ、タリペキソール、ピリベジル、ロチゴチン、ブロモクリプチン、ペルゴリド、カベルゴリン、リスリド、プラミペキソール、ロピニロール、アポモルフィン、セレギリン、ラサギリン、モノシアロテトラヘキソシルガングリオシド、シチコリン、ドロキシドパ、マザチコール、プロメタジン、クエチアピン、プロシクリジン、オルフェナドリン、ドンペリドン、ベンザトロピン、トリヘキシフェニジル、ビペリデン、クロザピン、デシプラミン、シタロプラム、ノルトリプチリン、パロキセチン、アトモキセチン、ベンラファキシン、アマンタジン、ドネペジル、リバスチグミン、およびメマンチン、またはそれらの塩、プロドラッグ、任意の純度の誘導体、もしくは徐放性製剤からなる群より選択される少なくとも1つの化合物との組合せにおける、バクロフェンおよびアカンプロセート、またはそれらの塩、プロドラッグ、誘導体、もしくは徐放性製剤の有効量を、同時、個別、または連続で対象者へ投与することを含む、パーキンソニズム、特にパーキンソン病の治療を必要とする対象者における、その治療方法に関する。
【0092】
別の実施形態では、本発明は、レボドパ、タリペキソール、ピリベジル、ロチゴチン、ブロモクリプチン、ペルゴリド、カベルゴリン、リスリド、プラミペキソール、ロピニロール、アポモルフィン、セレギリン、ラサギリン、モノシアロテトラヘキソシルガングリオシド、シチコリン、ドロキシドパ、マザチコール、プロメタジン、クエチアピン、プロシクリジン、オルフェナドリン、ドンペリドン、ベンザトロピン、トリヘキシフェニジル、ビペリデン、クロザピン、デシプラミン、シタロプラム、ノルトリプチリン、パロキセチン、アトモキセチン、ベンラファキシン、アマンタジン、ドネペジル、リバスチグミン、およびメマンチン、またはそれらの塩、プロドラッグ、任意の純度の誘導体、もしくは徐放性製剤からなる群より選択される少なくとも1つの化合物との組合せにおける、メキシレチンおよびシナカルセト、またはそれらの塩、プロドラッグ、誘導体、もしくは徐放性製剤の有効量を、同時、個別、または連続で対象者へ投与することを含む、パーキンソニズム、特にパーキンソン病の治療を必要とする対象者における、その治療方法に関する。
【0093】
別の実施形態では、本発明は、レボドパ、タリペキソール、ピリベジル、ロチゴチン、ブロモクリプチン、ペルゴリド、カベルゴリン、リスリド、プラミペキソール、ロピニロール、アポモルフィン、セレギリン、ラサギリン、モノシアロテトラヘキソシルガングリオシド、シチコリン、ドロキシドパ、マザチコール、プロメタジン、クエチアピン、プロシクリジン、オルフェナドリン、ドンペリドン、ベンザトロピン、トリヘキシフェニジル、ビペリデン、クロザピン、デシプラミン、シタロプラム、ノルトリプチリン、パロキセチン、アトモキセチン、ベンラファキシン、アマンタジン、ドネペジル、リバスチグミン、およびメマンチン、またはそれらの塩、プロドラッグ、任意の純度の誘導体、もしくは徐放性製剤からなる群より選択される少なくとも1つの化合物との組合せにおける、トラセミドおよびバクロフェン、またはそれらの塩、プロドラッグ、誘導体、もしくは徐放性製剤の有効量を、同時、個別、または連続で対象者へ投与することを含む、パーキンソニズム、特にパーキンソン病の治療を必要とする対象者における、その治療方法に関する。
【0094】
別の実施形態では、本発明は、レボドパ、タリペキソール、ピリベジル、ロチゴチン、ブロモクリプチン、ペルゴリド、カベルゴリン、リスリド、プラミペキソール、ロピニロール、アポモルフィン、セレギリン、ラサギリン、モノシアロテトラヘキソシルガングリオシド、シチコリン、ドロキシドパ、マザチコール、プロメタジン、クエチアピン、プロシクリジン、オルフェナドリン、ドンペリドン、ベンザトロピン、トリヘキシフェニジル、ビペリデン、クロザピン、デシプラミン、シタロプラム、ノルトリプチリン、パロキセチン、アトモキセチン、ベンラファキシン、アマンタジン、ドネペジル、リバスチグミン、およびメマンチン、またはそれらの塩、プロドラッグ、任意の純度の誘導体、もしくは徐放性製剤からなる群より選択される少なくとも1つの化合物との組合せにおける、スルフィソキサゾールおよびトラセミド、またはそれらの塩、プロドラッグ、誘導体、もしくは徐放性製剤の有効量を、同時、個別、または連続で対象者へ投与することを含む、パーキンソニズム、特にパーキンソン病の治療を必要とする対象者における、その治療方法に関する。
【0095】
別の実施形態では、本発明は、レボドパ、タリペキソール、ピリベジル、ロチゴチン、ブロモクリプチン、ペルゴリド、カベルゴリン、リスリド、プラミペキソール、ロピニロール、アポモルフィン、セレギリン、ラサギリン、モノシアロテトラヘキソシルガングリオシド、シチコリン、ドロキシドパ、マザチコール、プロメタジン、クエチアピン、プロシクリジン、オルフェナドリン、ドンペリドン、ベンザトロピン、トリヘキシフェニジル、ビペリデン、クロザピン、デシプラミン、シタロプラム、ノルトリプチリン、パロキセチン、アトモキセチン、ベンラファキシン、アマンタジン、ドネペジル、リバスチグミン、およびメマンチン、またはそれらの塩、プロドラッグ、任意の純度の誘導体、もしくは徐放性製剤からなる群より選択される少なくとも1つの化合物との組合せにおける、シナカルセトおよびアカンプロセート、またはそれらの塩、プロドラッグ、誘導体、もしくは徐放性製剤の有効量を、同時、個別、または連続で対象者へ投与することを含む、パーキンソニズム、特にパーキンソン病の治療を必要とする対象者における、その治療方法に関する。
【0096】
別の実施形態では、本発明は、レボドパ、タリペキソール、ピリベジル、ロチゴチン、ブロモクリプチン、ペルゴリド、カベルゴリン、リスリド、プラミペキソール、ロピニロール、アポモルフィン、セレギリン、ラサギリン、モノシアロテトラヘキソシルガングリオシド、シチコリン、ドロキシドパ、マザチコール、プロメタジン、クエチアピン、プロシクリジン、オルフェナドリン、ドンペリドン、ベンザトロピン、トリヘキシフェニジル、ビペリデン、クロザピン、デシプラミン、シタロプラム、ノルトリプチリン、パロキセチン、アトモキセチン、ベンラファキシン、アマンタジン、ドネペジル、リバスチグミン、およびメマンチン、またはそれらの塩、プロドラッグ、任意の純度の誘導体、もしくは徐放性製剤からなる群より選択される少なくとも1つの化合物との組合せにおける、バクロフェンおよびシナカルセト、またはそれらの塩、プロドラッグ、誘導体、もしくは徐放性製剤の有効量を、同時、個別、または連続で対象者へ投与することを含む、パーキンソニズム、特にパーキンソン病の治療を必要とする対象者における、その治療方法に関する。
【0097】
好ましい実施形態では、本発明の組成物は、パーキンソニズム、特にパーキンソン病の治療における使用のための、下記の組合せ薬剤、
‐バクロフェン、およびアカンプロセート、およびレボドパ、
‐メキシレチン、およびシナカルセト、およびレボドパ、
‐トラセミド、およびバクロフェン、およびレボドパ、
‐バクロフェン、およびシナカルセト、およびレボドパ、
‐シナカルセト、およびアカンプロセート、およびレボドパ、または、
‐スルフィソキサゾール、およびトラセミド、およびレボドパ、
またはそれらの塩、プロドラッグ、誘導体、もしくは徐放性製剤のうち少なくとも1つを含み、前記各組合せの薬剤は、組合せ、個別、または連続投与される。
【0098】
また本発明は、下記の組合せ薬剤、
‐バクロフェン、およびアカンプロセート、およびレボドパ、
‐メキシレチン、およびシナカルセト、およびレボドパ、
‐トラセミド、およびバクロフェン、およびレボドパ、
‐バクロフェン、およびシナカルセト、およびレボドパ、
‐シナカルセト、およびアカンプロセート、およびレボドパ、または、
‐スルフィソキサゾール、およびトラセミド、およびレボドパ、
またはそれらの塩、プロドラッグ、誘導体、もしくは徐放性製剤のうち少なくとも1つを含む組成物それ自体に関し、前記各組合せの薬剤は、同時、個別、または連続投与される。
【0099】
別の好ましい実施形態では、本発明は、パーキンソニズム、特にパーキンソン病の治療における使用のための、下記の組合せ薬剤、
‐バクロフェン、シナカルセト、メキシレチン、およびレボドパ、
‐シナカルセト、アカンプロセート、メキシレチン、およびレボドパ、
‐バクロフェン、アカンプロセート、シナカルセト、およびレボドパ、
‐バクロフェン、アカンプロセート、トラセミド、およびレボドパ、
‐バクロフェン、アカンプロセート、メキシレチン、およびレボドパ、または、
‐トラセミド、バクロフェン、シナカルセト、およびレボドパ、
またはそれらの塩、プロドラッグ、誘導体、もしくは徐放性製剤のうち少なくとも1つを含む本発明の組成物に関し、前記各組合せの薬剤は、組合せ、個別、または連続投与される。
【0100】
特定の実施形態において、本発明の組成物または組合せ療法がドーパミン前駆体を含む場合に、さらに、末梢性ドーパデカルボキシラーゼ阻害剤、カテコール−O−メチルトランスフェラーゼ阻害剤、または、モノアミンオキシダーゼ阻害剤から選択される少なくとも1つの化合物と組み合わせてもよい。より具体的には、本発明の組成物または組合せ療法が、ドーパミン前駆体を含む場合に、さらに、カルビドパ、ベンセラジド、トルカポン、エンタカポン、セレギリン、またはラサギリンから選択される少なくとも1つの化合物と組み合わせてもよい。
【0101】
本発明のさらなる目的は、パーキンソニズム、特にパーキンソン病の治療用薬剤の製造のための、上述で定義したような組成物の使用にある。
【0102】
別の実施形態では、本発明の組成物または組合せ療法が、例えば深部脳刺激などのパーキンソン病のための外科的療法と併用して用いられてもよい。より具体的には、外科的療法とは視床下核または淡蒼球内節の深部脳刺激のことである。
【0103】
この点で、本発明は、パーキンソニズム、特にパーキンソン病の治療において、視床下核または淡蒼球内節の深部脳刺激と組み合わせて使用される、アカンプロセート、バクロフェン、シナカルセト、メキシレチン、スルフィソキサゾールおよびトラセミド、またはその塩、プロドラッグ、任意の化学純度の誘導体、もしくは徐放性製剤からなる群より選択される少なくとも1つの化合物を含む組成物に関する。
【0104】
パーキンソン病の運動症状は、線条体のドーパミン除神経、および黒質ドーパミン作動性ニューロンの欠失がすでに広く起きているそのときに発現する。運動症状発現前の、そして予防におけるパーキンソン病の治療は、疾患の進行および経過を変化させるために不可欠である。
【0105】
好ましい実施形態では、この点で、前述の方法、組成物、または組合せ療法のいずれかが、パーキンソン病によって引き起こされる症状またはその原因の抑止、予防、または遅延に用いられてもよい。
【0106】
線条体のドーパミントランスポータにおける変化を解析するためのイメージング技術(単一光子放出コンピュータ技術、陽電子放出断層撮影)と、非運動症状、特に無嗅覚の早期検出との組合せは、運動症状の発現に先立ってパーキンソン病患者のリスクを特定するのに適切な方法であり、神経保護療法の早期開始を可能にする。
【0107】
いくつかのパーキンソン病症例は、SNCA(アルファ‐シヌクレイン)、PRKN(パーキン)、LRRK2(ロイシンリッチリピートキナーゼ2)、PINK1(PTEN誘導性推定キナーゼ1)、DJ−1、およびATP13A2、ならびに11の遺伝子座(PARK1〜PARK11)などの遺伝子内の変異に起因する。この点において特定の実施形態では、本発明は、SNCA、PRKN、LRRK2、PINK1、DJ−1、ATP13A2、およびPARK1〜PARK11の遺伝子のうちの少なくとも1つにおいて変異を有する対象者におけるパーキンソン病治療のための、上述の方法、組成物、または組合せ療法の使用に関する。
【0108】
マンガン、銅、もしくは鉛などの金属、または殺虫剤(例えば、パラコート、ロテノン、およびマネブ)などの化学物質に対する高濃度曝露または慢性的曝露は、パーキンソニズム、特にパーキンソン病の原因になりやすい。この点において特定の実施形態では、本発明は、パーキンソン病または関連疾患発現のリスク因子として知られる化学物質または金属への曝露、曝露の嫌疑、または曝露のリスクのある対象者における、パーキンソニズム、特にパーキンソン病の治療の、上述の方法、組成物、または組合せ療法の使用に関する。
【0109】
好ましい実施形態では、上述の方法、組成物、または組合せ療法は、パーキンソン病、またはパーキンソン病に関連する症状の発現リスクのある対象者に用いられてもよい。
【0110】
本発明の治療は、家庭で、医師の診療所、クリニックで、病院の外来で、または病院で提供されるので、医師はその治療効果を綿密に観察可能あり、そして必要なあらゆる調整を行うことが可能である。
【0111】
治療の存続期間は、処置される疾患の段階、患者の年齢および状態、そして患者の処置に対する反応の様子次第である。組合せの各成分の、投与の用量、頻度、および方法は、独立して管理されてもよい。例えば、1つの薬剤を経口投与する一方で、2つ目の薬剤を筋肉内に投与してもよい。患者の身体が、未だ予期しない任意の副作用から回復する機会をもつため、組合せ療法は休止期間を含むオン・オフサイクルでおこなわれてもよい。また薬剤は、1回の投与ですべての薬剤を送達するように一緒に製剤化されてもよい。
【0112】
各組合せ薬剤の投与は、その他の成分と組み合わせて、患者の状態を改善可能であるか、または疾患もしくは障害を効果的に治療可能である、薬剤の濃縮物として、任意の適切な手段によっておこなわれてもよい。
【0113】
本組合せ薬剤が純粋な化学物質として投与されることは可能であるが、本文脈では医薬製剤としても言及される医薬組成物として提供されることが好ましい。可能な組成物として、経口、経直腸、経局所(経皮、経口腔、および舌下を含む)、または非経口(皮下、筋肉内、静脈内および皮内を含む)投与に適する組成物が含まれる。
【0114】
より一般的には、これらの医薬製剤は、幾つかの投与単位を含む「患者用パック」にして、または個別の治療期間に単一包装(通常はブリスターパック)で使用される計量単位用量の投与のための他の手段で患者に処方される。患者用パックは、患者が常に患者用パックに含まれる添付文書を利用できる(従来処方では通常は紛失している)という点で、薬剤師が医薬の患者への供給分をバルク供給分から分割する従来処方よりも利点がある。また、添付文書の封入は医師の指示に対する患者の服薬コンプライアンスを改善することが示されている。したがって、本発明は、前述の製剤に適切な包装材料を組み合わせた、本明細書に前記の医薬製剤をさらに含む。このような患者用パックにおいて、組合せ療法のための製剤の使用意図は、その治療に対し最も適切に製剤が使用されるように、指示、仕組み、供給、適用および/または他の手段により推察されることが可能である。このような評価基準により、患者用パックは、本発明の組合せでの療法のための使用に特に適切であり、相応する。
【0115】
薬剤は、任意の適量で、任意の適切な担体物質中に含まれてもよい。また薬剤は、組成物の総重量の99重量%までの量で提供されてもよい。組成物は、経口、非経口(例えば、静脈内、筋肉内)、直腸内、経皮、鼻内、膣内、吸入、皮膚(パッチ)、または眼内の投与経路に適した投与剤形で提供されることが可能である。したがって、本組成物は、例えば、錠剤、カプセル剤、丸剤、散剤、顆粒剤、懸濁剤、乳剤、液剤、ヒドロゲルを含むゲル剤、泥膏、軟膏剤、クリーム剤、硬膏剤、飲薬、浸透圧送達装置、坐剤、浣腸剤、注射剤、インプラント、噴霧剤、またはエアゾール剤の剤形を取ってもよい。
【0116】
本医薬組成物は、従来の製薬の実務により製剤化することができる(例えば、Remington、The Science and Practice of Pharmacy(20th ed.)、ed. A.R.Gennaro、Lippincott Williams & Wilkins、2000およびEncyclopedia of Pharmaceutical Technology、eds. J.Swarbrick and J.C.Boylan、1988−1999、Marcel Dekker、New Yorkを参照のこと)。
【0117】
本発明にかかる医薬組成物は、投与直後に、または投与後の任意の所定の時点もしくは期間に、十分に活性薬剤を放出するように製剤化されることが可能である。
【0118】
放出制御製剤は、(i)長時間にわたり、体内で実質的に薬剤の一定濃度をもたらす製剤、(ii)所定の遅延時間後に、長時間にわたり体内で実質的に薬剤の一定濃度をもたらす製剤、(iii)活性薬剤物質の血漿レベルの変動に関連する望ましくない副作用を最小限に抑えると共に、体内で比較的一定の有効薬剤レベルを維持することにより、所定の期間、薬剤作用を持続する製剤、(iv)例えば、患部組織もしくは臓器の近く、またはその中に放出制御組成物を空間配置することにより、薬剤作用を局在化させる製剤、および(v)薬剤を特定の標的細胞型に送達させるための担体または化学的誘導体を使用することにより、薬剤作用を標的化する製剤、を含む。
【0119】
放出制御製剤の剤形における薬剤の投与は、その薬剤が、(i)低い治療指数(すなわち、有害な副作用または毒性反応をもたらす血漿濃度と治療効果をもたらす血漿濃度との間の差が小さい。一般には、治療指数TIは、50%有効量(ED50)に対する50%致死量(LD50)の比として定義される)、(ii)狭い消化管吸収域、または(iii)非常に短い生物学的半減期(これにより、血漿レベルを治療レベルに維持するために1日に頻回の投与が必要となる)を有する場合に特に好ましい。
【0120】
問題の薬剤の放出速度が代謝速度を上回る放出制御を得るために、多数の方策のいずれも追求することができる。放出制御は、例えば、様々なタイプの放出制御組成物およびコーティングを包含する、種々の製剤パラメータおよび成分の適切な選択により得られる。すなわち、当該薬剤は、適切な賦形剤と共に、投与により薬剤を制御放出する医薬組成物(単一、または複数単位の錠剤またはカプセル剤組成物で、油性液剤、懸濁剤、乳剤、マイクロカプセル、マイクロスフェア、ナノ粒子、パッチ、およびリポソーム)に製剤化される。
【0121】
<経口使用のための固体投与剤形>
経口使用のための製剤は、医薬的に許容される非毒性の賦形剤との混合物中に本発明の組成物を含む錠剤を含む。これらの賦形剤は、例えば、不活性希釈剤または充填剤(例えば、ショ糖、微結晶性セルロース、バレイショデンプンを含むデンプン、炭酸カルシウム、塩化ナトリウム、リン酸カルシウム、硫酸カルシウム、またはリン酸ナトリウム)、顆粒剤および崩壊剤(例えば、微結晶性セルロースを含むセルロース誘導体、バレイショデンプンを含むデンプン、クロスカルメロースナトリウム、アルギネイト、またはアルギン酸)、結合剤(例えば、アカシア、アルギン酸、アルギン酸ナトリウム、ゼラチン、デンプン、α化デンプン、微結晶性セルロース、カルボキシメチルセルロースナトリウム、メチルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、エチルセルロース、ポリビニルピロリドン、またはポリエチレングリコール)、ならびに潤滑剤、滑剤、および粘着防止剤(例えば、ステアリン酸、シリカ、またはタルク)であってよい。その他の医薬的に許容される賦形剤は、着色剤、香料、可塑剤、湿潤剤、緩衝剤などであってよい。
【0122】
錠剤は、素錠であるか、または場合により消化管での崩壊および吸収を遅延させることにより長時間にわたり持続作用を提供するために既知の手法によりコーティングされていてもよい。コーティングは、活性薬剤物質を既定のパターンで放出するようにつくる(例えば、放出制御製剤を得るため)か、または胃の通過後まで活性薬剤物質を放出しないようにつくる(腸溶性コーティング)ことができる。コーティングは、糖衣、フィルムコーティング(例えば、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、メチルセルロース、メチルヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、カルボキシメチルセルロース、アクリレート共重合体、ポリエチレングリコールおよび/もしくはポリビニルピロリドンを基剤にする)、または腸溶コーティング(例えば、メタクリル酸共重合体、酢酸フタル酸セルロース、フタル酸ヒドロキシプロピルメチルセルロース、酢酸コハク酸ヒドロキシプロピルメチルセルロース、ポリビニルアセテートフタレート、セラック、および/もしくはエチルセルロースを基剤にする)であってよい。時間遅延物質として、例えば、モノステアリン酸グリセリルまたはジステアリン酸グリセリルなどを利用することができる。
【0123】
固体の錠剤組成物は、組成物を不要な化学変化(例えば、活性薬剤物質の放出に先立つ化学分解)から保護することに適したコーティングを含んでもよい。このコーティングは、Encyclopedia of Pharmaceutical Technologyに記載された方法と同様に固体投与剤形に適用されることができる。
【0124】
数種の薬剤が、錠剤中で混合されていても、または仕切られていてもよい。例えば、第1の薬剤の放出前に第2の薬剤の大部分が放出されるように、第1の薬剤は錠剤の内側に、そして第2の薬剤は外側に含まれる。
【0125】
経口使用のための製剤はまた、活性成分を不活性固体希釈剤(例えば、バレイショデンプン、微結晶性セルロース、炭酸カルシウム、リン酸カルシウムまたはカオリン)と混合したチュアブル錠として、もしくは硬ゼラチンカプセル剤として、または、活性成分を水もしくは油性媒体、例えば、流動パラフィン、もしくはオリーブ油と混合した軟ゼラチンカプセル剤として提示されてもよい。散剤および顆粒剤は、錠剤およびカプセル剤について上記で述べた成分を用いて、従来法で調製することができる。
【0126】
経口使用のための放出制御組成物は、例えば、活性薬剤物質の溶解および/または拡散を制御することにより活性薬剤を放出するように構成されてもよい。
【0127】
溶解制御放出または拡散制御放出は、薬剤の錠剤製剤、カプセル剤製剤、ペレット製剤、もしくは顆粒剤製剤に適切なコーティングを施すことにより、または薬剤を適切なマトリックスに組み込むことにより得ることができる。放出制御コーティングは、上記で挙げられているコーティング物質のうちの1つ以上、および/または、例えば、セラック、ミツロウ、グリコワックス(glycowax)、硬化ヒマシ油(castor wax)、カルナウバロウ、ステアリルアルコール、モノステアリン酸グリセリル、ジステアリン酸グリセリル、パルミトステアリン酸グリセロール、エチルセルロース、アクリル樹脂、dl−ポリ乳酸、酢酸酪酸セルロース、ポリ塩化ビニル、ポリ酢酸ビニル、ビニルピロリドン、ポリエチレン、ポリメタクリレート、メチルメタクリレート、2−ヒドロキシメタクリレート、メタクリレートヒドロゲル、1,3−ブチレングリコール、エチレングリコールメタクリレート、および/もしくは、ポリエチレングリコールを含む。放出制御マトリックス製剤において、マトリックス物質はまた、例えば、水和メチルセルロース、カルナウバロウおよびステアリルアルコール、カーボポール934、シリコーン、トリステアリン酸グリセリル、メチルアクリレート−メチルメタクリレート、ポリ塩化ビニル、ポリエチレン、および/または、ハロゲン化フルオロカーボンを含む。
【0128】
本特許請求における組合せのうち1つ以上の薬剤を含む放出制御組成物はまた、浮揚性錠剤またはカプセル剤(すなわち、経口投与されると、一定時間、胃の内容物上に浮いている錠剤またはカプセル剤)の剤形であってもよい。薬剤の浮揚性錠剤の製剤は、賦形剤および20%〜75%(w/w)の親水コロイド(ヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、またはヒドロキシプロピルメチルセルロースなど)と薬剤の混合物を顆粒化することにより調製されることが可能である。そして、得られた顆粒は錠剤へと圧縮されることが可能である。この錠剤は胃液と接触すると、その表面周囲に実質上水不透過性のゲルバリアを形成する。このゲルバリアは1未満の密度を維持することに寄与し、それによって錠剤が胃液中で浮揚性を保持できる。
【0129】
<経口投与用液剤>
水の添加による水性懸濁液の調製に適している散剤、分散性散剤、または顆粒剤は、経口投与に便利な投与剤形である。懸濁液としての製剤は、分散剤または湿潤剤、懸濁剤、および1つ以上の保存剤との混合物として活性成分を提供する。適切な懸濁剤は、例えば、カルボキシメチルセルロースナトリウム、メチルセルロース、アルギン酸ナトリウムなどである。
【0130】
<非経口投与用組成物>
また本医薬組成物は、注射、点滴またはインプラント(静脈内、筋肉内、皮下など)により、従来の非毒性の薬学的に許容される担体およびアジュバントを含む、投与剤形、製剤で、または適切な送達装置もしくはインプラントを介して、非経口投与されてもよい。このような組成物の製剤および調製は、医薬製剤の当業者には周知である。
【0131】
非経口使用の組成物は、単位投与剤形として(例えば、単回投与用アンプルとして)、または数回の用量を含み、その中に適切な保存剤を加えることが可能なバイアルとして提供されてもよい(以下を参照のこと)。組成物は、液剤、懸濁剤、乳剤、点滴装置、もしくはインプラント用の送達装置の剤形をとることが可能であり、または使用前に水もしくは別の適切な媒体で再構成されるドライパウダーとして提供されてもよい。本組成物は、活性薬剤の他に、非経口投与に許容される適切な担体および/または賦形剤を含んでもよい。活性薬剤は、放出制御のためにマイクロスフェア、マイクロカプセル、ナノ粒子、またはリポソームなどに組み込まれてもよい。また本組成物は、懸濁剤、可溶化剤、安定化剤、pH調整剤、および/または分散剤を含んでもよい。
【0132】
本発明の医薬組成物は無菌注射に適した剤形であってもよい。このような組成物を調製するために、適切な活性薬剤は非経口投与に許容される液体媒体に溶解または懸濁される。利用できる許容可能な媒体および溶媒には、水、適量の塩酸、水酸化ナトリウムもしくは適切な緩衝剤を添加して適切なpHに調整した水、1,3−ブタンジオール、リンゲル液、および等張塩化ナトリウム溶液がある。また水性製剤は、1つ以上の保存剤(例えば、p−ヒドロキシ安息香酸メチル、エチル、またはn−プロピル)を含んでもよい。薬剤の1つが水にやや溶けにくいか溶けにくい場合は、溶解増強剤もしくは可溶化剤を添加してもよい。あるいは、溶媒は10%〜60%(w/w)のプロピレングリコールなどを含んでもよい。
【0133】
非経口用放出制御組成物は、水性懸濁剤、マイクロスフェア、マイクロカプセル、磁性マイクロスフェア、油性液剤、油性懸濁剤、または乳剤の剤形であってもよい。あるいは、活性薬剤は、生体適合性担体、リポソーム、ナノ粒子、インプラント、または点滴装置に組み込まれてもよい。マイクロスフェアおよび/またはマイクロカプセルの調製に使用される物質は、例えば、ポリグラクチン、ポリ(イソブチルシアノアクリレート)、ポリ(2−ヒドロキシエチル−L−グルタミン)などの、生分解性/生浸食性ポリマーである。非経口用放出制御製剤を製剤化するときに使用可能である生体適合性担体は、炭水化物(例えば、デキストラン)、タンパク質(例えば、アルブミン)、リポタンパク質、または抗体である。インプラントに使用される物質は、非生分解性(例えば、ポリジメチルシロキサン)、または生分解性(例えば、ポリ(カプロラクトン)、ポリ(グリコール酸)、もしくはポリ(オルトエステル))であってもよい。
【0134】
<その他の経路>
好ましさ、便利さには欠けるが、その他の投与経路およびそのための他の製剤を考慮してもよい。これに関し、直腸内適用では、組成物に適する投与剤形として、坐剤(乳剤または懸濁剤型)、および直腸用ゼラチンカプセル剤(液剤または懸濁剤)が含まれる。典型的な坐剤製剤では、活性薬剤は、薬学的に許容される適切な坐剤基剤(カカオバター、エステル化脂肪酸、グリセリンゼラチンなど)、および種々の水溶性または分散性基剤(ポリエチレングリコールなど)と組み合わせられる。また、様々な添加剤、増強剤、または界面活性剤が組み込まれてもよい。
【0135】
本医薬組成物はまた、マイクロスフェアおよびリポソームを含む、従来の非毒性の薬学的に許容される担体および賦形剤を含有する投与剤形または製剤として、経皮吸収のために皮膚上に局所投与されてもよい。製剤としては、クリーム剤、軟膏剤、ローション剤、リニメント剤、ゲル剤、ヒドロゲル剤、液剤、懸濁剤、スティック剤、噴霧剤、泥膏剤、硬膏剤、および他の種類の経皮薬物送達システムが含まれる。薬学的に許容される担体または賦形剤として、乳化剤、酸化防止剤、緩衝剤、保存剤、保湿剤、浸透促進剤、キレート剤、ゲル形成剤、軟膏基剤、香料、および皮膚保護剤を含んでもよい。
【0136】
保存剤、保湿剤、浸透促進剤は、p−ヒドロキシ安息香酸メチルもしくはプロピルのようなパラベン類、および塩化ベンザルコニウム、グリセリン、プロピレングリコール、尿素などであってよい。
【0137】
また、皮膚への局所投与のための上述の医薬組成物は、治療されるべき身体の部分への、またはその近くへの局所投与に関連して使用されてもよい。組成物は、直接の適用に、または、包帯、もしくは代替的な硬膏、パッド、スポンジ、ストリップ、もしくは他の形態の適切な柔軟性のある素材などの特別な薬剤送達装置による適用に適合させてもよい。
【0138】
<用量および治療の期間>
本組合せ薬剤は、同一もしくは異なる医薬品製剤のいずれかで同時に、または連続して投与されるとよい。連続投与である場合、第2の(または追加の)活性成分を投与する際の遅延は、活性成分の組合せの有効な作用の恩恵を失わないようにすべきである。本詳細な説明に記載の組合せにとって最小限の要件は、組合せにおいて、活性成分の組合せの有効作用の恩恵を伴う組合せでの使用が意図されるべきであるということである。本組合せで意図される使用は、本発明の組合せの使用を補助するための仕組み、設備、適用および/または他の手段により推察されることが可能である。
【0139】
本発明の組合せにおける薬剤の治療的有効量は、例えば、パーキンソン病の症状を低減する、疾患が一旦臨床的に明らかになったときはその進行を停止もしくは遅延させる、または、疾患発症のリスクを抑止もしくは低下させるために効果的な量を含む。
【0140】
本発明の活性薬剤は、分割用量で、例えば、1日2回または3回投与されてもよいが、組合せの各薬剤の1日1回服用が好ましく、単一医薬組成物(単位投与剤形)での全ての薬剤の1日1回服用が最も好ましい。
【0141】
投与が1日1〜数回、数日〜数年にわたることはあり得ることで、患者の生涯にわたることさえある。長期投与または少なくとも定期的に反復される長期投与が、多くの症例において示されている。
【0142】
「単位投与剤形」という用語は、ヒト対象のための単位用量に適する物理的に個別になったユニット(例えば、カプセル剤、錠剤、または充填済み注射シリンジなど)に関し、各単位は、必要な医薬担体に関連して望ましい治療効果を生み出すように算出された所定量の活性物質(単数または複数)を含む。
【0143】
好ましい単位用量組成物における各薬剤量は、投与方法、患者の体重および年齢、疾患の段階、治療を受ける人の一般的健康状態を考慮した潜在的副作用のリスクを含む複数の因子に依存している。さらには、特定の患者に対する薬理ゲノミクス(治療薬の薬物動態、薬力学または有効性プロファイルに及ぼす遺伝子型の影響)情報が、使用される用量に影響を与え得る。
【0144】
特に衰弱した場合の対応時を除いて、高用量が必要とされる際に、組合せの各薬剤の好ましい用量は、通例、長期維持治療のために通常処方されるか、または第3段階臨床試験において安全が証明された量を超えない用量の範囲内である。
【0145】
本発明の1つの注目に値する利点は、組合せで実質的な臨床的有用性を患者にもたらしながらも、各化合物は、組合せ療法において低用量で使用されてもよいということである。実際に、組合せ療法は、化合物が個々には低い効果しか持たないか、または、効果を持たない用量で有効である。したがって、本発明の特別な利点は、各化合物の準最適用量、すなわち、通常処方される治療用量より低い用量、好ましくは治療用量の1/2、より好ましくは治療用量の1/3、1/4、1/5、または更により好ましくは治療用量の1/10を使用できることにある。特定の例においては、治療用量の1/20、1/30、1/50、1/100の低用量で、またはさらに低い用量で用いられる。
【0146】
化合物は、本発明の組合せでパーキンソン病の治療において十分に効果を有しながら、このような準治療用量によって副作用を示さないであろう。
【0147】
好ましい用量は、長期維持治療に通常処方される量の1%〜50%の量に相当する。
【0148】
最も好ましい用量は、長期維持治療に通常処方される量の1%〜10%の量に相当するとよい。
【0149】
本発明における使用薬剤用量(活性分子に相当する量)の具体例を以下に示す。
【0150】
‐アカンプロセートを、1日当たり1000mgもしくはそれ未満、好ましくは1日当たり500mg未満、好ましくは1日当たり400mg未満、より好ましくは1日当たり200mg未満、より好ましくは1日当たり50mg未満、さらにより好ましくは1日当たり約1mg〜約50mg、または、さらに1日当たり10mg未満。このような用量は特に経口投与に適する。
【0151】
‐バクロフェンを、1日当たり150mgもしくはそれ未満、好ましくは1日当たり100mg未満、より好ましくは1日当たり50mg未満、より好ましくは1日当たり30mg未満、さらにより好ましくは1日当たり0.01mg〜30mg。このような用量は特に経口投与に適している。
【0152】
‐シナカルセトを、1日当たり150mgもしくはそれ未満、好ましくは1日当たり100mg未満、好ましくは1日当たり50mg未満、より好ましくは1日当たり36mg未満、さらにより好ましくは1日当たり0.01mg〜25mg。このような用量は特に経口投与に適している。
【0153】
‐メキシレチンを、1日当たり120mgもしくはそれ未満、好ましくは1日当たり60mg未満、より好ましくは1日当たり30mg未満、より好ましくは1日当たり15mg未満、さらにより好ましくは1日当たり6mg〜15mg。このような用量は特に経口投与に適している。
【0154】
‐トラセミドを、1日当たり4mgもしくはそれ未満、好ましくは1日当たり2mg未満、より好ましくは1日当たり1mg未満、より好ましくは1日当たり0.5mg未満、そしてさらにより好ましくは1日当たり0.05mg〜0.5mg。このような用量は特に経口投与に適している。
【0155】
‐スルフィソキサゾールを、1日当たり800mgもしくはそれ未満、好ましくは1日当たり400mg未満、より好ましくは1日当たり200mg未満、より好ましくは1日当たり100mg未満、さらにより好ましくは1日当たり20mg未満。このような用量は特に経口投与に適している。
【0156】
‐レボドパを、1日当たり1.5gもしくはそれ未満、好ましくは1日当たり750mg未満、より好ましくは1日当たり375mg未満、さらにより好ましくは1日当たり100mg未満。このような用量は特に経口投与に適している。
【0157】
実際に投与される薬剤または組合せ薬剤の量は、治療されるべき(1つまたはそれ以上の)状態、投与される的確な組成物、個々の患者の年齢、体重および反応、患者の症状の重症度、ならびに選択される投与経路を含む関連する状況に照らして、医師により決定される。したがって、上述の用量範囲は、本明細書における教示のための一般的なガイダンスおよびサポートを提供するものであって、本発明の範囲を限定するものではない。
【0158】
以下の実施例は、例示を目的として述べるもので、限定する目的ではない。
【実施例】
【0159】
すべての動物への処置は、実験動物の維持と使用のためのアメリカ国立衛生研究所(NIH)のガイドラインに従っておこなわれ、National Animal Experiment Boardによって承認を受けた。
【0160】
(A)ニューロン細胞におけるグルタミン酸毒性の抑止
グルタミン酸毒性はパーキンソン病の発病に関連する。この実験一式で、候補化合物の、ニューロン細胞におけるグルタミン酸毒性の毒性作用を抑止または低減する能力をテストした。薬剤について、最初に個別にテストをし、続いて組合せ作用の分析をする。
【0161】
<ニューロン細胞の調製>
本発明の組合せ薬剤の効能は一次皮質ニューロン細胞で評価される。
【0162】
ラットの皮質ニューロンについて、Singer他(参考文献30)の記述のように培養をおこなった。妊娠後15日の妊娠期間の雌のラット(ウィスターラット)を、頚椎脱臼により短時間で安楽死させ、そしてその胎児を子宮から取り出した。皮質を取り出し、そして、2%ペニシリン10.000U/mlおよびストレプトマイシン10mg/ml、および1%ウシ血清アルブミン(BSA)を含む、氷温のLeibovitz(L15)の培地に配置した。皮質を、20分間、37℃で、トリプシンにより分離した(0.05%)。DNase1グレードIIおよび10%ウシ胎児血清(FCS)を含むダルベッコ改変イーグル培地(DMEM)の添加によって反応を停止した。その後、10mlピペットを用いて、3連続継代で、機械的に細胞を解離し、そして+4℃で、10分間、515xgで遠心分離をした。上清は廃棄され、細胞のペレットを、B27(2%)、L−グルタミン(0.2mM)、2%PS溶液、および10ng/mlのBDNFで補完したNeurobasalからなる既定培地に再懸濁した。トリパンブルー排除法を用いて、Neubauerサイトメータで生存細胞をカウントした。96ウェルプレート(ポリ‐L‐リジン(10μg/ml)で、ウェルをあらかじめコーティングした)を用いて、30,000cells/wellの密度で細胞を播種し、そして加湿空気(95%)/CO(5%)環境において、+37℃で培養した。
【0163】
<グルタミン酸毒性分析>
化合物の神経保護作用は、グルタミン酸作動性ニューロンを特異的に示す神経突起網(ニューロフィラメント免疫染色(NF))の定量化により評価される。
【0164】
ニューロン培養の12日後、候補の組合せ薬剤を培地(+0.1%DMSO)に溶解する。そしてグルタミン酸損傷の前に、候補組合せを、ニューロンとともに1時間プレインキュベートする。さらなる薬剤希釈を避けるため、インキュベーションの1時間後に、候補組合せの存在下で、40μMの最終濃縮物にグルタミン酸を20分間加える。インキュベーションの最後に、培地を、グルタミン酸を除いた候補組合せの培地に変える。グルタミン酸損傷後、培養を24時間固定する。陽性対照群として、MK801(ジゾシルピン水素マレイン酸塩(Dizocilpinehydrogen maleate))、77086−22−7、20μM)を用いる。
【0165】
サポニン(Sigma)で透過処理後、10%ヤギ血清を含むPBSで細胞を2時間遮断し、そして、ニューロフィラメント抗体(NF、Sigma)に対するマウスモノクローナル一次抗体で、細胞をインキュベートする。この抗体はAlexa Fluor 488ヤギ抗−マウスIgGで示される。
【0166】
細胞核は、蛍光マーカ(Hoechst solution、SIGMA)によって標識され、神経突起網が定量化される。条件毎に6ウェルが用いられて、3つの異なる培養におけるニューロン生存が評価される。
【0167】
<結果>
テストをしたすべての組合せ薬剤は、グルタミン酸毒性に対する皮質ニューロン細胞への保護作用をもたらす。結果を下記表2に示す。
【0168】
図1図3で例示されるように、本発明の組合せは、上述の実験の条件下で、グルタミン酸毒性からニューロンを強力に保護する。単独で使用される薬剤が、有意な保護作用を有しないか、またはより低い保護作用を有するような薬剤濃度を用いても、有効な保護作用があることが分かったことは特筆すべきである。
【0169】
実際に、図1で例示されるように、メキシレチンとシナカルセトとの組合せは、グルタミン酸毒性からニューロン細胞を効果的に保護するが、一方で、単独の薬剤は保護作用を提供しない。バクロフェンとアカンプロセート(図3)との組合せは、グルタミン酸毒性に対する皮質ニューロン細胞への保護作用をもたらす。バクロフェンとアカンプロセートとの組合せは、単独のアカンプロセートと比較して、200%を上回る改善、そして、単独で使用されるバクロフェンと比較して47%を上回る改善をもたらす。
【0170】
【表2】
【0171】
(B)虚血/低酸素症に誘発されるニューロン細胞死に対する保護作用
<ラットのニューロン皮質細胞の調製>
細胞を上述のように調製する。
【0172】
<酸素およびグルコース欠乏アッセイ(虚血のインビボモデルにおける)>
化合物の神経保護作用は、MAP2抗体を用いた神経突起網(ニューロフィラメント免疫染色(NF))の定量化により評価される。陽性対照群として、神経保護薬剤のリルゾール(Riluteck(登録商標)、5μM)を用いる。
【0173】
ニューロン培養の10日後、候補薬剤を培地(+0.1% DMSO)に溶解し、そして酸素およびグルコース欠乏に先立って、候補薬剤をニューロンとともに1時間プレインキュベートする。候補薬剤インキュベーションの1時間後に培地を取り除き、グルコースを含まない新しい培地を添加する。この培地は、2%B27、0.2mMのL−グルタミン、1%PS溶液、10ng/mlのBDNFで補完した、グルコースを含まないDMEM(Invitrogen)からなる。そして、95%Nおよび5%COで、37℃の嫌気性インキュベータに、細胞を移動させる。
【0174】
2時間後、25mMのD−グルコースを培地に添加し、95%空気、5%COで、37℃の典型的なインキュベータに細胞を移動させる。酸素グルコース再灌流の24時間後、アルコール/酢酸の冷溶液によって、5分間細胞を固定する。
【0175】
サポニン(Sigma)で透過処理後、10%ヤギ血清を含むPBSで細胞を2時間遮断し、そして、MAP2(MAP2、Sigma)に対するマウスモノクローナル一次抗体で細胞をインキュベートする。この抗体はAlexa Fluor 488ヤギ抗−マウスIgG(分子プローブ)で示される。
【0176】
細胞核は、蛍光マーカ(Hoechst solution、SIGMA)によって標識される。条件毎に6ウェルが用いられて、3つの異なる培養におけるニューロン生存が評価される。
【0177】
条件毎に6ウェルが用いられて、3つの異なる培養におけるニューロン生存が評価される。各条件で、ウェル毎の2×10の写真を撮影し、InCell Analyzer TM1000(GE Healthcare)を用いて、倍率20倍で分析した。
【0178】
<結果>
下記表3に示されるように、取りあげたすべての組合せ薬剤は、皮質ニューロン細胞死を誘導する虚血/低酸素症に対する保護作用を示す。
【0179】
【表3】
【0180】
さらに図4図6は、本発明の組合せ治療が、酸素およびグルコース欠乏から、ニューロンを強力に保護するということを示す。図4図6に示されるように、単独の薬剤が有意な保護作用を有しない薬剤濃度を用いて、有効な保護作用が観察される。例えば、虚血において、バクロフェン(80nM)とアカンプロセート(0.32nM)との組合せ、またはシナカルセト(64pM)とメキシレチン(25.6pM)との組合せ、またはトラセミド(80nM)とスルフィソキサゾール(1.36nM)との組合せで、有意な保護作用が認められるが、一方で、同じ濃度のバクロフェン、アカンプロセート、シナカルセト、メキシレチン、トラセミド、およびスルフィソキサゾールが単独で用いられる場合に、有意な保護作用は得られない。
【0181】
したがって、これらの結果は、パーキンソン病や虚血状態の根底にある酸化ストレスおよびミトコンドリア機能不全、またはアポトーシスにおける、本組合せ療法の有効な、そして相乗の効果を示す。
【0182】
(C)ドーパミン作動性ニューロンにおける6OHDA損傷に対する薬剤の神経保護作用
6−ヒドロキシドーパミン(6OHDA)は、細胞内に活性酸素種を生成することによって選択的にドーパミン作動性ニューロンを破壊する神経毒性薬剤である。6OHDA毒性は、一般に、パーキンソニズム研究のために、インビトロおよびインビボで用いられる。
【0183】
<中脳ドーパミン作動性ニューロンの培養>
ラットのドーパミン作動性ニューロンをSchinelli他(参考文献31)の記述のように培養した。妊娠期間15日の妊娠した雌のラット(ウィスターラット、Janvier)を、頚椎脱臼により安楽死させ、そしてその胎児を子宮から取り出した。胎生期の中脳を取り出し、そして、2%ペニシリン‐ストレプトマイシン(PS、PanBiotech)と、1%ウシ血清アルブミン(BSA、PanBiotech)とを含む、氷温のLeibovitz培地(L15、PanBiotech)に配置した。ドーパミン作動性ニューロンが豊富な発育期の脳領域であることから、中脳屈の腹側部分のみが細胞の調製に用いられた。中脳はトリプシン処理により、20分間、37oCで解離された(トリプシンEDTA 1X、PanBiotech)。そして、DNAase1グレードII(0.1mg/ml、PanBiotech)および10%ウシ胎児血清(FCS、Invitrogen)を含むダルベッコ改変イーグル培地(DMEM、PanBiotech)の添加によって、反応を停止した。その後、10mlピペットを用いて3継代で機械的に細胞を解離し、そしてL15培地におけるBSA(3.5%)層上で、+4℃、10分間、180xgで遠心分離をした。上清は廃棄され、細胞のペレットは、B27(2%、Invitrogen)、L−グルタミン(2mM、PanBiotech)、および2%PS溶液、および10ng/mlの脳由来神経栄養因子(BDNF、PanBiotech)、および1ng/mlのグリア由来神経栄養因子(GDNF、PanBiotech)で補完したNeurobasal(Invitrogen)からなる既定培地に再懸濁した。トリパンブルー排除法を用いて、Neubauerサイトメータで生存細胞をカウントした。96ウェルプレート(ポリ‐L‐リジン(Greiner)であらかじめコーティングした)を用いて、40,000cells/wellの密度で細胞を播種し、そして加湿空気(95%)/CO(5%)環境において、37℃で培養した。培地の半分は、2日毎に新しい培地に取り変えられた。ニューロン細胞集団の5%〜6%はドーパミン作動性ニューロンであった。
【0184】
<6OHDAおよびテスト化合物の曝露>
培養の6日目に培地を取り除き、6OHDAを含まないか、または含む(20μMの濃度、48時間、対照培地に希釈)新しい培地を添加した。48時間にわたる6OHDA適用前に、テスト化合物を1時間プレインキュベートした。
【0185】
<エンドポイント評価、TH陽性ニューロンの総数測定>
6OHDA中毒の48時間後、室温、20分間、pH7.3で、PBS内の4%パラホルムアルデヒド(Sigma)溶液によって細胞を固定した。再びPBSで細胞を2回洗浄し、透過処理をして、そして15分間、室温において、0.1%サポニン(Sigma)および1%FCSを含むPBS溶液で非特異的部位を遮断した。その後、2時間、室温で、1%FCS、0.1%サポニンを含むPBS内において、1/1000希釈の、マウスから産生したモノクローナル抗チロシンヒドロキシラーゼ抗体(TH、Sigma)で細胞をインキュベートした。これらの抗体は、1時間、室温で、1%FCS、0.1%サポニンを含むPBS内において、1/800希釈のAlexa Fluor 488ヤギ抗−マウスIgG(分子プローブ)で示された。
【0186】
各条件について、InCell Analyzer TM1000(GE Healthcare)を用いて、倍率10×で、ウェル毎の2×10の写真(ウェル領域全体の80%までを示す)を撮影した。すべての画像は同一の条件で撮影された。TH陽性ニューロン数の解析はディヴェロッパーソフトウェア(GE Healthcare)を用いておこなわれた。
【0187】
6OHDA損傷を示すために、データは対照条件の割合(中毒無し、6OHDAなしを100%とする)において表される。すべての値は、3培養の平均値の標準誤差(s.e.mean)として表される(nは培養毎、条件毎の6ウェル)。Statviewソフトウェアのヴァージョン5.0が使用可能な場合、統計的分析はANOVAで構成され、Dunnett’sおよびPLSDフィッシャー検定がそれに続く。
【0188】
<結果>
本発明の組合せについて、ドーパミン作動性ニューロンにおける6OHDA損傷48時間後のTHニューロン生存テストで、神経保護作用が認められる。
【0189】
中脳ニューロンを伴う48時間の6OHDA(20μM)インキュベーションは、あらゆる実験において(対照、図7図9)ドーパミン作動性ニューロンの有意な中毒(THニューロンの約−33%)を起こした。
【0190】
陽性対照としてBDNFが用いられた。1.85nMで、1時間のBDNF前処理により、6OHDA損傷からドーパミン作動性ニューロンを有意に保護した。
【0191】
下記表4に示されるように、取りあげたすべての組合せ薬剤は、ドーパミン作動性ニューロン細胞において、6OHDA損傷に対する保護作用を示す。
【0192】
また、図7図9に示されるように、バクロフェンとアカンプロセート、バクロフェンとトラセミド、メキシレチンとシナカルセトは、用量に依存して、6OHDA中毒からドーパミン作動性ニューロンを有効に保護する。
【0193】
【表4】
【0194】
(D)インビボでのドーパミン作動性ニューロン欠失および運動症状における作用
<動物の飼育と外科的処置>
少なくとも5日の馴化期間後のウィスターラット(5週齢)を用いた。ケタミン(50mg/kg)およびキシラジン(10mg/kg)を用いて手術をおこなった。動物は、左の黒質緻密部に、0.1%アスコルビン酸(6OHDAを酸化から保護するため)を含む6μlの0.9%無菌NaClに溶解した12μgの6OHDA(sigma Aldrich)の片側注入を、1μl/minの流量で受けた。De Grootによるthe rat stereotaxic atlas(1959)から、注入部の定位座標は、両外耳間の平面上+5.0mmの門歯バー(incisor bar)を伴う、前後方向+2.2mm、左右方向2.0mm、背腹方向+3mmである(参考文献32)。
【0195】
<薬剤処置>
処置(または媒体)の最初の適用は、6OHDA(損傷群)または媒体の定位注射の前日であり、行動テストの15日前である日におこなわれた。実験期間中に、各動物において、該当する動物の群の平均体重をもとにして経口投与量を決定した。体重を週に2回測定し、その結果で投与量を調整する。
【0196】
媒体および化合物は、1日に2回、朝と午後とに(午前9:30頃と午後17:30頃とに、8時間(+/−30分)の間隔をあけて2回の投与)、経口で投与された。
【0197】
行動テストの当日に、各動物において、行動テストの約1時間前にL−DOPA処置群に、そして約2時間(+/−15分)前に組合せ薬剤処置群に、薬剤を投与した。
【0198】
<行動テスト>
各テストは基本レベル値を測定するために手術の前(2日前または3日前)におこなわれた。行動機能の評価は、6OHDAの外科的注入の15日後に、2つの異なるテストを用いておこなわれた。
【0199】
開始時間テスト(Initiation time test)
訓練を受けた技術者が、平面の前で動物を保持し、2つの前足のうち1つのみを自由に動かせるようにした。平面に向かって動作を開始するのに必要であった時間を、180秒を区切り点として記録した(参考文献33)。
【0200】
足踏みテスト
実験者がラットを保持し、平面の上で、2つの前足のうち1つのみを自由に動かせるようにした。もう1つの前足は、テーブルに触れる1つの足と一緒にモニターされないように固定した。実験者は、動物を後ろまたは前にゆっくりと動かし(5秒で0.9m)、右足の調節歩数を数えた(参考文献33)。
【0201】
<結果>
本発明の組合せ薬剤について、インビボ評価をおこなった。テストした本発明の組合せ薬剤は、開始時間テストでも足踏みテストでも有意な改善をもたらした(表5)。
【0202】
【表5】
【0203】
本発明の組合せ薬剤は、図10および図11に例示されるように、6OHDAの定位的損傷からラットを強力に保護する。バクロフェンとアカンプロセートとの組合せによる処置が、用量次第で、足踏みテストにおいて無動のほとんど最大限の緩和をもたらすということは特筆すべきである。


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