特許第6185307号(P6185307)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6185307
(24)【登録日】2017年8月4日
(45)【発行日】2017年8月23日
(54)【発明の名称】照明灯
(51)【国際特許分類】
   F21S 9/03 20060101AFI20170814BHJP
【FI】
   F21S9/03
【請求項の数】2
【全頁数】9
(21)【出願番号】特願2013-140252(P2013-140252)
(22)【出願日】2013年7月4日
(65)【公開番号】特開2015-15117(P2015-15117A)
(43)【公開日】2015年1月22日
【審査請求日】2016年3月22日
(73)【特許権者】
【識別番号】000002462
【氏名又は名称】積水樹脂株式会社
(72)【発明者】
【氏名】上田 樹
【審査官】 安食 泰秀
(56)【参考文献】
【文献】 登録実用新案第3121915(JP,U)
【文献】 特開2011−155232(JP,A)
【文献】 特開2010−210077(JP,A)
【文献】 特開2012−048887(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F21S 9/03
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
設置面に立設された支柱と、前記支柱に取付られた照明部と、前記支柱の上部に設けられたソーラーパネルと、ソーラーパネルにより発生した電力を蓄電して前記照明部に電力を供給する蓄電池とを備えた照明灯であって、
前記ソーラーパネルは、その背面側に配置された支持部に支持され、前記支持部は、下部に設けられた筒状の脚部が、前記支柱の上部の受け板部に立設された受け部に回動可能に嵌め合わされるとともに、前記脚部の下部に設けられた固定板部に形成された固定板部側固定孔と、前記固定板部側固定孔に対応して受け板部に形成された受け板部側固定孔とに、挿入可能な固定具を介して、前記固定板部と受け板部とが固定されるようになされ、前記ソーラーパネルは、その背面側に配置された縦長の長方形状の平板からなる支持部に支持され、該支持部の背面側には縦長の箱状で、かつ前記ソーラーパネルと支持部とを合わせた厚みより大きい厚みの蓄電池収納部が取付けられてなり、該蓄電池収納部の背面から下方に向けて円筒状の脚部が垂下されていることを特徴とする照明灯。
【請求項2】
脚部の固定板部に形成された前記固定板部側固定孔は、同心円状に形成された複数の円弧状の長孔を備え、
支柱の受け板部に設けられた前記受け板部側固定孔は、前記固定板部側固定孔に連通可能な複数の円弧状の長孔を備えたことを特徴とする請求項1に記載の照明灯。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、太陽電池により起電された電力を用いて照明を行う照明灯に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来より、太陽電池を利用して発電した電力を利用して照明を行う照明灯としては、様々なものが提案されている。
例えば特許文献1には、従来のソーラータイプの街路灯の場合には、バッテリボックスが支柱の下部に配置されているため、例えば台風や大雨等で洪水が発生し道路が浸水する事態を生じると、バッテリまで浸水し、バッテリが損傷するという課題を解消するために、支柱と、この支柱の上部に取り付けられた照明灯と、この照明灯の近傍に取り付けられた照明用のバッテリと、このバッテリを太陽光線から遮るように上記支柱上部に方向可変に取り付けられソーラーパネルとを備えた街路灯が開示されている。(特許文献1)
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献2】特開2003−51208号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、上記街路灯においては、支柱の上部に、照明灯とバッテリとソーラーパネルとが取付けられているため、上部の重量が大きくなり、従って照明灯とバッテリとソーラーパネルと支柱との固定を強固にする必要があり、かつ街路灯の設置場所において、ソーラーパネルの向きを太陽の方向に合わせて調整する構造となすことが必要とされている。
【0005】
本発明は、支柱の上部にバッテリなどの重量物が配置された照明灯であっても、重量物と支柱とを確実に固定することができ、かつソーラーパネルの向きを調整可能となされている照明灯を提供せんとするものである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記目的を達成するために、本発明は次のような構成としている。
すなわち、本発明に係る照明灯は、設置面に立設された支柱と、前記支柱に取付られた照明部と、前記支柱の上部に設けられたソーラーパネルと、ソーラーパネルにより発生した電力を蓄電して前記照明部に電力を供給する蓄電池とを備えた照明灯であって、
前記ソーラーパネルは、その背面側に配置された支持部に支持され、前記支持部は、下部に設けられた筒状の脚部が、前記支柱の上部の受け板部に立設された受け部に回動可能に嵌め合わされるとともに、前記脚部の下部に設けられた固定板部に形成された固定板部側固定孔と、前記固定板部側固定孔に対応して受け板部に形成された受け板部側固定孔とに、挿入可能な固定具を介して、前記固定板部と受け板部とが固定されるようになされ、前記ソーラーパネルは、その背面側に配置された縦長の長方形状の平板からなる支持部に支持され、該支持部の背面側には縦長の箱状で、かつ前記ソーラーパネルと支持部とを合わせた厚みより大きい厚みの蓄電池収納部が取付けられてなり、該蓄電池収納部の背面から下方に向けて円筒状の脚部が垂下されていることを特徴とするものである。
【0007】
また本発明に係る照明灯は、脚部の固定板部に形成された前記固定板部側固定孔は、同心円状に形成された複数の円弧状の長孔を備え、
支柱の受け板部に設けられた前記受け板部側固定孔は、前記固定板部側固定孔に連通可能な複数の円弧状の長孔を備えるようにしてもよい。
【0008】
また本発明に係る照明灯は、前記ソーラーパネルが支持される支持部に、蓄電池が収納される蓄電池収納部が形成されているようにしてもよい。
【発明の効果】
【0009】
本発明に係る照明灯によれば、前記ソーラーパネルは、その背面側に配置された支持部に支持され、前記支持部は、下部に設けられた筒状の脚部が、前記支柱の上部の受け板部に立設された受け部に回動可能に嵌め合わされるとともに、前記脚部の下部に設けられた固定板部に形成された固定板部側固定孔と、前記固定板部側固定孔に対応して受け板部に形成された受け板部側固定孔とに、挿入可能な固定具を介して、前記固定板部と受け板部とが固定されるようになされているので、設置する場所によりソーラーパネルの向きを太陽の方向に合わせて調整することができる。
【0010】
また本発明に係る照明灯によれば、脚部の固定板部に形成された前記固定板部側固定孔は、同心円状に形成された複数の円弧状の長孔を備え、支柱の受け板部に設けられた前記受け板部側固定孔は、前記固定板部側固定孔に連通可能な複数の円弧状の長孔を備えるようになされているので、前記受け部を軸として、ソーラーパネルの向きを自在に調整することができる。
【0011】
また本発明に係る照明灯によれば、前記ソーラーパネルが支持される支持部に、蓄電池が収納される蓄電池収納部が形成されているので、ソーラーパネルを支柱の上部に取付けさえすれば、蓄電池収納部も取付けられ、照明灯を効率よく設置することができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
図1】本発明に係る照明灯の実施の一形態を示す正面図である。
図2図1の上部の拡大の、(イ)は側面図、(ロ)は背面図である。
図3図2(イ)の要部の縦断面図である。
図4】本発明に係る照明灯の支持部の脚部を示す、(イ)は正面図、(ロ)は平面図である。
図5】本発明に係る照明灯の受け板部を示す、(イ)は正面図、(ロ)は平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
次に、本発明を実施するための形態について図面を参照し、具体的に説明する。
【0014】
図面において、Pは本願発明に係る照明灯であり、1は設置面Gに立設された円筒状の支柱、2は支柱1の上部に取付けられ、周囲を照らすための灯部21を備えた照明部、3は支柱1の上部に設けられたソーラーパネル、4はソーラーパネル3により発生した電力を蓄電して前記照明部2の灯部21に電力を供給する蓄電池、5は前記ソーラーパネル3の背面側に配置され、ソーラーパネル3を支持する支持部であり、照明灯Pは、照明部1、支柱2、ソーラーパネル3、蓄電池4及び支持部5から主に構成されている。
【0015】
前記照明部2は、支柱1の上部側面から突設された取付部22の先端に、正面視で前後にやや傾斜されるとともに、その下面に灯部21が設けられた台形箱状の筐体23が取付けられて形成されている。
【0016】
前記ソーラーパネル3は、その背面側に配置された縦長の長方形状の平板からなる支持部5に支持され、該支持部5の背面側には縦長の箱状の蓄電池収納部51が取付けられてなり、該蓄電池収納部51に前記蓄電池4が複数収納されて、蓄電池収納部51が形成されている。さらに、前記支持部5の下部に相当する前記蓄電池収納部51の背面から下方に向けて円筒状の脚部52が垂下され、該脚部52の下端には円板状の固定板部53が取付けられている。そして、前記固定板部53には固定板部側固定孔54が形成され、該固定板部側固定孔54は同心円状に形成された複数の円弧状の長孔に形成されてなり、本実施形態においては、前記固定板部側固定孔54は、8分の1円弧状の長孔の両端部を後記するボルト6の雄ねじ部の半径分だけ拡げた長さの長孔、又はそれ以上の長さの長孔が90度の間隔をあけて同心円状に形成されている。そして、前記固定板部側固定孔54の各間には、前記脚部52の側面から固定板部53の上面にわたり、三角形状の縦リブ55が90度の間隔をあけて4個取付けられている。前記脚部52に対する固定板部53の取付けは、固定板部53の中央部に設けられた貫通孔59に前記脚部52の下端が挿入され、前記貫通孔59の内周縁と前記下端の外周とが溶接されて取付けられている。なお、前記脚部52の下端は、固定板部53の下面と面一とはせずに、前記下面より上方に位置するようにして、脚部52が後記する支柱本体12の上端の受け部15に嵌め合わされた際、その下端が受け板部14の上面に当接しないように取付けられている。また本実施形態においては、前記蓄電池4は鉛蓄電池であり、蓄電量に応じて2〜4個の蓄電池4が蓄電池収納部51に収納されている。
【0017】
前記ソーラーパネル3と支持部5の外形はほぼ同じ大きさであり、また前記ソーラーパネル3は、一般には太陽電池モジュール31と、該太陽電池モジュール31の外周部に沿って取付けられる枠体32とを備えてなり、前記支持部5の外周において、支持部5の背面側から枠体32にボルトが複数貫通されて、前記ソーラーパネル3と支持部5とが固定されている。さらに、前記蓄電池収納部51は支持部5よりも小さく形成され、前記支持部5の中央付近において、支持部5の前面側から蓄電池収納部51にボルトが複数貫通されて、前記支持部5と蓄電池収納部51とが固定されている。そして、円筒状の前記脚部52の上端には縦長の長方形状の平板部56が溶接されて取付けられており、該平板部56と前記蓄電池収納部51の背面とがボルトにより固定されている。また、前記平板部56の背面と前記脚部52の側面にわたり、三角形状の補強板材57が取付けられている。
【0018】
また、前記ソーラーパネル3が太陽光を受光しやすいように、太陽電池モジュール31の受光面である上面が傾斜されて、ソーラーパネル3が支柱1に支持されている。したがって、前記支持部5及び蓄電池収納部51も傾斜されて支柱1に支持されて、かつ蓄電池収納部51は支持部5よりも小さく形成されているので、前記支持部5に覆われて、蓄電池収納部51に太陽光ができる限り当たらないようになされており、蓄電池収納部51内の温度上昇を少しでも抑制し、蓄電池収納部51に収納されている蓄電池4への温度上昇による悪影響を抑えるようになされている。また、縦長の箱状の前記蓄電池収納部51の一方の側面板58は着脱可能に複数箇所でねじ止めされて固定されており、蓄電池4の交換等の作業を行う際等に、前記側面板58が着脱できるようになされている。
【0019】
支柱1は設置面に当接するベースプレート11の上面に縦長の円筒管からなる支柱本体12が立設され、前記ベースプレート11上面と支柱本体12下端側面とにわたり、略三角形状の補強リブ板13が90度の間隔をあけて4個取付けられ、前記支柱本体12の上端には円板状の受け板部14が取付けられ、さらに該受け板部14には、その中央部に貫通して設けられた取付孔19に下部円筒状の受け部15の下部が挿入されて立設固定されている。そして、該受け部15は前記支持部5の脚部52より小径となされてなり、前記脚部52が前記受け部15に嵌め合わされて、前記脚部52が前記受け部15に対して回動可能となされている。
【0020】
また前記受け板部14には、前記支持部5の固定板部53に形成されている固定板部側固定孔54に対応した位置に受け板部側固定孔16が形成されており、支持部5の脚部52が支柱本体12の上端の受け部15に嵌め合わされた後、前記固定板部側固定孔54と受け板部側固定孔16とに固定具であるボルト6を挿通しナットNを螺着して固定することにより、ボルト6を介して、前記固定板部53と受け板部14とが固定されるようになされている。
【0021】
なお前記支柱本体12上部の背面側には、開口部17が形成されており、それを塞ぐように蓋体18が着脱可能にその四隅をねじ止めされて取付けられている。このような構造にすることにより、前記固定板部側固定孔54と受け板部側固定孔16とにボルト6を挿通しナットNを螺着する際等に、前記蓋体18を取外し、開口部17から支柱1内に作業者が手を入れて、作業できるようになされている。
【0022】
また、支柱1の受け板部14に設けられた前記受け板部側固定孔16は、前記固定板部側固定孔54に連通可能な複数の円弧状の長孔に形成されてなり、本実施形態においては、前記固定板部側固定孔54と同様に、8分の1円弧状の長孔の両端部を前記ボルト6の雄ねじ部の半径分だけ拡げた長さの長孔、又はそれ以上の長さの長孔4個が90度の間隔をあけて同心円状に形成されている。そして、上述のように、前記固定板部側固定孔54と受け板部側固定孔16とにそれぞれ4本のボルト6を挿通しナットNを螺着して固定することにより、前記固定板部53と受け板部14とが固定されるようになされている。
【0023】
このように、前記固定板部側固定孔54と受け板部側固定孔16とに、8分の1円弧状の長孔の両端部を前記ボルト6の雄ねじ部の半径分だけ拡げた長さの長孔、又はそれ以上の長さの長孔4個が90度の間隔をあけて同心円状に形成されているので、照明灯Pを設置する場所において、ソーラーパネル3の向きを太陽の方向に合わせて360度自在に調整することができ、かつ支柱1の上部に重量物である鉛蓄電池を収納した蓄電池収納部51が配置された構造であっても、蓄電池収納部51と支柱1とを強固に固定することができる。
【0024】
また以上に述べた構造とすることにより、太陽電池モジュール31と蓄電池収納部51内に収納されている蓄電池4と照明部2の灯部21とを繋ぐリード線は、ソーラーパネル3の裏面側から蓄電池収納部51を通されて、中空構造となされている支持部5の脚部51と支柱1上部の受け部15と照明部2の取付部22及び筐体23の中を通されて、太陽電池モジュール31と蓄電池4と灯部21とが結線されている。
【0025】
なお本実施形態においては、前記固定板部側固定孔54及び受け板部側固定孔16はともに、8分の1円弧状の長孔の両端部を前記ボルト6の雄ねじ部の半径分だけ拡げた長さの長孔、又はそれ以上の長さの長孔4個が90度の間隔をあけて同心円状に形成されているが、特にその個数が4個に限定されるものではなく、また固定板部側固定孔54及び受け板部側固定孔16とが同じ個数で形成される必要もなく、要は、照明灯Pを設置する場所において、ソーラーパネル3の向きを太陽の方向に合わせて調整することができ、そのためには好ましくは360度自在に調整することができ、かつ蓄電池収納部51と支柱1とを強固に固定することができるように、適宜設計なされればよい。
【0026】
また支柱1、支持部5は、一般には強度的に安定しておりコストの安い鉄鋼材料を適宜加工したものが好適に用いられるが、ステンレス合金、アルミニウム合金などの他の金属材料を用いてもよい。また耐食性や耐候性を高めるために金属めっきや塗装を施してもよい。
【符号の説明】
【0027】
1 支柱
11 ベースプレート
12 支柱本体
13 補強リブ板
14 受け板部
15 受け部
16 受け板部側固定孔
17 開口部
18 蓋体
19 取付孔
2 照明部
21 灯部
22 取付部
23 筐体
3 ソーラーパネル
31 太陽電池モジュール
32 枠体
4 蓄電池
5 支持部
51 蓄電池収納部
52 脚部
53 固定板部
54 固定板部側固定孔
55 縦リブ
56 平板部
57 補強板材
58 側面板
59 貫通孔
6 ボルト
P 照明灯
G 設置面
N ナット
図1
図2
図3
図4
図5