特許第6185323号(P6185323)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6185323
(24)【登録日】2017年8月4日
(45)【発行日】2017年8月23日
(54)【発明の名称】ヘッドホン
(51)【国際特許分類】
   H04R 1/10 20060101AFI20170814BHJP
【FI】
   H04R1/10 103
【請求項の数】6
【全頁数】15
(21)【出願番号】特願2013-154686(P2013-154686)
(22)【出願日】2013年7月25日
(65)【公開番号】特開2015-26948(P2015-26948A)
(43)【公開日】2015年2月5日
【審査請求日】2016年6月16日
(73)【特許権者】
【識別番号】000112565
【氏名又は名称】フォスター電機株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100081259
【弁理士】
【氏名又は名称】高山 道夫
(72)【発明者】
【氏名】平田 靖浩
【審査官】 北原 昂
(56)【参考文献】
【文献】 登録実用新案第3138079(JP,U)
【文献】 実開昭53−006220(JP,U)
【文献】 実公昭47−042591(JP,Y1)
【文献】 特開昭58−024297(JP,A)
【文献】 特開平10−191490(JP,A)
【文献】 実開昭49−090117(JP,U)
【文献】 実公昭49−024423(JP,Y1)
【文献】 米国特許出願公開第2011/0129111(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H04R 1/10
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
伸縮可能なヘッドバンド部(1)と、前記ヘッドバンド部(1)の一端に連結され外郭が互いに接近、離脱する方向に摺動可能な一対の外側スライドケース(2c−1、2c−2)を備えたスライドオーナメント部(2)と、前記外側スライドケース(2c−1、2c−2)のそれぞれに回動可能に装着された一対のスイングアーム(4a、4b)を並列配置した上部ハンガー(4)と、前記上部ハンガー(4)に連結された下部ハンガー(5)からなるヒンジ構造を備えたハンガー部(3)と前記下部ハンガー(5)に結合されスピーカユニットを内蔵した左右一対のイヤーカップ部(6)を備え、下部ハンガー(5)を上方に押し上げたとき前記上部ハンガー(4)の各スイングアーム(4a、4b)が互いに離反する方向に拡開されて形成された空間に押し込まれ前記一対のスイングアーム(4a、4b)の間に前記下部ハンガー(5)が密接に挟持されることを特徴とするヘッドホン。
【請求項2】
前記ヘッドバンド部(1)は中央に位置するヘッドバンドハウジング(1a)の内部に左右一対のヘッドバンドアーム(1b−1、1b−2)が摺動して進入、退出する空間が上下2層に分割されて形成され、前記ヘッドバンドアーム(1b−1、1b−2)が互いに干渉することなく独立して摺動可能でそれぞれのヘッドバンドアーム(1b−1、1b−2)の略全長が前記ヘッドバンドハウジング(1a)内に収納可能に構成されたことを特徴とする請求項1記載のヘッドホン。
【請求項3】
前記スライドオーナメント部(2)は、前記ヘッドバンド部(1)のヘッドバンドハウジング(1a)に対し進入退出可能に設けられたヘッドバンドアーム(1b−1、1b−2)に連結される筒状のジョイントベース(2a)と、前記ジョイントベース(2a)の外側に隣接して設けられ、前記ジョイントベース(2a)上を前後方向に摺動して互いに接近または離反する一対の外側スライドケース(2c−1、2c−2)とを備え、前記外側スライドケース(2c−1、2c−2)と前記ジョイントベース(2a)の間に一対の圧縮バネ(2d−1、2d−2)が架け渡され一対の外側スライドケース(2c−1、2c−2)を互いに接近する方向に付勢されていることを特徴とする請求項に記載のヘッドホン。
【請求項4】
前記スライドオーナメント部(2)に連結されたヘッドバンドアーム(1b−1、1b−2)とスライドオーナメント部(2)との結合軸に、ハンガー部(3)を内側に付勢する側圧を発生させるためのトーションバネ(8)が装着されていることを特徴とする請求項記載のヘッドホン。
【請求項5】
前記ハンガー部(3)は、前後方向に分割された前記一対のスイングアーム(4a、4b)が前記スライドオーナメント部(2)の外側スライドケース(2c−1、2c−2)に回動可能に軸支され、前記一対のスイングアーム(4a、4b)の対向する面が接触して並列配置される第1の位置から、前記下部ハンガー(5)の上方への移動に伴い前後に拡開されて形成される空間に前記下部ハンガー(5)が進入し、前記上部ハンガー(4)と前記下部ハンガー(5)の上端面が面一となって前記上部ハンガー(4)と前記下部ハンガー(5)の一対のスイングアーム(4a、4b)が上下方向に平行に整列され、前記下部ハンガー(5)が前記上部ハンガー(4)の一対のスイングアーム(4a、4b)の間に密接に挟持される第2の位置まで漸次回動することを特徴とする請求項記載のヘッドホン。
【請求項6】
前記イヤーカップ部(6)は前記下部ハンガー(5)に対して前記イヤーカップ部(6)を上下方向に摺動する位置調整機構を備え、イヤーカップ(6a)を位置調整の最上端に移動させた後さらにもう一段階強く押しこむことによりヒンジ機構のロックを解除し、前記上部ハンガー(4)の拡開動作を開始する構成としたことを特徴とする請求項記載のヘッドホン。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、一対のヘッドホンユニットをヘッドバンドを介して使用者の頭部に装着し、ヘッドホンユニットを使用者の両耳に当接させるように保持するオーバーヘッド型のヘッドホンに関する。
【背景技術】
【0002】
近年、携帯音楽機器などの普及によりコンパクトで携帯性に優れたヘッドホンに対するニーズがこれまで以上に高くなってきている。ヘッドホンは、耳介の内側に装着するインナーイヤー型と、頭部に装着するヘッドバンドおよびスピーカユニットを内装したハウジング(イヤーカップと呼称される)に耳介に当接させるあるいは耳介を覆って頭部に当接させる柔軟なイヤーパッドを装着したヘッドホンユニットを備えたオーバーヘッド型とに大別される。
【0003】
オーバーヘッド型のヘッドホンは、ヘッドバンドを介してヘッドホン自体の重量を頭部で支える構造であるため、音を出力するスピーカユニットやそれを収納するハウジングにインナーイヤー型と比べてはるかに大きなものを使用することができ、さらに使用者により個人差のある頭部および耳介の形状や寸法に対応するために、ヘッドバンドの長さやイヤーカップの位置などを使用者に合わせて調節可能に構成することによって、音質が優れるとともに装着性の良好なヘッドホンを提供することができ音楽などを楽しむのに好適である。オーバーヘッド型のヘッドホンは前記したように大きなスピーカユニットを使うことで優れた音質を得られる反面、ヘッドホン全体の外形が大きくなるためインナーイヤー型のものに比べて携帯性に劣るという欠点があった。
【0004】
この欠点を改善するために、携行する際にはヘッドバンドを折り曲げて使用時に比べてコンパクトな形に変形させるものが古くから各種提案されており、例えば特許文献1、2にはヘッドバンドを3箇所で折り曲げ、コンパクトに折り畳んで持ち運びするときのヘッドホンの容積を小さくして携帯性を向上させたものが示されている。特許文献1のものは折り畳んだ後の形態において一対のイヤーカップが径方向に並んで配置されるものであるため、径の大きなヘッドホンにおいては平面的なサイズの縮小が十分でなく、また折り畳みの際にハンガー同士がぶつかりあって傷ついたり、イヤーカップの表裏両面全体が剥き出しになっているので外力によって損傷する危険性もある。これに対して特許文献2のものはヘッドバンドを中心部で折り曲げ、さらにヘッドバンドとハンガーの結合部を折り曲げて、折り畳まれたヘッドバンドが左右のハンガーの内側に収まり、かつ一対のイヤーカップがイヤーパッド側を対向して近接配置させる構造により、さらにコンパクト化しイヤーカップの損傷を防止する構成としている。
【0005】
しかしながら、特許文献2の構成においても携帯性が十分とは言えず、また、折り曲げられたヘッドバンド同士がぶつかり合って損傷する危険性は依然として残る。これに対し、特許文献3のものは、折り曲げたヘッドバンドおよびイヤーカップが装着された側を対向して当接させた左右のイヤーカップが、左右のヘッドバンドのハンガー部の内側の空間に収納される構造により、さらにコンパクト化するとともにヘッドバンドやイヤーカップの損傷を防止して、携帯性および耐久性を向上させた構造としている。
【0006】
しかしながら、特許文献3の構造はヘッドバンドが第1〜第3のヒンジ部を備え、ヘッドバンド中央の第1のヒンジ部で折り曲げた際にヘッドバンドの両端部が重なり合わないように、第1のヒンジ部の枢軸を第2、第3のヒンジ部の枢軸の方向と異なる向きに傾きを持たせてあり、第1のヒンジ部を折り曲げた後、ヘッドバンド両端が互いに離反した状態で、第2、第3のヒンジ部を順次折り曲げてイヤーカップを包み込むようにするため、折り畳みの操作性が良いとは言えず、折り畳んだ姿態はヘッドバンドがねじれた形でイヤーカップを取り囲んだ形状となり、携帯性の向上も十分ではなく、また外観性も良好とは言い難い。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】実開昭59−011586号公報
【特許文献2】特開平10−191490号公報
【特許文献3】特開2010−166258号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
本発明の目的とするところは、オーバーヘッド型ヘッドホンの収納あるいは携帯のためにヘッドホン外形のサイズを縮小化するための操作を行う際の操作性を向上するとともに、各部の損傷を防止し、さらに縮小化した後の姿態の外観性も向上させることにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記課題を解決するために、請求項1に係る本発明のヘッドホンは、伸縮可能なヘッドバンド部1と、前記ヘッドバンド部1の一端に連結され外郭が互いに接近、離脱する方向に摺動可能な一対の外側スライドケース2c−1、2c−2を備えたスライドオーナメント部2と、前記外側スライドケース2c−1、2c−2のそれぞれに回動可能に装着された一対のスイングアーム4a、4bを並列配置した上部ハンガー4と、前記上部ハンガー4に連結された下部ハンガー5からなるヒンジ構造を備えたハンガー部3と、前記下部ハンガー5に結合されスピーカユニットを内蔵した左右一対のイヤーカップ部6を備え、下部ハンガー5を上方に押し上げたとき前記上部ハンガー4の各スイングアーム4a、4bが互いに離反する方向に拡開されて形成された空間に押し込まれ前記一対のスイングアーム4a、4bの間に前記下部ハンガー5が密接に挟持される構成としたヘッドホンであることを特徴とする。
【0010】
請求項2に係る発明は、前記ヘッドバンド部1が中央に位置するヘッドバンドハウジング1aの内部に左右一対のヘッドバンドアーム1b−1、1b−2が摺動して進入、退出する空間が上下2層に分割されて形成され、前記ヘッドバンドアーム1b−1、1b−2が互いに干渉することなく独立して摺動可能でそれぞれのヘッドバンドアーム1b−1、1b−2の略全長が前記ヘッドバンドハウジング1a内に収納可能に構成されたことを特徴とする請求項1に記載のヘッドホンである。
【0011】
請求項3に係る発明は、前記スライドオーナメント部(2)は、前記ヘッドバンド部(1)のヘッドバンドハウジング(1a)に対し進入退出可能に設けられたヘッドバンドアーム(1b−1、1b−2)に連結される筒状のジョイントベース(2a)と、前記ジョイントベース(2a)の外側に隣接して設けられ、前記ジョイントベース(2a)上を前後方向に摺動して互いに接近または離反する一対の外側スライドケース(2c−1、2c−2)とを備え、前記外側スライドケース(2c−1、2c−2)と前記ジョイントベース(2a)の間に一対の圧縮バネ(2d−1、2d−2)が架け渡され一対の外側スライドケース(2c−1、2c−2)を互いに接近する方向に付勢されていることを特徴とする。
【0012】
請求項4に係る発明は、前記スライドオーナメント部(2)に連結されたヘッドバンドアーム(1b−1、1b−2)とスライドオーナメント部(2)との結合軸に、前記ハンガー部(3)を内側に付勢する側圧を発生させるためのトーションバネ(8)が装着されていることを特徴とする。
【0013】
請求項5に係る発明は、前記ハンガー部(3)は、前後方向に分割された前記一対のスイングアーム(4a、4b)が前記スライドオーナメント部(2)の外側スライドケース(2c−1、2c−2)に回動可能に軸支され、前記一対のスイングアーム(4a、4b)の対向する面が接触して並列配置される第1の位置から、前記下部ハンガー(5)の上方への移動に伴い前後に拡開されて形成される空間に前記下部ハンガー(5)が進入し、前記上部ハンガー(4)と前記下部ハンガー(5)の上端面が面一となって前記上部ハンガー(4)と前記下部ハンガー(5)の一対のスイングアーム(4a、4b)が上下方向に平行に整列され、前記下部ハンガー(5)が前記上部ハンガー(4)の一対のスイングアーム(4a、4b)の間に密接に挟持される第2の位置まで漸次回動することを特徴とする。
【0014】
請求項6に係る発明は、前記イヤーカップ部6は前記下部ハンガー5に対して前記イヤーカップ部6を上下方向に摺動する位置調整機構を備え、イヤーカップ6aを位置調整の最上端に移動させた後さらにもう一段階強く押しこむことによりヒンジ機構のロックを解除し、前記上部ハンガー4の拡開動作を開始する構成としたことを特徴とする請求項1〜5のいずれかに記載のヘッドホンである。
【0015】
なお、本発明については誤解を生じることを防ぐために各部の構造や動作の方向について前後、左右、上下の記載は使用者がヘッドホンを装着したときの状態で使用者の顔の向いた方向を前、後頭部側を後ろ、右耳側を右、左耳側を左、頭頂部を上、頭頂部の反対側を下として定義(すなわちヘッドホンの正面図において右側に配置されたイヤーカップは左耳用、左側に配置されたイヤーカップは右耳用である)し、以下の記載においてもこの定義に基づいて統一する。
【発明の効果】
【0016】
請求項1に係る本発明によればヘッドホンが、伸縮可能なヘッドバンド部と、下部ハンガーが上部ハンガーの一対のスイングアームの間に入り込んで密接に挟持され、圧縮バネにより互いに閉じる方向に付勢された一対の外側スライドケースが外郭を形成するスライドオーナメント部と協働してこの配置を維持するハンガー部で構成されているので、収納時のヘッドホン全体のサイズを従来のものよりさらにコンパクトにすることができるとともに、収納位置に配列された上部ハンガーおよび下部ハンガーの上端面がスライドオーナメント部で覆われるので外観を損なうことがなく意匠性も向上する。
【0017】
請求項2に記載した発明によれば、ヘッドバンド部は左右一対のヘッドバンドアームが互いに干渉しないように独立してヘッドバンドハウジング内を摺動して伸縮できるように構成したので、収納時にはヘッドバンド部の全長を略半分まで縮小させることができ、収納姿態をよりコンパクトにすることができる。さらにヘッドバンドアームの一方を開状態に、他の一方を閉状態とすることもできるため、使用環境によっては一方のイヤーカップを耳介から離れた位置にずらして装着し、外部の音も聴取できるようにすることも可能である。
【0018】
請求項3に記載した発明によれば、前記スライドオーナメント部は前記ヘッドバンドアームに結合される筒状のジョイントベースと、前記ジョイントベースの外側に隣接して設けられ、前記ジョイントベース上を前後方向に摺動して互いに接近または離反する一対の外側スライドケースを備え、前記外側スライドケースと前記ジョイントベースの間に一対の圧縮バネが架け渡され一対の外側スライドケースを互いに接近する方向に付勢される構成としたため、スライドオーナメントの伸縮が単純な操作でスムーズな摺動動作によって達成されるので操作性が向上するとともに、前記下部ハンガーが前記上部ハンガーに収納されて並列配置された状態を維持するので収納状態が安定する。また前記外側スライドケースと前記ジョイントベースによって、前記下部ハンガーと前記上部ハンガーが並列配置された上端面を覆うから意匠性も向上する。
【0019】
請求項4に記載した発明によれば、前記スライドオーナメント部と前記ヘッドバンドアームとの結合軸に、ハンガー部を内側に付勢する側圧を発生させるためのトーションバネが設けられているので、ハンガー部およびイヤーカップ部に内側に倒れ込む力が加わり、頭部への装着が安定するとともに収納時には一対のイヤーカップが対向して接近し当接した状態でコンパクトな収納状態を容易に得られる。
【0020】
請求項5に記載した発明によれば、前記上部ハンガーの一対のスイングアームが拡開して形成された空間に前記下部ハンガーを押し込み密接に挟持する構成により、前記上部ハンガーと前記下部ハンガーを並列配置することができ、前記ハンガー部の全長を略半減することができ、前記ヘッドバンド部の全長を略半分に縮小することと組み合わせてコンパクト化が一層改善される。
【0021】
請求項6に記載した発明によれば、前記イヤーカップを位置調整の最上段からさらに押し込む単純な動作で前記ハンガー部のヒンジ機構のロックを解除してヒンジ機構の開閉動作を可能にした後、前記下部ハンガーを上方に押し上げる直線的な操作のみで下部ハンガーを前記上部ハンガーの一対のスイングアームの間に密接に挟持して収納するので、従来のヘッドバンドを複数個所で折り畳む方式に比べて操作性が格段に向上し、操作中の部品同士の衝突による損傷をも回避でき耐久性も向上する。
【図面の簡単な説明】
【0022】
図1】ヘッドホンの主要構成を示す斜視図である。
図2】(a)、(b)はヘッドバンド部の構造および動作を示す断面図である。
図3】各部の構成を説明するための分解斜視図である。
図4】(a)、(b)はヘッドバンドアームとスライドオーナメント部結合箇所の斜視図、(c)はトーションバネを拡大して示す斜視図である。
図5】(a)〜(c)はヘッドバンドアームに対するストッパ構造を示す部分斜視図である。
図6】スライドオーナメント部全閉時の正面図である。
図7】スライドオーナメント部全開時の正面図である。
図8】スライドオーナメント部全開時の背面内部を示す垂直方向断面図である。
図9】スライドオーナメント部全開時の天面内部を示す水平方向断面図である。
図10】(a)、(b)はイヤーカップが取り付けられた下部ハンガーの内部構造、および動作説明図である。
図11】(a)、(b)はヒンジ機構のロック機構の動作説明図を示す。
図12】(a)〜(d)はロック機構の他の例を示す。
図13】下部ハンガーが上部ハンガーのスイングアームの間に収納された状態を示す内側から見た斜視図である。
図14】(a)〜(f)はスライドオーナメント部およびハンガー部の動作を説明するための簡略化した模式図である。
図15】(a)、(b)は図14に示したねじりバネを引張りバネに替えたヒンジ部バネ構造を示す模式図である。
図16】(a)〜(f)は使用状態から収納状態までの変形過程を示す斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0023】
本発明の実施の形態を示すにあたり、前述したとおり誤解を生じることを防ぐために各部の構造や動作の方向について前後、左右、上下の記載は使用者がヘッドホンを装着したときの状態で使用者の顔の向いた方向を前、後頭部側を後ろ、右耳側を右、左耳側を左、頭頂部側を上、頭頂部の反対側を下として定義(すなわちヘッドホンの正面図において右側に配置されたイヤーカップは左耳用、左側に配置されたイヤーカップは右耳用である)し、以下の記載においてもこの定義に基づいて統一して説明する。
【実施例】
【0024】
以下、本発明の一実施例を図面に基づいて説明する。
図1はヘッドホンの全体構成を示す斜視図であり、装着時のヘッドホンの姿態を示す。本発明のヘッドホンは頭部に装着するためのヘッドバンド部1と、前後に摺動して離反あるいは接近可能な一対のスライドケースを備えたスライドオーナメント部2と、前後に2分割された一対のスイングアーム4a、4bが前後方向に密接に並列配置された上部ハンガー4と、上部ハンガー4の下方に直列配置された下部ハンガー5で構成されるハンガー部3と、下部ハンガーに保持されるイヤーカップ部6を備えている。
【0025】
ヘッドバンド部1は中央に位置するヘッドバンドハウジング1aとハウジング内に進入退出可能に摺動する一対のヘッドバンドアーム1b−1、1b−2とで構成されている。ヘッドバンドハウジング1aは図2に示すとおり、一対のヘッドバンドアーム1b−1、1b−2が互いに干渉することなく独立に摺動できるように上下2層に区画された空間が形成されている。すなわち、図2(a)はヘッドバンドアームの大半をハウジングから引き出した状態を示す断面図、図2(b)はヘッドバンドアームの大半をハウジング内に収納した状態を示す断面図である。なおヘッドバンドアーム1b−1、1b−2をヘッドバンドハウジング1aの端部まで引き出す際にハウジングから脱落しないように図示しない周知のストッパー機構が設けられていることはいうまでもない。
【0026】
図3は、図1に示したスライドオーナメント部2およびハンガー部3の構成を説明するための分解斜視図で、ヘッドバンドハウジング1aおよびイヤーカップ部6は省略しており、さらにスライドオーナメント部2およびヒンジ部の構成は右耳用、左耳用とも同一の構成なので、左耳に対応した部分のみを示した。
【0027】
スライドオーナメント部2は、外形が略かまぼこ型の筒状のジョイントベース2aと、その外側に配置される一対の内側スライドケース2b−1、2b−2と、さらにその外側に配置される一対の外側スライドケース2c−1、2c−2と、それらにそれぞれ内装されるコイル状の圧縮バネ2d−1、2d−2を備えている。スライドオーナメント部2はジョイントベース2aの天面に形成した切り欠きにヘッドバンドアーム1b−1の端部に形成した円筒状の突出部を挿入し、一対のジョイント軸7およびトーションバネ8により取り付けられる。図4はヘッドバンドアーム1b−1とスライドオーナメント部2を連結する結合構造を説明するためのもので、図4(a)はヘッドバンドアーム1b−1とスライドオーナメント部2のジョイントベース2aとの結合箇所を示す斜視図、図4(b)は結合箇所の要部分解斜視図、図4(c)はトーションバネ8を拡大して示す斜視図である。トーションバネ8の下端はジョイントベース2aに固定され、上端はヘッドバンドアーム1b先端の円筒状突出部に形成した溝bに嵌合され、ハンガー部3を左右に開こうとすると巻き戻されたトーションバネ8の復元力により、ハンガー部3を元に戻そうとする方向に付勢されるので、ハンガー部3は常に内側に倒れこむ側圧がかかるように構成されている。
【0028】
ハンガー部3は前記したようにトーションバネ8によって常に内側に倒れ込む側圧がかかっているが、通常使用時は内側に倒れ込みすぎると取り回しが悪いので、これを規制するためのストッパーがスライドオーナメント部2に設けられている。このストッパー構造を図5(a)に示す。外側スライドケース2cの天面に形成された切り欠きの端部が通常使用時ストッパーS1として機能し、ハンガー部3の倒れ込みをイヤーカップ同士が当接しないように間隔を持たせた位置(図1参照)で規制している。収納時にはスライドオーナメント部2が開くことにより、通常使用時ストッパーS1による規制が解除され、ヒンジ部が通常使用時よりもさらに内側に向けて変位し、イヤーカップ部6が合わさる角度まで動くことが可能になる。この動きもスライドオーナメント部2に形成したストッパーS1によって規制されるが、通常使用時ストッパーS1が外側スライドケース2cに設けられているのに対し、図5(b)に示すように、収納時ストッパーS2はジョイントベース2aに設けられている。通常使用時ストッパーS1と収納時ストッパーS2とを別々に設けたことにより使い勝手を向上させることができる。また、ジョイントベース2aには、ヘッドホンを頭部から外す際に、ハンガーに加わる側圧に抗して外側に開く時の回動規制のために、図5(c)に示すとおり、全開時ストッパーS3が形成されており、必要以上に開き過ぎてヒンジ部に損傷を与えることを防止している。なお、図5はヘッドバンド部1の右側部分とスライドオーナメント部2の結合箇所を示しているが、左側についても同様の構造である。
【0029】
スライドオーナメント部2の構成および動作を図3および図6〜9によって説明する。図3に示したように、スライドオーナメント部2は、外形が略かまぼこ型の筒状のジョイントベース2aと、その外側に隣接して配置される一対の内側スライドケース2b−1、2b−2、さらに内側スライドケース2b−1、2b−2の外側に隣接して配置される一対の外側スライドケース2c−1、2c−2を備える3層構造を有している。図6はスライドオーナメント全閉時の右側から見た正面図、図7はスライドオーナメント全開時の右側から見た正面図、図8は全開時のスライドオーナメント背面内部を示す垂直方向断面図、図9は全開時のスライドオーナメント天面の内部を示す水平方向断面図である。図6のスライドオーナメント部2が閉じた状態で矢印方向の力を加えると外側スライドケースが互いに離れるように摺動し、図7の全開時の状態まで伸長する。図8図9に示すようにスライドオーナメント内には一対のコイル状の圧縮バネ2d−1、2d−2が内装され、それぞれ一端をジョイントベース2a、他端が外側スライドケース2c−1、2c−2にそれぞれ固定されており、外側スライドケース2c−1、2c−2は互いに接近する方向の力が加えられており、この力に抗して外側スライドケース2c−1、2c−2を引き離す力を加えると、外側スライドケース2c−1、2c−2および内側スライドケース2b−1、2b−2の内部に設けられたガイドピンが内側スライドケース2b−1、2b−2およびジョイントベース2aに形成された溝に案内されて図7〜9の全開状態まで直線的に摺動する。スライドオーナメント部2の構成について図面に例示した3層構造のもので説明したが、内側スライドケース2b−1、2b−2を省略してジョイントベース2aと外側スライドケース2c−1、2c−2の2層構造としてもよく、またジョイントベース2aの外形は略かまぼこ型のものに限らず、スライドオーナメント部としての機能を果たせるものであれば他の形状のものを適用することもできる。
【0030】
なお、図1に示すように、ハンガー部3は上部ハンガー4と下部ハンガー5とで構成され、さらに上部ハンガー4は一対のスイングアーム4a、4bに分割されており、スイングアーム4a、4bは、図3に示すように、それぞれスライドオーナメント部2の外側スライドケース2c−1、2c−2の下部にスイング軸9およびスイングバネ10を介して連結される。また、下部ハンガー5は、詳しくは図9に示すように、上端近傍にギア5aとストッパー5bを内装しており、下部ハンガー5はギア5aを貫通する一対のギアシャフト12と一対のジョイントアーム11を介して上部ハンガー4のスイングアーム4a、4b中間部に連結されてヒンジ機構を構成している。さらに下部ハンガー5には上下方向に摺動して位置調整可能なイヤーカップ部6が装着される。
【0031】
ギア5aは、図10に示すように、一対のギア5aが噛み合った状態で配設されており、ギアシャフト12を回転軸として上部ハンガー4の一対のスイングアーム4a、4bを拡開するための一対のジョイントアーム11(図3参照)を同期して回転させるものであるが、上部ハンガー4と下部ハンガー5を引き離した使用状態においては、後述するロック機構により回転を規制されてヒンジ機構がロックされている。イヤーカップ6aは、図10(a)に示すAからBの範囲で位置調整可能であり、イヤーカップ6aの中心がCになったときが使用状態の最上段位置であるが、イヤーカップ6aをこの位置からさらに一段強く押しこんでイヤーカップ6aに結合された押し子5cの先端でストッパー5bを押し込むとロックが解除され、ヒンジ機構の開閉動作が始まる構成としている。図10(b)はこの状態を示している。
【0032】
前記したヒンジ構造のロック機構について具体的な実施例を詳述する。ロック機構の一例を図11(a)、(b)に示す。ストッパー5bにはギアシャフト12を挿通する略小判型の開口が設けられ、この開口の上端には開口の中心に向かう突起が形成されており、通常使用時には、(a)に示すように、このストッパーの突起がギアシャフトに食い込んでシャフトの回転を規制しており、収納時には(b)に示すようにイヤーカップと連結された押し子5cがストッパー5bを押し上げることによりジョイントアーム11と連結されたギアシャフト12の回転規制が解除されるものである。
【0033】
ロック機構の他の例を図12(a)〜(d)により説明する。図12(a)は使用状態の時にジョイントアーム11の両端の軸位置を角度1.5°とし1mm程度ずらして内傾させることにより、不意に下部ハンガー5を上方に押し上げたときにスイングアーム4a、4bが連動して開かないようにしたものである。図12(b)〜(d)はこの内傾状態を解除してジョイントアーム11を回動させるための機構を示しており、ストッパー5bは図12(b)、(c)に示した形状をしており、図12(b)はギア5aとストッパー5bの配置関係を示す斜視図、図12(c)はギア形成部を取り除いた状態の平面図、図12(d)は図12(c)のロック解除機構の要部を拡大して示す図である。イヤーカップ6aと連結された押し子5cを押し上げてストッパー5bをギア5aの下側に押し込むと、ジョイントアームに連結されたドグ5dをストッパー5bに形成した突起で回転させることによりジョイントアームを回転させる構成となっている。図10(a)、(b)に示したものはこの構成を適用したものであるが、ロック解除機構はこれに限らず図11(a)、(b)に示した構造のほか各種の構造を用いることができる。
【0034】
図13はヒンジ部の開閉作業が完了して右耳用の下部ハンガー5が上部ハンガー4の間に挟持され収納されたときの状態を内側から見た斜視図である。
【0035】
次に収納操作のスライドオーナメント部およびハンガー部の連動した動作を簡素化した模式図14を用いて詳細に説明する。図14(a)はスライドオーナメント部2と上部ハンガー4、上部ハンガー4と下部ハンガー5を連結するヒンジ構造の基本的な構成を示すもので、スライドオーナメント部2にはコイル状の圧縮バネ2d−1、2d−2が内装されて外側スライドケース2c−2を矢印方向に閉じようとするように付勢し、一対の外側スライドケース2c−1、2c−2の下部にはそれぞれ上部ハンガー4のスイングアーム4bが外側に向かって回動可能にスイング軸9に軸支されて連結され、内装したねじりバネ14によって矢印方向に閉じる方向に付勢されている。上部ハンガー4の一対のスイングアーム4a、4bと下部ハンガー5は両端を回転軸により軸支された一対のジョイントアーム11により連結されている。
【0036】
図14(b)〜(f)は下部ハンガー5が上部ハンガー4のスイングアーム4a、4bの間に収納されるまでの姿態の変化を示している。図14(b)は前記したようにイヤーカップ6aの押し上げによりロックを解除してヒンジ構造の開閉運動が開始される前の状態を示している。下部ハンガー5を押し上げていくとジョイントアーム11の回転によって一対のスイングアーム4a、4bが開いていき、図14(c)のように所定の角度でスライドオーナメント部2に設けられたスイングストッパー13によって回転を規制されるまで回転する。この過程まではスライドオーナメント部2は少しづつ開いていくものの、ほぼ閉じた状態に近く、さらに下部ハンガー5を押し込んでいくとスライドオーナメント部2が大きく開き始め、これに伴ってジョイントアーム11がさらに回転することによって図14(d)、(e)のように変形し、最後まで押し込むと図14(f)のように下部ハンガー5が上部ハンガー4の一対のスイングアームの間に挟みこまれて完全な閉状態となる。なお図14(d)の状態ではねじりバネ14の力により、また図14(e)の状態では圧縮バネ2d−1、2d−2とねじりバネ14の力により上部ハンガー4の拡開状態が維持されるように構成されているので下部ハンガー5の上方への直進運動だけで上部ハンガー4に収容することができるので操作性が向上する。
【0037】
なお、上部ハンガー4を矢印方向に付勢するためのスイングバネとしてねじりバネ14を用いた例で説明したが、ねじりバネ14に替えて、図15に示すように、引張りバネ15を用いて構成とすることも可能である。図15はその一例を示す。図15図14における右側の外側スライドケース2c−2とスイングアーム4bの連結部に対応する部分を示したもので、図15(a)はスイングアーム4bが閉じた状態を示し、引張りバネ15をスイング軸(回転軸)9の横にずらした位置で外側スライドケース2c−2とスイングアーム4bの間に張架されており、この状態からスイングアーム4bを図15(b)の状態に開いたとき引張りバネ15は傾いた方向に変形し図14(a)のねじりバネ14と同様に閉じた状態に戻ろうとする力が発生する。外側スライドケース2c−2には下方に突出したスイングストッパー13が形成されスイングアーム4bの回転を所定の角度で規制しているのは図14と同様である。図3に示された実施例はこの図15の基本構成を適用したもので、この引張りバネ15がスイングバネ10に相当する。なお、符号14のねじりバネは符号8で示したトーションバネと、符号15の引張りバネは2dの圧縮バネと同義であるが、理解しやすいように使用する個所によって使い分けていることを付言する。
【0038】
図16(a)〜(f)は使用状態から収納状態までの姿態の変化を示す。(a)は収納状態、(f)は使用状態を示す。まず、図16(f)に示す使用状態から、コンパクトな状態にする場合、図2(b)に示すように、ヘッドバンドアーム1b−1、1b−2をヘッドバンドハウジング1aに収納されるように摺動してヘッドバンド部の全長を縮小し(図16(e)が相当)、前記したハンガー部の縮小操作をしていけば最終的な収納状態の姿態を非常にコンパクトで外観性も優れたものとし得る。
【産業上の利用可能性】
【0039】
本発明は耳介を覆うイヤーパッドを備えた密閉型ヘッドホンやイヤーパッドが耳介に当接するオープンエア型のヘッドホンなど比較的大径のイヤーカップを備えたオーバーヘッド型ヘッドホンに好適に利用することができるが、ヘッドバンドを介して装着するものであれば耳介内に挿入するインナーイヤー型のイヤホンにおいても同様に利用可能である。
【符号の説明】
【0040】
1 ヘッドバンド部
1a ヘッドバンドハウジング
1b−1、1b−2 ヘッドバンドアーム
2 スライドオーナメント部
2a ジョイントベース
2b−1、2b−2 内側スライドケース
2c−1、2c−2 外側スライドケース
2d−1、2d−2 圧縮バネ
3 ハンガー部
4 上部ハンガー
4a、4b スイングアーム
5 下部ハンガー
5a ギア
5b ストッパー
5c 押し子
5d ドグ
6 イヤーカップ部
6a イヤーカップ
6b イヤーパッド
7 ジョイント軸
8 トーションバネ
9 スイング軸
10(15) スイングバネ
11 ジョイントアーム
12 ギアシャフト
13 スイングストッパー
14 ねじりバネ
15 引張りバネ
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
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図15
図16