特許第6185165号(P6185165)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6185165SiOH官能性ポリシロキサンの製造方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6185165
(24)【登録日】2017年8月4日
(45)【発行日】2017年8月23日
(54)【発明の名称】SiOH官能性ポリシロキサンの製造方法
(51)【国際特許分類】
   C08G 77/06 20060101AFI20170814BHJP
【FI】
   C08G77/06
【請求項の数】6
【全頁数】10
(21)【出願番号】特願2016-520472(P2016-520472)
(86)(22)【出願日】2014年6月18日
(65)【公表番号】特表2016-521804(P2016-521804A)
(43)【公表日】2016年7月25日
(86)【国際出願番号】EP2014062873
(87)【国際公開番号】WO2015000706
(87)【国際公開日】20150108
【審査請求日】2015年12月17日
(31)【優先権主張番号】102013212980.7
(32)【優先日】2013年7月3日
(33)【優先権主張国】DE
(73)【特許権者】
【識別番号】390008969
【氏名又は名称】ワッカー ケミー アクチエンゲゼルシャフト
【氏名又は名称原語表記】Wacker Chemie AG
(74)【代理人】
【識別番号】110001173
【氏名又は名称】特許業務法人川口國際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】レーッセル,ゲオルク
(72)【発明者】
【氏名】マイゼンベルガー,マンフレート
(72)【発明者】
【氏名】ベベルス,ボルフガング
【審査官】 前田 孝泰
(56)【参考文献】
【文献】 特開2007−100094(JP,A)
【文献】 特開平11−255898(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C08G 77/00− 77/62
C07F 7/02− 7/21
CAplus/REGISTRY(STN)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
3.0から10.0重量%のOH含有量を有するオルガノポリシロキサンを製造する連続方法であって、
反応混合物に、クロロシラン、アルコキシシラン、水、および20℃、1バールで1g/L以下の水への溶解度を有する非極性溶媒を連続的に添加すること、ならびに反応混合物を連続的に排出することを含み、クロロシランおよびアルコキシシランは、ともに、ケイ素原子結合のC−C18炭化水素基を有するものを少なくとも含み、
前記方法が、クロロシランおよびアルコキシシランの合計を基準にして、95%から60%の重量分率のクロロシランおよび同基準で5%から40%の重量分率のアルコキシシランを同時に添加することを含み、極性溶媒が添加されない、方法。
【請求項2】
クロロシラン、アルコキシシラン、水および非極性溶媒がループ反応器中で反応混合物に連続的に添加され、および反応混合物がループ反応器から連続的に排出される、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
水は、水相中のHCl濃度が5から35重量%になるような量で添加される、請求項1または2に記載の方法。
【請求項4】
非極性溶媒が炭化水素から選択される、請求項1から3のいずれか一項に記載の方法。
【請求項5】
非極性溶媒が、30から45重量%の固形分含有量になるような量で反応混合物に供給され、前記固形分含有量が、形成されて溶媒相中に溶解したオルガノポリシロキサンの量である、請求項1から4のいずれか一項に記載の方法。
【請求項6】
溶媒相中に溶解したオルガノポリシロキサンが、水相から連続的に分離される、請求項1から5のいずれか一項に記載の方法
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、SiOH官能性ポリシロキサンの連続製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
US3668180Aは、ハロシラン、有機溶媒、水およびアルコールからなる混合物を使った多段方法によるポリシロキサンの製造について記載している。
【0003】
DE102005003899A1は、所望のポリシロキサンの存在下で、ハロシランと水およびアルコールとの反応によるポリシロキサンの製造について記載している。
【0004】
US5223636は、アルコキシシランからなる初期装填材料を使い、これに、ハロシラン、水およびアルコールを連続的に添加して、アルコキシシラン含有初期装填材料が常に沸点で保持されるようにする、部分アルコキシル化ポリシロキサンの製造について記載している。
【0005】
これらのケースでのそれぞれの問題は、水ならびに非極性および極性溶媒の存在下でハロシランのみをアルコールと反応させるか、または水および溶媒の存在下でアルコキシシランを触媒量の酸もしくは場合によっては用いたアルコキシシランの量を基準にして0.5から20重量%のクロロシランと反応させて、ポリシロキサンを得ることを含み、ここで、反応後にHClを含む水相から溶媒含有生成物相を取り出すという複雑な多段方法であることである。
【0006】
US3489782は、クロロシランまたはクロロシランとアルコキシシランとの混合物が極性溶媒と混合される第一ステップ、ならびに適正量のこの混合物および水が連続的に反応器に供給される第二ステップを行うことによりSiOH官能性ポリシロキサンを製造することが可能であることを教示している。重縮合物含有相が反応器から排出される速度は、反応物が供給される速度と釣り合っている。
【0007】
対照的に、DE954198は、クロロシランまたはクロロシランの混合物に限定して水および極性溶媒と一緒に反応させて、ポリシリコーンオイル、または、もはや水相に溶けないゲル、例えば、高度に縮合したメチルポリシリコーン樹脂を得る連続的なループ工程について記載している。言及は、常に、クロロシランの加水分解を完遂するためになされている。
【0008】
バッチ処理で行われるクロロシランの加水分解は、非極性溶媒およびアルコールのみでなく、水相とクロロシランを含む非水溶性溶媒の間の、いわゆる相溶化剤としての役割を果たす追加の極性化合物も必要であるということを一般的に結論付けることができる。これらの相溶化剤の目的は、水相と混合された溶媒相中に溶解したクロロシランの加水分解/縮合反応を促進することである。
【0009】
このような相溶化剤は、例えば、US3489782では、通常は、酢酸エチルなどのカルボン酸エステルの中から、ならびに、例えば、アセトンから選択することができる。このようなエステルは、HCl酸性化反応相中に部分的に溶解しており、これにより、分解されて対応する量のアルコールを生ずる。
【0010】
多くの場合、アルコキシシランベースの連続的および/またはバッチ式製造方法では、必然的に、水相中に対応するアルコールを生成することになる。
【0011】
HCl酸性化反応相中に存在するアルコールは、HClと反応して塩化アルカンを生成する可能性があり、これが次に、製造方法から生じた廃水中の高レベルの環境汚染物質に繋がる。これらの廃水汚染物質レベルは、COD含有量(化学的酸素要求量)としてppm単位で、およびPOX含有量としてppm単位で測定され、廃水中で測定されるアルコールの濃度(COD)および塩化アルカンの濃度(POX)を表す。
【0012】
より高濃度のアルコールを含む廃水は低い引火点も有する。アルコールが開始時にすでに添加されている場合、HClとのより長い反応時間のために、極めて高いPOX含有量を生ずる。
【0013】
これらの因子が一緒になって、製造方法により生成された廃水の処理が、極めて複雑で、高価になる。
【0014】
DE19800023A1は、低SiOH含有量のポリシロキサンを製造する連続方法について記載している。この場合、非極性溶媒中でアルコキシシランが、塩酸および場合により極性溶媒の非存在下で少量のクロロシランの添加により反応する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0015】
【特許文献1】米国特許第3668180号明細書
【特許文献2】独国特許出願公開第102005003899号明細書
【特許文献3】米国特許第5223636号明細書
【特許文献4】米国特許第3489782号明細書
【特許文献5】独国特許発明第954198号明細書
【特許文献6】独国特許出願公開第19800023号明細書
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0016】
本発明は、3.0から10.0重量%のOH含有量を有するオルガノポリシロキサンを製造する連続方法を提供し、この方法は、反応混合物に、クロロシラン、アルコキシシラン、水、および20℃、1バールで1g/L以下の水への溶解度を有する非極性溶媒を連続的に添加すること、ならびに反応混合物を連続的に排出することを含み、前記方法が、クロロシランおよびアルコキシシランの合計を基準にして、95%から60%の重量分率のクロロシランおよび同基準で5%から40%の重量分率のアルコキシシランを同時に添加することを含み、極性溶媒が添加されない。
【0017】
この方法により、3.0から10.0重量%のOH含有量を有するオルガノポリシロキサンが容易に、経済的に製造される。加水分解−縮合反応が起こる。
【0018】
既知の方法とは対照的に、本発明による方法により、アルコールなどの水溶性極性溶媒を使用しない場合でも、非常に短い滞留時間で、3.0から10.0重量%のOH含有量を有するオルガノポリシロキサンを製造することができる。短い滞留時間および比較的少量のアルコキシシランであるという理由で、アルコールとHClからの塩化アルカンの生成が阻害され、アルコールの量が低減される。
【0019】
またこれにより、短い滞留時間によるより高いスループットに加えて、より低いCODおよびPOX汚染物質レベルに起因して廃水処理の複雑さをも同時に著しく減らすことができるために、既知の連続およびバッチ式方法に比べて、非常に重要なコスト上の利点がもたらされる。廃水は同様に55℃を超えるより高い引火点を有する。
【発明を実施するための形態】
【0020】
クロロシラン、アルコキシシラン、水および非極性溶媒がループ反応器中で反応混合物に連続的に添加され、反応混合物がループ反応器から連続的に排出されると好ましい。
【0021】
クロロシランが、クロロシランおよびアルコキシシランの合計を基準にして、80%から50%の重量分率で添加され、アルコキシシランが同基準で20%から50%の重量分率で添加されると好ましい。
【0022】
水相および溶媒相が形成され、これらは均質に混合される。水は、水相中のHCl濃度が5から35重量%になるような量で添加されるのが好ましい。
【0023】
非極性溶媒は、20℃、1バール下で、0.5g/L以下の水への溶解度を有するのが好ましい。非極性溶媒の例には、ペンタン、n−ヘキサン、ヘキサンの異性体混合物、ヘプタン、オクタン、ナフサ、石油エーテル、ベンゼン、トルエン、キシレンなどの炭化水素が挙げられる。特に好ましいのは、トルエンおよびキシレンである。
【0024】
添加されない極性溶媒は、特に、メタノールおよびエタノールなどのアルコール;ジオキサン、テトラヒドロフラン、ジエチルエーテル、ジイソプロピルエーテル、ジエチレングリコールジメチルエーテルなどのエーテル;アセトン、メチルエチルケトン、ジイソプロピルケトン、メチルイソブチルケトン(MIBK)などのケトン;酢酸エチル、酢酸ブチル、プロピオン酸プロピル、酪酸エチル、イソ酪酸エチルなどのエステル;二硫化炭素およびニトロベンゼン、またはこれらの溶媒の混合物である。
【0025】
非極性溶媒は、30から45重量%の固形分含有量になるような量で反応混合物に供給されるのが好ましい。固形分含有量は、形成されて溶媒相中に溶解したオルガノポリシロキサンの量である。
【0026】
溶媒相中に溶解したオルガノポリシロキサンは、水相から連続的に分離されるのが好ましい。オルガノポリシロキサンは蒸留により溶媒が留去されているのが好ましい。
【0027】
1分から30分、好ましくは2分から15分の極めて短い滞留時間になるような方法で、クロロシラン、アルコキシシラン、水および非極性溶媒が反応混合物に添加され、反応混合物が連続的に排出されると好ましい。
【0028】
3.0から10.0重量%のOH含有量を有するオルガノポリシロキサンが、一般式I
SiO4−n (I)
[式中、
Rは、OH、C−C18炭化水素基またはC−Cアルコキシ基であり、および
nは、0、1、2または3の値をとり、および
nは、1.0から2.0の平均値を有する。]
を有すると好ましい。
【0029】
オルガノポリシロキサンのOH含有量は、シリコン原子に直接結合したOH基に関連している。前記含有量は3.0から8.0重量%であるのが好ましい。
【0030】
nが1.4から1.8の平均値を有すると好ましい。
【0031】
3.0から10.0重量%のOH含有量を有するオルガノポリシロキサンが、1000から3500、特に、1500から3000の平均分子量Mwを有すると好ましい。オルガノポリシロキサンが、30℃から80℃、特に、35℃から75℃のTg(ガラス転移温度)を有すると好ましい。
【0032】
ハロシランが、一般式II
SiCl4−m (II)
[式中、
は、C−C18炭化水素基であり、および
mは、0、1、2または3の値をとる。]
を有すると好ましい。
【0033】
アルコキシシランが、一般式III
SiR4−o (III)
[式中、
は、C−C18炭化水素基であり、
は、C−Cアルコキシ基であり、および
oは、0、1、2または3の値をとる。]
を有すると好ましい。
【0034】
−C18炭化水素基R、RおよびRは、好ましくはC−Cアルコキシ基、特に、メチル、エチルまたはプロピル基であるか、またはフェニル基である。
【0035】
上記式中の全ての上記記号は、それぞれ相互に独立にこれらの意味を有する。シリコン原子は全ての式で4価である。シリコーン混合物の成分の合計は100重量%である。
【0036】
オルガノポリシロキサンのOH含有量は、Zerewittinoffに準じて測定される。
【0037】
引火点はISO3679に準じて測定される。
【0038】
廃水中のHCl濃度は、直接滴定により測定される。
【0039】
ppm単位のCODは、Dr.LangeのLCK514、LCK414またはLCK314 CODキュベット試験を使って、DIN ISO15705:「Wasserbeschaffenheit−Bestimmung des chemischen Sauerstoffbedarfs(ST−CSB)−Kuvettentest」に従って測光法により測定される。
【0040】
POX濃度は、「DIN38409 Teil H25」「Bestimmung der ausblasbaren,organisch gebundenen Halogene(POX)」に従って測定される。
【0041】
滞留時間 分=60分/(全反応物の流れの合計/h/反応ループの体積)
重量%単位のオルガノポリシロキサンの固形分含有量=樹脂のkg/(樹脂のkg+溶媒のkg)×100
【0042】
Tg(ガラス転移温度)は、DSC 0..110R5に従って測定される。
0.0から110.0℃;5.00℃/分
試料は穴あきアルミニウムるつぼで分析される。
【0043】
平均分子量Mwは次のようにして測定される:
溶出液:THF
カラム:10e4+500+100
カラム温度:45℃
流量:1.00mL/分
圧力:75.9バール
検出器:RI検出器
較正:従来方式(ポリスチレン標準)
多項式3
04_10e4+500+100_261011
内部標準による補正
注入量:100μL
試料濃度:3.00mg/mL
【0044】
次の実施例では、特に指示がない限り、全ての量およびパーセンテージは重量基準であり、全ての圧力は0.10MPa(絶対圧)であり、全ての温度は20℃である。
【実施例】
【0045】
実施例1から5は、下流連続相分離部を備えた30リットルループ(ガラス装置)中で本発明による方法により製造される。こうして得られた粗生成物は蒸留法により溶媒が留去される。
【0046】
[実施例1]:
3.84kg/hのジメチルジクロロシラン、50.3kg/hのフェニルトリクロロシランおよび30.72kg/hのメチルトリエトキシシランを、69.12kg/hの水および79kg/hのトルエンと一緒に混合ゾーンを介してループ中に同時に供給する。次の方法パラメータを設定する:
固形分含有量(=トルエン中に溶解したオルガノポリシロキサン):36から37重量%
水相中のHCl濃度:27から29重量%
滞留時間:5から10分
反応温度:60から65℃
【0047】
生成物から除去された廃水は、以下のパラメータを有する:
COD ppm:228767
POX ppm:0.3から2.5
引火点:56.5℃
【0048】
粗生成物は蒸留法により溶媒が留去去される。
【0049】
この結果、SiOH含有量3.0から4.5重量%、分子量Mw1800から3000およびTg(ガラス転移温度)45℃から65℃を有する易流動性ポリシリコーン樹脂が得られる。
【0050】
[実施例2]および[実施例3]は、表1に示すように用いた反応物の量の内の水の量のみ、ならびに方法および生成物パラメータが異なる。
【0051】
【表1】
【0052】
[実施例4]:
16.3kg/hのフェニルトリエトキシシランおよび32.75kg/hのフェニルトリクロロシランを、69.12kg/hの水および79kg/hのトルエンと一緒に混合ゾーンを介してループ中に同時に供給する。次の方法パラメータを設定する:
固形分含有量(=トルエン中に溶解した樹脂):30から31重量%
水相中のHCl濃度:12から14重量%
滞留時間:5から10分
反応温度:60から65℃
【0053】
生成物から除去された廃水は、以下のパラメータを有する:
COD ppm:150000
POX ppm:1未満
引火点(ISO3579):67℃
【0054】
粗生成物は蒸留法により溶媒が留去される。この結果、SiOH含有量5.0から7.0重量%、分子量Mw:1800から3000およびTg(ガラス転移温度)50℃から75℃を有する易流動性ポリシリコーン樹脂が得られる。
【0055】
[実施例5]:
27.8kg/hのフェニルトリエトキシシラン、24.5kg/hのフェニルトリクロロシランおよび20.3kg/hのプロピルトリクロロシランを、73.3kg/hの水および68.2kg/hのトルエンと一緒に混合ゾーンを介してループ中に同時に供給する。次の方法パラメータを設定する:
固形分含有量(=トルエン中に溶解した樹脂):35から37重量%
水相中のHCl濃度:25から26重量%
滞留時間:8から14分
反応温度:60から65℃
【0056】
生成物から除去された廃水は、以下のパラメータを有する:
COD ppm:140000
POX ppm:1未満
引火点(ISO3579):73℃
【0057】
粗生成物は蒸留法により溶媒が留去される。この結果、SiOH含有量3.0から5.0重量%を有する易流動性ポリシリコーン樹脂が得られる。
【0058】
実施例6から7は、下流連続相分離部を備えた1.55リットルループ(ガラス装置)中で本発明による方法により製造される。こうして得られた粗生成物は蒸留法により溶媒が留去される。
【0059】
[実施例6]:
1.46kg/hのフェニルトリエトキシシラン、1.26kg/hのフェニルトリクロロシランおよび1.125kg/hのプロピルトリクロロシランを、4.64kg/hの水および3.4kg/hのトルエンと一緒に混合ゾーンを介してループ中に同時に供給する。次の方法パラメータを設定する:
固形分含有量(=トルエン中に溶解したポリシリコーン樹脂):38から39重量%
水相中のHCl濃度:22から23重量%
滞留時間:7から8分
反応温度:65から70℃
アルコキシシラン:38重量%
クロロシラン:62重量%
【0060】
生成物から除去された廃水は、以下のパラメータを有する:
COD ppm:156000
POX ppm:2.5
引火点(ISO3579):73℃
【0061】
粗生成物は蒸留法により溶媒が留去される。この結果、SiOH含有量4.9重量%を有する易流動性ポリシリコーン樹脂が得られる。
【0062】
[実施例7](過度に大きいアルコキシシラン含有量を有する本発明ではない実施例):
2.3kg/hのフェニルトリエトキシシラン、0.45kg/hのフェニルトリクロロシランおよび1.125kg/hのプロピルトリクロロシランを、4.64kg/hの水および3.4kg/hのトルエンと一緒に混合ゾーンを介してループ中に同時に供給する。次の方法パラメータを設定する:
固形分含有量(=トルエン中に溶解したポリシリコーン樹脂):38から39重量%
水相中のHCl濃度:16から17重量%
滞留時間:8から9分
反応温度:65から70℃
アルコキシシラン:59重量%
クロロシラン:41重量%
【0063】
生成物から除去された廃水は、以下のパラメータを有する:
COD ppm:118000
POX ppm:12
引火点(ISO3579):7℃
【0064】
粗生成物は蒸留法により溶媒が留去される。この結果、SiOH含有量4.6重量%を有する易流動性ポリシリコーン樹脂が得られる。
【0065】
[実施例8](本発明ではない実施例)は、WACKER CHEMIE AGで通常行われているバッチ混合物に関連する。この場合、SiOH官能性ポリシロキサン樹脂は、水、相溶化剤(極性溶媒)および非極性非水溶性溶媒の存在下、クロロシランの加水分解−縮合反応により製造される。
【0066】
滞留時間:数時間
全バッチは、HCl酸性化水相から取り出され、中性まで洗浄され、その後蒸留される。この結果、SiOH含有量3.0から5.0重量%を有する易流動性ポリシロキサン樹脂が得られる。
【0067】
生成物から除去された廃水は、以下のパラメータを有する:
COD ppm:120000
POX ppm:10から25
引火点(ISO3579):55℃
【0068】
[実施例9](本発明ではない実施例)は、WACKER CHEMIE AGで通常行われているバッチ混合物に関連する。この場合、SiOH官能性ポリシロキサン樹脂は、酸触媒下、水および非極性非水溶性溶媒の存在下で、アルコキシシランの加水分解−縮合反応により製造される。
【0069】
滞留時間:数時間
全バッチは、HCl酸性化水相から取り出され、中性まで洗浄され、その後蒸留される。この結果、SiOH含有量5.0から6.0重量%を有する易流動性ポリシロキサン樹脂が得られる。
【0070】
生成物から除去された廃水は、以下のパラメータを有する:
COD ppm:550000
POX ppm:13から24
引火点(ISO3579):23℃
【0071】
実施例7、8および9は、現状技術を反映しており、通常、SiOH官能性ポリシリコーン樹脂も得られるが、追加の供給原料(極性溶媒およびアルコール、より多くのアルコキシシラン)およびより長い滞留時間が必要であり、この結果として、これらの方法から生成される廃水は極めて高い汚染物質レベル(より高いCOD値;より高いPOX値およびより低い引火点)を有し、従って、より複雑な処理も必要となるために、記載した方法はよりコストがかかるという欠点がある。