(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
第1のフォトダイオード、及び該第1のフォトダイオードに一端が接続された第1のスイッチ回路を各々含み、M行N列(M,Nは2以上の整数)に二次元配列されたM×N個の画素を有し、単結晶シリコン基板上に形成された受光部と、
前記第1のフォトダイオード上を通り、各列毎に配設され、対応する列の前記画素に含まれる前記第1のスイッチ回路の他端に接続されたN本の読出用配線と、
前記N本の読出用配線に接続された読出回路部と、
前記受光部に対して行方向に並んで配置され、前記第1のスイッチ回路の開閉状態を各行毎に制御するシフトレジスタと、
前記シフトレジスタと前記受光部との間の領域に配置されたダミーフォトダイオードと、
前記ダミーフォトダイオードに一端が接続された第2のスイッチ回路と、
前記ダミーフォトダイオード上を通り、前記第2のスイッチ回路の他端に接続されるとともに基準電位線に短絡された電荷排出用配線と
を備え、
前記シフトレジスタと前記受光部とが共通の前記単結晶シリコン基板上に形成されており、
行方向における前記ダミーフォトダイオードの幅が、該方向における前記第1のフォトダイオードの幅よりも短いことを特徴とする、固体撮像装置。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、添付図面を参照しながら本発明による固体撮像装置の実施の形態を詳細に説明する。なお、図面の説明において同一の要素には同一の符号を付し、重複する説明を省略する。
【0017】
本実施形態に係る固体撮像装置は、例えば医療用X線撮像システムに用いられる。
図1及び
図2は、本実施形態における固体撮像装置1Aの構成を示す図である。
図1は固体撮像装置1Aを示す平面図であり、
図2は固体撮像装置1Aの一部を拡大した平面図である。なお、
図1及び
図2には、理解を容易にするためXYZ直交座標系を併せて示している。
【0018】
図1に示されるように、固体撮像装置1Aは、受光部20、不要キャリア捕獲部30、読出回路部40、及び垂直シフトレジスタ60を備えている。受光部20、不要キャリア捕獲部30、読出回路部40、及び垂直シフトレジスタ60は、基板12の主面上に作製されている。垂直シフトレジスタ60は、受光部20に対してX軸方向に並んで配置されている。不要キャリア捕獲部30の一部分は、受光部20と垂直シフトレジスタ60との間の領域に配置されており、不要キャリア捕獲部30の残りの部分は、受光部20に対してY軸方向に並んで配置され、受光部20と読出回路部40との間の領域に位置している。
【0019】
読出回路部40は、受光部20の複数列それぞれに対応して設けられた複数の積分回路を含んでおり、これら複数の積分回路は、対応する列の画素から出力される電荷の量に応じた電圧値をそれぞれ生成する。読出回路部40は、各積分回路から出力された電圧値を保持し、その保持した電圧値を逐次的に出力する。
【0020】
受光部20は、複数の画素P
1,1〜P
M,NがM行及びN列(M,Nは2以上の整数)にわたって二次元配列されることにより構成されている。
図2には、複数の画素P
1,1〜P
M,Nを代表して、4つの画素P
m,N−1、P
m,N、P
m+1,N−1、及びP
m+1,Nが示されている。例えば、画素P
m,Nは第m行第N列(mは1以上M以下の整数)に位置する画素である。
図1及び
図2において、列方向はY軸方向と一致し、行方向はX軸方向と一致する。受光部20に含まれる画素P
1,1〜P
M,Nそれぞれは、トランジスタ21及びフォトダイオード22を備えている。画素P
1,1〜P
M,Nそれぞれが有するトランジスタ21は、本実施形態における第1のスイッチ回路である。トランジスタ21は、好適には電界効果トランジスタ(FET)によって構成されるが、バイポーラトランジスタによって構成されてもよい。以下では、トランジスタ21がFETであるものとして説明する。この場合、制御端子はゲートを意味する。トランジスタ21がバイポーラトランジスタである場合には、制御端子はベースを意味する。
【0021】
また、画素P
1,1〜P
M,Nそれぞれが有するフォトダイオード22は、本実施形態における第1のフォトダイオードである。フォトダイオード22は、pn接合若しくはpin接合を含む半導体領域によって構成され、入射光強度に応じた量の電荷を発生し、その発生した電荷を接合容量部に蓄積する。トランジスタ21の一端(例えばソース領域)は、フォトダイオード22と電気的に接続されている。なお、受光部20の上には図示しないシンチレータが設けられている。シンチレータは、入射したX線に応じてシンチレーション光を発生してX線像を光像へと変換し、この光像をフォトダイオード22へ出力する。
【0022】
固体撮像装置1Aは、各行毎に配設された複数の行選択用配線Q
1〜Q
M(
図2にはQ
m及びQ
m+1を代表して示す)と、各列毎に配設された複数の読出用配線R
1〜R
N(
図2にはR
N及びR
N−1を代表して示す)とを更に備えている。第m行の行選択用配線Q
mは、対応する行の画素P
m,1〜P
m,Nに含まれるトランジスタ21の開閉状態を制御するための制御端子(例えばゲート端子)と、トランジスタ21の開閉状態を各行毎に制御する垂直シフトレジスタ60とを互いに電気的に接続している。また、第n列(nは1以上N以下の整数)の読出用配線R
nは、対応する列の画素P
1,n〜P
M,nに含まれるトランジスタ21の他端(例えばドレイン領域)と電気的に接続されている。複数の行選択用配線Q
1〜Q
M、及び複数の読出用配線R
1〜R
Nは、例えば金属からなる。
【0023】
不要キャリア捕獲部30は、M個のキャリア捕獲領域DA
1〜DA
Mを有する。キャリア捕獲領域DA
1〜DA
Mは、受光部20と垂直シフトレジスタ60との間の領域において、各行毎に配置されている。なお、
図2には、キャリア捕獲領域DA
1〜DA
Mを代表して、2つのキャリア捕獲領域DA
m及びDA
m+1が示されている。例えば、キャリア捕獲領域DA
mは第m行に位置するキャリア捕獲領域である。M個のキャリア捕獲領域DA
1〜DA
Mそれぞれは、上述した画素P
1,1〜P
M,Nと同様に、トランジスタ21及びフォトダイオード22を備えている。なお、キャリア捕獲領域DA
1〜DA
Mそれぞれが有するM個のトランジスタ21は、本実施形態における第2のスイッチ回路である。また、キャリア捕獲領域DA
1〜DA
Mそれぞれが有するM個のフォトダイオード22は、本実施形態におけるダミーフォトダイオードであって、pn接合若しくはpin接合を含む半導体領域によって構成され、受光部20と垂直シフトレジスタ60との間の領域において各行毎に配置されている。トランジスタ21の一端(例えばソース領域)は、フォトダイオード22と電気的に接続されている。
【0024】
キャリア捕獲領域DA
mに含まれるトランジスタ21の開閉状態を制御するための制御端子(例えばゲート端子)は、対応する行の行選択用配線Q
mと電気的に接続されている。また、固体撮像装置1Aは、電荷排出用配線R
dを更に備えている。電荷排出用配線R
dは、キャリア捕獲領域DA
1〜DA
Mに含まれるトランジスタ21の他端(例えばドレイン領域)と電気的に接続されている。電荷排出用配線R
dは、金属からなる。なお、キャリア捕獲領域DA
1〜DA
Mは遮光されておらず、キャリア捕獲領域DA
1〜DA
Mには通常の画素P
1,1〜P
M,Nと同様に光が入射する。但し、キャリア捕獲領域DA
1〜DA
Mの一部または全部が遮光されていてもよい。
【0025】
不要キャリア捕獲部30は、更に、各列毎に配置された(N+1)個のキャリア捕獲領域DB
1〜DB
N+1を有する。キャリア捕獲領域DB
1〜DB
N+1の構成は、前述した画素P
1,1〜P
M,Nと同様である。すなわち、キャリア捕獲領域DB
1〜DB
N+1それぞれは、トランジスタ21及びフォトダイオード22を備えている。トランジスタ21の一端(例えばソース領域)は、フォトダイオード22と電気的に接続されている。キャリア捕獲領域DB
1〜DB
N+1に含まれるトランジスタ21の制御端子は、後述する行選択用配線Q
dと電気的に接続されている。また、キャリア捕獲領域DB
1〜DB
Nに含まれるトランジスタ21の他端(例えばドレイン領域)は、各列の読出用配線R
1〜R
Nと電気的に接続されている。なお、第(N+1)列のキャリア捕獲領域DB
N+1に含まれるトランジスタ21の他端は、電荷排出用配線R
dと電気的に接続されている。
【0026】
続いて、固体撮像装置1Aの回路構成について詳細に説明する。
図3は、固体撮像装置1Aの内部構成を示す図である。前述したように、受光部20は、M×N個の画素P
1,1〜P
M,NがM行N列に2次元配列されて成る。また、不要キャリア捕獲部30は、M個のキャリア捕獲領域DA
1〜DA
Mと、(N+1)個のキャリア捕獲領域DB
1〜DB
N+1とを含んでいる。第m行のN個の画素P
m,1〜P
m,Nおよびキャリア捕獲領域DA
mに接続された第m行選択用配線Q
mは、垂直シフトレジスタ60に接続されている。また、キャリア捕獲領域DB
1〜DB
N+1に接続された行選択用配線Q
dもまた、垂直シフトレジスタ60に接続されている。
【0027】
読出回路部40は、読出用配線R
1〜R
Nを介して各列毎に出力される電荷量に応じた電気信号を、逐次に出力するための回路である。読出回路部40は、各列毎に設けられたN個の積分回路42と、N個の保持回路44とを有している。積分回路42及び保持回路44は、各列毎に互いに直列に接続されている。N個の積分回路42は、互いに共通の構成を有している。また、N個の保持回路44は、互いに共通の構成を有している。
【0028】
N個の積分回路42それぞれは、読出用配線R
1〜R
Nそれぞれに接続された入力端を有しており、読出用配線R
1〜R
Nから入力された電荷を蓄積し、その蓄積電荷量に応じた電圧値を出力端からN個の保持回路44それぞれへ出力する。但し、電荷排出用配線R
dには積分回路が設けられておらず、電荷排出用配線R
dは基準電位線(本実施形態においては接地電位に接続された電位線)GNDに短絡されている。従って、電荷排出用配線R
dを通った電荷は、基準電位線GNDに排出される。このように、キャリア捕獲領域DA
1〜DA
Mの各ダミーフォトダイオード22から出力される信号は、読出回路部40へ入力される画素P
1,1〜P
M,Nのフォトダイオード22から出力される信号と異なり、固体撮像装置1Aから出力されない。
【0029】
N個の積分回路42それぞれは、N個の積分回路42に対して共通に設けられたリセット用配線46に接続されている。N個の保持回路44それぞれは、積分回路42の出力端に接続された入力端を有し、この入力端に入力される電圧値を保持し、その保持した電圧値を出力端から電圧出力用配線48へ出力する。N個の保持回路44それぞれは、N個の保持回路44に対して共通に設けられた保持用配線45に接続されている。また、N個の保持回路44それぞれは、第1列選択用配線U
1〜第N列選択用配線U
Nそれぞれを介して水平シフトレジスタ61に接続されている。
【0030】
垂直シフトレジスタ60は、第m行選択制御信号VS
mを、第m行選択用配線Q
mを介して第m行のN個の画素P
m,1〜P
m,Nそれぞれに提供する。加えて、垂直シフトレジスタ60は、行選択制御信号VS
dを、行選択用配線Q
dを介して(N+1)個のキャリア捕獲領域DB
1〜DB
N+1に提供する。垂直シフトレジスタ60において、行選択制御信号VS
d,VS
1〜VS
Mは順次に有意値とされる。また、水平シフトレジスタ61は、列選択制御信号HS
1〜HS
nを、列選択用配線U
1〜U
nを介してN個の保持回路44それぞれに提供する。列選択制御信号HS
1〜HS
nは順次に有意値とされる。また、N個の積分回路42それぞれには、リセット用配線46を介してリセット制御信号REが提供される。N個の保持回路44それぞれには、保持用配線45を介して保持制御信号Hdが提供される。
【0031】
図4は、画素P
m,n、積分回路42、及び保持回路44、並びにキャリア捕獲領域DA
mの詳細な回路構成例を示す図である。ここでは、M×N個の画素P
1,1〜P
M,Nを代表して第m行第n列の画素P
m,nの回路図を示しており、M個のキャリア捕獲領域DA
1〜DA
Mを代表して第m行のキャリア捕獲領域DA
mの回路図を示している。
【0032】
図4に示されるように、画素P
m,nのフォトダイオード22のアノード端子は接地され、カソード端子は、トランジスタ21を介して読出用配線R
nに接続されている。同様に、キャリア捕獲領域DA
mのフォトダイオード22のアノード端子は接地され、カソード端子は、トランジスタ21を介して電荷排出用配線R
dに接続されている。画素P
m,n及びキャリア捕獲領域DA
mのトランジスタ21には、垂直シフトレジスタ60から第m行選択用配線Q
mを介して第m行選択制御信号VS
mが提供される。第m行選択制御信号VS
mは、第m行のN個の画素P
m,1〜P
m,n及びキャリア捕獲領域DA
mに含まれるトランジスタ21の開閉動作を指示する。例えば、第m行選択制御信号VS
mが非有意値(トランジスタ21の制御端子のオフ電圧)であるときに、トランジスタ21が非導通状態となる。このとき、フォトダイオード22において発生した電荷は、読出用配線R
n(または電荷排出用配線R
d)へ出力されることなくフォトダイオード22の接合容量部に蓄積される。一方、第m行選択制御信号VS
mが有意値(トランジスタ21の制御端子のオン電圧)であるときに、トランジスタ21が接続状態となる。このとき、フォトダイオード22の接合容量部に蓄積されていた電荷は、トランジスタ21を経て読出用配線R
n(または電荷排出用配線R
d)へ出力される。画素P
m,nのフォトダイオード22から出力された電荷は、読出用配線R
nを通って積分回路42へ送られる。一方、キャリア捕獲領域DA
mのフォトダイオード22から出力された電荷は、電荷排出用配線R
dを通って基準電位線GNDへ送られる。
【0033】
積分回路42は、アンプ42a、容量素子42b、及び放電用スイッチ42cを含む、いわゆる電荷積分型の構成を備えている。容量素子42b及び放電用スイッチ42cは、互いに並列に接続され、且つアンプ42aの入力端子と出力端子との間に接続されている。アンプ42aの入力端子は読出用配線R
nに接続されている。放電用スイッチ42cには、リセット用配線46を介してリセット制御信号REが提供される。
【0034】
リセット制御信号REは、N個の積分回路42それぞれの放電用スイッチ42cの開閉動作を指示する。例えば、リセット制御信号REが非有意値(例えばハイレベル)であるときに、放電用スイッチ42cが閉じて、容量素子42bが放電され、積分回路42の出力電圧値が初期化される。また、リセット制御信号REが有意値(例えばローレベル)であるときに、放電用スイッチ42cが開いて、積分回路42に入力された電荷が容量素子42bに蓄積され、その蓄積電荷量に応じた電圧値が積分回路42から出力される。
【0035】
保持回路44は、入力用スイッチ44a、出力用スイッチ44b及び容量素子44cを含む。容量素子44cの一端は接地されている。容量素子44cの他端は、入力用スイッチ44aを介して積分回路42の出力端に接続され、且つ、出力用スイッチ44bを介して電圧出力用配線48と接続されている。入力用スイッチ44aには、保持用配線45を介して保持制御信号Hdが与えられる。保持制御信号Hdは、N個の保持回路44それぞれの入力用スイッチ44aの開閉動作を指示する。保持回路44の出力用スイッチ44bには、第n列選択用配線U
nを介して第n列選択制御信号HS
nが与えられる。選択制御信号HS
nは、保持回路44の出力用スイッチ44bの開閉動作を指示する。
【0036】
例えば、保持制御信号Hdがハイレベルからローレベルに転じると、入力用スイッチ44aが閉状態から開状態に転じて、そのときに保持回路44に入力されている電圧値が容量素子44cに保持される。また、第n列選択制御信号HS
nがローレベルからハイレベルに転じると、出力用スイッチ44bが閉じて、容量素子44cに保持されている電圧値が電圧出力用配線48へ出力される。
【0037】
図5は、各信号のタイミングチャートである。
図5には、上から順に、(a)リセット制御信号RE、(b)行選択制御信号VS
d、(c)第1行選択制御信号VS
1、(d)第2行選択制御信号VS
2、(e)第3行選択制御信号VS
3、(f)第4行選択制御信号VS
4、(g)第M行選択制御信号VS
M、(h)保持制御信号Hd、及び(i)第1列選択制御信号HS
1〜第N列選択制御信号HS
Nがそれぞれ示されている。
【0038】
まず、時刻t
10から時刻t
11までの期間、リセット制御信号REがハイレベルとされる。これにより、N個の積分回路42それぞれにおいて、放電用スイッチ42cが閉状態となり、容量素子42bが放電される。
【0039】
時刻t
11より後の時刻t
12から時刻t
13までの期間、垂直シフトレジスタ60が行選択制御信号VS
dをハイレベルとする。これにより、キャリア捕獲領域DB
1〜DB
N+1においてトランジスタ21が接続状態となり、キャリア捕獲領域DB
1〜DB
N+1それぞれのフォトダイオード22に蓄積された電荷が、読出用配線R
1〜R
Nを通って積分回路42に出力され、容量素子42bに蓄積される。その後、時刻t
13より後の時刻t
14から時刻t
15までの期間、リセット制御信号REがハイレベルとされる。これにより、N個の積分回路42それぞれにおいて、放電用スイッチ42cが閉状態となり、容量素子42bに蓄積されていた電荷が放出される。
【0040】
続いて、時刻t
15より後の時刻t
16から時刻t
17までの期間、第1行選択制御信号VS
1をハイレベルとする。これにより、第1行の画素P
1,1〜P
1,N及びキャリア捕獲領域DA
1においてトランジスタ21が接続状態となる。画素P
1,1〜P
1,Nそれぞれのフォトダイオード22に蓄積された電荷は、読出用配線R
1〜R
Nを通って積分回路42に出力され、容量素子42bに蓄積される。積分回路42からは、容量素子42bに蓄積された電荷量に応じた大きさの電圧値が出力される。一方、キャリア捕獲領域DA
1のフォトダイオード22に蓄積された電荷は、電荷排出用配線R
dを通って基準電位線GNDへ放出される。
【0041】
そして、時刻t
17より後の時刻t
18から時刻t
19までの期間、保持制御信号Hdがハイレベルとされ、これにより、N個の保持回路44のそれぞれにおいて入力用スイッチ44aが接続状態となり、積分回路42から出力された電圧値が容量素子44cによって保持される。
【0042】
続いて、時刻t
19より後の時刻t
20から時刻t
21までの期間、水平シフトレジスタ61が第1列選択制御信号HS
1〜第N列選択制御信号HS
Nを順次ハイレベルとする。これにより、N個の保持回路44の出力用スイッチ44bが順次閉状態となり、容量素子44cに保持されていた電圧値が逐次に電圧出力用配線48へ出力される。また、この間、リセット制御信号REがハイレベルとされ、積分回路42の容量素子42bが放電される。
【0043】
続いて、時刻t
21より後の時刻t
22から時刻t
23までの期間、垂直シフトレジスタ60が第2行選択制御信号VS
2をハイレベルとする。これにより、第2行の画素P
2,1〜P
2,N及びキャリア捕獲領域DA
2においてトランジスタ21が接続状態となる。画素P
2,1〜P
2,Nそれぞれのフォトダイオード22に蓄積された電荷は、読出用配線R
1〜R
Nを通って積分回路42に出力され、容量素子42bに蓄積される。一方、キャリア捕獲領域DA
2のフォトダイオード22に蓄積された電荷は、電荷排出用配線R
dを通って基準電位線GNDへ放出される。以降、第1行と同様の動作によって、容量素子42bに蓄積された電荷量に応じた大きさの電圧値がN個の保持回路44から逐次に電圧出力用配線48へ出力される。そして、第3行ないし第M行の画素に蓄積された電荷についても、第1行と同様の動作によって電圧値に変換され、逐次に電圧出力用配線48へ出力される。こうして、受光部20からの一つの撮像フレーム分の画像データの読み出しが完了する。
【0044】
以上に説明した本実施形態による固体撮像装置1Aが奏する効果について説明する。本実施形態の固体撮像装置1Aでは、受光部20だけでなく受光部20の周囲の領域にも光が入射する。また、固体撮像装置1AはX線撮像装置として用いられるが、受光部20の周囲の領域がシンチレータによって覆われていたとしても、シンチレータを透過したX線およびシンチレータからのシンチレーション光が受光部20の周囲の領域に入射する。これにより、受光部20の周囲の領域では不要な電荷(不要キャリア)が発生してしまう。特に、受光部20と並んで配置される垂直シフトレジスタ60は或る程度の面積を有しているので、垂直シフトレジスタ60が形成されている領域において多くの不要キャリアが発生する。
【0045】
垂直シフトレジスタ60において発生した不要キャリアが受光部20に流入すると、垂直シフトレジスタ60に隣接する画素P
1,N〜P
M,Nからの出力にノイズが重畳されてしまう。
図6は、このような現象を回避するため、垂直シフトレジスタ60と受光部20との間の領域に、不要キャリアを吸収するためのフォトダイオード(ダミーフォトダイオード)81を配置した例を示す平面図である。このダミーフォトダイオード81は、複数行にわたって形成されており、第1行から第M行まで連続的に形成されている(すなわち列方向につながっている)。このダミーフォトダイオード81を基準電位線(接地配線)GNDに短絡することにより、垂直シフトレジスタ60において発生した不要キャリアを基準電位線GNDへ放出し、受光部20への流入を防ぐことができる。
【0046】
しかしながら、この方式には次の課題がある。通常、受光部20において互いに隣接する画素間には、これらのフォトダイオード22間に生じるカップリング容量等に起因するクロストークが存在する。また、各画素では、トランジスタ21を介して互いに繋がっているフォトダイオード22と行選択用配線Q
mとの間に寄生容量が存在しており、この寄生容量もまた、クロストークに影響する。しかし、上述したダミーフォトダイオード81にはトランジスタが設けられていないので、そのような寄生容量は生じない。このため、ダミーフォトダイオード81に隣接する画素P
1,N〜P
M,Nでは、他の画素と比較してクロストークの程度が異なり、ダミーフォトダイオード81に隣接する画素P
1,N〜P
M,Nからの出力特性やノイズの大きさが他の画素とは異なってしまう。
【0047】
このような課題に鑑み、本実施形態の固体撮像装置1Aでは、垂直シフトレジスタ60と受光部20との間のキャリア捕獲領域DA
1〜DA
Mにおいて、M個のフォトダイオード(ダミーフォトダイオード)22が各行毎に配置されている。垂直シフトレジスタ60において発生する不要キャリアは、これらのフォトダイオード22によって吸収される。これにより、垂直シフトレジスタ60において発生した不要キャリアに起因するノイズが受光部20の画素からの出力に重畳されることを効果的に防ぐことができる。
【0048】
また、この固体撮像装置1Aでは、キャリア捕獲領域DA
1〜DA
Mのフォトダイオード22と電荷排出用配線R
dとがトランジスタ21を介して接続されており、トランジスタ21が導通状態となったときに、不要キャリアがフォトダイオード22から電荷排出用配線R
dを経て基準電位線GNDへ排出される。このように、固体撮像装置1Aでは、受光部20内の各画素P
1,1〜P
M,Nと同様に、キャリア捕獲領域DA
1〜DA
Mのフォトダイオード22にもトランジスタ21が設けられている。また、各行のキャリア捕獲領域DA
1〜DA
Mそれぞれにフォトダイオード22が設けられているため、列方向に隣接するキャリア捕獲領域DA
1〜DA
Mのフォトダイオード22は互いに離間している。従って、本実施形態の固体撮像装置1Aによれば、キャリア捕獲領域DA
1〜DA
Mに隣接する画素P
1,N〜P
M,Nにおけるクロストークの大きさを、他の画素におけるクロストークの大きさに近づけることができるので、画素P
1,N〜P
M,Nからの出力特性やノイズの大きさを他の画素のそれに近づけることが可能となる。また、キャリア捕獲領域DA
1〜DA
Mが遮光されていないか、または一部のみ遮光されている場合には、他の画素P
1,1〜P
M,Nと同様にキャリア捕獲領域DA
1〜DA
Mのフォトダイオード22にも光が入射してキャリアが発生するので、キャリアの蓄積量も他の画素に近づけることが可能となる。
【0049】
また、本実施形態のように、垂直シフトレジスタ60と受光部20とは、共通の基板12上に形成されていてもよい。このような場合には、垂直シフトレジスタ60において発生した不要キャリアが受光部20に流入し易いが、本実施形態の固体撮像装置1Aによれば、受光部20への不要キャリアの流入を効果的に防ぐことができる。
【0050】
また、本実施形態のように、キャリア捕獲領域DA
1〜DA
Mのトランジスタ21の各制御端子は、各画素P
1,1〜P
M,Nのトランジスタ21の各制御端子と共通の行選択用配線Q
1〜Q
Mに接続されていることが好ましい。これにより、キャリア捕獲領域DA
1〜DA
Mのフォトダイオード22と行選択用配線Q
1〜Q
Mとの間の寄生容量値を、各画素P
1,1〜P
M,Nのフォトダイオード22と行選択用配線Q
1〜Q
Mとの間の寄生容量値に近づけることができる。従って、キャリア捕獲領域DA
1〜DA
Mに隣接する画素P
1,N〜P
M,Nにおけるクロストークの大きさを、他の画素におけるクロストークの大きさに更に近づけることができる。
【0051】
ここで、本実施形態に係る固体撮像装置1Aの製造工程における露光方法について説明する。固体撮像装置1Aを製造する際には、多数の画素P
1,N〜P
M,Nおよびキャリア捕獲領域DA
1〜DA
M、DB
1〜DB
N+1を、所定パターンを含むレチクルを使用しつつフォトリソグラフィ技術によって作製する。このとき、各画素P
1,N〜P
M,Nが互いに共通の構成を有することから、所定パターンを含むレチクルの位置を移動させながら複数回にわたって露光を行う、いわゆる継ぎ露光が行われる。
図7(a)は、受光部20の平面図であって、継ぎ露光の境界線(継ぎ目)LAの一例を示している。
図7(a)に示される例では、矩形状のフォトダイオード22の中心を通る線を境界線LA,LBとしている。この場合、
図7(b)に示されるように、キャリア捕獲領域DA
1〜DA
M、DB
1〜DB
N+1のフォトダイオード22の大きさは、画素P
1,N〜P
M,Nのフォトダイオード22の大きさとほぼ同等となる。
【0052】
また、
図8(a)は、受光部20の平面図であって、継ぎ露光の境界線LAの別の例を示している。
図8(a)に示される例では、列方向の境界線LAが、矩形状のフォトダイオード22の中心に対して左側(すなわちキャリア捕獲領域DA
1〜DA
Mから離れる側)に寄っており、また、行方向の境界線LBが、矩形状のフォトダイオード22の中心に対して上側(すなわちキャリア捕獲領域DB
1〜DB
Nから離れる側)に寄っている。この場合、
図8(b)に示されるように、キャリア捕獲領域DA
1〜DA
M、DB
1〜DB
N+1のフォトダイオード22の大きさを、画素P
1,N〜P
M,Nのフォトダイオード22の大きさよりも小さくすることができる。具体的には、行方向におけるキャリア捕獲領域DA
1〜DA
Mのフォトダイオード22の幅を、該方向における画素P
1,N〜P
M,Nのフォトダイオード22の幅よりも短くすることができる。また、列方向におけるキャリア捕獲領域DB
1〜DB
Nのフォトダイオード22の幅を、該方向における画素P
1,N〜P
M,Nのフォトダイオード22の幅よりも短くすることができる。従って、受光部20の周囲に必要とされる領域を狭くすることができる。
【0053】
上記のようにキャリア捕獲領域DA
1〜DA
M、DB
1〜DB
N+1のフォトダイオード22を小さくすることには、次の利点がある。
図9は、2枚のガラス基板12を並べて配置した例を概略的に示す平面図である。これらのガラス基板12上には、受光部20の画素P
1,N〜P
M,Nと、キャリア捕獲領域DA
1〜DA
M及びDB
1〜DB
N+1とが形成されている。固体撮像装置全体での受光部の面積を更に大きくしたい場合には、このように複数枚のガラス基板12を並べて配置することが有効である。このとき、2枚のガラス基板12上における画素P
1,N〜P
M,N、キャリア捕獲領域DA
1〜DA
M及びDB
1〜DB
Nの配置を同一とすれば、部品を共通化して製造コストを低く抑えることができる。しかし、その場合、2つの受光部20の間にキャリア捕獲領域DA
1〜DA
Mが位置することとなり、その領域は画像を取得できない不感領域(デッドエリア)となる。このような場合、行方向におけるキャリア捕獲領域DA
1〜DA
Mのフォトダイオード22の幅を、該方向における画素P
1,N〜P
M,Nのフォトダイオード22の幅よりも短くすることによって、上記の不感領域を狭くすることが可能となる。
【0054】
また、
図8(a)を参照すると、通常の画素P
m+1,nにおいて、P
m+1,n+1に近い側にトランジスタが形成されている。また、画素P
m+1,nの継ぎ目(境界線LA)は、画素P
m+1,n−1に近い側に存在している。つまり、画素P
m+1,nの中心に対して、画素の一方の側にトランジスタ、他方の側に継ぎ目(境界線LA)が存在することとなり、行方向において継ぎ目とトランジスタとの距離が大きくなる。このように、継ぎ目とトランジスタとを物理的に離すことができるので、製造不良を少なくすることができる。
【0055】
本発明による固体撮像装置は、上述した実施形態に限られるものではなく、他に様々な変形が可能である。例えば、上記実施形態に示された受光部は、ガラス基板上にアモルファスシリコンや多結晶シリコンが成膜された構成を備えてもよい。この場合、トランジスタ21は薄膜トランジスタによって好適に実現される。或いは、受光部は、単結晶シリコン基板上に作製されてもよい。
【0056】
また、上記実施形態では、各画素に増幅回路を有さず、各列の読出し用配線毎に積分回路が設けられた、いわゆるパッシブピクセルセンサ(PPS)について本発明を適用したが、本発明は、各画素毎に増幅回路を有する、いわゆるアクティブピクセルセンサ(APS)に適用されてもよい。
【0057】
また、上記実施形態では、受光部に対し列方向に並んでキャリア捕獲領域DB
1〜DB
N+1が設けられている例を示したが、キャリア捕獲領域DB
1〜DB
N+1は省略されてもよい。