(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、図面を参照して、本発明の一実施形態について説明する。なお、説明の便宜上、改質装置のうちプラグ固定部材が設けられている側を上方向として説明する。
図4は、燃料ガス通路及び空気通路が見える位置でバーナーを上下方向に切断して得られる切断面を概略的に示したものである。
<改質装置の構成>
図1に示す改質装置11は、例えば、図示しない燃料電池発電システムにおいて燃料電池に供給する水素ガスを生成するものであり、メタンを主成分とする都市ガスなどの水素成分を含むガス(以下、改質用燃料と称する)を触媒12に接触させて水素ガスを含むガス(以下、改質ガスと称する)を得るものである。
【0016】
改質装置11は、改質部13と、バーナー14と、点火プラグ15とを備えている。
<改質部の構成>
改質部13は、触媒12と、バーナー14の下端部と、点火プラグ15の下端部とを収容するための容器であり、上方が開放されている。改質部13は、筺体16と、燃焼室形成部材17と、改質体18と、改質用燃料供給管19と、改質ガス回収管20と、燃焼ガス排出管21とを備えている。
【0017】
筺体16は、ステンレス製で上方が開放され、バーナー14の下端部と点火プラグ15の下端部と触媒12が収容可能な有底円筒状をなしている。筺体16は、筺体用胴部22と、筺体用底板部23とを有している。筺体用胴部22は円筒状である。なお、この実施形態では、筺体用胴部22の軸方向が改質装置11の上下方向と一致している。筺体用底板部23は、筺体用胴部22の下端側の開口を塞ぐ円盤状の板部材であり、筺体用胴部22の下端部に溶接により固定されて設けられている。筺体16の上端側の開口は、後述するバーナー14によって塞がれている。
【0018】
燃焼室形成部材17は、バーナー14と点火プラグ15とで生じる炎が収まる燃焼室24を形成するものであり、筺体16内の中央に設けられている。燃焼室形成部材17は、ステンレス製の円筒状の部材から形成され、筺体用胴部22に対して同心円状に配置されている。燃焼室形成部材17は、上端にフランジ部25を有している。フランジ部25は、燃焼室形成部材17の外周面から当該燃焼室形成部材17の径方向外側に広がっている円環状をなしている。
【0019】
燃焼室形成部材17には、径方向外側に突出する第1の凸部26が形成されている。第1の凸部26は、具体的には、燃焼室形成部材17の一部を外周側に半球状に膨れ出して形成されたものであり、燃焼室形成部材17の周方向において複数箇所に形成され(
図1では周方向に1箇所のみ図示)、燃焼室形成部材17の上下方向においても複数箇所に形成されている。
【0020】
改質体18は、触媒12と、改質容器部材30とを有している。
触媒12は、貴金属を含む改質用の触媒である。
改質容器部材30は、触媒12を収容する容器であり、筺体16の内周面と燃焼室形成部材17の外周面との間に設けられている。改質容器部材30は、ステンレス製であり、内周側壁面部31と、外周側壁面部32と、触媒固定部33と、底部仕切り部34と、上蓋部35とを有している。
【0021】
内周側壁面部31は、円筒状の部材から形成され、筺体16の筺体用胴部22に対して同心円状に配置されている。内周側壁面部31の下端は、燃焼室形成部材17の下端よりも下方に位置している。内周側壁面部31の上端は、燃焼室形成部材17のフランジ部25に溶接により固定されている。内周側壁面部31の内周面には、燃焼室形成部材17の第1の凸部26の先端が接触している。これによって、燃焼室形成部材17と内周側壁面部31との間に、第1の凸部26の高さに相当する隙間が確保されるようになっている。
【0022】
外周側壁面部32は、円筒状の部材から形成され、内周側壁面部31の外周側に設けられ、筺体16の筺体用胴部22に対して同心円状に配置されている。また、筺体16と外周側壁面部32との間にも隙間が形成されるように配置されている。
【0023】
外周側壁面部32の上下方向の長さは、内周側壁面部31の上下方向の長さよりも短い。また、内周側壁面部31の下端の上下方向の位置と外周側壁面部32の下端の上下方向の位置がほぼ同じになるように配置されている。すなわち、内周側壁面部31の上端は、外周側壁面部32の上端よりも上方に位置している。
【0024】
内周側壁面部31と外周側壁面部32との隙間には、触媒12が設けられている。なお、内周側壁面部31と外周側壁面部32との隙間のうち触媒12の上方には、隙間が形成されている。
【0025】
触媒固定部33は、触媒の上下方向の移動を制限する部材であり、上端固定部36と、下端固定部37とを有している。上端固定部36及び下端固定部37は、内周側壁面部31と外周側壁面部32との隙間を塞ぐ円環状の板部材である。
【0026】
上端固定部36は、内周側壁面部31と外周側壁面部32との隙間のうち触媒12の上側に設けられている。上端固定部36は、内周側壁面部31に溶接により固定されている。上端固定部36には、改質用燃料が通過可能な孔38が形成されている。
【0027】
下端固定部37は、内周側壁面部31と外周側壁面部32との隙間のうち触媒12の下側に設けられている。下端固定部37は、内周側壁面部31に溶接により固定されている。下端固定部37には、改質ガスが通過可能な孔39が形成されている。
【0028】
下端固定部37と筺体用底板部23との間には、隙間が形成されている。
底部仕切り部34は、内周側壁面部31の下端側の開口を塞ぐ円盤状の板部材であり、内周側壁面部31の下端に溶接により固定されて設けられている。底部仕切り部34と、燃焼室形成部材17の下端との間には、隙間が形成されている。また、底部仕切り部34と筺体用底板部23との間にも、隙間が形成されている。
【0029】
上蓋部35は、内周側壁面部31の外周面と外周側壁面部32の上端部との隙間を塞ぐ円環状の板部材であり、内周側壁面部31と外周側壁面部32とに溶接により固定されている。
【0030】
上蓋部35と、上端固定部36との間には、後述する改質用燃料供給管19が接続されている。
改質用燃料供給管19は、改質用燃料を改質体18内に供給するための配管である。改質用燃料供給管19は、一端部が図示しない前工程の触媒反応容器に接続され、他端部が改質体18の外周側壁面部32の上端固定部36と上蓋部35との間に接続されている。
【0031】
改質ガス回収管20は、改質ガスを改質装置11外に排出するための配管である。改質ガス回収管20は、筺体用胴部22の上部に接続され、他端部が図示しない後工程の触媒反応容器に接続されている。
【0032】
燃焼ガス排出管21は、バーナー14と点火プラグ15とで燃焼される燃料ガスと空気との混合ガス(以下、混合ガスと称する)を、改質装置11外に排出させるための配管である。燃焼ガス排出管21は、一端部が内周側壁面部31の上部に接続され、他端部が図示しない排気ガスを利用する装置などに接続されている。
<バーナーの構成>
バーナー14は、
図2〜
図6にも示すように、混合ガスに点火を行う点火プラグ15を改質部13の上部に固定するものである。バーナー14には、混合ガスのうちの燃料ガスを燃焼室24に供給するための燃料ガス通路40と、混合ガスのうちの空気を燃焼室24に供給するための空気通路、この実施形態の場合、第1の空気通路41及び第2の空気通路42とが形成されている。
【0033】
バーナー14は、改質部13の上側に設けられており、改質部13の上端の開口部を塞いでいる。具体的には、バーナー14は、燃焼室24の上端に位置し、燃焼室形成部材17のフランジ部25に溶接により固定されている。
【0034】
バーナー14は、プラグ固定部材43と、内側ノズル部材44と、外側ノズル部材45とを備えている。
プラグ固定部材43は、バーナー14を固定するための基盤となるものであり、筺体16の上部中央に固定されている。プラグ固定部材43は、主体となる固定本体部46を有している。固定本体部46は、ステンレス製の円柱状であり、筺体16に対して同心円状に配置されている。
【0035】
プラグ固定部材43(固定本体部46)の中央には、
図1及び
図4に示すように、プラグ固定用貫通孔47が形成されている。プラグ固定用貫通孔47は、点火プラグ15が固定本体部46の中心において上下方向に貫通するための孔であり、上下方向に垂直な断面において円形状である。ここで、プラグ固定用貫通孔47は、筺体16に対して同心円状に位置している。プラグ固定用貫通孔47の内周面の上端部には、
図4に示すように、ネジ部48が形成されている。ネジ部48は、点火プラグ15がプラグ固定用貫通孔47に挿入されたときに、
図1及び
図7に示すように、点火プラグ15の一端部に形成されている被ネジ部85と合わさるものである。これにより、点火プラグ15の一端部(上端部)は、固定本体部46に固定される。
【0036】
固定本体部46には、外周部の一部、例えば
図1及び
図4においては固定本体部46のうち点火プラグ15の左方向に燃料供給用連結孔49が形成されている。燃料供給用連結孔49は、2つの入り口と1つの出口とを有する孔である。燃料供給用連結孔49は、具体的には、固定本体部46を上下方向に貫通する第1の燃料供給用連結孔50と、固定本体部46の左端面から第1の燃料供給用連結孔50まで延びている第2の燃料供給用連結孔51とを有している。
【0037】
燃料供給用連結孔49の一方の入り口である第1の燃料供給用連結孔50の上端の開口部には、
図2〜
図4にも示すように、第1の燃料供給管52が連結されている。第1の燃料供給管52には、燃料ガスである天然ガス及び空気の混合ガス(以下、第1の燃料ガスと称する)が供給される構成となっている。また、
図1及び
図4に示すように、燃料供給用連結孔49の他方の入り口である第2の燃料供給用連結孔51の左端の開口部には、第2の燃料供給管53が連結されている。第2の燃料供給管53には、燃料ガスであるアノードオフガス、すなわち燃料電池で使用される水素のうち電極反応で反応しなかった水素を含むガス(以下、第2の燃料ガスと称する)が供給される構成となっている。燃料供給用連結孔49の出口である第1の燃料供給用連結孔50の下端は、後述する燃料ガス通路40と連通している。
【0038】
固定本体部46には、外周部の一部、例えば
図1及び
図4においては固定本体部46のうち点火プラグ15の右方向に空気供給用連結孔54が形成されている。空気供給用連結孔54は、1つの入り口と2つの出口とを有する孔である。空気供給用連結孔54は、具体的には、固定本体部46の周方向の側面、
図4において固定本体部46の右端面から点火プラグ15のプラグ固定用貫通孔47まで延びている第1の空気供給用連結孔55と、第1の空気供給用連結孔55から固定本体部46の下面まで延びて第2の空気通路42と連通する第2の空気供給用連結孔56とを有している。
【0039】
空気供給用連結孔54の入り口である第1の空気供給用連結孔55の右端側の開口部には、空気供給管57が連結されている。空気供給管57には、空気が供給される構成となっている。なお、空気供給用連結孔54の一方の出口である第1の空気供給用連結孔55の左端側の開口部は、プラグ固定用貫通孔47と連通している。プラグ固定用貫通孔47は、後述する第1の空気通路41と連通している。また、空気供給用連結孔54の他方の出口である第2の空気供給用連結孔56の下端は、上述したように第2の空気通路42と連通している。
【0040】
内側ノズル部材44は、ステンレス製の筒状部材であり、軸方向(この場合上下方向)に垂直な断面において内周面が円形状である。ここで、
図4に示すように、内側ノズル部材44の径方向の厚さ部分を三分割し、この内側ノズル部材44を内周側に位置する内周部61と、外周側に位置する外周部62と、内周部61と外周部62の間に位置する中央部63との領域に分けた場合、内側ノズル部材44の一端側、この実施形態では上端部は、内周部61が中央部63及び外周部62よりも上方に延びている。そして、内側ノズル部材44のうち内周部61がプラグ固定部材43(固定本体部46)の下端面に溶接により固定されている。
【0041】
内側ノズル部材44は、プラグ固定用貫通孔47に対して同心円状に配置されている。この実施形態では、内側ノズル部材44の内周面の直径は、プラグ固定用貫通孔47の直径とほぼ同一である。すなわち、内側ノズル部材44の内周面と、プラグ固定用貫通孔47の内周面とが連続した形状となっている。なお、この「連続した形状」とは、内側ノズル部材44の内周面と、プラグ固定用貫通孔47の内周面との継ぎ目部分において、設計上の寸法誤差を除き実質的に段差がない形状のことである。
【0042】
内側ノズル部材44の他端側である下端部は、プラグ固定部材43(固定本体部46)から離れて位置し、燃焼室24内の上部に位置している。
内側ノズル部材44の内周面と外周面との間、この実施形態では中央部63には、燃料ガス通路40の後半部分を構成する下流側燃料ガス通路64が形成されている。下流側燃料ガス通路64は、内側ノズル部材44の上下方向に延びている貫通孔であり、
図4〜
図6に示すように、周方向に複数箇所、等間隔に形成されている。なお、燃料ガス通路40の前半部分を構成する上流側燃料ガス通路65については、後述する。
【0043】
内側ノズル部材44は、点火プラグ15に対して隙間を設けて配置されている。すなわち、内側ノズル部材44と点火プラグ15との隙間には、上述したように、空気供給管57から供給される空気が通過する第1の空気通路41が形成された構成となっている。
【0044】
固定本体部46の下端面と内側ノズル部材44の外周側の上端部との間には、上流側燃料ガス通路65を形成するための燃料ガス通路形成部材68が設けられている。燃料ガス通路形成部材68は、上端の開口部が下端の開口部よりも大きい円筒状をなしている。燃料ガス通路形成部材68の下端の開口部は、内側ノズル部材44の外周面と同じ円形に形成されている。燃料ガス通路形成部材68の上端の開口部の縁は、固定本体部46の下面のうち第1の燃料供給用連結孔50の下端よりも径方向外側に位置し、かつ、第2の空気供給用連結孔56の下端よりも径方向内側に位置している。燃料ガス通路形成部材68は、上端部が固定本体部46に溶接により固定され、また、燃料ガス通路形成部材68の下端部には内側ノズル部材44の上端部が溶接により固定されている。
【0045】
上流側燃料ガス通路65の外周側には、第2の空気通路42の第2の上流側空気通路67を形成する空気通路形成部材69が設けられている。空気通路形成部材69の下方には、第2の空気通路42の第2の下流側空気通路66を形成する外側ノズル部材45が設けられている。
【0046】
空気通路形成部材69は、胴部部材70と、底部部材71とを有している。
胴部部材70は、ステンレス製の円筒状の部材である。胴部部材70の上端の開口部の縁は、固定本体部46の下面のうち第2の空気供給用連結孔56の下端よりも径方向外側に位置している。胴部部材70は、上端部が固定本体部46に溶接により固定されて設けられている。
【0047】
底部部材71は、胴部部材70の下端の開口部の開口面積を小さくするものであり、胴部部材70の下端の開口部に溶接により固定されて設けられ、かつ、燃焼室形成部材17のフランジ部25に溶接により固定されている。底部部材71は、ステンレス製の円環状の板部材である。底部部材71の外周の直径は、胴部部材70の外周の直径とほぼ同等である。
【0048】
底部部材71の径方向に広がる平坦面には、上方に突出する第2の凸部72が形成されている。第2の凸部72は、具体的には、
図5及び
図6にも示すように、底部部材71の平坦面の一部を上側に半球状に膨れ出して形成されたものであり、底部部材71の周方向において複数箇所に形成され、第2の凸部72の頂点が燃料ガス通路形成部材68に接している。これにより、燃料ガス通路形成部材68と底部部材71との間に、第2の凸部72の高さに相当する隙間が確保されるようになっている。
【0049】
外側ノズル部材45は、ステンレス製の円筒状の部材であり、内側ノズル部材44の外周側に設けられ、上下方向に垂直な断面において内周面が円形状である。外側ノズル部材45の一端側、この実施形態では上端部は、底部部材71の内周側の縁に溶接により固定されている。外側ノズル部材45の他端側である下端部は、プラグ固定部材43から離れて位置し、燃焼室24内の上部に位置している。また、外側ノズル部材45の下端部の上下方向の位置は、内側ノズル部材44の下端部の上下位置と一致している。
【0050】
外側ノズル部材45は、内側ノズル部材44に対して隙間を設けて配置されている。すなわち、外側ノズル部材45と内側ノズル部材44との隙間には、第2の空気通路42の後半部分である第2の下流側空気通路66が形成された構成となっている。
【0051】
外側ノズル部材45の外周側の下端部には、放電用の電極棒73が複数個、溶接により固定されて設けられている。電極棒73は、金属製、例えばニッケルを主成分とする導電体の材料から形成され、点火プラグ15からの電圧を受ける電極として作用するものである。すなわち、点火プラグ15と電極棒73との間で放電が生じる構成となっている。電極棒73の下端部は、
図3及び
図4に示すように、折り曲げられ、下端部の先端は、点火プラグ15の近傍に位置している。
<点火プラグの構成>
点火プラグ15は、棒状、例えば上下方向に長い円柱状をなし、
図1及び
図7に示すように、点火プラグ導電体部81と、点火プラグ絶縁体部82と、プラグ取付部材83とを備えている。
【0052】
点火プラグ導電体部81は、点火プラグ15の軸方向に延びている棒状の金属製の高圧端子であり、上述した電極棒73とともに放電用の電極として作用する。
点火プラグ絶縁体部82は、点火プラグ導電体部81の外周側を覆う円筒状をなし、絶縁体の材料、例えばセラミックで形成されている。点火プラグ絶縁体部82は、点火プラグ導電体部81よりも上下方向の長さが短い。そして、点火プラグ導電体部81の下端部には、点火プラグ絶縁体部82で覆われていない部分がある。ここで、点火プラグ導電体部81のうち下端部すなわち点火プラグ絶縁体部82で覆われていない部分が、上述したように放電用の電極として作用する。
【0053】
さらに、点火プラグ導電体部81の上端部は、点火プラグ絶縁体部82の上端面から上方に向かって突出している。点火プラグ導電体部81の上端部には、点火プラグ15に電圧を印加するための図示しない配線が設けられている。配線の他方側は、図示しない電源に接続されている。
【0054】
プラグ取付部材83は、点火プラグ15をプラグ固定部材43(固定本体部46)に固定するためのものであり、点火プラグ絶縁体部82の上端部に設けられている。プラグ取付部材83は、プラグ取付部84と、被ネジ部85とを備えている。プラグ取付部84は、点火プラグ15を回転しながら固定本体部46のプラグ固定用貫通孔47に挿入する際に摘むことが可能な筒状をなし、金属材料、例えばステンレス製である。
【0055】
被ネジ部85は、外周面にネジ山が形成された筒状のステンレス製の部材である。被ネジ部85は、上述したように、点火プラグ15がプラグ固定用貫通孔47に挿入されたときに、固定本体部46のネジ部48と合わさるものである。
【0056】
なお、点火プラグ15のプラグ取付部84の外周には、
図1に示すように、金属製の円環状のシール部材86が設けられている。シール部材86は、点火プラグ15がプラグ固定本体部46のプラグ固定用貫通孔47に挿入されたときに、点火プラグ15とプラグ固定部材43(固定本体部46)との隙間を塞ぐものである。
<ガスの流れ>
上記構成の改質装置11及びバーナー14によれば、次のようにしてガスが流れる。
【0057】
まず、改質部13に供給されるガスの流れについて説明する。
改質用燃料の供給源から供給される当該改質用燃料は、改質用燃料供給管19を通り、内周側壁面部31と外周側壁面部32との隙間のうち上端固定部36の上方に供給される。さらに、この改質用燃料は、上端固定部36の孔38を通って触媒12に供給される。改質用燃料が触媒12に接触することにより、改質反応によって、改質ガスが生成される。生成された改質ガスは、下端固定部37の孔39を通り、さらに外周側壁面部32の外周面と筺体16の内周面との隙間を通って、改質ガス回収管20から改質装置11外に排出され、回収される。
【0058】
ここで、上記改質反応において、バーナー14及び点火プラグ15によって炎が生成され、この炎の熱を受けて、改質用燃料は加熱され、高温に保たれる。その結果、改質反応は安定的に進むようになる。
【0059】
次に、このバーナー14に供給されるガスの流れについて説明する。
まず、第1の燃料供給管52から第1の燃料供給用連結孔50に供給される第1の燃料ガスは、燃料ガス通路40、具体的には、燃料ガス通路形成部材68とプラグ固定部材43(固定本体部46)と内側ノズル部材44とで形成される上流側燃料ガス通路65を通り(
図4参照)、さらに内側ノズル部材44の下流側燃料ガス通路64を通って、燃焼室24に供給される。
【0060】
また、第2の燃料供給管53から第2の燃料供給用連結孔51を通って第1の燃料供給用連結孔50に供給される第2の燃料ガスも、燃料ガス通路40すなわち上流側燃料ガス通路65及び下流側燃料ガス通路64を通って、燃焼室24に供給される。
【0061】
なお、第1の燃料ガス及び第2の燃料ガスは、どちらか一方が燃焼室24に供給されるように、ガスの供給のオン・オフを制御してもよい。
また、空気供給管57から第1の空気供給用連結孔55を通りプラグ固定用貫通孔47に供給される空気は、第1の空気通路41、具体的には、点火プラグ15と内側ノズル部材44との隙間を通って燃焼室24に供給される。さらに、
図4に示すように、空気供給管57から第1の空気供給用連結孔55及び第2の空気供給用連結孔56に供給される空気は、第2の空気通路42、具体的には燃料ガス通路形成部材68と空気通路形成部材69とから形成される第2の上流側空気通路67を通り、内側ノズル部材44と外側ノズル部材45とから形成される第2の下流側空気通路66を通って燃焼室24に供給される。
【0062】
燃焼室24に供給された燃料ガス(第1の燃料ガス及び第2の燃料ガスの少なくとも一方)と空気との混合ガスは、点火プラグ15に電圧が印加されて点火プラグ導電体部81と電極棒73との間で生じる放電によって引火される。これにより、燃焼室24内に炎が生じ、改質用燃料は、上述したように高温に保たれる。
【0063】
また、燃焼室24に供給された混合ガスの一部例えば混合ガスが燃焼して生じた燃焼ガスは、燃焼室形成部材17の外周面と内周側壁面部31の内周面との隙間を通って、燃焼ガス排出管21から改質装置11外に排出される。
<作用・効果>
本実施形態によれば、点火プラグ15の外周側に燃料ガス通路40と第1の空気通路41とを備えるバーナー14であって、第1の空気通路41を形成する内側ノズル部材44の一端側が点火プラグ15を固定するプラグ固定部材43(固定本体部46)に固定されている。そして、内側ノズル部材44の内周面がプラグ固定用貫通孔47に対して同心円状となるように配置されている。これにより、内側ノズル部材44及び点火プラグ15がプラグ固定部材43の所定の位置に設けられる構成となる。よって、内側ノズル部材44を、点火プラグ15に対して所定の位置に精度よく設けることができる。よって、点火プラグ15取り付け時の破損リスクを低減することができる。
【0064】
内側ノズル部材44の内周面が、プラグ固定部材43(固定本体部46)のプラグ固定用貫通孔47に連続しているので、点火プラグ15をプラグ固定用貫通孔47に挿入していくことにより、点火プラグ15の先端が内側ノズル部材44により一層当たりにくくなり、点火プラグ15の破損を一層生じにくくできる。
【0065】
プラグ固定部材43(固定本体部46)は、金属、この場合ステンレスで形成されている。また、内側ノズル部材44は、プラグ固定部材43に溶接可能な金属、この場合ステンレスで形成され、プラグ固定部材43に溶接されている。したがって、内側ノズル部材44をプラグ固定部材43に容易に固定することができる。
【0066】
プラグ固定部材43(固定本体部46)及び内側ノズル部材44は、同一の金属、この場合ステンレスで形成されているので、内側ノズル部材44をプラグ固定部材43により一層容易に固定することができる。
【0067】
第2の空気通路42を形成する空気通路形成部材69は、内周面がプラグ固定用貫通孔47に対して同心円状となるように配置されている。また、内側ノズル部材44もプラグ固定用貫通孔47に対して同心円状となるように配置されている。したがって、空気通路形成部材69を、内側ノズル部材44に対して所定の位置に配置することができる。
【0068】
さらに、この空気通路形成部材69の下端部に、外側ノズル部材45が設けられているので、外側ノズル部材45も内側ノズル部材44に対して同心円上に配置された構成となる。したがって、第2の空気通路42から燃焼室24に供給される空気を、燃焼室24において燃料ガスの外側に噴出させ、第1の空気通路41からの空気とあわせて燃料ガスを挟み込み、良好な燃焼を確保することができる。
【0069】
内側ノズル部材44の内周面と外周面との間に、燃料ガス通路40の後半部分を構成する下流側燃料ガス通路64が形成されている。したがって、第1の空気通路41と第2の空気通路42との間に燃料ガスを噴出させ、良好な燃焼を確保することができる。
【0070】
内周側壁面部31の内周面に第1の凸部26が形成されているので、燃焼室24と内周側壁面部31と燃焼室24との間に、第1の凸部26の高さに相当する隙間を確保することができ、燃焼室24から燃焼ガス排出管21に流れる燃焼ガスを流しやすくすることができる。
【0071】
底部部材71の周方向に第2の凸部72が形成されているので、燃料ガス通路形成部材68と底部部材71との間に、第2の凸部72の高さに相当する隙間を確保することができ、第2の空気通路42に流れる空気を流しやすくすることができる。
<その他の実施形態>
本実施形態は上記に限定されるものではなく、本発明の技術範囲内において種々の形態をとることができる。
【0072】
例えば、本実施形態では、プラグ固定部材43と内側ノズル部材44などの部材を、ステンレスで形成されているとして説明したが、ステンレス以外の金属でもよい。この場合、この金属は、溶接可能な金属である。このような金属でも、本実施形態と同様の作用効果を奏する。
【0073】
また、固定本体部46に燃料供給用連結孔49などの燃料ガス通路40を形成せず、固定本体部46とは別部材で燃料ガス通路を構成してもよい。すなわち、プラグ固定部材43は、固定本体部46に、ガスが流れる通路などを形成する別部材を設けて構成されていてもよい。
【0074】
さらに、プラグ固定部材43と内側ノズル部材44などの金属部材同士を、適宜ロウ付けによって固定してもよい。
内側ノズル部材44内に燃料ガス通路40の下流側燃料ガス通路64が形成されている構成について説明したが、内側ノズル部材44を、径方向に3分割した3層の筒部材から構成し、中間に位置する筒状部材に下流側燃料ガス通路を形成する構成としてもよい。
【0075】
改質装置11の改質部13の筺体用胴部22は、円筒状であるとして説明したが、多角形状や楕円形状など適宜変更できる。
改質装置11は、燃料電池発電システムに適用して説明したが、他の水素ガスを必要とする装置などにも適用できる。