特許第6185268号(P6185268)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6185268
(24)【登録日】2017年8月4日
(45)【発行日】2017年8月23日
(54)【発明の名称】基板収納容器
(51)【国際特許分類】
   H01L 21/673 20060101AFI20170814BHJP
   B65D 85/86 20060101ALI20170814BHJP
【FI】
   H01L21/68 T
   B65D85/38 R
【請求項の数】5
【全頁数】11
(21)【出願番号】特願2013-64467(P2013-64467)
(22)【出願日】2013年3月26日
(65)【公開番号】特開2014-192230(P2014-192230A)
(43)【公開日】2014年10月6日
【審査請求日】2015年10月15日
(73)【特許権者】
【識別番号】000190116
【氏名又は名称】信越ポリマー株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100144048
【弁理士】
【氏名又は名称】坂本 智弘
(72)【発明者】
【氏名】波賀野 賢
(72)【発明者】
【氏名】谷本 紗代
(72)【発明者】
【氏名】長谷川 晃裕
【審査官】 儀同 孝信
(56)【参考文献】
【文献】 特開2004−111830(JP,A)
【文献】 特開2006−324327(JP,A)
【文献】 特開2008−140948(JP,A)
【文献】 特開2006−120791(JP,A)
【文献】 特開2011−018878(JP,A)
【文献】 特開2006−351604(JP,A)
【文献】 特開2003−347262(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01L 21/673
B65D 85/86
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
側面の一部に開口を有する容器本体と、
前記開口を閉塞させる蓋体と、を備え、
前記容器本体の前記開口の両側の内側壁に前記開口側から奥行側に延在されて設けられ、垂直方向に並設される複数の各基板を水平状態で載置する支持部材と、
前記容器本体の前記開口から奥行方向の内側壁に設けられ、前記各基板を係止可能な前記支持部材の前記開口の奥行側に設けられた奥行側支持部と、
前記蓋体の裏面に設けられ、前記蓋体が前記開口を閉塞させた際に、前記奥行側支持部とともに前記支持部材から持ち上げるように前記各基板を係止させる溝が形成されたフロントリテーナと、を有し、
前記支持部材は、前記開口側の前記基板に対する静止摩擦係数が、前記開口の奥行側支持部が有している奥行方向に高さが大きくなる傾斜部の前記基板に対する静止摩擦係数よりも小さく形成され
前記支持部材の前記開口側の前記基板に対する静止摩擦係数および前記開口の奥行側支持部の前記基板に対する静止摩擦係数は、それぞれ、前記支持部材の表面に形成されたシボ加工の粗さによって設定され、
前記傾斜部は前記奥行側支持部に形成された溝の下部に形成され、
前記フロントリテーナに形成された溝は、基準水平面からの高さが前記奥行側支持部に形成された溝と等しくなるように形成される
ことを特徴とする基板収納容器。
【請求項2】
前記支持部材の前記開口側のシボ加工の粗さは、0.5〜3μmの範囲に設定され、前記開口の奥行側支持部のシボ加工の粗さは、2〜10μmの範囲に設定されていることを特徴とする請求項1に記載の基板収納容器。
【請求項3】
前記支持部材の前記開口側の端面は面取りがなされた曲面となっていることを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の基板収納容器。
【請求項4】
シボ加工の粗さは前記傾斜部の高さによって異なっていることを特徴とする請求項1から請求項3のいずれか1項に記載の基板収納容器。
【請求項5】
前記容器本体の前記開口から奥行方向の内側壁に設けられ、前記各基板を係止可能なリアリテーナを有したことを特徴とする請求項1から請求項4のいずれか1項に記載の基板収納容器。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、基板収納容器に係り、特に、たとえば半導体ウェハを収納する基板収納容器に関する。
【背景技術】
【0002】
この種の基板収納容器は、たとえば下記特許文献1に開示されているように、開口が形成された容器本体と、該開口を閉塞する蓋体と、から構成されている。
【0003】
容器本体には、それが横置きの状態にある場合、開口の両側の内側壁に、複数の半導体ウェハを水平状態に、かつ垂直方向に並設させて載置する支持部材と、該開口から奥行方向の内側壁に、前記支持部材に載置された各半導体ウェハを係止し得るリアリテーナと、が備えられている。
【0004】
また、蓋体の裏面には、該蓋体が容器本体の開口を閉塞させた際に、前記リアリテーナとともに半導体ウェハを前記支持部材から持ち上げるように係止させるフロントリテーナが備えられている。
【0005】
ここで、蓋体を容器本体の開口に閉塞させた際に、各半導体ウェハを支持部材から持ち上げるようにしてフロントリテーナとリアリテーナとで係止させるようにしているのは、半導体ウェハの破損を防止するためである。
【0006】
また、このように構成される基板収納容器は、その蓋体が上方になるように縦置き状態にして、たとえば工場内で輸送させる場合がある。このように基板収納容器に収納された各半導体ウェハを垂直状態でリアリテーナに係止させて配置させることによって、半導体ウェハの破損を防止するようにしている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開2000−159288号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
しかし、上述した基板収納容器は、縦置きから横置きにした後に蓋体を外した際に、基板はフロントリテーナの係止が解除されて、基板の前端部が支持部材に載置されるようになるが、該支持部材との間の摩擦が大きく、次の工程で、他の装置によって半導体ウェハを移載できる位置まで該半導体ウェハが支持部材上を移動(摺動)できないという不都合が生じていた。
【0009】
このような不都合は、半導体ウェハに限らず、たとえばマスクガラス等の他の基板であっても同様に生じる。
【0010】
本発明は、このような事情に鑑みてなされたものであり、蓋体を外した際に、フロントリテーナの係止が解除された基板が支持部材上をスムーズに所定の位置にまで移動できるようにした基板収納容器を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明は、以下の構成によって把握される。
(1)本発明の基板収納容器は、側面の一部に開口を有する容器本体と、前記開口を閉塞させる蓋体と、を備え、前記容器本体の前記開口の両側の内側壁に前記開口側から奥行側に延在されて設けられ、垂直方向に並設される複数の各基板を水平状態で載置する支持部材と、前記各基板を係止可能な前記支持部材の前記開口の奥行側に設けられた奥行側支持部と、前記蓋体の裏面に設けられ、前記蓋体が前記開口を閉塞させた際に、前記奥行側支持部とともに前記支持部材から持ち上げるように前記各基板を係止させるフロントリテーナと、を有し、前記支持部材は、前記開口側の前記基板に対する静止摩擦係数が前記開口の奥行側支持部の前記基板に対する静止摩擦係数よりも小さく形成されていることを特徴とする。
(2)本発明の基板収納容器は、(1)の構成において、前記支持部材の前記開口側の前記基板に対する静止摩擦係数および前記開口の奥行側支持部の前記基板に対する静止摩擦係数は、それぞれ、前記支持部材の表面に形成されたシボ加工の粗さによって設定されていることを特徴とする。
(3)本発明の基板収納容器は、(2)の構成において、 前記支持部材の前記開口側のシボ加工の粗さは、0.5〜3μmの範囲に設定され、前記開口の奥行側支持部のシボ加工の粗さは、2〜10μmの範囲に設定されていることを特徴とする。
(4)本発明の基板収納容器は、(1)の構成において、前記支持部材の前記開口側の端面は面取りがなされた曲面となっていることを特徴とする。
(5)本発明の基板収納容器は、(2)の構成において、前記支持部材の前記開口の奥行側支持部は奥行方向に高さが大きくなる傾斜部を有し、前記傾斜部にシボ加工がなされていることを特徴とする。
(6)本発明の基板収納容器は、(5)の構成において、シボ加工の粗さは前記傾斜部の高さによって異なっていることを特徴とする。
(7)本発明の基板収納容器は、(1)の構成において、前記容器本体の前記開口から奥行方向の内側壁に設けられ、前記各基板を係止可能なリアリテーナを有したことを特徴とする請求項1に記載の基板収納容器。
【発明の効果】
【0012】
このように構成した基板収納容器によれば、蓋体を外した際に、フロントリテーナの係止が解除された基板が支持部材上をスムーズに所定の位置にまで移動できるようにできる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
図1】本発明の基板収納容器の実施形態1の全体の構成を示す斜視図である。
図2】基板が水平状態にある基板収納容器の断面図である。
図3】基板が垂直状態にある基板収納容器の断面図である。
図4】基板がフロントリテーナ及び奥行側支持部に支持されて水平状態にある場合のそれらの断面図である。
図5】(a)、(b)は、それぞれ、支持部材に支持された基板の平面図および断面図である。
図6】(a)、(b)、(c)は、基板が水平状態にある基板収納容器の破断斜視図、棚板の前端部の拡大図、棚板の後端部の拡大図である。
図7】支持部材の棚板の前端部のシボ加工がなされた部分の断面を示す図である。
図8】本発明の基板収納容器の実施形態2の全体の構成を示す斜視図である。
図9】基板が水平状態にある基板収納容器の断面図である。
図10】基板が垂直状態にある基板収納容器の断面図である。
図11】基板がフロントリテーナ及びリアリテーナに支持されて水平状態にある場合のそれらの断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、添付図面を参照して、本発明を実施するための形態(以下、実施形態)について詳細に説明する。なお、実施形態の説明の全体を通して同じ要素には同じ番号を付している。
(実施形態1)
図1は、本発明の基板収納容器の全体の構成を示す斜視図である。なお、図1に示す基板収納容器100は横置きの状態で示したものとなっている。図1において、基板収納容器100は、容器本体10と、容器本体10に対して着脱される蓋体30と、から構成されている。
【0015】
容器本体10は、蓋体30によって閉塞される開口11が側面の一部に設けられている。容器本体10の開口11の両側の内側面には、それぞれ、複数の半導体ウェハWを支持する支持部材20が一対(一方の支持部材は図示されていない)設けられている。
【0016】
半導体ウェハWは、その径がたとえば300mmであり、容器本体10にたとえば25枚収納できるようになっている。
【0017】
それぞれの支持部材20は、容器本体10の開口11から奥行方向(図中y方向)に延在する棚板21が、垂直方向(図中z方向)に並設されて形成されている。棚板21の数は収納する半導体ウェハWの数に応じて設けられている(たとえば25個)。
【0018】
容器本体10の上面にはロボティックフランジ13が取り付けられ、容器本体10の開口11の両側の外側面にはそれぞれ把持ハンドル14が取り付けられている。また、容器本体10の下面には、半導体ウェハWを加工する加工装置(図示せず)に基板収納容器100を近接させて配置させる際の位置決め部材(図示せず)が形成されている。
【0019】
図2では、たとえば3個の半導体ウェハWが示され、該半導体ウェハWが、支持部材20の所定の棚板21に載置されることによって、容器本体10内において水平に支持されるには、支持部材20の所定の棚板21に載置されるようにする。
なお、図3は、容器本体10をその開口11が上方になるように傾けた場合を示した図である。容器本体10に半導体ウェハWが収納され蓋体30が装着された基板収納容器100は、その搬送の段階で、図3に示すように傾けられた状態で搬送される場合がある。
【0020】
この場合において、容器本体10に収納された各半導体ウェハWは奥行側支持部18の溝となる2つの傾斜部21Bの変曲点の近傍に係止され垂直状態で配置されるようになる。
【0021】
図1に戻り、容器本体10の開口11を閉塞する蓋体30は、その裏面(開口11と対向する面)において、フロントリテーナ32が垂直方向(図中z方向)に延在されて設けられている。フロントリテーナ32は、蓋体30を容器本体10に装着した際に該容器本体10に収納される半導体ウェハWと対向する面に、複数の溝32Aが垂直方向(図中z方向)に並設されて形成されている。溝32Aは、上下(図中y方向)のそれぞれに傾斜部を有する断面がほぼV字状をなす形状となっている。
【0022】
フロントリテーナ32の各溝32Aは、基板収納容器100を加工装置に搭載したときの基準水平面からの高さが奥行側支持部18の溝21Cと等しくなるように形成されている。図4は、蓋体30を容器本体10に装着した際に、蓋体30に取り付けられたフロントリテーナ32の溝32Aに半導体ウェハWの周縁の一部が係止されている状態を示している。フロントリテーナ32の各溝32A、奥行側支持部18の各溝21Cは、基板収納容器100を加工装置に搭載したときの基準水平面からの高さが支持部材20の各棚板21の上面よりも若干高く形成されているため、半導体ウェハWが、図4に示すように、フロントリテーナ32の溝32Aおよび奥行側支持部18の各溝21Cに係止された場合、いままで前記支持部材20の各棚板21に載置されていた半導体ウェハWは各棚板21から若干持ち上げるようになる。
【0023】
蓋体30は、図1に示すように、容器本体10のリム部5内に着脱自在に嵌合されて開口部3を塞ぐ嵌合プレート(蓋体本体)8と、左右一対のカバープレート9とを有している。嵌合プレート8は、周縁部から立設された周壁8aを有し、中央が窪んだ皿型を成している。嵌合プレート8の周壁8aには、係止爪6を出没させるための開口8bが形成されている。嵌合プレート8の窪みには、同心円周上に配置され外方に突出する複数の円弧状リブが設けられている。さらに、嵌合プレート8
の容器本体10側の面には、半導体ウェハWに接触する上述したフロントリテーナ32が設置され、このフロントリテーナ32により半導体ウェハWの容器本体10の開口11の方向への移動と、半導体ウェハWにおける周方向への移動とを規制し、半導体ウェハWを保持するようになっている。
【0024】
蓋体30の裏面の周辺には、シールガスケット34が設けられ、蓋体30の容器本体10への装着において、シールガスケット34が容器本体10の開口11の周辺に当接され、基板収納容器100の気密性を確保できるようになっている。
【0025】
図5(a)は、支持部材20を構成する棚板21を示す平面図である。また、図5(b)は、棚板21を側面から観た側面図である。図5(a)、(b)では、いずれも棚板21の一つに載置される半導体ウェハWを併せて描画している。
【0026】
図5(a)に示すように、棚板21の上面は、それに載置される半導体ウェハWの周縁に近接し半導体ウェハWの外方において高さの高い段差部21Aを有して形成されている。
【0027】
また、棚板21の容器本体20の奥行側支持部18は、半導体ウェハWが図中y方向へ移動(蓋体30の装着の際のフロントリテーナ32の当接による移動)した際に、半導体ウェハWの後端部を若干持ち上げる傾斜部21Bを有するように構成されている。この傾斜部21B及び傾斜部21Bの変曲点の近傍が奥行側支持部の溝21Cとなる。
【0028】
棚板21の上述した傾斜部21Bは、前記支持部材20の各棚板21に載置されていた半導体ウェハWを各棚板21から若干持ち上げる機能を有する。
【0029】
図6(a)は、図2に示した容器本体10の断面を斜視的に観た図で、図6(b)は支持部材20の棚板21の開口11側の前端部の拡大図を、図6(c)は支持部材20の棚板21の奥行側支持部18の拡大図を示している。
【0030】
図6(a)に示すように、支持部材20の各棚板21において、それら前端部の上面であって、半導体ウェハWが載置される箇所(図中散点領域Qで示す)にシボ加工がなされている。この場合のシボ加工の粗さは、たとえば、0.5〜3μmの範囲に設定されている。シボ加工された領域(図中Qの領域)は該シボ加工が施されていない領域よりも半導体ウェハWに対する静止摩擦係数が小さくなっている。なお、図7に示すように、棚板21のシボ加工がなされた表面を有する開口11側の端面21Tは面取りがなされた曲面Rを有するようになっている。
【0031】
また、図6(c)に示すように、支持部材20の各棚板21において、それら奥行側支持部18の上面であって、半導体ウェハWが載置される箇所(図中散点領域Pで示す)にシボ加工がなされている。この場合のシボ加工の粗さは、たとえば、2〜10μmの範囲に設定されている。シボ加工された領域(図中Pの領域)は該シボ加工が施されていない領域よりも半導体ウェハWに対する静止摩擦係数を小さくすることができるようになる。
【0032】
なお、各棚板21の奥行側支持部18には傾斜部21Bが形成されていることは上述した通りであるが、シボ加工は該傾斜部21Bの表面にもなされており、その粗さは、たとえば、2〜10μmの範囲に設定されている。この場合、傾斜部21Bの表面におけるシボ加工は、傾斜部21Bの高さによって異なるようにしてもよい。
【0033】
上述したように、シボ加工の粗さは各棚板21の前端部の表面において0.5〜3μmの範囲に、各棚板21の奥行側支持部18の表面において2〜10μmの範囲に設定されていることから、支持部材20は、開口11側(前端部)の半導体ウェハWに対する静止摩擦係数は開口11の奥行側(奥行側支持部18)の半導体ウェハWに対する静止摩擦係数よりも小さく形成されることになる。
【0034】
なお、支持部材20の成形に使用する金型の表面を部分的に梨地や皮シボ等のシボ加工をしておき、これを成形時に支持部材20の表面に転写することにより形成することができる。金型に対するシボ加工は、サンドブラスト、放電加工、エッチング等により行われる。
【0035】
このように構成された基板収納容器によれば、蓋体30の取り外し時に、半導体ウェハWが奥行側支持部18から支持部材20の棚板21にスライドするが、棚板21の表面にシボ加工された領域P、Q、すなわち摩擦抵抗の小さい領域を形成しているので、半導体ウェハWが奥行側支持部18の傾斜部21Bの途中で停止することがなく、他の装置によって半導体ウェハWを移載できる位置まで該半導体ウェハWが棚板21上を移動(摺動)できるようになる。
【0036】
この場合、支持部材20の各棚板21において、前端部の半導体ウェハWに対する静止摩擦係数が奥行側支持部18の半導体ウェハWに対する静止摩擦係数よりも小さく形成されており、棚板21の前端部における滑りを奥行側支持部18において適度に抑制できる等の設定ができることから、適切な位置まで半導体ウェハWを棚板21上で移動(摺動)させることができるという効果を奏する。
【0037】
(実施形態2)
上述した実施形態において、奥行側支持部の替わりにリアリテーナを設けてもよい。その際の形態は、以下の通りである。
【0038】
図8は、実施形態2における基板収納容器の全体の構成を示す斜視図である。なお、図8に示す基板収納容器100は横置きの状態で示したものとなっている。図8において、基板収納容器100は、容器本体10と、容器本体10に対して着脱される蓋体30と、容器本体10の開口11から奥行方向の内側壁に設けられ、容器本体10の開口11を上方にして傾けた際に、各半導体ウェハWを垂直状態で係止させるリアリテーナ15と、から構成されている。なお、容器本体10の底部に取り付けられるボトムプレート40は、その形状を判り易く示すため容器本体10から分離させて描画させている。
【0039】
リアリテーナ15は、開口11側の面において複数の溝15Aが垂直方向(図中z方向)に並設されて形成されている。
【0040】
また、溝15Aは、上下(図中y方向)のそれぞれに傾斜部を有する断面がほぼV字状をなす形状となっている。
【0041】
リアリテーナ15の各溝15Aは、基板収納容器100を加工装置に搭載したときの基準水平面からの高さがそれぞれに対応する支持部材20の各棚板21の上面よりも若干高くなるように形成されている。図11は、支持部材20およびリアリテーナ15によって支持された1枚の半導体ウェハWが示されている。これら半導体ウェハWが容器本体10内において水平に支持されるには、支持部材20の所定の棚板21に載置されるともにリアリテーナ15の所定の溝15Aに収納されるようにする。ここで、上述したように、リアリテーナ15の溝15Aは、基板収納容器100を加工装置に搭載したときの基準水平面からの高さが支持部材20に対応する棚板21の上面よりも若干高くなるように形成されているためリアリテーナ15の側において若干上方へ反るようになっている。
【0042】
図10は、容器本体10をその開口11が上方になるように傾けた場合を示した図である。この場合において、容器本体10に収納された各半導体ウェハWはリアリテーナ15の溝15Aに係止され垂直状態で配置されるようになる。リアリテーナ15の溝15Aは、この溝15Aに係止された半導体ウェハWが転倒するのを規制できるように、図11において、溝15Aの水平方向(図中y方向)の中心線から一方に位置する垂直壁(符号15AVで示す)と、該中心線から他方に位置する傾斜面(符号15AHで示す)を有するように構成されている。
【0043】
リアリテーナ15のV字形状の下方に形成された傾斜部は、奥行側支持部に形成される傾斜部と同様の機能を有するようになっている。
【0044】
図8に戻り、蓋体30は、その両脇のそれぞれに、係止片33が取り付けられ、これら係止片33が容器本体10の開口11の両脇のそれぞれに取り付けられた係止部16に係止されることにより、蓋体30の容器本体10への装着がなされるようになっている。
【0045】
(実施形態3)
上述した2つの実施形態では、半導体ウェハWを収納する基板収納容器100について説明したものである。しかし、これに限定されることはなく、たとえばマスクガラス等の他の基板を収納する基板収納装置等にも適用できることはいうまでもない。
【0046】
以上、実施形態を用いて本発明を説明したが、本発明の技術的範囲は上記実施形態に記載の範囲には限定されないことは言うまでもない。上記実施形態に、多様な変更または改良を加えることが可能であることが当業者に明らかである。また、その様な変更または改良を加えた形態も本発明の技術的範囲に含まれ得ることが、特許請求の範囲の記載から明らかである。
【符号の説明】
【0047】
100……基板収納容器、6……係止爪、8……嵌合プレート(蓋体本体)、8a……周壁、8b……開口、9……カバープレート、10……容器本体、11……開口、13……ロボティックフランジ、14……把持ハンドル、15……リアリテーナ、15A……溝、16……係止部、18……奥行側支持部、20……支持部材、21……棚板、21A……段差部、21B……傾斜部、21C……溝、30……蓋体、32……フロントリテーナ、32A……溝、33……係止片、34……シールガスケット、40……ボトムプレート、41……位置決め部材。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11