【実施例1】
【0016】
以下、本発明を金属製二重断熱構造の飲料用容器の栓体に適用した実施例1を
図1〜
図11に基づいて説明する。飲料用容器1は、金属製の容器本体2と、該容器本体2の上部開口部である開口端部2Aに被着される合成樹脂製の栓体3とを備える。前記容器本体2は、内筒4と外筒5の開口端部2Aの縁を一体に接合し、内筒4と外筒5との間の空間を真空の断熱層6となした断熱二重構造である。
【0017】
また、前記開口端部2Aの下方に、合成樹脂製で筒状の肩部材7を嵌着し、この肩部材7に前記栓体3を被着することにより、該栓体3が開口端部2Aに被着される。前記外筒5には前記開口端部2Aの下方に上向き斜め段部5Dを形成すると共に、この上向き斜め段部5Dの下方に嵌合受け部5Kを設けている。前記開口端部2Aの下方には、前記肩部材7が固着され、具体的には、前記肩部材7の内周面には前記嵌合受け部5Kに嵌合する嵌合部7Kが設けられ、嵌合受け部5Kに嵌合部7Kを嵌合することにより、肩部材7は、開口端部2Aの下方近接位置から上向き斜め段部5D、嵌合受け部5Kの下方位置までを覆うように容器本体2に固定される。そして、前記肩部材7の上部外周には雄螺子部7Nが形成されている。
【0018】
前記栓体3は合成樹脂製の栓本体10を備え、この栓本体10は、肩部材7の上部外周を囲繞する筒状部8を有し、この筒状部8の内周に雌螺子部8Nが形成され、この雌螺子部8Nを前記肩部材7の雄螺子部7Nに螺着して容器本体2の開口端部2Aに栓本体10が装着される。
【0019】
前記栓本体10の一側に突設した取付部11には、蓋体12が蓋ヒンジ部13を介して回動自在に結合され、この蓋ヒンジ部13に巻き掛けられたゴム輪等の弾性体14により、蓋体12が開方向に付勢されており、環状の弾性体14は、一端を栓本体10の取付部11の取付受け部15に係止すると共に、他端を蓋体12の取付受け部16に係止している。尚、前記蓋体12は、前記栓本体10の天板17に比べて小さく形成され、閉蓋時の平面形状は、栓本体10の前後方向に長く形成されている。そして、前記弾性体14は、蓋体12を閉状態から180度程度回動した位置で蓋体12を保持する力を有している。尚、栓本体10の取付部11を、蓋体12の左右の取付受け部11F,11Fにより挟んだ状態で、それら取付部11及び取付受け部11F,11Fに前記蓋ヒンジ部13を挿通する。
【0020】
また、他側の蓋ヒンジ部13に対して、容器本体2の口部中心を軸芯(図示せず)としたとき180度の位置に、すなわち蓋ヒンジ部13と径方向に対向する位置である一側には、蓋体12の先端を係止して蓋閉状態に保持するロック機構Rが設けられている。尚、前記蓋ヒンジ部13はヒンジ軸により構成されている。
【0021】
前記栓本体10は、前記筒状部8の上面に、容器本体2の開口端部2Aを覆う天板17を設けた逆有底筒状に形成されており、筒状部8の一側(前側)には、前記ロック機構Rの構成部材であるボタンたるシーソ式のロックボタン18と、このロックボタン18の下方で上下昇降可能なロック部材たる可動ロック部材20とが設けられており、前記ロックボタン18が蓋体12に係止して該蓋体12が閉状態でロックされる。
【0022】
また、前記栓本体10は、その内部に着脱自在に設けられる合成樹脂製の飲み口部材21を備える。
図4及び
図5などに示すように、飲み口部材21は、前記栓本体10内に収納される筒状体22と、この筒状体22の上部開口に周設した上鍔部22Fと、この上鍔部22F上に固定され前記筒状体22の上部開口を塞ぐ上板部23と、前記筒状体22の下部開口を塞ぐように設けられた下板部24と、前記上板部23の一側から上方に突設した略円柱状の飲み口25とを備える。また、前記筒状体22内の一側には、前記飲み口25と連通する中筒部26が設けられ、この中筒部26は前記飲み口25より径大であり、その中筒部26の下部開口26Kは前記下板部24に開口している。そして、中筒部26を除いた筒状体22の内部が、断熱部材(図示せず)を収納する収納空間27になっている。
【0023】
また、前記栓本体10の天板17の一側に、前記飲み口25を遊挿する貫通孔17Kを設け、この貫通孔17Kは前後方向に長い長孔であって、その貫通孔17Kの前側縁には、係合受け部たる前係合受け部28が設けられており、この前係合受け部28内に挿入するように係合する係合部たる突起29を前記飲み口25の前側外周から前向きに突設している。尚、この例では、前係合受け部28を、天板17の上面より一段凹んだ段差状の凹部により構成している。
【0024】
一方、前記栓本体10の天板17の他側(後側)には、略方形の係合孔31を穿設し、この係合孔31の後縁上面が
係止受け部31Kである。また、天板17の上面には前記係合孔31を囲んで平面略コ字型の枠部32が突設され、この枠部32は前記
係止受け部31K側が開口している。
【0025】
前記飲み口部材21の筒状体22の後部の外側には係止部材35が設けられ、この係止部材35を収納する凹部34を前記上
鍔部22F及び上板部23に形成し、その係止部材35は、前記栓本体10の係止受け部31Kに着脱自在に係止する。この係止部材35の縦向き部35Aは、下部を左右方向の枢軸36により前記飲み口部材21に回動自在に連結されると共に、その回動により前記凹部34内を前後動する。また、係止部材35の縦向き部35Aの上部に前記係止受け部31Kに係止する係止部37を有し、この係止部37は略水平方向で下向きの面により構成されている。また、係止部材35の縦向き部35Aの上下方向中央内側に突起状の取付部38を設け、この取付部38に付勢手段39を着脱可能に固定し、この付勢手段39は筒部39Aと底部39Bとを備え、ゴムなどの弾性体からなり、前記筒部39Aに前記取付部38を圧入固定し、底部39Bが筒状体22の外周の当接面40に当接する。
【0026】
また、係止部材35の縦向き部35Aの下部には、左右二股状に分かれた脚部41,41が設けられ、これら脚部41,41は枢軸36位置から略水平で内側に向けて突設されており、筒状体22の外周には、脚部41,41の上面が当接する上当接受け部42が設けられ、この上当接受け部42は突起により構成されている。そして、上当接受け部42により、係止部材35の回動範囲が規制されており、付勢手段39の弾性により脚部41が上当接受け部42に当接した位置が係止部材35の初期位置であり、操作部43を内側に押すことにより、係止部37の前記係止受け部31Kへの係止を解除することができる。
【0027】
前記係止部材35の縦向き部35Aの上部には前記操作部43が一体に設けられ、この操作部43の上面は水平ではなく、上方に傾いており、具体的には外側から内側に向って高くなるように傾斜している。また、操作部43の下側にある下側上面43Aは凸状に湾曲して形成されている。そして、操作部43の下部に下向きの前記係止部37が設けられ、栓本体10に飲み口部材21を取り付けた状態で、蓋体12を完全開状態から持ち上げると、操作部43は天板17の上方に露出し、操作可能な状態となる。さらに、係止部材35の係止部37が栓本体10の係止受け部31Kに係止した状態で、操作部43の上端は枢軸36位置より内側に位置し、下側上面43Aは枢軸36位置より外側に位置する。尚、蓋体12が閉まっていると、
図3などに示すように、飲み口25の上端面25Bに蓋パッキン55が圧接しているため、操作部43を操作しても、栓本体10と飲み口部材21を分解することはできない。
【0028】
また、前記突起29と係止部材35の間に位置して、前記飲み口部材21の上板部23には、左右方向に長い位置決め凸部45が設けられ、この位置決め凸部45の平面形状は略長方形であり、その位置決め凸部45が係入する位置決め凹部46が前記栓本体10の天板17下面に設けられている。
【0029】
さらに、飲み口部材21には、筒状体22の下部にパッキン48を装着する鍔状の装着部47が設けられ、この装着部47にパッキン48が着脱自在に装着される。そして、このパッキン48は舌状のシール部48Aを備え、このシール部48Aが容器本体2の内周面に圧接して容器本体2と飲み口部材21との間が密閉される。尚、パッキン48の下部内周には摘み部48Tが設けられ、この摘み部48Tを引っ張るようにして、装着部47からパッキン48を容易に外すことができる。
【0030】
図4のように分解した状態から、前側が上になるように飲み口部材21を斜めにし、下から飲み口25を栓本体10の貫通孔17Kに挿通すると共に、突起29を前係合受け部28に係入する。この後、飲み口部材21の後側を上側に押し上げると、操作部43の斜めの上面が係合孔31の縁に当接し、これにより操作部43が内側に回動し、操作部43が係合孔31を通過して係止部37が係止受け部31Kに係止し、同時に、位置決め凸部45が位置決め凹部46内に係入する。一方、蓋体12を持ち上げ、操作部43を露出させ、操作部43の上面を内側に押して係止を解除すると、栓本体10から飲み口部材21を取り外すことができる。
【0031】
そして、後述するように、前記蓋体12にはボタン係合部材91が設けられ、このボタン係合部材91は蓋側係合片92を有し、この蓋側係合片92が前記ロックボタン18に係止し、蓋体12が閉状態でロックされる。
【0032】
栓本体10に飲み口部材21を組み付けた状態で、前記飲み口25は、前記天板17から飲用者が口に含むのに適した太さで蓋体12に覆われる高さの略円柱状に突設されており、その内部を飲料の注出口25Aとしている。
図6に示すように、飲み口25の上端面25Bは、飲み口25の中心軸と直交する線Lよりも蓋ヒンジ部13側が角度θ分だけ低くなるように傾斜している。そして、飲み口25の上部は、閉蓋時に蓋体12に装着した蓋パッキン55で封止できるようになっている。
【0033】
図4及び
図5などに示すように、前記蓋体12の上面12Jには、前記飲み口25に対応して、蓋パッキン装着用の筒部56が形成され、この筒部56は、上面12Jの下面から下方に突設され、前記飲み口25より小径で該飲み口25とほぼ同心円上に配置されている。前記筒部56には、蓋体12の内外面を貫通する貫通孔57が形成され、該筒部56の厚さは下方に向かってテーパー状に薄くなるように形成されている。また、前記貫通孔57の上部には径大部57Aが設けられている。
【0034】
前記蓋パッキン55は、エラストマー、ゴム或いは弾性合成樹脂によって形成され、前記貫通孔57に下側から着脱可能に嵌入して取り付ける略円柱状の取付部58と、この取付部58の下端に設けた湾曲板状のシール体59と、前記筒部56の外周に外嵌するテーパ状の内筒部60とを一体に備え、この内筒部60の外周とシール体59の内面との間には、シール体59の弾性変形を許容する空隙部61が設けられている。また、前記取付部58の先端には、前記径大部57Aに係止する径大部58Aが設けられている。さらに、前記シール体59の外面(下面)は下側に凹な湾曲面状をなし、そのシール体59の内面(上面)周囲には前記蓋体12の内面に当接する平坦面62が形成されている。尚、シール体59は上端面25Bより大径である。
【0035】
そして、蓋パッキン55を蓋体12に取り付けるには、蓋体12の上面12Jの内面側から取付部58を貫通孔57に圧入すると、径大部58Aが径大部57Aに係止し、蓋体12の内面に平坦面62が当接し、蓋体12の内面とシール体59の内面との間に空隙部61が形成される。
【0036】
したがって、
図1などに示すように、蓋体12を閉めると、飲み口25の上端面25Bがシール体59に圧接してシール体59が弾性変形し、ロックボタン18が蓋体12に係止した状態で、シール体59の内面と蓋体12の内面に空隙部61ができる。
【0037】
前記ロック機構Rのロックボタン18は、合成樹脂製からなる表面部たるボタン本体63を備え、このボタン本体63の左右縁部63F,63Fは上下方向に形成され、その上縁部63Uは上に凸な湾曲状に形成され、その下縁部63Sは下に凸な湾曲状に形成されている。また、ボタン本体63の上部裏面に、前記蓋体12の蓋側係合片92に係合して該蓋体12を閉状態に保持するボタン係合部64が内向きに突設され、このボタン係合部64より下方でボタン本体63の上部裏面の左右に腕部65,65が内向きに突設され、これら左右の腕部65,65に横方向の軸孔65A,65Aを穿設し、これら軸孔65A,65Aに回転中心となる軸部66が挿通される。
【0038】
また、ボタン本体63の裏面には、円柱状の取付部67が内向きに突設され、この取付部67は軸孔65Aより下方で左右方向略中央に設けられており、その取付部67に付勢手段たるコイルスプリング69の基端側が取り付けられている。この取付部67に対応して前記筒状部8の外面に取付部68を突設し、ロックボタン18を栓本体10に取り付けた状態で、取付部67,68間の前記コイルスプリング69の弾性復元力により、ボタン係合部64が常時蓋体12をロックする方向に付勢されている。尚、
図3では、前記ボタン係合部64が前記ロックする方向は右方向である。
【0039】
前記ボタン本体63の表面には、前記軸孔65Aより下方に押圧操作部71が設けられ、この押圧操作部71は、下方に向かって前側に傾斜する傾斜面により構成されると共に、下縁部63Sと同様に正面視で湾曲状に形成されている。
【0040】
前記栓本体10の筒状部8の反蓋ヒンジ部側には、前記ロック機構Rの装着部72が設けられている。この装着部72は左右の縦壁部73,73を有し、左右の縦壁部73,73の間において、前記筒状部8の外面は略平坦な平坦面72Mに形成され、それら左右の縦壁部73,73間の下側には、前記可動ロック部材20が取付部材74により取り付けられる。そして、前記軸部66が前記左右の縦壁部73,73に設けた装着孔73A,73Aに装着され、前記軸部66を中心に前記ロックボタン18が回動自在に設けられる。
【0041】
前記取付部材74は、前記ボタン本体63の下縁部63Sの形状に倣った横方向の上枠部75と、この上枠部75の下縁に設けた下向き段部76と、この下向き段部76から下方に垂設した板状の案内部77と、この案内部77の左右に設けた取付部78,78とを一体に有し、これら取付部78,78の下端78K,78Kは前記案内部77の下端より下方に延設されている。尚、下向き段部76により、案内部77及び取付部78の前面は、上枠部75の前面より後方に位置する。そして、前記左右の取付部78,78が、前記左右の縦壁部73,73の間に取り付けられる。尚、この場合、取付部78と縦壁部73の内面とは凹凸嵌合(図示せず)により位置決め固定される。
【0042】
前記可動ロック部材20は、縦方向の前面部81と、この前面部81と間隔を置いて配置した縦方向の後部82とを、横方向の下部83により連結し、それら前面部81と後部82の間に前記取付部材74の案内部77を挟んで上下に昇降し、その後部82の上部外面がロック部84であり、このロック部84が前記ロックボタン18の下部内面のロック受け部85の後ろに入る。また、前面部81の上縁81Fは前記下向き段部76に倣った湾曲状をなす。
【0043】
また、前記可動ロック部材20の前面部81の下部には、押圧操作部86が設けられ、この押圧操作部86は、下方に向かって前側に傾斜する上傾斜面86Uと下面86Kにより構成され、正面視で湾曲状に形成されている。したがって、上傾斜面86Uを下側に押すようにして可動ロック部材20を押し下げることができ、下面86Kを上側に押すことにより、可動ロック部材20を押し上げることができる。
【0044】
さらに、可動ロック部材20の後部及び筒状部8には、弾性位置決め手段87が設けられている。この弾性位置決め手段87は、可動ロック部材20の後部に設ける弾性変形可能な弾性腕部88を有し、この腕部88の左右幅は前記後部82の左右幅より狭く、また、弾性腕部88は、前記後部82の後面上部の左右方向中央から横部88Yが後方に突出され、この横部88Yの先端から下方に向って縦部88Tが垂設され、この縦部88Tの下端は自由端であって、その縦部88Tの下端後側に係合突部89を設けている。この係合突部89は後下向きに水平に対して僅かに傾斜した略平坦な係合面89Aと、この係合面89Aの先端から下向き外側に傾斜した傾斜面89Bとを有する。また、前記弾性位置決め手段87は、前記筒状部8の前記平坦面72Mに前記係合突部89が係合する係合受け部90を有する。この係合受け部90は、下部に前記係合面89Aが係合する係合受け面90Aを有すると共に、この係合受け面90Aの上部に前記傾斜面89Bが係合する傾斜面90Bを有する。
【0045】
したがって、
図1及び
図8に示すように、可動ロック部材20のロック位置では、傾斜面89B,90Bが係合し、ここから可動ロック部材20を押し下げると、傾斜面89B,90B同士の係合により弾性腕部88が弾性変形し、係合突部89が係合受け部90を通過して係合面89Aと係合受け面90Aが係合し、これにより可動ロック部材20がロック解除位置に位置決めされる。一方、ロック解除位置の可動ロック部材20を押し上げると、係合面89Aと係合受け面90Aの係合により弾性腕部88が弾性変形し、係合突部89が係合受け部90を通過して傾斜面89B,90Bが係合し、これにより可動ロック部材20がロック位置に位置決めされる。この場合、係合突部89が係合受け部90を通過する際、弾性腕部88が前側に弾性変形することによりクリック感が得られる。
【0046】
そして、前記ボタン本体63の表面は、押圧操作部71を除いて、前記縦壁部73の前面73M及び上枠部75の前面と略面一であり、前記可動ロック部材20の表面は、押圧操作部86を除いて、前記縦壁部73の前面73M及び上枠部75の前面と略面一である。
【0047】
また、蓋体12の回動端、すなわち蓋ヒンジ部13の反対側には、前記ロックボタン18の前記ボタン係合部64が係止可能なボタン係合部材91が水平軸を中心に揺動可能に設けられている。この合成樹脂製のボタン係合部材91は、下部に前記蓋側係合片92を有し、この蓋側係合片92の上部に覆い部93を一体に有し、この覆い部93は前記ロックボタン18の前記上縁部63Uに略倣った形状をなす。前記ボタン係合部64の先端上部には上傾斜面64Aが設けられ、この上傾斜面63Aに対応して、前記蓋側係合片92に下傾斜面92Aが形成され、これにより蓋側係合片92は先端側に向って細くなるように形成されている。また、前記ボタン係合部64の下面64Kが前記蓋側係合片92の横方向の上面部92Jに係止する。さらに、前記蓋側係合片92の後側と覆い部93の後側を縦方向の連結部94により連結している。
【0048】
前記ボタン係合部材91の下側後部に、横方向の軸孔95を穿設し、具体的には前記蓋側係合片92に軸孔95を穿設し、この軸孔95に回転中心となる左右方向の軸部96が挿通される。また、蓋体12には、前記ボタン係合部材91を取り付ける取付部97を設け、この取付部97は、蓋体12の前面下縁に、上側に凹んだ切欠き開口部98を設け、この切欠き開口部98の左右には縦方向の縦壁部99,99が前側に突設され、これら左右の縦壁部99,99の後部には、それぞれ軸受部を設け、それら軸受け部に軸孔99A,99Aを穿設している。尚、縦壁部99,99の下縁99F,99Fは、前記蓋体12の下縁部12Fに連続して形成されている。そして、それら軸孔99A,95,99Aに軸部
96を挿通することにより、縦壁部99,99の間に軸部
96を中心として前記ボタン係合部材91を回動可能に設けている。
【0049】
また、前記ボタン係合部材91の左右方向一側面には、左右方向他側に凹んだ凹部101を形成すると共に、この凹部101に左右方向の筒部102を設け、この筒部102には前記軸孔95が形成されている。その筒部102に、付勢手段たるボタン係合バネ103を外装すると共に、前記凹部101にボタン係合バネ103を略収納し、このボタン係合バネ103は、ねじりコイルバネであり、その一端103Aを前記取付部97に係止すると共に、その他端103Bをボタン係合部材91に係止し、ボタン係合バネ103により、ボタン係合部材91を常時前記蓋側係合片92がロックボタン18と係止する位置に付勢している。この係止する位置で、
図11(C)に示すように、前記覆い部93の後部上面により構成された位置決め部104が、取付部97の切欠き開口部
98の上縁
98Fに当接することにより、ボタン係合部材91の回動範囲が規制される。一方、前記覆い部93の上面には前記位置決め部104から前側に向って低くなる傾斜面105が形成され、この傾斜面105より前側の前部上面106は前記位置決め部104より低く形成されており、
図11(B)に示すように、ボタン係合バネ103の付勢に抗して、前側が上がるようにボタン係合部材91を回動すると、前記上縁98Fに前記前部上面106が当接する位置までボタン係合部材91が回動することができる。
【0050】
また、可動ロック部材20が前記上枠部75に当接した位置がロックボタン18のロック位置(上限位置)であり、この位置で可動ロック部材20の外面上部のロック部84が、前記ボタン本体63の内面下部のロック受け部85の内面側に位置し、ロックボタン18の下部を後側に押すと、ロック受け部85がロック部84に当接し、これによりロックボタン18によるロック解除動作が防止される。
【0051】
また、前記栓本体10の天板17の上面には、前記縦壁部73,73に連続して左右の外壁部111,111が設けられており、これら左右の外壁部111,111の間に、閉蓋状態の前記蓋体12の下縁部12Fが隠れる。
【0052】
次に前記構成についてその作用を説明する。飲料を収容するときは、まず、予め開いている容器本体2の開口より飲料を容器本体2に収容し、次に、開口端部2Aに栓体3を取り付ける。
【0053】
可動ロック部材20によりロックボタン18がロックされた状態で、蓋ヒンジ部13を回動中心として蓋体12を閉じるように回動すると、蓋側係合片92の下傾斜面92Aの先端が、ボタン係合部64の先端の上傾斜面63Aの先端側によって押され(
図11(A))、ボタン係合バネ103に抗して蓋側係合片92が上方に移動するようにボタン係合部材91が傾動し(
図11(B))、さらに、蓋側係合片92がボタン係合部64を乗り越え、蓋側係合片92の上面部92Jがボタン係合部64の下面64Kに係止し(
図11(C))、蓋体12が栓本体10に対して固定可能となる。
【0054】
一方、ロックボタン18の非ロック状態においては、蓋側係合片92の下傾斜面92Aの先端が、ボタン係合部64の先端の上傾斜面63Aの先端側によって押されると、ロックボタン18の上部が僅かに前側に傾動するが、主としてボタン係合部材91が傾動して蓋側係合片92とボタン係合部64が係合する。
【0055】
そして、蓋体12を閉める動作が完了し、蓋体12から手を離せば、蓋パッキン55の弾性復元力と弾性体14の力により、蓋側係合片92とボタン係合部64とが係合したロック状態が保持される。また、
図1の可動ロック部材20のロック位置と図
2の可動ロック部材20の
非ロック位置(下部位置)で明らかなように、可動ロック部材20を見ればロック状態が簡単に確認できる。
【0056】
また、蓋体12を閉じた後、可動ロック部材20を押し上げると、
図3に示すように、可動ロック部材20の外面上部のロック部84が、前記ボタン本体63の内面下部のロック受け部85の内面側に位置し、ロックボタン18の下部を後側に押すと、ロック受け部85がロック部84に当接し、このようにして可動ロック部材20がロックボタン18による解除動作を妨害し、蓋体12が閉状態が保持されるロック状態となる。また、このロック状態で、ボタン係合部材91の位置決め部104が、蓋体12の取付部97の上縁98Fに当接することにより、ボタン係合部材91の回動範囲が規制される。
【0057】
このロック状態から蓋体12を開くには、ロックボタン18の下部を押すと、蓋側係合片92からボタン係合部64が外れ、弾性体14の力により蓋体12が開く。蓋体12を開いたら、内部の飲料を飲み口25から直接又は間接的に飲むことができる。
【0058】
さらに、容器本体2から栓体3を外し、栓本体10内から飲み口部材21を外し、飲み口部材21を取り外した状態で栓体3を洗浄することができる。
【0059】
このように本実施例では、請求項1に対応して、飲料用容器本体
2に取り付けられる栓本体10を備えた飲料用容器の栓体において、栓本体10にヒンジ部
たる蓋ヒンジ部13を介して蓋体12が連結されており、蓋体12はボタンたるロックボタン18とボタン係合部材91が係合することで閉状態を作り出し、ロックボタン18は、蓋体12と栓本体10の一方に配置され、この例では栓本体10に配置され、外部から力を加えることにより蓋体12の閉状態の解除動作を行うことができ、ボタン係合部材91は蓋体12と栓本体10の他方に配置され、この例では蓋体12に配置され、ロックボタン18の付近には該ロックボタン18の作動を妨げるロック部材たる可動ロック部材20が取り付けられ、蓋体12が開状態で可動ロック部材20がロックボタン18の作動を妨げる状態において、ボタン係合部材91の一時的な退避動作により蓋体12を閉状態にできるように構成したから、蓋体12を閉じる際、ロックボタン18がロック状態となっていたとしても、ロックボタン18と係合するボタン係合部材91が、一時的な退避動作を行うため、ロック状態でも蓋体12を閉じることができる。
【0060】
また、このように本実施例では、請求項2に対応して、ボタン係合部材91は弾性部材たるボタン係合バネ103により蓋体12が閉状態になるように付勢されているから、ボタン係合部材91がボタン係合バネ103により蓋体12が閉状態になるように保持されているため、閉状態をより確実に保持できる。また、ボタン係合部材91自体の弾性変形を使用しないため、ボタン係合部材91にも十分な強度をつけることができる。
【0061】
また、このように本実施例では、請求項3に対応して、栓体3内に飲み口部材21が着脱自在に該栓体3と係合されるから、金型構造的に飲み口部材21の外側に、隙間を隠す段差を作成することができる上、分解により洗浄性が向上し利便性が高い。
【0062】
以下、実施例上の効果として、飲み口部材21は、断熱部材を収納する収納空間27を有するから、栓体3の断熱性を向上できる。また、栓本体10の天板17に飲み口25を遊挿する貫通孔17Kを設け、この貫通孔17Kの前側縁には、係合受け部たる前係合受け部28を設けると共に、この前係合受け部28内に係入する係合部たる突起29を有するから、前係合受け部28と突起29の係合により栓本体10に対して飲み口部材21の前側左右及び上下の位置決めを行うことができる。さらに、飲み口部材21の筒状体22の後部の外側に係止部材35を設け、その係止部材35が、栓本体10の係止受け部31Kに着脱自在に係止し、係止部材35は係止方向に付勢されているから、栓本体10に対して飲み口部材21の後側を着脱可能に取り付けることができる。また、位置決め手段たる位置決め凸部45が同手段たる位置決め凹部46内に係入することにより、栓本体10に対して、飲み口部材21の中央側が前後左右に位置決めされる。
【0063】
また、天板17の上面には前記係合孔31を囲んで平面略コ字型の枠部32が突設されているから、係止受け部31Kに係止した係止部材35の操作部43を枠部32により隠し、接触などによる誤動作を防止することができる。さらに、開蓋位置で、蓋体12の上面12Jが枠部32の上縁に当接することにより、安定した開蓋状態が得られる。
【0064】
さらに、可動ロック部材20が、取付部材74の案内部77を挟んで上下動し、面状
の案内部
77に面接触することにより、安定した上下動作を行うことができる。また、可動ロック部材20の後部及び筒状部8に弾性位置決め手段87が設け、この弾性位置決め手段87は、可動ロック部材20の弾性腕部88が筒状部8の係合突部89に係合することにより、可動ロック部材20をロック位置(ロックボタン18の作動を妨げる位置)及び非ロック位置(ロックボタン18の作動を妨げない位置)に位置決めすることができる。
【0065】
しかも、蓋体12には、ロックボタン18のボタン係合部64が係止可能なボタン係合部材91が設けられ、このボタン係合部材91は左右方向の水平軸である軸部96を中心に揺動可能に設けられているから、ボタン係合部材91の取付構造が簡易となり、軸部96を中心にボタン係合部材91が揺動するため、蓋体12の開動作により、ロックボタン18にボタン係合部材91を係止することができる。さらに、ボタン係合バネ103を軸部96に外装することにより、省スペースで弾性部材たるボタン係合バネ103をボタン係合部材91側に組み込むことができる。また、ボタン係合部材91には、覆い部
93が設けられているから、この覆い部
93により蓋側係合
片92を隠すことができ、しかも、覆い部
93に位置決め部104が設けられているから、位置決め部104が、取付部97の切欠き開口部
98の上縁
98Fに当接することにより、ボタン係合部材91の使用位置(係合位置)での位置決めがなされる。
【0066】
さらに、前記栓本体10の天板17の上面には、前記縦壁部73,73に連続して左右の外壁部111,111が設けられており、これら左右の外壁部111,111の間に、閉蓋状態の前記蓋体12の下縁部12Fが隠れ、蓋体12内への埃などの進入を予防できる。尚、この場合、閉蓋状態で下縁部12Fが外壁部111の上縁より下に位置することが好ましいが、下縁部12Fが外壁部111の上縁と略同じ位置でも埃などの侵入を防止できる。
【0067】
また、飲み口25に、これより径大な中
筒部26を連結すると共に、飲み口25と中
筒部26の外周前側を位置合わせしており、中
筒部26を径大にすることにおり、容器本体
2内の飲料を飲み口25にスムーズに案内することができる。
【0068】
図12は、本発明の実施例2を示し、上記実施例1と同一部分に同一符号を付し、その詳細な説明を省略して詳述する。この例では、前記蓋体12にロックボタン18と可動ロック部材20を設け、前記ロックボタン18に係止した蓋体12を閉状態に保持するボタン係合部材91を、前記栓本体10に設けている。
【0069】
このように本実施例では、飲料用容器本体
2に取り付けられる栓本体10を備えた飲料用容器の栓体において、栓本体10にヒンジ部
たる蓋ヒンジ部13を介して蓋体12が連結されており、蓋体12はボタンたるロックボタン18とボタン係合部材91が係合することで閉状態を作り出し、ロックボタン18は、蓋体12と栓本体10の一方に配置され、この例では蓋体12に配置され、外部から力を加えることにより蓋体12の閉状態の解除動作を行うことができ、ボタン係合部材91は蓋体12と栓本体10の他方に配置され、この例では栓本体10に配置され、ロックボタン18の付近には該ロックボタン18の作動を妨げるロック部材たる可動ロック部材20が取り付けられ、蓋体12が開状態で可動ロック部材20がロックボタン18の作動を妨げる状態において、ボタン係合部材91の一時的な退避動作により蓋体12を閉状態にできるように構成したから、上記実施例1と同様な作用・効果を奏する。
【0070】
尚、本発明は以上の実施例に限定されるものではなく、発明の要旨の範囲内で種々の変形実施が可能である。例えば、実施例では、付勢手段(弾性部材)とし
てコイルバネを例示したが、弾性復元力により付勢するものであれば、各種のものを用いることができる。また、ロックボタン,可動ロック部材及び取付部材は、実施例では、合成樹脂製のものを例示したが、各種材質のものを用いることができる。