(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
第3工程で限外濾過処理した後の処理水を第1工程において硬質体表面に噴射する水として再利用する、請求項2記載の無機微粒子を含んだ汚染物からの無機微粒子の除去方法。
前記無機微粒子が、セシウム134及びセシウム137を含む放射性微粒子である、請求項1〜4のいずれか1項記載の無機微粒子を含んだ汚染物からの無機微粒子の除去方法。
前記硬質体が、道路、歩道、建築物の壁、塀、または舗装された駐車場である、請求項1〜5のいずれか1項記載の無機微粒子を含んだ汚染物からの無機微粒子の除去方法。
【背景技術】
【0002】
セシウム134及びセシウム137などの放射性微粒子を含んだ汚染物から前記放射性微粒子を除去する技術の提供が急務である。
放射性微粒子を含む汚染物で汚染された道路、建物、土壌などの汚染物を除去する際には、除去処理、及び除去処理によって生じる洗浄液の処理で生成する高濃度の放射性微粒子含有廃棄物や廃水の量を極力少なくすることが求められる。
また、除去処理による放射性微粒子の周辺環境への拡散・汚染を防ぐため、除去対象物の現場近くで除去処理を行うのが好ましい。
【0003】
さらに除去処理を実施するとき、高い除染効果が得られることは重要であるが、除染コストが低いことと、除去処理に使用する各種除去手段自体も放射能汚染され、それらも放射性廃棄物となることから、廃棄物量を減少させる減容化ができることも合わせて求められるようになっている。
【0004】
特許文献1〜3には、放射能汚染された水などを処理するための方法やシステムの発明が開示されており、いずれの発明も放射性微粒子の高い除去効果を発揮できるものの、除去処理手段が多段階になることから、処理コストの低下と廃棄物量の減容化の両方から改善の余地がある。
【発明を実施するための形態】
【0010】
図1に示す処理フローによって、無機微粒子(放射性微粒子)を除去する除去方法の一実施形態を説明する。なお、本発明の除去方法は、凝集処理工程は含んでいない。
図1は、処理対象が硬質体の場合であるが、本発明の処理対象は硬質体に限定されるものではない。
硬質体とは、セメント、アスファルト、コンクリート、コンクリートブロック、インターロッキングブロック、レンガ、タイル、金属、セラミックスなどからなる硬い表面を有するものであり、例えば、硬質体としては、道路、歩道、建築物の壁、塀、屋根、屋上、コンクリート堤防、鉄などの金属を含む機械や建築物、舗装された駐車場を挙げることができる。
また、本発明の放射性微粒子の除去方法は、硬質体以外にも、競技用グランドや歩道に使用されているゴム材、プールサイドの塩ビシートなどの軟質樹脂材、木製の橋やウッドデッキなどの軟質材なども処理対象となる。
硬質体、軟質材の他に、それらの表面に存在している土壌、砂、砕石のほか、水も処理対象となる。
【0011】
<第1工程>
第1工程では、セシウム134及びセシウム137を含む放射性微粒子を含んだ汚染物が硬質体表面10に存在するとき、硬質体表面10に対して噴射装置11から高圧で水を噴射し、噴射した水と共に放射性微粒子を吸引して、ライン21から除染水タンク12に貯水する。なお、本発明における「除染水」は、放射性物質で汚染された硬質体等を高圧噴射水で除染する際に得られた、放射性微粒子を含む高圧噴射回収水を意味し、該水中の放射性物質の低減と減容化が求められる。
高圧で水を噴射する際、噴射装置先端の噴射ノズルを回転させながら高圧水を噴射する。
第1工程で使用する噴射装置としては、(株)キクテックが有している、超高圧水表面処理工法による標示塗膜消去システムとして周知の「Jリムーバー」を使用することができる。
また第1工程で使用する噴射装置としては、特開2004−313839号公報に記載の処理水循環型の標識板剥離装置を利用することもできる。
【0012】
なお、第1工程において、除染水タンク12に汚染物を含む除染水(土壌、砂、小石、ゴミなどの固形物を含む除染水)を送るとき、除染水タンク12の入口部分に異物除去のための濾過手段を設けることができる。
この濾過手段は、大きめの異物(砂、小石、ゴミなど)を取り除くためのものであり、放射性微粒子は通過させるものである。
このような濾過手段としては、例えば、水切りフレコンバッグ(タニ工業(株)製の水切りコンテナバッグM−1DOW Hyper;目合い0.6mm)を使用することができる。
【0013】
前記濾過手段を設けないときは、除染水タンク12内の異物を濾過してライン21aから異物回収槽12aにて一次保管するようにすることもできる。
回収槽12aは水洗浄した後に洗浄排水を除染水タンク12に送って処理する。このときの水洗浄に使用する水は、限外濾過膜装置(UF装置)14を設けたときには、その処理水を使用することができる。
【0014】
<第2工程>
第2工程では、除染水タンク12内の除染水をフィルタープレス13により固形分と水に分離する。
フィルタープレス13は濾過板とフィルター(濾過布)の組み合わせからなる公知の濾過手段であり、オープンデリベリー型、クローズドデリベリー型のような濾過液回方法によるもの、ケーキ直接洗浄方法、ケーキ貫通洗浄方法のようなケーキ洗浄方法によるものがある。
また、加圧手段としては、加圧ポンプを備えたもののほか、手動式で加圧する方式のものを使用することができる。
フィルタープレスは、例えば、特開2007−229547号公報、特開2008−150244号公報、特開2009−270077号公報、特開2010−131472号公報、特開2010−284133号公報、特開2012−66187号公報、特開2012−183471号公報、特開2013−50418号公報において脱水手段などして使用されているものであり、その他、多数の製品も販売されている。
またフィルタープレスを使用した脱水方法については、例えば、特開2002−282613号公報、特開2005−218917号公報に記載されている。
【0015】
フィルタープレス13で使用するフィルター(濾布)は、平織、綾織、朱子織、二重織、フェルトなどからなるものを使用することができる。
フィルター(濾布)の材質は特に制限されるものではなく、ポリオレフィン(ポリエチレン、ポリプロピレンなど)、ポリアミド、ポリエステル、ポリ塩化ビニリデン、フッ素系樹脂などを挙げることができる。
フィルター(濾布)の厚さは0.3〜1.0mm程度が好ましいが、これに限定されるものではない。
フィルター(濾布)の通気度は10〜50cc/cm
2/minの範囲が好ましいが、これに限定されるものではない。
フィルタープレス13で使用するフィルター(濾布)は、全体を小型化する観点から10〜50枚程度が好ましいが、これに限定されるものではない。
【0016】
第2工程にてフィルタープレス13で濾過した水は、ライン23から排水することができる。
第2工程にてフィルタープレス13で濾過した固形物は、高レベルの放射能で汚染されているものであり、放射能を遮蔽できる容器内に回収して保管する。
【0017】
<第3工程>
本発明の除去方法では、さらに第3工程を設けることができる。なお、第3工程を設けるときは、第2工程にて分離した水(低汚染度の水)は、ライン23から図示していない処理水タンクに貯水した後、第3工程に移行することができる。
第3工程では、第2工程にて分離した水(低汚染度の水)をライン23から限外濾過膜装置(UF装置)14に送って濾過処理する。なお、ライン23には、UF装置14の負荷軽減の目的でプレフィルターを配置することができる。
UF装置14は公知のものを使用することができ、例えば、ダイセン・メンブレン・システムズ(株)の中空糸型ポリエーテルサルホンUF膜FUS1582のUF膜モジュールを装備したUF装置を挙げることができる。UF膜の分画分子量は、10,000〜500,000が好ましい。
第3工程のUF装置14による処理は、全量濾過処理もしくはクロスフロー濾過処理が用いられるが、全量濾過処理の方が濃縮水の発生がなく、廃水量を低減できるので、全量濾過処理が好ましい。
ライン23には図示していないUF装置5用のポンプが設置されている。
第3工程で処理した水は、放射能レベルが充分に低下されているものであり、ライン24から排水することもできるが、ライン27、25から第1工程に送って、第1工程の噴射装置11で使用する水として再利用することができる。
【0018】
第3工程で使用するUF装置14は、安定した濾過性能を維持するため、所定間隔で逆圧洗浄する。
逆圧洗浄は、除染水の固形分量、汚染度により異なるが、20〜60分間程度の濾過運転をした後、30〜60秒間程度実施することができる。
逆圧洗浄水は、水道水を使用することもできるが、除染水を増加させないようにするため、UF装置14による濾過水をライン24、25、27から導入して使用することが望ましい。逆圧洗浄水には、洗浄効果を高めるために次亜塩素酸塩溶液を添加することができる。
図1は、ライン25、27には、図示していない逆圧洗浄ポンプが設置されている。
洗浄後の逆圧洗浄水は、ライン26から第1工程の除染水タンク12に返送して処理することが望ましい。
ライン25とライン27には開閉弁(電磁弁など)31、32を図示しているが、他のラインにおいても必要に応じて適宜開閉弁を設置することができる。
【実施例】
【0019】
<放射能濃度の測定>
放射能レベルは、ゲルマニウム半導体検出器によるスペクトロメトリー分析法により測定した。用いた測定装置は、セイコー・イージーアンドジー社製SEG−EMS型であり、土壌検体はU8容器を測定容器とし、水質検体は2Lマリネリ容器を測定容器として分析した。
【0020】
実施例1
図1において、UF装置14がない処理フローで実施した。処理地域は、福島県内の A地区である。
【0021】
<第1工程>
第1工程において、Jリムーバー11((株)キクテック)を使用して、圧力150〜280MPaの超高圧水を噴射し吸引回収した除染水を水切りフレコンバック(タニ工業(株)製の水切りフレコンバッグM-1Dow Hyper,目合い0.6mm)付きの除染水タンク12(容量5000L)に回収した。なお、大きめの異物は水切りフレコンバックで分離されていた。
【0022】
<第2工程>
除染水タンク12の汚染水(約500L)を下記のフィルタープレス13に供給して濾過して、濾過液と固形物に分離した。第2工程の処理時間は約60分であった。
(フィルタープレス)
機種:(株)マキノのM14S×20枚締手動フィルタープレス
濾過面積:3m
2
濾過容積:31.5L
濾過板寸法:直径355mm,厚さ32mm
濾過板枚数:20枚
濾布:ポリプロピレン製の平織,厚さ0.6mm,通気度24cc/cm
2/min
濾布枚数:22枚(内2枚は半布)
ケーキ寸法:直径310mm,厚さ20mm
【0023】
比較例1
実施例1の第1工程と同様に実施して除染水をタンクに回収した。
次に、実施例1の第2工程に代えて、除染水タンク内の除染水200Lを凝集沈殿層に投入し、凝集剤(ポリ塩化アルミニウム90%,酸化アルミニウム10%,三恵化成)を添加・撹拌(5分間)する凝集沈澱処理をした。
その後、30分間静置して、沈澱物と上澄み水に分離した。その後、上澄み水をフィルターで濾過した。
【0024】
【表1】
【0025】
フィルタープレスを使用する実施例1は、凝集沈澱処理をする比較例1と比べると、凝集沈殿処理に要する凝集沈殿の設備機器を用いることなく省設備での処理が可能であるとともに、表1から明らかなとおり、放射性セシウムの除去率も高めることができた。
【0026】
実施例2
図1に示す処理フローで実施した。
福島県内のB地区のアスファルト路面(密粒,透水性)の除染処理を実施した。
<第1工程>
第1工程において、Jリムーバー11((株)キクテック)を使用して、圧力150〜208MPaの超高圧水を噴射し吸引回収した除染水を水切りフレコンバック(タニ工業(株)製の水切りフレコンバッグM-1Dow Hyper,目合い0.6mm)付きの除染水タンク12(容量5000L)に回収した。なお、大きめの異物は水切りフレコンバックで分離されていた。
【0027】
<第2工程>
除染水タンク12の除染水(約500L)を実施例1と同じフィルタープレス13に供給して濾過し、濾過液と固形物に分離した。第2工程の処理時間は約60 分であった。
【0028】
<第3工程>
第2工程で得た濾過液を限外濾過装置14(ダイセン・メンブレン・システムズ(株)製のFN20−FUS1582;分画分子量150,000の中空糸型ポリエーテルサルホンUF膜)で限外濾過処理した。第3工程の処理時間は約30分であった。
【0029】
比較例2
実施例2の第1工程と同様に実施して除染水をタンクに回収した。
次に、実施例2の第2工程に代えて、除染水タンク内の除染水を凝集沈殿槽に投入し、凝集剤1を添加・撹拌(5分間)した後、さらに凝集剤2を添加・撹拌(10分間)した。
その後、30分間静置して、沈澱物と上澄み水に分離した。その後、上澄み水をフィルターで濾過した。
凝集剤1:PAC(ポリ塩化アルミニウム90%、酸化アルミニウム10%、三恵化成)
凝集剤2:U002(ダイセン・メンブレン・システムズ(株))
【0030】
【表2】
【0031】
表2から明らかなとおり、第2工程のフィルタープレス処理と第3工程のUF濾過処理を組み合わせることで、2段階の凝集剤処理した比較例2と比べると、凝集沈殿槽の設備を必要とせず、かつ放射性セシウムの除去率も高めることができた。