特許第6185082号(P6185082)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6185082ディスプレイパネルのための直下型バックライトの拡散
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6185082
(24)【登録日】2017年8月4日
(45)【発行日】2017年8月23日
(54)【発明の名称】ディスプレイパネルのための直下型バックライトの拡散
(51)【国際特許分類】
   F21S 2/00 20160101AFI20170814BHJP
   G06F 3/041 20060101ALI20170814BHJP
   G02F 1/13357 20060101ALI20170814BHJP
   F21Y 115/10 20160101ALN20170814BHJP
【FI】
   F21S2/00 415
   F21S2/00 413
   G06F3/041 495
   G02F1/13357
   F21Y115:10
【請求項の数】20
【全頁数】14
(21)【出願番号】特願2015-552115(P2015-552115)
(86)(22)【出願日】2013年1月11日
(65)【公表番号】特表2016-510481(P2016-510481A)
(43)【公表日】2016年4月7日
(86)【国際出願番号】FI2013050029
(87)【国際公開番号】WO2014108595
(87)【国際公開日】20140717
【審査請求日】2015年11月30日
(73)【特許権者】
【識別番号】514045566
【氏名又は名称】マルチタッチ オーユー
【氏名又は名称原語表記】MULTITOUCH OY
(74)【代理人】
【識別番号】100127188
【弁理士】
【氏名又は名称】川守田 光紀
(72)【発明者】
【氏名】イルモネン トンミ
(72)【発明者】
【氏名】ヒュヴァリネン ヘイッキ
【審査官】 石井 孝明
(56)【参考文献】
【文献】 再公表特許第2010/113361(JP,A1)
【文献】 特開2011−039122(JP,A)
【文献】 特開2007−311070(JP,A)
【文献】 特開2009−175597(JP,A)
【文献】 特開2012−094486(JP,A)
【文献】 特表2010−541154(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F21S 2/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ライトガイドであって、
バックライト光を受け取る入力面と、受け取ったバックライト光を放射する出力面との2つの対向する面を備える導光板を備え、
前記導光板は、複数のバックライト光源の各々のために、
・ 前記バックライト光源の一つの位置に合わせて配されるインカップリング構造であって、前記入力面を通るバックライト光を受け取り、受け取ったバックライト光のほとんどを前記導光板内へと拡散させるインカップリング構造と、
・ 前記受け取ったバックライト光の放射のために、前記拡散させられたバックライト光のほとんどを前記出力面を通るように導くアウトカップリング構造と、
を備え、
前記インカップリング構造は、前記入力面及び前記出力面の少なくとも一方に、少なくとも一つの貫入部又は突出部を有し、
前記アウトカップリング構造も、前記入力面及び前記出力面の少なくとも一方に、少なくとも一つの貫入部又は突出部を有し、
前記インカップリング構造はインカップリング格子を備え、前記インカップリング格子は、前記入力面上に、前記受け取ったバックライト光を前記出力面の方へ収束させるように構成される形状を有し、
前記インカップリング構造は、拡散反射要素によって、前記収束させられたバックライト光を前記導光板の中で反射させることにより拡散させるように構成される、
ライトガイド。
【請求項2】
前記インカップリング格子は微小スケールの格子を含む、請求項1に記載のライトガイド。
【請求項3】
前記インカップリング格子はいくつかの形状及び大きさを有し、そのうちの少なくとも一つは、前記ライトガイドが複数のバックライト光源からの光を受け取るようにされている場合に、前記インカップリング構造とそれに対応する位置にあるバックライト光源との距離に応じた形状及び大きさである、請求項1に記載のライトガイド。
【請求項4】
前記インカップリング格子は、収束型またはポジティブ型のフレネルレンズを形成するように構成される、請求項1に記載のライトガイド。
【請求項5】
前記出力面に拡散反射要素が形成される、請求項1に記載のライトガイド。
【請求項6】
前記拡散反射要素は微小スケールの形状を有する、請求項5に記載のライトガイド。
【請求項7】
前記インカップリング構造に位置を合わせて配される反射材を前記出力面上に有する、請求項1から6のいずれかに記載のライトガイド。
【請求項8】
前記反射材は不透明層を形成するようにされる、請求項7記載のライトガイド。
【請求項9】
前記拡散反射要素の部位にダークスポットが生じることを防ぐために、前記反射材は、受け取ったバックライト光の一部を通過させるように構成される透明な層を形成するようにされる、請求項7に記載のライトガイド。
【請求項10】
前記アウトカップリング構造はアウトカップリング格子を有する、請求項1から6のいずれかに記載のライトガイド。
【請求項11】
前記アウトカップリング格子はいくつかの形状及び大きさを有し、そのうちの少なくとも一つは、前記ライトガイドが複数のバックライト光源からの光を受け取るようにされている場合に、前記アウトカップリング構造とそれに対応する位置にあるバックライト光源との距離に応じた形状及び大きさである、請求項10に記載のライトガイド。
【請求項12】
前記アウトカップリング格子は、前記受け取ったバックライト光を拡散させるように構成される、発散型のフレネルレンズを形成するように構成される、請求項10に記載のライトガイド。
【請求項13】
前記アウトカップリング構造は、前記出力面上に形成された拡散反射要素を有する、請求項1から6のいずれかに記載のライトガイド。
【請求項14】
前記拡散屈折要素は、前記入力面における円錐形の窪みの形状を有する、請求項13に記載のライトガイド。
【請求項15】
請求項1から14のいずれかに記載のライトガイドと、複数のバックライト光源とを備える、タッチ検出装置。
【請求項16】
前記バックライト光源が白色発光ダイオードである、請求項15に記載のタッチ検出装置。
【請求項17】
前記バックライト光源が前記ライトガイドに取り付けられる、請求項15又は16に記載のタッチ検出装置。
【請求項18】
請求項15から17のいずれかに記載のタッチ検出装置と、表示スクリーンとを備える、タッチスクリーンデバイス。
【請求項19】
拡散層と筐体とを備え、前記筐体の中に、前記表示スクリーン、前記拡散層、ライトガイドが、直接的に、または介在部品を介して間接的に支持される、請求項18に記載のタッチスクリーンデバイス。
【請求項20】
テレビ受像機、コンピュータディスプレイ、情報スクリーンのいずれかである、請求項18又は19に記載のタッチスクリーンデバイス。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、一般的には、ディスプレイパネルのための直下型バックライトの拡散に関する。より具体的には、本発明は、光を散乱させるライトガイドに関し、また、光を散乱させるライトガイドと、それと空隙より隔てられた拡散層との組み合わせにより、ディスプレイパネルの直下型バックライトの拡散を行うことに関する。ただし、これらにのみ関連するわけではない。
【背景技術】
【0002】
液晶ディスプレイ(LCD)のようなディスプレイパネル技術は、バックライトを必要とする。コンピュータ用モニタやテレビ受像機のような大きなスクリーンのバックライトは、通常、発光ダイオード(LED)のような光源を、透明なプラスチックで作られた比較的薄い平面状のライトガイドの周りに配することにより、構成される。ライトガイド板は、その表面を通じて、LCDに向かう光を散乱させる。光はさらに、光を拡散させるプリズム箔を重ねた構造によって、さらに拡散される。この技術は非常によく用いられており、LCDの光を極めて均一にすることができる。しかし、LEDから照射される光のかなりの部分が、LEDとLCDとの間における何回もの反射や屈折によって失われてしまう。このため、LEDの光はなるべく強いことが求められることになり、多くの熱を発生させる結果となる。この熱は、LCD装置の多くの部品の老朽化を早めることになる。照射される光の強さが失われることは、消費電力を増やし、バッテリーにより駆動される機器のバッテリーの寿命を減らしてしまう。
【0003】
KR20100138064(A)は、平面照射型のバックライトユニットと、点光源を利用したランプとを開示している。US2008123350(A1)は、ライトガイドユニットとバックライトユニットと、ライトガイドユニットを使ったディスプレイ装置とを開示している。US2010238686(A1)は、半反射部品を用いた、リサイクル式のバックライトを開示している。US2008231772(A1)は、フラットパネルディスプレイ及びその製造方法を開示している。US2009284956(A1)は、ライトガイド部品、当該ライトガイド部品を使った平面光源、及びディスプレイ装置を開示している。US2009086508(A1)は、小型の側面発光LEDを使った薄型のバックライトを開示している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】KR20100138064(A)
【特許文献2】US2008123350(A1)
【特許文献3】US2010238686(A1)
【特許文献4】US2008231772(A1)
【特許文献5】US2009284956(A1)
【特許文献6】US2009086508(A1)
【摘要】
【0005】
本発明の第1の態様によれば、次のライトガイドが提供される。このライトガイドは、バックライト光を受け取る入力面と、受け取ったバックライト光を放射する出力面との2つの対向する面を備える導光板を備える。
【0006】
前記導光板は、複数のバックライト光源の各々のために、次の要素を備える。
・ 前記バックライト光源の一つの位置に合わせて配されるインカップリング構造であって、前記入力面を通るバックライト光を受け取り、受け取ったバックライト光のほとんどを前記導光板内へと拡散させるインカップリング構造。
・ 前記受け取ったバックライト光の放射のために、前記拡散させられたバックライト光のほとんどを前記出力面を通るように導くアウトカップリング構造。
【0007】
前記インカップリング構造は、前記入力面及び前記出力面の少なくとも一方に、少なくとも一つの貫入部又は突出部を有する。また、前記アウトカップリング構造も、前記入力面及び前記出力面の少なくとも一方に、少なくとも一つの貫入部又は突出部を有する。
【0008】
前記インカップリング構造はインカップリング格子を備えてもよい。前記インカップリング格子は、前記入力面上に、前記受け取ったバックライト光を前記出力面の方へ収束させるように構成される形状を有してもよい。
【0009】
前記インカップリング構造は、拡散反射要素によって、前記収束させられたバックライト光を前記導光板の中で反射させることにより拡散させるように構成されてもよい。
【0010】
前記インカップリング格子は微小スケールのものであってもよい。前記インカップリング格子は回折格子であってもよい。前記回折格子は前記バックライト光源と中心が合っていてもよく、また前記バックライト光源に対して放射状に設けられてもよい。
【0011】
前記ライトガイドが複数のバックライト光源からの光を受け取るようにされている場合、前記インカップリング格子は、前記インカップリング構造とそれに対応するバックライト光源との距離に応じて、いくつかの形状や大きさを有してもよい。
【0012】
前記インカップリング構造は、収束型またはポジティブ型のフレネルレンズを形成するようなインカップリング格子を備えてもよい。
【0013】
前記拡散反射要素は微小スケールの形状を有してもよい。前記拡散反射要素は、前記出力面における円錐形の窪みの形状を有してもよい。別の実施形態では、前記拡散反射要素は、収束型のフレネルレンズを備えてもよい。
【0014】
前記拡散反射要素は、前記反射面に反射材を備えてもよい。
【0015】
前記反射材は不透明層を形成するように配されてもよい。または、前記反射材は、受け取ったバックライト光の一部を通過させるように構成される透明な層を形成するように配されてもよい。これは、拡散反射要素の部位にダークスポットが生じることを防ぐためである。
【0016】
前記反射材は、銀、二酸化チタン、アルミニウム、紙の少なくともいずれかを含んでもよい。
【0017】
前記拡散反射要素は積層薄膜により形成されてもよい。
【0018】
前記アウトカップリング構造は、アウトカップリング格子を備えてもよい。
【0019】
前記ライトガイドが複数のバックライト光源からの光を受け取るようにされている場合、前記アウトカップリング格子は、前記アウトカップリング構造とそれに対応するバックライト光源との距離に応じて、いくつかの形状や大きさを有してもよい。別の例では、前記格子は、一定の形状を有してもよく、または、複数の異なる角度や、複数の異なる溝密度を有してもよい。
【0020】
前記アウトカップリング格子は、前記受け取ったバックライト光を拡散させるように構成される、発散型のフレネルレンズを形成するように構成されてもよい。
【0021】
前記インカップリング格子は、前記出力面及び前記入力面の一方にのみ設けられる場合もあり、また、両方に設けられる場合もある。
【0022】
前記インカップリング格子が前記出力面及び前記入力面の両方に設けられる場合、前記インカップリング格子は、前記入力面上に形成される拡散反射要素を備えてもよい。
【0023】
前記拡散反射要素は、前記反射面に反射材を備えてもよい。
【0024】
前記アウトカップリング構造は、前記出力面上に形成された拡散屈折要素を備えてもよい。
【0025】
前記拡散屈折要素は、前記入力面における円錐形の窪みの形状を有してもよい。
【0026】
前記導光板の厚さは、平均で0.5〜10mmであってもよい。前記導光板の厚さは、平均で0.5〜2.0mmであってもよい。
【0027】
前記導光板は、規則正しく配される複数のバックライト光源のために設けられてもよい。隣接するバックライト光源の間隔は2cmから5cmであってもよい。隣接するバックライト光源の間隔は、少なくとも2.5cmであってもよい。隣接するバックライト光源の間隔は、最大で4cmであってもよい。
【0028】
前記ライトガイドが表示スクリーンのためのバックライト光を提供するようにインストールされる場合、前記導光板は透明なウィンドウを提供するように構成されてもよく、この透明なウィンドウによって、前記表示スクリーンを通じて赤外線カメラが赤外イメージを撮影できるようにされてもよい。前記透明なウィンドウは、前記赤外線カメラの視野に対応する、実質的に一様で滑らかな入力面及び出力面を有してもよい。別の例では、前記ライトガイドは、赤外線カメラが内部に突き出るような孔を備えてもよい。別の例では、前記ライトガイドはやはり孔を備え、その孔を通じて赤外線カメラが赤外光を受け取るようにされてもよい。実施形態によっては、前記ライトガイドは、その出力面上に赤外線カメラを設置するための、マーカー等の取り付け位置表示を有してもよい。前記ライトガイドは、赤外線カメラをその出力面上に取り付けるために、ネジやスタッドボルト、リベット等の固定具を有してもよい。
【0029】
本発明の第2の態様によれば、前記第1の態様のライトガイドと、複数のバックライト光源とを備えるタッチ検出装置が提供される。
【0030】
前記バックライト光源は、白色の発光ダイオードであってもよい。
【0031】
前記バックライト光源は、前記ライトガイドに取り付けられてもよい。実施形態によっては、前記タッチ検出装置は、前記バックライト光源と前記ライトガイドとを結合するように構成される支持構造を備えてもよい。
【0032】
前記タッチ検出装置は赤外線カメラを備えていてもよい。前記赤外線カメラは前記ライトガイドに直接取り付けられてもよい。別の例では、前記赤外線カメラは前記ライトガイドに間接的に取り付けられてもよい。前記赤外線カメラは前記ライトガイドに、支持構造を介して間接的に取り付けられてもよい。
【0033】
本発明の第3の態様によれば、前記第2の態様のタッチ検出装置と、表示スクリーンとを備えるタッチスクリーンデバイスが提供される。
【0034】
前記タッチスクリーンデバイスは、さらに筐体を備えてもよい。この筐体の中に、前記表示スクリーンや拡散層、ライトガイドが(直接的、または介在部品を介して間接的に)支持される。
【0035】
前記タッチスクリーンデバイスはさらに、一つ又は複数の赤外線カメラを備えてもよい。これらの赤外線カメラは、光学タッチ検出のために、表示スクリーンの少なくとも一部の赤外イメージを撮影するように構成される。
【0036】
前記タッチスクリーンデバイスは更に、前記赤外線カメラにより撮影された赤外イメージを受け取り、それに応じて前記表示スクリーンに接触しているオブジェクトの光学タッチ検出を行うように構成される処理ユニットを備えてもよい。
【0037】
前記タッチスクリーンデバイスはさらに、前記光学タッチ検出を支援するために、表示スクリーンを赤外光で照らすように構成される、一つ又は複数の赤外光源を備えてもよい。
【0038】
前記タッチスクリーンデバイスは、テレビ受像機、コンピュータディスプレイ、情報スクリーンのいずれかとして構成されてもよい。
【0039】
本発明の具現化の非限定的ないくつかの例を示してきたが、これらの例は、本発明の実施において利用される可能性のある特徴やステップを、いくつか選択して説明したものに過ぎない。いくつかの具現化形態は、本発明の例示的な側面のあるものを参照してのみ示されるかもしれない。特定の特徴は、他の例示的形態にも適用可能であることを理解すべきである。
【図面の簡単な説明】
【0040】
以下、本発明のいくつかの実施形態を、添付の図面を参照して説明する。
図1】本発明のある実施形態に従うタッチスクリーンデバイスの概略を示す図である。
図2図1のタッチスクリーンデバイスを上から見た図である。ただし拡散層を除いてある。
図3】ライトガイド本体の一部を示した図である。様々なインカップリング格子構造が存在することが描かれている。
図4】ライトガイド本体の一部を示した図である。フレネル型のネガティブレンズ又は発散レンズを有している。
図5】インカップリング構造の更なる別の例である。
図6】ライトガイド本体の出力面に形成されたインカップリング格子構成を描いたものである。
図7】タッチスクリーンデバイスの一部を、信号処理の観点から描いたブロック図である。
【詳細説明】
【0041】
以下の説明において、似たような符号は似たような要素を表す。
【0042】
図1は、本発明のある実施形態に従うタッチスクリーンデバイス100の概略を示す図である。本発明の実施形態のいくつかの例示的な特徴を説明するために、次の主要部分が示されている。
・ 筐体110。側面及び背面を有し、またタッチ層115を有する。
・ 複数のバックライト光源120
・ ライトガイド本体130。バックライト光源120へ向いた入力面132と、その反対側の出力面134を有する。また、複数のインカップリング構造140と、複数のアウトカップリング構造150とを備える。
・ 拡散層160。
・ 拡散層支持ピン162。複数設けられる。
・ 表示スクリーン170。
・ 複数の赤外光源180
・ 複数の赤外線カメラ190
【0043】
図1において、インカップリング構造140は入力面132にしか設けられておらず、アウトカップリング構造150は出力面134にしか設けられていない。しかし、実施形態によっては、インカップリング構造140やアウトカップリング構造150は、入力面132と出力面134のいずれか一方にのみ設けられていてもよいし、両方に設けられていてもよい。
【0044】
なお、符号の引き出し線は要素一つにしか引かれていない。これは、図面が見にくくなることを防ぐためである。各要素を識別しやすくするように、各要素をパターンを用いて塗っている。また、図1が断面図ではないことは注意すべきである。様々な異なる要素、例えば赤外光源180や赤外線カメラ190、支持ピン162は、同一平面上に位置している必要はない。図1が断面図であると理解すると、同一平面上に位置しているように理解するかもしれないが、必ずしもそうである必要はない。しかしながら、これらの要素は、対角線に沿った断面上に位置している場合がある。
【0045】
筐体110は、例えば、プラスチックや金属、ガラス、木材、カーボンファイバー、グラスファイバー等の材料で作られる。タッチ層115は透明性を有する材料で作られる。例えば透明又は半透明のガラス、アクリル版のようなプラスチック、ポリカーボネード、エポキシ等で作られてもよく、これらの組み合わせによって作られてもよい。
【0046】
バックライト光源120は、例えば、発光ダイオード(LED)や有機LED(OLED)、白熱灯等を有してもよい。
【0047】
ライトガイド本体130は透明性を有する材料を使って作られる。例えば透明又は半透明のガラス、アクリル版のようなプラスチック、ポリカーボネード、エポキシ等で作られてもよく、これらの組み合わせによって作られてもよい。ライトガイド本体は、微細な構造を有するものの、その厚さは実質的に一様であってよい。
【0048】
図1において、ライトガイド本体130は平らな板である。ライトガイド本体130は、例えば、平均の厚さが0.5mmから2mmの間のものであることができる。
【0049】
図1において、インカップリング構造140及びアウトカップリング構造150は、ライトガイド本体130に一体化される。例えば、インカップリング構造140及び/又はアウトカップリング構造150は、ライトガイド本体130に接着されたり、ライトガイド本体130を溶かして形成されたりすることにより、ライトガイド本体130に一体化されてもよい。ライトガイド本体130が型を用いて成型により形成される別の例では、インカップリング構造140及び/又はアウトカップリング構造150も、(おそらくその他の要素と共に、)一緒に成型により形成されてもよい。インカップリング構造140(及び/又はアウトカップリング構造150)がライトガイド本体130の表面に取り付けられるような例では、これらの構造は、ライトガイド本体130とは異なる材質で作られたものであってもよい。しかし多くの場合、インカップリング構造140及びアウトカップリング構造150は、ライトガイド本体130に関して前に述べたような、透明又は半透明の材質で作られている。
【0050】
図1において、各インカップリング構造140は、それぞれバックライト光源120と位置が合うようにされている。図1において、インカップリング構造140は、横方向においてバックライト光源120と中心が合うような領域を形成している。そして、バックライト光源120からのバックライト光のほとんどを受け取って出力し、これをライトガイド本体130の中で横方向に伝搬させる。インカップリング構造140は、ライトガイド本体の側面をカバーするように設けられてもよく、その面積は、入力面132のうち照らされる領域の、例えば70%から1000%であってもよい。なお典型的には80%から200%である。すなわち、インカップリング構造140は、照らされる領域(バックライト光の90%以上を受け取る領域)よりも少し広い範囲をカバーするように設けられてもよい。インカップリング構造の遮光性が高く、インカップリング構造から漏れ出るバックライト光の量が少ない場合、表示スクリーン上に暗領域が形成される場合がある。そこで、照らされる入力面132のうち少しの部分を、インカップリング構造140でカバーされないように残しておくと、表示スクリーン170へ漏れ出るバックライトを増やすことができる。このようにすると、インカップリング構造により形成される可能性のある暗領域が生じることを防ぐことができる。
【0051】
一方、インカップリング構造の遮光性が低い場合は、出力面134(又はその部分のうち、インカップリング構造の位置に対応する部分)を、反射材又は光を吸収する材料で覆ってしまってもよい。そのような材料としては、金属粒子や金属箔、紙、淡色のプラスチック、インク、煤、粘着テープなどがある。反射材によるカバーは、バックライト光を光源120から表示スクリーン170へと導く事の効率を上げるという効果をもたらす。また、光を吸収する材料によるカバーは、安価であるという利点を有し、特に、少しだけシャドーを付けなければならないような場合は有利である。
【0052】
インカップリング構造140は、通常、屈折部、回折部、反射部、及びこれらが組み合わされた部分の少なくともいずれかを有する。アウトカップリング構造150もまた、通常、屈折部、回折部、反射部、及びこれらが組み合わされた部分の少なくともいずれかを有する。
【0053】
拡散層160は、例えば、多くのLCDテレビに用いられている拡散スクリーンであることができる。
【0054】
表示スクリーン170は、一つ又は複数のLCDスクリーンを含むことができる。ある例示的実施形態においては、表示スクリーン170は、隣合うように並べられた複数のLCDスクリーンであることができる。ある例においては、これら複数のLCDスクリーンは、その端部が隣接するLCDスクリーンの端部に僅かに重なり合うように配される。これは、LCDスクリーン間の隙間を減少させるためである。
【0055】
赤外光源180は、例えば、赤外LEDや赤外ハロゲンランプ、赤外電球であることができる。ある実施形態においては、赤外光源及びバックライト光源は同じ光源から成る。そのような光源は、白色光を生成することができると共に、タッチスクリーンデバイスに接触するオブジェクトを赤外線カメラ190が検出できるように当該オブジェクトを照らすに十分な光量の赤外線を生成することができる。
【0056】
赤外線カメラ190は小型の赤外線カメラであることができる。搭載される個数や所望のタッチ検出精度、検出されるべき接触オブジェクトのサイズに応じて、数10〜数百万画素の解像度を有するものが使用される。これらのカメラは、例えば、矩形格子又は六角格子上に50mm〜150mmの間隔で配されてもよい。カメラの解像度は、例えば、40×40ピクセル〜200×200ピクセルであることができる。カメラのフレームレートは、例えば、毎秒60フレーム〜300フレームであることができる。これらのカメラは、例えば、Aptina MT9V034C12STMのようなタイプのものであることができる。
【0057】
赤外線カメラは、例えば、モノクロ又はカラーのCMOSやCCDカメラと、赤外線透過フィルタを使って作成することができる。赤外線透過フィルタは、シート部品であってもよいし、カメラのレンズに一体化されてもよい。後者の場合、例えばコーティング剤のような材料によって赤外線透過フィルタが形成されてもよい。
【0058】
図2は、タッチスクリーンデバイス100を上から見た図である。ただし、ライトガイド本体130の構造が見えるように、拡散層170を除いてある。図2において、アウトカップリング構造150は、単純な実施形態の一例として、矩形で描かれている。矩形のアウトカップリング構造は、非常に容易に形成することができる。実施形態によっては、環状のアウトカップリング構造が使用されることもあり、そのようなアウトカップリング構造は、例えば、インカップリング構造140と同軸に配される。
【0059】
ライトガイド領域には、バックライト光源120及び(例としてそれと同軸に配された)インカップリング構造140が設けられている。また、バックライト光を、表示スクリーン(図1参照)の方へなるべく一様に広げていくように作られるアウトカップリング構造も設けられる。
【0060】
赤外線カメラ190は複数設けられる。これらの赤外線カメラ190の視野は、全体として、表示スクリーンの全部をカバーする。また、カバーしうるようにこれらの赤外線カメラが配される。図2の実施形態においては、赤外光源180は、アウトカップリング構造が存在する領域において、ほぼ等間隔に配されている。これは、赤外光が表示スクリーンに一様に拡散していくようにするためである。
【0061】
図2には、支持ピン162が二つだけ描かれている。支持ピン162は、バックライト光や赤外線カメラ190の邪魔にならないような位置に配される。また、支持ピン162の配置間隔は、それらが支持する拡散層の機械的性質を越えないようにされる。
【0062】
支持ピン162は、ライトガイド本体を所定の位置に固定するためにも使用されてもよい。例えば、支持ピン162は、筐体110の背面に固定されてもよい。ライトガイド本体130には、支持ピンを通す孔が設けられてもよい。この孔は、ライトガイド本体130が支持ピン162に沿って動くことを防止するために、支持ピンをぴったりと嵌めることができるものであってもよい。または、そのような動きを防止するための突起やその他の固定構造が、ライトガイド本体や支持ピンに設けられてもよい。
【0063】
インカップリング構造の様々な例が、図3から図6に描かれている。
【0064】
図3は、様々なインカップリング格子構造を有するライトガイド本体の一部を示した図である。図3においては、5つのタイプのインカップリング格子構造が描かれている。これらはライトガイド本体130の入力面132に設けられ、それぞれ互いに隣接している。実施形態によっては、インカップリング構造は、2つ又はそれ以上の異なるインカップリング格子を有する。実施形態によっては、インカップリング構造は、単一のタイプのインカップリング格子しか含まない。
【0065】
インカップリング格子は、図3における第1の部分310や第2の部分320.第5の部分350のように、回折格子であってもよい。なお、これらは微小スケールの格子である。また、インカップリング格子は、第3の部分330や第4の部分340のように、回折格子ではない微小スケール格子でやってもよい。第3の部分330や第4の部分340においては、光は、格子の表面で屈折及び/又は反射する。他のタイプの微小スケール又は大きなスケールの格子(grating)が用いられてもよい。実際に、図4には、フレネル型のネガティブレンズ又は発散レンズを有するライトガイド本体の一部が描かれている。ライトガイド上部から見ると(すなわち図2の方向から見ると)、実施形態によって、フレネルレンズ410は環状である場合や線状である場合、楕円形である場合、多角形である場合など、様々な形状であることがある。そして、光を、ライトガイド本体130の中で、所望の方向に拡散させる。更に、図5には、インカップリング構造140の別の実施形態が描かれている。この例は、ポジティブ又は収束型のフレネルレンズ510を有する。フレネルレンズ510は、バックライト光を、ライトガイド本体の出力面134の方へ集める。出力面134には拡散反射要素520が設けられる。拡散反射要素520は、横向きの反射を生じさせる形状を備えている。図5の拡散反射要素は非対称的な形状を有しており、例として、直線的な壁面522と湾曲した壁面524を有している。もちろん、実施形態によっては、拡散反射要素は対称的なものであることができる。また、出力面134に非対称性を形成するために、直線的な壁面522に反射コーティング526を設けてもよい(図5参照)。もちろん、反射コーティングも対称的なものであってもよいし、非対称的なものであってもよい。反射コーティング526はまた、連続的なものであってもよいが、非連続的なものであってもよい。例えば、反射コーティング526中に孔やピンホールが設けられてもよい。そのような孔やピンホールは、バックライト光のうち所望の部分が拡散反射要素520を通過するように設けられてもよい。反射コーティング526は、塗装によって設けられてもよいし、出力面134の表面又は内部に反射材を接着することにより設けられてもよい。反射材は不透明層を形成するように配されてもよい。または、反射材は、受け取ったバックライト光の一部を通過させるように構成される透明な層を形成するように配されてもよい。これは、拡散反射要素のところにダークスポットが生じることを防ぐためである。
【0066】
ある実施形態において、拡散反射要素520は、積層薄膜により形成される。
【0067】
反射材は、銀、二酸化チタン、アルミニウム、紙の少なくともいずれかによって形成されてもよい。
【0068】
図3及び4のインカップリング構造は、拡散屈折要素(spreading refractor)と称されてもよい。
【0069】
図6には、ライトガイド本体の出力面に形成されたインカップリング格子610が描かれている。出力面のインカップリング格子610は、ライトガイド本体内で光を横方向に反射するように構成される。出力面のインカップリング格子610は、拡散反射要素520と同じような反射材で覆われることができる。これは、バックライト光源120の位置において、ライトガイド本体130を通って光が出ていくことを減らすためである。
【0070】
アウトカップリング構造150も、インカップリング構造と同様に作られることができる。例えば、図3,4,6を上下逆さまにして見ると、描かれている構造は、アウトカップリング構造として使うことができる。アウトカップリング構造150は、ライトガイド本体130の入力面132及び134の片面のみに設けられず場合もあるが、両面に設けられる場合もある。
【0071】
図7は、タッチスクリーンデバイス100の一部を、信号処理の観点から描いたブロック図である。タッチスクリーンデバイス100はメモリ720を備える。メモリ720は、コンピュータプログラムコード750やその他の情報(例えば待機時に格納されるべき較正Parameters)を格納する不揮発性メモリ740を含んでもよい。タッチスクリーンデバイス100はまた、コンピュータプログラムコード750を使ってタッチスクリーンデバイス100の動作を制御するプロセッサ710や、プロセッサ710によりコンピュータプログラムコード750を走らせるためのワーキングメモリ730、外部のデバイスやタッチスクリーンデバイス780と通信するための通信ユニット770を備える。プロセッサ710は例えば、主制御ユニット(MPU)やマイクロプロセッサ、デジタルシグナルプロセッサ(DSP)、特定用途向け集積回路(ASIC)、フィールドプログラマブルゲートアレイ、マイクロコントローラでもよく、こうした要素を組合わせたものでもよい。バッテリー790は、外部電源の供給なしに、又は外部電源が使用不能の場合でも、タッチスクリーンデバイス100が動作しうるように設けられる。
【0072】
様々な実施形態が紹介されてきた。本明細書において、「備える」や「有する」「含む」等は、その他の要素が更に含まれることを排除しない意図で用いられており、記載されていないものしか備えられないという意味では使われていない。
【0073】
上述の説明は非限定的な例の特定の実装例を用いてなされたものであり、また、本発明を実施するために最も適した手法であると発明者が現在考えている形態の完全かつ有益な説明を用いてなされたものである。しかし、当業者には明らかであるように、本発明の実施形態は本明細書で紹介された具体的な実施形態に限定されるものではない。本発明の実施形態は、本発明の特徴を逸脱せずに、同様の手段や様々な組み合わせを用いて具現化されることができる。例えば、拡散層をライトガイド本体130に対して支持するために、支持ピン162を使うのではなく、圧力ガスを充填した透明なプラスチックバッグを用いてもよい。さらに別の例では、透明又は白色のプラスチックまたは金属のストリングによる網が、拡散層の支持のために用いられてもよい。さらに別の例では、拡散層は、表示スクリーンにより支持されるように構成されてもよく、及び/又は、支持要素が不要なほどの固さを有するものであってもよい。
【0074】
さらに、本発明の上述の実施形態は、その他の特徴の対応する使用なしに、利益をもたらすために使用されうる。従って、上述の説明は、本発明の原理の説明に過ぎないと考えるべきであり、これらを限定するものであると考えてはならない。従って、本発明の範囲は添付の特許請求の範囲によってのみ制限される。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7