(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6185072
(24)【登録日】2017年8月4日
(45)【発行日】2017年8月23日
(54)【発明の名称】反射角データを用いた塗装表面のテクスチャ分析
(51)【国際特許分類】
G01N 21/57 20060101AFI20170814BHJP
G01N 21/27 20060101ALI20170814BHJP
【FI】
G01N21/57
G01N21/27 B
【請求項の数】15
【全頁数】12
(21)【出願番号】特願2015-539631(P2015-539631)
(86)(22)【出願日】2013年10月9日
(65)【公表番号】特表2015-536458(P2015-536458A)
(43)【公表日】2015年12月21日
(86)【国際出願番号】US2013064092
(87)【国際公開番号】WO2014066045
(87)【国際公開日】20140501
【審査請求日】2015年6月2日
(31)【優先権主張番号】61/718,729
(32)【優先日】2012年10月26日
(33)【優先権主張国】US
(31)【優先権主張番号】13/832,116
(32)【優先日】2013年3月15日
(33)【優先権主張国】US
【前置審査】
(73)【特許権者】
【識別番号】399074983
【氏名又は名称】ピーピージー・インダストリーズ・オハイオ・インコーポレイテッド
【氏名又は名称原語表記】PPG Industries Ohio,Inc.
(74)【代理人】
【識別番号】100078282
【弁理士】
【氏名又は名称】山本 秀策
(74)【代理人】
【識別番号】100113413
【弁理士】
【氏名又は名称】森下 夏樹
(72)【発明者】
【氏名】ノリス, アリソン エム.
【審査官】
横尾 雅一
(56)【参考文献】
【文献】
特表2008−539439(JP,A)
【文献】
特開平10−310727(JP,A)
【文献】
特開昭60−174932(JP,A)
【文献】
国際公開第2006/096521(WO,A1)
【文献】
米国特許出願公開第2006/0245632(US,A1)
【文献】
欧州特許出願公開第01880196(EP,A1)
【文献】
国際公開第2006/116386(WO,A1)
【文献】
米国特許第06362885(US,B1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01N 21/00−21/61
G01J 3/00− 3/52
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
コンピュータに実装された方法であって、
プロセッサを使用して、表面上の標的コーティングの分光光度測定からスペクトル反射率データを取得することであって、前記測定は、ある反射角において行われる、ことと、
前記プロセッサを使用して、前記表面の光沢コーティングに起因するスペクトル反射率データの少なくとも一部を除去することであって、残りのスペクトル反射率データは、前記標的コーティングの少なくとも1つの効果顔料に起因し、前記スペクトル反射率データの前記少なくとも一部は、光沢コーティングを有する黒色表面の所定のスペクトル反射率データに基づいて除去される、ことと、
前記プロセッサを使用して、前記残りのスペクトル反射率データから少なくとも1つのスペクトル反射率曲線を構築することと、
前記プロセッサを使用して、前記少なくとも1つのスペクトル反射率曲線に少なくとも部分的に基づいて、前記標的コーティングの前記少なくとも1つの効果顔料を識別することと
を含む、方法。
【請求項2】
少なくとも1つの効果顔料を識別することは、前記少なくとも1つのスペクトル反射率曲線の反射率値に基づいて、少なくとも1つの効果顔料を識別することを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記少なくとも1つのスペクトル反射率曲線の反射率値に基づいて、少なくとも1つの効果顔料を識別することは、複数の波長にわたる前記少なくとも1つのスペクトル反射率曲線の最大反射率値に基づいて、少なくとも1つの効果顔料を識別することを含む、請求項2に記載の方法。
【請求項4】
前記少なくとも1つのスペクトル反射率曲線の反射率値に基づいて、少なくとも1つの効果顔料を識別することは、複数の波長にわたる前記少なくとも1つのスペクトル反射率曲線の平均反射率値に基づいて、少なくとも1つの効果顔料を識別することを含む、請求項2に記載の方法。
【請求項5】
前記少なくとも1つのスペクトル反射率曲線の反射率値に基づいて、少なくとも1つの効果顔料を識別することは、前記少なくとも1つのスペクトル反射率曲線の傾きに基づいて、少なくとも1つの効果顔料を識別することを含む、請求項2に記載の方法。
【請求項6】
前記少なくとも1つのスペクトル反射率曲線の反射率値に基づいて、少なくとも1つの効果顔料を識別することは、前記少なくとも1つのスペクトル反射率曲線の形状に基づいて、少なくとも1つの効果顔料を識別することを含む、請求項2に記載の方法。
【請求項7】
前記少なくとも1つのスペクトル反射率曲線に基づいて、三刺激データを計算することをさらに含む、請求項1に記載の方法。
【請求項8】
システムであって、前記システムは、
分光光度計と、
前記分光光度計と通信するように構成されたプロセッサと
を備え、
前記プロセッサは、
表面上の標的コーティングの分光光度測定からスペクトル反射率データを取得することであって、前記測定は、前記分光光度計を使用して、ある反射角において行われる、ことと、
前記表面の光沢コーティングに起因するスペクトル反射率データの少なくとも一部を除去することであって、残りのスペクトル反射率データは、前記標的コーティングの少なくとも1つの効果顔料に起因し、前記スペクトル反射率データの前記少なくとも一部は、光沢コーティングを有する黒色表面の所定のスペクトル反射率データに基づいて除去される、ことと、
前記残りのスペクトル反射率データから少なくとも1つのスペクトル反射率曲線を構築することと、
前記少なくとも1つのスペクトル反射率曲線に少なくとも部分的に基づいて、前記標的コーティングの前記少なくとも1つの効果顔料を識別することと
を行うようにプログラムされている、システム。
【請求項9】
前記プロセッサと通信するデータベースをさらに備える、請求項8に記載のシステム。
【請求項10】
前記分光光度計と通信するユーザインターフェースをさらに備える、請求項8に記載のシステム。
【請求項11】
前記プロセッサは、前記少なくとも1つのスペクトル反射率曲線の反射率値に基づいて、少なくとも1つの効果顔料を識別することによって、前記少なくとも1つの効果顔料を識別するように構成されている、請求項8に記載のシステム。
【請求項12】
装置であって、
表面上の標的コーティングの分光光度測定からスペクトル反射率データを取得するための手段であって、前記測定は、ある反射角において行われる、手段と、
前記表面の光沢コーティングに起因するスペクトル反射率データの少なくとも一部を除去するための手段であって、残りのスペクトル反射率データは、前記標的コーティングの少なくとも1つの効果顔料に起因し、前記スペクトル反射率データの前記少なくとも一部を除去するための手段は、光沢コーティングを有する黒色表面の所定のスペクトル反射率データに基づいて、前記スペクトル反射率データの前記少なくとも一部を除去するように構成されている、手段と、
前記残りのスペクトル反射率データから少なくとも1つのスペクトル反射率曲線を構築するための手段と、
前記少なくとも1つのスペクトル反射率曲線に少なくとも部分的に基づいて、前記標的コーティングの前記少なくとも1つの効果顔料を識別するための手段と、
を備える、装置。
【請求項13】
少なくとも1つの効果顔料を識別するための手段は、前記少なくとも1つのスペクトル反射率曲線の反射率値に基づいて、少なくとも1つの効果顔料を識別するための手段を含む、請求項12に記載の装置。
【請求項14】
非一過性のコンピュータ読み取り可能な媒体であって、
表面上の標的コーティングの分光光度測定からスペクトル反射率データを取得することであって、前記測定は、前記分光光度計を使用して、ある反射角において行われる、ことと、
前記表面の光沢コーティングに起因するスペクトル反射率データの少なくとも一部を除去することであって、残りのスペクトル反射率データは、前記標的コーティングの少なくとも1つの効果顔料に起因し、前記スペクトル反射率データの前記少なくとも一部は、光沢コーティングを有する黒色表面の所定のスペクトル反射率データに基づいて除去される、ことと、
前記残りのスペクトル反射率データから少なくとも1つのスペクトル反射率曲線を構築することと、
前記少なくとも1つのスペクトル反射率曲線に少なくとも部分的に基づいて、前記標的コーティングの前記少なくとも1つの効果顔料を識別することと
をプロセッサに行わせるためのソフトウェアを含む、非一過性のコンピュータ読み取り可能な媒体。
【請求項15】
前記少なくとも1つのスペクトル反射率曲線の反射率値に基づいて、少なくとも1つの効果顔料を識別することを前記プロセッサに行わせるためのソフトウェアをさらに含む、請求項14に記載のコンピュータ読み取り可能な媒体。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
(関連出願の引用)
本願は、2012年10月26日に出願された、米国仮特許出願第61/718,729号に対する優先権を主張するものである。
【0002】
種々の実施形態では、本発明は、概して、分光光度計から読み出された反射角データを使用して、硬化された複合コーティング(例えば、塗料)混合物の物理的特性属性を識別するための方法および装置に関する。
【背景技術】
【0003】
反射角は、分光光度計に関連して、測定されている表面コーティングの法線に基づいて、入射照明光の角度と等しく、かつそれと反対の反射率の角度として定義される。反射角はまた、光沢角度とも称される。一例として、従来の携帯式分光光度計では、反射角は、入射光が、標的の法線に対して45度であって、反射光データが、鏡面から0度で、すなわち、法線から等しくかつ反対の45度、したがって、鏡面自体において収集される場合、「45as0」、すなわち、45非鏡面0と示される。
【0004】
典型的には、反射角データは、その角度におけるデータが、その角度において受信される非常に高い反射率データのため、非常に可変であるという仮定が存在するため、分光光度計データにおいて収集または報告されない。また、計器から受信される非常に高い反射率データのため、反射角の反射率曲線の形状は、常時、サンプルの色またはゴニオクロマチック効果にかかわらず、全てのサンプルに対して同一に見える。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
したがって、反射角データを利用して、標的コーティング混合物中に存在する粒子を特性評価する、システムおよび方法の必要性がある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
種々の実施形態では、本発明は、概して、分光光度計から読み取られた反射角データを使用して、硬化された複合コーティング(例えば、塗料)混合物の物理的特性属性を識別するための方法および装置に関する。
【0007】
種々の実施形態では、本発明は、コンピュータ実装方法を対象とする。本方法は、プロセッサを使用して、表面上の標的コーティングの分光光度測定からスペクトル反射率データを取得するステップであって、測定は、ある反射角において行われる、ステップと、プロセッサを使用して、表面の光沢コーティングに起因する鏡面反射率データの少なくとも一部を除去するステップとを含む。本方法はまた、プロセッサを使用して、少なくとも1つのスペクトル反射率曲線を構築するステップと、プロセッサを使用して、少なくとも部分的に、少なくとも1つのスペクトル反射率曲線に基づいて、標的コーティングの少なくとも1つのタイプの顔料沈着効果を識別するステップとを含む。
【0008】
種々の実施形態では、本発明は、システムを対象とする。本システムは、分光光度計と、分光光度計と通信するように構成される、プロセッサとを含む。本プロセッサは、表面上の標的コーティングの分光光度測定からスペクトル反射率データを取得し、測定は、分光光度計を使用して、ある反射角において行われ、表面の光沢コーティングに起因する鏡面反射率データの少なくとも一部を除去するようにプログラムされる。プロセッサはまた、少なくとも1つのスペクトル反射率曲線を構築し、少なくとも部分的に、少なくとも1つのスペクトル反射率曲線に基づいて、標的コーティングの少なくとも1つのタイプの顔料沈着効果を識別するようにプログラムされる。
【0009】
種々の実施形態では、本発明は、装置を対象とする。本装置は、表面上の標的コーティングの分光光度測定からスペクトル反射率データを取得するための手段であって、測定は、ある反射角において行われる、手段と、表面の光沢コーティングに起因する鏡面反射率データの少なくとも一部を除去するための手段とを含む。本装置はまた、少なくとも1つのスペクトル反射率曲線を構築するための手段と、少なくとも部分的に、少なくとも1つのスペクトル反射率曲線に基づいて、標的コーティングの少なくとも1つのタイプの顔料沈着効果を識別するための手段とを含む。
【0010】
種々の実施形態では、本発明は、非一過性コンピュータ可読媒体であって、プロセッサに、
表面上の標的コーティングの分光光度測定からスペクトル反射率データを取得することであって、測定は、分光光度計を使用して、ある反射角において行われる、ことと、
表面の光沢コーティングに起因する鏡面反射率データの少なくとも一部を除去することと、
少なくとも1つのスペクトル反射率曲線を構築することと、
少なくとも部分的に、少なくとも1つのスペクトル反射率曲線に基づいて、標的コーティングの少なくとも1つのタイプの顔料沈着効果を識別することと
を行わせるためのソフトウェアを含む、非一過性コンピュータ可読媒体を対象とする。
例えば、本願発明は以下の項目を提供する。
(項目1)
コンピュータ実装方法であって、
プロセッサを使用して、表面上の標的コーティングの分光光度測定からスペクトル反射率データを取得するステップであって、前記測定は、ある反射角において行われる、ステップと、
前記プロセッサを使用して、前記表面の光沢コーティングに起因する鏡面反射率データの少なくとも一部を除去するステップと、
前記プロセッサを使用して、少なくとも1つのスペクトル反射率曲線を構築するステップと、
前記プロセッサを使用して、少なくとも部分的に、前記少なくとも1つのスペクトル反射率曲線に基づいて、前記標的コーティングの少なくとも1つのタイプの顔料沈着効果を識別するステップと
を含む、方法。
(項目2)
少なくとも1つのタイプの顔料沈着効果を識別するステップは、前記少なくとも1つのスペクトル反射率曲線の反射率値に基づいて、少なくとも1つのタイプの顔料沈着効果を識別するステップを含む、項目1に記載の方法。
(項目3)
前記少なくとも1つのスペクトル反射率曲線の反射率値に基づいて、少なくとも1つのタイプの顔料沈着効果を識別するステップは、複数の波長にわたる前記少なくとも1つのスペクトル反射率曲線の最大反射率値に基づいて、少なくとも1つのタイプの顔料沈着効果を識別するステップを含む、項目2に記載の方法。
(項目4)
前記少なくとも1つのスペクトル反射率曲線の反射率値に基づいて、少なくとも1つのタイプの顔料沈着効果を識別するステップは、複数の波長にわたる前記少なくとも1つのスペクトル反射率曲線の平均反射率値に基づいて、少なくとも1つのタイプの顔料沈着効果を識別するステップを含む、項目2に記載の方法。
(項目5)
前記少なくとも1つのスペクトル反射率曲線の反射率値に基づいて、少なくとも1つのタイプの顔料沈着効果を識別するステップは、前記少なくとも1つのスペクトル反射率曲線の傾きに基づいて、少なくとも1つのタイプの顔料沈着効果を識別するステップを含む、項目2に記載の方法。
(項目6)
前記少なくとも1つのスペクトル反射率曲線の反射率値に基づいて、少なくとも1つのタイプの顔料沈着効果を識別するステップは、前記少なくとも1つのスペクトル反射率曲線の形状に基づいて、少なくとも1つのタイプの顔料沈着効果を識別するステップを含む、項目2に記載の方法。
(項目7)
前記少なくとも1つのスペクトル反射率曲線に基づいて、三刺激データを計算するステップをさらに含む、項目1に記載の方法。
(項目8)
システムであって、
分光光度計と、
前記分光光度計と通信するように構成されたプロセッサであって、
表面上の標的コーティングの分光光度測定からスペクトル反射率データを取得することであって、前記測定は、前記分光光度計を使用して、ある反射角において行われる、ことと、
前記表面の光沢コーティングに起因する鏡面反射率データの少なくとも一部を除去することと、
少なくとも1つのスペクトル反射率曲線を構築することと、
少なくとも部分的に、前記少なくとも1つのスペクトル反射率曲線に基づいて、前記標的コーティングの少なくとも1つのタイプの顔料沈着効果を識別することと
を行わせるようにプログラムされる、プロセッサと
を備える、システム。
(項目9)
前記プロセッサと通信するデータベースをさらに備える、項目8に記載のシステム。
(項目10)
前記分光光度計と通信するユーザインターフェースをさらに備える、項目8に記載のシステム。
(項目11)
前記プロセッサは、前記少なくとも1つのスペクトル反射率曲線の反射率値に基づいて、少なくとも1つのタイプの顔料沈着効果を識別することによって、前記少なくとも1つのタイプの顔料沈着効果を識別するように構成される、項目8に記載のシステム。
(項目12)
装置であって、
表面上の標的コーティングの分光光度測定からスペクトル反射率データを取得するための手段であって、前記測定は、ある反射角において行われる、手段と、
前記表面の光沢コーティングに起因する鏡面反射率データの少なくとも一部を除去するための手段と、
少なくとも1つのスペクトル反射率曲線を構築するための手段と、
少なくとも部分的に、前記少なくとも1つのスペクトル反射率曲線に基づいて、前記標的コーティングの少なくとも1つのタイプの顔料沈着効果を識別するための手段と、
を備える、装置。
(項目13)
少なくとも1つのタイプの顔料沈着効果を識別するための手段は、前記少なくとも1つのスペクトル反射率曲線の反射率値に基づいて、少なくとも1つのタイプの顔料沈着効果を識別するための手段を含む、項目12に記載の装置。
(項目14)
非一過性コンピュータ可読媒体であって、プロセッサに、
表面上の標的コーティングの分光光度測定からスペクトル反射率データを取得することであって、前記測定は、前記分光光度計を使用して、ある反射角において行われる、ことと、
前記表面の光沢コーティングに起因する鏡面反射率データの少なくとも一部を除去することと、
少なくとも1つのスペクトル反射率曲線を構築することと、
少なくとも部分的に、前記少なくとも1つのスペクトル反射率曲線に基づいて、前記標的コーティングの少なくとも1つのタイプの顔料沈着効果を識別することと
を行わせるためのソフトウェアを含む、非一過性コンピュータ可読媒体。
(項目15)
前記プロセッサに、前記少なくとも1つのスペクトル反射率曲線の反射率値に基づいて、少なくとも1つのタイプの顔料沈着効果を識別させるためのソフトウェアをさらに備える、項目14に記載のコンピュータ可読媒体。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【
図1】
図1は、標的サンプルコーティング混合物中の粒子を識別するためのプロセスの実施形態のフロー図を図示する。
【
図2】
図2−4は、反射角スペクトル反射率曲線の実施形態を図示する。
【
図3】
図2−4は、反射角スペクトル反射率曲線の実施形態を図示する。
【
図4】
図2−4は、反射角スペクトル反射率曲線の実施形態を図示する。
【
図5】
図5は、コーティング効果としてのアルミニウムに関する相関関数のグラフの実施形態を図示する。
【
図6】
図6は、標的サンプルのコーティング混合物の物理的特性属性を識別するために使用され得る、システムの実施形態を図示する。
【発明を実施するための形態】
【0012】
種々の側面では、本発明の実施形態は、標的サンプル上のコーティング組成物中に存在するバルク効果を識別するために使用され得る、分光光度計および方法を含む。本発明の種々の実施形態は、標的サンプルに関する情報を捕捉するためのデバイスと、標的サンプルに類似するテクスチャを有する塗料を生産するために使用され得る、バルク効果を識別するためのプロセッサとを有する、装置を含む。出力デバイスが、バルク効果情報をユーザに伝達するために使用されてもよい。
【0013】
本明細書における説明は、概して、塗料を参照するが、デバイス、システム、および方法は、染料および産業用コーティングを含む、他のタイプのコーティングにも適用されることを理解されたい。本発明の説明される実施形態は、限定と見なされるべきではない。本発明による方法は、衣料およびファッション製品のマッチングまたはコーディネート等の種々の分野で実践されてもよい。
【0014】
本発明の実施形態は、独立型ユニットである、あるいは、例えば、インターネットまたはイントラネット等のネットワークを介して、中央コンピュータと通信する、1つ以上の遠隔端末またはデバイスを含み得る、コンピュータシステムと併用される、もしくはその中に組み込まれてもよい。したがって、コンピュータまたは「プロセッサ」および本明細書に説明される関連構成要素は、ローカルコンピュータシステムまたは遠隔コンピュータあるいはオンラインシステムの一部またはそれらの組み合わせであってもよい。本明細書に説明されるデータベースおよびソフトウェアは、コンピュータ内部メモリまたは非一過性コンピュータ可読媒体内に記憶されてもよい。
【0015】
種々の実施形態では、反射角データが、標的コーティングの組成物を識別するために使用される。未加工(スペクトル反射率)データは、計器から返されるとき、概して、標的コーティング組成物に関する十分な情報を提供せず、したがって、データは、満足のゆく結果を得るために操作され得る。
図1は、分光光度計から取得された反射角データを使用する、プロセスの実施形態の流れ図を図示する。種々の実施形態では、ステップ10において分光光度計から取得された反射角データを利用するために、以下の仮定が、採用され得る。
(i)パネルは、通常、クリアコートの使用のため、光沢(非つや消し)外観である。
(ii)反射角において反射される光の大部分は、表面の光沢またはクリアコートによるものである。
(iii)分光光度計上で測定される光沢ソリッド黒色サンプルは、クリアコートからの光沢の光のみ反射させ、任意の他の光は、黒色コーティングによって100%吸収される。
【0016】
本発明の実施形態は、反射角からの未加工スペクトル反射率データを特有の使用可能情報に変換する。結果として生じる情報は、修正されたスペクトル反射率曲線をもたらす(すなわち、曲線は、光沢による鏡面反射率を除去することによって修正または処理され、したがって、「光沢除去」曲線である)。スペクトル反射率曲線は、効果識別目的のために、そのままで使用されることができ、かつ分析目的のために、三刺激および他の比色データならびに情報を計算するために使用されてもよい。
【0017】
図1のプロセスは、ステップ12に進み、そこで、フィルタが、鏡面スペクトル反射率データに適用される。光沢黒色表面の静的標準測定を使用することによって、前述の仮定は、反射角のみにおいて測定された反射率に関して呼び出される。一例として、光沢黒色表面は、不透明になるまでコーティングされ、次いで、クリアな光沢トップコートまたは研磨された黒色ガラスのサンプルでコーティングされる、ソリッド黒色塗料であってもよい。クリアコートは、標的コーティング上で使用されるものに一致することが望ましい。種々の実施形態では、クリアコートが、標的コーティング上で使用されるクリアコートに一致しない、またはクリアコートが、不明である場合、研磨された黒色ガラスが、使用されてもよく、またはプロセスは、複数の光沢黒色標準測定を使用して、最も近似する整合結果の平均を選定することによって完了されてもよい。標的コーティングに関する反射角反射率データもまた、測定される。「光沢のみの」鏡面反射率は、次いで、以下の式(1)に示されるように、標的コーティングの鏡面反射率から減算される
(1)R
t(w)−R
s(w)
【0018】
式中、R
tは、所与の波長wにおける標的コーティングの鏡面スペクトル反射率であって、R
sは、所与の波長wにおける標準黒色測定の鏡面スペクトル反射率である。残りの結果として生じるスペクトル反射率曲線は、ここで、「光沢」成分を除去することになる。種々の実施形態では、光沢成分の減算は、具体的波長または全波長に重み係数を使用することによって完了されてもよい。
【0019】
図1のステップ14における反射角に関する結果として生じる「光沢除去」スペクトル反射率曲線のプロットの検査は、ステップ16における標的コーティング中に含有される顔料のタイプの分類を可能にする。「光沢除去」スペクトル反射率曲線の評価は、全波長にわたる「光沢除去」反射率の最大および平均振幅ならびに反射角スペクトル反射率曲線全体の全体的形状および/または傾きの理解を含んでもよい。
【0020】
全ての測定された波長にわたる反射率の最大および平均振幅は、標的コーティング中に含有される顔料沈着のタイプのインジケータである。約1以下の最大および/または平均振幅を伴う反射角スペクトル反射率曲線は、標的コーティング中に分散顔料のみの高確率を示し、
図2に図示されるように、標的コーティングが、アルミニウムまたはパール等のゴニオ外観性顔料を含まないことを意味する。1を大きく上回る最大および/または平均振幅を伴う反射角スペクトル反射率曲線は、
図3に図示されるように、ゴニオ外観性顔料の使用の高確率を示すであろう。さらに、2に近い最大および/または平均振幅は、アルミニウムタイプ顔料の使用の高確率を示す一方、3に近いまたはそれを大きく上回る最大および/または平均振幅は、
図4に図示されるように、パールタイプ顔料の使用の高確率を示す。
図2、3、および4は全て、基調色の単一顔料色の実施例である。
【0021】
反射角スペクトル反射率曲線全体の全体的形状および/または傾きはまた、標的コーティングの特性を示す。1未満の最大および/または平均振幅では、反射角スペクトル反射率曲線は、標準Kulbelka Munk理論とともに使用され、どの分散顔料が、スペクトル曲線に一致するための濃度で使用され得るかを定義してもよい。1を上回る最大および/または平均振幅では、反射率曲線全体の形状は、標的コーティング中の主要パールまたはアルミニウム薄片の色を示す。任意の比較的に直線の反射率曲線の傾きは、標的コーティング中の主要ゴニオ外観性顔料の薄片サイズに相関され得る。
【0022】
処理された鏡面スペクトル反射率データは、複合コーティング混合物中の主要薄片タイプを識別するために、公知の特性に経験的に相関されてもよい。総和、平均、標準偏差等の統計データが、処理された鏡面スペクトル反射率から計算されてもよく、または新しい比色情報が、処理された鏡面スペクトル反射率データから計算されてもよい。新しいデータ点は、次いで、日々の状況において取り扱われる必要があるであろう、予期される混合物および色を表す、経験的データセットから計算される。
図1のステップ18では、経験的データセットは、予測相関:y=f(x)を作成するために使用され、yは、識別のための所望の特性を表し(すなわち、主要薄片タイプは、ソリッド、パール、またはアルミニウムである)、f(x)は、xのある関数であって、式中、xは、処理された鏡面スペクトル反射率からの統計データまたは処理された鏡面スペクトル反射率からの新しく計算された比色情報を使用する、1つまたは複数の変数である。結果として生じる関数は、経験的データセットによって定義されるように、線形または非線形であり得る。
【0023】
また、処理された鏡面スペクトル反射率データは、2013年3月15日出願の米国特許出願第13/832,088号「Multi−Angular Color, Opacity, Pigment Characterization, and Texture Analysis of a Painted Surface Via Visual And/Or Instrumental Techniques」に説明され、参照することによって本明細書に組み込まれる、他の角スペクトルデータと比較されてもよい。
【0024】
主要効果薄片の大まかな平均粒子サイズは、反射角におけるデータから判定され得る。予測は、アルミニウム薄片に有用であり得、相関は、基調色アルミニウム状況において達成され得る。しかしながら、いったん一般的薄片タイプが、本明細書に説明されるプロセスの実施形態を使用して識別されると、任意の薄片タイプが、反射角からのデータからのデータを使用して、薄片サイズに相関されてもよい。
【0025】
一般的薄片サイズを識別するために、経験的データセットが、鏡面データと薄片サイズとの間の相関を作成するために採用されてもよい。経験的データセットは、色空間ならびに薄片タイプの両方において変動されてもよく、主要薄片タイプによってセグメント化されてもよい。データセットまたはセグメント化されたデータセット内のデータ点毎の薄片サイズ情報は、固定される。これは、いくつかの方法のうちの1つにおいて達成されることができる。一例として、方法の実施形態は、(i)「微細」、「中間」、または「粗い」等の定質的カテゴリデータの使用、(ii)D10、D50、D90等の定量的連続数値データの使用、または(iii)ランク付けされた薄片サイズ集合等の定量的または定質的順序データの使用(スケールの片側は、小薄片サイズを示し、大薄片サイズを示す、スケールの他側へと徐々に増加する)を含む。データセット内のデータ点毎に、薄片サイズは、コーティング中の主要薄片に起因する。次いで、反射角スペクトル反射率データは、データ点毎に単一結果に統計的に集約されてもよい。一実施形態では、全波長にわたる単純和が、以下の式(2)の通りに使用される。
(2)Σ
w=400−700R(w)
【0026】
データセット内のデータ点毎の複数のデータ結果を使用することによって、相関が、達成されることができ、すなわち、y=f(x)であって、薄片サイズ(y)は、反射角(x)からのデータの関数である。相関は、非線形であり得るが、しかしながら、種々の実施形態では、データ点を過剰適合させないことが望ましくあり得る。種々の実施形態では、相関のR
2は、角比色データ、最大処理鏡面スペクトル反射率等の付加的既知の変数を含むことによって改善されてもよい。プロセスは、主要薄片タイプあたりの相関が存在するまで、オリジナルデータセットのセグメント化されたセット毎に繰り返されてもよい。種々の実施形態では、相関は、相互に重複または類似し、したがって、所望に応じて、相関間の補間を可能にし得る。アルミニウムに関する結果として生じる相関の実施例は、
図5に図示される。
【0027】
いったん経験的データセットが、
図1のステップ20において、種々の実施形態における相関を判定すると、新しい式が、既知/識別された主要薄片タイプを用いて、未知のコーティングから収集されたデータに適用される。本情報は、未知のコーティングに関する単一結果反射角スペクトル反射率データ点を計算し、それを代入することによって、y=f(x)相関における変数として、相関に関する任意の他の必要情報とともに得られる。結果として生じる薄片サイズyは、オリジナルの経験的データセットから導出されるものと同一の形式で返される。
【0028】
種々の実施形態では、ヒュームドシリカ等の薄片配向改変成分の効果を理解するために、類似アプローチが、とられてもよく、経験的データセットは、薄片配向改変成分を含有するか、または含有しないか、ならびに調合全体中の含有率に関して分割される。
【0029】
図6は、標的サンプルのコーティング混合物の物理的特性属性を識別するために使用され得る、システム90の実施形態を図示する。ユーザ92が、標的サンプル98の特性を測定するために、グラフィカルユーザインターフェース等のユーザインターフェース94を利用し、分光光度計96を動作させてもよい。分光光度計96からのデータは、パーソナルコンピュータ、モバイルデバイス、または任意のタイプのプロセッサ等のコンピュータ100に転送されてもよい。コンピュータ100は、ネットワーク102を介して、サーバ104と通信してもよい。ネットワーク102は、インターネット、ローカルエリアネットワーク、イントラネット、またはワイヤレスネットワーク等の任意のタイプのネットワークであってもよい。サーバ104は、比較目的のために、本発明の実施形態の方法によって使用されるデータおよび情報を記憶し得るデータベース106と通信する。本発明の実施形態の方法の種々のステップは、コンピュータ100および/またはサーバ106によって行われてもよい。
【0030】
別の側面では、本発明は、コンピュータまたはコンピュータシステムに、上記で説明された方法を行わせるためのソフトウェアを含有する非一過性コンピュータ読取可能媒体として実施されてもよい。ソフトウェアは、プロセッサおよびユーザインターフェースが、本明細書で説明された方法を行うことを可能にするために使用される種々のモジュールを含むことができる。
【0031】
修正が、前述の説明で開示された概念から逸脱せずに、本発明に対して行われ得ることは、当業者によって容易に認識されるであろう。そのような修正は、請求項が、その用語によって、別様に明示的に記載されない限り、以下の請求項の範囲内に含まれると見なされるものとする。したがって、本明細書に詳細に説明される特定の実施形態は、例証にすぎず、本発明の範囲の限定ではなく、添付の請求項およびそのあらゆる均等物の全範囲が与えられるものとする。