【実施例】
【0024】
以下、本発明の一実施例を図面に基づいて説明する。
図1はヘッドホンの全体構成を示す斜視図であり、装着時のヘッドホンの姿態を示す。本発明のヘッドホンは頭部に装着するためのヘッドバンド部1と、前後に摺動して離反あるいは接近可能な一対のスライドケースを備えたスライドオーナメント部2と、前後に2分割された一対のスイングアーム4a、4bが前後方向に密接に並列配置された上部ハンガー4と、上部ハンガー4の下方に直列配置された下部ハンガー5で構成されるハンガー部3と、下部ハンガーに保持されるイヤーカップ部6を備えている。
【0025】
ヘッドバンド部1は中央に位置するヘッドバンドハウジング1aとハウジング内に進入退出可能に摺動する一対のヘッドバンドアーム1b−1、1b−2とで構成されている。ヘッドバンドハウジング1aは
図2に示すとおり、一対のヘッドバンドアーム1b−1、1b−2が互いに干渉することなく独立に摺動できるように上下2層に区画された空間が形成されている。すなわち、
図2(a)はヘッドバンドアームの大半をハウジングから引き出した状態を示す断面図、
図2(b)はヘッドバンドアームの大半をハウジング内に収納した状態を示す断面図である。なおヘッドバンドアーム1b−1、1b−2をヘッドバンドハウジング1aの端部まで引き出す際にハウジングから脱落しないように図示しない周知のストッパー機構が設けられていることはいうまでもない。
【0026】
図3は、
図1に示したスライドオーナメント部2およびハンガー部3の構成を説明するための分解斜視図で、ヘッドバンドハウジング1aおよびイヤーカップ部6は省略しており、さらにスライドオーナメント部2およびヒンジ部の構成は右耳用、左耳用とも同一の構成なので、左耳に対応した部分のみを示した。
【0027】
スライドオーナメント部2は、外形が略かまぼこ型の筒状のジョイントベース2aと、その外側に配置される一対の内側スライドケース2b−1、2b−2と、さらにその外側に配置される一対の外側スライドケース2c−1、2c−2と、それらにそれぞれ内装されるコイル状の圧縮バネ2d−1、2d−2を備えている。スライドオーナメント部2はジョイントベース2aの天面に形成した切り欠きにヘッドバンドアーム1b−1の端部に形成した円筒状の突出部を挿入し、一対のジョイント軸7およびトーションバネ8により取り付けられる。
図4はヘッドバンドアーム1b−1とスライドオーナメント部2を連結する結合構造を説明するためのもので、
図4(a)はヘッドバンドアーム1b−1とスライドオーナメント部2のジョイントベース2aとの結合箇所を示す斜視図、
図4(b)は結合箇所の要部分解斜視図、
図4(c)はトーションバネ8を拡大して示す斜視図である。トーションバネ8の下端はジョイントベース2aに固定され、上端はヘッドバンドアーム1b先端の円筒状突出部に形成した溝bに嵌合され、ハンガー部3を左右に開こうとすると巻き戻されたトーションバネ8の復元力により、ハンガー部3を元に戻そうとする方向に付勢されるので、ハンガー部3は常に内側に倒れこむ側圧がかかるように構成されている。
【0028】
ハンガー部3は前記したようにトーションバネ8によって常に内側に倒れ込む側圧がかかっているが、通常使用時は内側に倒れ込みすぎると取り回しが悪いので、これを規制するためのストッパーがスライドオーナメント部2に設けられている。このストッパー構造を
図5(a)に示す。外側スライドケース2cの天面に形成された切り欠きの端部が通常使用時ストッパーS1として機能し、ハンガー部3の倒れ込みをイヤーカップ同士が当接しないように間隔を持たせた位置(
図1参照)で規制している。収納時にはスライドオーナメント部2が開くことにより、通常使用時ストッパーS1による規制が解除され、ヒンジ部が通常使用時よりもさらに内側に向けて変位し、イヤーカップ部6が合わさる角度まで動くことが可能になる。この動きもスライドオーナメント部2に形成したストッパーS1によって規制されるが、通常使用時ストッパーS1が外側スライドケース2cに設けられているのに対し、
図5(b)に示すように、収納時ストッパーS2はジョイントベース2aに設けられている。通常使用時ストッパーS1と収納時ストッパーS2とを別々に設けたことにより使い勝手を向上させることができる。また、ジョイントベース2aには、ヘッドホンを頭部から外す際に、ハンガーに加わる側圧に抗して外側に開く時の回動規制のために、
図5(c)に示すとおり、全開時ストッパーS3が形成されており、必要以上に開き過ぎてヒンジ部に損傷を与えることを防止している。なお、
図5はヘッドバンド部1の右側部分とスライドオーナメント部2の結合箇所を示しているが、左側についても同様の構造である。
【0029】
スライドオーナメント部2の構成および動作を
図3および
図6〜9によって説明する。
図3に示したように、スライドオーナメント部2は、外形が略かまぼこ型の筒状のジョイントベース2aと、その外側に隣接して配置される一対の内側スライドケース2b−1、2b−2、さらに内側スライドケース2b−1、2b−2の外側に隣接して配置される一対の外側スライドケース2c−1、2c−2を備える3層構造を有している。
図6はスライドオーナメント全閉時の右側から見た正面図、
図7はスライドオーナメント全開時の右側から見た正面図、
図8は全開時のスライドオーナメント背面内部を示す垂直方向断面図、
図9は全開時のスライドオーナメント天面の内部を示す水平方向断面図である。
図6のスライドオーナメント部2が閉じた状態で矢印方向の力を加えると外側スライドケースが互いに離れるように摺動し、
図7の全開時の状態まで伸長する。
図8、
図9に示すようにスライドオーナメント内には一対のコイル状の圧縮バネ2d−1、2d−2が内装され、それぞれ一端をジョイントベース2a、他端が外側スライドケース2c−1、2c−2にそれぞれ固定されており、外側スライドケース2c−1、2c−2は互いに接近する方向の力が加えられており、この力に抗して外側スライドケース2c−1、2c−2を引き離す力を加えると、外側スライドケース2c−1、2c−2および内側スライドケース2b−1、2b−2の内部に設けられたガイドピンが内側スライドケース2b−1、2b−2およびジョイントベース2aに形成された溝に案内されて
図7〜9の全開状態まで直線的に摺動する。スライドオーナメント部2の構成について図面に例示した3層構造のもので説明したが、内側スライドケース2b−1、2b−2を省略してジョイントベース2aと外側スライドケース2c−1、2c−2の2層構造としてもよく、またジョイントベース2aの外形は略かまぼこ型のものに限らず、スライドオーナメント部としての機能を果たせるものであれば他の形状のものを適用することもできる。
【0030】
なお、
図1に示すように、ハンガー部3は上部ハンガー4と下部ハンガー5とで構成され、さらに上部ハンガー4は一対のスイングアーム4a、4bに分割されており、スイングアーム4a、4bは、
図3に示すように、それぞれスライドオーナメント部2の外側スライドケース2c−1、2c−2の下部にスイング軸9およびスイングバネ10を介して連結される。また、下部ハンガー5は、詳しくは
図9に示すように、上端近傍にギア5aとストッパー5bを内装しており、下部ハンガー5はギア5aを貫通する一対のギアシャフト12と一対のジョイントアーム11を介して上部ハンガー4のスイングアーム4a、4b中間部に連結されてヒンジ機構を構成している。さらに下部ハンガー5には上下方向に摺動して位置調整可能なイヤーカップ部6が装着される。
【0031】
ギア5aは、
図10に示すように、一対のギア5aが噛み合った状態で配設されており、ギアシャフト12を回転軸として上部ハンガー4の一対のスイングアーム4a、4bを拡開するための一対のジョイントアーム11(
図3参照)を同期して回転させるものであるが、上部ハンガー4と下部ハンガー5を引き離した使用状態においては、後述するロック機構により回転を規制されてヒンジ機構がロックされている。イヤーカップ6aは、
図10(a)に示すAからBの範囲で位置調整可能であり、イヤーカップ6aの中心がCになったときが使用状態の最上段位置であるが、イヤーカップ6aをこの位置からさらに一段強く押しこんでイヤーカップ6aに結合された押し子5cの先端でストッパー5bを押し込むとロックが解除され、ヒンジ機構の開閉動作が始まる構成としている。
図10(b)はこの状態を示している。
【0032】
前記したヒンジ構造のロック機構について具体的な実施例を詳述する。ロック機構の一例を
図11(a)、(b)に示す。ストッパー5bにはギアシャフト12を挿通する略小判型の開口が設けられ、この開口の上端には開口の中心に向かう突起が形成されており、通常使用時には、(a)に示すように、このストッパーの突起がギアシャフトに食い込んでシャフトの回転を規制しており、収納時には(b)に示すようにイヤーカップと連結された押し子5cがストッパー5bを押し上げることによりジョイントアーム11と連結されたギアシャフト12の回転規制が解除されるものである。
【0033】
ロック機構の他の例を
図12(a)〜(d)により説明する。
図12(a)は使用状態の時にジョイントアーム11の両端の軸位置を角度1.5°とし1mm程度ずらして内傾させることにより、不意に下部ハンガー5を上方に押し上げたときにスイングアーム4a、4bが連動して開かないようにしたものである。
図12(b)〜(d)はこの内傾状態を解除してジョイントアーム11を回動させるための機構を示しており、ストッパー5bは
図12(b)、(c)に示した形状をしており、
図12(b)はギア5aとストッパー5bの配置関係を示す斜視図、
図12(c)はギア形成部を取り除いた状態の平面図、
図12(d)は
図12(c)のロック解除機構の要部を拡大して示す図である。イヤーカップ6aと連結された押し子5cを押し上げてストッパー5bをギア5aの下側に押し込むと、ジョイントアームに連結されたドグ5dをストッパー5bに形成した突起で回転させることによりジョイントアームを回転させる構成となっている。
図10(a)、(b)に示したものはこの構成を適用したものであるが、ロック解除機構はこれに限らず
図11(a)、(b)に示した構造のほか各種の構造を用いることができる。
【0034】
図13はヒンジ部の開閉作業が完了して右耳用の下部ハンガー5が上部ハンガー4の間に挟持され収納されたときの状態を内側から見た斜視図である。
【0035】
次に収納操作のスライドオーナメント部およびハンガー部の連動した動作を簡素化した模式
図14を用いて詳細に説明する。
図14(a)はスライドオーナメント部2と上部ハンガー4、上部ハンガー4と下部ハンガー5を連結するヒンジ構造の基本的な構成を示すもので、スライドオーナメント部2にはコイル状の圧縮バネ2d−1、2d−2が内装されて外側スライドケース2c−2を矢印方向に閉じようとするように付勢し、一対の外側スライドケース2c−1、2c−2の下部にはそれぞれ上部ハンガー4のスイングアーム4bが外側に向かって回動可能にスイング軸9に軸支されて連結され、内装したねじりバネ14によって矢印方向に閉じる方向に付勢されている。上部ハンガー4の一対のスイングアーム4a、4bと下部ハンガー5は両端を回転軸により軸支された一対のジョイントアーム11により連結されている。
【0036】
図14(b)〜(f)は下部ハンガー5が上部ハンガー4のスイングアーム4a、4bの間に収納されるまでの姿態の変化を示している。
図14(b)は前記したようにイヤーカップ6aの押し上げによりロックを解除してヒンジ構造の開閉運動が開始される前の状態を示している。下部ハンガー5を押し上げていくとジョイントアーム11の回転によって一対のスイングアーム4a、4bが開いていき、
図14(c)のように所定の角度でスライドオーナメント部2に設けられたスイングストッパー13によって回転を規制されるまで回転する。この過程まではスライドオーナメント部2は少しづつ開いていくものの、ほぼ閉じた状態に近く、さらに下部ハンガー5を押し込んでいくとスライドオーナメント部2が大きく開き始め、これに伴ってジョイントアーム11がさらに回転することによって
図14(d)、(e)のように変形し、最後まで押し込むと
図14(f)のように下部ハンガー5が上部ハンガー4の一対のスイングアームの間に挟みこまれて完全な閉状態となる。なお
図14(d)の状態ではねじりバネ14の力により、また
図14(e)の状態では圧縮バネ2d−1、2d−2とねじりバネ14の力により上部ハンガー4の拡開状態が維持されるように構成されているので下部ハンガー5の上方への直進運動だけで上部ハンガー4に収容することができるので操作性が向上する。
【0037】
なお、上部ハンガー4を矢印方向に付勢するためのスイングバネとしてねじりバネ14を用いた例で説明したが、ねじりバネ14に替えて、
図15に示すように、引張りバネ15を用いて構成とすることも可能である。
図15はその一例を示す。
図15は
図14における右側の外側スライドケース2c−2とスイングアーム4bの連結部に対応する部分を示したもので、
図15(a)はスイングアーム4bが閉じた状態を示し、引張りバネ15をスイング軸(回転軸)9の横にずらした位置で外側スライドケース2c−2とスイングアーム4bの間に張架されており、この状態からスイングアーム4bを
図15(b)の状態に開いたとき引張りバネ15は傾いた方向に変形し
図14(a)のねじりバネ14と同様に閉じた状態に戻ろうとする力が発生する。外側スライドケース2c−2には下方に突出したスイングストッパー13が形成されスイングアーム4bの回転を所定の角度で規制しているのは
図14と同様である。
図3に示された実施例はこの
図15の基本構成を適用したもので、この引張りバネ15がスイングバネ10に相当する。なお、符号14のねじりバネは符号8で示したトーションバネと、符号15の引張りバネは2dの圧縮バネと同義であるが、理解しやすいように使用する個所によって使い分けていることを付言する。
【0038】
図16(a)〜(f)は使用状態から収納状態までの姿態の変化を示す。(a)は収納状態、(f)は使用状態を示す。まず、
図16(f)に示す使用状態から、コンパクトな状態にする場合、
図2(b)に示すように、ヘッドバンドアーム1b−1、1b−2をヘッドバンドハウジング1aに収納されるように摺動してヘッドバンド部の全長を縮小し(
図16(e)が相当)、前記したハンガー部の縮小操作をしていけば最終的な収納状態の姿態を非常にコンパクトで外観性も優れたものとし得る。