(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかながら、タッチパネル付き液晶表示パネルにおいて、液晶表示パネル表面から生じるノイズにより、タッチパネルが誤動作を起こすことが想定される。
本発明は、前記従来技術の問題点を解決するためになされたものであり、本発明の目的は、表示装置において、表示パネル表面から生じるノイズを低減することが可能となる技術を提供することにある。
本発明の前記ならびにその他の目的と新規な特徴は、本明細書の記述及び添付図面によって明らかにする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本願において開示される発明のうち、代表的なものの概要を簡単に説明すれば、下記の通りである。
(1)複数の画素と、前記複数の画素に映像電圧を入力する複数本の映像線とを有する表示パネルと、各映像線に映像電圧を供給するドライバとを備え、前記ドライバは、外部から入力される表示データを格納するフレームメモリと、前記フレームメモリから1表示ライン分の表示データを読み出し、ラッチする複数の第1のラッチ回路と、前記複数の第1のラッチ回路毎に設けられ、前記第1のラッチ回路にラッチされた表示データを、ラッチ制御信号に基づきラッチする複数の第2のラッチ回路と、前記複数の第2のラッチ回路毎に設けられ、前記第2のラッチ回路でラッチされた表示データを映像電圧に変換する複数のデコーダ回路とを有する表示装置であって、前記複数の映像線、および、前記各映像線毎に設けられる前記第2のラッチ回路と前記デコーダ回路を複数のブロックに分割し、前記ラッチ制御信号の伝搬経路の前記ブロックの境界に遅延素子を挿入し、前記第2のラッチ回路において、前記第1のラッチ回路にラッチされた表示データをラッチするタイミングを、前記各ブロック毎に異ならせる。
(2)(1)において、前記ラッチ制御信号の伝搬経路は、前記ドライバの中央から左右両側に向かう2つの伝搬経路を有する。
(3)(1)において、前記表示パネルは、前記複数の画素に走査電圧を入力する複数本の走査線を有し、前記複数の画素で構成される画素部の左右両側に設けられる第1の走査回路と第2の走査回路とを有し、前記第1の走査回路は、複数本の走査線の中の奇数番目の走査線に走査電圧を供給し、前記第2の走査回路は、複数本の走査線の中の偶数番目の走査線に走査電圧を供給し、前記走査電圧の伝搬方向と前記ラッチ制御信号の伝搬経路とは、一致する。
【0006】
(4)(1)において、前記複数のデコーダ回路毎に設けられる複数の出力アンプ回路を有し、前記各出力アンプ回路は、1水平走査期間に前記各デコーダ回路から出力される階調電圧を各映像線に出力する前に、プリチャージ電圧を各映像線に出力し、前記各出力アンプ回路が1水平走査期間に前記プリチャージ電圧を各映像線に出力するタイミングを、前記各ブロック毎に異ならせる。
(5)(1)において、前記複数のデコーダ回路毎に設けられる複数の出力アンプ回路と、前記各出力アンプ回路にバイアス電圧を供給するバイアス回路とを有し、前記バイアス回路は、それぞれ電流値が異なる複数の定電流源と、前記複数の定電流源の中のいずれか1つを選択するスイッチ素子を有し、前記バイアス回路は、前記選択された定電流源により生成されるバイアス電圧を、前記各出力アンプ回路に供給する。
(6)(1)において、前記複数のデコーダ回路毎に設けられる複数の出力アンプ回路と、前記各出力アンプ回路にバイアス電圧を供給するバイアス回路とを有し、前記複数の出力アンプ回路は、正極性の階調電圧を出力する正極性アンプ回路と、負極性の階調電圧を出力する負極性アンプ回路とを有し、前記バイアス回路は、それぞれ電流値が異なる正極性アンプ回路用の複数の定電流源と、それぞれ電流値が異なる負極性アンプ回路用の複数の定電流源と、前記正極性アンプ回路用の複数の定電流源の中のいずれか1つを選択するスイッチ素子と、前記負極性アンプ回路用の複数の定電流源の中のいずれか1つを選択するスイッチ素子とを有し、前記バイアス回路は、前記選択された正極性アンプ回路用の定電流源により生成されるバイアス電圧を前記各出力アンプ回路の正極性アンプ回路に供給するとともに、前記選択された負極性アンプ回路用の定電流源により生成されるバイアス電圧を前記各出力アンプ回路の負極性アンプ回路に供給する。
【0007】
(7)(1)において、前記複数の映像線は、第1の色の複数の映像線と、第2の色の複数の映像線と、第3の色の複数の映像線とを有し、前記各出力アンプ回路から出力される階調電圧を、1水平走査期間内に第1の色ないし第3の色のそれぞれの映像線に出力するスイッチ回路を有し、前記スイッチ回路は、スイッチ制御信号により制御され、それぞれスルーレートが異なる複数のスイッチ素子を有し、前記スイッチ回路には、前記複数のスイッチング素子の中で、選択されたスイッチング素子を介して、スイッチ制御信号が入力される。
(8)(7)において、前記複数のスイッチング素子の各々は、トランスファーゲート回路で構成され、前記各々のトランスファーゲート回路は、ゲート長およびゲート幅の少なくとも一方がそれぞれ異なっている。
(9)(1)において、複数の画素と、前記複数の画素に映像電圧を入力する複数本の映像線とを有する表示パネルと、各映像線に映像電圧を供給するドライバとを備え、前記ドライバと前記各映像線との間に抵抗素子を挿入する。
(10)(9)において、前記抵抗素子は、ポリシリコン抵抗層で構成される。
【発明の効果】
【0008】
本願において開示される発明のうち代表的なものによって得られる効果を簡単に説明すれば、下記の通りである。
本発明の表示装置によれば、表示パネル表面から生じるノイズを低減することが可能となる。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、本発明を液晶表示装置に適用した実施例を図面を参照して詳細に説明する。
なお、実施例を説明するための全図において、同一機能を有するものは同一符号を付け、その繰り返しの説明は省略する。また、以下の実施例は、本発明の特許請求の範囲の解釈を限定するためのものではない。
図1は、本発明の実施例の液晶表示装置の概略構成を示すブロック図である。
液晶表示パネルには、複数の走査線(GL)と、複数の走査線(GL)にそれぞれ直交する複数の映像線(DL)が設けられる。走査線(GL)と映像線(DL)との交差する部分に画素(PS)が設けられる。複数の画素(PS)はマトリックス状に配置されて画素領域(AR)を構成する。
各画素(PS)には、画素電極(PX)と薄膜トランジスタ(TFT)が設けられる。各画素電極(PX)に対向するように、対向電極(CT)が設けられ、各画素電極(PX)と対向電極(CT)との間には液晶容量(図示せず)と、保持容量(Cadd)が形成される。
各画素(PS)の薄膜トランジスタ(TFT)は、ソースが画素電極(PX)に接続され、ドレインが映像線(DL)に接続され、ゲートが走査線(GL)に接続される。この薄膜トランジスタ(TFT)は、画素電極(PX)に表示電圧(階調電圧)を供給するためのスイッチとして機能する。
なお、ソース、ドレインの呼び方は、バイアスの関係で逆になることもあるが、ここでは、映像線(DL)に接続される方をドレインと称する。
【0011】
映像線(DL)は、RGBスイッチ回路(RGB−SW)を介してドライバ(DRV)に接続される。また、対向電極(CT)もドライバ(DRV)に接続される。
ドライバ(DRV)は、第1ガラス基板(SUB1)上に実装された、1チップ構成の半導体集積回路(LSI)から構成され、映像線(DL)への映像信号の出力回路と、対向電極(CT)への対向電極電圧(コモン電圧ともいう)を出力する出力回路と、ゲート回路(L−GCS,R−GCS)へゲート制御信号(S−GATE)等を出力する回路とを有している。
走査線(GL)は、一つおきに画素領域(AR)の左右に配置されたゲート回路(L−GCS,R−GCS)に接続される。ゲート回路(L−GCS,R−GCS)は、例えば、半導体層がポリシリコンから成るポリシリコン薄膜トランジスタで構成されるCMOS構成の回路、あるいは、単チャネル構成の回路で構成される。なお、ゲート回路(L−GCS,R−GCS)は、半導体層がアモルファスシリコンから成るアモルファスシリコン薄膜トランジスタで構成してもよい。
いずれの場合でも、ゲート回路(L−GCS,R−GCS)を構成する薄膜トランジスタは、画素(PS)の薄膜トランジスタ(TFT)と同時に作製される。
【0012】
液晶表示パネルは、画素電極(PX)、薄膜トランジスタ(TFT)等が設けられた第1ガラス基板(SUB1)と、カラーフィルタ等が形成される第2ガラス基板(図示せず)とを、所定の間隙を隔てて重ね合わせ、該両ガラス基板間の周縁部近傍に枠状に設けたシール材により、両ガラス基板を貼り合わせると共に、シール材の一部に設けた液晶封入口から両基板間のシール材の内側に液晶を封入、封止し、さらに、両ガラス基板の外側に偏光板を貼り付けて構成される。
なお、本発明は、液晶表示パネルの内部構造とは関係がないので、液晶表示パネルの内部構造の詳細な説明は省略する。さらに、本発明は、どのような構造の液晶表示パネルであっても適用可能である。例えば、縦電界方式の場合、対向電極(CT)は第2のガラス基板に形成される。横電界方式の場合、対向電極(CT)は、第1のガラス基板(SUB1)に形成される。
【0013】
ゲート回路(L−GCS,R−GCS)は、ドライバ(DRV)から入力されるゲート制御信号(S−GATE)に基づき、1水平走査時間毎に、順次液晶表示パネルの各走査線(GL)に“High”レベルの選択電圧(走査信号)を供給する。これにより、液晶表示パネルの各走査線(GL)に接続された複数の薄膜トランジスタ(TFT)が、1水平走査期間の間、映像線(DL)と画素電極(PX)との間を電気的に導通させる。
また、ドライバ(DRV)は、画素(PS)が表示すべき階調に対応する階調電圧を映像線(DL)に出力する。薄膜トランジスタ(TFT)がオン状態(導通)になると、映像線(DL)から階調電圧(映像信号)が画素電極(PX)に供給される。その後、薄膜トランジスタ(TFT)がオフ状態となることで画素(PS)が表示すべき映像に基づく階調電圧が画素電極(PX)に保持される。
本実施例では、ドライバ(DRV)が、1水平走査時間内に、順番に赤(R)、緑(G)、青(B)の階調電圧を出力する。そして、RGBスイッチ回路(RGB−SW)が、ドライバ(DRV)からの制御信号(S−RGB)に基づき、1水平走査時間内に、ドライバ(DRV)から順番に出力される赤(R)、緑(G)、青(B)の階調電圧を、赤(R)、緑(G)、青(B)のそれぞれの映像線(DL)に出力する。
対向電極(CT)には対向電極電圧が印加されており、液晶表示パネルは画素電極(PX)と対向電極(CT)との間の電位差により、間に挟まれた液晶分子の配向方向を変化させ、光の透過率または反射率を変化させることで画像を表示する。
本実施例では、交流化駆動法として、ドット反転を採用している。そのため、対向電極(CT)上の対向電圧(コモン電圧)は、一定の基準電圧となっており、映像線(DL)には、1水平走査時間毎に、正極性の階調電圧と負極性の階調電圧が出力される。
【0014】
図2は、
図1に示すドライバ(DRV)の内部ブロック図である。
同図において、11はタイミング生成回路であり、タイミング生成回路11には、インターフェース回路10を介して、本体側のマイコン、または、グラフィックコントローラから表示データと、表示コントロール信号が入力される。
図1の31は、システムインターフェースであり、マイコン等から各種コントロール信号および画像が入力される系である。また、
図1の32は、表示データインターフェース(RGBインターフェース)のことであり、外部のグラフィックコントローラで生成された画像データと、データ取込用のクロックが連続的に入力される系である。
外部から入力された表示データは、フレームメモリ12に格納される。
ラッチ回路13は、タイミング生成回路11から出力されるクロック(CL2)に同期して、各色毎8ビットの表示データを出力本数分だけラッチする。
最終ラッチ回路14は、タイミング生成回路11から出力される出力タイミング制御用クロック(CL1)に基づき、ラッチ回路13内の表示データをラッチする。この最終ラッチ回路14に取り込まれた表示データは、レベルシフト回路15を介して、デコーダ回路16に入力される。
【0015】
デコーダ回路16は、階調電圧生成回路19から入力される正極性の256階調の階調電圧、あるいは負極性の256階調の階調電圧に基づき、表示データに対応した1つの階調電圧(256階調の中の1つの階調電圧)を選択して、出力アンプ回路17に出力する。
出力アンプ回路17は、階調電圧を電流増幅して各映像線(DL)に出力する、なお、出力アンプ回路17には、バイアス回路20からバイアス電圧が入力される。
階調電圧生成回路19は、γ調整回路18からの出力により、出力する階調電圧のγ特性を調整する。
タイミング生成回路11で生成されたゲート回路を制御するゲート制御信号(S−GATE)は、レベルシフト回路22、パネルインターフェース回路23を介して、ゲート回路(L−GCS,R−GCS)に出力される。なお、ゲート制御信号(S−GATE)には、フレーム開始指示信号(FLM)、シフトクロック(CL3)が含まれる。
ここで、タイミング生成回路11で生成された、RGBスイッチ回路(RGB−SW)を制御する制御信号(S−RGB)も、レベルシフト回路22、パネルインターフェース回路23を介して、RGBスイッチ回路(RGB−SW)に出力される。
さらに、
図1の昇圧回路21は、タイミング生成回路11から出力されるクロックに基づき、液晶表示パネルの内部で使用される各種の駆動電圧を生成する。
【0016】
前述したように、本実施例では、交流化駆動法として、ドット反転を採用している。ドット反転では、対向電圧(コモン電圧)は一定で、且つ、 映像線上の階調電圧も、正極性の階調電圧と、負極性の階調電圧が存在し、電圧変動は相殺されるためノイズは微小であると考えられていた。
しかしながら、本願の発明者らが検討した結果、液晶表示パネルの表面から生じるノイズは、映像線(DL)上の電圧変動が大きく影響していることが判明した。
本実施例は、液晶表示パネルの表面から生じるノイズのピークを低減させるために、映像線(DL)を複数のブロック(例えば、10本の映像線(DL)毎のブロック)に分割し、映像線(DL)に出力する階調電圧の出力タイミングを、各ブロック毎に異ならせたことを特徴とする。
従来の液晶表示パネルでは、全ての映像線(DL)で、同じタイミングで電圧変動が起こるが、本実施例の液晶表示パネルでは、各ブロックの映像線(DL)毎に、電圧変動のタイミングが異なるので、液晶表示パネルの表面から生じるノイズのピークを低減することが可能となる。
【0017】
図3は、本実施例のドライバ(DRV)の概略構成を示すブロック図であり、最終ラッチ14の周辺の回路構成を示す図である。
図3に示すように、本実施例では、タイミング生成回路11からの出力タイミング制御用クロック(CL1)が伝搬する信号線に、最終ラッチ回路14の内部の複数のラッチ回路140毎に、遅延素子(DDL)を挿入し、各ラッチ回路140のラッチ動作をブロック単位で、時分割で行わせる。
これにより、ラッチ回路140から各映像線(DL)に出力される階調電圧も、ブロック単位(例えば、10本の映像線(DL)単位)となるので、各ブロックの映像線(DL)毎に、電圧変動のタイミングが異なるので、液晶表示パネルの表面から生じるノイズのピークを低減することが可能となる。
なお、
図3では、ラッチ回路13を2つに分割するともに、タイミング生成回路11からの出力タイミング制御用クロック(CL1)を、最終ラッチ回路14の中央部から、左右両側に伝搬するようにしている。即ち、最終ラッチ回路14の各ラッチ回路140に入力される出力タイミング制御用クロック(CL1)は、最終ラッチ回路14の中央部付近のラッチ回路140が最も早く入力され、最終ラッチ回路14の左右両側のラッチ回路140になるほど遅く入力される。
【0018】
図4は、本実施例のドライバ(DRV)の変形例の概略構成を示すブロック図であり、最終ラッチ14の周辺の回路構成を示す図である。
図4に示すように、本実施例の変形例では、出力タイミング制御用クロック(CL1)は、ドライバ(DRV)を構成する半導体チップの左端から右端に伝搬するもの(CL1−L)と、半導体チップの右端から左端に伝搬するもの(CL1−R)の2種類用意される。
図5に示すように、本実施例では、液晶表示パネルの画素領域(AR)の左右両側にゲート回路(L−GCS,R−GCS)が配置され、右から左に伝搬する走査電圧(
図5のA)と、左から右に伝搬する走査電圧(
図5のB)とが、1走査線毎に、交互に左右のゲート回路(L−GCS,R−GCS)から出力される。
走査電圧が、右から左へ伝搬する場合は、液晶表示パネルの右端では、走査電圧の波形鈍りは少なく、液晶表示パネルの左端では、走査電圧の波形鈍りは大きくなる。そこで、本実施例では、走査電圧の波形鈍りの大きい左端で、ドライバ(DRV)の出力も遅延させるように、ドライバ内を伝搬する出力タイミング制御用クロック(CL1)も、半導体チップの右端から左端に伝搬するように制御する。
逆に、走査電圧が、左から右へ伝搬する場合は、液晶表示パネルの左端では、走査電圧の波形鈍りは少なく、液晶表示パネルの左端では、走査電圧の波形鈍りは大きくなる。この場合は、走査電圧の波形鈍りの大きい右端で、ドライバ(DRV)の出力も遅延させるように、ドライバ内を伝搬する出力タイミング制御用クロック(CL1)も、半導体チップの左端から右端に伝搬するように制御する。
【0019】
従来、各映像線(DL)に表示データに対応した階調電圧が出力されるまでの時間(以下、出力遅延時間という)を少なくするために、
図6に示すように、出力アンプ回路17内にプリチャージ回路171を設け、当該プリチャージ回路171を、出力アンプ回路17の各アンプ回路172の後段に挿入している。
このプリチャージ回路171により、1水平走査期間毎に、各映像線(DL)に表示データに対応した階調電圧を出力する前に、スイッチング素子(SW1)により、各映像線(DL)にプリチャージ電圧(Vpre;例えば、ノーマリブラックのタイプの液晶表示パネルであれば、白色と黒色との中間電位に対応する電圧)を入力し、各映像線(DL)をプリチャージ電圧(Vpre)に充電することにより、出力遅延時間を少なくすることができる。
そして、前述したように、映像線(DL)を複数のブロック(例えば、10本の映像線(DL)毎のブロック)に分割するとともに、プリチャージ回路171の動作も時分割で実行させて、各映像線(DL)に出力するプリチャージ電圧(Vpre)の出力タイミングを、各ブロック毎に異ならせる。
この場合も、液晶表示パネルの表面から生じるノイズのピークを低減することが可能となる。
【0020】
図9は、本実施例のドライバ(DRV)における正極性アンプ回路と、負極性アンプ回路を説明する図である。
図9に示すように、
図2に示すデコーダ回路16は、最終ラッチ回路14内の各ラッチ回路140から出力される表示用データに対応する正極性の階調電圧を選択する正極性デコーダ回路16pと、表示用データに対応する負極性の階調電圧を選択する負極性デコーダ回路16nとで構成される。
また、
図6に示すアンプ回路172は、正極性アンプ回路172pと負極性アンプ回路172nとで構成される。正極性アンプ回路172pは、正極性の階調電圧を電流増幅して出力する。負極性アンプ回路172nは、負極性の階調電圧を電流増幅して出力する。
ドット反転法では、隣接する映像線(DL)の階調電圧は互いに逆極性となり、正極性デコーダ回路16pおよび正極性アンプ回路172pと、負極性デコーダ回路16nおよび負極性アンプ回路172nは、隣接して配置されるので、スイッチ部(CSW1)により、表示データを、そのまま、あるいは入れ替えて、隣り合うラッチ回路13に入力し、それに合わせて、正極性アンプ回路172pと負極性アンプ回路172nから出力される出力電圧をスイッチ部(CSW2)で切り替えることにより、任意の1水平走査期間に、Y1の映像線に正極性の階調電圧を、Y2の映像線に負極性の階調電圧を出力し、次の1水平走査期間に、Y1の映像線に負極性の階調電圧を、Y2の映像線に正極性の階調電圧を出力することが可能となる。
【0021】
図7は、従来のドライバ(DRV)における出力波形とノイズの関係を示す図である。
図7において、VPWは正極性の「白色」の階調電圧であり、VNWは負極性の「白色」の階調電圧である。
図7に示すように、ドット反転法で、液晶表示パネルに「白色」を表示する場合、映像線(DL)上の電圧は、1表示期間毎に、正極性の「白色」の階調電圧(VPW)から負極性の「白色」の階調電圧(VNW)へ、あるいは、負極性の「白色」の階調電圧(VNW)から正極性の「白色」の階調電圧(VPW)へ変化することになる。
この場合、出力アンプ回路17内の正極性アンプ回路172pと、負極性アンプ回路172nのスルーレート差(立ち上がり特性差)により、
図7に示すように、ノイズ(NOIZ)が発生する。
本発明の実施例2は、この
図7に示すノイズ(NOIZ)を低減する実施例である。
図8は、本発明の実施例2のドライバ(DRV)の概略構成を示すブロック図であり、バイアス回路20の回路構成を示す図である。
図8に示すように、出力アンプ回路内の17の正極性アンプ回路172pと、負極性アンプ回路172nのスルーレート差を一致させるために、出力アンプ回路17の正極性アンプ回路172pを流れる電流と、負極性アンプ回路172nを流れる電流を調整する。
そのため、
図8に示すように、バイアス回路20内に、電流値が異なる複数個の電流源(Io1〜Io3)を用意し、スイッチング素子(SW2)で切り替えることにより、選択された時の電流源により生成されるバイアス電圧を出力アンプ回路17に出力する。
これにより、出力アンプ回路17の正極性アンプ回路172pと、負極性アンプ回路172nから、様々なスルーレートのアンプ出力を可能とする。ここで、
図8に示す回路を、出力アンプ回路17の正極性アンプ回路172pと、負極性アンプ回路172nのそれぞれに用意する。
【0022】
図1に示すように、RGBスイッチ回路(RGB−SW)を有する液晶表示パネルでは、制御信号(S−RGB)のON/OFFにより、ノイズ発生する。しかし、制御信号(S−RGB)は相殺する波形が無いため、ON/OFF波形がそのままノイズとして伝搬する。
そこで、本発明の実施例3では、
図10に示すように、
図2のパネルインターフェース回路23内の制御信号(S−RGB)を出力するゲート回路として、チャネル幅およびチャネル長の少なくとも一方が異なる、複数のトランスファーゲート回路(TG1〜TG3)を用意する。そして、トランスファーゲート回路を選択することにより、トランスファーゲート回路のスルーレートを低減させて、制御信号(S−RGB)ON/OFF波形を鈍らせ、ノイズ低減させる。
通常、高精細化が進むにつれ、書き込み時間が厳しくなるため、トランスファーゲート回路のスルーレートを向上させるが、ノイズ対策のために、トランスファーゲート回路のスルーレートをむしろ悪化させる方向に調整する。
【0023】
液晶表示パネルの表面から生じするノイズの発生原理が、映像線(DL)等の信号遷移のカップリングであることから、映像線(DL)上の電圧遷移がゆっくりであれば、ノイズを低減できる。
そこで、
図11に示すように、本発明の実施例4では、階調電圧の書き込み時間を満足する範囲内で、液晶表示パネルのドライバ(DRV)のRGBスイッチ回路(RGB−SW)と、画素領域(AR)の映像線(DL)との間に、抵抗素子(R)を挿入することで、スルーレートを低減し、ノイズを低減させることができる。
本実施例では、先の実施例1のように、映像線(DL)に対する階調電圧の書き込時点は、各ブロック毎に異なることがない。
なお、各画素の薄膜トランジスタ(TFT)が、半導体層がポリシリコンで構成される場合には、抵抗素子(R)は、ポリシリコン抵抗層で容易に形成することが可能である。
以上、本発明者によってなされた発明を、前記実施例に基づき具体的に説明したが、本発明は、前記実施例に限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲において種々変更可能であることは勿論である。