(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、本発明を実施するための最良の形態について図面等を参照して説明する。
【0018】
(第1実施形態)
図1は、本発明による用紙ガイド機構10を有するプリンタ1の第1実施形態を示す概略斜視図である。
図1は、用紙ガイド機構10が見えるように、不図示のカバー部材を取り外して示している。
図2は、用紙ガイド機構10を上方から見た概略上面図である。以下、
図2中に矢印Aで示した方向を用紙の搬送方向とし、この矢印Aに対して垂直で用紙面に平行な方向である矢印Bで示した方向を用紙の幅方向として説明する。
なお、
図1及び
図2を含め、以下に示す各図は、模式的に示した図であり、各部の大きさ、形状は、理解を容易にするために、適宜誇張して示している。
また、以下の説明では、具体的な数値、形状、材料等を示して説明を行うが、これらは、適宜変更することができる。
【0019】
プリンタ1は、用紙ガイド機構10と、印字部20と、筐体30とを備えており、タグが連続して形成されたタグ連続体を用紙として印字を行うプリンタである。なお、以下の説明においては、当業者の通常の用法として、プリンタによる情報の出力を「印字」として用いている。この「印字」との記載は、プリンタによる情報の出力を指すものであり、文字の出力に限らず、バーコード等の図形や画像等の出力も含むものとする。
【0020】
用紙ガイド機構10は、用紙の印字部20への搬送をガイドする機構である。
【0021】
印字部20は、例えば、サーマルヘッドとプラテンローラ(いずれも不図示)とを有し、用紙ガイド機構10によりガイドされて搬送されてくるタグ連続体に対して、各種情報を印字する。
【0022】
筐体30は、プリンタ1を不図示のカバー部材と共に覆う。用紙ガイド機構10は、この筐体30とカバー部材との内部に配置されている。
【0023】
次に、用紙ガイド機構10について、より詳細に説明する。
用紙ガイド機構10は、支持部材11と、幅方向移動部材12と、位置保持部材13と、従動ガイド部材14と、ピニオン15とを備えている。
【0024】
支持部材11は、搬送状態にある用紙(タグ連続体)の面に沿うように略板状に形成された部材である。支持部材11は、搬送状態にある用紙を、その面方向においてガイドする部材である。しかし、本実施形態では、タグ連続体は、後述の幅方向移動部材12及び従動ガイド部材14によっても、用紙の紙面に垂直な方向の位置がガイドされるので、用紙の種類によっては、タグ連続体が支持部材11に触れない場合もある。
また、支持部材11は、スリット11aと、スリット11bと、センサ用開口部11cと、端面ガイド部11dとを有している。
【0025】
さらに、支持部材11は、係止部として、第1の固定側係止部11eと第2の固定側係止部11fとを有している。
第1の固定側係止部11eは、支持部材11の表面側の端部付近に形成されている。ここで、表面とは、搬送状態にある用紙の面に対向する面(第1の面)を指し、これとは反対側の面(第2の面)を裏面と呼ぶこととする。第1の固定側係止部11eは、凸形状として形成された固定側単位形状が前記幅方向に並べて形成された凹凸形状である。本実施形態の固定側単位形状の断面形状は、略直角三角形形状をしている。
【0026】
第2の固定側係止部11fは、支持部材11の裏面側の端部付近に形成されており、表面側に設けられた第1の固定側係止部11eと対向する裏面側の位置に配置されている。第2の固定側係止部11fは、第1の固定側係止部11eと同様に、凸形状として形成された固定側単位形状が用紙の幅方向に並べて形成された凹凸形状である。本実施形態の固定側単位形状の断面形状は、略直角三角形形状をしている。なお、後述する
図6では、固定側単位形状及び移動側単位形状の先端に微小な丸み(R)を設けているので、厳密な三角形形状にはなっていない。
【0027】
幅方向移動部材12は、幅方向に移動可能なように支持部材11に対して取り付けられており、用紙の幅方向の一側辺をガイドする。幅方向移動部材12は、スリット11aにガイドされて幅方向に移動可能となっている。また、幅方向移動部材12には、端面ガイド部11dと係合する端面係合部12aが設けられている(
図4及び
図5参照)。この端面係合部12aは、幅方向移動部材12が後述するつまみ部12c及びつまみ部13cを手でつまんで移動させられるときに、端面ガイド部11dに押し当てられて当接し、幅方向移動部材12の幅方向の移動が滑らかになるようにガイドする。さらに、幅方向移動部材12は、ラック部12bを支持部材11の裏面側に有している。ラック部12bは、ピニオン15とかみ合って、ラック&ピニオン機構を形成している。また、幅方向移動部材12は、後述するつまみ部13cと共に指でつまむことができるように、搬送方向に対して略垂直に形成された、つまみ部12cを有している。
【0028】
位置保持部材13は、幅方向移動部材12に対して取り付けられ、幅方向移動部材12の幅方向における位置を保持する部材である。
位置保持部材13の詳細については、後述する。
幅方向移動部材12及び位置保持部材13により、用紙の搬送方向と交差する幅方向の位置をガイドする幅ガイド部が形成されている。なお、幅方向移動部材12及び位置保持部材13からなる幅ガイド部は、用紙の幅方向の一方の端部をガイドする。
【0029】
従動ガイド部材14は、幅方向移動部材12とは反対側から用紙の幅方向の位置を規制してガイドする。従動ガイド部材14は、スリット11bにガイドされて幅方向に移動可能となっている。また、従動ガイド部材14は、ラック部14aを支持部材11の裏面側に有している。ラック部14aは、ラック部12bとは反対側からピニオン15とかみ合って、ラック&ピニオン機構を形成している。よって、幅方向移動部材12が幅方向で移動すると、従動ガイド部材14は、幅方向移動部材12の移動する向きに対応した向きに従動移動する。すなわち、幅方向移動部材12が用紙幅を広げる方向に移動するときには、従動ガイド部材14は、同様に用紙幅を広げる方向に移動する。また、この逆の向きに移動するとき、すなわち、幅方向移動部材12が用紙幅を狭くする方向に移動するときには、従動ガイド部材14は、同様に用紙幅を狭くする方向に移動する。
【0030】
また、従動ガイド部材14は、ガイドする用紙に対して上方から覆い被さる形態に形成された上側ガイド部14bと、支持部材11を挟んで上側ガイド部14bと対向するように配置された裏面側センサ保持部(不図示)とを有している。上側ガイド部14bと、裏面側センサ保持部とには、センサ16が取り付けられている。センサ16は、例えば、透過型の光センサであって、投光側センサと受光側センサとがセンサ用開口部11cを挟んで対向して配置されている。このセンサ16は、用紙の位置検出に用いられる。なお、センサ16には、反射型の光センサをさらに設けてもよい。
【0031】
ピニオン15は、支持部材11の裏面側に回転可能に取り付けられており、上述したように、ラック部12bとラック部14aとがかみ合っている。
【0032】
図3は、位置保持部材13の概略斜視図である。
図4は、支持部材11と幅方向移動部材12と位置保持部材13との関係を示す概略側面図である。
図5は、支持部材11と幅方向移動部材12と位置保持部材13との関係を示す概略側面断面図である。
位置保持部材13は、
図4(a)及び
図5(a)に示す保持位置と、
図4(b)及び
図5(b)に示す解除位置との間を、搬送方向に沿った方向において移動可能に設けられている。
保持位置では、位置保持部材13は、幅方向移動部材12の幅方向における位置を保持する。よって、位置保持部材13が保持位置にあるときには、幅方向移動部材12は、幅方向へ移動することができない。
一方、解除位置では、位置保持部材13は、幅方向移動部材12の幅方向における位置の保持を解除する。よって、位置保持部材13が解除位置にあるときには、幅方向移動部材12は、幅方向へ移動することができる。
保持位置において幅方向移動部材12の幅方向における位置を保持し、解除位置おいてその保持を解除するための構造の説明は、以下で詳細に説明する。
【0033】
位置保持部材13は、長孔13a,13bと、つまみ部13cと、第1の移動側係止部13dと、移動規制部13eと、第2の移動側係止部13fと、バネ室13gとを備えている。
【0034】
長孔13a,13bは、用紙の搬送方向に沿った方向に長くなるように、幅方向に貫通する長孔である。この長孔と対応する幅方向移動部材12には、締結部材としてのビス17,17が固定されるビス穴(不図示)が設けられている。位置保持部材13は、長孔13a,13bにビス17,17を通して幅方向移動部材12のビス穴にビス17,17を固定することにより、搬送方向に移動可能な状態で幅方向移動部材12に取り付けられている。
また、位置保持部材13は、ビス17,17を取り外すことにより、容易に交換が可能である。位置保持部材13が容易に交換可能であることから、例えば、長孔13a,13bを長孔とせずにビス17,17が貫通する丸孔とすれば、ガイドする用紙幅の変更を行わない固定幅の用紙ガイド機構への変更が簡単に行える。
【0035】
つまみ部13cは、つまみ部12cと共に指でつまむことができるように、搬送方向に対して略垂直に形成されている。
【0036】
第1の移動側係止部13dは、支持部材11の第1の固定側係止部11eと対向する位置に、第1の固定側係止部11eの固定側単位形状と対応する凸形状として形成された移動側単位形状が幅方向に並べて形成された凹凸形状である。本実施形態の移動側単位形状の断面形状は、固定側単位形状と同様な略直角三角形形状をしている。
【0037】
移動規制部13eは、支持部材11の裏面に接触するように、支持部材11の端部を回り込んで支持部材11の裏面側に形成されている。移動規制部13eは、第1の固定側係止部11eと第1の移動側係止部13dとが離れる向き(上方)への位置保持部材13の移動を規制する。
なお、本実施形態では、移動規制部13eは、第1の固定側係止部11eと第1の移動側係止部13dとの両方の移動を規制する形態としたが、これに限らず、例えば、移動規制部が移動を規制するのが、第1の固定側係止部11eだけであってもよいし、第1の移動側係止部だけであってもよい。
【0038】
第2の移動側係止部13fは、移動規制部13e上に形成されており、第2の固定側係止部11fと対向する位置に設けられている。第2の移動側係止部13fは、第2の固定側係止部11fの固定側単位形状と対応する移動側単位形状が幅方向に並べて形成された凹凸形状である。本実施形態の移動側単位形状の断面形状は、固定側単位形状と同様な略直角三角形形状をしている。
【0039】
バネ室13gは、コイルバネ18を収容する空間である。
コイルバネ18は、幅方向移動部材12のバネ受け部12dとバネ室13gの壁面との間に圧縮された状態で、バネ室13g内に設けられている付勢部材としての圧縮コイルバネである。よって、コイルバネ18は、位置保持部材13を保持位置方向へ付勢する。幅方向移動部材12の幅方向への移動を可能とするためには、利用者が手でつまみ部12cとつまみ部13cとをつまむことにより、コイルバネ18の付勢力に抗して位置保持部材13を保持位置(
図4(a)及び
図5(a))から解除位置(
図4(b)及び
図5(b))へと移動させる。
【0040】
図6は、
図4中に矢印で示したC−C断面を示す概略断面図である。
第1の固定側係止部11e及び第2の固定側係止部11fには、いずれも略直角三角形形状に形成された固定側単位形状が幅方向に並んで形成されている。ただし、第1の固定側係止部11eの固定側単位形状と、第2の固定側係止部11fの固定側単位形状とは、幅方向(幅方向移動部材12の移動方向)に垂直な面が向く向きが互いに反対方向となるように配置されている。すなわち、第1の固定側係止部11eの固定側単位形状は、幅方向に垂直な面が
図6中の右側を向いて配置され、第2の固定側係止部11fの固定側単位形状は、幅方向に垂直な面が
図6中の左側を向いて配置されている。なお、本明細書の説明及び請求項において、幅方向(幅方向移動部材の移動方向)に垂直とは、幅方向に延在する仮想線に対して垂直であることを指している。
【0041】
また、第1の移動側係止部13d及び第2の移動側係止部13fには、いずれも略直角三角形形状に形成された移動側単位形状が幅方向に並んで形成されている。第1の移動側係止部13dの移動側単位形状は、幅方向に垂直な面が、第1の固定側係止部11eの固定側単位形状の幅方向に垂直な面と接触することができる向きに配置されている。これと同様に、第2の移動側係止部13fの移動側単位形状は、幅方向に垂直な面が、第2の固定側係止部11fの固定側単位形状の幅方向に垂直な面と接触することができる向きに配置されている。
【0042】
固定側単位形状及び移動側単位形状が、上述したように配置されていることから、幅方向移動部材12及び位置保持部材13が幅方向のいずれの方向に移動しようとしたとしても、固定側単位形状と移動側単位形状のいずれかの接触部位において、幅方向に垂直な面同士で接触して、幅方向移動部材12及び位置保持部材13の幅方向への移動を規制できる。
【0043】
より具体的に説明すると、
図6において幅方向移動部材12及び位置保持部材13が左方向へ移動しようとした場合には、第1の固定側係止部11eの固定側単位形状の幅方向に垂直な面と、第1の移動側係止部13dの移動側単位形状の幅方向に垂直な面とが接触して力を受け止める。よって、第1の固定側係止部11eと第1の移動側係止部13dとが離れる方向の成分の力が作用しない。
また、この場合、第2の固定側係止部11fの固定側単位形状と、第2の移動側係止部13fの移動側単位形状とは、斜面で接触して力を受け止めるので、この部分では、第2の固定側係止部11fと第2の移動側係止部13fとが離れる方向の成分の力が作用する。しかし、この力は、第1の固定側係止部11eと第1の移動側係止部13dとを押し付ける方向の力となるので、幅方向移動部材12及び位置保持部材13の左方向への移動を阻止する力がより強くなる。
【0044】
これとは逆に、
図6において幅方向移動部材12及び位置保持部材13が右方向へ移動しようとした場合には、第2の固定側係止部11fの固定側単位形状の幅方向に垂直な面と、第2の移動側係止部13fの移動側単位形状の幅方向に垂直な面とが接触して力を受け止める。よって、第2の固定側係止部11fと第2の移動側係止部13fとが離れる方向の成分の力が作用しない。
また、この場合、第1の固定側係止部11eの固定側単位形状と、第1の移動側係止部13dの移動側単位形状とは、斜面で接触して力を受け止めるので、この部分では、第1の固定側係止部11eと第1の移動側係止部13dとが離れる方向の成分の力が作用する。しかし、この力は、第2の固定側係止部11fと第2の移動側係止部13fとを押し付ける方向の力となるので、幅方向移動部材12及び位置保持部材13の右方向への移動を阻止する力がより強くなる。
【0045】
次に、用紙ガイド機構10がガイドする用紙幅を変更する操作をされたときの動作について説明する。
ガイドする用紙幅を変更するときには、利用者は、つまみ部12cとつまみ部13cとを共に手でつまんで、位置保持部材13を保持位置から解除位置へと移動させる。この移動により、第1の固定側係止部11eと第1の移動側係止部13dとの係合、及び、第2の固定側係止部11fと第2の移動側係止部13fとの係合は、いずれも解除される。この状態のまま、利用者は、幅方向移動部材12及び位置保持部材13を幅方向に移動させると、ラック&ピニオン機構の作用によって、従動ガイド部材14も幅方向移動部材12及び位置保持部材13の移動に同期して移動する。変更すべき幅の位置に幅方向移動部材12及び位置保持部材13と従動ガイド部材14が移動したら、利用者は、つまみ部12c及びつまみ部13cから手を離す。そうすると、コイルバネ18の付勢力によって、位置保持部材13は、解除位置から保持位置へと移動し、第1の固定側係止部11eと第1の移動側係止部13dとの係合、及び、第2の固定側係止部11fと第2の移動側係止部13fとの係合がなされる。
【0046】
(係止部の位置について)
上述した第1実施形態では、第1の固定側係止部11e及び第2の固定側係止部11fが支持部材11の端部付近に形成されている例を挙げて説明した。しかし、係止部の位置は、これに限らず、様々な位置に配置が可能である。以下、係止部位置を変更した変形形態について、説明する。
【0047】
(係止部位置の第1の変形形態)
例えば、係止部の位置は、支持部材11の中央側又は下流側に寄った位置としてもよい。このようにすることにより、支持部材の上流側の端部付近に幅方向移動部材を配置できないような場合にも、本発明を適用できる。
【0048】
(係止部位置の第2の変形形態)
図7は、係止部位置の第2の変形形態を示す概略図である。
図7(a)は、概略斜視図を示し、
図7(b)は、概略側面図を示している。なお、
図7では、移動側係止部については省略しているが、固定側係止部と対向する位置に移動側係止部が配置されているものとする。
図7に示した例では、固定側係止部(第1の固定側係止部Pa,第2の固定側係止部Pb)を支持部材11とは別の部材Pに設けている。
図7の例では、この部材Pを、支持部材11の上流側近傍に配置している。よって、幅ガイド部に近い位置に係止部を配置できるので、用紙ガイド機構の大型化を避けることができる。また、
図7の例では、支持部材11とは別の部材に係止部を設けることができるので、支持部材11の位置や形状等の影響を受けることなく、係止部を当該機器において最適な位置に配置することができる。
【0049】
(係止部位置の第3の変形形態)
図8は、係止部位置の第3の変形形態を示す概略断面図である。
図8に示した例では、支持部材11を中空の筒状形態として、その内面の上下それぞれに、第1の固定側係止部11e及び第2の固定側係止部11fを配置している。そして、移動規制部13eは、支持部材11の中空部分に挿入されており、上面に第1の移動側係止部13dが形成され、下面に第2の移動側係止部13fが形成されている。よって、第1の移動側係止部13dは、第1の固定側係止部11eと係合し、第2の移動側係止部13fは、第2の固定側係止部11fと係合する。
このような位置に係止部を配置することにより、移動規制部13eは、支持部材11により上下への移動規制をより確実に行われる。よって、係止部における係合が外れる可能性が低くなり、係止部をさらに微細な形状とすることが可能となる。
【0050】
以上説明したように、第1実施形態によれば、位置保持部材13を搬送方向に移動可能とし、第1の固定側係止部11eと第1の移動側係止部13dとの係合、及び、第2の固定側係止部11fと第2の移動側係止部13fとの係合が可能とした。よって、幅方向移動部材12の移動を保持する状態と保持を解除する状態とを容易に切り替えることができ、操作性がよい。特に、コイルバネ18は、幅方向移動部材12の移動を保持する保持力との間で互いに影響を受けないので、コイルバネ18の付勢力を低くでき、その点でも、操作性をよくできる。
また、移動規制部13eを設け、第1の固定側係止部11eと第1の移動側係止部13dとが離れる向きへの位置保持部材13の移動を規制している。よって、大きな力が幅方向移動部材12に加わったとしても、幅方向移動部材12の幅方向への移動を阻止して、位置を保持できる。
さらに、第1の固定側係止部11eの固定側単位形状と、第2の固定側係止部11fの固定側単位形状とは、幅方向に垂直な面が向く向きが互いに反対方向となるように配置した。その上で、第1の移動側係止部13dの移動側単位形状と第2の移動側係止部13fの移動側単位形状とは、それぞれ、幅方向に垂直な面が第1の固定側係止部11eの固定側単位形状と、第2の固定側係止部11fの固定側単位形状との幅方向に垂直な面と接触する向きで配置した。よって、幅方向移動部材12が幅方向のいずれの方向に移動しようとした場合でも、幅方向に垂直な面で力を受け止めることができ、係止部同士の係合が解除してしまうことを防止できる。また、上記構成により、各係止部の単位形状を小さくしても、幅方向移動部材12の移動を阻止できるので、各係止部の単位形状を小さくして、ガイドする用紙幅の調整ピッチを細かくすることができる。
【0051】
(第2実施形態)
図9は、第2実施形態における第1の固定側係止部211eと第1の移動側係止部213dとの係合部の断面を、第1実施形態の
図6と同様にして示した概略断面図である。
第2実施形態は、
図9に示すように、第1の固定側係止部211eと第1の移動側係止部213dとの形状が第1実施形態と異なる点と、また、第1実施形態における第2の固定側係止部11fと第2の移動側係止部13fとに相当する形状を設けていない点のみが、第1実施形態と異なる。よって、前述した第1実施形態と同様の機能を果たす部分には、同一の符号を付して、重複する説明を適宜省略する。
【0052】
第1の固定側係止部211eは、支持部材211の表面側の端部付近に形成されている。第1の固定側係止部211eは、凸形状として形成された固定側単位形状が前記幅方向に並べて形成された凹凸形状である。第2実施形態の固定側単位形状の断面形状は、第1実施形態とは異なり、略長方形形状をしている。なお、
図9では、固定側単位形状及び移動側単位形状の先端に微小な丸み(R)を設けているので、厳密な長方形形状にはなっていない。
【0053】
第1の移動側係止部213dは、支持部材211の第1の固定側係止部211eと対向する位置に、第1の固定側係止部211eの固定側単位形状と対応する凸形状として形成された移動側単位形状が幅方向に並べて形成された凹凸形状である。本実施形態の移動側単位形状の断面形状は、固定側単位形状と同様な略長方形形状をしている。
【0054】
また、第2実施形態の位置保持部材213は、第1実施形態と同様に移動規制部213eを有している。しかし、第2実施形態の移動規制部213eには、第1実施形態における第2の移動側係止部13fに相当する形状が設けられていない。
さらに、第2実施形態の支持部材211の裏面側には、第1実施形態における第2の固定側係止部11fに相当する形状が設けられていない。
【0055】
上述したように、第2実施形態の用紙ガイド機構は、第1実施形態における第2の固定側係止部11f及び第2の移動側係止部13fに相当する形状が設けられていない。しかし、第2実施形態の用紙ガイド機構は、第1の固定側係止部211eの固定側単位形状の断面形状及び第1の移動側係止部213dの移動側単位形状の断面形状が長方形に形成されている。よって、幅方向移動部材12が幅方向のいずれの方向に移動しようとしたとしても、常に幅方向に垂直な面同士で幅方向の力が作用する。よって、第1の固定側係止部211eと第1の移動側係止部213dとが離れる方向の力が作用しない。また、移動規制部213eも第1の固定側係止部211eと第1の移動側係止部213dとが離れる方向に位置保持部材213が移動することを防止する。
【0056】
以上説明したように、第2実施形態によれば、第1実施形態よりも簡単な構成であっても、幅ガイド部が容易にずれることがなく、操作性も良好な用紙ガイド機構とすることができる。
【0057】
(変形形態)
以上説明した実施形態に限定されることなく、種々の変形や変更が可能であって、それらも本発明の範囲内である。
【0058】
第1実施形態において、固定側単位形状の断面形状、及び、移動側単位形状の断面形状は、略直角三角形形状をしている例を挙げて説明した。これに限らず、単位形状には、垂直面が形成されていればよく、例えば、斜面に相当する部分が曲面になっている等してもよい。
【0059】
各実施形態において、プリンタの印字部へ搬送される用紙をガイドする用紙ガイド機構を例に挙げて説明した。これに限らず、例えば、用紙の切断を行う切断機や用紙の供給を行う供給機において用紙をガイドする用紙ガイド機構であってもよい。
また、印字媒体として用紙として説明したが、これに限らずフィルムあるいは帯状のシートまたは単葉のシートなど印字可能な印字媒体であれ何れでもよい。
【0060】
なお、各実施形態及び変形形態は、適宜組み合わせて用いることもできるが、詳細な説明は省略する。また、本発明は以上説明した各実施形態によって限定されることはない。