(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
電子式料金収受システムによって料金収受を行う料金所において、進入側と発進側を逆転して運用することが可能な車線に設置される車線システムを制御するためのプログラムであって、
前記車線システムは、入口料金所車両検知器と出口料金所発進制御機とを備える第1機器と、出口料金所車両検知器と入口料金所発進制御機とを備える第2機器とを具備し、
前記入口料金所車両検知器が、入口料金所モードのとき前記車線における車両の存在を検知して入口料金所検知信号を出力するステップと、
前記出口料金所発進制御機が、出口料金所モードのとき前記料金収受のための処理が適切に行われたか否かに応じて開閉するステップと、
前記出口料金所車両検知器が、前記出口料金所モードのとき前記車線における車両の存在を検知して出口料金所検知信号を出力するステップと、
前記入口料金所発進制御機が、前記入口料金所モードのとき前記料金収受が適切に行われたか否かに応じて開閉するステップ
とを具備する方法をコンピュータに実行させるためのプログラム。
電子式料金収受システムによって料金収受を行う料金所において、進入側と発進側を逆転して運用することが可能な車線に設置される車線システムを制御するためのプログラムであって、
前記車線システムは、出口料金所発進制御機と入口料金所車両検知器とを備える第1機器と、入口料金所用電子式料金収受機器とを具備し、
前記出口料金所発進制御機が、出口料金所モードのとき前記料金収受のための処理が適切に行われたか否かに応じて開閉するステップと、
前記入口料金所車両検知器が、入口料金所モードのとき前記車線における車両の存在を検知して入口料金所検知信号を出力するステップと、
前記入口料金所用電子式料金収受機器を、前記入口料金所モードのとき、前記入口料金所検知信号に基づいて制御するステップ
とを具備する方法をコンピュータに実行させるためのプログラム。
【発明を実施するための形態】
【0011】
[入口料金所の参考例]
まず、本発明の実施形態を説明するための前提として、リバース車線ではない料金所の参考例を説明する。本参考例においては、料金収受システムの一例として、入口、出口共に路側アンテナと車載器の無線通信により課金処理を行うETC専用車線システムについて説明する。
【0012】
図1は、参考例における入口料金所を示す。入口料金所の車線100の両側に、各種路側設備を設置するためのアイランドが設けられる。本参考例においては、アイランド上に車両検知器102a、102b(S1)、アンテナ105、車両検知器106a、106b(S2)、ナンバープレート読取装置107、車線サーバ(路側無線装置)108、インターホン111、路側表示器112、発進制御機113a、113b、アンテナ114、車両検知器116a、116b(S4)、及び車線監視カメラ118が設置される。これらの機器は、分電盤109から供給される電力によって動作する。
【0013】
車両検知器102a、102bは、車線の左右のアイランドのうちの一方に設けられた投光器と他方に設けられた受光器によって構成される。車両101が入口料金所に進入すると、車両検知器102a、102bが車両101を検知する。その検知結果に応答して、アンテナ105が車両101に搭載された車載器103とETCシステムによる料金収受を行うための狭域専用無線通信を開始する。以下の説明において、このような車両の進入検知を行う車両検知器102a、102bを「車両検知器S1」と呼ぶことがある。
【0014】
車両101が前方に進み、車両検知器106a、106bに到達すると、車両検知器106a、106bが車両101を検知したことを示す検知信号に応答して、入口料金所用ETC機器の制御が行われる。その機器の制御の一例は、アンテナ105による車載器103との無線通信の停止である。すなわち、第一の車両検知器102a、102bと第二の車両検知器106a、106bとの間の領域が通信領域104として定義される。第一の車両検知器102a、102bの前方側(車両101の進行方向)の、アンテナ105が設けられている位置の付近に第二の車両検知器106a、106bが設けられることにより、車線100の延長方向に一定の長さを有する通信領域104を設定することができる。以下の説明において、このような車両の進入検知用の車両検知器S1と、後述する発進検知用の車両検知器S4(
図1の場合、車両検知器116)との間に配置される車両検知器106a、106bを「車両検知器S2」と呼ぶことがある。
【0015】
第二の車両検知器106a、106bによる機器の制御の他の例は、路側表示器112による情報の表示である。路側表示器112は、アンテナ105が車載器103と通信することによって得た車載器情報に基づいて、例えばETCシステムによる通信が適切に行われたことを示す「通行可」の情報や、車両の一旦停止を求める情報を表示する。
【0016】
車両検知器S1の位置に車両101がいる時に、その車両101に対応する表示を路側表示器112が行うと、表示のタイミングが早すぎる場合がある。そのような場合、車両検知器S2の車両検知に応答して路側表示器112の表示を行うことが望ましい。このように、車両検知器S2は、入口料金所への車両の進入を検知する車両検知器S1よりも前方側に車両101が到達したタイミングで実行される各種制御のトリガーとなる検知信号を生成する。
【0017】
ナンバープレート読取装置107は、車両101の前面を撮影して画像認識することにより、ナンバープレートに記載された文字情報を認識して記録する。インターホン111は、車両101の搭乗員が入口料金所の収受員と会話をするために設けられる。
【0018】
アンテナ114は、車載器103の情報を確認する等の用途で、発進制御機113a、113bの後方(車両101の進行方向の反対側、車両検知器S1の方向)の通信領域115に位置する車載器103と通信できるように設置される。発進制御器113a、113bは、左右のアイランドにそれぞれ設けられる一対の機器によって構成される。発進制御機113a、113bは、非ETC対応車両が車線100に進入した場合や、アンテナ105、114による車載器103との通信が適切に行われなかった場合には閉じた状態に設定される。アンテナ105、114と車載器103の通信によって料金収受のための処理が適切に行われた場合、発進制御機113a、113bは阻止棒を開ける。
【0019】
車両101が発進制御機113a、113bの設置された領域を通過すると、その前方側に設けられた車両検知器116a、116bが車両101を検知する。以下の説明において、このような車両の発進側に配置される車両検知器116a、116bを「車両検知器S4」と呼ぶことがある。進入側の車両検知器S1と、発進側の車両検知器S4とにより、料金所の内部に存在する車両101の台数を検知するキュー管理が行われる。発進制御機113a、113bを車両101が通過すると、その前方に設けられたアンテナ117が車載器103と通信を行い、入口料金所を正常に通過したことを示す情報が車載器103に書き込まれる。入口料金所の収受員は、以上の動作を、車線監視カメラ118が撮影する映像によって監視する。
【0020】
[出口料金所の参考例]
図2は、参考例における出口料金所を示す。出口料金所の車線200の両側に、各種路側設備を設置するためのアイランドが設けられる。本参考例においては、アイランド上に車両検知器202a、202b、アンテナ205、車両検知器206a、206b、車線サーバ(路側無線装置)208、インターホン211、路側表示器212、発進制御機213a、213b、アンテナ214、車両検知器216a、216b、及び車線監視カメラ218が設置される。これらの機器は、分電盤209から供給される電力によって動作する。
【0021】
車両検知器202a、202bは、
図1における車両検知器102a、102bと同様に、料金所への車両201の進入検知用の車両検知器S1として機能する。車両201が出口料金所に進入すると、車両検知器202a、202bが車両201を検知する。その検知結果に応答して、アンテナ205は、通信領域204にいる車両201に搭載された車載器203と狭域専用無線通信を行い、有料道路の通行料金の精算処理を行う。
【0022】
車両検知器206a、206bは、
図1における車両検知器106a、106bと同様に、車両検知器S1とS4の間で車両を検知する車両検知器S2として機能する。車両201が前方に進み、車両検知器206a、206bに到達すると、車両検知器206a、206bが車両201を検知したことを示す検知信号に応答して、出口料金所用ETC機器の制御が行われる。入口料金所において車両検知器106a、106bの検知信号に応答してアンテナ105の通信の停止や路側表示器112の表示が行われたのと同様に、出口料金所においても、車両検知器206a、206bの検知信号に応答してアンテナ205の通信の停止や路側表示器212の表示等が行われる。
【0023】
車両検知器206a、206bが車両201を検知すると、路側表示器212は、アンテナ205が車載器203から読み取った車載器情報等に基づいて計算された料金を表示する。インターホン211は、料金所の収受員と会話をするために設けられる。アンテナ214は、車載器203の情報を確認する等の用途で、発進制御機213の後方の通信領域215に位置する車載器203と通信できるように設置される。発進制御機213a、213bは、料金収受が正常に完了しなかった場合は阻止棒を閉じ、正常に完了した場合は阻止棒を開く。出口料金所の収受員は、以上の動作を、車線監視カメラ218が撮影する映像によって監視する。
【0024】
車両検知器216a、216bは、
図1における車両検知器116a、116bと同様に、料金所からの車両の発進を検知する車両検知器S4として機能する。車両検知器216a、216bは、発進制御機213a、213bから発進する車両201を検知して検知信号を出力する。車両検知器202a、202b(S1)、車両検知器216a、216b(S4)の検知信号により、キュー管理が行われる。
【0025】
以上、入口料金所と出口料金所の一参考例を示した。上記のようなETCシステムの料金所において、リバース車線を実現しようとする場合、単純に考えれば、
図1に例示したような入口料金所の設備と、
図2に示したような出口料金所の設備の両者を、同じ料金所車線に設置すればよい。
【0026】
しかしながら、一般的に、料金所のアイランド上には多数の機器が並び、追加で機器を設置できるスペースには限りがある。更に、料金所の機器には高い耐久性・耐候性が求められるため、多数の機器を設置すると、コストが上昇する。加えて、多数の機器を設置すると、それらを分電盤や車線サーバ等と結ぶ多数の配線が必要となり、施行の手間が増える。従って、料金所のリバース車線の構成を簡易化し、低コストでの導入を可能とする技術が望まれる。
【0027】
[実施形態]
以下、本発明の実施形態におけるETC車線システムについて説明する。
図3及び
図4は、本発明の一実施形態における料金所1を示す斜視図と上面図である。
図3及び
図4には一車線のみ示すが、実際には、入口専用車線や出口専用車線を含む複数の車線を備えた料金所のうち、進入側と発進側を逆転して運用することが可能なリバース車線として用いられる一車線のみが図示されている。リバース車線では、一つの車線が必要に応じて入口車線と出口車線とに切り替えて運用される。
【0028】
本実施形態における料金所1は、車線2の左右に設けられる一対のアイランド3、4を備える。アイランド3、4上に、入口料金所として使用される際の車両の進入側から発進側に向かって順に、アンテナ11、車両検知器12a、12b、第1機器(車両検知器機能付き発進制御機)13a、13b、ガントリ14によって車線2の上方の配置されるアンテナ15、車線サーバ5、路側表示器16、インターホン17、インターホン27、路側表示器26、第2機器(車両検知機能付き発進制御機)23a、23b、ガントリ24によって車線2の上方に配置されるアンテナ25、車両検知器22a、22b、及びアンテナ21を備える。
【0029】
以下で説明する料金所システムの動作は、例えば車線サーバ5が備えるコンピュータが発信する指令信号に基づいて実行される。そのコンピュータは、半導体記憶装置や磁気記憶装置のような非一時的な(non−transitory)記録媒体を備え、その記録媒体に、料金所システム制御用のプログラムを格納する。コンピュータがそのプログラムを読み出して実行することにより、料金所システムの動作が実行される。但し、そのコンピュータは車線サーバ5ではなく他の装置が備えていてもよいし、料金所システムの動作の一部が、料金所システムに含まれる各種機器によって分散的又は自律的に実行されてもよい。
【0030】
本実施形態ではETC専用車線について説明するが、ETCによる料金収受と、通行券を用いた料金収受の両方を行うことができる混在車線の場合でも、本実施形態に多少の変更を加えることで対応できる。そうした場合、例えば車両の停車場所となるインターホン27の付近に通行券発行装置が設置される。通行券発行装置は、混在車線の場合の非ETC対応車両や、アンテナ11、15、21、25による車載器との通信が正常に行われなかった車両に対して、入口料金所を個別に特定する料金所情報や車種情報を含む通行券を発行する。
【0031】
[車両検知器機能付き発進制御機の構成及び動作]
第1機器13a、13bは、車線2の左右のアイランド3、4のうちの一方側のアイランド3に設けられる一方側の第1機器13aと、他方側のアイランド4に設けられる他方側の第1機器13bとの対によって構成される。一方側の第1機器13aと他方側の第1機器13bは、車両の進行方向において略同一の位置に設置される。本実施形態において、第1機器13a、13bは、発進制御機13−1としての機能と、車両検知器13−2としての機能を備える。
図5及び
図6を参照して、その機能について説明する。
図5は、発進制御機モードにおける第1機器13a、13bを示す。
図6は、車両検知器モードにおける第1機器13a、13bを示す。
【0032】
一方側の第1機器13aの筺体32と、他方側の第1機器13bの筺体31に、発進制御器13−2が設けられる。筺体31、32の各々に、開閉動作が可能な阻止棒13−3が取り付けられる。
図5においては、閉状態の阻止棒33−1、33−2が実線で描かれ、開状態の阻止棒33−3、33−4が点線で描かれている。
【0033】
車両検知器13−2は、
図5において鉛直方向に複数並んだ車両検知センサ35−1〜35−3に相当する。車両検知センサ35−1〜35−3の各々は、筺体31によって所定の高さに支持された投光器(又は受光器)と、それに対応する高さに筺体32によって支持された受光器(又は投光器)との対によって構成される。車両検知センサ35−1〜35−3の各々は、投光器が出力する光線36が受光器によって検知された場合には、その高さにおいて筺体31と筺体32との間に車両などの物体が存在しないことを示す対象非検知信号を出力する。車両検知センサ35−1〜35−3の各々において、投光器の光が受光器によって検知されない場合には、その高さにおいて筺体31と筺体32との間に車両などの物体が存在することを示す対象検知信号が出力される。
【0034】
図示した例では、一対の筺体31、32にそれぞれ投光器と受光器が設けられている。しかし車両検知器13−2として、それ以外のタイプを採用してもよい。例えば、一方のアイランド3(又は4)側の筺体31に投光器と受光器が設けられ、投光器の発した光の反射光を受光器が検知することによって、物体の有無を示す信号を出力してもよい。
【0035】
発進制御機モードにおいて、発進制御機13−1は、車線サーバ5等から受信する開閉信号に応答して、阻止棒13−3を開状態と閉状態のいずれか一方の状態となるように選択的に制御する。
【0036】
発進制御機モードにおいて、車両検知器13−2はオフ状態に設定され動作しない。又は、発進制御機モードにおいて、車両検知器13−2は、発進制御機13−1の補助機能として、障害物検知を行う。この場合、車両検知器13−2が車両検知器モードにおける車両検知と同様の動作によって、後続車両などの何らかの対象(障害物)を検知すると、発進制御機13−1は、阻止棒13−3を閉じないように制御する。このような制御は、車間距離が短い渋滞時に特に有効である。そのため、例えば、車線が渋滞していることを車線サーバ5が認識した場合に、車線サーバ5からの指令により、車両検知器13−2を障害物検知センサとして用いる障害物検知モードに設定してもよい。
【0037】
障害物検知のために、具体的には、以下のような制御が行われる。例えば発進制御器13−1を車両が通過し、その車両が発進制御器13−1の下流側の車線2に設けられた踏板(車両検出センサ)を踏んだことが検出されたとき、その検出に応答して、車線サーバ5等から阻止棒13−3と閉じることを指令する閉信号が発進制御器13−1に送信される。発進制御器13−1は、その検出に応答して阻止棒13−3を閉じる制御を行う。しかしながら、障害物検知モードにおいて、発進制御機13−1は、閉信号を受信した場合であっても、障害物が検知されているときには、その閉信号を無視して開状態を維持する。このような制御により、何らかの障害物が車両検知器13−2の位置(概ね発進制御機13−1と同じ位置)に存在する場合に、阻止棒13−3を閉じることを防ぐことができる。例えば渋滞時においては、車間距離が短いため、車両が発進制御器13−1の下流側の踏板を通過した時点で、発進制御機13−1の位置に次の車両が存在する場合がある。そのような場合には、阻止棒13−3を閉じないような渋滞時対応の制御が求められる。本実施形態によれば、車両検知器モードにおいて車両検知器S2として使用されるセンサを利用して、発進制御機13−1の位置に存在する車両検知などの障害物検知を行うことができるため、障害物検知のための追加費用が少なく済む。
【0038】
車両検知器モードにおいて、第1機器13a、13bの発進制御機13−1としての機能は停止される。具体的には、阻止棒13−3が常時開状態となるように制御される。車両検知器モードにおいて、車両検知器13−2は、車線2における対象物の有無を検知して、検知結果を示す検知信号を出力する。すなわち、車両検知器モードにおいて、第1機器13a、13bは、
図1に示した入口料金所の車両検知器S2と同様の機能を担う。
【0039】
図3及び
図4に示した第2機器23a、23bも、
図5及び
図6を参照して説明した第1機器13a、13bと同様の構成を備える。車両検知器モードにおいて、第2機器23a、23bは、
図2に示した出口料金所の車両検知器S2と同様の機能を担う。
【0040】
[入口料金所としての動作]
次に、料金所1を入口料金所として使用する場合について説明する。料金所1の収受員は、例えば図示しない事務所(または収受員ブース)に設置された監視盤に対して、入口料金所として使用するための入力操作を行う。その操作に応答して、入口料金所設定信号が車線サーバ5に送信される。車線サーバ5は、入口料金所設定信号に応答して、料金所1の各機器を入口料金所設定に設定する。
【0041】
入口料金所設定において、車両検知器12a、12b、第1機器13a、13b、アンテナ15、インターホン27、路側表示器26、第2機器23a、23b、アンテナ21がオンされる。混在車線の場合は、通行券発行装置28もオンされる。それ以外のアンテナ11、路側表示器16、インターホン17、アンテナ25は出口料金所専用機器であるため、オフされる。
【0042】
入口料金所設定において、第1機器13a、13bは車両検知器モードに設定され、入口料金所車両検知器(
図1の車両検知器S2と同様の役割を担う)として機能する。車両検知器モードにおいては、発進制御機13−1は阻止棒13−3が常時開の状態となるように制御され、車両検知器13−2は、車両が存在するか否かを検知して検知信号を出力する。第2機器23a、23bは、発進制御機モードに設定される。
【0043】
入口料金所設定において、図示しない表示装置により、車線2が入口車線であることを示す表示が利用者に対して表示される。車両は、車両検知器12a、12bが設置された側を上流側、車両検知器22a、22bが設置された側を下流側とする進行方向10に進み、料金所1の車線2に進入する。
【0044】
車両が車線2の延長方向において車両検知器12a、12bの位置に到達すると、車両検知器12a、12bが検知信号を出力する。この検知信号は、料金所1内に存在する車両の台数管理等のキュー管理に用いられる。この検知信号は更に、アンテナ15が車両の車載器との通信を開始するためのトリガーとしても用いられる。但し、アンテナ15が常時、車載器と通信するための電波を発信するタイプの場合には、検知信号をトリガーとして用いる必要は無い。
【0045】
車両が第1機器13a、13bの位置まで到達すると、第1機器13a、13bの車両検知器13−2は、車両の存在を検知して、入口料金所検知信号を出力する。この検知信号は、
図1で説明した車両検知器S2の検知信号と同様に、料金所1の様々な機器の制御に用いることができる。例えば、車両検知器13−2の検知信号に応答して、アンテナ15がオフされる。又は、車両検知器13−2の検知信号に応答して、入口料金所用の路側表示器26が、検知された車両に対応する表示を開始する。表示内容は、例えばアンテナ15と車載器との通信に基づいて生成される「通行許可」、「一旦停止」等である。
【0046】
第2機器23a、23bの発進制御機23−1は、料金収受のための処理が適切に行われたか否かに応じて、阻止棒23−3の開閉を制御する。例えば、アンテナ15と車載器の通信が正常に行われなかった場合や、車両がETC非対応車であった場合、第2機器23a、23bの阻止棒23−3が閉じられる。その場合、車両は発進制御機23−1の手前で停車する。搭乗員はインターホン27で収受員と会話をし、収受員が監視盤に対して料金収受を適切に行うための入力操作を行う。本実施形態ではETC専用車線について説明しているが、混在車線の場合には、ETC非対応車は発進制御器23−1の手前で停車し、通行券発行装置から通行券を受け取る。それらの処理の完了に応答して、発進制御機23−1が阻止棒23−3を開ける。
【0047】
アンテナ15と車載器の通信が正常に行われた場合、発進制御機23−1は阻止棒23−3を開き、車両は無停止で発進側に進行する。車両検知器22a、22b(
図1の車両検知器S4に相当する)が車両を検知して検知信号を出力することにより、車両が料金所1を通過したことが認識される。アンテナ21が車載器と通信することにより、料金所1からの退出処理が完了する。
【0048】
[出口料金所としての動作]
次に、料金所を出口料金所として使用する場合について説明する。料金所1の収受員は、例えば図示しない事務所(または収受員ブース)に設置された監視盤に対して、出口料金所として使用するための入力操作を行う。その操作に応答して、出口料金所設定信号が車線サーバ5に送信される。車線サーバ5は、出口料金所設定信号に応答して、料金所1の各機器を出口料金所設定に設定する。
【0049】
出口料金所設定において、車両検知器22a、22b、第2機器23a、23b、アンテナ25、インターホン17、路側表示器16、第1機器13a、13b、車両検知器12a、12b、アンテナ11がオンされる。それ以外の路側表示器26、インターホン27は入口料金所専用の装置であるため、オフされる。混在車線の場合は、通行券発行装置もオフされる。
【0050】
出口料金所設定において、第2機器23a、23bは車両検知器モードに設定され、出口料金所車両検知器(
図2の車両検知器S2と同様の役割を担う)として機能する。車両検知器モードにおいては、発進制御機23−1は阻止棒23−3が常時開の状態となるように制御され、車両検知器23−2は、車両が存在するか否かを検知して検知信号を出力する。第1機器13a、13bは、発進制御機モードに設定される。
【0051】
出口料金所設定において、図示しない表示装置により、車線2が出口車線であることを示す表示が利用者に対して表示される。利用者の車両は、車両検知器22a、22bが設置された側を上流側、車両検知器12a、12bが設置された側を下流側とする進行方向20で、料金所1の車線2に進入する。
【0052】
車両が車両検知器22a、22bの位置に到達すると、車両検知器22a、22bが検知信号を出力する。この検知信号は、料金所1内に存在する車両の台数管理等のキュー管理に用いられる。この検知信号は更に、アンテナ25が車両の車載器との通信を開始するためのトリガーとしても用いられる。
【0053】
車両が第2機器23a、23bの位置まで到達すると、第2機器23a、23bの車両検知器23−2は、車両の存在を検知して、出口料金所検知信号を出力する。この出口料金所検知信号は、
図2で説明した車両検知器S2の検知信号と同様に、料金所1の機器の制御に用いることができる。例えば、出口料金所検知信号に応答して、アンテナ25がオフされる。又は、出口料金所検知信号に応答して、出口料金所用の路側表示器16が、検知された車両に対応する利用料金の表示を開始する。
【0054】
アンテナ25と車載器の通信が正常に行われなかった場合や、車両がETC非対応車であった場合、第1機器13a、13bの阻止棒13−3が閉じられる。車両の搭乗者は、図示しない料金自動収受機に通行券を挿入し且つ料金を支払うことにより、又はインターホン27で収受員と会話をすることにより、料金収受のために必要な処理を行う。その処理が完了すると、発進制御機13−1は阻止棒13−3を開く。
【0055】
アンテナ25と車載器の通信が正常に行われ、ETCシステムによる有料道路の利用料金の精算が完了すると、発進制御機13−1は阻止棒13−3を開き、車両は無停止で発進側に進行する。車両検知器12a、12b(
図2の車両検知器S4に相当する)が車両を検知して検知信号を出力することにより、車両が料金所1から退出したことが認識される。アンテナ11が車載器と通信することにより、料金所1からの退出処理が完了する。
【0056】
以上に説明した料金所1において、第1機器13a、13bは発進制御機13−1と車両検知器13−2の両方の機能を有する。第2機器23a、23bは発進制御機23−1と車両検知器23−2の両方の機能を有する。車両検知器13−2、23−2は、それぞれ
図1、
図2に示した車両検知器S2と同様に機能する。従って、第1機器13a、13bと第2機器23a、23bの2台の機器によって、
図1の車両検知器S2、発進制御機113、
図2の車両検知器S2、発進制御機213の4台の機器の機能を達成することができる。その結果、リバース車線において、
図1に示す入口料金所の機器と
図2に示す出口料金所の機器を全て設置した場合と比べて、設置する機器の数を減らすことが出来る。
【0057】
図5、
図6に示す車両検知センサ35−1〜35−3は、車線2の路面から所定の高さに設置する必要がある。本実施形態においては、発進制御機の筺体31、32が、ある程度の高さを持ってアイランド3、4に設置される。その筺体31、32を利用して車両検知センサ35−1〜35−3を設置することにより、車両検知器13−2、23−2を支持するための専用の筺体を設置する必要が無い。そのため低コストでの導入が可能である。更に、機器の設置及び配線に掛かる手間を削減することができる。
【0058】
車線2の入口付近と出口付近に設けられキュー管理に用いられる車両検知器12a、12b、22a、22b(
図1及び
図2の車両検知器S1、S4)は、車両を正確に認識するために、鉛直方向に並んだ多数の車両検知センサ(投光器と受光器の対など)を有することが多い。それに対して、アンテナ15、25の停止や路側表示器16、26の表示などのETC機器の動作のトリガーとなる車両検知器13−2、23−2(車両検知器S2)には、比較的精度が要求されない。従って、車両検知器12a、12b、22a、22bよりも少ない数の車両検知センサ35−1〜35−3によって車両検知器13−2、23−2を構成することにより、更に低コストで導入することが可能である。
【0059】
図3、
図4の実施形態では、2台の車両検知機能付き発進制御機(第1機器13a、13b、第2機器23a、23b)が設置されたが、第1機器と第2機器との一方のみを採用した場合でも、低コストでの導入及び施工の簡素化の効果が得られる。その場合、他方には、
図1、
図2のように、発進制御機113、213と車両検知器106、206とが別個に設置される。