特許第6185344号(P6185344)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6185344
(24)【登録日】2017年8月4日
(45)【発行日】2017年8月23日
(54)【発明の名称】消火栓装置
(51)【国際特許分類】
   A62C 35/20 20060101AFI20170814BHJP
【FI】
   A62C35/20
【請求項の数】8
【全頁数】16
(21)【出願番号】特願2013-185372(P2013-185372)
(22)【出願日】2013年9月6日
(65)【公開番号】特開2015-51136(P2015-51136A)
(43)【公開日】2015年3月19日
【審査請求日】2016年5月18日
(73)【特許権者】
【識別番号】000003403
【氏名又は名称】ホーチキ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100079359
【弁理士】
【氏名又は名称】竹内 進
(72)【発明者】
【氏名】外村 賢昭
【審査官】 小笠原 恵理
(56)【参考文献】
【文献】 特開2012−239485(JP,A)
【文献】 実開昭55−166259(JP,U)
【文献】 特開2004−329777(JP,A)
【文献】 特開2012−235910(JP,A)
【文献】 特開2012−236039(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A62C 35/20
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
消火ホースを収納した消火栓装置に於いて、
上面、背面及び底面を備えると共に少なくとも前面開口し、消火栓装置設置場所の壁面に形成された矩形窪み部に収納された箱形の装置本体と、
前記装置本体の前面開口部の上下何れかの端部に配置されたロールスクリーン装置と、
前記矩形窪み部の開口部の横幅よりも広い横幅を有し、前記ロールスクリーン装置による巻き出し又は巻き込みにより前記矩形窪み部の開口部を開閉自在なスクリーンと、
を備えたことを特徴とする消火栓装置。
【請求項2】
請求項1記載の消火栓装置に於いて、前記スクリーンの表面は、前記消火栓装置設置場所の壁面と略同じ色であることを特徴とする消火栓装置。
【請求項3】
請求項1記載の消火栓装置に於いて、前記装置本体は、上面、背面及び底面を備えると共に側面又は側面開口側の一部及び前面が開口したことを特徴とする消火栓装置。
【請求項4】
請求項1記載の消火栓装置に於いて、
前記前面開口部の下端に、前記ロールスクリーン装置配置され
前記前面開口部の上端にスクリーン開閉操作部配置され
前記スクリーン開閉操作部は、前記ロールスクリーン装置から巻き出された前記スクリーンの先端を前記前面開口部の上端に保持して前記矩形窪み部の開口部を閉鎖すると共に、所定の開放操作により前記スクリーンの先端保持を解除して前記スクリーンを前記ロールスクリーン装置に巻き取って前記矩形窪み部の開口部を開放させる構造を備えたことを特徴する消火栓装置。
【請求項5】
請求項1記載の消火栓装置に於いて、
前記前面開口部の上端に前記ロールスクリーン装置及びスクリーン開閉操作部配置され
前記前面開口部の下端に前記ロールスクリーン装置から巻き出された前記スクリーンの先端を前記前面開口部の下端に保持して前記矩形窪み部の開口部を閉鎖すると共に、前記スクリーン開閉操作部の所定の開放操作による動きを遠隔的に受けて前記スクリーンの先端保持を解除して前記スクリーンを前記ロールスクリーン装置に巻き取って前記矩形窪み部の開口部を開放させるスクリーン保持部備えたことを特徴する消火栓装置。
【請求項6】
請求項1記載の消火栓装置に於いて、前記装置本体の上部に、発信機、赤色表示灯及び内蔵した音響警報器の音響孔を有する通報装置を備えたことを特徴とする消火栓装置。
【請求項7】
請求項1記載の消火栓装置に於いて、前記スクリーンは、不燃性又は難燃性のシートであることを特徴とする消火栓装置。
【請求項8】
請求項4又は5記載の消火栓装置に於いて、
前記スクリーン開閉操作部は、ハンドルレバーの回転操作により前記スクリーンの先端保持を解除して前記前面開口部を開放させ、
前記ハンドルレバーは、前記開放時に前記前面開口部と重ならない位置に退避することを特徴とする消火栓装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、屋内に設置され、消火ホースを収納した消火栓装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、建物内で発生した火災を消火するための消火栓装置としては例えば図15乃至図17に示すのもが知られている。
【0003】
図15は従来の消火栓装置の設置状態を示した説明図であり、消火栓装置200は金属製の収納箱202の前面に、開閉自在に消火栓扉204を設け、また消火栓扉204の上部に通報パネル206を設け、ここに発信機208、赤色表示灯210、及び内蔵した警報用スピーカに対応して音響孔212を設けている。
【0004】
赤色表示灯210は常時点灯し、消火栓装置200の設置場所が遠方から視認できるようにしている。火災時には、発信機208中央に設けたボタンを押圧操作することでボタン内側のスイッチをオンすると、発信信号が監視室の防災受信盤(火災受信機)に送信されて防災受信盤の報知部から火災警報が報知出力されると共に、防災受信盤から引き出された制御線に接続されて各所に設置された地区音響端末に対して地区音響信号が送られて所定の各場所でも警報音が出力される。
【0005】
図16図15に示した消火栓装置200の消火栓扉204を取り外した状態で内部構造を示した説明図であり、収納箱202の内部に消火栓弁214を配置し、消火栓弁214には先端にノズル218を装着した消火ホース216を連結接続し、図示の如くホルダー220に折り畳み状態で掛けることで引き出し自在に収納している。図17はこの消火栓扉204を開放した状態であり、図16に示した内部構造は省略している。
【0006】
通常時、消火栓装置200の消火栓扉204は図15に示した如く閉じられており、適宜の扉ロック機構等により閉状態に維持されている。そして火災が発生した場合には、扉ロック機構等を操作して扉閉状態を解除して図17のように消火栓扉204を開き、例えば一人がノズル218を持ちながら消火ホース216を引き出して火災発生場所(消火対象)に向かい、もう一人が発信機208を操作して通報すると共に消火栓弁214を開放操作するといったように、二人ないしそれ以上で消火活動を行う。これは、ホースの引出中に消火栓弁214を開放すると、水圧とその反動等によりホースが適切に引き出せなくなったり、危険が生じたりするといった問題を回避するため、また使用中、消火栓扉の開放を人の手で維持する必要がある等のためである。
【0007】
このように、少なくとも二人操作を必要とする消火栓装置は1号消火栓として法的に規格が定められており、一方、一人操作を可能とする消火栓として放水による反動力を抑えると共に保形ホースを使用した2号消火栓も法的に規格が定められている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】特開平9−38231号公報
【特許文献2】特開2012−239485号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
ところで、従来、このような消火栓装置を使用した消火活動における統計結果として、火災発生時の消火栓の使用例に対し奏功率は10%に留まることが報告されている。これはスプリンクラー消火設備の奏功率が60〜70%にあることと対比すると、消火栓の奏功率はかなり低い結果となっている。
【0010】
このように消火栓装置の奏功率が低い要因は、消火栓装置は通常時、図15に示したように消火栓扉204が閉じていて内部を見ることができないため、図16に示すような消火栓弁と消火ホースを収納した内部構造が充分知られておらず、また、火災が発生した場合に図17のように消火栓扉204を開いても、角度によっては扉に遮られて内部が見えづらいために扱い難いことに起因している。
【0011】
また、消火栓扉は横に回動して開放する構成が多く、放水作業を開始するときに、開放した消火栓扉が放水中にホースを挟むなど放水作業に悪影響を及ぼさないようにするため、係員が消火栓扉の開放を保持することが必要となる。また、扉の開放を維持した場合、扉が通路を遮って避難通路を遮ってしまう問題がある。
【0012】
この問題を解決するため本願出願人にあっては、消火栓弁と消火ホースを収納した収納箱の開口を、ロールスクリーン装置から巻き出したスクリーンを消火栓扉として用いて覆うようにし、ハンドル操作によりラッチを解除するとスクリーンの保持を解除してロールスクリーン装置に巻き込むことで、消火栓扉として機能するスクリーンが開き、装置前側に突出することがないため、消火作業の邪魔にならないようにした消火栓装置を提案している(特許文献2)。
【0013】
しかしながら、図15に示した従来の消火栓扉を備えた消火栓装置や、収納箱の開口をスクリーンで覆うようにした消火栓装置にあっては、建物の廊下などの設置場所となる壁面に、型枠をセットしてコンクリートを打ち込むことで矩形の収納部を作り、ここに消火栓装置の収納箱202を組み込み設置しており、消火栓扉又はスクリーン及び通報パネルの枠と共に室内に露出するようになり、消火栓装置の設置場所によっては、室内の景観を損なう場合がある。
【0014】
この場合、通報パネルは消火栓装置の設置場所を示したり、火災通報に使用することから室内に露出することに問題はないが、消火栓扉やスクリーンの枠については全体に占める割合が大きく、消火栓装置の設置場所によっては、室内の景観を損なう場合がある。
【0015】
また、消火栓装置は、装置本体として金属製の収納箱を使用しており、製造コストが嵩み、重量も重くなる問題があり、この点の改善も望まれている。
【0016】
本発明は、壁面に対し組込み設置した場合の室内景観に対する影響を低減可能とすると共に、装置本体の構造を簡略化してコスト及び重量の低減を可能とする消火栓装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0017】
(消火栓装置)
本発明は、消火ホースを収納した消火栓装置に於いて、
上面、背面及び底面を備えると共に少なくとも前面開口し、消火栓装置設置場所の壁面に形成された矩形窪み部に収納された箱形の装置本体と、
装置本体の前面開口部の上下何れかの端部に配置されたロールスクリーン装置と、
矩形窪み部の開口部の横幅よりも広い横幅を有し、ロールスクリーン装置による巻き出し又は巻き込みにより矩形窪み部の開口部を開閉自在なスクリーンと、
備えたことを特徴とする。
【0018】
(スクリーンの壁面色)
スクリーンの表面、消火栓装置設置場所の壁面略同じ色である
【0019】
(装置本体)
装置本体は、上面、背面及び底面を備えると共に側面又は側面開口側の一部及び前面が開口している。
【0020】
(スクリーン巻き降し開口)
前面開口部の下端に、ロールスクリーン装置配置され
前面開口部の上端にスクリーン開閉操作部配置され
スクリーン開閉操作部は、ロールスクリーン装置から巻き出されたスクリーンの先端を前面開口部の上端に保持して矩形窪み部の開口部を閉鎖すると共に、所定の開放操作によりスクリーンの先端保持を解除してスクリーンをロールスクリーン装置に巻き取って矩形窪み部の開口部を開放させる構造を備える。
【0021】
(スクリーン巻き上げ開口)
前面開口部の上端にロールスクリーン装置及びスクリーン開閉操作部配置され
前面開口部の下端に、ロールスクリーン装置から巻き出されたスクリーンの先端を前面開口部の下端に保持して矩形窪み部の開口部を閉鎖すると共に、スクリーン開閉操作部の所定の開放操作による動きを遠隔的に受けてスクリーンの先端保持を解除してスクリーンをロールスクリーン装置に巻き取って矩形窪み部の開口部を開放させるスクリーン保持部を備える
【0022】
装置本体の上部に、発信機、赤色表示灯及び内蔵した音響警報器の音響孔を有する通報装置を備える。スクリーンは不燃性又は難燃性のシートである
スクリーン開閉操作部は、ハンドルレバーの回転操作によりスクリーンの先端保持を解除して前面開口部を開放させ、ハンドルレバーは、開放時に前面開口部と重ならない位置に退避する。
【発明の効果】
【0023】
(基本的な効果)
本発明の消火栓装置は、少なくとも上面、背面及び底面を備え、側面又は側面開口側の一部及び前面に開口した箱形の装置本体と、装置の前面開口部に、開口端部に配置したロールスクリーン装置による巻き出し又は巻き込みにより開閉自在な不燃性又は難燃性のスクリーンを設けるようにしたため、設置場所の壁面に形成した収納部に消火栓装置を組み込み設置した場合、装置本体は前面から見て設置状態で外部に露出する枠に相当する部分が存在せず、装置本体の前面開口部を閉鎖しているスクリーンのみが見える状態となり、従来の消火栓装置で壁面に露出していた消火栓扉又はスクリーンを囲む枠が無くなることで、消火栓装置を設置する場所の景観や室内デザインに対する影響を大幅に低減可能とする。
【0024】
また、装置本体は、上面、背面及び底面を備え、側面は全くないか、或いは開口側の一部がない側面とした箱型の構造であり、前方に開口した箱形の一部となる構造であることから、その分、構造が簡単でコスト及び重量を低減可能とする。
【0025】
(スクリーンの壁面色による効果)
また、スクリーンの表面を、消火栓装置設置場所の壁面の色と略同じ色とするようにしたため、スクリーンによる開口部の閉鎖状態で、スクリーンが壁面に一体化して壁面として見えることで、消火栓装置を設置する場所の景観や室内デザインに対する影響を大幅に低減可能とする。
【0026】
(スクリーン横幅による効果)
また、設置場所の壁面に形成した収納部に収納する装置本体の横幅に対し、収納部の開口部外側に位置するスクリーンの横幅を広くするようにしたため、室内に開口した壁面開口部の左右の開口縁部を覆い隠すようにスクリーンが展開し、スクリーンと壁面の外観的な一体化をより強めることを可能とする。
【0027】
(スクリーン巻き降し開口による効果)
また、ロールスクリーン装置を開口部の下端に配置し、開口部の上端にスクリーン開閉操作部を配置し、スクリーン開閉操作部は、ロールスクリーン装置から巻き出したスクリーンの先端を開口部の上端に保持して開口部を閉鎖すると共に、所定の開放操作によりスクリーンの先端保持を解除してロールスクリーン装置に巻き取って開放させる構造を備えるようにしたため、スクリーン開閉操作部に設けた例えばハンドル操作により、スクリーンの保持を解除してスクリーンを開口部の下に巻き降ろして開口し、消火作業の邪魔にならず、また、扉開放スペースを確保する必要がなく、設置場所の制約を低減可能とする。
【0028】
(スクリーン巻き上げ開口による効果)
また、開口部の上端にロールスクリーン装置を配置すると共にスクリーン開閉操作部を配置し、ロールスクリーン装置から巻き出したスクリーンの先端を開口部の下端に保持して開口部を閉鎖すると共に、スクリーン開閉操作部の所定の開放操作による動きを遠隔的に受けてスクリーンの先端保持を解除してロールスクリーン装置に巻き取って開放させるスクリーン保持部を、開口部の下端に設けるようにしたため、スクリーン開閉操作部に設けた例えばハンドル操作により、遠隔的にスクリーンの保持を解除してスクリーンを開口部の上に巻き上げて開口し、消火作業の邪魔にならず、また、扉開放スペースを確保する必要がなく、設置場所の制約を低減可能とする。更に、スクリーンが開口上部のロールスクリーン装置に巻上げられることで、開口部下側にロールスクリーン装置の設置スペースを確保する必要がなく、消火作業で開口部下側を広く使うことを可能とする。
【図面の簡単な説明】
【0029】
図1】ロールスクリーン装置を開口下部に設けた消火栓装置の概略を示した説明図
図2】ロールスクリーンを開放した消火栓装置の説明図
図3】消火栓装置のスクリーン閉鎖状態と開放状態を示した斜視図
図4】消火栓装置のスクリーン閉鎖状態と開放状態を示した側面断面図
図5】ロールスクリーン装置を取り出して示した説明図
図6】開閉操作部に対するスクリーン先端の保持構造を示した説明図
図7】壁面収納部に対する消火栓装置の設置を示した説明図
図8】消火栓装置の設置状態を示した説明図
図9】消火栓装置のスクリーン開放状態を示した説明図
図10】ロールスクリーン装置を開口上部に設けた消火栓装置を示した説明図
図11】ロールスクリーンを巻上げ開放した消火栓装置の説明図
図12】消火栓装置のスクリーン閉鎖状態と巻上げ開放状態を示した側面断面図
図13】消火栓装置の遠隔操作によるスクリーン開閉機構を示した説明図
図14】装置本体に側面板を設けた消火栓装置の実施形態を示した説明図
図15】従来の消火栓装置を示した正面図
図16】従来の消火栓装置につき消火栓扉を取外して内部構造を示した説明図
図17】従来の消火栓装置について消火栓扉の開放状態を示した説明図
【発明を実施するための形態】
【0030】
[スクリーン巻き降ろしで開口する消火栓装置の概要]
図1はロールスクリーンを用いた消火栓装置の実施形態を示した説明図、図2は消火栓装置のスクリーン開放状態を示した説明図、図3は消火栓装置のスクリーン閉鎖状態と開放状態の縦断面を示した説明図である。なお、装置本体内には図17に示した消火栓ホースや消火栓弁などを設けているが、その図示を省略している。
【0031】
図1乃至図に示すように、消火栓装置10は、装置本体12を上面板12a、背面板12b及び底面板12cを備えた側面及び前面に開口した箱形の一部を構成する構造であり、その上部に、パネル枠14、通報パネル16及び通報ボックス16aで構成した通報装置を一体に設けている。装置本体12の側面の4箇所には支持部材13を配置し、箱形構造を保つ強度を確保している。
【0032】
装置本体12の前面開口部の下端部にはロールスクリーン装置26を配置し、ロールスクリーン装置26から巻き出したスクリーン24の上部の支持部材28を、前部開口の上部に配置した開閉操作部30に係合し、スクリーン24で前面開口部を閉鎖した状態に保持している。
【0033】
開閉操作部30にはハンドル32を設けており、ハンドル32の回動操作で支持部材28の保持を解除し、スクリーン24をロールスクリーン装置26に巻き下して開放させる。
【0034】
スクリーン24は不燃性又は難燃性のシートを使用しており、スクリーン24の表面の色は、消火栓装置10を設置する建物内の壁面の色と同じ色又はそれに近い色としている。
【0035】
またスクリーン24の横幅L1は、設置場所の壁面に形成した収納部に収納する装置本体12の横幅L2に対し、
L1>L2
としている。即ち、スクリーン24の横幅L1を装置本体12の横幅L2より広くしており、消火栓装置10を壁面に形成した収納部に組込み設置した場合、収納部の開口縁部がスクリーン24により隠され、スクリーン24と壁面が連続するようにしている。
【0036】
装置本体12の上部に設けた通報パネル16には、発信機18、赤色表示灯20、音響警報器として例えばスピーカを背後に内蔵した音響孔22を設けている。通報パネル16の周囲にはパネル枠14を配置し、パネル枠14の背後に箱形の通報ボックス16aを設け、設置場所の壁面に形成した収納部に収納する場合、パネル枠14が収納部開口に当って位置決めすることになる。
【0037】
[ロールスクリーン装置]
図5はロールスクリーン装置を取り出して示した説明図、図6は開閉操作部に対するスクリーン先端の保持構造を示した説明図である。
【0038】
図5及び図6に示すように、ロールスクリーン装置26は、基台36の左右両側にサイドホルダ38を起立し、両サイドホルダ38の間にローラパイプ34を回転自在に支持し、ローラバイプ34にはスクリーン24の下端を固定した状態で巻き込んでいる。
【0039】
スクリーン24は裏面側に棒状又は板状のステー25を横方向に設けており、ステー25は骨組みとして、また重しとして、スクリーン24を張るようになり、スクリーン24に皺ができにくいようにしている。
【0040】
支持部材28の軸方向略中央には、フック金具40を設け、開閉操作部30のフック爪35を、フック金具40のフック穴40aに押圧挿通し、これによりスクリーン24を閉鎖状態に保持している。
【0041】
ロールスクリーン装置26はコイルバネを内蔵しており、スクリーン24の巻き出しに伴うローラパイプ34の回転で内蔵したコイルバネを巻き込み、スクリーン24を巻き出して前面開口部を閉鎖した状態でも、巻き込む方向の力を継続的にスクリーン24に加えている。
【0042】
開閉操作部30は、前方側にハンドル32を設け、スクリーン閉鎖状態で、ハンドル32を、例えば下向き(時計回り)に回動操作すると、フック金具40からフック爪35を抜いて支持部材28の保持を解除し、ロールスクリーン装置26がスクリーン24を自動的に巻き取り、スクリーン開放状態とする。
【0043】
[消火栓装置の組付け配置]
図7は壁面収納部に対する消火栓装置の設置を示した説明図、図8は消火栓装置の設置状態を示した説明図及び図9は消火栓装置のスクリーン開放状態を示した説明図である。
【0044】
図7に示すように、建物内の消火栓装置を設置する場所の壁面46には、型枠を設置してコンクリートを打ち込むことで、箱形の窪みとなる収納部42を形成している。また、収納部42の開口側の下部両側には、消火栓装置10に設けたロールスクリーン装置26を配置する矩形の窪み44を同時に形成している。
【0045】
壁面46に形成した収納部42に対して、消火栓装置10を矢印で示すように、組み込んで配置し、給水管と接続する配管作業及び通報パネル16に設けた発信機18、赤色表示灯20及び内蔵したスピーカに対する配線作業を行う。なお、消火栓装置10の組込み設置の作業の際には、スクリーン24を傷つけないため、スクリーン24はハンドル32の操作で保持を解除し、ロールスクリーン装置26に巻き下したスクリーン開放状態で作業を行う。
【0046】
壁面46の収納部42に対する消火栓装置10の組込み配置が完了すると、図8に示すように、パネル枠14を設けた通報パネル16が壁面46に露出して配置され、その下には、スクリーン24を上部に引き上げて保持することで前面開口部を閉鎖しており、図7に示した収納部42の両側の開口縁部は、スクリーン24により完全に隠され、スクリーン24は壁面46に連続している。
【0047】
また、スクリーン24の表面の色は、設置場所の壁面46の色と同じ色又はそれに近い色にしており、少しは離れて見た場合、スクリーン24と壁面46の境目は分からず、スクリーン24は壁面46の一部として一体に見えるようになる。
【0048】
このようなスクリーン24と壁面46を外観的に一体化することにより、消火栓装置10を設置しても、設置場所の景観にほとんど影響を与えることがなく、建物内のデザイン性を維持可能とする。
【0049】
また、消火栓装置10としての機能は、壁面46に通報パネル16を露出して配置し、また、通報パネル16のパネル枠14にはスクリーン24を開放操作するためのハンドル32も設けているため、スクリーン24と壁面46を外観的に一体化していても、消火栓装置としての機能や操作性は何ら損なわれることはない。
【0050】
図8に示したスクリーン24の閉鎖状態で、火災が発生して消火栓装置10を使用する場合に、ハンドル32を回動操作すると、スクリーン24の保持を解除し、スクリーン24はロールスクリーン装置26に巻き込まれ、図9に示すように、消火栓装置10の前面が開口し、この状態で内部に収納しているホースを引き出し、消火栓弁のハンドルを開いて放水することを可能とする。
【0051】
この場合、保持を解除したスクリーン24は下部のロールスクリーン装置26に巻き取られ、消火作業の邪魔になることはない。
【0052】
[スクリーン巻上げで開口する消火栓装置の概要]
図10はスクリーン巻上げで開口する消火栓装置の実施形態を示した説明図、図11は消火栓装置のスクリーン開放状態を示した説明図、図12は消火栓装置のスクリーン閉鎖状態と開放状態の縦断面を示した説明図、消火栓装置のスクリーン遠隔開閉機構を示した説明図である。
【0053】
図10乃至図12に示すように、本実施形態の消火栓装置10は、装置本体12の前面開口部の上端部にロールスクリーン装置26を配置し、ロールスクリーン装置26から巻き下したスクリーン24の下部の支持部材28を、前部開口の下部に配置した開閉機構部48に係合し、スクリーン24を前面開口部を閉鎖した状態に保持している。
【0054】
開閉操作部30にはハンドル32を設けており、ハンドル32の回動操作による動きをワイヤーにより下部に配置した開閉機構部48に伝えて支持部材28の保持を解除し、スクリーン24をロールスクリーン装置26に巻き上げて開放する。
【0055】
ハンドル32による開閉機構部48の遠隔操作機構は、図13に示すように、ハンドル32の軸32aに固定したレバー50の先端にワイヤー52を締結し、ローラ54,56を経由して開閉機構部48にワイヤー52を引き込んでいる。
【0056】
開閉機構部48には、軸60により回動自在なリンクレバー58を設け、リンクレバー58の下端にワイヤー52を締結すると共に、バネ61を設けて、リンクレバー58を反時計回りに付勢する。
【0057】
リンクレバー58の上端にはフック爪62を、スクリーン24の支持部材28に設けたフック金具40のフック穴に嵌め入れて保持している。
【0058】
ハンドル32を矢印のように時計回りに回動操作すると、レバー50の回動に伴いワイヤー52を引き込み、このワイヤー52の動きが開閉機構部48のリンクレバー58に伝達され、リンクレバー58は時計回りに回動し、フック爪62がフック金具40から外れて保持を解除し、スクリーン24を上部に配置したロールスクリーン装置26により巻上げて、装置本体12の前面を開放する。
【0059】
なお、それ以外の構成及び機能は、図1乃至図3の実施形態と同様であることから、その説明を省略する。
【0060】
[装置本体構造の他の実施形態]
図14は装置本体に側面板を設けた消火栓装置の実施形態を示した説明図である。図14に示すように、本実施形態の消火栓装置10に設けた装置本体12は、上面板12a、背面板12b及び底面板12cを備えた点は図1乃至図3に示した実施形態と同様であるが、補強用の支持部材13に代えて、部分側面板12dを設けている。
【0061】
部分側面板12dは、背面板12bに続いて一体に設け、前面開口側を除くことで、部分側面板12dの前方端部をスクリーン24の後方に位置している。即ち、装置本体12の奥行きD1に対し、部分側面板12dの奥行きD2を
D1>D2
としている。
【0062】
このため図7に示したように、消火栓装置10を壁面46の収納部42に組込み配置した場合、部分側面板12dは収納部42内に位置し、壁面46に露出することはない。尚、これ以外の構成及び機能は、図1乃至図3の実施形態と同様であることから、その説明を省略する。
【0063】
[本発明の変形例]
上記の実施形態は二人操作を行う消火栓装置を例にとっているが、一人操作を行う消火栓装置や補助散水栓装置についても同様に適用できる。また、人の手によって、通常閉鎖されている収納箱の内部に収納された各種装置等を取り出したり操作したりする消火栓装置である限りにおいて、収納箱の内部に設ける装置類は任意であり、例えば上記実施形態のものに加え消火ポンプの起動スイッチボタン等を設けた消火栓装置についても同様に適用できる。
【0064】
また、上記各実施形態で示した消火栓装置の、例えば装置本体に内蔵されるホース類や消火栓弁、通報パネル部の構成及び配置その他、スクリーン部分以外の構成についても任意であり、適宜の構成を採用して良い。要するに、消火栓装置の開口部に対しスクリーンロール装置を用いた開閉構造を設け、本願の課題の一部又は全部を解決し、或いは若干でも改善するものであれば良い。
【0065】
また、発信機は必ずしも消火栓と一対でなくてもよく、発信機の設置場所は消火栓の場所によらず適宜設計配置されてもよい。
【0066】
また、図13に示した遠隔開閉機構は一例であり、ハンドル操作によりスクリーンの保持を解除して開放させる構造であれば、適宜の機構構造を用いても良い。
【0067】
また本発明は、その目的と利点を損なうことのない適宜の変形を含み、更に、上記の実施形態に示した数値による限定は受けない。
【符号の説明】
【0068】
10:消火栓装置
12:装置本体
12a:上面板
12b:背面板
12c:底面板
12d:部分側面板
14:パネル枠
16:通報パネル
18:発信機
20:赤色表示灯
22:音響孔
24:スクリーン
26:ロールスクリーン装置
28:支持部材
30:開閉操作部
32:ハンドル
40:フック金具
40a:フック穴
42:収納部
46:壁面
48:開閉機構部
図1
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