特許第6185315号(P6185315)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6185315
(24)【登録日】2017年8月4日
(45)【発行日】2017年8月23日
(54)【発明の名称】配管材引込具および配管材引込装置
(51)【国際特許分類】
   H02G 1/08 20060101AFI20170814BHJP
   F16L 1/00 20060101ALI20170814BHJP
   G02B 6/54 20060101ALI20170814BHJP
【FI】
   H02G1/08 010
   F16L1/00 J
   G02B6/54
【請求項の数】4
【全頁数】8
(21)【出願番号】特願2013-149815(P2013-149815)
(22)【出願日】2013年7月18日
(65)【公開番号】特開2015-23666(P2015-23666A)
(43)【公開日】2015年2月2日
【審査請求日】2016年3月8日
(73)【特許権者】
【識別番号】000243803
【氏名又は名称】未来工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100079968
【弁理士】
【氏名又は名称】廣瀬 光司
(72)【発明者】
【氏名】山下 崇
【審査官】 木村 励
(56)【参考文献】
【文献】 特開2000−59940(JP,A)
【文献】 特開2011−259547(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H02G 1/08
F16L 1/00
G02B 6/54
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
JISC8411規格の合成樹脂製可とう電線管に適合する配管材としての波付管を布設経路の始点から終点まで引き込むための引込具であって、
引込具本体を備え、
前記引込具本体には、前記始点から終点に渡って通された細長材が連結される連結部と、JISC8412規格の合成樹脂製可とう電線管用附属品に適合し前記波付管が接続される接続口を一端側に有するとともに他端側に被取付部を有するコネクタの、前記被取付部と結合する、取付部とが、設けられることを特徴とする、配管材引込具。
【請求項2】
前記取付部は、前記コネクタの前記被取付部に形成された雄または雌螺子部に螺合する雌または雄螺子部を有することを特徴とする、請求項1に記載の配管材引込具。
【請求項3】
JISC8411規格の合成樹脂製可とう電線管に適合する配管材としての波付管を布設経路の始点から終点まで引き込むための配管材引込具と、コネクタとからなり、
前記コネクタは、JISC8412規格の合成樹脂製可とう電線管用附属品に適合するものであって、その一端側に、前記波付管が接続される接続口を有するとともに、他端側に被取付部を有し、
前記配管材引込具は、引込具本体を備え、
前記引込具本体には、前記始点から終点に渡って通された細長材が連結される連結部と、前記被取付部と結合する取付部とが、設けられることを特徴とする、配管材引込装置。
【請求項4】
前記被取付部には、雄または雌螺子部が形成され、前記取付部は、前記被取付部に形成された前記雄または雌螺子部に螺合する雌または雄螺子部を有することを特徴とする、請求項3に記載の配管材引込装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、波付管を布設経路内に引き込むための配管材引込具および配管材引込装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、例えばアウター管内に波付管を引き込むのに、治具が用いられていた(例えば、特許文献1参照)。この引込用の治具は、図6に示されるように、配管材引込具としての牽引連結部材21と、ガイド部22との組合せからなっていた。ここで、牽引連結部材21は、牽引線材23が接続されるプレート状の連結部材21aと、筒体21bとを備えていた。一方、ガイド部22は、湾曲頭部22aとその後方に続く螺旋状装着部22bとからなっていた。そこで、この螺旋状装着部22bが、前記筒体21bに前方から挿入されて、後方に位置する波付管24の先端部分に螺合した。こうして、波付管24が、ガイド部22を介して牽引連結部材21に取り付けられ、連結部材21aに接続された牽引線材23を引っ張ることで、波付管24をアウター管25内に引き込むことができた。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2000−193137号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、前記引込用の治具においては、配管材引込具としての牽引連結部材21とガイド部22との両方が、引込用の治具としての専用品であった。したがって、ガイド部22が破損した場合に備えて、常に、その専用品であるガイド部22を用意しておかなければならなかった。また、サイズの異なる波付管24に対応させるには、牽引連結部材21とガイド部22との両方を交換しなければならなかった。このように、この配管材引込具としての牽引連結部材21(引込用の治具)にあっては、破損に備えて、常に専用品であるガイド部22を用意しておく必要があったり、サイズの異なる波付管24に対応させるために、牽引連結部材21とガイド部22との両方を交換する必要があったりと、使い勝手がよくなかった。
【0005】
この発明は、上記した従来の欠点を解決するためになされたものであり、その目的とするところは、使い勝手のよい配管材引込具および配管材引込装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
この発明に係る配管材引込具および配管材引込装置は、前記目的を達成するために、次の構成からなる。すなわち、
請求項1に記載の発明に係る配管材引込具は、JISC8411規格の合成樹脂製可とう電線管に適合する配管材としての波付管を布設経路の始点から終点まで引き込むための引込具である。この配管材引込具は、引込具本体を備える。ここで、前記引込具本体には、前記始点から終点に渡って通された細長材が連結される連結部と、JISC8412規格の合成樹脂製可とう電線管用附属品に適合し前記波付管が接続される接続口を一端側に有するとともに他端側に被取付部を有するコネクタの、前記被取付部と結合する、取付部とが、設けられる。
【0007】
この配管材引込具によると、引込具本体には、細長材が連結される連結部と、コネクタの被取付部と結合する取付部とが設けられる。そこで、布設経路の始点から終点に渡って通された細長材に対し、その始点側で、細長材を配管材引込具の連結部に連結する。そして、この配管材引込具の取付部にコネクタを取り付け、さらに、コネクタの接続口に波付管を接続する。次いで、布設経路の終点側で、細長材を引っ張ることで、波付管を布設経路の始点から終点まで引き込むことができる。ここで、波付管は、JISC8411規格の合成樹脂製可とう電線管に適合する配管材であって、コネクタは、JISC8412規格の合成樹脂製可とう電線管用附属品に適合するコネクタである。このため、配管材引込具の取付部に取り付けたコネクタが破損した場合であっても、コネクタが規格品であるため、交換用のコネクタを容易に入手することができる。また、コネクタは、その接続口の複数のサイズに対して、配管材引込具の取付部へ取り付けられる部分のサイズが同一であるのが一般的であるため、複数のサイズの波付管に対して、配管材引込具は変えることなく、コネクタを変えることで対応することができる。
【0008】
また、請求項2に記載の発明に係る配管材引込具は、請求項1に記載の配管材引込具において、前記取付部は、前記コネクタの前記被取付部に形成された雄または雌螺子部に螺合する雌または雄螺子部を有する。
また、請求項3に記載の発明に係る配管材引込装置は、JISC8411規格の合成樹脂製可とう電線管に適合する配管材としての波付管を布設経路の始点から終点まで引き込むための配管材引込具と、コネクタとからなる。ここで、前記コネクタは、JISC8412規格の合成樹脂製可とう電線管用附属品に適合するものであって、その一端側に、前記波付管が接続される接続口を有するとともに、他端側に被取付部を有する。そして、前記配管材引込具は、引込具本体を備え、前記引込具本体には、前記始点から終点に渡って通された細長材が連結される連結部と、前記被取付部と結合する取付部とが、設けられる。
この配管材引込装置によると、配管材引込具の引込具本体には、細長材が連結される連結部と、コネクタの被取付部と結合する取付部とが設けられる。そこで、布設経路の始点から終点に渡って通された細長材に対し、その始点側で、細長材を配管材引込具の連結部に連結する。そして、この配管材引込具の取付部にコネクタを取り付け、さらに、コネクタの接続口に波付管を接続する。次いで、布設経路の終点側で、細長材を引っ張ることで、波付管を布設経路の始点から終点まで引き込むことができる。ここで、波付管は、JISC8411規格の合成樹脂製可とう電線管に適合する配管材であって、コネクタは、JISC8412規格の合成樹脂製可とう電線管用附属品に適合するコネクタである。このため、配管材引込具の取付部に取り付けたコネクタが破損した場合であっても、コネクタが規格品であるため、交換用のコネクタを容易に入手することができる。また、コネクタは、その接続口の複数のサイズに対して、配管材引込具の取付部へ取り付けられる部分のサイズが同一であるのが一般的であるため、複数のサイズの波付管に対して、配管材引込具は変えることなく、コネクタを変えることで対応することができる。
また、請求項4に記載の発明に係る配管材引込装置は、請求項3に記載の配管材引込装置において、前記被取付部には、雄または雌螺子部が形成され、前記取付部は、前記被取付部に形成された前記雄または雌螺子部に螺合する雌または雄螺子部を有する。
【発明の効果】
【0009】
この発明に係る配管材引込具および配管材引込装置によれば、交換用のコネクタを容易に入手することができ、また、複数のサイズの波付管に対して、コネクタを変えることで対応することができるため、使い勝手がよい。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1】この発明の一実施の形態の、波付管を引き込む始めの状態を示す、概略の正面図である。
図2】同じく、波付管を引き込む途中の状態を示す、斜視図である。
図3】同じく、配管材引込具の斜視図である。
図4】同じく、配管材引込具の平面図である。
図5】同じく、図4におけるA−A線による断面図である。
図6】従来の引込用の治具を示す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、この発明に係る配管材引込具および配管材引込装置を実施するための形態を図面に基づいて説明する。
【0012】
図1図5は、本発明の一実施の形態を示す。図中符号1は、布設経路を示す。2は、JISC8411規格の合成樹脂製可とう電線管に適合する配管材としての波付管を示す。3は、JISC8412規格の合成樹脂製可とう電線管用附属品に適合し前記波付管2が接続される接続口3aを有するコネクタを示す。4は、配管材引込具を示す。そこで、配管材引込装置は、前記配管材引込具4と前記コネクタ3とからなる。
【0013】
ここで、配管材引込具4は、前記波付管2を布設経路1の始点1aから終点1bまで引き込むための引込具であって、引込具本体5を備える。そして、この引込具本体5には、布設経路1の始点1aから終点1bに渡って通された細長材10が連結される連結部6と、前記コネクタ3が取り付けられる取付部7とが、設けられている。
【0014】
具体的には、配管材引込具4は、後述する配筋1c、1c間に波付管2を引き込むための引込具である。この配管材引込具4は、前記引込具本体5および取付部7を有する、ゴムなどの軟質素材からなる軟質素材製の本体部材4aと、前記連結部6を有する金属製の連結具4bとを備える。ここにおいて、本体部材4aにおける引込具本体5は、平板状に形成されている。詳細には、引込具本体5は、左右に(詳しくは、斜め後方に向かって左右に)延びる基部5aと、その基部5aの中央および左右の位置から後方に延びる複数本(詳しくは、三本)の延設部5b、5bとからなる。そして、延設部5b、5bの延びた各先端に、前記取付部7が筒状に膨出するように設けられる。ここで、中央の延設部5bが、左右の延設部5bよりも後方に長く延びており、取付部7は、中央の取付部7が、左右の取付部7よりも後方に突出位置している。そして、この中央の延設部5bの長さは、本体部材4aの前後の長さを決め、その長さは、後述する配筋1c、1cの間隔より長くなっている。
【0015】
取付部7は、コネクタ3に備わる雄または雌螺子部3bに螺合する雌または雄螺子部7aを有し、図示実施の形態においては、螺子部7aは、取付部7の内周面に設けられた雌ねじからなる。そして、螺子部3b、7aは、例えば、JISB0202規格の管用平行ねじに適合するものであって、G1/2ねじとか、G3/4ねじとかが用いられる。また、この取付部7の基端部7bは、引込具本体5側ほど径小となる錐状に形成されている。
【0016】
また、延設部5b、5bどうしは、十分間隔をあけて位置している。このため、取付部7、7に取り付けられるコネクタ3、3どうしや、コネクタ3、3に接続される波付管2、2どうしも、離れて位置し、コネクタ3、3の取付作業や波付管2、2の接続作業を、互いが邪魔になることなく円滑に進めることができる。
【0017】
連結具4bは、引込具本体5(本体部材4a)の基部5aの先端に、連結部6が露出するようにして取り付けられている。詳しくは、連結具4bは、引込具本体5(本体部材4a)に、インサートされて取り付けられており、連結部6には、連結用の孔6aがあけられている。
【0018】
コネクタ3は、筒状に形成されて、その一端側に前記接続口3aを有し、他端側に前記雄または雌螺子部3b(図示実施の形態においては、雄ねじ)が形成された被取付部3cを有する。ここにおいて、接続口3aの内周部には、その接続口3aに挿入された波付管2の外周面の凹凸に係合する係合爪あるいは係合片(図示せず)が設けられており、この係合爪あるいは係合片によって、波付管2は、コネクタ3に対して抜け止めされる。
【0019】
細長材10は、図示実施の形態においては、合成樹脂製とか金属製であって、可撓性を有し、帯状に形成されている。この細長材10は、配管材引込具4を引っ張って波付管2を引き込むためのものである。また、細長材10は、予め、布設経路1に配置されるものであって、その配置にあたっては、例えば、布設経路1における終点1b側から、始点1aに向かって押し進められる。
【0020】
次に、以上の構成からなる配管材引込具4の作用効果について説明する。この配管材引込具4によると、引込具本体5には、可撓性を有する細長材10が連結される連結部6と、コネクタ3が取り付けられる取付部7とが設けられる。そこで、図1に示すように、布設経路1の始点1aから終点1bに渡って通された細長材10に対し、その始点1a側で、細長材10を配管材引込具4の連結部6に連結する(図示実施の形態においては、スイベル11を介して連結する)。そして、この配管材引込具4の取付部7にコネクタ3を取り付け、さらに、コネクタ3の接続口3aに波付管2を接続する。次いで、布設経路1の終点1b側で、細長材10を引っ張ることで、波付管2を布設経路1の始点1aから終点1bまで引き込むことができる。なお、図示実施の形態においては、布設経路1は、鉄筋コンクリート構造物における、配筋1cを配置した後であってコンクリートの打設前の状態での、配筋1c、1c間の隙間を通る経路となっている(図1図2参照)。
【0021】
ここで、波付管2は、JISC8411規格の合成樹脂製可とう電線管に適合する配管材であって、コネクタ3は、JISC8412規格の合成樹脂製可とう電線管用附属品に適合するコネクタである。このため、配管材引込具4の取付部7に取り付けたコネクタ3が破損した場合であっても、コネクタ3が規格品であるため、交換用のコネクタを容易に入手することができる。また、コネクタ3は、その接続口3aの複数のサイズに対して、配管材引込具4の取付部7へ取り付けられる部分のサイズが同一であるのが一般的であるため、複数のサイズの波付管2、2に対して、配管材引込具4は変えることなく、コネクタ3を変えることで対応することができる。すなわち、この配管材引込具4によれば、交換用のコネクタ3を容易に入手することができ、また、複数のサイズの波付管2、2に対して、コネクタ3を変えることで対応することができるため、使い勝手がよい。
【0022】
また、引込具本体5は、ゴムなどの軟質素材製であって平板状に形成されている。このため、配管材引込具4を布設経路1に入れるときとか、布設経路1から取り出すときに、引込具本体5は、容易に湾曲し変形する。そして、平板状の延設部5bは、複数本(詳しくは、3本)が、その板面に沿う方向である左右方向に並んでいるため、延設部5b、5bどうしが近づいたり離れたりする方向には変形し難い。したがって、延設部5b、5bどうしの間隔、ひいては、取付部7、7どうしの間隔、コネクタ3、3どうしの間隔、そして、波付管2、2どうしの間隔を一定に保つことができる。
【0023】
なお、本発明は、上述した実施の形態に限定されるわけではなく、その他種々の変更が可能である。例えば、配管材引込具4は、配筋1c、1c間に波付管2を引き込む以外に、ダクト内等に波付管2を引き込むのに用いてもよい。
【0024】
また、配管材引込具4には、三つの取付部7、7が設けられるが、この取付部7は、一つであってもよく、二つとか四つ以上設けられてもよい。
【0025】
また、被取付部3cと取付部7とは、ねじ構造によって結合するものでなくとも、その他の結合手段によるものであってもよい。
【0026】
また、引込具本体5は、ゴムなどの軟質素材製でなくとも、硬質素材製であってもよく、例えば、平板状に形成された硬質合成樹脂とか、平板状の金属板等であって、湾曲可能となるものであれば、どのような材料が用いられてもよい。また、配管材引込具4が使用される状況によっては、必ずしも、引込具本体5が湾曲可能となっていなくともよい。
【符号の説明】
【0027】
1 布設経路
1a 始点
1b 終点
2 波付管
3 コネクタ
3a 接続口
3b 雄または雌螺子部
3c 被取付部
4 配管材引込具
5 引込具本体
6 連結部
7 取付部
7a 雌または雄螺子部
10 細長材
図1
図2
図3
図4
図5
図6