特許第6185120号(P6185120)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】6185120
(24)【登録日】2017年8月4日
(45)【発行日】2017年8月23日
(54)【発明の名称】粉末茶組成物の製造方法
(51)【国際特許分類】
   A23F 3/32 20060101AFI20170814BHJP
【FI】
   A23F3/32
【請求項の数】7
【全頁数】22
(21)【出願番号】特願2016-139863(P2016-139863)
(22)【出願日】2016年7月15日
【審査請求日】2016年7月28日
(73)【特許権者】
【識別番号】000000918
【氏名又は名称】花王株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000084
【氏名又は名称】特許業務法人アルガ特許事務所
(74)【代理人】
【識別番号】100077562
【弁理士】
【氏名又は名称】高野 登志雄
(74)【代理人】
【識別番号】100096736
【弁理士】
【氏名又は名称】中嶋 俊夫
(74)【代理人】
【識別番号】100117156
【弁理士】
【氏名又は名称】村田 正樹
(74)【代理人】
【識別番号】100111028
【弁理士】
【氏名又は名称】山本 博人
(72)【発明者】
【氏名】杉山 征輝
(72)【発明者】
【氏名】霜田 祐一
【審査官】 宮岡 真衣
(56)【参考文献】
【文献】 特開2010−068741(JP,A)
【文献】 特開2005−224142(JP,A)
【文献】 特開2009−201507(JP,A)
【文献】 特開昭54−076899(JP,A)
【文献】 特開2006−296341(JP,A)
【文献】 特開昭59−042846(JP,A)
【文献】 特開昭58−198246(JP,A)
【文献】 特開昭62−019051(JP,A)
【文献】 特開平01−181781(JP,A)
【文献】 国際公開第2006/085710(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A23F 3/00−3/42
JSTPlus/JMEDPlus/JST7580(JDreamIII)
FSTA/WPIDS(STN)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
流動層造粒装置内に70〜95℃の熱風を送り込み、流動状態にしたカテキン類含有原料に水性媒体を断続的に噴霧し、噴霧と噴霧中断とを1サイクルとして繰り返し行う造粒工程を備え、
カテキン類含有原料及び水性媒体のうちの少なくとも一方が糖を含
全加熱時間が、カテキン類含有原料1kg当たり、0.01〜3分/kgである、
粉末茶組成物の製造方法。
【請求項2】
水性媒体の噴霧速度が、カテキン類含有原料1kg当たり、60mL/分/kg以下である、請求項1記載の粉末茶組成物の製造方法。
【請求項3】
造粒工程において、1サイクル当たりの噴霧中断時間と噴霧時間との比(噴霧中断時間/造粒時間)が0.05〜0.8秒/秒である、請求項1又は2記載の粉末茶組成物の製造方法。
【請求項4】
カテキン類含有原料が糖を含み、カテキン類含有原料中の糖の含有量が1〜80質量%である、請求項1〜のいずれか1項に記載の粉末茶組成物の製造方法。
【請求項5】
水性媒体が水である、請求項1〜のいずれか1項に記載の粉末茶組成物の製造方法。
【請求項6】
カテキン類含有原料が、カテキン類源として、茶抽出乾燥物を含む、請求項1〜のいずれか1項に記載の粉末茶組成物の製造方法。
【請求項7】
カテキン類含有原料中の茶抽出乾燥物の含有量が15〜60質量%である、請求項記載の粉末茶組成物の製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、粉末茶組成物の製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
粉末茶組成物は、カップ等の容器に入れてお湯を注ぐだけで手軽に飲用できる茶飲料であり、急須等を用いて茶葉から淹れた茶飲料のように廃棄物の処理を要しない点で利便性に優れている。粉末茶組成物としては、例えば、茶葉を水又は湯で抽出したものを乾燥して粉末状した茶抽出乾燥物や、碾茶を石臼等で粉砕することにより粉末状にした抹茶等の茶葉粉砕物がある。しかしながら、茶葉粉砕物は、熱水を注いだときにダマを生じやすい。
【0003】
熱水を注いだときのダマの発生を抑制する技術として、例えば、茶葉粉砕物を流動層造粒により安息角を45度未満に制御した茶葉顆粒が提案されている(特許文献1)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2010−68741号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明者らは、熱水を注ぐだけで手軽に飲用できる粉末茶組成物を開発すべく、カテキン類含有原料を流動層造粒したところ、糖を用いた場合に特異的に白色塊状物が発生することが判明した。
本発明の課題は、糖を用いる流動層造粒において、白色塊状物の発生が抑制された粉末茶組成物の製造方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明者らは上記課題に鑑み検討したところ、糖を用いる流動層造粒において、装置内に供給する熱風の温度を特定範囲内に制御しつつ、バインダーを断続的に噴霧することにより、白色塊状物の発生が抑制できることを見出した。
【0007】
すなわち、本発明は、流動層造粒装置内に70〜95℃の熱風を送り込み、流動状態にしたカテキン類含有原料に水性媒体を断続的に噴霧し、噴霧と噴霧中断とを1サイクルとして繰り返し行う造粒工程を備え、
カテキン類含有原料及び水性媒体のうちの少なくとも一方が糖を含む、
粉末茶組成物の製造方法を提供するものである。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、糖を用いる流動層造粒において、白色塊状物の発生が抑制された粉末茶組成物の製造方法を提供することができる。
【発明を実施するための形態】
【0009】
本発明の粉末茶組成物の製造方法は、流動層造粒装置内に70〜95℃の熱風を送り込み、流動状態にしたカテキン類含有原料に水性媒体を断続的に噴霧し、噴霧と噴霧中断とを1サイクルとして繰り返し行う造粒工程を備えるものである。
【0010】
(流動層造粒装置)
流動層造粒装置としては、流動層造粒に通常使用されているものであれば特に限定されないが、例えば、被処理物を収容・造粒・乾燥するための造粒槽と、被処理物を流動させる熱風を供給する熱風供給装置と、被処理物に液体を噴霧するためのスプレーノズルとを備える装置が挙げられる。このような流動層造粒装置として、例えば、フローコーター(フロイント産業社製)、GPCG−CTシリーズ、WST/WSGシリーズ、BFシリーズ、パルス流動層造粒乾燥装置、MPシリーズ(以上、パウレック社製)等を挙げることができる。
【0011】
(カテキン類含有原料)
カテキン類含有原料は、カテキン類源として、茶葉粉砕物若しくは茶抽出乾燥物、又はそれら両方を適宜選択して使用することができる。中でも、粉末茶組成物の水への溶解性の観点から、茶抽出乾燥物を使用することが好ましい。
カテキン類は、茶葉に含まれている。茶葉としては、例えば、Camellia属、例えば、C. sinensis var.sinensis(やぶきた種を含む)、C. sinensis var.assamica及びそれらの雑種から選択される茶葉(Camellia sinensis)を挙げられ、加工方法により、不発酵茶葉、半発酵茶葉、発酵茶葉に分類することができる。不発酵茶葉としては、例えば、煎茶、番茶、碾茶、釜入り茶、茎茶、棒茶、芽茶等の緑茶葉が挙げられる。また、半発酵茶葉としては、例えば、鉄観音、色種、黄金桂、武夷岩茶等の烏龍茶葉が挙げられる。更に、発酵茶葉としては、ダージリン、アッサム、スリランカ等の紅茶葉が挙げられる。中でも、カテキン類を豊富に含む点で、緑茶葉が好ましい。なお、茶葉は1種又は2種以上を用いることができる。ここで、本明細書において「カテキン類」とは、カテキン、ガロカテキン、エピカテキン及びエピガロカテキン等の非ガレート体と、カテキンガレート、ガロカテキンガレート、エピカテキンガレート及びエピガロカテキンガレート等のガレート体を併せての総称である。本発明においては、上記8種のカテキン類のうち少なくとも1種を含有すればよい。なお、カテキン類の含有量は、上記8種のカテキン類の合計量に基づいて定義される。
【0012】
茶葉粉砕物としては茶葉を粉砕したものであれば特に限定されないが、例えば、抹茶を挙げることができる。茶葉粉砕物は、通常平均粒子径(d50)が100μm以下となるように茶葉を粉砕したものであるが、茶葉粉砕物の平均粒子径(d50)は、0.1μm以上が好ましく、1μm以上がより好ましく、そして50μm以下が好ましく、30μm以下がより好ましい。茶葉粉砕物の平均粒子径(d50)の範囲としては、好ましくは0.1〜100μm、より好ましくは0.1〜50μm、更に好ましくは1〜30μmである。ここで、本明細書において「平均粒子径(d50)」とは、試料の粒度分布を体積基準で作成したときに積算分布曲線の50%に相当する粒子径(d50)を意味し、具体的には、後掲の実施例に記載の方法により測定することができる。
【0013】
茶抽出乾燥物は、茶葉から抽出により得られた茶抽出物、該茶抽出物の濃縮物又はそれらの精製物(以下、「茶抽出物等」とも称する)を乾燥し、粉末状としたものである。茶抽出液等の乾燥方法としては、例えば、凍結乾燥、噴霧乾燥等を挙げることができる。ここで、「茶抽出物」とは、茶葉から水又は水溶性有機溶媒により抽出して得られた抽出液であって、濃縮や精製操作が行われていないものをいう。抽出方法としては、ニーダー抽出、攪拌抽出(バッチ抽出)、向流抽出(ドリップ抽出)、カラム抽出等の公知の方法を採用することができる。また、「茶抽出物の濃縮物」とは、茶抽出物から溶媒の一部を除去してカテキン類濃度を高めたものであり、例えば、特開昭59−219384号公報、特開平4−20589号公報、特開平5−260907号公報、特開平5−306279号公報などに記載の方法により製造することができる。その形態としては、固体、水溶液、スラリー状等種々のものがある。茶抽出物の濃縮物として、例えば、三井農林(株)「ポリフェノン」、伊藤園(株)「テアフラン」、太陽化学(株)「サンフェノン」等の市販品を使用してもよい。
【0014】
更に、「茶抽出物又はその濃縮物の精製物」とは、茶抽出物又はその濃縮物を精製してカテキン類の純度を高めたものであり、例えば、下記(i)及び(ii)のいずれかの方法、あるいは2以上の組み合わせにより得られたものが挙げられる。
(i)茶抽出物を、水又は有機溶媒水溶液(例えば、エタノール水溶液)との混合液に懸濁させ、生じた沈殿を除去する方法(例えば、特開2004−147508号公報、特開2004−149416号公報)。
(ii)茶抽出物を、活性炭、酸性白土及び活性白土から選択される1以上の吸着剤と接触させる方法(例えば、特開2007−282568号公報)。
上記(i)及び(ii)の方法において、茶抽出物としてタンナーゼ処理したものを使用することも、(i)及び(ii)の処理後、タンナーゼ処理することもできる。ここで、「タンナーゼ処理」とは、茶抽出物を、タンナーゼ活性を有する酵素と接触させることをいう。なお、タンナーゼ処理における具体的な操作方法は公知の方法を採用することが可能であり、例えば、特開2004−321105号公報に記載の方法を挙げることができる。
【0015】
茶抽出乾燥物の平均粒子径(d50)は適宜選択可能であるが、造粒効率、溶解性の観点から、5μm以上が好ましく、10μm以上がより好ましく、15μm以上が更に好ましく、20μm以上が殊更に好ましく、そして200μm以下が好ましく、160μm以下がより好ましく、120μm以下が更に好ましく、80μm以下が殊更に好ましい。茶抽出乾燥物の平均粒子径(d50)の範囲としては、好ましくは5〜200μm、より好ましくは10〜160μm、更に好ましくは15〜120μm、殊更に好ましくは20〜80μmである。
【0016】
茶抽出乾燥物若しくは茶葉粉砕物の含有量、又はこれらの合計含有量は、本発明で製造される粉末茶組成物に対して、風味の観点から、15質量%以上が好ましく、20質量%以上がより好ましく、25質量%以上が更に好ましく、30質量%以上が殊更に好ましく、また溶解性の観点から、60質量%以下が好ましく、55質量%以下がより好ましく、50質量%以下が更に好ましく、45質量%以下が殊更に好ましい。かかる含有量の範囲としては、粉末茶組成物に対して、好ましくは15〜60質量%、より好ましくは20〜55質量%、更に好ましくは25〜50質量%、殊更に好ましくは30〜45質量%である。
さらに、茶抽出乾燥物若しくは茶葉粉砕物の含有量は、又はこれらの合計含有量は、造粒効率の観点から、カテキン類含有原料に対して、好ましくは15〜60質量%、より好ましくは20〜55質量%、更に好ましくは25〜50質量%、殊更に好ましくは30〜45質量%である。
【0017】
(水性媒体)
水性媒体としては、例えば、水、有機溶媒水溶液等が挙げられる。中でも、溶解性の観点から、水が好ましい。有機溶媒水溶液中の有機溶媒としては、水溶性有機溶媒が好ましい。水溶性有機溶媒としては、例えば、エタノール、メタノール等のアルコール、アセトン等のケトン、テトラヒドロフラン、ジオキサン等のエーテル、酢酸エチル等のエステルが挙げられる。中でも、食品への使用を考慮すると、アルコールが好ましく、エタノールが更に好ましい。
有機溶媒水溶液中の有機溶媒の濃度は、溶解性の観点から、45質量%以下が好ましく、40質量%以下がより好ましく、35質量%以下が更に好ましく、30質量%以下が殊更に好ましい。かかる水溶性有機溶媒の濃度の下限値は適宜選択可能であるが、通常0質量%が好ましい。
【0018】
(糖)
本発明においては、カテキン類含有原料及び水性媒体のうちの少なくとも一方に糖が含まれている。中でも、少なくともカテキン類含有原料が糖を含有することが好ましい。なお、糖は、1種又は2種以上含有することができる。
糖としては、例えば、例えば、果糖、ブドウ糖、タガトース、アラビノース等の単糖;乳糖、トレハロース、麦芽糖、ショ糖等の二糖;キシロオリゴ糖、フラクトオリゴ糖、ガラクトオリゴ糖、ラクトース、パラチノース、大豆オリゴ糖、ラフィノース、イソマルトオリゴ糖等のオリゴ糖;澱粉、デキストリン、マルトデキストリン、サイクロデキストリン、ペクチン、ローカストビーンガム等の多糖が挙げられる。中でも、造粒効率、白色塊状物発生抑制の観点から、多糖が好ましく、サイクロデキストリンが更に好ましい。
【0019】
カテキン類含有原料中及び水性媒体中の糖の合計含有量は、本発明で製造される粉末茶組成物に対して、1質量%以上が好ましく、10質量%以上がより好ましく、30質量%以上が更に好ましく、40質量%以上がより更に好ましく、50質量%以上が殊更に好ましい。カテキン類含有原料中及び水性媒体中の糖の合計含有量が、本発明で製造される粉末茶組成物に対して1質量%以上であると、緑茶風味との相性が良好で、また造粒時の糖に由来する白色塊状物の発生抑制効果が明確になる。また、カテキン類含有原料中及び水性媒体中の糖の合計含有量は、本発明で製造される粉末茶組成物に対して、90質量%以下が好ましく、80質量%以下がより好ましく、70質量%以下が更に好ましく、65質量%以下がより更に好ましく、60質量%以下が殊更に好ましい。カテキン類含有原料中及び水性媒体中の糖の合計含有量が、本発明で製造される粉末茶組成物に対して、90質量%以下であると、糖に由来する白色塊状物の発生抑制効果に優れる。カテキン類含有原料中及び水性媒体中の糖の合計含有量の範囲としては、好ましくは1〜80質量%、より好ましくは20〜75質量%、更に好ましくは30〜70質量%、更に好ましくは40〜70質量%、殊更に好ましくは50〜65質量%である。
さらに、カテキン類含有原料が糖を含有する場合、カテキン類含有原料中の糖の含有量は、造粒効率の観点から、好ましくは1〜80質量%、より好ましくは20〜75質量%、更に好ましくは30〜70質量%、更に好ましくは40〜70質量%、殊更に好ましくは50〜65質量%である。
【0020】
(添加剤)
カテキン類含有原料及び水性媒体のうちの少なくとも一方には、必要により、酸化防止剤、香料、色素、乳化剤、保存料、調味料、酸味料、アミノ酸、たんぱく質、果汁エキス、野菜エキス、花蜜エキス、植物油脂、有機酸、有機酸塩、無機塩、pH調整剤、品質安定剤等の添加剤を1種又は2種以上含有させることができる。なお、カテキン類含有原料中及び水性媒体中の添加剤の合計含有量は、本発明で製造される粉末茶組成物に対して、風味の観点から、0〜30質量%が好ましく、1〜20質量%がより好ましく、2〜15質量%が更に好ましく、4〜10質量%が殊更に好ましい。
さらに、カテキン類含有原料が添加剤を含有する場合、カテキン類含有原料中の添加剤の含有量は、0.01〜30質量%が好ましく、1〜20質量%がより好ましく、2〜15質量%が更に好ましく、4〜10質量%が殊更に好ましい。
【0021】
(造粒工程)
本工程は、カテキン類含有原料を流動層造粒し、造粒物を得る工程である。例えば、造粒層の下方から熱風を送り込み、カテキン類含有原料を空中に巻き上げて流動状態とし、そこにスプレーノズルより水性媒体を断続的に噴霧し、噴霧と噴霧中断とを1サイクルとして繰り返し行う。そして、カテキン類含有原料が凝集又は被覆されることによって粒子が成長することにより造粒物が得られる。
【0022】
カテキン類含有原料を流動化するために吹き込む熱風としては、空気を使用できるが、窒素、二酸化炭素等の不活性ガスや、不活性ガスを含む混合ガスを用いてもよい。熱風として、不活性ガスや混合ガスを用いると、酸化による変質を防止することができる。
熱風温度は70〜95℃であるが、造粒効率、白色塊状物発生抑制の観点から、71℃以上が好ましく、75℃以上がより好ましく、80℃以上が更に好ましく、そして94℃以下が好ましく、93℃以下がより好ましく、90℃以下が更に好ましい。かかる熱風温度の範囲としては、好ましくは71〜94℃、より好ましくは75〜93℃、更に好ましくは80〜90℃である。
【0023】
水性媒体を噴霧する際の条件は適宜選択可能であるが、例えば、次の条件で行うことができる。
水性媒体の全噴霧量は、溶解性の観点から、カテキン類含有原料1kg当たり、0.05L/kg以上が好ましく、0.07L/kg以上がより好ましく、0.08L/kg以上が更に好ましく、0.09L/kg以上が殊更に好ましく、そして、造粒効率及び風味の観点から、0.6L/kg以下が好ましく、0.35L/kg以下がより好ましく、0.25L/kg以下が更に好ましく、0.15L/kg以下が殊更に好ましい。かかる水性媒体の全噴霧量の範囲としては、カテキン類含有原料1kg当たり、好ましくは0.05〜0.6L/kg、より好ましくは0.07〜0.35L/kg、更に好ましくは0.08〜0.25L/kg、殊更に好ましくは0.09〜0.15L/kgである。
水性媒体の温度は、造粒効率の観点から、好ましくは10〜95℃、より好ましくは20〜85℃、更に好ましくは40〜80℃、殊更に好ましくは45〜75℃、殊更に好ましくは50〜70℃である。
水性媒体の温度は、造粒効率の観点から、好ましくは10〜95℃、より好ましくは20〜85℃、更に好ましくは40〜80℃、殊更に好ましくは45〜75℃、殊更に好ましくは50〜70℃である。
水性媒体の噴霧速度は、造粒効率、粒子の均一性の観点から、カテキン類含有原料1kg当たり、1mL/分/kg以上が好ましく、2mL/分/kg以上がより好ましく、4mL/分/kg以上が更に好ましく、6mL/分/kg以上が殊更に好ましく、8mL/分/kg以上が殊更に好ましく、そして60mL/分/kg以下が好ましく、58mL/分/kg以下がより好ましく、54mL/分/kg以下が殊更に好ましく、50mL/分/kg以下が殊更に好ましい。かかる噴霧速度の範囲としては、カテキン類含有原料1kg当たり、好ましくは1〜60mL/分/kg、より好ましくは2〜58mL/分/kg、更に好ましくは4〜54mL/分/kg、殊更に好ましくは6〜50mL/分/kg、殊更に好ましくは8〜50mL/分/kgである。
【0024】
さらに、水性媒体を断続的に噴霧する際の条件は適宜選択可能であるが、例えば、次の条件で行うことができる。
1サイクルあたりの水性媒体の噴霧時間は、造粒効率、白色塊状物発生抑制の観点から、10秒/回以上が好ましく、15秒/回以上がより好ましく、20秒/回以上が更に好ましく、25秒/回以上が殊更に好ましく、そして180秒/回以下が好ましく、165秒/回以下がより好ましく、150秒/回以下が更に好ましく、130秒/回以下が殊更に好ましい。かかる噴霧時間の範囲としては、好ましくは10〜180秒/回、より好ましくは15〜165秒/回、更に好ましくは20〜150秒/回、殊更に好ましくは25〜130秒/回である。
1サイクルあたりの噴霧中断時間は、造粒効率、白色塊状物発生抑制の観点から、1秒/回以上が好ましく、3秒/回以上がより好ましく、5秒/回以上が更に好ましく、7秒/回以上が殊更に好ましく、そして120秒/回以下が好ましく、100秒/回以下がより好ましく、80秒/回以下が更に好ましく、70秒/回以下が殊更に好ましい。かかる噴霧中断時間の範囲としては、好ましくは1〜120秒/回、より好ましくは3〜100秒/回、更に好ましくは5〜80秒/回、殊更に好ましくは7〜70秒/回である。
1サイクルあたりの噴霧時間と噴霧中断時間との比(噴霧中断時間/噴霧時間)は、造粒効率、白色塊状物発生抑制の観点から、0.05秒/秒以上が好ましく、0.1秒/秒以上がより好ましく、0.15秒/秒以上が更に好ましく、0.3秒/秒以上が殊更に好ましく、そして0.8秒/秒以下が好ましく、0.7秒/秒以下がより好ましく、0.6秒/秒以下が更に好ましく、0.5秒/秒以下が殊更に好ましい。かかる比(噴霧中断時間/噴霧時間)の範囲としては、好ましくは0.05〜0.8秒/秒、より好ましくは0.1〜0.7秒/秒、更に好ましくは0.15〜0.6秒/秒、殊更に好ましくは0.3〜0.5秒/秒である。
1サイクルあたりの水性媒体の噴霧量は、カテキン類含有原料1kgに対して、造粒効率、白色塊状物発生抑制の観点から、1mL/回/kg以上が好ましく、5mL/回/kg以上がより好ましく、10mL/回/kg以上が更に好ましく、15mL/回/kg以上が殊更に好ましく、そして50mL/回/kg以下が好ましく、40mL/回/kg以下がより好ましく、30mL/回/kg以下が更に好ましく、25mL/回/kg以下が殊更に好ましい。かかる噴霧量の範囲としては、好ましくは1〜50mL/回/kg、より好ましくは5〜40mL/回/kg、更に好ましくは10〜30mL/回/kg、殊更に好ましくは15〜25mL/回/kgである。
【0025】
造粒工程時間は、風味、造粒効率、白色塊状物発生抑制の観点から、1分以上が好ましく、2分以上がより好ましく、3分以上が更に好ましく、3.5分以上が殊更に好ましく、そして45分以下が好ましく、40分以下がより好ましく、35分以下が更に好ましく、30分以下が殊更に好ましい。かかる造粒工程時間の範囲としては、好ましくは1〜45分、より好ましくは2〜40分、更に好ましくは3〜35分、殊更に好ましくは3.5〜30分である。
【0026】
(最終乾燥工程)
造粒工程後、造粒物の水分活性を低減するために、最終乾燥工程を行うことができる。水分活性を低減させると、微生物増殖抑制の観点で望ましい。
乾燥は、造粒工程終了後、流動層造粒装置の熱風の供給を継続して行ってもよい。また、造粒槽から造粒物を取り出し、乾燥に供してもよい、乾燥方法としては、例えば、凍結乾燥、噴霧乾燥等を挙げることができる。
乾燥温度は、造粒効率の観点から、65℃以上が好ましく、70℃以上がより好ましく、75℃以上が更に好ましく、80℃以上がより更に好ましく、そして98℃以下が好ましく、96℃以下がより好ましく、94℃以下が更に好ましく、92℃以下がより更に好ましい。かかる乾燥温度の範囲としては、好ましくは65〜98℃、より好ましくは70〜95℃、更に好ましくは75〜93℃、より更に好ましくは80〜90℃である。
【0027】
全加熱時間(造粒工程時間と最終乾燥工程時間の和をいう)は、造粒効率、風味の観点から、カテキン類含有原料1kg当たり、0.01分/kg以上が好ましく、0.05分/kg以上がより好ましく、0.08分/kg以上が更に好ましく、0.1分/kg以上が殊更に好ましく、そして3分/kg以下が好ましく、2.8分/kg以下がより好ましく、2.7分/kg以下がより好ましく、2.6分/kg以下が更に好ましい。かかる全加熱時間の範囲としては、カテキン類含有原料1kg当たり、好ましくは0.01〜3分/kg、より好ましくは0.05〜2.8分/kg、更に好ましくは0.08〜2.7分/kg、更に好ましくは0.1〜2.6分/kgである。
【0028】
このようにして粉末茶組成物を製造することができるが、本発明の製造方法により得られる粉末茶組成物は、以下の特性を具備することができる。
(1)粉末茶組成物は、平均粒子径(d50)が、風味及び溶解性の観点から、70μm以上が好ましく、80μm以上がより好ましく、85μm以上が更に好ましく、90μm以上が殊更に好ましく、そして250μm以下が好ましく、200μm以下がより好ましく、175μm以下が更に好ましく、150μm以下が殊更に好ましい。かかる平均粒子径(d50)の範囲としては、好ましくは70〜250μm、より好ましくは80〜200μm、更に好ましくは85〜175μm、殊更に好ましくは90〜150μmである。
(2)粉末茶組成物は、d10とd90との比(d90/d10)が、風味及び溶解性の観点から、1以上が好ましく、2以上がより好ましく、3以上が更に好ましく、4以上が殊更に好ましく、そして60以下が好ましく、45以下がより好ましく、30以下が更に好ましく、20以下が殊更に好ましい。かかる比(d90/d10)の範囲としては、好ましくは1〜60、より好ましくは2〜45、更に好ましくは3〜30、殊更に好ましくは4〜20である。ここで、本明細書において「d10」とは、試料の粒度分布を体積基準で作成したときに積算分布曲線の10%に相当する粒子径(d10)を意味し、また「d90」とは、試料の粒度分布を体積基準で作成したときに積算分布曲線の90%に相当する粒子径(d90)を意味する。
(3)粉末茶組成物は、ゆるめ嵩密度が、溶解性及び充填精度の観点から、0.22kg/L以上が好ましく、0.23kg/L以上がより好ましく、0.24kg/L以上が更に好ましく、0.26kg/L以上が殊更に好ましく、そして0.45kg/L以下が好ましく、0.40kg/L以下がより好ましく、0.37kg/L以下が更に好ましく、0.35kg/L以下が殊更に好ましい。かかるゆるめ嵩密度の範囲としては、好ましくは0.22〜0.45kg/L、より好ましくは0.23〜0.40kg/L、更に好ましくは0.24〜0.37kg/L、殊更に好ましくは0.26〜0.35kg/Lである。ここで、本明細書において「ゆるめ嵩密度」とは、定められた容量のカップへ試料を充填した後、秤量することで導き出される測定値であり、粉体を自然落下させた状態の充填密度いう(引用:新製品紹介“粉体特性評価装置 新型パウダテスタPT−Xの紹介”,粉砕,ホソカワミクロン株式会社,No.55(2012))。例えば、後掲の実施例に記載の方法により測定することができる。
(4)粉末茶組成物は、カテキン類の含有量が、6.5質量%以上が好ましく、7.0質量%以上がより好ましく、8.0質量%以上が更に好ましく、9.0質量%以上が殊更に好ましく、そして15.5質量%以下が好ましく、15.0質量%以下がより好ましく、14.0質量%以下が更に好ましく、13.0質量%以下が殊更に好ましい。かかるカテキン類の含有量の範囲としては、好ましくは6.5〜15.5質量%、より好ましくは7.0〜15.0質量%、更に好ましくは8.0〜14.0質量%、殊更に好ましくは9.0〜13.0質量%である。
【0029】
本発明の粉末茶組成物の製品形態としては、例えば、瓶等に容器詰し、飲用する際にカップ1杯分をスプーン等で計量するもの、カップ1杯分毎に小分けしたもの等とすることができる。中でも、本発明の効果を享受しやすい点から、カップ1杯分毎に小分けしたものが好ましく、例えば、スティック包装したもの、ピロー包装したものを挙げることができる。
【0030】
上記実施形態に関し、本発明は更に以下の製造方法及び方法を開示する。
<1> 流動層造粒装置内に70〜95℃の熱風を送り込み、流動状態にしたカテキン類含有原料に水性媒体を断続的に噴霧し、噴霧と噴霧中断とを1サイクルとして繰り返し行う造粒工程を備え、
カテキン類含有原料及び水性媒体のうちの少なくとも一方が糖を含む、
粉末茶組成物の製造方法。
【0031】
<2> 流動層造粒装置内に70〜95℃の熱風を送り込み、流動状態にしたカテキン類含有原料に水性媒体を断続的に噴霧し、噴霧と噴霧中断とを1サイクルとして繰り返し行う造粒工程を備え、
カテキン類含有原料及び水性媒体のうちの少なくとも一方が糖を含む、
粉末茶組成物の白色塊状物の発生抑制方法。
【0032】
<3>
カテキン類含有原料が、カテキン類源として、茶葉粉砕物若しくは茶抽出乾燥物、又はそれら両方を含み、好ましくは茶抽出乾燥物を含む、前記<1>記載の粉末茶組成物の製造方法、又は前記<2>記載の粉末茶組成物の白色塊状物の発生抑制方法(以下、「粉末茶組成物の製造方法、又は粉末茶組成物の白色塊状物の発生抑制方法」を「製造方法等」と称する)。
<4>
茶葉粉砕物が、好ましくは茶葉を粉砕したもの、更に好ましくは抹茶である、前記<3>記載の製造方法等。
<5>
茶葉粉砕物の平均粒子径(d50)が、好ましくは100μm以下、より好ましくは50μm以下、更に好ましくは30μm以下であって、好ましくは0.1μm以上、更に好ましくは1μm以上である、前記<3>又は<4>記載の製造方法等。
<6>
茶葉粉砕物の平均粒子径(d50)が、好ましくは0.1〜100μm、より好ましくは0.1〜50μm、更に好ましくは1〜30μmである、前記<3>〜<5>のいずれか一に記載の製造方法等。
<7>
茶抽出乾燥物が、好ましくは茶葉から抽出により得られた茶抽出物、該茶抽出物の濃縮物、及びそれらの精製物から選ばれる1種又は2種以上を乾燥し、粉末状としたものである、前記<3>〜<6>のいずれか一に記載の製造方法等。
<8>
茶抽出乾燥物の平均粒子径(d50)が、好ましくは5μm以上、より好ましくは10μm以上、更に好ましくは15μm以上、より更に好ましくは20μm以上であって、好ましくは200μm以下、より好ましくは160μm以下、更に好ましくは120μm以下、より更に好ましくは80μm以下である、前記<3>〜<7>のいずれか一に記載の製造方法等。
<9>
茶抽出乾燥物の平均粒子径(d50)が、好ましくは5〜200μm、より好ましくは10〜160μm、更に好ましくは15〜120μm、殊更に好ましくは20〜80μmである、前記<3>〜<8>のいずれか一に記載の製造方法等。
<10>
茶葉が、好ましくはCamellia属に由来する茶葉であり、より好ましくはC. sinensis var.sinensis(やぶきた種を含む)、C. sinensis var.assamica及びそれらの雑種から選択される茶葉(Camellia sinensis)であり、更に好ましくは不発酵茶葉、半発酵茶葉及び発酵茶葉から選択される1種又は2種以上であり、より更に好ましくは緑茶葉である、前記<4>〜<9>のいずれか一に記載の製造方法等。
【0033】
<11>
カテキン類が、好ましくはカテキン、ガロカテキン、エピカテキン、エピガロカテキン、カテキンガレート、ガロカテキンガレート、エピカテキンガレート及びエピガロカテキンガレートから選ばれる少なくとも1種であり、更に好ましくはこれら8種すべてである、前記<1>〜<10>のいずれか一に記載の製造方法等。
<12>
茶抽出乾燥物若しくは茶葉粉砕物の含有量、又はこれらの合計含有量が、粉末茶組成物に対して、好ましくは15質量%以上、より好ましくは20質量%以上、更に好ましくは25質量%以上、より更に好ましくは30質量%以上であって、好ましくは60質量%以下、より好ましくは55質量%以下、更に好ましくは50質量%以下、より更に好ましくは45質量%以下である、前記<3>〜<11>のいずれか一に記載の製造方法等。
<13>
茶抽出乾燥物若しくは茶葉粉砕物の含有量、又はこれらの合計含有量が、粉末茶組成物に対して、好ましくは15〜60質量%、より好ましくは20〜55質量%、更に好ましくは25〜50質量%、殊更に好ましくは30〜45質量%である、前記<3>〜<12>のいずれか一に記載の製造方法等。
<14>
茶抽出乾燥物若しくは茶葉粉砕物の含有量、又はこれらの合計含有量が、カテキン類含有原料に対して、好ましくは15〜60質量%、より好ましくは20〜55質量%、更に好ましくは25〜50質量%、殊更に好ましくは30〜45質量%である、前記<3>〜<13>のいずれか一に記載の製造方法等。
<15>
水性媒体が、好ましくは水及び有機溶媒水溶液から選ばれる少なくとも1種であり、更に好ましくは水である、前記<1>〜<14>のいずれか一に記載の製造方法等。
<16>
有機溶媒水溶液が、好ましくは水溶性有機溶媒水溶液であり、より好ましくはアルコール、ケトン、エーテル又はエステルの水溶液であり、更に好ましくはアルコール水溶液であり、より更に好ましくはエタノール水溶液である、前記<15>記載の製造方法等。
<17>
有機溶媒水溶液中の有機溶媒の濃度が、好ましくは45質量%以下、より好ましくは40質量%以下、更に好ましくは35質量%以下、より更に好ましくは30質量%以下である、前記<15>又は<16>記載の製造方法等。
<18>
好ましくは少なくともカテキン類含有原料が糖を含有し、更に好ましくはカテキン類含有原料が糖を含有する、前記<1>〜<17>のいずれか一に記載の製造方法等。
<19>
糖が、好ましくは単糖、二糖、オリゴ糖及び多糖から選択される1種又は2種であり、より好ましくは多糖であり、更に好ましくはサイクロデキストリンである、前記<1>〜<18>のいずれか一に記載の製造方法等。
<20>
カテキン類含有原料中及び水性媒体中の糖の合計含有量が、粉末茶組成物に対して、好ましくは1質量%以上、より好ましくは10質量%以上、更に好ましくは30質量%以上、より更に好ましくは40質量%以上、殊更に好ましくは50質量%以上であって、好ましくは90質量%以下、より好ましくは80質量%以下、更に好ましくは70質量%以下、より更に好ましくは65質量%以下、殊更に好ましくは60質量%以下である、前記<1>〜<19>のいずれか一に記載の製造方法等。
【0034】
<21>
カテキン類含有原料中及び水性媒体中の糖の合計含有量が、粉末茶組成物に対して、好ましくは1〜80質量%、より好ましくは20〜75質量%、更に好ましくは30〜70質量%、更に好ましくは40〜70質量%、殊更に好ましくは50〜65質量%である、前記<1>〜<20>のいずれか一に記載の製造方法等。
<22>
カテキン類含有原料が糖を含み、カテキン類含有原料中の糖の含有量が、好ましくは1〜80質量%、より好ましくは20〜75質量%、更に好ましくは30〜70質量%、更に好ましくは40〜70質量%、殊更に好ましくは50〜65質量%である、前記<1>〜<21>のいずれか一に記載の製造方法等。
<23>
好ましくはカテキン類含有原料及び水性媒体のうちの少なくとも一方が、更に添加剤を含有する、前記<1>〜<22>のいずれか一に記載の製造方法等。
<24>
添加剤が、好ましくは酸化防止剤、香料、色素、乳化剤、保存料、調味料、酸味料、アミノ酸、たんぱく質、果汁エキス、野菜エキス、花蜜エキス、植物油脂、有機酸、有機酸塩、無機塩、pH調整剤及び品質安定剤から選択される1種又は2種以上である、前記<23>記載の製造方法等。
<25>
カテキン類含有原料中及び水性媒体中の添加剤の合計含有量が、粉末茶組成物に対して、好ましくは0〜30質量%、より好ましくは1〜20質量%、更に好ましくは2〜15質量%、より更に好ましくは4〜10質量%である、前記<23>又は<24>記載の製造方法等。
<26>
カテキン類含有原料が添加剤を含み、カテキン類含有原料中の添加剤の含有量が、好ましくは0.01〜30質量%、より好ましくは1〜20質量%、更に好ましくは2〜15質量%、より更に好ましくは4〜10質量%である、前記<23>〜<25>のいずれか一に記載の製造方法等。
<27>
熱風が、好ましくは空気、不活性ガス及び不活性ガスを含む混合ガスから選択される1種又は2種以上であり、更に好ましくは不活性ガス及び混合ガスから選択される少なくとも1種である、前記<1>〜<26>のいずれか一に記載の製造方法等。
<28>
熱風温度が、好ましくは71℃以上、より好ましくは75℃以上、更に好ましくは80℃以上であって、好ましくは94℃以下、より好ましくは93℃以下、更に好ましくは90℃以下である、前記<1>〜<27>のいずれか一に記載の製造方法等。
<29>
熱風温度が、好ましくは71〜94℃、より好ましくは75〜93℃、更に好ましくは80〜90℃である、前記<1>〜<28>のいずれか一に記載の製造方法等。
<30>
水性媒体の全噴霧量が、カテキン類含有原料1kg当たり、好ましくは0.05L/kg以上、より好ましくは0.07L/kg以上、更に好ましくは0.08L/kg以上、より更に好ましくは0.09L/kg以上であって、好ましくは0.6L/kg以下、より好ましくは0.35L/kg以下、更に好ましくは0.25L/kg以下、より更に好ましくは0.15L/kg以下である、前記<1>〜<29>のいずれか一に記載の製造方法等。
【0035】
<31>
水性媒体の全噴霧量が、カテキン類含有原料1kg当たり、好ましくは0.05〜0.6L/kg、より好ましくは0.07〜0.35L/kg、更に好ましくは0.08〜0.25L/kg、殊更に好ましくは0.09〜0.15L/kgである、前記<1>〜<30>のいずれか一に記載の製造方法等。
<32>
水性媒体の温度が、好ましくは10〜95℃、より好ましくは20〜85℃、更に好ましくは40〜80℃、殊更に好ましくは45〜75℃、殊更に好ましくは50〜70℃である、前記<1>〜<31>のいずれか一に記載の製造方法等。
<33>
水性媒体の噴霧速度が、カテキン類含有原料1kg当たり、好ましくは1mL/分/kg以上、より好ましくは2mL/分/kg以上、更に好ましくは4mL/分/kg以上、より更に好ましくは6mL/分/kg以上、殊更に好ましくは8mL/分/kg以上であって、好ましくは60mL/分/kg以下、より好ましくは58mL/分/kg以下、更に好ましくは54mL/分/kg以下、より更に好ましくは50mL/分/kg以下である、前記<1>〜<32>のいずれか一に記載の製造方法等。
<34>
水性媒体の噴霧速度が、カテキン類含有原料1kg当たり、好ましくは1〜60mL/分/kg、より好ましくは2〜58mL/分/kg、更に好ましくは4〜54mL/分/kg、殊更に好ましくは6〜50mL/分/kg、殊更に好ましくは8〜50mL/分/kgである、前記<1>〜<33>のいずれか一に記載の製造方法等。
<35>
1サイクルあたりの水性媒体の噴霧時間が、好ましくは10秒/回以上、より好ましくは15秒/回以上、更に好ましくは20秒/回以上、より更に好ましくは25秒/回以上であって、好ましくは180秒/回以下、より好ましくは165秒/回以下、更に好ましくは150秒/回以下、より更に好ましくは130秒/回以下である、前記<1>〜<34>のいずれか一に記載の製造方法等。
<36>
1サイクルあたりの水性媒体の噴霧時間が、好ましくは10〜180秒/回、より好ましくは15〜165秒/回、更に好ましくは20〜150秒/回、殊更に好ましくは25〜130秒/回である、前記<1>〜<35>のいずれか一に記載の製造方法等。
<37>
1サイクルあたりの噴霧中断時間が、好ましくは1秒/回以上、より好ましくは3秒/回以上、更に好ましくは5秒/回以上、より更に好ましくは7秒/回以上であって、好ましくは120秒/回以下、より好ましくは100秒/回以下、更に好ましくは80秒/回以下、より更に好ましくは70秒/回以下である、前記<1>〜<36>のいずれか一に記載の製造方法等。
<38>
1サイクルあたりの噴霧中断時間が、好ましくは1〜120秒/回、より好ましくは3〜100秒/回、更に好ましくは5〜80秒/回、殊更に好ましくは7〜70秒/回である、前記<1>〜<37>のいずれか一に記載の製造方法等。
<39>
1サイクルあたりの噴霧時間と噴霧中断時間との比(噴霧中断時間/噴霧時間)が、好ましくは0.05秒/秒以上、より好ましくは0.1秒/秒以上、更に好ましくは0.15秒/秒以上、より更に好ましくは0.3秒/秒以上であって、好ましくは0.8秒/秒以下、より好ましくは0.7秒/秒以下、更に好ましくは0.6秒/秒以下、より更に好ましくは0.5秒/秒以下である、前記<1>〜<38>のいずれか一に記載の製造方法等。
<40>
1サイクルあたりの噴霧時間と噴霧中断時間との比(噴霧中断時間/噴霧時間)が、好ましくは0.05〜0.8秒/秒、より好ましくは0.1〜0.7秒/秒、更に好ましくは0.15〜0.6秒/秒、殊更に好ましくは0.3〜0.5秒/秒である、前記<1>〜<39>のいずれか一に記載の製造方法等。
【0036】
<41>
1サイクルあたりの水性媒体の噴霧量が、カテキン類含有原料1kgに対して、好ましくは1mL/回/kg以上、より好ましくは5mL/回/kg以上、更に好ましくは10mL/回/kg以上、より更に好ましくは15mL/回/kg以上であって、好ましくは50mL/回/kg以下、より好ましくは40mL/回/kg以下、更に好ましくは30mL/回/kg以下、より更に好ましくは25mL/回/kg以下である、前記<1>〜<40>のいずれか一に記載の製造方法等。
<42>
1サイクルあたりの水性媒体の噴霧量が、カテキン類含有原料1kgに対して、好ましくは1〜50mL/回/kg、より好ましくは5〜40mL/回/kg、更に好ましくは10〜30mL/回/kg、殊更に好ましくは15〜25mL/回/kgである、前記<1>〜<41>のいずれか一に記載の製造方法等。
<43>
造粒工程時間が、好ましくは1分以上、より好ましくは2分以上、更に好ましくは3分以上、より更に好ましくは3.5分以上であって、好ましくは45分以下、より好ましくは40分以下、更に好ましくは35分以下、より更に好ましくは30分以下である、前記<1>〜<42>のいずれか一に記載の製造方法等。
<44>
造粒工程時間が、好ましくは1〜45分、より好ましくは2〜40分、更に好ましくは3〜35分、殊更に好ましくは3.5〜30分である、前記<1>〜<43>のいずれか一に記載の製造方法等。
<45>
造粒工程後、更に最終乾燥工程を含む、前記<1>〜<44>のいずれか一に記載の製造方法等。
<46>
乾燥温度が、好ましくは65℃以上、より好ましくは70℃以上、更に好ましくは75℃以上、より更に好ましくは80℃以上であって、好ましくは98℃以下、より好ましくは96℃以下、更に好ましくは94℃以下、より更に好ましくは92℃以下である、前記<45>記載の製造方法等。
<47>
乾燥温度が、好ましくは65〜98℃、より好ましくは70〜95℃、更に好ましくは75〜93℃、より更に好ましくは80〜90℃である、前記<45>又は<46>記載の製造方法等。
<48>
全加熱時間(造粒工程時間と最終乾燥工程時間の和をいう)が、カテキン類含有原料1kg当たり、好ましくは0.01分/kg以上、より好ましくは0.05分/kg以上、更に好ましくは0.08分/kg以上、より更に好ましくは0.1分/kg以上であって、好ましくは3分/kg以下、より好ましくは2.8分/kg以下、更に好ましくは2.7分/kg以下、より更に好ましくは2.6分/kg以下である、前記<1>〜<47>のいずれか一に記載の製造方法等。
<49>
全加熱時間(造粒工程時間と最終乾燥工程時間の和をいう)が、カテキン類含有原料1kg当たり、好ましくは0.01〜3分/kg、より好ましくは0.05〜2.8分/kg、更に好ましくは0.08〜2.7分/kg、更に好ましくは0.1〜2.6分/kgである、前記<1>〜<48>のいずれか一に記載の製造方法等。
<50>
粉末茶組成物の平均粒子径(d50)が、好ましくは70μm以上、より好ましくは80μm以上、更に好ましくは85μm以上、より更に好ましくは90μm以上であって、好ましくは250μm以下、より好ましくは200μm以下、更に好ましくは175μm以下、より更に好ましくは150μm以下である、前記<1>〜<49>のいずれか一に記載の製造方法等。
【0037】
<51>
粉末茶組成物の平均粒子径(d50)が、好ましくは70〜250μm、より好ましくは80〜200μm、更に好ましくは85〜175μm、殊更に好ましくは90〜150μmである、前記<1>〜<50>のいずれか一に記載の製造方法等。
<52>
粉末茶組成物のd10とd90との比(d90/d10)が、好ましくは1以上、より好ましくは2以上、更に好ましくは3以上、より更に好ましくは4以上であって、好ましくは60以下、より好ましくは45以下、更に好ましくは30以下、より更に好ましくは20以下である、前記<1>〜<51>のいずれか一に記載の製造方法等。
<53>
粉末茶組成物のd10とd90との比(d90/d10)が、好ましくは1〜60、より好ましくは2〜45、更に好ましくは3〜30、殊更に好ましくは4〜20である、前記<1>〜<52>のいずれか一に記載の製造方法等。
<54>
粉末茶組成物のゆるめ嵩密度が、好ましくは0.22kg/L以上、より好ましくは0.23kg/L以上、更に好ましくは0.24kg/L以上、より更に好ましくは0.26kg/L以上であって、好ましくは0.45kg/L以下、より好ましくは0.40kg/L以下、更に好ましくは0.37kg/L以下、より更に好ましくは0.35kg/L以下である、前記<1>〜<53>のいずれか一に記載の製造方法等。
<55>
粉末茶組成物のゆるめ嵩密度が、好ましくは0.22〜0.45kg/L、より好ましくは0.23〜0.40kg/L、更に好ましくは0.24〜0.37kg/L、殊更に好ましくは0.26〜0.35kg/Lである、前記<1>〜<54>のいずれか一に記載の製造方法等。
<56>
粉末茶組成物中のカテキン類の含有量が、好ましくは6.5質量%以上、より好ましくは7.0質量%以上、更に好ましくは8.0質量%以上、より更に好ましくは9.0質量%以上であって、好ましくは15.5質量%以下、より好ましくは15.0質量%以下、更に好ましくは14.0質量%以下、より更に好ましくは13.0質量%以下である、前記<1>〜<55>のいずれか一に記載の製造方法等。
<57>
粉末茶組成物中のカテキン類の含有量が、好ましくは6.5〜15.5質量%、より好ましくは7.0〜15.0質量%、更に好ましくは8.0〜14.0質量%、殊更に好ましくは9.0〜13.0質量%である、前記<1>〜<56>のいずれか一に記載の製造方法等。
<58>
粉末茶組成物の製品形態が、好ましくは瓶に容器詰し、飲用する際にカップ1杯分をスプーン等で計量するもの、又はカップ1杯分毎に小分けしたものである、前記<1>〜<57>のいずれか一に記載の製造方法等。
【実施例】
【0038】
1.カテキン類の分析
純水で溶解希釈した試料を、島津製作所製、高速液体クロマトグラフ(型式SCL−10AVP)を用い、オクタデシル基導入液体クロマトグラフ用パックドカラム(L−カラムTM ODS、4.6mmφ×250mm:財団法人 化学物質評価研究機構製)を装着し、カラム温度35℃でグラジエント法により測定した。移動相A液は酢酸を0.1mol/L含有する蒸留水溶液、B液は酢酸を0.1mol/L含有するアセトニトリル溶液とし、流速は1mL/分、試料注入量は10μL、UV検出器波長は280nmの条件で行った。なお、グラジエント条件は以下の通りである。
【0039】
濃度勾配条件(体積%)
時間 A液濃度 B液濃度
0分 97% 3%
5分 97% 3%
37分 80% 20%
43分 80% 20%
43.5分 0% 100%
48.5分 0% 100%
49分 97% 3%
60分 97% 3%
【0040】
2.平均粒子径(d50)、比(d90/d10)の測定
ベックマンコールター製乾式粒度分布測定装置(LS13−320)を用いて粉末茶組成物、茶抽出乾燥物又は茶葉粉砕物の粒度分布を体積基準で作成した。そして、積算分布曲線の50%に相当する粒子径(d50)を求めた。また、粉末茶組成物においては、積算分布曲線の10%に相当する粒子径(d10)と、積算分布曲線の90%に相当する粒子径(d90)とから、比(d90/d10)を求め、粒子の均一性の指標とした。
【0041】
3.ゆるめ嵩密度の測定
100mLのメスシリンダーに、50mL程度の容量の粉末茶組成物を自然落下させ、メスシリンダー中の試料の容量と質量を測定した。測定された質量を容量で割った値をゆるめ嵩密度とした。
【0042】
4.官能評価、及び白色塊状物の発生数の評価
(1)試料の準備
粉末茶組成物を、12メッシュの篩に通過させ、篩上と篩下に分別した。
【0043】
(2)官能評価
分別した篩下サンプル3gを90℃の水200mLに溶解して飲料を調製した後、専門パネラー3名が飲用して風味について評価した。その後、協議により最終スコアを決定した。
【0044】
風味の評価基準
風味を次の5段階で評価した。
【0045】
A:劣化臭がかなり弱く、緑茶らしい香りがかなり強い
B:劣化臭が弱く、緑茶らしい香りが強い
C:劣化臭がやや弱く、緑茶らしい香りがやや強い
D:劣化臭が強く、緑茶らしい香りが弱い
E:劣化臭がかなり強く、緑茶らしい香りがかなり弱い
【0046】
(3)白色塊状物の発生数評価
分別した篩上サンプルから1.5kg採取し、その中に含まれる白色塊状物(0.5mm以上)の数量について、目視によりカウントした。
【0047】
製造例1
茶抽出乾燥物の製造
90℃に加温した10kgの湯中に緑茶葉を400g加え、穏やかに攪拌しながら5分間抽出を行った。抽出後2号ろ紙にて濾過を行い、濾過液を速やかに室温まで冷却した。この緑茶抽出液を遠心分離し減圧濃縮後、凍結乾燥して茶抽出乾燥物を得た。茶抽出乾燥物中のカテキン類の含有量は36.9質量%であった。平均粒子径(d50)は53.1μmであった。
【0048】
製造例2
カテキン類含有原料の製造
表1に示す成分を配合し、カテキン類含有原料を製造した。
【0049】
【表1】
【0050】
実施例1
カテキン類含有原料3kgを造粒機(フローコーターFLO5:フロイント産業製)に投入した後、89℃の熱風を2.5m/分の風量で装置内に送風し、カテキン類含有原料を流動化させた。その後、100mL/分の速度で60℃の水を30秒間(50mL)噴霧した後、7.5秒間噴霧中断させる操作を1サイクル(37.5秒、噴霧中断時間/噴霧時間=0.25秒/秒)とする造粒を、水の全噴霧量が300mLになるまで繰返し行った。その後、造粒せずに、89℃の熱風を2分間送風することで、3020gの粉末茶組成物を得た。得られた粉末茶組成物について分析、評価を行った。それらの結果を表2に示す。
【0051】
実施例2
実施例1において、熱風温度を82℃とし、水を30秒間(50mL)噴霧した後、15秒間噴霧中断させる操作を1サイクル(45秒、噴霧中断時間/噴霧時間=0.5秒/秒)とする造粒を繰返し行ったこと以外は、実施例1と同様の操作により、粉末茶組成物を得た。得られた粉末茶組成物について分析、評価を行った。それらの結果を表2に示す。
【0052】
実施例3
実施例1において、水を30秒間(50mL)噴霧した後、22.5秒間噴霧中断させる操作を1サイクル(52.5秒、噴霧中断時間/噴霧時間=0.75秒/秒)とする造粒を繰返し行ったこと以外は、実施例1と同様の操作により、粉末茶組成物を得た。得られた粉末茶組成物について分析、評価を行った。それらの結果を表2に示す。
【0053】
実施例4
実施例2において、熱風温度を88℃とし、水の全噴霧量を400mLに変更したこと以外は、実施例2と同様の操作により、粉末茶組成物を得た。得られた粉末茶組成物について分析、評価を行った。それらの結果を表2に示す。
【0054】
実施例5
実施例1において、水の全噴霧量を400mLとし、水を30秒間(50mL)噴霧した後、30秒間噴霧中断させる操作を1サイクル(60秒、噴霧中断時間/噴霧時間=1.0秒/秒)とする造粒を繰返し行ったこと以外は、実施例1と同様の操作により、粉末茶組成物を得た。得られた粉末茶組成物について分析、評価を行った。それらの結果を表2に示す。
【0055】
比較例1
実施例1において、水300mLを噴霧速度33.3mL/分/kgで連続して噴霧したこと以外は、実施例1と同様の操作により、粉末茶組成物を得た。得られた粉末茶組成物について分析、評価を行った。それらの結果を表2に示す。
【0056】
【表2】
【0057】
比較例2
実施例1において、熱風温度を64℃としたこと以外は、実施例1と同様の操作により、粉末茶組成物を得た。しかし、比較例2は、造粒工程中にブロッキングが発生し、安定的に粉末茶組成物を製造できるものではなかった。また、得られた粉末茶組成物について、風味以外の分析、評価が不可能であった。それらの結果を表3に示す。
【0058】
実施例6
実施例1において、熱風温度を76℃としたこと以外は、実施例1と同様の操作により、粉末茶組成物を得た。得られた粉末茶組成物について分析、評価を行った。それらの結果を表3に示す。
【0059】
実施例7
実施例1において、熱風温度を82℃としたこと以外は、実施例1と同様の操作により、粉末茶組成物を得た。得られた粉末茶組成物について分析、評価を行った。それらの結果を表3に示す。
【0060】
比較例3
実施例1において、熱風温度を99℃としたこと以外は、実施例1と同様の操作により、粉末茶組成物を得た。得られた粉末茶組成物について分析、評価を行った。それらの結果を表3に示す。
【0061】
【表3】
【0062】
実施例8
カテキン類含有原料3kgを造粒機(フローコーターFLO5:フロイント産業製)に投入した後、89℃の熱風を2.5m/分の風量で装置内に送風し、カテキン類粉末含有原料を流動化させた。その後、100mL/分の速度で水を30秒間(50mL)噴霧した後、15秒間噴霧中断させる操作を1サイクル(45秒、噴霧中断時間/噴霧時間=0.50秒/秒)とする造粒を、水の全噴霧量が400mLになるまで繰返し行った。その後、造粒せずに、89℃の熱風を2分間送風することで、粉末茶組成物を得た。得られた粉末茶組成物について、風味、溶解性の評価を行った。それらの結果を表4に示す。
【0063】
実施例9
実施例8において、カテキン類含有原料を2.1kgとしたこと以外は、実施例8と同様の操作により、粉末茶組成物を得た。得られた粉末茶組成物について分析、評価を行った。それらの結果を表4に示す。
【0064】
実施例10
実施例8において、カテキン類含有原料を1.5kgとし、水の全噴霧量を200mLとし、温度を86℃としたこと以外は、実施例8と同様の操作により、粉末茶組成物を得た。得られた粉末茶組成物について分析、評価を行った。それらの結果を表4に示す。
【0065】
【表4】
【0066】
実施例11
カテキン類含有原料95kgを造粒機(フローコーターFLO300:フロイント産業製)に投入した後、90℃の熱風を40m/分の風量で装置内に送風し、カテキン類粉末含有原料を流動化させた。その後、1580mL/分の速度で水を60秒間(1580mL)噴霧した後、30秒間噴霧中断させる操作を1サイクル(90秒、噴霧中断時間/噴霧時間=0.50秒/秒)とする造粒を、水の全噴霧量が9.5Lになるまで繰返し行った。その後、造粒せずに、90℃の熱風を2分間送風することで、96kgの粉末茶組成物を得た。得られた粉末茶組成物について分析、評価を行った。それらの結果を表5に示す。
【0067】
実施例12
実施例11において、カテキン類含有原料を190kgとし、水の全噴霧量を19L、1サイクルあたりの噴霧時間及び噴霧中断時間をそれぞれ120秒及び60秒としたこと以外は、実施例11と同様の操作により、192kgの粉末茶組成物を得た。得られた粉末茶組成物について分析、評価を行った。それらの結果を表5に示す。
【0068】
【表5】
【0069】
表2〜5から、糖を用いる流動層造粒において、熱風の温度を70〜95℃に制御しつつ、流動状態にしたカテキン類含有原料に対し、バインダーを断続的に噴霧し噴霧と噴霧中断とを1サイクルとして造粒することにより、白色塊状物の発生が抑制できることがわかる。
【要約】
【課題】糖を用いる流動層造粒において、白色塊状物の発生が抑制された粉末茶組成物の製造方法を提供すること。
【解決手段】流動層造粒装置内に70〜95℃の熱風を送り込み、流動状態にしたカテキン類含有原料に水性媒体を断続的に噴霧し、噴霧と噴霧中断とを1サイクルとして繰り返し行う造粒工程を備え、カテキン類含有原料及び水性媒体のうちの少なくとも一方が糖を含む、粉末茶組成物の製造方法。
【選択図】なし