【課題を解決するための手段】
【0007】
次に、上記の課題を解決するための手段を、実施の形態に対応する図面を参照して説明する。
本発明の請求項1記載のシャッター装置11の構造は、建物開口の一側に設けられ、シャッターカーテン19を外周に巻装する巻取シャフト23を備えるシャッター装置11の構造であって、
前記巻取シャフト23を構成し、前記シャッターカーテン19の一側縁が固定され該シャッターカーテン19が巻回される筒状の本体部25と、
前記本体部25の軸線51に沿う方向の両端に前記軸線51を中心に取り付けられ少なくとも一方が前記本体部25に対して前記軸線51に沿う方向に移動自在となる一対の軸首27と、
前記軸首27の外周から突出するキー55と、
前記本体部25に形成され前記軸首27を支持する軸穴49の内周が半径方向外側に切り欠かれて前記キー55が係合することで前記軸首27と前記本体部25との相対回転を規制する本体側キー溝59と、
を具備することを特徴とする。
【0008】
このシャッター装置11の構造では、軸首27が本体部25の軸穴49に挿入されて、軸首27と本体部25の本体側キー溝59に挿入されるキー55が介設状態となる。軸首27が回転駆動されれば、キー55を介して巻取シャフト23の本体部25が回転される。軸首27が回転規制されれば、本体部25にモーメントが作用しても、巻取シャフト23は回転が規制される。
温度差により、長尺の巻取シャフト23が伸縮すると、軸首27と本体部25とが軸線51に沿う方向で固定されておらず、移動自在とされており、巻取シャフト23の伸縮による変位が、キー55を介した本体側キー溝59の移動によって吸収され、一対の軸首間の距離が変動しにくくなる。
【0009】
本発明の請求項2記載のシャッター装置11の構造は、請求項1記載のシャッターの構造であって、
前記軸首27の外周に前記軸線51に沿う方向で軸首側キー溝53が凹設され、
前記キー55が、前記軸首側キー溝53より短く形成され、前記軸首側キー溝53に沿う方向に移動自在となって前記軸首側キー溝53に挿入され、前記軸首27の外周から突出することを特徴とする。
【0010】
このシャッター装置11の構造では、軸首27の軸首側キー溝53にキー55が挿入され、キー55は、軸首側キー溝53内で軸線51に沿って移動可能となる。軸首27は、キー55を本体側キー溝59に係合し、本体部25の軸穴49に挿入される。軸首27が回転駆動されれば、キー55を介して巻取シャフト23の本体部25が回転される。
温度差により、長尺の巻取シャフト23が伸縮すると、本体部25とともにキー55が軸線51に沿う方向に移動(変位)する。キー55が軸首側キー溝53内で移動することで、軸首27は、キー55によって移動されない。これにより、巻取シャフト23の伸縮による変位が、軸首側キー溝53内でのキー55の移動によって吸収され、一対の軸首間の距離が変動しにくくなる。
【0011】
本発明の請求項3記載のシャッター装置11の構造は、請求項1または2記載のシャッター装置11の構造であって、
前記本体部25が開口部57を有する筒状に形成され、
前記開口部57に前記軸穴49を有した中子29が固定され、
前記中子29の前記本体側キー溝59に前記キー55が固定されることを特徴とする。
【0012】
このシャッター装置11の構造では、軸首27の軸首側キー溝53にキー55が挿入され、軸首27がキー55ごと中子29の軸穴49に挿入される。キー55が中子29の軸穴49に溶接等によって固定され、中子29が軸首27から脱落規制される。この状態で、中子29が本体部25の開口部57に固定される。これにより、本体部25に対して軸線51に沿う方向で、軸首27が移動自在に取り付けられる。
【0013】
本発明の請求項4記載のシャッター装置11の構造は、請求項1または2または3記載のシャッター装置11の構造であって、
それぞれの前記軸首27を前記軸線方向に移動規制して回転自在に支持し建物躯体13に固定される一対のブラケット31と、
一対の前記ブラケット31に長手方向両端が支持されて架設され少なくとも長手方向の一端側が長手方向に沿って長い長穴63を介して前記ブラケット31に締結固定される補強部材45と、
を具備することを特徴とする。
【0014】
このシャッター装置11の構造では、一対のブラケット31に両端が固定される長尺の補強部材45が伸縮すると、一対のブラケット間の距離と、補強部材45の長さとに差異が生じる。一対のブラケット31は、建物躯体13に固定されるので、ブラケット間の距離の変位は極めて小さい。このため、ブラケット31は、本来、補強部材45からの応力を受け、変形しようとする。この際、本構成では、ブラケット31に対し、補強部材45の固定部が長穴63を移動する。これにより、変位が吸収され、応力が発生せず、ブラケット31が変形しにくい。
【0015】
本発明の請求項5記載のシャッター装置11の構造は、請求項1または2または3記載のシャッター装置11の構造であって、
それぞれの前記軸首27を前記軸線方向に移動規制して回転自在に支持し建物躯体13に固定される一対のブラケット31と、
一対の前記ブラケット31に長手方向両端が締結固定される補強部材45と、
一対の前記ブラケット31の少なくとも一方に形成され前記建物躯体13に締結固定される前記軸線51に沿う方向に長い躯体固定用長穴61と、
を具備することを特徴とする。
【0016】
このシャッター装置11の構造では、一対のブラケット31に、両端が固定される長尺の補強部材45が伸縮すると、一対のブラケット間の距離と、補強部材45の長さとに差異が生じる。一対のブラケット31は、建物躯体13に固定されるので、ブラケット間の距離の変位は極めて小さい。このため、ブラケット31は、本来、補強部材45からの応力を受け、変形しようとする。この際、本構成では、建物躯体13に対しブラケット31が躯体固定用長穴61を介して移動する。これにより、変位が吸収され、応力が発生せず、ブラケット31が変形しにくい。
【0017】
本発明の請求項6記載のシャッター装置11の構造は、請求項1または2または3記載のシャッター装置11の構造であって、
それぞれの前記軸首27を前記軸線方向に移動規制して回転自在に支持し建物躯体13に固定される一対のブラケット31と、
一対の前記ブラケット31に長手方向両端が支持されて架設され少なくとも長手方向の一端側が長手方向に沿って長い長穴63を介して前記ブラケット31に締結固定される補強部材45と、
一対の前記ブラケット31の少なくとも一方に形成され前記建物躯体13に締結固定される前記軸線51に沿う方向に長い躯体固定用長穴61と、
を具備することを特徴とする。
【0018】
このシャッター装置11の構造では、ブラケット31に対し、補強部材45の固定部が長穴63を移動する。これとともに、建物躯体13に対してもブラケット31が躯体固定用長穴61を介して移動する。これにより、変位が確実に吸収され、応力が発生せず、ブラケット31が変形しにくい。
【0019】
本発明の請求項7記載の巻取シャフト23の製造方法は、軸首27の外周に軸線51に沿う方向で凹設された軸首側キー溝53に、前記軸首側キー溝53より短く形成されて前記軸首側キー溝53に沿う方向に移動自在となって前記軸首27の外周から突出するキー55を挿入する工程と、
前記軸首27を支持する軸穴49の内周に半径方向外側に切り欠かれて前記キー55が係合する本体側キー溝59を有する中子29を、前記キー55に前記本体側キー溝59を係合させて前記軸首27の外周に外挿する工程と、
前記キー55に前記中子29を固定する工程と、
前記軸首27とともに前記中子29を巻取シャフト23の筒状の本体部25の開口部57に挿入して前記中子29と前記本体部25を固定する工程と、
を含むことを特徴とする。
【0020】
この巻取シャフト23の製造方法では、軸首27の軸首側キー溝53にキー55が挿入される。軸首27は、キー55ごと中子29の軸穴49に挿入される。軸首27のキー55は、中子29の本体側キー溝59に係合される。軸首27と中子29とは、相対回転が規制される。この状態でキー55を中子29の軸穴49に溶接等によって固定する。中子29に固定されたキー55は、軸首側キー溝53内で軸線51に沿う方向には所定距離で移動可能となるが、軸首側キー溝53からは離脱しない。これにより、中子29は、軸首27に対し軸線51に沿う方向に移動自在となりながら、相対回転が阻止されて、軸首27から脱落が規制される。
【発明の効果】
【0021】
本発明に係る請求項1記載のシャッター装置の構造によれば、軸首と本体部とに介設されるキーにより、相対回転が規制され回転駆動が伝達されるとともに、軸線の方向には移動可能となり、工場内と設置場所との温度差等によって部材が伸縮することがあっても、シャッター装置の変形や損傷などを防止できる。
【0022】
本発明に係る請求項2記載のシャッター装置の構造によれば、軸首側キー溝内でキーが移動可能となり、相対回転は規制されて軸首の回転は本体部に伝わり、且つ本体部とともにキーが軸線に沿う方向に移動するので、工場内と設置場所との温度差によって部材が伸縮しても、シャッター装置の変形や損傷などを防止できる。
【0023】
本発明に係る請求項3記載のシャッター装置の構造によれば、円筒状の本体部の開口部に、軸線方向に移動自在な軸首を容易に取り付けることができる。
【0024】
本発明に係る請求項4記載のシャッター装置の構造によれば、一対のブラケットに架設した長尺の補強部材が伸縮しても、ブラケットと補強部材が変位可能となって、ブラケットの変形や破損を防止できる。
【0025】
本発明に係る請求項5記載のシャッター装置の構造によれば、一対のブラケットに架設した長尺の補強部材が伸縮しても、ブラケットが建物躯体に対し変位し、ブラケットの変形や破損を防止できる。
【0026】
本発明に係る請求項6記載のシャッター装置の構造によれば、一対のブラケットに架設した長尺の補強部材が伸縮しても、ブラケットと補強部材が変位可能となるとともに、ブラケットも建物躯体に対し変位可能となり、ブラケットの変形や破損をより確実に防止できる。
【0027】
本発明に係る請求項7記載の巻取シャフトの製造方法によれば、軸首を手に持ってぶら下げて歩いても、中子が本体部からはずれを防止できて、製造作業を容易にできる。