特許第6185062号(P6185062)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6185062テーパ付けされた酸化物の堆積/エッチング
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6185062
(24)【登録日】2017年8月4日
(45)【発行日】2017年8月23日
(54)【発明の名称】テーパ付けされた酸化物の堆積/エッチング
(51)【国際特許分類】
   H01L 29/78 20060101AFI20170814BHJP
   H01L 29/06 20060101ALI20170814BHJP
   H01L 29/12 20060101ALI20170814BHJP
   H01L 21/336 20060101ALI20170814BHJP
【FI】
   H01L29/78 652K
   H01L29/78 652P
   H01L29/78 652T
   H01L29/78 653A
   H01L29/06 301F
   H01L29/06 301V
   H01L29/78 658F
【請求項の数】11
【全頁数】22
(21)【出願番号】特願2015-524304(P2015-524304)
(86)(22)【出願日】2013年7月11日
(65)【公表番号】特表2015-529017(P2015-529017A)
(43)【公表日】2015年10月1日
(86)【国際出願番号】US2013050046
(87)【国際公開番号】WO2014018273
(87)【国際公開日】20140130
【審査請求日】2016年7月1日
(31)【優先権主張番号】13/558,218
(32)【優先日】2012年7月25日
(33)【優先権主張国】US
(31)【優先権主張番号】13/572,492
(32)【優先日】2012年8月10日
(33)【優先権主張国】US
(73)【特許権者】
【識別番号】501315784
【氏名又は名称】パワー・インテグレーションズ・インコーポレーテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100100181
【弁理士】
【氏名又は名称】阿部 正博
(72)【発明者】
【氏名】パーササラサイ ヴィジェイ
(72)【発明者】
【氏名】バネルジー スジット
(72)【発明者】
【氏名】グラボウスキ ウェイン ビー
【審査官】 綿引 隆
(56)【参考文献】
【文献】 米国特許出願公開第2007/0069257(US,A1)
【文献】 特開2002−299619(JP,A)
【文献】 特開2011−040682(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01L 21/336
H01L 29/06
H01L 29/423
H01L 29/78
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
テーパ付けされたフィールドプレート誘電体領域を半導体ウエハに形成する方法であって、
前記半導体ウエハ内に溝をエッチングすることであって、前記溝が側壁をもつ、溝をエッチングすること、
前記側壁を含め、前記半導体ウエハ上に第1の厚さの第1の絶縁層を堆積させること、
第1の量前記第1の絶縁層をエッチングすることであって、前記溝の上部に隣接した前記溝の垂直面上の前記第1の絶縁層の第1の上部が除去されて、前記第1の上部に隣接していた前記溝の垂直面が露出する、前記第1の絶縁層をエッチングすること、
前記半導体ウエハ上に第2の厚さの第2の絶縁層を堆積させることであって、前記第2の絶縁層が前記溝の側壁上で除去されていない前記第1の絶縁層と重なり、前記第2の絶縁層が除去された前記第1の上部に代わり堆積され前記第1の上部が除去された前記溝の垂直面に重なる、第2の絶縁層を堆積させること、および、
第2の量前記第2の絶縁層をエッチングすることであって、前記溝の前記側壁上の前記第1の絶縁層上の前記第2の絶縁層の第2の上部が除去される、前記第2の絶縁層をエッチングすること、
前記半導体ウエハ上に第3の厚さの第3の絶縁層を堆積させること、および、
第3の量の前記第3の絶縁層をエッチングすることであって、前記第3の絶縁層の第3の上部が除去され、前記第3の量の前記第3の絶縁層をエッチングすることによって、前記第3の上部に隣接していた前記第1の絶縁層の少なくとも一部と、前記第3の上部に隣接していた前記第2の絶縁層の少なくとも一部と、を露出させる、前記第3の絶縁層をエッチングすること
を含む方法。
【請求項2】
前記第2の量前記第2の絶縁層をエッチングすることが、前記第2の上部に隣接していた、前記第1の絶縁層の少なくとも一部を露出させる、
請求項1の方法。
【請求項3】
前記第1の厚さと前記第2の厚さとが、略同一である、
請求項1の方法。
【請求項4】
前記第3の絶縁層と前記第2の絶縁層とが、同じ材料である、
請求項の方法。
【請求項5】
前記第1の厚さは、前記第1の絶縁層が上に堆積されている表面の傾きに実質的に無関係である、
請求項1の方法。
【請求項6】
前記溝をエッチングする前に、前記溝の位置を規定するハードマスクをパターン形成することであって、前記ハードマスクをパターン形成することが、ハードマスク材料を堆積させることを含む、ハードマスクをパターン形成すること、
をさらに含む、請求項1の方法。
【請求項7】
前記ハードマスクが、多結晶シリコンで作られている、
請求項の方法。
【請求項8】
前記ハードマスクを堆積させる前に、前記半導体ウエハの前記表面に保護層を堆積させること、
をさらに含む、請求項の方法。
【請求項9】
前記保護層が、酸化物である、
請求項の方法。
【請求項10】
前記溝内の前記第1の絶縁層と前記第2の絶縁層との上に導電性材料を堆積させることであって、前記導電性材料が、前記第1の絶縁層と前記第2の絶縁層とにより、前記溝の前記側壁と直接接触しないように分離されている、導電性材料を堆積させること、
をさらに含む、請求項1の方法。
【請求項11】
前記第1の絶縁層をエッチングすることと、前記第2の絶縁層をエッチングすることとが、異方性エッチングを使用して行われる、
請求項1の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
(関連出願の相互参照)
本出願は、2012年7月25日に出願された米国特許出願第13/558,218号、および2012年8月10日に出願された米国特許出願第13/572,492号の優先権を主張し、両米国特許出願の開示内容の全体が、事実上、以下に完全に記載されているものとして、参照により援用される。
【0002】
(技術分野)
本開示は、概して、高電圧半導体のフィールドプレート誘電体の製造に関し、より具体的には、本開示は、高電圧半導体装置のテーパ付けされたフィールドプレート誘電体の製造に関する。
【背景技術】
【0003】
電子装置は、動作に電力を使用する。電力は、一般に、壁の差込口を通して、高電圧の交流(AC;alternating current)として伝送される。典型的には電力変換装置または電源と呼ばれる装置を使用して、エネルギー変換素子により高電圧AC入力を、適切に調節された直流電流(DC;direct current)出力に変換できる。電力変換装置の一種がスイッチング電力変換装置であり、スイッチング電力変換装置は、高効率であり、寸法が小さく、重さが軽いことから、現在の多くの電子装置に電力供給するために一般的に使用されている。タブレットコンピュータ、スマートフォンおよびLED光源などの電子装置に電力供給する多くのスイッチング電力変換装置は、高電圧を扱える電力半導体装置に依存する。例えば、携帯電話の充電装置内の半導体装置は、絶縁破壊なしに最大600Vのピーク電圧を扱うことが必要とされる場合がある。これらの高電圧装置のいくつかは、半導体のより広い領域に電界を広げることにより高電圧を扱い、これにより電界が絶縁破壊閾値を上回ることを防ぐ。電界の広がりに寄与するように、フィールドプレートが使用される場合がある。
【0004】
高電圧トランジスタの一種が、縦型薄シリコン(VTS;vertical thin silicon)高電圧電界効果トランジスタ(HVFET;high−voltage field effect transistor)である。例えば、図1は、ウエハ11に構築された一実施例のVTS HVFET10を示す。VTS HVFET10は、シリコン柱に、ソース領域15aおよび15b、本体領域14ならびにドレイン領域12および13(長いドレイン拡張部を含む)を含む。ゲート17aおよび17bに印加される電位は、本体領域14のチャネルを調節し得、ソース領域15aおよび15bとドレイン領域12および13との間の導電を制御し得る。本体領域14の電位は、本体接点16によって制御され得る。HVFET10は、さらに、フィールドプレート誘電体19によりシリコン柱から分離されたフィールドプレート18を有する。フィールドプレート18は、大幅な電圧降下を拡張ドレイン領域内のより広い領域に広げる(すなわち、電界を広げる)ことにより、絶縁破壊電圧の増大を可能にする。
【0005】
以下の図を参照しながら、本発明の非限定的かつ非網羅的な実施形態について説明する。図中、類似した参照符号は、別段の指定がない限り、異なる図にわたって類似した部分を参照する。
【0006】
図1〜10は、複数の段階での、堆積およびエッチングによるテーパ付けされた酸化物の形成を示す。図11〜23は、複数の段階での、厚い酸化物を堆積させることによるテーパ付けされた酸化物の形成を示す。
【図面の簡単な説明】
【0007】
図1図1は、フィールドプレートをもつ例示的なHVFETを示す。
図2図2A〜2Cは、テーパ付けされたフィールドプレート誘電体領域を形成する例示的な処理工程に従った、ハードマスクの形成過程を示す。
図3図3Aおよび3Bは、テーパ付けされたフィールドプレート誘電体領域を形成する例示的な処理工程に従った、溝のエッチングを示す。
図4図4Aおよび4Bは、テーパ付けされたフィールドプレート誘電体領域を形成する例示的な処理工程に従った、絶縁層の堆積およびエッチングの1サイクル目を示す。
図5図5Aおよび5Bは、テーパ付けされたフィールドプレート誘電体領域を形成する例示的な処理工程に従った、絶縁層の堆積およびエッチングの2サイクル目を示す。
図6図6Aおよび6Bは、テーパ付けされたフィールドプレート誘電体領域を形成する例示的な処理工程に従った、絶縁層の堆積およびエッチングの3サイクル目を示す。
図7図7は、例示的な処理工程に従って、導電性材料を受容して例示的なテーパ付けされたフィールドプレートを形成する準備が整った、テーパ付けされたフィールドプレート誘電体領域を示す。
図8図8は、外形の異なる、他のテーパ付けされたフィールドプレート誘電体領域の断面を示す。
図9図9は、テーパ付けされたフィールドプレート誘電体領域を形成するためにテーパ付けされたフィールドプレート誘電体領域によって形成されるテーパ付けされた領域に堆積された導電性材料を示す。
図10図10は、テーパ付けされたフィールドプレート誘電体領域を形成する例示的な処理工程の流れ図を示す。
図11図11は、フィールドプレートをもつ他の例示的なHVFET構造を示す。
図12図12Aおよび12Bは、テーパ付けされたフィールドプレート誘電体領域を形成する例示的な処理工程に従った、テーパ付けされたフィールドプレートおよびフィールドプレート誘電体領域のための溝をエッチングするためのマスクの形成過程を示す。
図13図13Aおよび13Bは、テーパ付けされたフィールドプレート誘電体領域を形成する例示的な処理工程に従った、溝のエッチングを示す。
図14図14Aおよび14Bは、テーパ付けされたフィールドプレート誘電体領域を形成する例示的な処理工程に従った、第1の絶縁層の堆積、および、マスク層による絶縁層内の隙間の充填を示す。
図15図15は、テーパ付けされたフィールドプレート誘電体領域を形成する例示的な処理工程に従った、マスク層のエッチングを示す。
図16図16Aおよび16Bは、テーパ付けされたフィールドプレート誘電体領域を形成する例示的な処理工程に従った、絶縁層の等方性エッチングを示す。
図17図17Aおよび17Bは、テーパ付けされたフィールドプレート誘電体領域を形成する例示的な処理工程に従った、マスク層のエッチングの2サイクル目を示す。
図18図18Aおよび18Bは、テーパ付けされたフィールドプレート誘電体領域を形成する例示的な処理工程に従った、絶縁層の等方性エッチングの2サイクル目を示す。
図19図19Aおよび19Bは、テーパ付けされたフィールドプレート誘電体領域を形成する例示的な処理工程に従った、マスク層のエッチングの3サイクル目を示す。
図20図20は、テーパ付けされたフィールドプレート誘電体領域を形成する例示的な処理工程に従って、絶縁層のエッチングおよびマスク層のエッチングをさらに何度か繰り返した後の、テーパ付けされたフィールドプレート誘電体領域を示す。
図21図21は、理想よりも劣る外形をもつ、テーパ付けされたフィールドプレート誘電体領域を示す。
図22図22Aおよび22Bは、テーパ付けされたフィールドプレート誘電体領域を形成する例示的な処理工程に従った、テーパ付けされたフィールドプレートを形成するために使用される導電性材料の堆積を示す。
図23図23は、テーパ付けされたフィールドプレート誘電体を形成する、他の例示的な処理工程の流れ図を示す。
【発明を実施するための形態】
【0008】
以下の説明では、本発明を十分に理解できるように、多くの具体的な詳細事項が記載されている。しかし、本発明を実施する際に具体的な詳細事項を利用する必要があるわけではないことが、当業者には明らかとなるであろう。他の例では、本発明が理解しにくくならないように、よく知られた材料または方法は、詳細には説明されていない。
【0009】
本明細書中で「一実施形態」、「実施形態」、「一例」または「例」についての言及は、実施形態または例に関連して説明されている特定の特徴、構造または特性が、本発明の少なくとも1つの実施形態に含まれることを意味する。従って、本明細書中の様々な場所に出現する「一実施形態において」、「実施形態において」、「一例」または「例」という語句は、必ずしもすべてが同じ実施形態または実施例を参照しているわけではない。さらに、特定の特徴、構造または特性は、1以上の実施形態または実施例において、任意の適切な組み合わせおよび/または部分的組み合せとして組み合わされてもよい。特定の特徴、構造または特性は、説明されている機能を提供する、集積回路、電子回路、結合論理回路または他の適切な構成要素に含まれていてもよい。さらに、本明細書と共に提供される図は、当業者への説明を目的としており、必ずしも一定の縮尺で描かれているわけではないことが理解されるべきである。
【0010】
前述のとおり、図1は、フィールドプレート18と、フィールドプレート18の深さに沿って実質的に同じ厚さもつフィールドプレート誘電体19とを示す。信頼性の高い装置を最適に構築するには、拡張ドレイン領域13に沿って一定した電界に保つことが適切であり得る。一定した電界の柱を保つため、拡張ドレイン領域13において濃度勾配のあるドーピング分布が必要であり得る。特に、ドレイン領域13における濃度勾配のあるドーピングは、深さに沿って、VTS装置10の表面に近づくにつれて徐々に減少してもよい。このようにして、VTS装置10は、拡張ドレイン領域13と酸化物19との間を空乏状態にすることができるので、VTS装置10は、最大絶縁破壊電圧に耐えることができる。しかし、濃度勾配のあるドーピング分布とすることによる1つの欠点は、VTS装置10の表面に近いほど薄いドーピングとなり得ることにより、抵抗率がより大きくなり、効率がより下がり得ることである。
【0011】
図に示され、以下で説明するように、装置の深さに沿って、フィールドプレート誘電体の厚さが異なっている。特に、酸化物の厚さは、表面で最小であり、装置10の深さに沿って底部に達するまで増大するので、VTS装置10の表面付近で拡張ドレイン領域13のドーピングを増大させることが可能となる。その結果、VTS装置10の抵抗率は、最大3分の1〜4分の1に低減し得る。一例において、オン抵抗率は、VTS装置10のドレインとソースとの間が実質的に0ボルトであるときの、半導体の材料および設計に基づいて内在する抵抗として規定されてもよい。半導体装置の効率を高めるため、装置が導通しているときの電力損失を低減させるように抵抗率が低減され得ると理解されてもよい。一例において、フィールドプレート誘電体の様々な厚さは、テーパ付けにより実現される。このようにして、ドーピングの定分布が、実現されてもよい。
【0012】
半導体基板にテーパ付けされたフィールドプレート誘電体を形成する例示的な処理工程が、以下に説明されている。この例示的な処理工程は、例えば、ショットキーダイオード、HVFET、JFET、IGBT、バイポーラトランジスタなど、様々な種類の装置を形成する処理工程と合わせて有用であり得る。テーパ付けされたフィールドプレート誘電体の製造が、例示的な処理工程の様々な段階を示す図に関連して説明されている。説明を簡単にするため、例示的な処理工程は、1つのフィールドプレート誘電体領域の製造について説明されている。しかし、図には、基板の一部のみが図示されていることが理解されるべきである。実際には、テーパ付けされたフィールドプレート誘電体領域を有するフィールドプレートを備える多くの装置(例えば、HVFET)が、基板中に並列に形成されてもよい。
【0013】
図2Aは、基板200を示し、基板200は、ウエハ202、保護層204、およびマスク層206を含む。ウエハ202は、例えば、例として、シリコン、炭化ケイ素、ダイヤモンド、ガリウムヒ素、アルミニウムガリウムヒ素、りん化インジウム、窒化ガリウムなどの種々の材料で作られていてもよい。ウエハ202は、また、ヘテロ構造を形成するように複数の異なる材料で作られていてもよい。ウエハ202は、また、基部ウエハ(例えば、シリコンウエハ)と、基部ウエハの上に成長させた他の層(例えば、エピタキシャル成長層)とで形成されていてもよい。一例において、ウエハ202は、厚さが700〜1000μmであってもよい。
【0014】
示されるように、処理中の欠陥および損傷からウエハ202の表面を保護するため、保護層204をウエハ202の表面に堆積させる。例示的な処理工程のいくつかの変形例において、保護層204およびマスク層206は、任意選択的であってもよい。より単純な処理工程では、テーパ付けされた酸化物が、マスク層206を使用せずに形成されてもよく、シリコン柱自体が、酸化物に対するハードマスクとして使用されてもよい。ウエハ202としてシリコンウエハを使用する例示的な処理工程の変形例において、保護層204は、例えば、厚さ約200Aの熱成長酸化物であってもよい。
【0015】
マスク層206は、ハードマスク(例えば、多結晶シリコン、窒化物など)であってもよい。マスク層206は、フィールドプレート誘電体を形成するのに使用されることとなる絶縁材料とは異なるエッチング特性をもつように選択されてもよい。フィールドプレート誘電体とは異なるエッチング特性をもつマスク層206を選択することにより、マスク層206よりもフィールドプレート誘電体材料に対して高い選択性を示すエッチング剤が使用されてもよく、これにより、マスク層206が、テーパ付けされたフィールドプレート誘電体の形成過程の全体を通して使用されることが可能となる。例えば、ポリシリコンが、マスク層206として使用されてもよい。フィールドプレート誘電体材料が酸化物であることが予定される場合、酸化物対シリコンのエッチング選択性が10:1または20:1であるようなエッチングレシピを選択できる。一例において、マスク層206は、約2〜5μmの厚さであってもよいが、フィールドプレート誘電体材料をエッチングするのに使用されるエッチングレシピの選択性に応じて、他の厚さであってもよい。
【0016】
図2Bは、マスク層208が堆積されて、溝と、半導体装置が位置することとなるシリコン柱(これらの柱は、おおよそ、マスク層208の残留部分の下方に存在することとなる)に隣接したフィールドプレート誘電体との位置を規定するようにパターン形成された後の基板200を示す。マスク層208フォトレジストマスクである。他の実施例では、保護層204およびマスク層が使用されなくてもよく、フォトレジスト層が、シリコンウエハ202の表面に直接堆積されてもよい。
【0017】
図2Cは、マスク層206および保護層204がエッチングされて、マスク層208で規定されたとおりに溝がエッチングされることとなる領域でウエハ202の表面を露出させた後の基板200を示す。一例において、ウエハ202の露出された部分は、dEXPOSEDであり、約10〜12μmの幅であってもよい。
【0018】
図3Aは、溝302が形成された後の基板200を示す。一例において、深掘り反応性イオンエッチング(DRIE;deep reactive ion etch)ステップが使用され、その結果、溝302の側壁306に波形の凹凸304が形成される。溝302は、深さ308までエッチングされてもよく、一例において、約60μmの深さであってもよい。溝302をエッチングするため、波形の凹凸を形成しない他のエッチング技術が使用されてもよいことが理解されるべきである。
【0019】
図3Bは、マスク層208が除去された後の基板200を示す。マスク層208を除去することは、様々な工程で実現されてもよい。例えば、マスク層208がフォトレジストマスクである場合、プラズマアッシング工程が使用されてもよい。他の実施例では、窒化物または酸化物が使用される場合、リン酸またはフッ化水素酸、それぞれのエッチング工程が使用されてもよい。図4Aは、絶縁層402が堆積された後の基板200を示す。前述のとおり、フィールドプレート誘電体は、1以上の絶縁層402を備える。絶縁層402を堆積させる処理工程は、垂直面(例えば、側壁306)および水平面(例えば、溝302の底部およびマスク層206上)の両方での露出された表面において、およそdDEP1の厚さの絶縁材料が存在するように、等角であってもよい。絶縁層402は、二酸化ケイ素、窒化ケイ素、りん化ホウ素ケイ酸塩ガラスなどであってもよい。例えば、低圧化学蒸着、高密度プラズマ、プラズマ化学蒸着などの処理工程を使用して、絶縁層402を堆積させてもよい。厚さdDEP1は、処理工程での温度、時間および光に応じて決定されてもよい。他の実施例において、dDEP1は、約0.5μmである。
【0020】
図4Bは、高異方性エッチングで厚さdETCH1ぶんの絶縁層402をエッチングした後の基板200を示す。言い換えると、基板の水平面は、垂直面より実質的に多くエッチングされる。例えば、エッチングの指向性とも呼ばれ得る垂直対水平のエッチング比は、100対1であってもよい。一例において、dETCH1は、垂直方向に4μmの距離であってもよい。絶縁層402をエッチングするのに使用されるエッチングレシピは、絶縁層402のエッチング速度がマスク層206またはウエハ202のエッチング速度よりはるかに大きくなるように選択されてもよい。エッチングレシピの選択性が十分大きい場合、テーパ付けされたフィールドプレート誘電体を形成する処理工程の全体で、同じマスク層206が使用されてもよい。さらに、半導体ウエハ202とマスク層206と(例えば、シリコンウエハとポリシリコンマスクと)に同じ材料が使用される場合、絶縁層402をエッチングするためのエッチングレシピは、溝302の底部における半導体ウエハ202の露出された部分と、半導体ウエハ202の表面におけるマスク層206との両方の上にある絶縁層402の材料に対して、類似の選択性を有していてもよい。例えば、少なくとも10:1、また、さらには20:1という選択性が使用されてもよい。
【0021】
図4Bに示すように、dETCH1は、dDEP1より大きくてもよく、そうすれば、水平面上の絶縁層402の部分(例えば、マスク層206の上面および溝302の底部)が、完全に除去されることとなる。しかし、溝302の側壁306に描かれているように、垂直面上の絶縁層402の部分は、約dETCH1ぶん、または、場合によっては、dETCH1未満の大きさぶん下方にエッチングされることとなる。言い換えると、垂直面の絶縁層402の上部(深さがdETCH1に比例する)のみが除去される(例えば、溝302内の側壁306上の絶縁層402の部分)。
【0022】
図4Aでは、波形の凹凸304が見えていないことに注意されたい。波形の凹凸は、絶縁層402の堆積前に、溝302の側壁から除去されてもよい。例えば、ウエハ202がシリコンである場合、波形の凹凸を消去するため、熱酸化工程が使用されてもよく、熱酸化物を除去してより滑らかな側壁を残すため、酸化物除去工程が使用されてもよい。代替的に、例示的な処理工程の変形例において、波形の凹凸が残存していてもよい。例示的な処理工程の他の変形例において、使用される溝エッチング技術に起因して波形の凹凸が存在しなくてもよく、または、波形の凹凸が容易には見えない程度に、または大きく影響しない程度に、波形の凹凸が十分小さくてもよい。
【0023】
図5Aは、基板202に絶縁層502が堆積された後の基板200を示す。絶縁層502は、以前に絶縁層402が除去されていない溝302の側壁306上で、絶縁層402に重ねて堆積されてもよい。絶縁層502を堆積させる処理工程は、垂直面および水平面の両方に、およそdDEP2の厚さの絶縁材料502が堆積されるように、等角であってもよい。絶縁層502は、絶縁層402と同じ厚さまで、同じ技術を使用して堆積された、同じ材料であってもよい。一代替例において、絶縁層402に比べて、絶縁層502は、異なる材料であってもよく、異なる技術を使用して堆積されてもよく、または、異なる厚さをもっていてもよい。絶縁層402が除去されていない側壁306の部分は、この時点で、合計の厚さがおよそdDEP1+dDEP2の絶縁材料を有していてもよい。しかし、溝302の底部で露出されたウエハ202の部分は、厚さがおよそdDEP2だけの絶縁材料を有している。一例において、絶縁層402の厚さdDEP1は、絶縁層502の厚さdDEP2と実質的に同じである。他の実施例において、絶縁層402および502の厚さdDEP1およびdDEP2は異なる。
【0024】
図5Bは、異方性エッチング(例えば、図4Bに関連して説明された、絶縁層402をエッチングするのに使用されるエッチングと同じエッチング)を使用して、厚さdETCH2ぶんの絶縁層502と、ある程度の絶縁層402と、をエッチングした後の基板200を示す。特に、マスク206の側壁上および溝302の側壁上(絶縁層402上)の、絶縁層502の上部がすでにエッチングされている。この時点で、絶縁層402の柱上に絶縁層502の柱が存在する。
【0025】
図6Aは、基板202に絶縁層602が堆積された後の基板200を示す。絶縁層602を堆積させる処理工程は、垂直面および水平面の両方に、およそdDEP3の厚さの絶縁材料602が堆積されるように、等角であってもよい。絶縁層602は、絶縁層402または絶縁層502と同じ技術を使用して同じ厚さまで堆積された、同じ材料であってもよい。一代替例において、絶縁層402または絶縁層502に比べて、絶縁層602は、異なる材料であってもよく、異なる技術を使用して堆積されてもよく、または、異なる厚さであってもよい。絶縁層402および502が除去されていない側壁306の部分は、この時点で、合計の厚さがおよそdDEP1+dDEP2+dDEP3の絶縁材料を有していてもよい。しかし、溝302の底部で露出されたウエハ202の部分は、厚さがおよそdDEP3だけの絶縁材料を有する。示されるように、第1の領域609は、絶縁層602の部分のみを含み、絶縁材料は、厚さdDEP3である。第2の領域611は、絶縁層402および602の部分を含み、領域611の側壁306に沿った絶縁材料の合計の厚さは、dDEP1+dDEP3である。第3の領域613は、絶縁層402、502、および602の部分を含み、領域613の側壁306に沿った絶縁材料の合計の厚さは、dDEP1+dDEP2+dDEP3に等しい。
【0026】
図6Bは、異方性エッチング(例えば、図4Bに関連して説明された、絶縁層402をエッチングするのに使用されるエッチングと同じエッチング)を使用して、厚さdETCH3ぶんの絶縁層602(ならびに、ある程度の絶縁層402および絶縁層502)をエッチングした後の基板200を示す。この時点で、絶縁層402の柱上に存在する絶縁層502の柱上に、絶縁層602の柱が存在する。示されるように、第1の領域615は、絶縁層402のみを含み、第1の領域615中の絶縁材料は、厚さがdDEP1である。第2の領域617は、側壁306に沿った絶縁層402および502の部分を含み、領域617における絶縁材料の合計の厚さは、dDEP1+dDEP2である。第3の領域619は、絶縁層402、502、および602の部分を含み、領域619における側壁306に沿った絶縁材料の合計の厚さは、dDEP1+dDEP2+dDEP3に等しい。
【0027】
図の組、図4A〜4B、図5A〜5Bおよび図6A〜6Bの任意の1つに描かれ、関連して説明された、誘電体を堆積およびエッチングする処理工程は、溝302を充填するために必要な回数だけ繰り返されてもよい。例えば、図7に示すように、図7に示す溝を充填するのに9サイクルの堆積およびエッチングが使用された。具体的に、9サイクルは、前述の絶縁層402、502および602と、絶縁層701〜706を生成する追加の6サイクルとに関連付けられる。堆積厚がすべて略同一(例えば、dDEP1=dDEP2=dDEP3=dDEPX)であり、エッチング量がすべて略同一(例えば、dETCH1=dETCH2=dETCH3=dETCHX)である場合、テーパ付けされたフィールドプレート誘電体領域の傾きmOXは、dETCHX/dDEPXによって近似されてもよい。
【0028】
例示的な処理工程の他の変形例において、テーパ付けされたフィールドプレート誘電体領域の外形は、異なっていてもよい。例えば、異なる厚さの絶縁層を使用すること、および、異なる量の絶縁層をエッチングすることにより、テーパ付けされたフィールドプレート誘電体領域の外形が制御されてもよい。一実施例において、テーパ付けされたフィールドプレート誘電体領域の外形は、テーパ付けされたフィールドプレート誘電体領域の外形に沿った複数の異なる傾きを有することとなる。
【0029】
テーパ付けされたフィールドプレート誘電体領域は、1つの段が堆積/エッチングサイクルの各々を表すように、明確に画定された段を有するように描かれてきた。しかし、実際には、明確に画定された段が存在しなくてもよいことが理解されるべきである。例えば、テーパ付けされたフィールドプレート誘電体領域の外形は、より直線的な形状を有していてもよい。図8は、図7に示す外形ほど理想的ではない、テーパ付けされたフィールドプレート誘電体における他の例示的な外形を有する基板800を示す。
【0030】
図9は、テーパ付けされたフィールドプレート誘電体領域710によって充填されていない溝302の残りの部分(符号なし)を充填する導電性材料902の堆積後の基板200を示す。導電性材料902は、例えば、アモルファスシリコン、多結晶シリコン、金属などの、任意の数の材料であってもよい。導電性材料902に半導体を使用する場合、導電性材料902は、それが堆積されているときにその場でドーピングされてもよい。次に、導電性材料902の上部が、化学機械研磨(CMP;chemical mechanical polishing)またはエッチバック工程を使用して平坦化されてもよい。次に、テーパ付けされたフィールドプレートを形成する導電性材料902の残留部分に、電気接点が作られてもよい。
【0031】
テーパ付けされたフィールドプレート誘電体およびテーパ付けされたフィールドプレートが形成されたら、基板200の活性領域(例えば、シリコン柱904および906)に能動素子を形成する半導体装置製造工程が実施されてもよい。例えば、シリコン柱904および906にHVFETを形成するため、VTS HVFET処理工程が使用されてもよい。
【0032】
図10は、半導体基板にテーパ付けされたフィールドプレート誘電体領域を形成する例示的な処理工程1000(図2〜9に関連する前述の例示的な処理工程と同様)の流れ図を示す。工程1002において、シリコンウエハが用意される。シリコンウエハは、例えば、シリコンのエピタキシャル成長層を有するように形成された、ドーピングに違いのある層を有していてもよい。工程1004において、処理時の損傷および残骸からシリコンウエハの表面を保護する保護層を形成するため、シリコンウエハの表面に酸化物の薄い層を成長させる。工程1006において、多結晶シリコンハードマスクが堆積される(例えば、図2A参照)。テーパ付けされたフィールドプレートを囲むテーパ付けされたフィールドプレート誘電体領域の形成過程の全体を通して、多結晶シリコンハードマスクが使用されてもよい。多結晶シリコンよりも酸化物(または他の絶縁材料)のエッチングに対して高い選択性を示すエッチングレシピが利用しやすい場合があるので、ハードマスクには多結晶シリコンが好ましい場合がある。次に、工程1008において、フォトリソグラフィ工程を使用して、ハードマスクが、パターン形成およびエッチングされてもよい(例えば、図2Bおよび2C参照)。ハードマスクは、この時点で、傾斜したフィールドプレートのための溝がエッチングされることとなる領域を規定する。工程1010において、傾斜したフィールドプレートのための溝を画定する(例えば、図3A参照)ため、DRIE(またはボッシュエッチング)工程が実行される。例示的な処理工程1000のいくつかの変形例において、工程1008および1010が、1つの工程に組み合わされてもよい。工程1012において、工程1008または1010の後に残されたすべてのフォトレジストが、プラズマアッシング工程を使用して除去される(例えば、図3B参照)。工程1014において、工程1010で形成された溝の側壁および底部を含めて、基板の垂直面および水平面に、酸化物層が堆積される(例えば、図4A、5Aおよび6A参照)。工程1016において、工程1014で堆積された酸化物を、ある厚さぶん除去するため、異方性エッチングが実行される(例えば、図4B、5および6B参照)。エッチングは異方性(すなわち、実質的に異方性)なので、ウエハの水平面の酸化物が完全に除去される一方で、垂直側面の酸化物の最上部のみが除去される。そのため、溝の側壁に堆積された酸化物の多く(例えば、最上部を除く、側壁上のすべての酸化物)が、残ることとなる。工程1018において、テーパ付けされたフィールドプレート(例えば、図7参照)を形成する材料を受容するため、溝が酸化物で十分に充填されているかどうか決定される。例えば、これは、すでに実行された酸化物の堆積/エッチングサイクル数に基づいて決定されてもよい。他の例として、酸化物エッチング工程1016の後、溝の中央底部に閾値厚さの酸化物が残るまで、工程1014および1016のサイクルが繰り返されてもよい。工程1020において、溝内にテーパ付けされたフィールドプレート誘電体が形成された後、テーパ付けされたフィールドプレートを形成するため、溝内に多結晶シリコンが堆積される(例えば、図9参照)。フィールドプレートとウエハの表面とが共面となることを確実にするため、平坦化工程が必要とされてもよい。工程1022において、傾斜したフィールドプレートを収容する溝に隣接したシリコン柱にHVFETを形成するため、半導体処理手順が実行される。
【0033】
例示的な処理工程1000は、特定の材料および層に関連して説明されてきたが、いくつかの層は、任意選択的であってもよく、ウエハおよび層の材料は、さまざまであってもよいことが理解されるべきである。
【0034】
図11は、ウエハ(N+基板)1110に構築された、例示的なVTS HVFET1100を示す。VTS HVFET1100は、ソース領域1150(N+)、本体領域1140(P型本体)、および1130(N型拡張ドレイン領域)を含み、シリコン柱内に長いドレイン拡張部を含む。ゲート1170に印加される電位が、本体領域1140内のチャンネルを調節してもよく、ソース領域1150とドレイン領域との間の導電を制御してもよい。HVFET1100は、また、フィールドプレート誘電体1190(Ox)によりシリコン柱から分離されるフィールドプレート1180を有する。フィールドプレート1180は、大幅な電圧降下を拡張ドレイン領域内のより広い領域に広げる(すなわち、電界を広げる)ことにより、絶縁破壊電圧の増大を可能にする。
【0035】
フィールドプレート誘電体1190は、フィールドプレート1180の深さに沿って、実質的に同じ厚さである。信頼性の高い装置を最適に構築するためには、拡張ドレイン領域1130に沿って一定した電界を保つことが適切であり得る。一定した電界を保つためには、拡張ドレイン領域1130に、濃度勾配のあるドーピング分布が必要であり得る。特に、ドレイン領域1130の濃度勾配のあるドーピングは、深さに沿って、VTS装置1100の表面に近づくにつれて徐々に減少してもよい。このようにして、VTS装置1100が最大絶縁破壊電圧に耐えられるように、VTS装置1100は、拡張ドレイン領域1130と酸化物1190との間を空乏状態にすることができる。しかし、濃度勾配のあるドーピング分布とすることの1つの欠点は、VTS装置1100の表面に近いほど薄いドーピングとなり得ることにより、抵抗率がより大きくなり、効率が下がり得ることである。
【0036】
図12Aは、ウエハ1202を含む基板1200を示す。ウエハ1202は、例えば、例として、シリコン、炭化ケイ素、ダイヤモンド、ガリウムヒ素、アルミニウムガリウムヒ素、りん化インジウム、窒化ガリウムなどの、種々の材料で作られていてもよい。ウエハ1202は、また、ヘテロ構造を形成するため、複数の異なる材料で作られていてもよい。ウエハ1202は、また、基部ウエハ(例えば、シリコンウエハ)と、シリコンウエハに重ねて成長させた他の層(例えば、エピタキシャル成長層)とで形成されていてもよい。
【0037】
図12Bは、マスク層1204が堆積されて、溝と、半導体装置が位置することとなるシリコン柱(これらの柱は、おおよそ、マスク層1204の残留部分の下方に存在することとなる)に隣接するフィールドプレート誘電体との位置を規定するようにパターン形成された後の基板1200を示す。マスク層1204は、ハードマスクまたはソフトマスクであってもよい。一例において、ソフトマスクは、フォトレジスト層であってもよい。例示的な処理工程のいくつかの変形例において、マスク層1204の堆積およびパターン形成前に、ウエハ1202の表面上に保護層が堆積されてもよい。保護層は、処理中に欠陥および損傷からウエハ1202の表面を保護し得る。例示的な処理工程が保護層を使用しない場合(図12Bに示すように)、ウエハ1202の表面から損傷を除去するため、または欠陥を取り除くため、ウエハ1202の表面に関わる他の処理を実行する前に修復工程が使用されてもよい。例えば、ウエハ1202にシリコンウエハが使用される場合、保護層(図示せず)は、例えば、厚さが約200Aの熱成長酸化物であってもよい。一例において、マスク層1204部分は、1〜3μmの長さdMSEGを有していてもよい。
【0038】
図13Aは、溝1302が形成された後の基板1200を示す。一例において、深掘り反応性イオンエッチング(DRIE)工程が使用され、その結果、溝1302の側壁1306に波形の凹凸1304が形成される。溝1302は、深さdETCH1308までエッチングされてもよく、一例において、約60μmの深さであってもよい。波形の凹凸を形成しない、他のエッチング技術も使用可能であることが理解されるべきである。
【0039】
図13Bは、マスク層1204が除去された後の基板1200を示す。マスク層1204を除去することは、様々な工程で実現されてもよい。例えば、マスク層1204がフォトレジストマスクである場合、プラズマアッシング工程が使用されてもよい。他の実施例において、マスク層1204に窒化物または酸化物が使用される場合、リン酸またはフッ化水素酸、それぞれのエッチング工程が使用されてもよい。
【0040】
図14Aは、絶縁層1402が堆積された後の基板1200を示す。絶縁層1402を堆積させる処理工程は、厚さ約dの絶縁材料が垂直側壁1306、溝1302の底部、およびシリコン柱1407上に存在するように、等角であってもよい。絶縁層1402は、さらに、隙間1404を形成することとなる。絶縁層1402は、二酸化ケイ素、窒化ケイ素、りん化ホウ素ケイ酸塩ガラスなどを含んでもよい。絶縁層1402を堆積させるため、例えば、低圧化学蒸着、高密度プラズマ、プラズマ化学蒸着などの処理工程が使用されてもよい。一例において、dは、0.5μmから10μmの間であってもよく、隙間1404は、幅が約10μmであってもよい。
【0041】
図14Aでは、波形の凹凸1304が見えていないことに注意されたい。絶縁層1402の堆積前に、溝1302の側壁1306から波形の凹凸が除去されてもよい。例えば、ウエハ1202がシリコンである場合、波形の凹凸を消去するため、熱酸化工程が使用されてもよく、熱酸化物を除去してより滑らかな側壁を残すため、酸化物除去工程が使用されてもよい。代替的に、例示的な処理工程の変形例において、波形の凹凸が残存していてもよい。例示的な処理工程の他の変形例において、使用される溝エッチング技術に起因して波形の凹凸が存在しなくてもよく、または、波形の凹凸が容易には見えない程度に、または大きく影響しない程度に、波形の凹凸が十分小さくてもよい。
【0042】
図14Bは、基板1200に充填マスク層1406が堆積された後の基板1200を示す。充填マスク層1406の厚さdは、隙間1404が完全に充填されることを確実にするように選択されてもよい。例示的な処理工程の他の変形例において、マスク層1406は、隙間1404を完全には充填しなくてもよい。特に、絶縁層1402および充填マスク層1406に想定されるローフィングに起因して、隙間1404が狭められて、隙間1404の一部を未充填のまま残してもよい(図示せず)。一例において、充填マスク層1406の材料よりも絶縁層1402の材料のエッチングに対して高い選択性を示すエッチングレシピが利用できるように、充填マスク層1406の材料は、絶縁層1402の材料とは異なるエッチング特性を有しているべきである。例えば、絶縁層1402が酸化物である場合、マスク層1406は、多結晶シリコンであってもよい。
【0043】
図15は、隙間1404の一部(領域1502で示される)を再形成するため、マスク層1406が平坦化エッチングを受けて、絶縁層1402の上面と絶縁層1402の側壁の一部とから充填マスク層1406を除去した後の基板1200を示す。一例において、図15は、テーパ付けされたフィールド誘電体領域を形成するため、絶縁層1402をエッチングすることと充填マスク1406をエッチングすることとを交互に行うサイクルに進む前の、基板1200の始点を示す。
【0044】
図16Aおよび16Bは、量eの絶縁層1402が等方性エッチングされる前および後の基板1200を示しており、等方性エッチングは、エッチングが実行されている面の傾きに関わらず略同一量の材料がエッチングされることを意味する。言い換えると、水平面からエッチングされる絶縁層1402の量が、垂直面からエッチングされる絶縁層1402の量と略同一である。エッチング中に図16Aから図16Bへと除去される絶縁層1402の量を近似的に示す線1602により、エッチングの等方性の性質が描かれている。線1602からわかるように、除去される厚さeの絶縁材料は、絶縁層1402の表面全域で略一定である。絶縁層1402に対するエッチングが適切に選択された場合(その結果、充填マスク層1406よりも絶縁層1402に対して高い選択性を示すようにエッチングが選択されてもよい)、マスク層1406は、ほとんどエッチングされないはずである。例えば、絶縁層1402が酸化物であり、さらに、充填マスク層1406が多結晶シリコンである場合、この等方性エッチングを実行するため、水溶性のフッ化水素酸中のエッチング工程が使用されてもよい。領域1502に隣接した絶縁層1402の側壁が露出されたので、領域1502の幅は約2×eぶん増加したことに注意されたい。
【0045】
図17Aおよび17Bは、厚さeぶんの充填マスク層1406をエッチングする前および後の基板1200を示す。充填マスク層1406をエッチングすることにより、領域1502の下方に、絶縁材料1402の新たに露出された側壁により画定される領域1702が形成される。領域1702および領域1502の初期幅は、いずれも隙間1404の幅(図14A)によって定まるので、領域1702は、領域1502より狭く、領域1502が最初に形成されたとき(図15参照)に有していた幅と略同一の幅をもつ。
【0046】
図18Aおよび18Bは、厚さeぶんの絶縁層1402が等方性エッチングされる前および後の基板1200を示しており、等方性エッチングにより、エッチングが実行されている面の傾きに関わらず、略同一量の材料がエッチングされることが可能となる。言い換えると、水平面からエッチングされる絶縁層1402の量は、垂直面からエッチングされる絶縁層1402の量と略同一である。エッチングの等方性の性質が、エッチング中に図18Aから図18Bへと除去される絶縁層1402の量を近似的に示す線1802で描かれている。線1802からわかるように、除去される絶縁材料の量は、絶縁層1402の表面全域で略一定である。絶縁層1402に対するエッチングが適切に選択された場合、マスク層1406は、ほとんどエッチングされないはずである(例えば、図16Aおよび16Bに関連して説明されたのと同じエッチング)。領域1502および1702に隣接した絶縁層1402の側壁が露出されたので、領域1502の幅が、さらに約2×e(すなわち、領域1502の初期幅から全体で2×e+2×e)ぶん増加したこと、および領域1702の幅が約2×e(すなわち、領域1702の初期幅から全体で2×e)ぶん増加したことに注意されたい。言い換えると、絶縁層1402の内部側壁と側壁1306との間に、厚さeぶん少ない絶縁層1402が存在する。
【0047】
図19Aおよび19Bは、厚さeぶんの充填マスク層1406をエッチングする前および後の基板1200を示す。充填マスク層1406をエッチングすることにより、領域1502および1702の下方に、絶縁材料1402の新たに露出された側壁により画定される領域1902が形成される。領域1902、1702、および1502の初期幅は、すべて隙間1404の幅(図14A)によって定まるので、領域1902は、領域1702より狭く、領域1502および1702が最初に形成されたときに有していた幅(図15および図17をそれぞれ参照)と略同一の幅をもつ。
【0048】
絶縁層1402およびマスク層1406をエッチングすることの繰り返しは、絶縁層1402の所望のテーパが達成されるまで続いてもよい。例えば、2つのエッチング(絶縁層および充填マスク層)を交互に行う処理工程は、所望のテーパを生成するために知られている、ある所定の繰り返し数だけ続いてもよい。他の例として、2つのエッチングを交互に行う処理工程は、マスク層1406が消滅するまで、または、ある閾値未満の厚さをもつようになるまで続いてもよい。交互に行うエッチングのそれぞれの繰り返しが、既存の領域(例えば、領域1502、1702および1902)を、ある量だけ広げ、隙間1404の幅(図14A)に近似した幅をもつ新しい領域を形成する。そのため、繰り返しを増やすことにより、溝1302の上部のテーパ(図13A)が広がり、さらに、溝1302内のより深い所に新しい「段」が追加される。
【0049】
図20は、マスク層1406および絶縁層1402をエッチングすることの、合計6回の繰り返しの後の基板1200を示す。絶縁層1402のすべてのエッチングが、略同一量の絶縁層1402(すなわち、xをエッチングの繰り返し数としたときe=e=e2x−1)を除去し、さらに、マスク層1406のすべてのエッチングが、略同一量のマスク層1406(すなわち、xをエッチングの繰り返し数としたときe=e=e2x)を除去する場合、絶縁層1402のテーパの傾きmTAPERは、約e/eであってもよい。
【0050】
例示的な処理工程の他の変形例において、絶縁層1402の外形は、異なっていてもよい。例えば、異なる繰り返し段階において異なる量の絶縁層1402およびマスク層1406をエッチングすることにより、絶縁領域の外形が制御されてもよい。一実施例において、絶縁層1402の外形は、露出された絶縁層1402の側壁に沿って複数の異なる傾きをもつこととなる。
【0051】
絶縁材料は、1つの段が堆積/エッチングサイクルの各々を表すように、明確に画定された段を有するように描かれてきた。しかし、実際には、明確に画定された段が存在しなくてもよいことが理解されるべきである。例えば、絶縁領域の外形は、より直線的な形状を有していてもよい。図21は、図20に示す外形ほど理想的ではない、テーパ付けされたフィールドプレート誘電体において他の例示的な外形をもつ基板2100を示す。
【0052】
図22Aは、交互に行うエッチング工程のすべての繰り返しが終了し、さらに、充填マスク層1406の残留部分がすべて除去された後の基板1200を示す。例示的な処理工程の変形例において、すべての充填マスク層1406が、代替例のエッチング工程の繰り返し中にエッチングされてもよいことが理解されるべきである。また、例示的な処理工程の他の変形例は、絶縁層1402中のテーパによって形成される溝への導電性材料の堆積後に形成されるフィールドプレートの一部となるように、充填マスク層1406のうちの任意の残留部分を残してもよい(図22B参照)。
【0053】
図22Bは、絶縁層1402によって充填されていない、または、テーパの形成過程中にエッチングされた溝1302の残りの部分(符号なし)を充填する導電性材料2202の堆積後の基板1200を示す。導電性材料2202は、例えば、アモルファスシリコン、多結晶シリコン、金属などの、任意の数の材料であってもよい。導電性材料2202として半導体を使用する場合、導電性材料2202は、それが堆積されているときに、その場でドーピングされてもよい。次に、導電性材料2202の上部が、化学機械研磨(CMP)またはエッチバック工程を使用して平坦化されてもよい。次に、テーパ付けされたフィールドプレートを形成する導電性材料2202の残留部分に、電気接点が形成されてもよい。フィールドプレートが形成されると、絶縁層1402が、テーパ付けされたフィールドプレート誘電体領域2204となる。
【0054】
テーパ付けされたフィールドプレート誘電体2204が形成され、さらに、ウエハ1202の表面が(必要とされる場合に)平坦化されると、基板1200の活性領域(例えば、シリコン柱2206および2208)に能動素子を形成するため、半導体装置製造工程が実施されてもよい。例えば、シリコン柱2206および2208にHVFETを形成するため、VTS HVFET処理工程が使用されてもよい。
【0055】
図23は、半導体処理工程において、テーパ付けされたフィールドプレート誘電体領域を形成する、例えば、処理工程2300(図12〜22に関連した前述の例示的な処理工程と同様)の流れ図を示す。工程2302において、シリコンウエハが用意される。シリコンウエハは、例えば、シリコンのエピタキシャル成長層を有するように形成された、ドーピングに違いのある層を有していてもよい(例えば、図12A参照)。工程2304において、フォトレジストマスクがパターン形成される(例えば、図12B参照)。フォトレジストマスクは、テーパ付けされたフィールドプレートとテーパ付けされたフィールドプレート誘電体領域とを収容する溝の、位置および大きさを規定する。工程2306において、テーパ付けされたフィールドプレートのための溝を画定するDRIE(または、ボッシュエッチング)工程が実行され(例えば、図13A参照)、あらゆる残りのフォトレジストが取り除される(例えば、図13B参照)。工程2308において、基板の垂直面および水平面上に酸化物層が堆積される(例えば、図14A参照)。堆積された酸化物は、溝の大部分を充填するが、溝の中央の隙間を空けたまま残す。工程2310において、ウエハ上と、工程2308での酸化物の堆積によって形成される隙間内とに、ポリシリコンマスク層が堆積される(例えば、図14B参照)。工程2312において、隙間内で酸化物層の側壁の一部を露出するため、多結晶シリコンマスクのエッチングが実行される(例えば、図15参照)。工程2314において、工程2308で堆積された酸化物を、ある厚さぶん除去するため、等方性酸化物エッチングが実行される(例えば、図16Aおよび18A参照)。エッチングが等方性(すなわち、実質的に等方性)であるので、酸化物層の露出された表面のすべてが、略同一量ぶんエッチングされるはずである。工程2316において、隙間内で工程2308を経た酸化物層の側壁の新たな部分を露出するため、多結晶シリコンマスクが、さらなる量のぶんエッチングされる(例えば、図17Bおよび19B参照)。工程2318において、酸化物層のテーパ付けが終了したかどうか決定される(例えば、図20参照)。例えば、これは、すでに実行された酸化物エッチング/ポリエッチングの繰り返し数に基づいて決定されてもよい。他の例として、工程2314および2316の繰り返しは、閾値厚さのポリが残る(または、ポリがまったく残らなくなる)まで繰り返されてもよい。工程2320において、溝内にテーパ付けされたフィールドプレート誘電体が形成された後、テーパ付けされたフィールドプレートを形成するため、多結晶シリコンが溝内に堆積される(例えば、図22B参照)。フィールドプレートとウエハの表面とが共面となることを確実にするため、平坦化工程が必要とされてもよい。工程2322において、傾斜したフィールドプレートを収容する溝に隣接したシリコン柱にHVFETを形成するため、MOSFET処理手順が実行される。
【0056】
例示的な処理工程2300が、特定の材料および層に関連して説明されてきたが、いくつかの層は、任意選択的であってもよく、ウエハおよび層の材料は、さまざまであってもよいことが理解されるべきである。
【0057】
本発明の示されている例についての上記の説明は、要約で説明されている事項も含めて、網羅的であることも、開示されている形態そのものに制限することも意図されてはいない。本発明の特定の実施形態、および本発明の例は、本明細書において例示を目的として、説明されており、本発明のより広い趣旨および範囲から逸脱することなく、様々な同等な変更が可能である。特に、具体的で例示的な、電圧、電流、周波数、出力範囲値、時間などは、説明のために提示されていること、ならびに、他の実施形態および実施例において、本発明の教示に従って他の値が使用されてもよいことが理解される。
【0058】
前述の詳細な説明を考慮に入れて、本発明の例に対してこれらの変更が行われ得る。後述の請求項で使用される用語は、本発明を、明細書および請求項に開示されている特定の実施形態に限定するように解釈されてはならない。むしろ、範囲は、確立された請求項の解釈の原則に従って解釈される後述の請求項によって、完全に決定される。そのため、本明細書および図は、限定するものではなく例示的なものとみなされる。
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