特許第6185313号(P6185313)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6185313
(24)【登録日】2017年8月4日
(45)【発行日】2017年8月23日
(54)【発明の名称】乗物用シートの電気配線配索構造
(51)【国際特許分類】
   B60N 2/44 20060101AFI20170814BHJP
   F21V 23/00 20150101ALI20170814BHJP
   F21V 23/06 20060101ALI20170814BHJP
   F21V 21/26 20060101ALI20170814BHJP
【FI】
   B60N2/44
   F21V23/00 160
   F21V23/06
   F21V21/26 100
   F21V21/26 330
【請求項の数】1
【全頁数】11
(21)【出願番号】特願2013-149223(P2013-149223)
(22)【出願日】2013年7月18日
(65)【公開番号】特開2015-20535(P2015-20535A)
(43)【公開日】2015年2月2日
【審査請求日】2016年5月30日
(73)【特許権者】
【識別番号】000241500
【氏名又は名称】トヨタ紡織株式会社
(73)【特許権者】
【識別番号】000221616
【氏名又は名称】東日本旅客鉄道株式会社
(73)【特許権者】
【識別番号】000196587
【氏名又は名称】西日本旅客鉄道株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000394
【氏名又は名称】特許業務法人岡田国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】門野 佑基
(72)【発明者】
【氏名】河原 和季
(72)【発明者】
【氏名】赤池 文敏
(72)【発明者】
【氏名】播田 貴広
(72)【発明者】
【氏名】白石 仁史
(72)【発明者】
【氏名】梅田 啓
(72)【発明者】
【氏名】近藤 秀樹
(72)【発明者】
【氏名】吉村 慎一朗
(72)【発明者】
【氏名】神田 隆太郎
【審査官】 小島 哲次
(56)【参考文献】
【文献】 特開2006−111040(JP,A)
【文献】 特開2007−112181(JP,A)
【文献】 特開2005−059745(JP,A)
【文献】 特開2011−025744(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B60N 2/00− 2/72
A47C 7/00− 7/74
F21V 21/26
F21V 23/00−23/06
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
電気部品が乗物用シートの本体部に対してブラケットを介して取り付けられ、電気部品への電気配線が前記ブラケットを経由して配索される乗物用シートの電気配線配索構造であって、
前記ブラケットには、前記電気配線が配索される際に貫通する開口が複数形成され、これらの開口の一つには前記電気部品を取り付ける際の位置決めとして機能する筒状の結合部を備え、該結合部及び前記開口は、前記電気配線が貫通することによって前記電気配線を屈曲させるように配置され、
前記電気配線は、屈曲に対して復元力を有するように構成されたパイプの中に導電体であるワイヤを通して構成され、その復元力により前記電気配線が前記結合部及び前記開口に係合して保持されるように構成されており、
前記電気配線の両端部には、他の電気配線と接続するためのコネクタが設けられていることを特徴とする乗物用シートの電気配線配索構造。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、自動車、飛行機、船、電車等の乗物に搭載されるシートの本体部に取り付けられる電気部品における電気配線の配索構造に関する。
【背景技術】
【0002】
下記特許文献1には、シート本体部であるアームレストに読書灯が取り付けられた乗物用シート(以下、単にシートという)が開示されている。ここで読書灯のシート本体部への取り付けはブラケットを介して行われている。また、読書灯への電気配線も、同じブラケットを経由して行われている。ところで下記特許文献1の発明では明示されていないが、電気配線は、現実的には部品組付けの生産性を高めるために、各部品単位毎に分割されて設けられ、部品組付け完了後に各電気配線がコネクタにより接続されるのが一般的である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開平10−241447号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
このような場合、ブラケット部分の電気配線は、シート本体部へブラケットを取付後に行うか、ブラケットに電気配線を固定した後にブラケットの取付を行うかであるが、前者の場合は、ブラケット付近の狭い場所で電気配線の配索作業を行うことは作業性が悪い。また、後者の場合は、ブラケットに電気配線をクリップ等で固定するための作業が必要でシートの生産性を悪化させる。
このような問題に鑑み本発明の課題は、電気配線配索後のブラケットをシート本体部に取り付ける場合において、電気配線をブラケットに予め一体化することにより、ブラケットに電気配線を固定するための作業を不要としてシートの生産性を改善することにある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明の第1発明は、電気部品が乗物用シートの本体部に対してブラケットを介して取り付けられ、電気部品への電気配線が前記ブラケットを経由して配索される乗物用シートの電気配線配索構造であって、前記ブラケットに対して前記電気配線が屈曲して配索され、前記電気配線は、屈曲される前の状態に復元する弾性力を付与されるように構成されていることを特徴とする。
第1発明によれば、電気配線はブラケットに対して屈曲して配索され、この状態で、電気配線は、その復元力によりブラケットと一体化されている。そのため、本体部へブラケットを取り付ける際に、電気配線がブラケットから脱落しないようにブラケットに固定する作業は不要となり、シートの生産性を改善することができる。
【0006】
本発明の第2発明は、上記第1発明において、前記ブラケットには、前記電気配線が配索される際に貫通する開口が複数形成され、これらの開口は、前記電気配線が貫通することによって前記電気配線を屈曲させるように配置され、前記電気配線の両端部には、他の電気配線と接続するためのコネクタが設けられていることを特徴とする。
第2発明によれば、電気配線は、ブラケットの各開口に貫通して配索された状態では屈曲されてブラケットに一体化される。その状態で、電気配線の両端にはコネクタが設けられているため、電気配線が開口から抜ける方向に移動されると、コネクタが開口の縁部に係止されて、電気配線がブラケットから外れることを抑制することができる。
【0007】
本発明の第3発明は、上記第1又は第2発明において、前記電気配線は、屈曲に対して復元力を有するように構成されたパイプの中に導電体であるワイヤを通して構成されていることを特徴とする。
第3発明によれば、電気配線は、復元力を有するパイプにワイヤを通すことによって簡単に復元力が付与される。しかも、ワイヤはパイプによって被われているため、電気配線がブラケットと接触しても損傷を受けないように保護される。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1】本発明の一実施形態である読書灯を備えた車両用シートの斜視図である。
図2】上記実施形態の読書灯部分を拡大して示す側面図である。
図3図2のIII−III線断面図である。
図4】上記実施形態のシートのバックフレームと読書灯の分解斜視図である。
図5】上記実施形態の読書灯の側面図である。
図6】上記実施形態の読書灯におけるベース部単体の側面図である。
図7図6のVII−VII線断面図である。
図8図6のVIII−VIII線断面図である。
図9】上記実施形態の読書灯におけるベース部の拡大背面図である。
図10】上記実施形態のブラケットに電気配線を配索する作業の説明図である。
図11】上記実施形態の読書灯におけるベース部の電気配線の配索状態の説明図である。
図12】上記実施形態の読書灯とシート本体部の各電気配線を接続する作業の説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
各図は、本発明の一実施形態を示す。この実施形態は、車両用シート(以下、単にシートという)の読書灯(本発明の電気部品に相当)に本発明を適用した例を示す。各図中、矢印によりシートの各方向を示している。以下の説明において、方向に関する記述は、この方向を基準として行うものとする。
シート1は、周知のようにシートバック2、シートクッション3及びアームレスト4が組み合わせられて成り、シート1に乗員が着座したときに頭部に対応するシートバック2上の位置にはヘッドレスト23が設けられている。読書灯5は、ヘッドレスト23の右方でシートバック2(本発明の本体部に相当)の側部位置に取り付けられている。
【0010】
読書灯5は、細長い棒状のものであり、一端がシートバック2の右上側部に固定され、他端が着座乗員の手元付近を向くように傾斜して取り付けられている。しかも、読書灯5は、長手方向の中間部で折れ曲がり自在に構成されている。そのため、読書灯5は、シートバック2に固定される側のベース部51と、先端側の可動部52と、それらを相対回転自在に結合するジョイント部53とから成っている。そして、可動部52の先端には、発光ダイオード、レンズ等を含む発光部54が設けられている。
この発光部54の発光ダイオードに電源を供給するため、読書灯5のベース部51、ジョイント部53、可動部52を貫通して電気配線61が配索されている。このように構成された結果、読書灯5はシート1へ着座した乗員が可動部52を任意の方向に動かして、発光部54からの発光を好みの場所に照射させることができる。
【0011】
次に読書灯5のシートバック2への取付構造について説明する。
シートバック2の骨格を成すバックフレーム21の右肩部には、ブラケット22が固定されており、このブラケット22を介して読書灯5のベース部51が取り付けられている。具体的には、ブラケット22は、バックフレーム21に固定される支持部22Aと、支持部22Aに一体に形成され、読書灯5の取付方向に突出する角筒状の結合部22Bとから成っている。また、読書灯5のベース部51には、ブラケット22の結合部22Bを受け入れる嵌合孔51Cが形成されており、嵌合孔51Cに隣接して固定部51Bが一体に形成されている。従って、ブラケット22の結合部22Bをベース部51の嵌合孔51Cに嵌合させ、固定部51Bを貫通させてボルト(不図示)をブラケット22の支持部22Aに締結することによって、読書灯5のベース部51のバックフレーム21への固定が行われている。なお、ベース部51の嵌合孔51Cの周辺の3箇所には、結合部22Bが嵌合孔51Cに嵌合されるとき、結合部22Bの外側に当接するようにガイド片51Aがベース部51と一体に形成されている。ガイド片51Aは、結合部22Bが嵌合孔51Cに嵌合されるとき、この嵌合開始位置を案内する機能を有する。
【0012】
このようにして読書灯5がバックフレーム21に固定された状態では、図3に示されるように、読書灯5のベース部51がシートバック2の右カマチ部に接触した状態となり、可動部52は周りに障害物がなく自由に動かせる状態とされる。また、シートバック2の背面のバックボード24が、ベース部51と結合部22Bとによって形成される角部に当接して位置決めされている。
【0013】
次に電気配線について説明する。
読書灯5に電源を供給するため、車両搭載の電源回路(不図示)からバックフレーム21には電気配線62が配索されている。電気配線62は、ブラケット22の結合部22Bの角筒内の配索通路22B1(本発明の開口に相当)を通って読書灯5の電気配線61にコネクタ63を介して接続されている。具体的には、電気配線62は上部電気配線62Aと下部電気配線62Bとから成り、両者はコネクタ64によって接続されている。コネクタ64は、雌型部材64Aと雄型部材64Bとから成り、雌型部材64Aは上部電気配線62Aに接続され、雄型部材64Bは下部電気配線62Bに接続されている。
【0014】
図10は上部電気配線62Aのブラケット22への配索の仕方を示しており、図10(A)〜(C)の手順でブラケット22に対して上部電気配線62Aの配索が行われる。まず、図10(A)に示すように、ブラケット22の支持部22Aに形成された2つの開口のうちの一方の開口22A1に支持部22Aの外側から上部電気配線62Aがコネクタ63の雄型部材63Bを先頭に矢印で示すように挿入される。次に、図10(B)に示すように、上部電気配線62Aの先の雄型部材63Bをブラケット22の結合部22Bの配索通路22B1に矢印で示すように通す。
【0015】
この場合、上部電気配線62Aは、樹脂のメッシュ材で作られたパイプ62A2の中にワイヤ62A1を通して構成されており、上部電気配線62Aの屈曲変形に対して復元力を与えるように弾性力を備えている。そのため、上部電気配線62Aがブラケット22に対して図10(B)に示すように屈曲して配置されると、パイプ62A2の復元力により、上部電気配線62Aはブラケット22に係合して容易に外れない状態とされる。
また、上部電気配線62Aの先端にはコネクタ63の雄型部材63Bが設けられ、上部電気配線62Aの後端にはコネクタ64の雌型部材64Aが設けられている。そのため、上部電気配線62Aがブラケット22に対して図10(B)に示すように屈曲して配置された後に上部電気配線62Aがブラケット22の開口22A1又は結合部22Bから抜けるように移動すると、雄型部材63Bや雌型部材64Aがブラケット22の開口22A1又は結合部22Bの縁部に係止されて、上部電気配線62Aがブラケット22から外れることを抑制することができる。
パイプ62A2は上部電気配線62Aがブラケット22に係合した状態でもワイヤ62A1がブラケット22と接触して傷付けられないようにワイヤ62A1を保護する機能も備えている。
【0016】
その後、図10(C)に示すように、ブラケット22の支持部22Aがバックフレーム21に複数のボルト22Cにより取り付けられる。このとき、上部電気配線62Aはバックフレーム21の表面とブラケット22の支持部22Aの裏面との間に挟持される。また、ブラケット22の支持部22Aの開口22A1は、支持部22Aの側面から天面にかけて開口されているため、製造上の誤差があってバックフレーム21の表面とブラケット22の支持部22Aの裏面との隙間が狭くなっても、上部電気配線62Aは大きく開口された開口22A1を通して余裕を持って配索される。なお、ブラケット22の支持部22Aの他方の開口22A2はブラケット22の重量を軽減するために形成されている。
【0017】
図10(B)に基づいて説明したように、上部電気配線62Aはブラケット22にパイプ62A2の復元力により係合した状態で容易に外れない状態とされているため、図10(C)に基づいて説明したように、ブラケット22をバックフレーム21に取り付ける作業を行う際にブラケット22から上部電気配線62Aが外れないように保持する必要がなく、作業性を改善することができる。しかも、上部電気配線62Aをブラケット22に一体化するためクリップ等で固定する作業も不要とすることができる。
【0018】
図12は、上述の上部電気配線62Aと読書灯5の電気配線61との接続の仕方を示しており、図12(A)〜(D)の手順で接続作業が行われる。まず、図12(A)に示すように、バックフレーム21に固定されたブラケット22に読書灯5が取り付けられる前に、ブラケット22の結合部22Bから突出するように配索された上部電気配線62Aのコネクタ63の雄型部材63Bに対して、読書灯5の電気配線61の先端の雌型部材63Aの接続が行われる。このとき、読書灯5のベース部51内部での電気配線61の配索経路が変更されるように構成されている。
具体的には、図9に示されるように、読書灯5のベース部51には嵌合孔51C(配索通路でもある)に隣接して作業通路51Eが形成されており、嵌合孔51Cと作業通路51Eとを連続した通路とするための連通路51Dが形成されている。上述のように電気配線61は嵌合孔51Cを通って配索されているが、必要に応じて作業通路51Eを通るように配索経路を変更可能とされている。図12(A)は電気配線61がコネクタ63の雌型部材63Aと共に嵌合孔51Cを通って配索されている(以下、第1配索経路という)状態から作業通路51Eを通って配索される(以下、第2配索経路という)状態へ変化する様子を矢印で示している。この変化の過程において、電気配線61は連通路51Dを介して一つの通路の如くされた嵌合孔51Cから作業通路51Eへ通路を横切って移動される。図11は、電気配線61が作業通路51Eを通るように配索経路を変更された状態を示している。
【0019】
このように電気配線61が作業通路51Eを通って配索されると、嵌合孔51Cを通って配索されている場合に比べて、配索経路が短縮され、その短縮分だけ読書灯5のベース部51から引き出される電気配線61の長さが長くされる。その結果、コネクタ63の雌型部材63Aと雄型部材63Bとを嵌合する際の作業性を良好とすることができる。即ち、電気配線61がベース部51から大きく引き出されているため、雌型部材63Aを作業者が手に持ち易くなり、作業性が改善される。しかも、このとき電気配線61のベース部51からの引き出しは、電気配線61のベース部51内の配索経路を、嵌合孔51C経由の経路から作業通路51E経由の経路へ変更することにより行われるため、電気配線61をベース部51から引き出すために、読書灯5内で電気配線61に余長を設定する必要はなくなり、余長を設けるために電気配線61を余分に使う必要はなくなる。但し、電気配線61の配索経路の変更による電気配線61のベース部51からの引き出し長さが、コネクタ63の雌型部材63Aと雄型部材63Bとを嵌合する作業を行うのに充分でない場合は、不足する引き出し長さを確保するために読書灯5内で電気配線61に余長を設定する必要がある。
【0020】
なお、電気配線62をブラケット22の結合部22Bから引き出すためには、ブラケット22から下方のシートバック2内で電気配線62に余長を設定しておく必要がある。しかし、ブラケット22の結合部22Bに本発明を適用して切欠を形成して、電気配線62の配索経路を結合部22Bの側方に出すように変更可能とすれば、読書灯5の電気配線61の場合と同様に、電気配線62でも余長を設けることなくコネクタ63の接続作業を良好とすることができる。但し、そのように結合部22Bに切欠を形成する場合は、結合部22Bの機械的強度が不足しないように注意が必要となる。
【0021】
図12(B)には、コネクタ63の接続が完了した状態を示している。この状態で、コネクタ63の雌型部材63Aの外周表面には、緩衝材であり、且つ隙詰材としてのウレタンテープ65が巻き付けられる。次に図12(C)に示すように、ウレタンテープ65と共にコネクタ63がブラケット22の結合部22Bの角筒内に押し込められる。このときブラケット22の結合部22Bから引き出されていた電気配線62も結合部22B内へ戻される。その後図12(D)に示すように、読書灯5のベース部51がブラケット22の結合部22Bに接近されることによって電気配線61が読書灯5のベース部51内へ戻され、それに伴って成り行きで、読書灯5の電気配線61の配索経路が作業通路51Eから嵌合孔51Cに戻される。この結果、電気配線61の読書灯5のベース部51内での配索経路は、第2配索経路から第1配索経路に戻されるため、読書灯5のベース部51から突出する電気配線61の長さは短くなる。この後は、上述のようにベース部51の固定部51Bの先端をブラケット22の支持部22Aに当接させてボルト締めすることにより、読書灯5の電気配線61の接続、及びブラケット22への取り付けが完了する。
以上の説明は、コネクタ63を接続して読書灯5をブラケット22に取り付ける場合であったが、読書灯5をブラケット22から外してコネクタ63を切り離す場合は、上述の作業工程が逆になる。
【0022】
以上のように、読書灯5の電気配線61をバックフレーム21側の電気配線62に接続するためのコネクタ63の接続作業時には、読書灯5のベース部51に備えられた作業通路51Eに電気配線61を通すことによって、電気配線61の配索経路を短縮することができる。その結果、配索経路を短縮された分だけ電気配線61は、読書灯5のベース部51から引き出される長さを長くすることができ、コネクタ63の接続作業のための電気配線61の余長を不要として電気配線61の無駄を抑制することができる。
また、電気配線61の配索経路を短縮するために、電気配線61が本来通るべき配索通路が嵌合孔51Cから作業通路51Eに変更されるようにしたが、コネクタ63の接続が完了し、読書灯5のベース部51とブラケット22の結合部22Bが結合された状態では、ブラケット22の結合部22Bによって電気配線61の配索経路が決定され、読書灯5のベース部51に作業通路51Eが形成されているにも係らず電気配線61の配索経路が不安定に移動してしまうことを防止することができる。
【0023】
以上、特定の実施形態について説明したが、本発明は、それらの外観、構成に限定されず、本発明の要旨を変更しない範囲で種々の変更、追加、削除が可能である。例えば、
1.上記実施形態では、電気部品を読書灯としたが、シートに着座した乗員の音声を収録するためのマイクロホン、シートに着座した乗員に聴取させるための音を発するスピーカ、着座乗員のための各種表示装置等でも良い。
2.上記実施形態では、乗物用シートの本体部をシートバックとしたが、シートクッション、アームレスト等でも良い。即ち、読書灯等の電気部品はシートクッション、アームレスト等に取り付けても良い。
3.上記実施形態では、ブラケットの開口に電気配線を貫通させて配索することにより電気配線をブラケットに一体化したが、ブラケットを形成する部材の屈曲形状に電気配線を係合させて上記一体化を実現しても良い。
4.上記実施形態では、復元力を有するパイプにワイヤを貫通させて電気配線に復元力を付与したが、ワイヤ自体に復元力を有するばね材を使用することにより復元力を付与しても良い。
5.上記実施形態では、本発明を車両用シートに適用したが、飛行機、船等に搭載のシートに適用しても良い。
【符号の説明】
【0024】
1 車両用シート
2 シートバック(本体部)
21 バックフレーム
22 ブラケット
22A 支持部
22A1、22A2 開口
22B 結合部
22B1 配索通路(開口)
22C ボルト
23 ヘッドレスト
24 バックボード
3 シートクッション
4 アームレスト
5 読書灯(電気部品)
51 ベース部
51A ガイド片
51B 固定部
51C 嵌合孔
51D 連通路(作業通路)
51E 作業通路
52 可動部
53 ジョイント部
54 発光部
61 電気配線
62 電気配線
62A 上部電気配線
62A1 ワイヤ
62A2 パイプ
62B 下部電気配線
62C コネクタ
63 コネクタ
63A 雌型部材
63B 雄型部材
64 コネクタ
64A 雌型部材
64B 雄型部材
65 ウレタンテープ
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12