(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
窓枠(3)内に障子(4)を配置していて、その障子(4)が自重で上端側が下方へ移動するとともに下端側が辷り出し移動することで傾斜状態に開く辷り出し窓の前記障子(4)を開閉操作する開閉装置であって、
一端を前記障子(4)に揺動自在に支持されている開閉アーム(12)と、上下方向へ移動可能であって前記開閉アーム(12)の他端を揺動自在に支持している開閉アームブラケット(13)と、駆動手段(5)によって上下方向へ駆動される閉操作ブラケット(14)と、上下方向へ移動可能であって前記閉操作ブラケット(14)につながっている規制ブラケット(15)とを有しており、
前記規制ブラケット(15)は、前記開閉アームブラケット(13)を受け止めるようになっており、
前記閉操作ブラケット(14)には、前記開閉アーム(12)に当接して前記障子(4)の閉じ方向へ前記開閉アーム(12)を押す当接部(29)を設けており、
前記閉操作ブラケット(14)が上昇したときには、前記当接部(29)が前記開閉アーム(12)から離れるとともに前記規制ブラケット(15)が下降して前記開閉アームブラケット(13)の下降を許容することで前記障子(4)が自重で開き、前記閉操作ブラケット(14)が下降したときには、前記当接部(29)が前記開閉アーム(12)に当接するとともに前記規制ブラケット(15)が上昇して前記開閉アームブラケット(13)を押し上げることで前記障子(4)が閉じられることを特徴とする辷り出し窓の開閉装置。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
前記辷り出し窓にあっては、障子を閉じる際には、障子が開こうとする力(復帰付勢力)に抗して前記無目側アームの基端部(無目側の端部)を押して前記引寄せアームを屈曲姿勢に操作するために、第3種テコと同様の作用によって前記復帰付勢力に対して大きな力が必要となり、オペレータなどへの負担が大きいといった問題点があった。
【0007】
本発明は、かかる不都合を解決することを目的として提供されたものであり、小さい力でも開閉操作できる辷り出し窓の開閉装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明は、かかる不都合を解決するために、窓枠3内に障子4を配置していて、障子4が自重で上端側が下方へ移動するとともに下端側が辷り出し移動することで傾斜状態に開く辷り出し窓の障子4を開閉操作する開閉装置であって、一端を障子4に揺動自在に支持されている開閉アーム12と、上下方向へ移動可能であって開閉アーム12の他端を揺動自在に支持している開閉アームブラケット13と、駆動手段5によって上下方向へ駆動される閉操作ブラケット14と、上下方向へ移動可能であって閉操作ブラケット14につながっている規制ブラケット15とを有しており、規制ブラケット15は、開閉アームブラケット13を受け止めるようになっており、閉操作ブラケット14には、開閉アーム12に当接して障子4の閉じ方向へ開閉アーム12を押す当接部29を設けており、閉操作ブラケット14が上昇したときには、当接部29が開閉アーム12から離れるとともに規制ブラケット15が下降して開閉アームブラケット13の下降を許容することで障子4が自重で開き、閉操作ブラケット14が下降したときには、当接部29が開閉アーム12に当接するとともに規制ブラケット15が上昇して開閉アームブラケット13を押し上げることで障子4が閉じられることを特徴とする。
【0009】
ここでの開閉アーム12の一端は、障子4の縦框6aの上下方向の中間位置や、前記縦框6aの下端部や、障子4の下框6bなどに支持される場合が該当する。駆動手段5には、手動式のハンドル5aや内蔵のモータなどで第2線状体34を巻き取るハンドルボックスや、空気圧モータなどのアクチュエータを用いて第2線状体34を巻き取るものなどが該当する。
【0010】
詳しくは、閉操作ブラケット14と規制ブラケット15とが第1線状体32でつながっており、規制ブラケット15に第1滑車27を設けるとともに、窓枠3に第2滑車28を設けていて、第2滑車28より下側に閉操作ブラケット14と規制ブラケット15とを位置させており、第1線状体32を、窓枠3において規制ブラケット15より上側に固定している一端側から順に第1滑車27と第2滑車28とに掛け渡したのちに、他端を閉操作ブラケット14に固定している。
【0011】
ここでの第1線状体32には、ワイヤロープや化学繊維製のロープやチェーンなどが該当する。窓枠3には方立8なども含まれている。第2滑車28は、窓枠3の上枠3cや方立8などに直接設ける場合や、架台18などの部材を介して窓枠3の上枠3cや方立8などに設ける場合が含まれる。第1線状体32の一端は、窓枠3の上枠3cや方立8などに直接設ける場合や、架台18などの部材を介して窓枠3の上枠3cや方立8などに設ける場合が含まれる。
【0012】
また、全閉状態の障子4をロックするためのロック機構16を有しており、ロック機構16は、障子4に取り付けている係止部材36と、窓枠3に配置していて係止部材36を係止するためのフック39とを有しており、駆動手段5と閉操作ブラケット14とが第2線状体34でつながっており、フック39は、窓枠3の横方向に移動可能になっているとともに、付勢手段46によって係止部材36の係止を解除する方向へ付勢されており、駆動手段5によって第2線状体34を駆動手段5側へ引くことで、フック39が係止部材36を係止可能な位置に移行し、駆動手段5による第2線状体34の引き力を解除することで、付勢手段46の付勢力によってフック39が横方向へ移動してフック39による係止部材36の係止が解除されるものとすることができる。
【0013】
ここでの障子4の全閉状態には、障子4がわずかに開いている状態も含まれる。第2線状体34には、ワイヤロープや化学繊維製のロープやチェーンなどが該当する。係止部材36は、障子4の下框6bなどに直接設ける場合や、ブラケットなどの部材を介して障子4の下框6bなどに設ける場合が含まれる。フック39は、窓枠3の下枠3bなどに直接設ける場合や、基台41や基板37などの部材を介して窓枠3の下枠3bなどに設ける場合が含まれる。フック39は、揺動可能に構成している場合と、揺動不可能に構成している場合とが含まれる。付勢手段46には、引っ張りばねなどが該当する。
【0014】
詳しくは、フック39に第3滑車45を連結するとともに、窓枠3に第4滑車47を設けており、第2線状体34を、駆動手段5側から順に第3滑車45と第4滑車47とに掛け渡したのちに、その他端を閉操作ブラケット14に固定しているものとすることができる。
【0015】
ここでは、フック39に第3滑車45を直接連結する場合や、連結棒44などの部材にフック39を連結するとともに第3滑車45を連結する場合などが含まれる。第4滑車47は、窓枠3の下枠3bなどに直接設ける場合や、基板37などの部材を介して窓枠3の下枠3bなどに設ける場合が含まれる。
【発明の効果】
【0016】
本発明の辷り出し窓の開閉装置では、障子4を閉じる際には、駆動手段5によって閉操作ブラケット14を下降させて規制ブラケット15を上昇させて、開閉アーム12の他端を支持している開閉アームブラケット13を押し上げるので、閉操作ブラケット14は、障子4の荷重(例えば障子4が開こうとする力)が直接加わっていない規制ブラケット15を持ち上げることになり、また当接部29が開閉アーム12に当接して開閉アーム12を障子4の閉じ方向へ押すので、前記特許文献1よりも小さな力で障子4を閉じることができ、その分だけ開閉装置の負担を減らすことができる。
【0017】
また、本発明の開閉装置は、駆動手段5によって閉操作ブラケット14が上昇したときには、当接部29が開閉アーム12から離れるとともに規制ブラケット15が下降するので、閉操作ブラケット14の当接部29や規制ブラケット15が障子4の開き動作を妨げることがなく、障子4を確実に開くことができる。
【0018】
加えて、障子4が開いているときに自然風を受けたときには、その風圧に応じて各障子4が閉じようとし、それに伴って開閉アーム12を介して開閉アームブラケット13が上方へ押されるが、その際には開閉アームブラケット13が上方へ移動して、障子4が閉じることが許容される。その結果、障子4は前記自然風と当該障子4の自重とのバランスした角度に確実に揺動することができ、それによって建物内への自然風の吹き込みを適正に調節することができる。
【0019】
第1線状体32を規制ブラケット15に設けた第1滑車27と、窓枠3に設けた第2滑車28とに掛け渡していると、第1滑車27が動滑車として作用し、それによってより小さな力で障子4を閉じることができ、その分だけ開閉装置の負担を減らすことができる。
【0020】
駆動手段5によって第2線状体34を駆動手段5側へ引くことで、ロック機構16のフック39が係止部材36を係止可能な位置に移行すると、閉操作ブラケット14とロック機構16とを連動させることができる。それにより、ロック機構16と閉操作ブラケット14の昇降機構とを別々に構成する場合よりも構成を簡単にすることができるうえ、その構成が簡単な分だけ、それらを駆動する駆動手段5への負担を減らすことができる。
【0021】
また、駆動手段5による第2線状体34の引き力を解除するだけで、付勢手段46の付勢力によってフック39による係止部材36の係止が解除されるので、その分だけ係止部材36の係止解除の構成の簡略化が図れ、それによっても開閉装置の負担を軽減できる。
【0022】
フック39に連結した第3滑車45と、窓枠3に設けた第4滑車47とに第2線状体34を掛け渡していると、第3滑車45が動滑車として作用するので、それによっても小さな力で障子4を閉じることができ、その分だけ開閉装置の負担を減らすことができる。
【発明を実施するための形態】
【0024】
本発明に係る辷り出し窓の開閉装置の一実施例を図面に基づいて説明する。その辷り出し窓1は、
図2に示すように、例えば左右方向に並べた2連1組の連窓として構成しており、オフィスビルなどの建物の外壁に形成した開口に取り付けるようになっている。
【0025】
前記辷り出し窓1は、方形状に枠組みした左右の窓枠3内に障子4をそれぞれ配置しており、各障子4は、方形状に枠組みした框6の内方に板ガラス7をそれぞれ装着している。各障子4の左右の上端には、
図1に示すローラ9をそれぞれ配置しており、窓枠3の左右の縦枠3aの内側面の上端部および左右の障子4・4の間に設けている方立8の側面の上端部には、上下方向へ延びるスライドレール10をそれぞれ取り付けている(
図6参照)。そのスライドレール10に前記ローラ9が上下方向へ移動可能に係合している。
【0026】
各障子4の框6での左右外側に位置する縦框6aの外側面の上部および前記縦枠3aの内側面の上下中間には、上下方向へ揺動自在な揺動アーム11をそれぞれ掛け渡している。同様に各障子4の左右内側に位置する縦框6aの外側面の上部および前記方立8の左右の側面の上下中間にも、前記揺動アーム11をそれぞれ掛け渡している。各障子4は、その自重で上端側がスライドレール10に沿って降下することに伴って、揺動アーム11によって建物外方へ向けて突き出され、それによって傾斜状に開くようになっている(
図6や
図7の状態)。
【0027】
前記建物の内壁などには、
図2に示すように、ハンドルボックス(駆動手段)5を設けており、そのハンドルボックス5には、ハンドル5aと換気用釦5bと排煙用釦5cとを設けている。そして、ハンドルボックス5のハンドル5aを回すことで各障子4が閉じられる。
【0028】
その各障子4を閉じた状態でハンドルボックス5の換気用釦5bを押すと、各障子4が所定の換気姿勢(
図6の姿勢)に開かれる。また、各障子4を閉じた状態でハンドルボックス5の排煙用釦5cを押すと、各障子4が所定の排煙姿勢(
図7の姿勢)に開かれる。その排煙姿勢での障子4の開度は、前記換気姿勢での障子4の開度よりも大きくなっている。各障子4は、換気姿勢または排煙姿勢に開いている状態で自然風を受けたときには、その風圧に応じた開度(障子4の傾斜角度)に揺動する。
【0029】
前記方立8での建物の内側には、前記ハンドルボックス5での操作に応じて両障子4・4を開閉操作する開閉装置20を配置している。その開閉装置20には、
図1および
図5に示すように、左右の開閉アーム12・12と、左右の開閉アームブラケット13・13と、閉操作ブラケット14と、左右の規制ブラケット15・15と、ロック機構16とを有している。
【0030】
前記各開閉アーム12は、
図1に示すように、その一端(
図1では下端)を各障子4に取り付けている取付金具30にそれぞれ揺動自在に支持されており、他端(
図1では上端)を前記各開閉アームブラケット13にそれぞれ揺動自在に支持されている。詳しくは、各取付金具30は、各障子4の框6での方立8側に位置する縦框6aの下部に取り付けている。各開閉アーム12は、障子4が全閉状態になっている
図1の閉じ姿勢で、上下方向(長さ方向)の中間で建物外方へ向けて斜めに屈曲したのちに、その下側でさらに下方に向けて屈曲している。
【0031】
前記閉操作ブラケット14は、各開閉アーム12をそれぞれ前記閉じ姿勢に操作するためのものであり、前記各規制ブラケット15は、前記各開閉アームブラケット13をそれぞれ受け止めて、その開閉アームブラケット13の下方への移動を規制するためのものである。前記ロック機構16は、全閉状態の各障子4をそれぞれロックするためのものである。なお、
図1では、障子4が全閉状態になっている。
【0032】
方立8の建物内方側には、
図5に示すように、上下方向へ延びている架台18を固定している。その架台18の左右の各端部18aは、建物内方へそれぞれ屈曲していて、その架台18の各端部18aの外側には、第1レール19をそれぞれ取り付けている。各第1レール19は、方立8(架台18)に沿って上下方向へ延びている。
【0033】
前記各開閉アームブラケット13は、
図1に示すように、その内側(方立8側)に上下一対のローラ17・17をそれぞれ有しており、その開閉アームブラケット13の一対のローラ17・17が、前記各第1レール19にそれぞれ係合している。それによって各開閉アームブラケット13が、方立8(架台18)に沿ってそれぞれ上下方向へ移動可能になっている。
【0034】
架台18の中央部18bの建物外方側には、
図1および
図3に示すように、左右一対の第2レール21・21をそれぞれ取り付けており、各第2レール21は、方立8(架台18)に沿って上下方向へ延びている。各規制ブラケット15の中央部15cの建物内方側には、上下一対のローラ22・22をそれぞれ取り付けており、各規制ブラケット15のローラ22・22が架台18の各第2レール21にそれぞれ係合している。
【0035】
また、各規制ブラケット15は、左右外側となる外側端部15aが建物内方へそれぞれ屈曲しており、その外側端部15aでの内側(架台18側)には、上下一対のローラ23・23を取り付けている。それらのローラ23・23は、前記各第1レール19において、前記開閉アームブラケット13のローラ17の下側に係合している。そして、各規制ブラケット15のローラ22・23が、架台18のレール19・21にそれぞれ係合していることで、各規制ブラケット15が方立8(架台18)に沿ってそれぞれ上下方向へ移動可能になっている。
【0036】
方立8の建物内方側には、左右一対の第3レール24・24をそれぞれ取り付けており、各第3レール24は、方立8に沿って上下方向へ延びている。前記閉操作ブラケット14の建物外方側の左右には、上下一対のローラ25・25をそれぞれ取り付けており、それらのローラ25・25が方立8の各第3レール24にそれぞれ係合している。それによって閉操作ブラケット14が、方立8(架台18)に沿って上下方向へ移動可能になっている。
【0037】
各規制ブラケット15での架台18の左右内側となる内側端部15bは、建物外方へそれぞれ屈曲しており、その各内側端部15bの内側の上端には、上下方向へ延びる引っ張りばね26の上端を係止している。各規制ブラケット15の引っ張りばね26の下端は、前記架台18の下端部にそれぞれ係止している(
図5参照)。なお、規制ブラケット15の内側端部15bは、外側端部15aや中央部15cよりも上方へ延びている。
【0038】
各規制ブラケット15の中央部15cの建物外方側には、
図1および
図5に示すように、第1滑車27をそれぞれ取り付けており、前記架台19の上端部には、前記各第1滑車27に対応して左右に第2滑車28をそれぞれ取り付けている。前記架台19の上端の左右には、左右一対の第1ワイヤ(第1線状体)32・32の一端をそれぞれ固定するワイヤストッパー33・33を取り付けており、閉操作ブラケット14の中央部14cの建物内方側には、その左右方向の中央であって上下方向の中間に、各第1ワイヤ32の一端を固定するワイヤストッパー31を取り付けている。
【0039】
前記各第1ワイヤ32は、前記一端側から順に前記第1滑車27と前記第2滑車28とに掛け渡したのちに、他端を閉操作ブラケット14のワイヤストッパー31に固定している。それにより、閉操作ブラケット14と規制ブラケット15とがワイヤストッパー31でつながっている。各規制ブラケット15は、前記各引っ張りばね26によってそれぞれ下方へ付勢されており、それによって各規制ブラケット15の第1滑車27を介して各第1ワイヤ32にテンションが付与される。閉操作ブラケット14と規制ブラケット15とは、前記第2滑車28より下側に位置している。
【0040】
前記閉操作ブラケット14は、その左右の端部14a・14aおよび下端部14bがそれぞれ建物内方へ屈曲しており、その閉操作ブラケット14の左右の端部14a・14aでの左右外側には、前記各開閉アーム12に当接する横向きの円柱形状の当接部29をそれぞれ設けている。閉操作ブラケット14の各当接部29は、例えば
図6に示す状態から閉操作ブラケット14が下降したときに各開閉アーム12の建物外方側の側面にそれぞれ当接して、当該各開閉アーム12を建物内方側(障子4の閉じ方向)へ押すようになっている。
【0041】
閉操作ブラケット14の下端部14b上にはワイヤストッパー35を配置しており、そのワイヤストッパー35には、前記ハンドルボックス5から繰り出された第2ワイヤ(第2線状体)34の一端を固定している。それにより、ハンドルボックス5と閉操作ブラケット14とが第2ワイヤ34でつながることになる。なお、前記架台18の建物内方側には、カバー(図示せず)を取り付けている。
【0042】
前記ロック機構16は、
図4に示すように、各障子4での下框6bの建物内方側にそれぞれ取り付けている左右一対の係止部材36・36と、各窓枠3の下枠3bでの建物内方側にそれぞれ取り付けていて左右方向に延びている左右一対の基板37・37と、各基板37上にそれぞれ配置している左右一対のフック部材38・38とを有している。
【0043】
各係止部材36には、前記下框6bに固定される(取り付けられる)基部36aと、その基部36a上に直立状に設けていて前記フック部材38に係止される円柱形状の係止部36bとを有している。各フック部材38は、先端側(建物外方側)を左向きの鉤状に形成していて前記係止部材36の係止部36bを係止するためのフック39と、そのフック39の基端(建物内方側)に設けてあって当該フック39を揺動自在に支持する揺動軸40と、その揺動軸40を取り付けている基台41と、前記フック39の基端部39aと前記基台41との間で掛け渡しているコイルばね42とを有している。つまり、フック39は、基台41および基板37を介して窓枠3の下枠3bに取り付けられる。
【0044】
前記コイルばね42は、フック39を
図4の反時計方向(左方向)に付勢している。フック39の基端部39aの左側には、突起39bを左方へ突出させており、その突起39bが前記基台41上に設けているストッパー41aに当接することで(
図4の状態)、フック39の前記反時計方向への回転が規制される。それによってフック39は、係止部材36の係止部36bから外れた状態(
図8の状態)でも
図4の姿勢を維持することができる。
【0045】
ロック機構16の各基板37上には、左右方向に延びるガイドレール43をそれぞれ取り付けており、その左右の基板37・37上の両ガイドレール43・43に亘って左右方向に延びる連結棒44を係合している。その連結棒44上に各フック部材38の基台41をそれぞれ取り付けている。それによって各フック部材38が、ガイドレール43に沿って連動して左右方向(横方向)へ移動可能になっている。つまり、フック39は、窓枠3の下枠3bに沿って横方向に移動可能になっている。
【0046】
前記連結棒44の左端には、前記第2ワイヤ34が掛け渡される第3滑車45を取り付けている。それにより、フック39に第3滑車45が連結されることになる。前記連結棒44の右端には、引っ張りばね46の一端を接続している。引っ張りばね46の他端は右側の基板37の右端に固定している。
【0047】
その引っ張りばね46によってフック39が係止部材36の係止を解除する方向(
図4では右方向)へ付勢される。左側の基板37の左端には、前記第2ワイヤ34が掛け渡される第4滑車47を取り付けている。つまり、第4滑車47は、基板37を介して窓枠3の下枠3bに取り付けられる(設けられる)。また、方立8の下端部には、前記第2ワイヤ34が掛け渡される第5滑車48を取り付けている。
【0048】
前記ハンドルボックス5から繰り出される第2ワイヤ34は、当該ハンドルボックス5側から順に第3滑車45と第4滑車47と第5滑車48とに掛け渡されたのちに、閉操作ブラケット14の前記ワイヤストッパー35につながっている。前記引っ張りばね46の付勢力によって連結棒44および第3滑車45を介して第2ワイヤ34にテンションが付与される。なお、各窓枠3の内方には、各障子4の框6との間を液密状に塞ぐ止水部材を配置している。
【0049】
次に、本発明の辷り出し窓の開閉装置の作用を説明する。例えば、各障子4が
図1に示す全閉状態のときには、各引っ張りばね26によって各規制ブラケット15がそれぞれ下方へ付勢されており、各第1ワイヤ32を介して閉操作ブラケット14が上方へ付勢されている。ハンドルボックス5は、第2ワイヤ34を繰り出し不能な状態にロックしている。
【0050】
その状態でハンドルボックス5の換気用釦5bを押すと、ハンドルボックス5による第2ワイヤ34のロックが解除され、すなわちハンドルボックス5による第2ワイヤ34の引き力が解除されて、第2ワイヤ34の一端が閉操作ブラケット14によって上方へ引っ張られ、ハンドルボックス5から第2ワイヤ34が繰り出される。つまり、閉操作ブラケット14は、ハンドルボックス5によって上方向へ駆動される。
【0051】
その閉操作ブラケット14の上昇によって、閉操作ブラケット14の各当接部29が各開閉アーム12から離れるとともに(
図6参照)、各規制ブラケット15が引っ張りばね26の付勢力によって下降する。それにより、各開閉アームブラケット13の下降が許容されて、各障子4を開くことができるようになる。
【0052】
また、前記第2ワイヤ34の繰り出しに伴って、ロック機構16の連結棒44が引っ張りばね46によって右方向へ引っ張られて、
図8に示すように、各フック部材38(フック39)が右方向(横方向)へ移動する。それによって各フック部材38のフック39が各係止部材36の係止部36bからそれぞれ外れて(
図8の状態)、係止部材36の係止が解除され、各障子4が自重で傾斜状に開き始める。その各障子4の開きに伴って各開閉アーム12を介して各開閉アームブラケット13がそれぞれ下降し、所定の換気位置に下降している各規制ブラケット15に受け止められる(
図6の状態)。
【0053】
その各開閉アームブラケット13が各規制ブラケット15に受け止められた際には、各開閉アーム12は
図6の傾斜姿勢になっており、そのときには各障子4が
図6の換気姿勢まで開かれている。その状態で、各開閉アームブラケット13は上方への移動が可能になっている(
図6参照)。つまり、各障子4が自然風を受けたときには、その風圧に応じて各障子4が閉じようとし、それに伴って各開閉アーム12を介して各開閉アームブラケット13が上方へ押されるが、各開閉アームブラケット13は、前述のように上方への移動が可能なために上昇して、それによって各障子4が閉じることが許容される。その結果、各障子4は、前記自然風と当該障子4の自重とのバランスした角度に揺動する。
【0054】
各障子4が前記換気姿勢に開いている状態で、ハンドルボックス5のハンドル5aを回すと、第2ワイヤ34がハンドルボックス5内に巻き取られ、それに伴って閉操作ブラケット14が下方へ引っ張られて下降する。つまり、閉操作ブラケット14は、ハンドルボックス5によって下方向へ駆動される。その閉操作ブラケット14の下降によって各第1ワイヤ32が引っ張られて、各規制ブラケット15が引っ張りばね26の付勢力に抗して上昇する。
【0055】
その各規制ブラケット15の上昇によって各開閉アームブラケット13が押し上げられて、各開閉アーム12の他端が上昇し、また閉操作ブラケット14の各当接部29が各開閉アーム12に当接して、当該各開閉アーム12を建物内方側へ押す。それによって各障子4が閉じ方向へ揺動して前記閉じ姿勢になる。
【0056】
また、前記第2ワイヤ34がハンドルボックス5内に巻き取られた際、すなわちハンドルボックス5によって第2ワイヤ34をハンドルボックス5側へ引いた際には、その第2ワイヤ34によってロック機構16の連結棒44が引っ張りばね46の付勢力に抗して左方向へ引っ張られ、各フック部材38が
図4の位置に戻る。つまり、フック39が係止部材36を係止可能な位置に移行する。
【0057】
そして、各障子4が全閉する際には、ロック機構16の各係止部材36の係止部36bが各フック部材38のフック39の先端部(建物外方側の端部)に当接し、フック39が係止部材36の係止部36bに押されてコイルばね42の付勢力に抗して
図4の時計方向に回転(揺動)して、前記係止部36bがフック39の先端の湾曲部の内方へ入り込む。それによって前記係止部36bがフック39に係止され、各障子4が全閉状態でロックされる。
【0058】
一方、各障子4が前記全閉状態のときにハンドルボックス5の排煙用釦5cを押すと、前述の換気用釦5bを押した場合と同様の動作が行なわれる。異なる点は、ハンドルボックス5からの第2ワイヤ34の繰り出し量が、前記換気用釦5bを押した場合よりも多くなっており、それによって各規制ブラケット15が前記換気用釦5bを押した場合の前記換気位置よりも下方となる排煙位置まで下降する。
【0059】
その結果、各開閉アームブラケット13が、前記換気位置よりも下方の前記排煙位置の各規制ブラケット15で受け止められ、それによって各障子4が
図7の排煙姿勢まで開かれる。なお、ハンドルボックス5の排煙用釦5cを押したときにも、ロック機構16の各フック部材38のフック39が各係止部材36の係止部36bからそれぞれ外れて、フック39が係止部材36の係止を解除する。
【0060】
このように、障子4を閉じる際には、閉操作ブラケット14を下降させて規制ブラケット15を上昇させて、開閉アーム12の他端を支持している開閉アームブラケット13を押し上げるので、閉操作ブラケット14は、障子4の荷重(例えば障子4が開こうとする力)が直接加わっていない規制ブラケット15を持ち上げることになり、また当接部29が開閉アーム12に当接して開閉アーム12を障子4の閉じ方向へ押すので、小さな力で障子4を閉じることができる。