(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6185389
(24)【登録日】2017年8月4日
(45)【発行日】2017年8月23日
(54)【発明の名称】可撓性摩擦パッド及びこのようなパッドを有するブレーキライニング
(51)【国際特許分類】
F16D 65/092 20060101AFI20170814BHJP
B61H 5/00 20060101ALI20170814BHJP
F16D 65/095 20060101ALI20170814BHJP
F16D 69/04 20060101ALI20170814BHJP
【FI】
F16D65/092 B
B61H5/00
F16D65/092 D
F16D65/095 H
F16D69/04 M
【請求項の数】15
【全頁数】10
(21)【出願番号】特願2013-546754(P2013-546754)
(86)(22)【出願日】2011年12月22日
(65)【公表番号】特表2014-501371(P2014-501371A)
(43)【公表日】2014年1月20日
(86)【国際出願番号】FR2011053152
(87)【国際公開番号】WO2012089968
(87)【国際公開日】20120705
【審査請求日】2014年11月18日
(31)【優先権主張番号】1005140
(32)【優先日】2010年12月28日
(33)【優先権主張国】FR
(73)【特許権者】
【識別番号】513164037
【氏名又は名称】フェベレ トランスポール
(74)【代理人】
【識別番号】100099759
【弁理士】
【氏名又は名称】青木 篤
(74)【代理人】
【識別番号】100102819
【弁理士】
【氏名又は名称】島田 哲郎
(74)【代理人】
【識別番号】100123582
【弁理士】
【氏名又は名称】三橋 真二
(74)【代理人】
【識別番号】100153084
【弁理士】
【氏名又は名称】大橋 康史
(74)【代理人】
【識別番号】100160705
【弁理士】
【氏名又は名称】伊藤 健太郎
(74)【代理人】
【識別番号】100133008
【弁理士】
【氏名又は名称】谷光 正晴
(72)【発明者】
【氏名】ロイック レリエーブル
(72)【発明者】
【氏名】グエナエル カブーロ
【審査官】
竹村 秀康
(56)【参考文献】
【文献】
特表2004−522086(JP,A)
【文献】
特開2007−198481(JP,A)
【文献】
特開2009−185946(JP,A)
【文献】
米国特許第05407034(US,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F16D 49/00−71/04
B61H 5/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ブレーキライニング(2)に取り付けられることを目的とした摩擦パッド(1)であって、ベース(11)と、少なくとも1つの摩擦材料ブロック(12)と、を具備し、該摩擦材料ブロック(12)が、前記ベース(11)の少なくとも一部に取り付けられ、前記ベース(11)及び前記摩擦材料ブロック(12)が、これらの接触部(13)において第1の平面を画成する摩擦パッド(1)において、
前記ベース(11)が、少なくとも前記摩擦材料ブロック(12)が取り付けられる設置ブラケット(111)と、
直接的に又は間接的に当該摩擦パッド(1)を前記ブレーキライニング(2)に取り付けるため、前記第1の平面に対して平行な方向において前記設置ブラケット(111)から離間した少なくとも1つの第1の係合接触部(112)と、
前記設置ブラケット(111)が全方向において並進運動及び回転運動に対応することを可能とするため、前記設置ブラケット(111)と前記第1の係合接触部(112)との間で弾性リーフを形成する、前記第1の平面に対して平行に延在した少なくとも1つの第1のネック(113)と、を有することを特徴とする摩擦パッド。
【請求項2】
少なくとも前記第1の係合接触部(112)が、少なくとも1つの係合点(1121)を具備することを特徴とする請求項1に記載の摩擦パッド(1)。
【請求項3】
少なくとも前記第1の係合接触部(112)が、少なくとも1つの力及び/又はトルク吸収部(1122)の第1の起伏を有することを特徴とする請求項1又は請求項2のいずれか1つに記載の摩擦パッド(1)。
【請求項4】
少なくとも前記力及び/又はトルク吸収部(1122)の前記第1の起伏が、ハウジングであることを特徴とする請求項3に記載の摩擦パッド(1)。
【請求項5】
前記第1の平面に対して平行な方向において前記設置ブラケット(111)から離間した2つの分離した係合接触部(112)を有し、前記第1の係合接触部(112)及び第2の係合接触部(112)が、第1のネック及び第2のネック(113)によって前記設置ブラケット(111)にそれぞれ接続されたことを特徴とする請求項1から請求項4のいずれか1つに記載の摩擦パッド(1)。
【請求項6】
前記第1の係合接触部及び前記第2の係合接触部が、2つの係合点(1121)をそれぞれ有することを特徴とする請求項5に記載の摩擦パッド(1)。
【請求項7】
前記摩擦材料ブロック(12)が、前記ベース(11)の前記設置ブラケット(111)において焼結されたことを特徴とする請求項1から請求項6のいずれか1つに記載の摩擦パッド(1)。
【請求項8】
ブレーキライニング(2)であって、
1又は複数の部分において、前面(212、222)及びダブテイルレール(3)を取り付けられ得る背面(213、223)側を有するベース要素(21、22)と、
請求項1から請求項7のいずれか1つに記載の少なくとも1つの摩擦パッド(1)であって、前記ベース要素(21、22)の前記前面(212、222)側に取り付けられ得る摩擦パッドと、を具備するブレーキライニング。
【請求項9】
当該ブレーキライニング(2)のそれぞれの部分の前記ベース要素(21、22)が、前記摩擦パッド(1)の前記係合接触部(112)の係合点(1121)と協働することができる少なくとも1つの設置点(24)を具備することを特徴とする請求項8に記載のブレーキライニング(2)。
【請求項10】
少なくとも前記摩擦パッド(1)が、少なくとも1つの係合点(1121)ごとに、前記ブレーキライニング(2)の前記ベース要素(21、22)の1つの設置点(24)にリベット(4)で取り付けられたことを特徴とする請求項8又は請求項9のいずれか1つに記載のブレーキライニング(2)。
【請求項11】
前記ブレーキライニング(2)のそれぞれの部分の前記ベース要素(21、22)が、請求項3又は4に記載の前記摩擦パッド(1)の前記力及び/又はトルク吸収部(1122)の起伏に対して相補的な少なくとも1つの起伏(23)を有することを特徴とする請求項8から請求項10のいずれか1つに記載のブレーキライニング(2)。
【請求項12】
前記力及び/又はトルク吸収部(1122)の前記起伏に対して相補的な前記起伏(23)が、ハーフシアであることを特徴とする請求項11に記載のブレーキライニング(2)。
【請求項13】
前記摩擦パッド(1)の前記設置ブラケット(111)、及び、前記摩擦パッド(1)が取付けられる、前記ブレーキライニング(2)の前記ベース要素(21、22)の前記前面(212、222)が、前記設置ブラケット(111)と前記前面(212、222)との間に空間(5)を画成することを特徴とする請求項8から請求項12のいずれか1つに記載のブレーキライニング(2)。
【請求項14】
前記空間(5)が、緩衝材を具備することを特徴とする請求項13に記載のブレーキライニング(2)。
【請求項15】
当該ブレーキライニング(2)のそれぞれの部分が、複数の摩擦パッド(1)を具備することを特徴とする請求項8から請求項14のいずれか1つに記載のブレーキライニング(2)。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ディスクブレーキライニング及び摩擦要素を受容することを目的としたブラケットに関する。
【背景技術】
【0002】
特に鉄道車両のためのブレーキライニングは、概して一又は複数のパッドが取り付けられ、摩擦材料ブロックを具備するブラケットとして用いられる、少なくとも1つのベースプレートで構成される。例えば、欧州特許出願公開第1679452号明細書及び欧州特許出願公開第1957820号明細書は、こうしたブレーキライニングを開示していることで知られている。軽量鉄道車両のための用途以外において、同等のブレーキライニングは、それぞれブレーキディスク表面ごとに2つであることが多く、いくつかのベースプレートを概して具備し、ブレーキディスクの1つの表面との関係において1又は複数のパッド及び可動部(mobile)を有する。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
しかしながら、ベース要素のパッドの設置の剛性は、ブレーキ中の、平坦化及び摩擦材料の摩擦表面とディスクの表面との間の平行度の欠陥によって、摩擦材料の早期且つ不規則な摩耗を生じさせるのみならず、ベース要素における摩擦材料及びそれらの設置要素において大きな応力も生じさせる。更に、ブレーキ中に生じる振動は、概して最小化を試みるべき甲高いノイズの原因となり、摩擦要素は、ブレーキ中のディスクに関するライニングのサーモグラフィー画像を改善し、それらの冷却及び摩耗からの残骸の取り除きを容易にするように配置されると好適である。
【0004】
よって、本発明に係る目的の1つは、前述の欠点の全部又は一部を制限することにある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
この効果のため、本発明に係る第1の態様によれば、ベース要素ブラケットに取り付けられることを目的とした摩擦パッドであって、ベースと、少なくとも1つ
の摩擦材料ブロックと、を具備し
、摩擦材料ブロックが、ベースの少なくとも一部に取り付けられ、ベース及
び摩擦材料ブロックが、これらの接触部において第1の平面を画成し、更にそのパッドのベースが、少なくと
も摩擦材料ブロックが取り付けられる設置ブラケットと、直接的に又は間接的にパッドをベース要素ブラケットに取り付けるため、第1の平面に対して平行な方向において設置ブラケットから離間した少なくとも1つの第1の係合接触部と、設置ブラケットが全方向において並進運動及び回転運動に対応することを可能とするため、設置ブラケットと第1の係合接触部との間で弾性リーフを形成する、第1の平面に対して平行に延在した少なくとも1つの第1のネックと、を有する摩擦パッドが提案される。
【0006】
弾性リーフを形成するネックは、特定の変形領域を構成する。こうして、パッドがベース要素に取り付けられたとき、係合接触部に伝えられるブレーキによる力は、最小化される。
【0007】
より詳細には、ベースは、0.5ミリメートルから5ミリメートルの間の厚さ、より好適には、特に設置ブラケット及び第1の係合接触部において、2ミリメートルの厚さを有する。より好適には、ネックは、係合接触部に伝えられた最小化する応力によって変形されるため、最大で設置ブラケットの厚さ又は第1の係合接触部の厚さと同等の厚さを有する。
【0008】
より詳細には、少なくとも第1の係合接触部は、少なくとも1つの係合点を有する。例えば、係合点は、穴によって構成され、パッドのベースを、例えばリベットでベース要素に取り付けることを可能とする。より好適には、第1の係合接触部は、少なくとも2つの係合点、例えば互いに離間した2つの穴を具備する。
【0009】
より好適には、少なくとも第1の係合接触部は、力及び/又はトルク吸収部の少なくとも1つの第1の
起伏を有する。実際、力吸収領域から解離されたベースを設置するための手段は好適である。
【0010】
例示的実施形態によれば、力及び/又はトルク吸収部のこの第1の
起伏は、ハウジングである。
【0011】
別の例示的実施形態によれば、より好適には、設置ブラケットにおけるパッドは、摩擦材料ブロックの少なくとも1つの第1の固定タブを有する。
【0012】
好適な実施形態によれば、パッドは、第1の平面に対して平行な方向において設置ブラケットから離間した、2つの分離した係合接触部を有し、第1の係合接触部及び第2の係合接触部は、第1のネック及び第2のネックによって設置ブラケットにそれぞれ接続されている。こうして、摩擦材料ブロックを有する設置ブラケットは、全ての方向によって配置されることができ、係合接触部へと伝えられ、生じた応力は、最小化される。
【0013】
より好適には、第1の係合接触部及び第2の係合接触部は、互いに分離した2つの係合点をそれぞれ有する。幾何学的中心は、それぞれの係合点のために定義されることができ、以下において、A及びA’は、第1の係合接触部の係合点の中心を指定し、B及びB’は、第2の係合接触部の係合点の中心を指定する。
【0014】
例示的実施形態によれば、それぞれのベースは、力及び/又はトルク吸収部の第1の
起伏及び第2の
起伏を有する。より好適には、第1の
起伏は、第1の係合接触部の2つの係合点の間に配置され、より好適には、第2の
起伏は、第2の係合接触部の2つの係合点の間に配置される。
【0015】
好適には、第1の係合接触部の2つの係合点は、第2の係合接触部の2つの係合点と等しい距離dで分離される。この距離dは、同等の係合接触部の2つの係合点の中心を含む区分の長さであり、すなわち、AA’=d、且つ、BB’=dである。より一般的には、第1の接触部の係合点の形状は、同じツールによってそれらの設置を容易とするように、第2の接触部の係合点の形状と同等であることに留意されたい。
【0016】
より好適には、パッドの摩擦材料ブロックは、ライニングごとのパッドの数によるように、10cm
2から600cm
2の間の摩擦表面を有し、例えば200cm
2から600cm
2の間のブレーキディスク表面におけるライニングの全体の摩擦表面が得られる。
【0017】
より好適には、少なくとも1つの設置ブラケットを形成する四角形の側部は、曲げられる。こうして、パッドの形状は、パッドが取り付けられるベース要素の形状に従った形状とすることを可能とする。
【0018】
より好適には、摩擦材料ブロックは、この形式の技術において通常行われるように、そのベースの設置ブラケットに焼結される。
【0019】
本発明に係る別の態様によれば、ブレーキライニングであって、1又は複数の部分において、より好適には、2つの対称な部分において、それぞれの部分が、前面及びダブテイルレールに取り付けられ得る背面側を有するベース要素と、ベース要素の前面側に取り付けられる、上述されたような少なくとも1つ
の摩擦パッドと、を具備するブレーキライニングが提案される。
【0020】
より好適には、ブレーキライニングのそれぞれの部分のベース要素は、少なくとも1つの設置点、例えば穴を有し、第1のパッドの係合接触部の係合点と協働することを可能とする。例えば、穴は、パッドを設置するためのリベットを受容することを可能とする。より好適には、少なくとも1つの第1のパッドは、少なくとも1つの係合点によって、ブレーキライニングのベース要素の設置点に、リベットで取り付けられる。
【0021】
好適には、ブレーキライニングのそれぞれの部分のベース要素は、そのパッドの力及び/又はトルク吸収部の
起伏に対して相補的な、少なくとも1つの
起伏を有する。
【0022】
より好適には、力及び/又はトルク吸収部の
起伏に対して相補的な
起伏は、ハーフシア(half-shear)である。ハーフシアは、例えば長さL、幅W且つ高さhの四角形の
起伏によって構成され得る。より好適には、hは、Wよりも大きく、L/Wは、1から10の間である。
【0023】
好適には、そのパッドの設置ブラケット及び第1のパッドが取り付けられるベース要素の前面は、それらの間に空間を画成する。この空間は、中間層を有することができ、より好適には、振動、特に、甲高いノイズのようなノイズを生じさせるスペクトルの部分における振動を低減させるために、断熱性を適用可能な緩衝材で作られており、適用部におけるブレーキライニングのベース及びベース要素間の熱伝達を制限する。
【0024】
より好適には、ライニングのベース要素のそれぞれは、複数のパッド、例えば5つのパッドを具備する。
【0025】
好適な実施形態によれば、本発明は、情報のために提供され且つ限定するものではない、以下の詳細な説明を参照し、以下に示す添付された図面を参照することによって、より理解され、その利点がより明らかとなる。
【図面の簡単な説明】
【0026】
【
図1】本発明に係るパッドのベースの平面図を示す。
【
図3】
図1又は
図2によるパッドを受容させることを意図した、本発明に係る2部分におけるブレーキライニングのベース要素を示す。
【
図5】パッドを備えた本発明に係る2部分のブレーキライニングである。
【
図6】A−Aによる
図5のブレーキライニングの断面図である。
【
図7】B−Bによる
図5のブレーキライニングの断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0027】
図1から
図8に示された同等の要素は、同等の参照符号で識別される。
【0028】
1又は複数の部分においてブレーキライニング2に取り付けられることを目的とした本発明に係る摩擦パッド1は、ベース11及び摩擦材料ブロック12を具備する。
【0029】
この実施形態によれば、ベース11は、例えば焼結によって摩擦材料ブロック12が取り付けら得る設置ブラケット111と、直接的に又は間接的にパッド1をブレーキライニング2のベース要素(21、22)に取り付けるための係合接触部112と、設置ブラケット111と2つの係合接触部112のそれぞれの1つとの間に弾性リーフを形成する2つのネック113と、を有する。
【0030】
ベースは、例えば2mmの厚さの細いシートを用いて形成され得る。
【0031】
設置ブラケット111は、取り付けられることを目的とした、ブレーキライニング2のベース要素(21、22)の形状を、より従わせるために、大きな側部がわずかにラウンド加工された四角形の形状を有する。
【0032】
設置ブラケット111は、摩擦材料ブロック12の少なくとも1つの第1の固定タブ1111を有し、ここでは、4つの固定タブ1111を有する。固定タブ1111は、押し抜き(stamping)によって形成されてもよく、ベース11を形成するシートのレーザーカットによって形成されてもよい。穿孔された領域1112は、程度の差はあるが、
図1で示されたそれらよりは大きな明らかな表面で形成されてもよいが、設置ブラケットが十分な剛性を保持することを確実とし、設計事務所の世話にならずに済めば(left to the appreciation of the design office)、好適である。次いで、固定タブ1111は、設置ブラケット111の表面の方向において後方に折り曲げられ、そこで摩擦材料ブロック12が焼結される。後方に折り曲げられた固定タブ1111は、摩擦材料が所定の場所に設置されたとき、摩擦材料内へと沈めこむ(sink into)ことができる。更に、摩擦材料ブロック12が設置ブラケット111の表面に取り付けられたとき、それらは、それらの間に接触部13を画成する。
【0033】
設置ブラケット111は、凹部1113を有することもでき、ここでは、固定タブの役割を補強することができ、又は、それらに代わることさえできる環状穴である。
【0034】
係合接触部112は、少なくとも1つの係合点1121を具備する。ここで、これらの係合点1121は、環状穴によって構成される。穴は、パッド1を、例えばリベット4によってブレーキライニング2のベース要素(21、22)に取り付けることを可能とする。ここで、これらの係合点1121の中心は、適宜、第1の係合接触部112の係合点1121のためのA及びA’と呼び、且つ、第2の係合接触部112のための係合点1121のためのB及びB’と呼ぶ。好適には、設置を容易とするため、第1の係合接触部の2つの係合点1121は、第2の係合接触部112の2つの係合点1121と等しい距離dで分離される。この距離dは、等しい係合接触部112の2つの係合点1121の中心A、A’又はB、B’を含む区分の長さであり、すなわち、AA’=d、且つ、BB’=dである。
【0035】
係合点1121ごとに吸収されない力に必要であるため、それぞれの係合接触部112は、少なくとも1つの、力及び/又はトルク吸収部1122の第1の
起伏を更に有する。これらの例示的実施形態によれば、力及び/又はトルク吸収部1122の
起伏は、四角形のハウジングである。力及び/又はトルク吸収部1122のこれらの
起伏は、ブレーキライニング2のベース要素(21、22)において形成された相補的
起伏23と協働することを可能とする。
【0036】
ネック113は、特定の変形領域を形成するように寸法化され、設置ブラケット111が、係合接触部112に伝達された力及び/又はトルクを制限することによって、全方向において、並進運動及び回転運動に対応することを可能とする。ネック113の形状は変形し得る。例えば、
図1の例示的実施形態によれば、後者は、設置ブラケット111と係合接触部112のそれぞれとの間のラウンド加工されたカットアウトによって形成され、
図2の例示的実施形態において、ネック113の縁部は、直線且つ互いに平行である。更に、
図2の例示的実施形態において、ネック113の縁部は、設置ブラケット111に対して、直角となり得る角度を形成する。
【0037】
これらの例示的実施形態によるブレーキライニングは、2つの部分を有し、それぞれの部分は、前面(212、222)を有するベース要素(21、22)と、例えばリベット7によってダブテイルレール(dovetail rail)3が取り付けられ得る背面(213、223)側と、ベース要素(21、22)の前面(212、222)側に取り付けられる少なくとも1つの第1のパッド1と、を具備し、ベース要素(21、22)は、例えば厚さ3mmの細いシートを用いて実現されることができる。
【0038】
ブレーキライニング2の第1の部分及び第2の部分を具備するベース要素(21、22)は、対称である。ブレーキライニング2のそれぞれの部分は、5つのパッド1を有することができる。
【0039】
ベース要素(21、22)は、例えばその係合接触部112の係合点1121によってパッド1を例えばリベット4で取り付けるための穴といった、少なくとも1つの設置点24を具備する。
【0040】
ベース要素(21、22)は、力及び/又はトルク吸収部1122の
起伏に対して相補的な少なくとも1つの
起伏23も具備し、例えばハーフシアは、その第1のパッド1の係合接触部112のハウジングと協働することができる。ハーフシアは、突起であり、例えば、ブレーキライニング2のベース要素(21、22)を形成するシート押し抜きによって実現される。示されたようなハーフシアは、長さL、幅a、高さhの四角形である。
図4は、その長さLによるハーフシアの区分を示す。より好適には、ハーフシアは、パッド1に代わり、設定のために係合接触部112のハウジングの位置を案内することを可能とする形状を有する。従って、ハーフシアは、ラウンド加工された形状又は突起形状を有し、或いは、
図4に示されるように面取りされる(truncated)。相補的
起伏23を形成するためのこうした伸張された形状、すなわち、ベース要素が上部より幅広い形状は、相補的
起伏23の寸法と力及び/又はトルク吸収部1122の対応する
起伏の寸法との間で任意の役割を果たすことを可能ともする。この役割の欠落は、係合点1121及び設置点24によってではなく、相補的
起伏23によって力が吸収されるために必要である。
【0041】
本発明に係るブレーキライニング2は、例えば鋼製、又は適応性のある金属、繊維製の楔を具備することもできる。より好適には、この楔6は、全体のパッドを持ち上げるため、パッド1のそれぞれの係合接触部112とパッド1が取り付けられるベース要素(21、22)の前面(212、222)との間に挿入される。
【0042】
更に、設置ブラケット111及びブレーキライニングのベース要素(21、22)の上面(212、222)は、それらの間に空間5を形成する。この空間5は、空の領域を始める(begin)ことができ、又は設置ブラケット111の可撓性を保持することを可能とする断熱材(insulation)を充填されることができる。