特許第6185184号(P6185184)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6185184
(24)【登録日】2017年8月4日
(45)【発行日】2017年8月23日
(54)【発明の名称】共重合アラミド原着糸及びその製造方法
(51)【国際特許分類】
   D01F 6/90 20060101AFI20170814BHJP
   C08G 69/32 20060101ALI20170814BHJP
【FI】
   D01F6/90 331
   C08G69/32
【請求項の数】13
【全頁数】23
(21)【出願番号】特願2016-544566(P2016-544566)
(86)(22)【出願日】2014年12月24日
(65)【公表番号】特表2017-504731(P2017-504731A)
(43)【公表日】2017年2月9日
(86)【国際出願番号】KR2014012809
(87)【国際公開番号】WO2015102297
(87)【国際公開日】20150709
【審査請求日】2016年6月30日
(31)【優先権主張番号】10-2013-0166398
(32)【優先日】2013年12月30日
(33)【優先権主張国】KR
(73)【特許権者】
【識別番号】516194930
【氏名又は名称】コロン インダストリーズ インク
(74)【代理人】
【識別番号】100083138
【弁理士】
【氏名又は名称】相田 伸二
(74)【代理人】
【識別番号】100189625
【弁理士】
【氏名又は名称】鄭 元基
(74)【代理人】
【識別番号】100196139
【弁理士】
【氏名又は名称】相田 京子
(72)【発明者】
【氏名】イ ボンフン
(72)【発明者】
【氏名】チェ ユリ
【審査官】 阿川 寛樹
(56)【参考文献】
【文献】 特表平11−508938(JP,A)
【文献】 特開平01−139814(JP,A)
【文献】 国際公開第2012/055685(WO,A1)
【文献】 特開平07−258980(JP,A)
【文献】 特開2010−156083(JP,A)
【文献】 特開2001−336025(JP,A)
【文献】 特開2013−209776(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
D01F 1/00− 6/96, 9/00− 9/04
C08K 3/00− 13/08
C08L 1/00−101/14
C08G 69/00− 69/50
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
シアノ基を含む芳香族ジアミンが溶解している有機溶媒にテレフタル酸ジクロライドを添加し、反応させて共重合アラミド重合体を含む重合溶液を重合した後、前記重合溶液を紡糸、凝固して製造した共重合アラミド原着糸において、
陽イオン(cation)を有する色素を含有して色強度が50以上であることを特徴とする共重合アラミド原着糸。
【請求項2】
陽イオン(cation)を有する色素の含有量が共重合アラミド重合体の重量比で0.1〜5重量%であることを特徴とする請求項1に記載の共重合アラミド原着糸。
【請求項3】
日光堅牢度が4級から5級であることを特徴とする請求項1に記載の共重合アラミド原着糸。
【請求項4】
洗濯堅牢度が4級から5級であることを特徴とする請求項1に記載の共重合アラミド原着糸。
【請求項5】
陽イオン(cation)を有する色素は、シー.アイ.ベーシックブラック2(C.I.Basic Black 2)、シー.アイ.ベーシックブルー22(C.I.Basic Blue 22)、シー.アイ.ベーシックブルー64( C.I.Basic Blue 64)、シー.アイ.ベーシックレッド22(C.I.Basic Red 22)、シー.アイ.ベーシックブラック7(C.I.Basic Black 7)、シー.アイ.ベーシックブルー10(C.I.Basic Blue 10)、シー.アイ.ベーシックブルー12(C.I.Basic Blue 12)、シー.アイ.ベーシックブルー74(C.I.Basic Blue 74)、シー.アイ.ベーシックブルー24(C.I.Basic Blue 24)、シー.アイ.ベーシックブルー25(C.I.Basic Blue 25)、シー.アイ.ベーシックブルー47(C.I.Basic Blue 47)、シー.アイ.ベーシックレッド32(C.I.Basic Red 32)、シー.アイ.ベーシックレッド111(C.I.Basic Red 111)、およびシー.アイ.ベーシックブルー140(C.I.Basic Blue 140)の中から選択された1種以上であることを特徴とする請求項1に記載の共重合アラミド原着糸。
【請求項6】
陽イオンを有する色素は、陽イオンを有する顔料、陽イオンを有する染料、及び陽イオンを有する顔料と陽イオンを有する染料との混合物であることを特徴とする請求項1に記載の共重合アラミド原着糸。
【請求項7】
シアノ基を含む芳香族ジアミンが溶解している有機溶媒にテレフタル酸ジクロライドを添加し、反応させて共重合アラミド重合体を含む重合溶液を重合した後、前記重合溶液を紡糸、凝固して共重合アラミド原糸を製造する方法において、
前記共重合アラミド重合体を含む重合溶液を重合する工程中に陽イオン(cation)を有する色素を添加することを特徴とする共重合アラミド原着糸の製造方法。
【請求項8】
陽イオン(cation)を有する色素の添加量は、共重合アラミド重合体の重量比で0.1〜5重量%であることを特徴とする請求項7に記載の共重合アラミド原着糸の製造方法。
【請求項9】
陽イオン(cation)を有する色素は、シー.アイ.ベーシックブラック2(C.I.Basic Black 2)、シー.アイ.ベーシックブルー22(C.I.Basic Blue 22)、シー.アイ.ベーシックブルー64( C.I.Basic Blue 64)、シー.アイ.ベーシックレッド22(C.I.Basic Red 22)、シー.アイ.ベーシックブラック7(C.I.Basic Black 7)、シー.アイ.ベーシックブルー10(C.I.Basic Blue 10)、シー.アイ.ベーシックブルー12(C.I.Basic Blue 12)、シー.アイ.ベーシックブルー74(C.I.Basic Blue 74)、シー.アイ.ベーシックブルー24(C.I.Basic Blue 24)、シー.アイ.ベーシックブルー25(C.I.Basic Blue 25)、シー.アイ.ベーシックブルー47(C.I.Basic Blue 47)、シー.アイ.ベーシックレッド32(C.I.Basic Red 32)、シー.アイ.ベーシックレッド111(C.I.Basic Red 111)、およびシー.アイ.ベーシックブルー140(C.I.Basic Blue 140)の中から選ばれた1種以上であることを特徴とする請求項7に記載の共重合アラミド原着糸の製造方法。
【請求項10】
陽イオンを有する色素は、陽イオンを有する顔料、陽イオンを有する染料、及び陽イオンを有する顔料と陽イオンを有する染料との混合物であることを特徴とする請求項7に記載の共重合アラミド原着糸の製造方法。
【請求項11】
前記有機溶媒にシアノ基を含む芳香族ジアミンでパラフェニレンジアミンとシアノ−パラ−フェニレンジアミンを1:9〜9:1のモル比で溶解することを特徴とする請求項7に記載の共重合アラミド原着糸の製造方法。
【請求項12】
前記有機溶媒にシアノ基を含む芳香族ジアミンでシアノ−パラ−フェニレンジアミンを単独で溶解することを特徴とする請求項7に記載の共重合アラミド原着糸の製造方法。
【請求項13】
シアノ基を含む芳香族ジアミンが溶解された有機溶媒にテレフタル酸ジクロライドを有機溶媒に溶解したシアノ基を含む芳香族ジアミンと同一のモル量(Molar amount)で添加することを特徴とする請求項7に記載の共重合アラミド原着糸の製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は共重合アラミド原着糸及びその製造方法に関するもので、より詳細には、共重合アラミド重合体を含む重合溶液を硫酸の使用なしに紡糸口金で放射する時、陽イオン(cation)を有する色素を重合溶液に混合して色強度及び堅牢度に優れた共重合アラミド原着糸を製造する方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
アラミドとして通称する芳香族ポリアミドは、ベンゼン環がアミド基(CONH)を通じて直線状に繋がれた構造を有するパラ系アラミドと、その構造を有しないメタ系アラミドとを含む。
【0003】
パラ系アラミドは高強度、高弾性、低収縮などの特性を有している。パラ系アラミドで製造した約5mmの太さを有する細い糸は、2トン重量の自動車を持ち上げるほどの非常に大きな強度を有しており、防弾用途で用いるだけでなく、宇宙航空分野の先端産業分野においても多様な用途で用いている。
【0004】
また、アラミドは500℃以上の温度で黒く炭化するので、高耐熱性が要求される分野においても脚光を浴びている。
【0005】
アラミド繊維の製造方法は、本出願人が所有している特許文献1に詳細に説明されている。この特許文献1によれば、芳香族ジアミンを重合溶媒に溶解して混合溶液を準備し、これに芳香族二酸を添加してアラミド重合体を製造する。次に、アラミド重合体を硫酸溶媒に溶解してスピンドープを製造し、これを紡糸した後、凝固、水洗、及び乾燥工程を順に行うことで、最終的にアラミド繊維が完成する。
【0006】
しかし、このような工程を通じてアラミド繊維を製造する場合、固体状態のアラミド重合体を製造した後、これを再び硫酸溶媒に溶解してスピンドープを製造して紡糸する。そのため、製造工程が比較的複雑になり、人体に有害であり、且つ腐食により装置の耐久性が低下するなどの問題点がある。
【0007】
更に、高い耐化学性を有するアラミド重合体を溶解するために用いるものであって、紡糸後には除去する硫酸溶媒は環境汚染を生じるため、使用後に適切に処理しなければならない。しかし、このような廃硫酸の処理に要するコストのため、アラミド繊維の経済性が低下する。
【0008】
前述の問題点を解決するために、特許文献2は、共重合したアラミド重合溶液を直接スピンドープとして用いることによって、硫酸溶媒の使用がなくてもアラミド繊維を製造する方法を掲載している。
【0009】
具体的には、前述の従来技術においては、パラフェニレンジアミンとシアノ −パラ−フェニレンジアミンが溶解している有機溶媒にテレフタル酸ジクロライドを添加し、反応させて共重合アラミド重合体を含む重合溶液を重合した後、この重合溶液を紡糸、凝固して共重合アラミド繊維を製造した。
【0010】
しかし、前述の従来技術は硫酸溶媒を使用しないという利点はあるが、製造した共重合アラミド繊維は高結晶性であるため、染色性が低下する問題がある。
【0011】
このような問題点を解決するために特許文献3は、パラフェニレンジアミンとシアノ−パラ−フェニレンジアミンが溶解している有機溶媒にテレフタル酸ジクロライドを添加し、反応させて共重合アラミド重合体を含む重合溶液を重合した後、この重合溶液を紡糸、凝固して共重合アラミド繊維を製造する際に、重合溶液に非結晶高分子であるポリビニルピロリドンを添加する方法を掲載している。しかし、前述の方法は製造した共重合アラミド繊維の染色性を改善することができるが、重合溶液の溶解性と染色堅牢度が低下する問題点がある。
【0012】
他の従来技術としては、パラフェニレンジアミンとシアノ−パラ−フェニレンジアミンが溶解している有機溶媒にテレフタル酸ジクロライドを添加し、反応させて共重合アラミド重合体を含む重合溶液を重合した後、前記重合溶液を紡糸、凝固して共重合アラミド繊維を製造する際に、前記重合溶液に共重合アラミドのシアノ基(−CN)と水素結合できない色素、言い換えれば、陽イオン(cation)を備えていない色素を添加して共重合アラミド原着糸を製造する方法も実施されてきた。しかし、前述の従来技術は共重合アラミド重合体の重合度が低下し、重合溶液の溶解性が低下すると共に、製造した原着糸の堅牢度が低下する問題がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0013】
【特許文献1】韓国特許登録第10−0910537号公報
【特許文献2】韓国特許登録第10−171994号公報
【特許文献3】韓国特許登録第10−067338号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0014】
本発明の課題は、共重合アラミドの重合度の低下及び重合溶液の溶解度の低下を防止しながら、色強度及び堅牢度に優れた共重合アラミド原着糸及びこれを製造する方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0015】
前述の課題を達成するために、本発明においては、シアノ基を含む芳香族ジアミンが溶解している有機溶媒にテレフタル酸ジクロライドを添加し、反応させて共重合アラミド重合体を含む重合溶液を重合した後、前記重合溶液を放射、凝固して共重合アラミド原糸を製造する際に、前記共重合アラミド重合体を含む重合溶液を重合する工程中に陽イオン(cation)を有する色素を共重合アラミド重合体の重量比で0.1〜5重量%を添加する。
【発明の効果】
【0016】
本発明は重合溶液に前記色素を添加することによって共重合アラミド重合体の重合度が低下したり、重合溶液の溶解性が低下したりすることを効果的に防止することができる。
【0017】
また、本発明はシアノ基(−CN)を有する前記共重合アラミド重合体と陽イオンを有する色素が共重合アラミド重合体を含む重合溶液を重合する工程中に水素結合して、前記陽イオンを有する色素が液晶の形成時に共重合アラミド重合体の主鎖(main chain)に位置するシアノ基(−CN)とイオン結合してその主鎖と一緒に挙動可能であるので、共重合アラミド原着糸の色強度、日光堅牢度及び洗濯堅牢度が向上する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0018】
以下、本発明を詳細に説明する。
【0019】
以下で説明する本発明の実施形態は本発明の理解を助けるための例に過ぎず、本発明の権利範囲を制限するものではなく、本発明の技術的思想と範囲を逸脱しない範囲内で本発明の様々な変更や変形が可能であることは当業者に明白であろう。従って、本発明は特許請求の範囲に記載した発明及びその均等物の範囲内に入る全ての変更や変形を含む。
【0020】
本発明においては、まず、有機溶媒に無機塩を溶解させた後、ここにシアノ基(CN−)を含む芳香族ジアミンを添加して溶解させる。
【0021】
この時、シアノ基(CN−)を含む芳香族ジアミンで、パラフェニレンジアミンとシアノ−パラ−フェニレンジアミンを1:9〜9:1のモル比で溶解することもでき、シアノ−パラ−フェニレンジアミンを単独で溶解することもできる。
【0022】
前記有機溶媒の具体的な例としては、N−メチル−2−ピロリドン(NMP)、N、N−ジメチルアセトアミド(DMAc)、ヘキサメチルリン酸アミド(HMPA)、N、N、N’、N’−テトラメチル尿素(TMU)、N、N−ジメチルホルムアミド(DMF)、またはこれらの混合物を挙げられる。
【0023】
前記無機塩は芳香族ポリアミドの重合度を増加させるために添加するものであって、その具体的な例としては、CaCl2,LiCl、NaCl、KCl、LiBr、またはKBrなどのようなハロゲン化アルカリ金属塩またはハロゲン化アルカリ土類金属塩を挙げられる。これらの無機塩は単独または2種以上の混合物として添加することができる。
【0024】
前記無機塩の添加量は有機溶媒の重量比で2〜5重量%程度であることが好ましい。
【0025】
次に、前述のようにシアノ基を含む芳香族ジアミンが添加、溶解された有機溶媒にテレフタル酸ジクロライドを前記シアノ基を含む芳香族ジアミンと同一のモル量(Molar amount)で添加すると共に、陽イオン(cation)を有する色素を前記有機溶媒に添加して共重合アラミド重合体を含む重合溶液を製造する。
【0026】
次は、代表的な陽イオンを有する色素の構造であり、これに限定されない。
色素母体がアゾ(azo)であるシー.アイ.ベーシックブルー64(C.I.Basic Blue 64)、シー.アイ.ベーシックレッド22(C.I.Basic Red 22)、

シー.アイ.ベーシックブルー64(C.I.Basic Blue 64)

シー.アイ.ベーシックレッド22(C.I.Basic Red 22)
色素母体がアジン(azine)とアゾ(azo)複合体であるシー.アイ.ベーシックブラック2(C.I.Basic Black 2)、


シー.アイ.ベーシックブラック2(C.I.Basic Black 2)
色素母体がアジン(azine)とオキサジン(oxazine)複合体であるシー.アイ.ベーシックブラック7(C.I.Basic Black 7)、


シー.アイ.ベーシックブラック7(C.I.Basic Black 7)
色素母体がオキサジン(oxazine)であるシー.アイ.ベーシックブルー10(C.I.Basic Blue 10)、シー.アイ.ベーシックブルー12(C.I.Basic Blue 12)、シー.アイ.ベーシックブルー74(C.I.Basic Blue 74)、


シー.アイ.ベーシックブルー10(C.I.Basic Blue 10)

シー.アイ.ベーシックブルー12(C.I.Basic Blue 12)


シー.アイ.ベーシックブルー74(C.I.Basic Blue 74)
色素母体がチアジン(thiazine)であるシー.アイ.ベーシックブルー24(C.I.Basic Blue 24)、シー.アイ.ベーシックブルー25(C.I.Basic Blue 25)、


シー.アイ.ベーシックブルー24(C.I.Basic Blue 24)


シー.アイ.ベーシックブルー25(C.I.Basic Blue 25)
色素母体がアントラキノン(anthraquinone)であるシー.アイ.ベーシックブルー47(C.I.Basic Blue 47)、シー.アイ.ベーシックブルー22(C.I.Basic Blue 22)
シー.アイ.ベーシックブルー47(C.I.Basic Blue 47)


シー.アイ.ベーシックブルー22(C.I.Basic Blue 22)
色素母体が二重アゾ(double azo)であるシー.アイ.ベーシックレッド32(C.I.Basic Red 32)、シー.アイ.ベーシックレッド111(C.I.Basic Red 111)、


シー.アイ.ベーシックレッド32(C.I.Basic Red 32)


シー.アイ.ベーシックレッド111(C.I.Basic Red 111)
色素母体がフタロシアニン(phthalocyanine)であるシー.アイ.ベーシックブルー140(C.I.Basic Blue 140)、


シー.アイ.ベーシックブルー140(C.I.Basic Blue 140)
前記陽イオンを有する色素の投入量は、共重合アラミド重合体の重量比で0.1〜5重量%であることが好ましい。前記投入含有量が0.1重量%未満であれば、色強度が弱く、5重量%を超過する場合には、繊維の物性が低下する恐れがある。
【0027】
次に、前述のように製造した重合溶液をそのままスピンドープとして使用して紡糸口金を介して押出した後、押出した重合溶液を凝固液で凝固させてフィラメント状の共重合アラミド原着糸を製造する。
【0028】
前記共重合アラミド重合体を含む重合溶液を重合する工程中に陽イオン(Cation)を有する色素の代わりに、陰イオン(Anion)を有する色素を投入する場合には、シアノ基(−CN)が強い電気陰性を有して陰イオン(Anion)色素のスルホン基と相互反発するようになる。それによって、陰イオンを有する色素がポリマーに沈着せず、溶媒と一緒に出て着色レベルではなく、汚染レベルの色を帯びるようになり、色強度、日光堅牢度及び洗濯堅牢度が大きく低下する。
【0029】
陰イオン(Anion)を有する色素の一例は以下の通りである。


シー.アイ.アシッドブルー25(C.I.Basic Acid Blue 25)


シー.アイ.アシッドレッド138(C.I.Basic Acid Red 138)
シー.アイ.アシッドブラック60(C.I.Basic Acid Black 60)
【0030】
本発明に係る共重合アラミド原着糸は前記の陽イオンを有する色素のうち1種のみを含有することもでき、2種以上を一緒に含有することもできる。
【0031】
前記陽イオンを有する色素は陽イオンを有する顔料、陽イオンを有する染料または陽イオンを有する顔料と陽イオンを有する染料の混合物である。
【0032】
前記本発明に係る方法で製造した共重合アラミド原着糸は、陽イオン(cation)を有する色素を含有して色強度が50以上に優れており、日光堅牢度及び洗濯堅牢度が4級から5級に優れる。また、共重合アラミド重合体の重合度が低下しないので、強度が28〜35g/dに優れている。
【0033】
以下、実施例及び比較実施例を通じて本発明をより詳細に説明する。
【0034】
実施例1
3重量%のCaClを含むN−メチル−2−ピロリドン(NMP)有機溶媒を窒素雰囲気下で反応器内に入れ、パラ−フェニレンジアミン(p−phenylenediamine)50モル%とシアノ−パラ−フェニレンジアミン(cyano−p−phenylenediamine)50モル%を前記反応器に入れ、溶解して混合溶液を製造した。
続いて、前記混合溶液を入れた反応器にテレフタル酸ジクロライド100モル%とC.I. Basic Black 2を0.3重量%(共重合アラミド重合体の重量比)で同時に添加して共重合アラミド重合体を含む重合溶液を製造した。
【0035】
次に、前記重合溶液を紡糸口金を介して押出した後、エアギャップ及び凝固液を順に通過させることによって、3,000デニールの線密度を有するマルチフィラメントを形成した。放射パックの圧力は2,800psiであり、放射速度は600mpm(meter per minute)であった。
【0036】
続いて、前記マルチフィラメントを水洗し、水洗したマルチフィラメントを150℃の温度に設定した乾燥ローラで乾燥及び延伸した後、延伸したマルチフィラメントを250℃で熱処理し、これを巻き取って共重合アラミド原着糸を製造した。
【0037】
製造した共重合アラミド原着糸の色強度と堅牢度を評価し、その結果は表1に示すようであった。
【0038】
実施例2
3重量%のCaClを含むN−メチル−2−ピロリドン(NMP)有機溶媒を窒素雰囲気下で反応器内に入れ、シアノ−パラ−フェニレンジアミン(cyano−p−phenylenediamine)100モル%を前記反応器に入れ、溶解して混合溶液を製造した。
【0039】
続いて、前記混合溶液を入れた反応器にテレフタル酸ジクロライド100モル%とC.I. Basic Blue 22を1.5重量%(共重合アラミド重合体の重量比)で同時に添加して共重合アラミド重合体を含む重合溶液を製造した。
【0040】
次に、前記重合溶液を紡糸口金を介して押出した後、エアギャップ及び凝固液を順に通過させることによって、3,000デニールの線密度を有するマルチフィラメントを形成した。放射パックの圧力は2,800psiであり、放射速度は600mpm(meter per minute)であった。
【0041】
続いて、前記マルチフィラメントを水洗し、水洗したマルチフィラメントを150℃の温度に設定した乾燥ローラで乾燥及び延伸した後、延伸したマルチフィラメントを250℃で熱処理し、これを巻き取って共重合アラミド原着糸を製造した。
【0042】
製造した共重合アラミド原着糸の色強度と堅牢度を評価し、その結果は表1に示すようであった。
【0043】
実施例3
3重量%のCaClを含むN−メチル−2−ピロリドン(NMP)有機溶媒を窒素雰囲気下で反応器内に入れ、パラ−フェニレンジアミン(p−phenylenediamine)50モル%とシアノ−パラ−フェニレンジアミン(cyano−p−phenylenediamine)50モル%を前記反応器に入れ、溶解して混合溶液を製造した。
【0044】
続いて、前記混合溶液を入れた反応器にテレフタル酸ジクロライド100モル%とC.I. Basic Blue 64を3重量%(共重合アラミド重合体の重量比)で同時に添加して共重合アラミド重合体を含む重合溶液を製造した。
【0045】
次に、前記重合溶液を紡糸口金を介して押出した後、エアギャップ及び凝固液を順に通過させることによって、3,000デニールの線密度を有するマルチフィラメントを形成した。放射パックの圧力は2,800psiであり、放射速度は600mpm(meter per minute)であった。
【0046】
続いて、前記マルチフィラメントを水洗し、水洗したマルチフィラメントを150℃の温度に設定した乾燥ローラで乾燥及び延伸した後、延伸したマルチフィラメントを250℃で熱処理し、これを巻き取って共重合アラミド原着糸を製造した。
【0047】
製造した共重合アラミド原着糸の色強度と堅牢度を評価し、その結果は表1に示すようであった。
【0048】
実施例4
3重量%のCaClを含むN−メチル−2−ピロリドン(NMP)有機溶媒を窒素雰囲気下で反応器内に入れ、シアノ−パラ−フェニレンジアミン(cyano−p−phenylenediamine)100モル%を前記反応器に入れ、溶解して混合溶液を製造した。
【0049】
続いて、前記混合溶液を入れた反応器にテレフタル酸ジクロライド100モル%とC.I. Basic Red 22を4.9重量%(共重合アラミド重合体の重量比)で同時に添加して共重合アラミド重合体を含む重合溶液を製造した。
【0050】
次に、前記重合溶液を紡糸口金を介して押出した後、エアギャップ及び凝固液を順に通過させることによって、3,000デニールの線密度を有するマルチフィラメントを形成した。放射パックの圧力は2,800psiであり、放射速度は600mpm(meter per minute)であった。
【0051】
続いて、前記マルチフィラメントを水洗し、水洗したマルチフィラメントを150℃の温度に設定した乾燥ローラで乾燥及び延伸した後、延伸したマルチフィラメントを250℃で熱処理し、これを巻き取って共重合アラミド原着糸を製造した。
【0052】
製造した共重合アラミド原着糸の色強度と堅牢度を評価し、その結果は表1に示すようであった。
【0053】
実施例5
3重量%のCaClを含むN−メチル−2−ピロリドン(NMP)有機溶媒を窒素雰囲気下で反応器内に入れ、パラ−フェニレンジアミン(p−phenylenediamine)50モル%とシアノ−パラ−フェニレンジアミン(cyano−p−phenylenediamine)50モル%を前記反応器に入れ、溶解して混合溶液を製造した。
【0054】
続いて、前記混合溶液を入れた反応器にテレフタル酸ジクロライド100モル%とC.I. Basic Black 7を0.3重量%(共重合アラミド重合体の重量比)で同時に添加して共重合アラミド重合体を含む重合溶液を製造した。
【0055】
次に、前記重合溶液を紡糸口金を介して押出した後、エアギャップ及び凝固液を順に通過させることによって、3,000デニールの線密度を有するマルチフィラメントを形成した。放射パックの圧力は2,800psiであり、放射速度は600mpm(meter per minute)であった。
【0056】
続いて、前記マルチフィラメントを水洗し、水洗したマルチフィラメントを150℃の温度に設定した乾燥ローラで乾燥及び延伸した後、延伸したマルチフィラメントを250℃で熱処理し、これを巻き取って共重合アラミド原着糸を製造した。
【0057】
製造した共重合アラミド原着糸の色強度と堅牢度を評価し、その結果は表1に示すようであった。
【0058】
実施例6
3重量%のCaClを含むN−メチル−2−ピロリドン(NMP)有機溶媒を窒素雰囲気下で反応器内に入れ、パラ−フェニレンジアミン(p−phenylenediamine)50モル%とシアノ−パラ−フェニレンジアミン(cyano−p−phenylenediamine)50モル%を前記反応器に入れ、溶解して混合溶液を製造した。
【0059】
続いて、前記混合溶液を入れた反応器にテレフタル酸ジクロライド100モル%とC.I. Basic Blue 74を1.5重量%(共重合アラミド重合体の重量比)で同時に添加して共重合アラミド重合体を含む重合溶液を製造した。
【0060】
次に、前記重合溶液を紡糸口金を介して押出した後、エアギャップ及び凝固液を順に通過させることによって、3,000デニールの線密度を有するマルチフィラメントを形成した。放射パックの圧力は2,800psiであり、放射速度は600mpm(meter per minute)であった。
【0061】
続いて、前記マルチフィラメントを水洗し、水洗したマルチフィラメントを150℃の温度に設定した乾燥ローラで乾燥及び延伸した後、延伸したマルチフィラメントを250℃で熱処理し、これを巻き取って共重合アラミド原着糸を製造した。
製造した共重合アラミド原着糸の色強度と堅牢度を評価し、その結果は表1に示すようであった。
【0062】
実施例7
3重量%のCaClを含むN−メチル−2−ピロリドン(NMP)有機溶媒を窒素雰囲気下で反応器内に入れ、パラ−フェニレンジアミン(p−phenylenediamine)50モル%とシアノ−パラ−フェニレンジアミン(cyano−p−phenylenediamine)50モル%を前記反応器に入れ、溶解して混合溶液を製造した。
【0063】
続いて、前記混合溶液を入れた反応器にテレフタル酸ジクロライド100モル%とC.I. Basic Blue 24を3重量%(共重合アラミド重合体の重量比)で同時に添加して共重合アラミド重合体を含む重合溶液を製造した。
【0064】
次に、前記重合溶液を紡糸口金を介して押出した後、エアギャップ及び凝固液を順に通過させることによって、3,000デニールの線密度を有するマルチフィラメントを形成した。放射パックの圧力は2,800psiであり、放射速度は600mpm(meter per minute)であった。
【0065】
続いて、前記マルチフィラメントを水洗し、水洗したマルチフィラメントを150℃の温度に設定した乾燥ローラで乾燥及び延伸した後、延伸したマルチフィラメントを250℃で熱処理し、これを巻き取って共重合アラミド原着糸を製造した。
【0066】
製造した共重合アラミド原着糸の色強度と堅牢度を評価し、その結果は表1に示すようであった。
【0067】
実施例8
3重量%のCaClを含むN−メチル−2−ピロリドン(NMP)有機溶媒を窒素雰囲気下で反応器内に入れ、パラ−フェニレンジアミン(p−phenylenediamine)50モル%とシアノ−パラ−フェニレンジアミン(cyano−p−phenylenediamine)50モル%を前記反応器に入れ、溶解して混合溶液を製造した。
【0068】
続いて、前記混合溶液を入れた反応器にテレフタル酸ジクロライド100モル%とC.I. Basic Blue 25を4.9重量%(共重合アラミド重合体の重量比)で同時に添加して共重合アラミド重合体を含む重合溶液を製造した。
【0069】
次に、前記重合溶液を紡糸口金を介して押出した後、エアギャップ及び凝固液を順に通過させることによって、3,000デニールの線密度を有するマルチフィラメントを形成した。放射パックの圧力は2,800psiであり、放射速度は600mpm(meter per minute)であった。
【0070】
続いて、前記マルチフィラメントを水洗し、水洗したマルチフィラメントを150℃の温度に設定した乾燥ローラで乾燥及び延伸した後、延伸したマルチフィラメントを250℃で熱処理し、これを巻き取って共重合アラミド原着糸を製造した。
製造した共重合アラミド原着糸の色強度と堅牢度を評価し、その結果は表1に示すようであった。
【0071】
実施例9
3重量%のCaClを含むN−メチル−2−ピロリドン(NMP)有機溶媒を窒素雰囲気下で反応器内に入れ、パラ−フェニレンジアミン(p−phenylenediamine)50モル%とシアノ−パラ−フェニレンジアミン(cyano−p−phenylenediamine)50モル%を前記反応器に入れ、溶解して混合溶液を製造した。
【0072】
続いて、前記混合溶液を入れた反応器にテレフタル酸ジクロライド100モル%とC.I. Basic Blue 47を1.5重量%(共重合アラミド重合体の重量比)で同時に添加して共重合アラミド重合体を含む重合溶液を製造した。
【0073】
次に、前記重合溶液を紡糸口金を介して押出した後、エアギャップ及び凝固液を順に通過させることによって、3,000デニールの線密度を有するマルチフィラメントを形成した。放射パックの圧力は2,800psiであり、放射速度は600mpm(meter per minute)であった。
【0074】
続いて、前記マルチフィラメントを水洗し、水洗したマルチフィラメントを150℃の温度に設定した乾燥ローラで乾燥及び延伸した後、延伸したマルチフィラメントを250℃で熱処理し、これを巻き取って共重合アラミド原着糸を製造した。
【0075】
製造した共重合アラミド原着糸の色強度と堅牢度を評価し、その結果は表1に示すようであった。
【0076】
実施例10
3重量%のCaClを含むN−メチル−2−ピロリドン(NMP)有機溶媒を窒素雰囲気下で反応器内に入れ、パラ−フェニレンジアミン(p−phenylenediamine)50モル%とシアノ−パラ−フェニレンジアミン(cyano−p−phenylenediamine)50モル%を前記反応器に入れ、溶解して混合溶液を製造した。
【0077】
続いて、前記混合溶液を入れた反応器にテレフタル酸ジクロライド100モル%とC.I. Basic Red 32を3重量%(共重合アラミド重合体の重量比)で同時に添加して共重合アラミド重合体を含む重合溶液を製造した。
【0078】
次に、前記重合溶液を紡糸口金を介して押出した後、エアギャップ及び凝固液を順に通過させることによって、3,000デニールの線密度を有するマルチフィラメントを形成した。放射パックの圧力は2,800psiであり、放射速度は600mpm(meter per minute)であった。
【0079】
続いて、前記マルチフィラメントを水洗し、水洗したマルチフィラメントを150℃の温度に設定した乾燥ローラで乾燥及び延伸した後、延伸したマルチフィラメントを250℃で熱処理し、これを巻き取って共重合アラミド原着糸を製造した。
【0080】
製造した共重合アラミド原着糸の色強度と堅牢度を評価し、その結果は表1に示すようであった。
【0081】
実施例11
3重量%のCaClを含むN−メチル−2−ピロリドン(NMP)有機溶媒を窒素雰囲気下で反応器内に入れ、パラ−フェニレンジアミン(p−phenylenediamine)50モル%とシアノ−パラ−フェニレンジアミン(cyano−p−phenylenediamine)50モル%を前記反応器に入れ、溶解して混合溶液を製造した。
【0082】
続いて、前記混合溶液を入れた反応器にテレフタル酸ジクロライド100モル%とC.I. Basic Red 111を4.9重量%(共重合アラミド重合体の重量比)で同時に添加して共重合アラミド重合体を含む重合溶液を製造した。
【0083】
次に、前記重合溶液を紡糸口金を介して押出した後、エアギャップ及び凝固液を順に通過させることによって、3,000デニールの線密度を有するマルチフィラメントを形成した。放射パックの圧力は2,800psiであり、放射速度は600mpm(meter per minute)であった。
【0084】
続いて、前記マルチフィラメントを水洗し、水洗したマルチフィラメントを150℃の温度に設定した乾燥ローラで乾燥及び延伸した後、延伸したマルチフィラメントを250℃で熱処理し、これを巻き取って共重合アラミド原着糸を製造した。
【0085】
製造した共重合アラミド原着糸の色強度と堅牢度を評価し、その結果は表1に示すようであった。
【0086】
実施例12
3重量%のCaClを含むN−メチル−2−ピロリドン(NMP)有機溶媒を窒素雰囲気下で反応器内に入れ、パラ−フェニレンジアミン(p−phenylenediamine)50モル%とシアノ−パラ−フェニレンジアミン(cyano−p−phenylenediamine)50モル%を前記反応器に入れ、溶解して混合溶液を製造した。
【0087】
続いて、前記混合溶液を入れた反応器にテレフタル酸ジクロライド100モル%とC.I. Basic Blue 140を0.3重量%(共重合アラミド重合体の重量比)で同時に添加して共重合アラミド重合体を含む重合溶液を製造した。
【0088】
次に、前記重合溶液を紡糸口金を介して押出した後、エアギャップ及び凝固液を順に通過させることによって、3,000デニールの線密度を有するマルチフィラメントを形成した。放射パックの圧力は2,800psiであり、放射速度は600mpm(meter per minute)であった。
【0089】
続いて、前記マルチフィラメントを水洗し、水洗したマルチフィラメントを150℃の温度に設定した乾燥ローラで乾燥及び延伸した後、延伸したマルチフィラメントを250℃で熱処理し、これを巻き取って共重合アラミド原着糸を製造した。
【0090】
製造した共重合アラミド原着糸の色強度と堅牢度を評価し、その結果は表1に示すようであった。
【0091】
実施例13
3重量%のCaClを含むN−メチル−2−ピロリドン(NMP)有機溶媒を窒素雰囲気下で反応器内に入れ、パラ−フェニレンジアミン(p−phenylenediamine)50モル%とシアノ−パラ−フェニレンジアミン(cyano−p−phenylenediamine)50モル%を前記反応器に入れ、溶解して混合溶液を製造した。
【0092】
続いて、前記混合溶液を入れた反応器にテレフタル酸ジクロライド100モル%とC.I. Basic Blue 10を0.3重量%(共重合アラミド重合体の重量比)で同時に添加して共重合アラミド重合体を含む重合溶液を製造した。
【0093】
次に、前記重合溶液を紡糸口金を介して押出した後、エアギャップ及び凝固液を順に通過させることによって、3,000デニールの線密度を有するマルチフィラメントを形成した。放射パックの圧力は2,800psiであり、放射速度は600mpm(meter per minute)であった。
【0094】
続いて、前記マルチフィラメントを水洗し、水洗したマルチフィラメントを150℃の温度に設定した乾燥ローラで乾燥及び延伸した後、延伸したマルチフィラメントを250℃で熱処理し、これを巻き取って共重合アラミド原着糸を製造した。
【0095】
製造した共重合アラミド原着糸の色強度と堅牢度を評価し、その結果は表1に示すようであった。
【0096】
実施例14
3重量%のCaClを含むN−メチル−2−ピロリドン(NMP)有機溶媒を窒素雰囲気下で反応器内に入れ、パラ−フェニレンジアミン(p−phenylenediamine)50モル%とシアノ−パラ−フェニレンジアミン(cyano−p−phenylenediamine)50モル%を前記反応器に入れ、溶解して混合溶液を製造した。
【0097】
続いて、前記混合溶液を入れた反応器にテレフタル酸ジクロライド100モル%とC.I. Basic Blue 12を3重量%(共重合アラミド重合体の重量比)で同時に添加して共重合アラミド重合体を含む重合溶液を製造した。
【0098】
次に、前記重合溶液を紡糸口金を介して押出した後、エアギャップ及び凝固液を順に通過させることによって、3,000デニールの線密度を有するマルチフィラメントを形成した。放射パックの圧力は2,800psiであり、放射速度は600mpm(meter per minute)であった。
【0099】
続いて、前記マルチフィラメントを水洗し、水洗したマルチフィラメントを150℃の温度に設定した乾燥ローラで乾燥及び延伸した後、延伸したマルチフィラメントを250℃で熱処理し、これを巻き取って共重合アラミド原着糸を製造した。
【0100】
製造した共重合アラミド原着糸の色強度と堅牢度を評価し、その結果は表1に示すようであった。
【0101】
比較実施例1
3重量%のCaClを含むN−メチル−2−ピロリドン(NMP)有機溶媒を窒素雰囲気下で反応器内に入れ、パラ−フェニレンジアミン(p−phenylenediamine)50モル%とシアノ−パラ−フェニレンジアミン(cyano−p−phenylenediamine)50モル%を前記反応器に入れ、溶解して混合溶液を製造した。
【0102】
続いて、前記混合溶液を入れた反応器にテレフタル酸ジクロライド100モル%を添加して共重合アラミド重合体を含む重合溶液を製造した。
【0103】
次に、前記重合溶液を紡糸口金を介して押出した後、エアギャップ及び凝固液を順に通過させることによって、3,000デニールの線密度を有するマルチフィラメントを形成した。放射パックの圧力は2,800psiであり、放射速度は600mpm(meter per minute)であった。
【0104】
続いて、前記マルチフィラメントを水洗し、水洗したマルチフィラメントを150℃の温度に設定した乾燥ローラで乾燥及び延伸した後、延伸したマルチフィラメントを250℃で熱処理し、これを巻き取って共重合アラミド繊維を製造した。
【0105】
前述のように製造した共重合アラミド繊維0.5gを蒸留水100mlに前記染色性染料(CI Basic Red 22)0.2gと氷酢酸1.2mlを添加して製造した塩基性染料の染浴に入れ、100℃で1時間染色した後、水洗及び乾燥した。
【0106】
製造した共重合アラミド染色糸の色強度と堅牢度を評価し、その結果は表1に示すようであった。
【0107】
比較実施例2
3重量%のCaClを含むN−メチル−2−ピロリドン(NMP)有機溶媒を窒素雰囲気下で反応器内に入れ、シアノ−パラ−フェニレンジアミン(cyano−p−phenylenediamine)100モル%を前記反応器に入れ、溶解して混合溶液を製造した。
【0108】
続いて、前記混合溶液を入れた反応器にテレフタル酸ジクロライド100モル%とポリビニルピリジン57重量%(共重合アラミド重合体の重量比)で同時に添加して共重合アラミド重合体を含む重合溶液を製造した。
【0109】
次に、前記重合溶液を紡糸口金を介して押出した後、エアギャップ及び凝固液を順に通過させることによって、3,000デニールの線密度を有するマルチフィラメントを形成した。放射パックの圧力は2,800psiであり、放射速度は600mpm(meter per minute)であった。
【0110】
続いて、前記マルチフィラメントを水洗し、水洗したマルチフィラメントを150℃の温度に設定した乾燥ローラで乾燥及び延伸した後、延伸したマルチフィラメントを250℃で熱処理し、これを巻き取って共重合アラミド繊維を製造した。
【0111】
前述のように製造した共重合アラミド繊維0.5gを蒸留水100mlに前記染色性染料(CI Basic Red 22)0.2gと氷酢酸1.2mlを添加して製造した塩基性染料の染浴に入れ、100℃で1時間染色した後、水洗及び乾燥した。
【0112】
製造した共重合アラミド染色糸の色強度と堅牢度を評価し、その結果は表1に示すようであった。
【0113】
比較実施例3
3重量%のCaClを含むN−メチル−2−ピロリドン(NMP)有機溶媒を窒素雰囲気下で反応器内に入れ、パラ−フェニレンジアミン(p−phenylenediamine)50モル%とシアノ−パラ−フェニレンジアミン(cyano−p−phenylenediamine)50モル%を前記反応器に入れ、溶解して混合溶液を製造した。
【0114】
続いて、前記混合溶液を入れた反応器にテレフタル酸ジクロライド100モル%とC.I. Acid Blue 25を0.3重量%(共重合アラミド重合体の重量比)で同時に添加して共重合アラミド重合体を含む重合溶液を製造した。
【0115】
次に、前記重合溶液を紡糸口金を介して押出した後、エアギャップ及び凝固液を順に通過させることによって、3,000デニールの線密度を有するマルチフィラメントを形成した。放射パックの圧力は2,800psiであり、放射速度は600mpm(meter per minute)であった。
【0116】
続いて、前記マルチフィラメントを水洗し、水洗したマルチフィラメントを150℃の温度に設定した乾燥ローラで乾燥及び延伸した後、延伸したマルチフィラメントを250℃で熱処理し、これを巻き取って共重合アラミド原着糸を製造した。
【0117】
製造した共重合アラミド原着糸の色強度と堅牢度を評価し、その結果は表1に示すようであった。
【0118】
比較実施例4
3重量%のCaClを含むN−メチル−2−ピロリドン(NMP)有機溶媒を窒素雰囲気下で反応器内に入れ、パラ−フェニレンジアミン(p−phenylenediamine)50モル%とシアノ−パラ−フェニレンジアミン(cyano−p−phenylenediamine)50モル%を前記反応器に入れ、溶解して混合溶液を製造した。
【0119】
続いて、前記混合溶液を入れた反応器にテレフタル酸ジクロライド100モル%とC.I. Acid Red 138を2重量%(共重合アラミド重合体の重量比)で同時に添加して共重合アラミド重合体を含む重合溶液を製造した。
【0120】
次に、前記重合溶液を紡糸口金を介して押出した後、エアギャップ及び凝固液を順に通過させることによって、3,000デニールの線密度を有するマルチフィラメントを形成した。放射パックの圧力は2,800psiであり、放射速度は600mpm(meter per minute)であった。
【0121】
続いて、前記マルチフィラメントを水洗し、水洗したマルチフィラメントを150℃の温度に設定した乾燥ローラで乾燥及び延伸した後、延伸したマルチフィラメントを250℃で熱処理し、これを巻き取って共重合アラミド原着糸を製造した。
【0122】
製造した共重合アラミド原着糸の色強度と堅牢度を評価し、その結果は表1に示すようであった。
【0123】
比較実施例5
3重量%のCaClを含むN−メチル−2−ピロリドン(NMP)有機溶媒を窒素雰囲気下で反応器内に入れ、パラ−フェニレンジアミン(p−phenylenediamine)50モル%とシアノ−パラ−フェニレンジアミン(cyano−p−phenylenediamine)50モル%を前記反応器に入れ、溶解して混合溶液を製造した。
【0124】
続いて、前記混合溶液を入れた反応器にテレフタル酸ジクロライド100モル%とC.I. Acid Black 60を4重量%(共重合アラミド重合体の重量比)で同時に添加して共重合アラミド重合体を含む重合溶液を製造した。
【0125】
次に、前記重合溶液を紡糸口金を介して押出した後、エアギャップ及び凝固液を順に通過させることによって、3,000デニールの線密度を有するマルチフィラメントを形成した。放射パックの圧力は2,800psiであり、放射速度は600mpm(meter per minute)であった。
【0126】
続いて、前記マルチフィラメントを水洗し、水洗したマルチフィラメントを150℃の温度に設定した乾燥ローラで乾燥及び延伸した後、延伸したマルチフィラメントを250℃で熱処理し、これを巻き取って共重合アラミド原着糸を製造した。
【0127】
製造した共重合アラミド原着糸の色強度と堅牢度を評価し、その結果は表1に示すようであった。
【表1】
【0128】
前記表1の色強度及び堅牢度は、以下のような方法で評価した。
【0129】
色強度
KS K 0205に基づいて測色して色強度を確認した。具体的にはアラミド繊維を横7.5cm縦6.5cmの小型カードに密に巻いた後、分光側色計(Konica−Minolta CM−3600d spectrophotometer)を用いてD65光源にて10度視野で測色した。この時測色した値は、位置を変えながら3回測色した平均値を求めた。




K:吸収係数(Absorption coefficient)
S:分散係数(Scattering coefficient)
K:反射率(Reflectance)
【0130】
日光堅牢度
日光堅牢度の測定は206KS K 0700に基づいて進行し、変退色はKS K ISO 105−A05側色計を用いた変退色等級測定に基づいて行った。
【0131】
洗濯堅牢度
洗濯堅牢度の測定はKS K ISO 105−C06に基づいて進行し、試験後の生地の変退色はKS K ISO 105−A05側色計を用いた変退色等級測定に基づいて行った。
【産業上の利用可能性】
【0132】
本発明に係る共重合アラミド原着糸は防護用手袋や防護服素材として有用である。