特許第6185038号(P6185038)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6185038特に液圧式車両ブレーキ装置用のコンテナ
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6185038
(24)【登録日】2017年8月4日
(45)【発行日】2017年8月23日
(54)【発明の名称】特に液圧式車両ブレーキ装置用のコンテナ
(51)【国際特許分類】
   B60T 11/26 20060101AFI20170814BHJP
【FI】
   B60T11/26 Z
【請求項の数】4
【全頁数】7
(21)【出願番号】特願2015-209187(P2015-209187)
(22)【出願日】2015年10月23日
(62)【分割の表示】特願2012-529250(P2012-529250)の分割
【原出願日】2010年9月15日
(65)【公開番号】特開2016-27979(P2016-27979A)
(43)【公開日】2016年2月25日
【審査請求日】2015年11月24日
(31)【優先権主張番号】102009029509.7
(32)【優先日】2009年9月16日
(33)【優先権主張国】DE
(31)【優先権主張番号】102010001216.5
(32)【優先日】2010年1月26日
(33)【優先権主張国】DE
(73)【特許権者】
【識別番号】500030596
【氏名又は名称】コンチネンタル・テベス・アーゲー・ウント・コンパニー・オーハーゲー
(74)【代理人】
【識別番号】100108855
【弁理士】
【氏名又は名称】蔵田 昌俊
(74)【代理人】
【識別番号】100103034
【弁理士】
【氏名又は名称】野河 信久
(74)【代理人】
【識別番号】100075672
【弁理士】
【氏名又は名称】峰 隆司
(74)【代理人】
【識別番号】100153051
【弁理士】
【氏名又は名称】河野 直樹
(74)【代理人】
【識別番号】100140176
【弁理士】
【氏名又は名称】砂川 克
(74)【代理人】
【識別番号】100124394
【弁理士】
【氏名又は名称】佐藤 立志
(74)【代理人】
【識別番号】100112807
【弁理士】
【氏名又は名称】岡田 貴志
(74)【代理人】
【識別番号】100111073
【弁理士】
【氏名又は名称】堀内 美保子
(72)【発明者】
【氏名】ペーター・タントラー
(72)【発明者】
【氏名】ベルナー・クレブス
(72)【発明者】
【氏名】シュテファン・シリヒト
(72)【発明者】
【氏名】ハンス−イェルゲン・ノイマン
(72)【発明者】
【氏名】クリストフ・シール
(72)【発明者】
【氏名】平賀 洋ニ
【審査官】 谷口 耕之助
(56)【参考文献】
【文献】 特開平09−086389(JP,A)
【文献】 特開平10−076932(JP,A)
【文献】 特表2008−512292(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B60T 11/26
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
圧力媒体で貯蔵容器(1)を満たすための補給口(4)と、
前記貯蔵容器(1)の側面側に前記補給口(4)に隣接して配置される前部の圧力媒体チャンバ(6)と、
前記補給口(4)から見て前記前部の圧力媒体チャンバ(6)の後方に配置される後部の圧力媒体チャンバ(5)であって、前記前部の圧力媒体チャンバ(6)と前記後部の圧力媒体チャンバ(5)とは、分割壁(7)によって相互分離され、この分離壁(7)は、圧力媒体補償を保証し、かつ、前記前部の圧力媒体チャンバ(6)及び前記後部の圧力媒体チャンバ(5)内に法定残留量存在することを保証するための開口(8)を有してなる、前記後部の圧力媒体チャンバ(5)と、
さらに、前記補給口(4)に接続される圧力媒体通路(11)であって、前記補給口(4)からはじまり、前記貯蔵容器(1)に沿った長手方向に延びる側方のチャネルとして設けられ、さらに前記貯蔵容器(1)の上側部(2)及び下側部(3)の壁によって形成される前記圧力媒体通路(11)とを有してなり、
前記圧力媒体通路(11)は、前記後部の圧力媒体チャンバ(5)に面する開口(12)を有し、前記前部の圧力媒体チャンバ(6)および前記後部の圧力媒体チャンバ(5)に関して側面側に偏倚して配置されるように設けられ、前記圧力媒体通路(11)の中央長手軸は、前記前部の圧力媒体チャンバ(6)および前記後部の圧力媒体チャンバ(5)を通り抜けないこと、及び内部壁(16)が、貯蔵容器を安定させるために前記後部の圧力媒体チャンバ(5)の領域に設けられていることを特徴とする、貯蔵容器(1)。
【請求項2】
前記下側部(3)の外部壁(13)が、チャネルの内部壁を形成することを特徴とする請求項1記載の貯蔵容器(1)。
【請求項3】
前記補給口(4)は、前記前部の圧力媒体チャンバ(6)、及び前記後部の圧力媒体チャンバ(5)に関して長手方向に相互に重ならない位置にずれて配置されるように形成され、さらに、前記チャネルのはじまりは、前記補給口(4)の下側に形成されることを特徴とする請求項1又は2に記載の貯蔵容器(1)。
【請求項4】
貯蔵容器が液圧式自動車両ブレーキ装置用であることを特徴とする、請求項1に記載の貯蔵容器(1)。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、1つまたはそれ以上の圧力媒体チャンバ、貯蔵容器を圧力媒体で満たすための補給口(filler neck)、および圧力媒体通路であって、圧力媒体チャンバに面する開口を有するものを有する、特に、液圧式自動車両ブレーキ装置用の貯蔵容器に関する。
【背景技術】
【0002】
自動車両における変更された設置スペースのために、自動車両用の圧力媒体貯蔵容器は、長さが増加し、(およびまたは、ホース接続およびカップリングを有する高価な付加の、および、(2つの貯蔵容器を有する離れた装置として参照される)ブレーキマスタシリンダ貯蔵容器が、必要である。
【0003】
変更された設置スペース、またはパッケージングは、補給口を置くことができるのは、そこだけであることを意味するので、補給口は、通常、走行の方向における貯蔵容器の最前部に設けられる。しかしながら、同時に、圧力媒体が、様々な運転状態(例えば、ブレーキング、丘陵登坂、コーナリング)における貯蔵容器の閉鎖キャップ、または貯蔵容器のカバーを通して漏出することは不利である。
【0004】
DE19738334A1は、貯蔵容器を示した、この問題を解決することを意図する当該問題のタイプの貯蔵容器を開示している。圧力媒体通路が、貯蔵容器に設けられ、さらに補給口を介する圧力媒体の漏出を回避するのに役立つ。
【発明の概要】
【0005】
この目的のために、貯蔵容器は、圧力媒体チャンバにおいて一体に形成され、かつ貯蔵容器と一体に設けられる圧力媒体通路を有する。このように設計された貯蔵容器の製造は、非常に複雑であり、したがって、高コストと関連づけられることは、ここに、不利であると見なされる。代りの例証の実施例は、次のことが予想される。すなわち、圧力媒体通路は、補足部品用の必要性が同様に不利と見なされるが、貯蔵容器内に挿入することができる個別の部品によって形成される。
【0006】
コストおよび設置の理由で、長くて浅い貯蔵容器を使用する必要性が増している。
【0007】
したがって、この発明の目的は、車両が極端な姿勢(extreme position)にあるときに、圧力媒体が漏れるのを確実に防ぎ、同時に、単純で安価なやり方で製造することができる本件のタイプ貯蔵容器を提供することである。
【0008】
この発明によれば、この目的は、圧力媒体通路が、補給口からはじまって、貯蔵容器に沿って長手方向に延びる部のチャネルとして設けられ、さらに、貯蔵容器の上側部、および、下側部の壁によって形成されるという事実によって達成される。貯蔵容器が、追加の部品なしに、単純で安価なやり方で、側部のチャネルの配置および設計によって製造することができる。
【0009】
この発明のさらなる特徴、利点、および可能な適用は、従属請求項から、および、実施例の以下の記述から、さらには、図面に関連して現われる。それぞれ高度に図式化され、それらのうちのいくかは断面である図において:
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1】この発明による貯蔵容器を通る縦断面を示す;
図2図1において示される貯蔵容器の上側部の平面図を示す;
図3図1において示される貯蔵容器の下側部の平面図を示す;
図4図3において示される下側部を通る断面を示す;
図5図3において示される下側部の側面図を示す。
【発明を実施するための形態】
【0011】
図1〜5は、液圧式自動車両ブレーキ装置用のこの発明による貯蔵容器(reservoir)1を示す。この貯蔵容器1の基本的な動作および基本的な構成は、知られている。したがって、この発明にとって不可欠な特徴だけが、以下に説明される。
【0012】
貯蔵容器1は、プラスチックで作られた上側部2および下側部3を有し、さらに液圧式自動車両ブレーキ装置であって、補給口4を経由して圧力媒体で満たすことができるもの用に、圧力媒体を供給するための少なくとも1つの圧力媒体チャンバを有する。貯蔵容器カバー(図示せず)は、例えば、ねじ込み継手によって、補給口4を閉じる。
【0013】
図3に示される下側部3の平面図から明らかなように、2つの圧力媒体チャンバ5、6は、図示された例証の実施例において設けられ、これらは、留め具(fastening lugs)9、10を介して、タンデムブレーキマスタシリンダ(図示せず)の圧力チャンバ用の圧力媒体を供給する。圧力媒体チャンバ5、6は、分割壁7によって相互から分離され、分割壁7における開口8によって、圧力媒体補償を保証し、さらに、同時に、2つの圧力媒体チャンバ5、6における法定残留量があることを保証する。
【0014】
機能を果たす貯蔵容器1については、圧力媒体チャンバ5、6が加圧されていないこと、すなわち、ブレーキ装置内の圧力媒体の量が変化することが必要であり、それは、圧力媒体の減量(loss)のために、または、例えば、空気の交換によって補償することができる圧力媒体の温度の変化のために生じることができる。この目的のために、貯蔵容器カバーは、圧力媒体チャンバ5、6と大気との間の圧力補償用の手段を有する。車両の極端な姿勢において、例えば、ブレーキ動作、または下り坂走行の間に、または、車両が傾いている長い期間の間には、しかしながら、圧力補償用の手段は、貯蔵容器1の耐漏えい性を保証することができない。
【0015】
図1は、貯蔵容器1を通縦断面を示す。車両が静止しているときは、圧力媒体のレベルは、最大マーク以上ではない。しかしながら、車両がブレーキをかけられるときは、N線によって示されるように、圧力媒体は走行の方向において急増し、さらに補給口4を越えて流れ、したがって、圧力媒体が、貯蔵容器1から漏れることが可能である。図1は、また、下り坂を走行する間の貯蔵容器1の位置を示している。N線によって示された圧力媒体が、この場合にもまた、補給口4および貯蔵容器カバーを経由して漏れることが可能であることは明白である。
【0016】
この問題を解決する既知の1つの方法は、貯蔵容器における補給口に接続された圧力媒体通路を設けることであり、この通路は、補給口を経由する圧力媒体の漏出を回避する役目をする。この目的のために、既知の貯蔵容器は、圧力媒体チャンバに一体に形成され、かつ、貯蔵容器と一体に設けられるか、または、貯蔵容器内に挿入することができる個別の部品として設けられる圧力媒体チャネルを有する。
【0017】
車両が、極端な位置にあるときに、圧力媒体が漏出するのを確実に防ぎ、さらに同時に、単純でかつ安価なやり方で製造することができる貯蔵容器を提供する代わりに、この発明による貯蔵容器1は、今、補給口4に接続された圧力媒体通路11を有する。図2および3から明らかなように、それらは、上側、および下側部2、3の平面図を示すものであって、圧力媒体通路11は、側面に沿うチャネルとして設けられ、さらに圧力媒体チャンバ5に面する開口12を有する。さらに、圧力媒体通路11は、補給口4からスタートして、貯蔵容器1に沿う長手方向に延び、さらに、上側、および下側部2、3の壁によって形成され、したがって、2つの貯蔵容器部分2、3の単純な離型(demolding)を通して単純な製造を可能にする。
【0018】
図4および5は、下側部3の追加の図を示す。図4は、図3において示される下側部3を通って平面A−Aにおける断面を示す。特に、この図から、下側部3の外部壁13がチャネル11の内部壁を形成する結果によって、圧力媒体チャンバ5、6に関してチャネル11が側方にずれて配置されることを理解することは可能である。対応する設計は、上側部2にも設けられ、したがって、一旦、上側、および下側部2、3が、例えば、超音波溶接によって一緒に結合されると、チャネル11は、完全に形成される。
【0019】
図5は、図3において示された方向Bからの下側部3の側面図を示す。このことから、および図1から、補給口4もまた、圧力媒体チャンバ5、6に関してずれて配置されるような方法で、設けられることは明らかである。圧力媒体通路11とは対照的に、しかしながら、補給口4は、長手方向にずれている。
【0020】
補給口4より下側の領域14であって、この領域は、内部壁15によって分割されており、チャネル11のはじまりを形成し、したがって、補給口4を経由する圧力媒体の導入は、この領域における圧縮によって妨げられないことを保証する。
【0021】
貯蔵容器1を安定させるための内部壁16が、圧力媒体チャンバ5の領域においてさらに設けられる。
以下に、出願当初の特許請求の範囲に記載の事項を、そのまま、付記しておく。
[1] 1つまたはそれ以上の液圧式媒体チャンバ(5、6)と、圧力媒体で貯蔵容器(1)を満たすための補給口(4)と、および圧力媒体通路(11)であって、補給口(4)に接続され、かつ圧力媒体チャンバ(5)に面する開口(12)を有するものとを有し、圧力媒体通路(11)は、補給口(4)からはじまり、液圧式媒体チャンバ外部のチャネルとして設けられる貯蔵容器(1)に沿う長手方向に延び、さらに貯蔵容器(1)の上側部(2)の壁によって形成され、さらには、下側部(3)の壁によって形成されてなり、前記チャネルは、圧力媒体チャンバ(5、6)に関して横方向にずれて配置されるように設けられることを特徴とする、液圧式自動車両ブレーキ装置用の自動車両に積まれる貯蔵容器(1)。
[2] 下側部(3)の外部壁(13)が、チャネルの内部壁を形成することを特徴とする[1]記載の自動車両に積まれる貯蔵容器(1)。
[3] 補給口(4)は、圧力媒体チャンバ(5、6)に関して長手方向に相互に重ならない位置にずれて配置されるような方法で形成され、さらに、チャネルのはじまりは、補給口(4)の下側側に形成されることを特徴とする[1]、または[2]記載の自動車両に積まれる貯蔵容器(1)。
[4] 内部壁(16)が、貯蔵容器を安定させるために設けられることを特徴とする、先行する[1]〜[3]の1項記載の自動車両に積まれる貯蔵容器(1)。
【符号の説明】
【0022】
1 貯蔵容器
2 上側部
3 下側部
4 補給口
5 圧力媒体チャンバ
6 圧力媒体チャンバ
7 分割壁
8 開口
9 留め具
10 留め具
11 圧力媒体通路
12 開口
13 外部壁
14 領域
15 内部壁
16 内部壁
図1
図2
図3
図4
図5