(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
請求項1から11のいずれかに記載の組成物から形成されるキレート化金属化合物であって、前記成分Aのポリマーから誘導される少なくとも1つの配位子を含むキレート化金属化合物。
【発明を実施するための形態】
【0006】
上で論じたように、本発明は、少なくとも以下のA及びB:
A)少なくとも1つの「少なくとも1つのヒドロキシル基を含むモノマー」を重合形態で含むポリマー、及び
B)Ti、Zr、Hf、Co、Mn、Zn又はこれらの組み合わせから選択される少なくとも1つの金属を含む有機金属化合物
を含む組成物であって、前記有機金属化合物がAとBの合計重量に基づき5重量パーセントより多い量で存在する組成物を提供する。
【0007】
本発明の組成物は、本明細書に記載の2つ又はそれ以上の実施形態の組み合わせを含むことがある。
【0008】
前記成分Aのポリマーは、本明細書に記載の2つ又はそれ以上の実施形態の組み合わせを含むことがある。
【0009】
前記成分Bの有機金属化合物は、本明細書に記載の2つ又はそれ以上の実施形態の組み合わせを含むことがある。
【0010】
前記「少なくとも1つのヒドロキシル基を含むモノマー」は、本明細書に記載の2つ又はそれ以上の実施形態の組み合わせを含むことがある。
【0011】
一実施形態において、前記有機金属化合物は、AとBの合計重量に基づき10重量パーセントより多い量で存在する。
【0012】
一実施形態において、前記有機金属化合物は、AとBの合計重量に基づき20重量パーセントより多い量で存在する。
【0013】
一実施形態において、前記有機金属化合物は、AとBの合計重量に基づき50重量パーセントより多い量で存在する。
【0014】
一実施形態において、前記有機金属化合物は、AとBの合計重量に基づき75重量パーセントより多い量で存在する。
【0015】
一実施形態において、前記成分Aのポリマーは、該ポリマーの重量に基づき1重量パーセント未満ケイ素を含む。
【0016】
一実施形態において、前記成分Aのポリマーは、該ポリマーの重量に基づき0.5重量パーセント未満ケイ素を含む。
【0017】
一実施形態において、前記成分Aのポリマーは、該ポリマーの重量に基づき0.1重量パーセント未満ケイ素を含む。
【0018】
一実施形態において、前記成分Aのポリマーは、該ポリマーの重量に基づき0.05重量パーセント未満ケイ素を含む。
【0019】
一実施形態において、成分Aは、AとBの合計重量に基づき20重量パーセントより多い量で存在する。
【0020】
一実施形態において、成分Aは、AとBの合計重量に基づき50重量パーセントより多い量で存在する。
【0021】
一実施形態において、成分Bは、AとBの合計重量に基づき80重量パーセント未満の量で存在する。
【0022】
一実施形態において、前記成分Aのポリマーは、該ポリマーの重量に基づき5から100重量パーセントの前記「少なくとも1つのヒドロキシル基を含むモノマー」を含む。
【0023】
一実施形態において、前記成分Aのポリマーの「少なくとも1つのヒドロキシル基を含むモノマー」は、HEMA、OH−スチレン、又はこれらの組み合わせから選択される。
【0024】
一実施形態において、前記成分Aのポリマーの「少なくとも1つのヒドロキシル基を含むモノマー」は、ヒドロキシアクリレートモノマー又はヒドロキシアルキルアクリレートモノマーから選択される。
【0025】
一実施形態において、前記成分Aのポリマーの「少なくとも1つのヒドロキシル基を含むモノマー」は、OH−アクリレート、OH−メタクリレート、又はOH−エタクリレートから選択される。
【0026】
一実施形態において、前記成分Aのポリマーは、アクリレートモノマー又はアルキルアクリレートモノマーをさらに含む。
【0027】
一実施形態において、前記成分Aのポリマーは、アクリレート、メタクリレート、又はエタクリレートをさらに含む。
【0028】
一実施形態において、前記成分Aのポリマーは、4.0未満の若しくは4.0に等しい、又は3.5未満の若しくは3.5に等しい、又は3.0未満の若しくは3.0に等しい分子量分布を有する。
【0029】
一実施形態において、前記成分Aのポリマーは、1.1より大きい若しくは1.1に等しい、又は1.5より大きい若しくは1.5に等しい、又は1.7より大きい若しくは1.7に等しい分子量分布を有する。
【0030】
一実施形態において、前記成分Aのポリマーは、15000g/モル未満の若しくは15000g/モルに等しい、又は12000g/モル未満の若しくは12000g/モルに等しい、又は10000g/モル未満の若しくは10000g/モルに等しい数平均分子量(Mn)を有する。
【0031】
一実施形態において、前記成分Aのポリマーは、4000g/モルより大きい若しくは4000g/モルに等しい、又は5000g/モルより大きい若しくは5000g/モルに等しい、又は6000g/モルより大きい若しくは6000g/モルに等しい数平均分子量(Mn)を有する。
【0032】
一実施形態において、前記成分Aのポリマーは、35000g/モル未満の若しくは35000g/モルに等しい、又は30000g/モル未満の若しくは30000g/モルに等しい、又は25000g/モル未満の若しくは25000g/モルに等しい重量平均分子量(Mw)を有する。
【0033】
一実施形態において、前記成分Aのポリマーは、7000g/モルより大きい若しくは7000g/モルに等しい、又は7500g/モルより大きい若しくは7500g/モルに等しい、又は8000g/モルより大きい若しくは8000g/モルに等しい重量平均分子量(Mw)を有する。
【0034】
一実施形態において、前記有機金属化合物は、少なくとも2個の酸素原子とキレート化される。
【0035】
一実施形態において、有機金属化合物は、Ti、Zr、Hf、Co、Mn又はZnから選択される金属を含む。
【0036】
一実施形態において、有機金属化合物は、Ti、Zr又はこれらの組み合わせから選択される金属を含む。
【0037】
一実施形態において、前記有機金属化合物は、Ti又はZrから選択される金属を含む。
【0038】
一実施形態において、前記有機金属化合物は、次の化合物:
【化1】
【化2】
【化3】
又はこれらの組み合わせ
から選択され、並びに
式中のR1、R2、R3、R4、R5、R6、R7及びR8は、それぞれ独立して、次のもの:
i)炭化水素基、
ii)置換炭化水素基、
iii)その主鎖に少なくとも1個のヘテロ原子を含有する炭化水素基、又は
iv)その主鎖に少なくとも1個のヘテロ原子を含有する置換炭化水素基
から選択され;並びに
式中のR9、R10、R11、R12、R13、R14、R15、R16、R17、R18、R19及びR20は、それぞれ独立して、次のもの:
i)水素原子、
ii)炭化水素基、
iii)置換炭化水素基、
iv)その主鎖に少なくとも1個のヘテロ原子を含有する炭化水素基、又は
v)その主鎖に少なくとも1個のヘテロ原子を含有する置換炭化水素基
から選択される。
【0039】
一実施形態において、化合物T1、Z1及びZ2についてのR1、R2、R3、R4、R5、R6、R7及びR8は、それぞれ独立して、次のもの:
i)炭化水素基、又は
ii)置換炭化水素基
から選択され、並びに
この場合のR9、R10、R11、R12、R13、R14、R15、R16、R17、R18、R19及びR20は、それぞれ独立して、次のもの:
i)水素原子、
ii)炭化水素基
から選択される。
【0040】
一実施形態において、化合物T1、Z1及びZ2についてのR1、R2、R3、R4、R5、R6、R7及びR8は、それぞれ独立して、次のもの:
i)炭化水素基
から選択され;並びに
この場合のR9、R10、R11、R12、R13、R14、R15、R16、R17、R18、R19及びR20は、それぞれ独立して、次のもの:
i)水素原子、
ii)炭化水素基
から選択される。
一実施形態において、化合物T1、Z1及びZ2についてのR1、R2、R3、R4、R5、R6、R7及びR8は、それぞれ独立して、次のもの:
i)炭化水素基
から選択され;並びに
この場合のR9、R10、R11、R12、R13、R14、R15、R16、R17、R18、R19及びR20は、それぞれ独立して、次のもの:
ii)炭化水素基
から選択される。
一実施形態において、前記有機金属化合物は、次の化合物:
【化4】
【化5】
【化6】
又はこれらの組み合わせ
から選択され、並びに
式中のR5、R6、R7、R8、R21、R22、R23及びR24は、それぞれ独立して、次のもの:
i)炭化水素基、
ii)置換炭化水素基、
iii)その主鎖に少なくとも1個のヘテロ原子を含有する炭化水素基、又は
iv)その主鎖に少なくとも1個のヘテロ原子を含有する置換炭化水素基
から選択される。
【0041】
さらなる実施形態において、R5、R6、R7、R8、R21、R22、R23及びR24は、それぞれ独立して、次のものから選択される:i)炭化水素基、又はii)置換炭化水素基。さらなる実施形態において、R5、R6、R7、R8、R21、R22、R23及びR24は、それぞれ独立して、次のものから選択される:i)炭化水素基。
【0042】
一実施形態において、前記有機金属化合物は、次の化合物から選択される:
【化7】
【化8】
又は
【化9】
(式中のR5、R6、R7、R8、R21、R22、R23及びR24は、それぞれ独立して、次のものから選択される:
i)炭化水素基、
ii)置換炭化水素基、
iii)その主鎖に少なくとも1個のヘテロ原子を含有する炭化水素基、又は
iv)その主鎖に少なくとも1個のヘテロ原子を含有する置換炭化水素基)。さらなる実施形態において、R5、R6、R7、R8、R21、R22、R23及びR24は、それぞれ独立して、次のものから選択される:i)炭化水素基、又はii)置換炭化水素基。
さらなる実施形態において、R5、R6、R7、R8、R21、R22、R23及びR24は、それぞれ独立して、次のものから選択される:i)炭化水素基。
【0043】
一実施形態において、前記有機金属化合物は、次の化合物から選択される:
【化10】
【化11】
又はこれらの組み合わせ
(式中のR21、R22、R23及びR24は、それぞれ独立して、次のものから選択される:
i)炭化水素基、
ii)置換炭化水素基、
iii)その主鎖に少なくとも1個のヘテロ原子を含有する炭化水素基、又は
iv)その主鎖に少なくとも1個のヘテロ原子を含有する置換炭化水素基)。
【0044】
さらなる実施形態において、R21、R22、R23及びR24は、それぞれ独立して、次のものから選択される:i)炭化水素基、又はii)置換炭化水素基。さらなる実施形態において、R21、R22、R23及びR24は、それぞれ独立して、次のものから選択される:i)炭化水素基。
【0045】
一実施形態において、前記有機金属化合物は、次の化合物から選択される:
【化12】
又は
【化13】
(式中のR21、R22、R23及びR24は、それぞれ独立して、次のものから選択される:
i)炭化水素基、
ii)置換炭化水素基、
iii)その主鎖に少なくとも1個のヘテロ原子を含有する炭化水素基、又は
iv)その主鎖に少なくとも1個のヘテロ原子を含有する置換炭化水素基)。さらなる実施形態において、R21、R22、R23及びR24は、それぞれ独立して、次のものから選択される:i)炭化水素基、又はii)置換炭化水素基。さらなる実施形態において、R21、R22、R23及びR24は、それぞれ独立して、次のものから選択される:i)炭化水素基。
【0046】
一実施形態において、前記有機金属化合物は、次の化合物から選択される:
【化14】
(式中のR21及びR22は、それぞれ独立して、次のものから選択される:
i)炭化水素基、
ii)置換炭化水素基、
iii)その主鎖に少なくとも1個のヘテロ原子を含有する炭化水素基、又は
iv)その主鎖に少なくとも1個のヘテロ原子を含有する置換炭化水素基)。さらなる実施形態において、R21及びR22は、それぞれ独立して、次のものから選択される:i)炭化水素基、又はii)置換炭化水素基。さらなる実施形態において、R21及びR22は、それぞれ独立して、次のものから選択される:i)炭化水素基。
【0047】
一実施形態において、前記有機金属化合物は、次の化合物から選択される:
【化15】
(式中のR23及びR24は、それぞれ独立して、次のものから選択される:
i)炭化水素基、
ii)置換炭化水素基、
iii)その主鎖に少なくとも1個のヘテロ原子を含有する炭化水素基、又は
iv)その主鎖に少なくとも1個のヘテロ原子を含有する置換炭化水素基)。さらなる実施形態において、R23及びR24は、それぞれ独立して、次のものから選択される:i)炭化水素基、又はii)置換炭化水素基。さらなる実施形態において、R23及びR24は、それぞれ独立して、次のものから選択される:i)炭化水素基。
【0048】
一実施形態において、前記有機金属化合物は、次の化合物から選択される:
【化16】
(式中のR5、R6、R7及びR8は、それぞれ独立して、次のものから選択される:
i)炭化水素基、
ii)置換炭化水素基、
iii)その主鎖に少なくとも1個のヘテロ原子を含有する炭化水素基、又は
iv)その主鎖に少なくとも1個のヘテロ原子を含有する置換炭化水素基)。さらなる実施形態において、R5、R6、R7及びR8は、それぞれ独立して、次のものから選択される:i)炭化水素基、又はii)置換炭化水素基。さらなる実施形態において、R5、R6、R7及びR8は、それぞれ独立して、次のものから選択される:i)炭化水素基。
【0049】
一実施形態において、前記有機金属化合物は、次の化合物:T2、Z2、又はこれらの組み合わせから選択され;並びに
この場合のR21、R22、R5、R6、R7及びR8は、それぞれ独立して、次のものから選択される:
i)炭化水素基、
ii)置換炭化水素基、
iii)その主鎖に少なくとも1個のヘテロ原子を含有する炭化水素基、又は
iv)その主鎖に少なくとも1個のヘテロ原子を含有する置換炭化水素基。
【0050】
さらなる実施形態において、R21、R22、R5、R6、R7及びR8は、それぞれ独立して、次のものから選択される:i)炭化水素基、又はii)置換炭化水素基。さらなる実施形態において、R21、R22、R5、R6、R7及びR8は、それぞれ独立して、次のものから選択される:i)炭化水素基。
【0051】
一実施形態において、前記有機金属化合物は、次の化合物:T2又はZ2、から選択され;並びに
この場合のR21、R22、R5、R6、R7及びR8は、それぞれ独立して、次のものから選択される:
i)炭化水素基、
ii)置換炭化水素基、
iii)その主鎖に少なくとも1個のヘテロ原子を含有する炭化水素基、又は
iv)その主鎖に少なくとも1個のヘテロ原子を含有する置換炭化水素基。
【0052】
さらなる実施形態において、R21、R22、R5、R6、R7及びR8は、それぞれ独立して、次のものから選択される:i)炭化水素基、又はii)置換炭化水素基。さらなる実施形態において、R21、R22、R5、R6、R7及びR8は、それぞれ独立して、次のものから選択される:i)炭化水素基。
【0053】
一実施形態において、前記有機金属化合物は、次の化合物:Z3、Z2、又はこれらの組み合わせから選択され;並びに
この場合のR23、R24、R5、R6、R7及びR8は、それぞれ独立して、次のものから選択される:
i)炭化水素基、
ii)置換炭化水素基、
iii)その主鎖に少なくとも1個のヘテロ原子を含有する炭化水素基、又は
iv)その主鎖に少なくとも1個のヘテロ原子を含有する置換炭化水素基。
【0054】
さらなる実施形態において、R23、R24、R5、R6、R7及びR8は、それぞれ独立して、次のものから選択される:i)炭化水素基、又はii)置換炭化水素基。さらなる実施形態において、R22、R24、R5、R6、R7及びR8は、それぞれ独立して、次のものから選択される:i)炭化水素基。
【0055】
一実施形態において、前記有機金属化合物は、次の化合物:Z3又はZ2、から選択され;並びに
この場合のR23、R24、R5、R6、R7及びR8は、それぞれ独立して、次のものから選択される:
i)炭化水素基、
ii)置換炭化水素基、
iii)その主鎖に少なくとも1個のヘテロ原子を含有する炭化水素基、又は
iv)その主鎖に少なくとも1個のヘテロ原子を含有する置換炭化水素基。
【0056】
さらなる実施形態において、R23、R24、R5、R6、R7及びR8は、それぞれ独立して、次のものから選択される:i)炭化水素基、又はii)置換炭化水素基。さらなる実施形態において、R23、R24、R5、R6、R7及びR8は、それぞれ独立して、次のものから選択される:i)炭化水素基。
【0057】
一実施形態において、前記組成物は、該組成物を350℃で60秒間、熱的にアニールした後、673nm波長で1.60より大きい又は1.60に等しい屈折率を有する。前記屈折率は、k=0(673nm波長でゼロ吸収)を仮定することにより、THERMA−WAVE Spectroscopic Ellipsometer(Model 7341)を用いて673nm波長で測定することができる。
【0058】
本発明の組成物は、本明細書に記載の2つ又はそれ以上の実施形態の組み合わせを含むことがある。
【0059】
本発明は、本発明の組成物から形成されるキレート化金属化合物であって、前記成分Aのポリマーから誘導される少なくとも1つの配位子を含む化合物も提供する。
【0060】
本発明は、本発明の組成物から形成される少なくとも1つの構成要素を含む物品も提供する。
【0061】
一実施形態において、前記物品は電子デバイスである。
【0062】
一実施形態において、前記物品は、LED封止体である。
【0063】
一実施形態において、前記物品は、光ファイバクラッドである。
【0064】
一実施形態において、前記物品は、メタルハードマスクである。
【0065】
本発明は、本発明の組成物から形成される少なくとも1層の層を含む皮膜も提供する。さらなる実施形態において、前記皮膜は、メタルハードマスクである。
【0066】
一実施形態において、前記皮膜は、少なくとも2層を含む。さらなる実施形態において、1層は、本発明の組成物から形成され、他の層は、少なくとも1つのポリマーを含む別の組成物から形成される。
【0067】
本発明は、少なくとも2層の層を含む皮膜であって、少なくとも1層が本発明の組成物から形成される反射防止層である皮膜も提供する。さらなる実施形態において、他の層は、フォトレジスト層である。
【0068】
本発明の物品は、本明細書に記載の2つ又はそれ以上の実施形態の組み合わせを含むことがある。
【0069】
本発明の皮膜は、本明細書に記載の2つ又はそれ以上の実施形態の組み合わせを含むことがある。
【0070】
本発明は、コート基板を形成する方法も提供し、該方法は、少なくとも次の工程を含む:
a)本発明の組成物を基板の少なくとも一部分上に塗布する工程、及び
b)前記組成物を熱処理して(例えば熱を印加して)コーティングを形成する工程。
一実施形態において、前記コーティングは、ハードマスク層である。
【0071】
本発明は、基板上にコーティングを形成する方法も提供し、該方法は、少なくとも次の工程を含む;
本発明の組成物を基板の少なくとも一部分上に塗布する、又は該基板上に塗布された1層若しくはそれ以上の中間層上に塗布する工程、及び
前記本発明の組成物を熱処理して(例えば熱を印加して)コーティングを形成する工程。さらなる実施形態では、本発明の組成物の多数の層を前記基板の少なくとも一部分上に塗布する、又は前記基板上に塗布された1層若しくはそれ以上の中間層上に塗布する。
【0072】
一実施形態において、前記コーティングは、ハードマスク層である。
【0073】
本発明の方法は、本明細書に記載の2つ又はそれ以上の実施形態の組み合わせを含むことがある。
【0074】
IC製造に使用されるとき、SOMMHは、底部反射防止コーティング(BARC)として機能することが好ましく、BARCスタックを形成するために単独で又は別のBARCと共に使用される。いずれの状況でも、SOMMHは、良好な形状プロファイルに加えて、例えばエネルギーラチチュード(energy latitude)(EL)、焦点深度(DOF)、線幅の揺らぎ(LWR)、線端の揺らぎ(LER)、パターン倒れマージン(PCM)によって特徴づけられるような、リソグラフィ仕様を満たす望ましいリソグラフィ性能をもたらさなければならない。
【0075】
有機金属化合物は、高い硬化温度で−O−M−O−M−O−結合を形成することにより凝集し得るが、分子の有機金属は、一般に、スピンコーティングプロセスで均一な皮膜を形成しない。さらに、硬化ベークの間にコート皮膜中の有機金属の気化(又は昇華)は、重大な問題を投げかけることがあった。しかし、本発明の組成物は、SOMMH配合物中の優れたバインダー材料であることが判明した。本発明の組成物は、例えば膜厚収縮に関して、優れた熱安定性を有することも判明した。
【0076】
本発明の組成物は、高温(例えば、350℃)で熱処理すると硬化皮膜を形成し、該皮膜を市販の洗浄溶液、例えばSC−1及びPiranhaで有効に除去できることも判明した。
【0077】
本発明の組成物を多層コーティング、例えば三層レジストに使用することができ、これらは典型的に次のものを含む:(a)基板上の硬化性下層組成物;(b)前記硬化性組成物上に塗布されたハードマスク組成物(例えば、本明細書に記載する本発明の組成物から形成されたハードマスク層);及び(c)前記ハードマスク組成物上に塗布されたフォトレジスト組成物層。コーティング組成物及びリソグラフィプロセスは、米国特許出願公開第2007/0238052号及び同第2009/0148789号(それぞれが参照により本明細書に援用されている)に記載されている。
【0078】
本発明の組成物を次のものの代わりに使用することができる:4層塗布のためのCVD SiON、CVD低温TEOS若しくは酸化物、及び/又はリソ・エッチング・リソ・エッチング型ダブルパターニングにおけるCVD HM。
【0079】
定義
用語「組成物」には、本明細書において用いる場合、その組成物を含む材料の混合物はもちろん、その組成物の混合物から形成された反応生成物及び分解生成物も含まれる。
【0080】
用語「ポリマー」は、本明細書において用いる場合、同じタイプのモノマーであろうと、異なるタイプのモノマーであろうと、モノマーを重合することによって調製されたポリマー化合物を指す。したがって、一般用語ポリマーは、用語ホモポリマー(微量の不純物がポリマー構造に組み込まれていることがあるという了解の下、1タイプのみのモノマーから調製されたポリマーと指すために用いる)、及び下で定義する用語共重合体を包含する。
【0081】
用語「共重合体」は、共重合体、少なくとも2タイプの異なるタイプのモノマーの重合によって調製されたポリマーを指す。一般用語共重合体には、コポリマー(2つの異なるモノマーから調製されたポリマーを指すために用いる)、及び2タイプより多くの異なるタイプのモノマーから調製されたポリマーが含まれる。
【0082】
用語「置換炭化水素」は、本明細書において用いる場合、1つ又はそれ以上の水素が別の基、例えばハロゲン(例えば、塩素若しくは臭素)など、又は他の原子団、例えば−OH、−CN、−SH、−SO3Hなどで置換されている炭化水素を指す。
【0083】
用語「(を)含む(comprising)」、「(を)含める/(が)含まれる(including)」、「(を)有する(having)」及びそれらの派生語は、任意の追加の成分、工程又は手順の存在を、それが具体的に開示されていようと、いなかろうと、除外することを意図しない。一切の疑念を避けるために、用語「含む」を用いて主張するすべての組成物には、相反する言明がない限り、ポリマー状であろうと、別様であろうと、任意の追加の添加剤、アジュバント又は化合物が含まれ得る。対照的に、用語「から本質的に成る」は、実施可能性に必須でないものを除いて、任意の次に続く詳説の範囲から一切の他の成分、工程又は手順を除外する。用語「から成る」は、具体的に叙述又は列挙されていない一切の成分、工程又は手順を除外する。
【0084】
試験法
GPCによる分子量の測定
サイズ排除クロマトグラフィー(SEC)とも呼ばれる、ゲル透過クロマトグラフィー(GPC)によって、プレポリマーの分子量をモニターした。計器は、ポリスチレン較正標準物質に基づき約500g/モルから少なくとも約100,000g/モルの範囲の分子量の測定に適している1セットのカラムを装備していた。Thomson Instrument Co.から入手できる4カラム搭載シリーズ、「SHODEX LF−805、804、803及び802GPCカラム」、8mm径×300mm長を各分析に使用した。4本すべてのカラムを30℃で維持した。移動相はテトラヒドロフラン(THF)であり、それを1mL/分の速度でポンピングした。注入容量は100マイクロメートルであった。この計器は、屈折率検出器も装備していた。ドイツ国マインツのPolymer Standards Service GmbHから入手できる、狭いMWDを有するポリスチレン標準物質を使用して、較正を行った。WATERSから入手できるENPOWER GPCソフトウェアを使用して、Mn、Mw及びMWDを算出した。
【0085】
実験
I.試薬
A.バインダーポリマー(成分A)
以下の略語にご留意いただきたい:
HEMA=2−ヒドロキシエチルメタクリレート、
MMA=メチルメタクリレート、
tBA=tert−ブチルアクリレート、及び
IPGMA=(2,2−ジメチル−1,3−ジオキソラン−4−イル)メチルメタクリレート。
これらのモノマーの化学構造を下に示す。左から右に:HEMA、MMA、tBA、及びIPGMA。
【化17】
【化18】
【化19】
【化20】
1)ポリ(2−ヒドロキシメタクリレート)(HBMに可溶性)
2)30/70(w)HEMA/MMA(PGMEA又はHBMに可溶性)
3)30/70(w)HEMA/tBA(4溶剤、HMB、PGMEA、MIBC及び2−メチル−1−ブタノールすべてに可溶性)
4)30/70(w)HEMA/IPGMA(4溶剤、HMB、PGMEA、MIBC及び2−メチル−1−ブタノールすべてに可溶性)
B.有機金属化合物(成分B)
1)DORF KETALから入手できるTYZOR AA−105。
【化21】
2)AA−105−IPG−下記参照。
【化22】
3)ALF AESAR(Johnson Matthey Company)から入手できるジルコニウムブトキシド。
【化23】
C.溶剤
1)プロピレングリコールメチルエーテルアセテート(PGMEA、沸点146℃)
2)メチル−2,3−ヒドロキシイソブチレート(HBM、沸点137℃)
3)4−メチル−2−ペンタノール(MIBC、沸点132℃)
4)2−メチル−1−ブタノール(沸点129℃)
D.熱酸発生剤
トリエチルアンモニウム4−メチルベンゼンスルホネート(TEA pTS)−下記参照。
【化24】
【0086】
II.バインダーポリマー(成分A)の合成
A)30/70(w)HEMA/MMA
「30/70(w)HEMA/MMA」の「60g(ポリマー)バッチ」の調製
モノマー/開始剤供給溶液
好適な容器(ガラス瓶)に次の材料を添加した:18.0g HEMA、42.0g MMA及び30.0g PGMEA(プロピレングリコールメチルエーテルアセテート)溶剤。容器に蓋をし、穏やかに振盪してすべての成分を混合した。その後、容器を氷浴内に配置し、容器内の温度と浴温を平衡させた。その後、開始剤(1.8gのV−601開始剤)を容器に添加した。容器を氷浴から取り出し、振盪して開始剤を完全に溶解し、その後、氷浴に戻した。開始剤(V−601)は、和光純薬工業株式会社(Wako Pure Chemical Industries,Ltd.)から入手できるジメチル−2,2’−アゾビス(2−メチルプロピオネート)である。
重合
反応器は、冷却器及び熱電対を装着し、モノマー/開始剤溶液(上で調製したもの)用の供給ラインに接続した250mLの3つ口丸底フラスコであった。熱電対を制御加熱マントル(controlled heating mantle)と併用して、反応器内の溶液温度をモニターし制御した。反応器の内容物を磁気撹拌棒で撹拌した。
反応器に「30.0g PGMEA」を投入し、反応器温度を上昇させ、適切な撹拌により99℃(±2℃)で平衡させた。HAMILTONデュアル・シリンジ・ポンプを使用して250μL/13秒の供給速度で、99℃で反応器にモノマー/開始剤溶液(上で調製したもの)を供給した。全供給時間は、おおよそ90分であった。この供給の完了後、反応器温度をさらに2時間、99℃で保持し、その後、反応フラスコを加熱マントルから取り出し、放置して室温に自然冷却した。おおよそ「90gのPGMEA」をその反応器ポリマーに添加して、撹拌後、均一溶液を得た。反応器内のポリマー溶液をさらに精製せずに「そのままで」使用した。「重量損失法」を用いて、溶液中のポリマーの固形分含有量を判定した。この方法では、おおよそ「0.1gのポリマー溶液」をアルミニウムパンに計り入れ、おおよそ「0.6g アセトン」を添加して、その溶液を希釈する共にそのパン底面の一様なコーティングを促進した。パン(+内容物)をサーマルオーブン内に配置し、おおよそ110℃で平衡させ、そのパン(+内容物)を15分間、熱処理した。最終ポリマー溶液は、そのポリマー溶液の重量に基づきおおよそ28重量%ポリマーを含有した。
B)PGMEA中の30/70(w)HEMA/tBA
「30/70(w)HEMA/tBA」ポリマーは、モノマー/開始剤溶液中の「42.0g tBA」を「42.0gのMMA」の代わりに用いたことを除き、「30/70(w)HEMA/MMA」について上で論じ、用いたのと同様の方法を用いて調製した。「重量損失法」を用いて判定して、溶液中おおよそ49重量%のポリマーを使用して、「60gのポリマーバッチ」を調製した。
C)MIBC中の30/70(w)HEMA/tBA
「30/70(w)HEMA/tBA」ポリマー」は、下記の変更を除き、B)について上で論じたのと同様の方法を用いて調製した:
i)PGMEAの代わりにMIBCを溶剤として使用した、及び
ii)「30g PGMEA」の代わりに「60gのMIBC」を反応器に投入した。
「重量損失法」を用いて判定して、おおよそ40重量%ポリマーを有するポリマー溶液を得た。
D)30/70(w)HEMA/IPGMA
下記の違いを除き、「30/70(w)HEMA/MMA」についてのものと同様の合成方法を用いた。
i)反応器温度をモノマー溶液添加中、70℃で維持し、モノマー溶液の添加完了後さらに2時間、70℃で維持した。
ii)開始剤(4.2gのv−601開始剤)をおおよそ「PGMEA中30重量%溶液」として1回で反応器に(70℃で)添加し、反応器温度を放置して70℃の戻した後、反応器にモノマー溶液を添加した。
iii)この重合では氷浴を使用しなかった。モノマー溶液を、反応フラスコへのその添加中、室温で維持した。
「60gのポリマーバッチ」を調製した。「重量損失法」を用いて判定して、おおよそ50重量%ポリマーを有するポリマー溶液を得た。
E)ポリ(2−ヒドロキシエチルメタクリレート)
ポリ(2−ヒドロキシエチルメタクリレート)の「30gのポリマーバッチ」の調製。
モノマー/開始剤供給溶液
好適な容器(ガラス瓶)に次の材料を添加した:30.0g HEMA、15.0g HBM溶剤。容器に蓋をし、穏やかに振盪してすべての成分を混合した。その後、容器を氷浴内に配置し、容器内の温度と浴温を平衡させた。その後、開始剤(0.9gのV−601開始剤)を容器に添加した。容器を氷浴から取り出し、振盪して開始剤を完全に溶解し、その後、氷浴に戻した。
重合
反応器は、冷却器及び熱電対を装着し、モノマー/開始剤溶液(上で調製したもの)用の供給ラインに接続した250mLの3つ口丸底フラスコであった。熱電対を制御加熱マントルと併用して、反応器内の溶液温度をモニターし制御した。反応器の内容物を磁気撹拌棒で撹拌した。
反応器に「15.0g HBM」を投入し、反応器温度を上昇させ、適切な撹拌により99℃(±2℃)で平衡させた。HAMILTONデュアル・シリンジ・ポンプを使用して250μL/26秒の供給速度で、99℃で反応器にモノマー/開始剤溶液(上で調製したもの)を供給した。全供給時間は、おおよそ90分であった。この供給の完了後、反応器温度をさらに2時間、99℃で保持し、その後、反応フラスコを加熱マントルから取り出し、放置して室温に自然冷却した。おおよそ「140gのPGMEA」をその反応器ポリマーに添加して、撹拌後、均一溶液を得た。反応器内のポリマー溶液をさらに精製せずに「そのままで」使用した。上で論じたとおりの「重量損失法」を用いて溶液中のポリマーの固形分含有量を判定した。最終ポリマー溶液は、そのポリマー溶液の重量に基づきおおよそ15重量%ポリマーを含有した。
上述のGPC法を用いてこれらのポリマー(HEMAホモポリマーを除く)の分子量及び分子量分布を判定した。それらを下の表1に要約する。
【表1】
【0087】
III.メタルハードマスク配合物の調製
各ポリマー溶液を重合から「そのままで」使用し、重合溶剤として使用した追加の溶剤でさらに希釈した。
30/70 HEMA/MMAポリマー溶液:PGMEA中10.0重量%ポリマー
30/70 HEMA/tBAポリマー溶液:PGMEA中10.0重量%ポリマー
30/70 HEMA/tBAポリマー溶液:MIBC中39.8重量%ポリマー
30/70 HEMA/IPGMAポリマー溶液:PGMEA中10.0重量%ポリマー。
ポリ(HEMA)ポリマー溶液:メチル−2−ヒドロキシイソブチレート(HBM)中14.7重量%ポリマー。
TYZOR AA−105有機金属溶液:PGMEA中10.0重量%有機金属。
TYZOR AA−105有機金属溶液:PGMEA中20.0重量%有機金属。
TYZOR AA−105有機金属溶液:HBM中10.0重量%有機金属。
TYZOR AA−105有機金属溶液:2−メチル−1−ブタノール中25.0重量%有機金属。
ジルコニウムブトキシド有機金属溶液:PGMEA及び1−ブタノール中25.0重量%有機金属
AA−105−IPG有機金属溶液:PGMEA中10.0重量%有機金属。
TAG溶液=TEA pTS原液:HBM中5.0重量%熱酸発生剤。
ハードマスク配合物を周囲条件下で調製した。対応する原液及び溶剤(単数又は複数)を好適な容器(ガラス瓶)の中で次の添加順序で混合することにより各配合物を調製した:1)ポリマー溶液、2)溶剤、3)有機金属溶液、及び場合により4)TAG溶液。下記(表2−1から2−7)は、これらの配合物の要約である。
【表2】
【表3】
【表4】
【表5】
【表6】
【表7】
【表8】
【0088】
IV.概要−スピンコート−ハードマスクの調製
溶剤ストリッピング試験、エッチング試験、及び熱安定性試験用:ウェハ−WaferNet Inc.からのベアシリコンウェハ、8インチの直径;0.7mmの厚み。前処理なし。
リソグラフィ研究用:ウェハ−WaferNet Inc.からのベアシリコンウェハ、12インチの直径;0.7mmの厚み。前処理なし。
各ハードマスク配合物を各試験前に「0.2μm孔径」TFPEシリンジフィルタによって濾過した。
溶剤ストリッピング試験、エッチング試験、及び熱安定性試験のためのスピンコーティングは、TEL、ACT 2 Trackを使用して手分注で(各コーティングに1.5から2.5mLの配合物を使用して)行った。
1)溶剤ストリッピング試験−各ハードマスク配合物をウェハ上に1500RPMでスピンコートし、続いて105℃で60秒間の自由選択のコーティング後ベーク、及びその後、所望の温度で60秒間の硬化ベークを行った。その後、そのコーティングされたウェハをコーティングボウルに持って行き、そこで溶剤をそのウェハにゆっくりと分注してパドルを形成した。パドルを90秒間保持した後、溶剤を振り落した。THERMA−WAVE Spectroscopic Ellipsometer Model 7341を使用して、「溶剤ストリッピング試験」前及び後のメタルハードマスクの膜厚を測定した。ストリッピング前と後での膜厚の変化がメタルハードマスクの耐溶剤性を示す。
2)エッチング試験−各ハードマスク配合物を、上で論じたように1500RPMでウェハにスピンコートし、その後、250℃で60秒間硬化させた。メタルハードマスク膜を硬化させた後、PLASMA−THERM 790 RIEシステムを使用し、指定の電力(O
2エッチングについては90W及びCF
4エッチングについては50W)及びエッチング時間を用いて、その硬化した皮膜をエッチングした。エッチング前と後に膜厚を測定した。「全膜厚損失」及びエッチング時間を用いて、各メタルハードマスク膜についてのエッチング速度を算出した。
3)熱安定性試験−各ハードマスク配合物を1500RPMでウェハ上にスピンコートし、続いて105℃で60秒間の自由選択のコーティング後ベーク、及びその後、所望の温度で60秒間の硬化ベークを行った。次に、その硬化したメタルハードマスク膜を250℃で600秒(10分)間加熱し、この加熱プロセス中の膜厚変化を測定し、膜の熱安定性を示すために用いた。典型的な電子用途のためのメタルハードマスク膜は、その膜厚の5%より多くを損失してはならない。
4)メタルハードマスクの底部反射防止コーティング(BARC)特性を試験するためにリソグラフィ試験を用いた。プロセス条件については下の表26を参照のこと。この試験では、メタルハードマスクを、デュアルBARCスタックにおいて、該スタック中の底部BARCを本発明のメタルハードマスクで置換することによって試験した。本発明のメタルハードマスクを含有するスタックのリソグラフィ性能を原型デュアルBARCスタックと比較した。
【0089】
V.溶剤ストリップ試験−概要
上で論じた「溶剤ストリップ試験」についての概要を参照のこと。場合により、溶剤ストリッピング後にウェハをホットプレートに戻し、105℃で60秒間ベークした(ストリップ後ベーク(post strip back))。その後、膜厚を再び測定した。この自由選択のベーキングは、皮膜内の吸収溶剤を除去するためであった。
研究A:架橋剤としての有機金属(ストリップ試験)
【0090】
有機金属の架橋機能を試験するために、異なる硬化温度で硬化させた膜についての溶剤ストリッピングに対する耐性を、「90秒シングルパドル」PGMEAストリッピング中の膜厚損失を用いて判定した。詳細な試験フローを下の表3にて略述する(FT=膜厚)。
【表9】
【0091】
2つの試料(実施例1及び2)を試験した。下の表4に要約するように、両方の試料は、2.0重量%の全固形分(ポリマーバインダー+有機金属)を含有し、ポリマーバインダーの有機金属に対する比のみが異なる。
【表10】
【0092】
図1A及び1Bに示すPGMEAストリッピングの結果(
図1Aに実施例1を図示し、
図1Bに実施例2を図示する)が示すように、耐溶剤性は硬化温度が高いほど強いが、最低硬化温度、125℃では架橋が発生することが判明した。
図1A及び1Bに関しては、膜厚をストリップ試験前(初期)、ストリップ試験の後(ストリップ後)、及びストリップされた皮膜をストリップ後ベークに付した後(ストリップ後ベーク)に測定した。
【0093】
コート皮膜の(673nm波長での)屈折率は、両方の試料について硬化温度に伴って定常的に増加することが判明した。これは、高温で硬化された皮膜のほうが金属レベルが高いことを示している。
図2に示したのは、「屈折率対硬化温度」である。この図から分かるように、低いバインダー対有機金属比(25/75)を有した試料(実施例2)と比較して、バインダーポリマー(バインダー対有機金属比が50/50)が多い試料(実施例1)のほうが各硬化温度で低い対応屈折率を有した。
【0094】
追跡試験では、実施例2と同じ25/75のバインダー/有機金属比を保って、6.0の増加全固形分含有量6.0重量%を有する追加の試料1つ(実施例3)を調製した。PGMEAストリッピング試験は、225及び250℃の硬化温度をそれぞれ用いたこと以外、上の表3にて略述したのと同じ試験フローに従った。結果を
図3に示す。
図3に関しては、膜厚をストリップ試験前(初期)、ストリップ試験の後(ストリップ後)、及びストリップされた皮膜をストリップ後ベークに付した後(ストリップ後ベーク)に測定した。
【0095】
図1A、1B及び3に示すように、硬化した皮膜の膜厚は硬化温度の上昇に伴って有意に収縮することが判明した。これは、バインダーポリマーと有機金属の間の架橋反応、及び外部アルコールの縮合による有機金属同士の架橋反応に起因すると考えられる。もちろん、より高温では硬化された皮膜中の遊離有機金属の気化が、ある程度、皮膜収縮に寄与することがある。
【0096】
スピンコーティング工程と硬化ベーク工程の間で用いる105℃でのコーティング後ベークを用いて、遊離有機金属化合物の気化の可能性を低減できることが判明した。
図4に示すのは、PGMEAストリッピング前の膜厚値、及びストリップ後ベークの後の膜厚値である。
図4に関しては、膜厚をストリップ試験前(初期)、及びストリップされた皮膜をストリップ後ベークに付した後(ストリップ後ベーク)に測定した。
図3と
図4を比較すると、スピンコーティングと硬化ベークの間に105℃でのコーティング後ベークを挿入することで膜厚保持率の改善がわずかに実現されることが分かるはずである。
【0097】
図1A、1B及び3中の試料は、105℃で60秒間のコーティング後ベークに付さなかった。
図4中の試料は、このコーティング後ベークに付した。
研究B(ストリップ試験)
【0098】
「30/70(w)HEMA/tBA」(バインダーポリマーとして)から形成したハードマスク配合物を用いて追加のストリップ試験を行った。tBA上のtert−ブチル基は、酸不安定性でもあり、試験した温度で熱不安定性でもあることが判明した。tert−ブチル基が遊離すると、カルボン酸官能基がバインダーポリマー上に作られ、それが有機金属化合物と反応するので、皮膜中の有機金属の保持に役立つ。この試験セットでは、表5に示すように、6重量%の固形分含有量(バインダー+有機金属)で、熱酸発生剤(TAG)を用いて及び用いずに、2つの試料、実施例4及び実施例5を配合した。実施例4及び実施例5を105℃で60秒間のコーティング後ベークに付した。試験フロー条件を下の表6に示す。ストリップ試験からの結果を下の表7に示す。
【表11】
【表12】
【表13】
【0099】
この研究では、同じ固形分(バインダー+有機金属)含有量を有する配合物についての以前の研究と比較して改善された残膜率を実現した。その上、TAGを有する配合物(実施例5)は、残膜率(初期膜厚とストリップ後の膜厚)をさらに改善する。
研究C(ストリップ試験)
【0100】
ポリ(HEMA)をこの研究では使用した。ポリ(HEMA)は、PGMEAに可溶性でなく、そのためそれをHBM中で合成し、「そのままで」使用した。下の表8から分かるように、この配合にはHBMを単独溶剤として使用した。配合物中の固形分含有量(バインダー+有機金属)は、6.0重量%である。
【表14】
【0101】
このプロセスフローを下の表9に要約する。ここでは、この研究におけるバインダーポリマーがPGMEAに可溶性でないがHBMには可溶性であるので、PGMEAではなくHBMをストリッピング溶剤として使用した。加えて、一方の皮膜を105℃で60秒間のコーティング後ベークに付したが、他方の皮膜はコーティング後ベークに付さなかった。HBM溶剤ストリッピングの前及び後、並びにストリッピング後ベークの後の膜厚を下の表10に示す。
【表15】
【表16】
【0102】
実施例4と同じ(6重量%)全固形分(結合剤+有機金属)含有量で、実施例6の膜厚は(350から894Åに)有意に増加される。この膜厚増加は、バインダーポリマーと有機金属間の架橋を促進するヒドロキシ基の数が増したためばかりでなく、HBM溶剤に起因する溶液粘度増加のためでもある。実施例6の皮膜については、コーティング後ベークを伴う皮膜のほうがこのベーク工程を伴わない皮膜より厚い。
研究D(異なる有機金属の使用)
【0103】
この研究では、バインダーポリマー、「30/70(w)HEMA/IPGMA」を有機金属化合物、AA−105−IPGと共に配合に使用した。両方の材料が酸不安定性であり、ベークするとヒドロキシ基が生成される。バインダーポリマー上及び有機金属化合物上に生成されたこれらのヒドロキシ基がベーキング中に有機金属化合物とさらに反応して、コート皮膜中の有機金属の保持に役立つ。
【0104】
TAGを用いて2つの配合物を作った。両方の配合物が6重量%固形分(バインダー+有機金属)を含有する。TYZOR AA−105を一方の配合に使用し、AA−105−IPGをもう一方の配合に使用した。詳細な配合を表11に列挙する。両方の実施例、実施例7及び実施例8は、517及び456の膜厚をそれぞれ有する優れた皮膜を形成した。
【表17】
研究E(ストリップ試験−ジルコニウムブトキシド)
【0105】
この研究ではジルコニウムブトキシドをバインダーポリマーとしての「30/70(w)HEMA/MMA」と共に使用した。詳細な配合を下の表12に与える。試験条件を表13に示す。実施例9を「105C/60秒コーティング後ベーク」に付した。研究Bと同様の試験フローを用いたが、350℃のより高い硬化温度を90秒間用いた。
【表18】
【表19】
【0106】
PGMEAストリップの前及び後、並びにストリップ・ベークの後の膜厚を表14に列挙する。再び、優れた耐溶剤性がこのジルコニウム系有機金属化合物について観察された。
【表20】
研究F(ストリップ試験−アルコール溶剤)
【0107】
主溶剤としてアルコールを用いる配合物を研究した。MIBC中で合成した「30/70(w)HEMA/tBA」をバインダーポリマーとして使用した。TYZOR AA−105を有機金属化合物として使用し、2−メチル−1−ブタノールを配合の際に主溶剤として使用した。これらの配合物は、異なるレベルのTAGをさらに含有した。表15に示すのは、硬化温度研究のための詳細な配合である。実施例10は、14.0重量%固形分(バインダー+有機金属)を含有し、実施例11は、13.3重量%固形分を含有し、実施例12は、12.9重量%固形分を含有した。表16に示す試験条件を用いて、コート皮膜を350℃で90秒間硬化させた。これらの実施例を「105C/60秒コーティング後ベーク」に付した。膜厚を表17に示す。
【表21】
【表22】
【表23】
【0108】
表17から分かるように、優れた耐溶剤性がこれら3配合物すべてによって実証される。
【0109】
表18に示す試験条件に従って異なる硬化温度で試験したとき、これら3配合物(実施例10〜12)は、用いた硬化温度の全域で優れた耐溶剤性を呈示した(
図5A(実施例10)、5B(実施例11)及び5C(実施例12)参照)。硬化皮膜の屈折率は、硬化温度の上昇に伴って劇的に増加することが判明した。実施例10については
図6を参照のこと。
【表24】
VI.熱安定性−概要
【0110】
硬化したメタルハードマスクの熱安定性を、250℃で10分間のベーク処理前及び後の膜厚の変化によって測定した。5%未満の又は5%に等しい膜厚変化は許容可能である。
研究A:30/70(w)HEMA/MMAとTYZOR AA−105
【0111】
この研究では、実施例3を350℃でそれぞれ60及び90秒間硬化させることによって試験した。コーティング後ベークを含めて詳細な試験フローを表19に列挙する。「250℃/10分ベーク」前及び後の膜厚を下の表20に列挙する。
【表25】
【表26】
【0112】
60秒又は90秒いずれかにわたって350℃で硬化させたとき、優れた熱安定性がこの配合物で実証された。
研究B:30/70(w)HEMA/tBAとTYZOR AA−105
【0113】
この研究では、350℃で60秒間だけ硬化させたこと以外、上の表19で略述したのと同じ試験フローを用いて、実施例10、実施例11及び実施例12を試験した。コート皮膜を250℃で10分間ベークする前及びした後の膜厚を下の表21に要約する。優れた熱安定性が、TAGを伴う及び伴わないこれら3配合物で実証された。
【表27】
VII.耐エッチング性−概要
【0114】
指定のエッチング用化学物質を使用して所与の時間枠内でエッチングする前及びエッチングした後の膜厚の変化によって、硬化メタルハードマスクの耐エッチング性を評価した。この試験では、O
2及びCF
4両方のエッチングガスを、それぞれ90W及び50Wのエッチング電力で使用した。エッチング時間は、試験膜厚に依存して10から30秒であった。エッチングツールは、コートウェハ(全ウェハから切断した試料サイズ(0.5インチ×1インチ))用の試料ホルダを有するPLASMA−THERM 790 RIEであった。エッチング前及び後の膜厚を、Nanometricsからの顕微分光光度計NANOSPEC AFT2100を使用して測定した。
研究A:皮膜中の有機金属レベル増加に伴う耐エッチング性向上
【0115】
この研究では、表22に要約するように、異なるレベルのTYZOR AA−105を有する試料を「30/70(w)HEMA/MMA」バインダーポリマーと配合した。これらの配合の際の溶剤はPGMEAであった。下の表23にてそれらの配合を詳述する。
【表28】
【表29】
【0116】
各試料をベアシリコンウェハ上に1500rpmでスピンコートし、続いて105℃で60秒間のコーティング後ベークを行い、その後、250℃で60秒間硬化させた。PLASMA−THERM 790 RIEシステムを使用して、O
2エッチング(30秒間)については90W及びCF
4エッチング(25秒間)については50Wのエッチングング電力でこれらのコート皮膜のエッチング速度を判定した。結果を表24及び25に要約する。
【表30】
【表31】
【0117】
表24及び25から分かるように、コート皮膜へのTYZOR AA−105の組み込みに伴ってエッチング速度の有意な減少が得られた。「Si含有皮膜」とは異なり、本発明の皮膜は、CF4エッチングを維持することができ、そのため本発明の皮膜と「Si含有皮膜」、例えばシリコンハードマスク又はSiARC、の間のエッチング選択性を生じさせることができることが判明した。加えて、この群の試料は、
図7(実施例13−16)に示すように、コート皮膜中の有機金属レベルの増加に伴って673nm波長での屈折率が増加する傾向を示した。
VIII.メタルハードマスクリソグラフィ試験
【0118】
メタルハードマスクの底部反射防止コーティング(BARC)特性を試験するためにリソグラフィ試験を用いた。この試験では、本発明のメタルハードマスクを、デュアルBARCスタックにおいて、該スタック中の底部BARCを本メタルハードマスクで置換することによって試験した。リソグラフィ性能を、原型デュアルBARCスタックと本発明のメタルハードマスクを有するスタック間で比較した。リソグラフィ加工条件を下の表26に列挙する。リソグラフィ試験のために、ASML 1900i Immersion ScannerをCLEAN TRACK LITHIUSと併用してて試料を加工した。少量分注装置は、TRDACKであった。各層についての分注量は、1から3mLであった。目標膜厚を得るためのスピン速度は、約1500RPMであった。AR26Nは、Dow Electronic Materialsから入手できる底部反射防止コーティングである。AR137は、Dow Electronic Materialsから入手できる底部反射防止コーティングである。
【表32】
【0119】
このリソグラフィ試験は、EPIC 2096レジスト(Dow Electronic Materialsから入手可能)を使用する「42nm 1:1線間隔」パターンの画像形成についてのものであった。この試験では、OC 2000液浸トップコート(Dow Electornic Materialsから入手可能)も使用した。ASML 1900iスキャナを650mm/秒の最大スキャン速度で使用した。
図8に示すのは、実施例11メタルハードマスクを有するスタック及び原型デュアルBARC系のスタックについての「限界寸法(CD)対ドーズ(露光エネルギー)」プロットである。
【0120】
次の試験結果:E
サイズ(目標「42nm 1:1 線間隔」を印刷するための露光エネルギー)、エネルギーラチチュード(EL)及びパターン倒れマージン(PCM)を表27に要約する。
【表33】
【0121】
表27から分かるように、実施例11から形成されたBARCを含有するスタックは、原型デュアルBARC系を含有するスタックと比較して同様の性能を有した。「42nm/84nm」ピッチ線についての最良焦点での「CDスルードーズ」を
図9に示す。Eサイズ(目標CD(この試験では42nm)を印刷するためのエネルギー)及び最良焦点での画像の直接比較を下の
図10に示す。
【0122】
底部BARCとして実施例11を有するスタックについて、わずかに改善されたLWRが見られた。実施例11を有するスタックについてのEサイズは、この試験で観察されるようにわずかに低減された。総合的に言えば、デュアルBARCスタックにおいて配合物実施例11を用いることで、その原型デュアルBARCスタックと比較して同様のリソグラフィを実現した。