(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6185394
(24)【登録日】2017年8月4日
(45)【発行日】2017年8月23日
(54)【発明の名称】ヒートシール可能な食品包装フィルム、その製造方法、及びヒートシール可能な食品包装フィルムを含む食品パッケージ
(51)【国際特許分類】
C08J 7/04 20060101AFI20170814BHJP
C08L 27/08 20060101ALI20170814BHJP
C08K 3/34 20060101ALI20170814BHJP
B32B 27/00 20060101ALI20170814BHJP
【FI】
C08J7/04 RCEU
C08J7/04 ZCFG
C08J7/04 ZCFD
C08J7/04 ZCEP
C08L27/08
C08K3/34
B32B27/00 H
B32B27/00 M
【請求項の数】10
【全頁数】12
(21)【出願番号】特願2013-557827(P2013-557827)
(86)(22)【出願日】2012年3月7日
(65)【公表番号】特表2014-512422(P2014-512422A)
(43)【公表日】2014年5月22日
(86)【国際出願番号】US2012028055
(87)【国際公開番号】WO2012125364
(87)【国際公開日】20120920
【審査請求日】2015年3月3日
(31)【優先権主張番号】61/451,893
(32)【優先日】2011年3月11日
(33)【優先権主張国】US
(31)【優先権主張番号】13/407,230
(32)【優先日】2012年2月28日
(33)【優先権主張国】US
(73)【特許権者】
【識別番号】500575824
【氏名又は名称】ハネウェル・インターナショナル・インコーポレーテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100140109
【弁理士】
【氏名又は名称】小野 新次郎
(74)【代理人】
【識別番号】100075270
【弁理士】
【氏名又は名称】小林 泰
(74)【代理人】
【識別番号】100101373
【弁理士】
【氏名又は名称】竹内 茂雄
(74)【代理人】
【識別番号】100118902
【弁理士】
【氏名又は名称】山本 修
(74)【代理人】
【識別番号】100129311
【弁理士】
【氏名又は名称】新井 規之
(72)【発明者】
【氏名】ティーン,ユエン−ピーン・ロバート
(72)【発明者】
【氏名】ポーター,サイモン・ジェイ
(72)【発明者】
【氏名】ガズ,ケン
【審査官】
赤澤 高之
(56)【参考文献】
【文献】
特開平01−313536(JP,A)
【文献】
特表2008−535966(JP,A)
【文献】
特開2007−119583(JP,A)
【文献】
特開2010−005947(JP,A)
【文献】
特開平07−251486(JP,A)
【文献】
特表2005−538225(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C08J 7/04− 7/06
C08K 3/00− 13/08
C08L 1/00−101/14
B32B 1/00− 43/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ナイロンフィルム、ポリ乳酸フィルム、および再生セルロースフィルムからなる群より選択される湿度依存性透過性フィルム(60);及び
湿度依存性透過性フィルム(60)の少なくとも1つの表面上の、
ポリ塩化ビニリデン(PVdC)ポリマー中に分散しているナノクレイの被覆材料(65)を含む外側被覆であって、前記被覆材料(65)が重なっている層を含まずに形成されている外側被覆;
を含み、
前記湿度依存性透過性フィルム(60)は、相対湿度70%超95%以下における水蒸気透過速度が、相対湿度0%〜70%のときの水蒸気透過速度よりも大きく、
前記ポリマーは23℃において100%よりも大きな極限伸びを有するポリマーである、
ヒートシール可能な食品包装フィルム(55)。
【請求項2】
被覆材料(65)のナノクレイ含量がPVdCポリマーの0.2重量%〜5重量%の量である、請求項1に記載のヒートシール可能な食品包装フィルム(55)。
【請求項3】
15重量%〜50重量%の固形分含量を有するエマルジョンを用いて被覆材料(65)が湿度依存性透過性フィルム(60)に施されている、請求項1に記載のヒートシール可能な食品包装フィルム(55)。
【請求項4】
被覆材料(65)がエマルジョンの固形分含量の0.25重量%〜5.0重量%の量の抗ブロッキング剤を更に含む、請求項3に記載のヒートシール可能な食品包装フィルム(55)。
【請求項5】
被覆材料(65)がエマルジョンの固形分含量の0.5重量%〜2.0重量%の量の曇り防止組成物を更に含む、請求項4に記載のヒートシール可能な食品包装フィルム(55)。
【請求項6】
ナイロンフィルム、ポリ乳酸フィルム、および再生セルロースフィルムからなる群より選択される湿度依存性透過性フィルム(60)を与え;
湿度依存性透過性フィルム(60)の少なくとも1つの表面を、
ポリ塩化ビニリデン(PVdC)ポリマー中に分散しているナノクレイの被覆材料(65)で被覆して被覆フィルムを与え;そして
被覆フィルムを二軸配向する;
ことを含み;
前記湿度依存性透過性フィルム(60)は、相対湿度70%超95%以下における水蒸気透過速度が、相対湿度0%〜70%のときの水蒸気透過速度よりも大きく、
前記ポリマーは23℃において100%よりも大きな極限伸びを有するポリマーである、
ヒートシール可能な食品包装フィルム(55)の製造方法。
【請求項7】
湿度依存性透過性フィルム(60)の少なくとも1つの表面を、PVdCポリマー中に分散しているナノクレイを含む被覆材料(65)で被覆する工程において、ナノクレイをPVdCポリマーの0.2重量%〜5重量%の量で分散させる、請求項6に記載の方法。
【請求項8】
被覆工程が、15重量%〜50重量%の固形分含量を有するエマルジョンを用いて湿度依存性透過性フィルム(60)の少なくとも1つの表面を被覆することを含む、請求項6に記載の方法。
【請求項9】
ナイロンフィルム、ポリ乳酸フィルム、および再生セルロースフィルムからなる群より選択される湿度依存性透過性フィルム(60);及び
湿度依存性透過性フィルム(60)の少なくとも1つの表面上の、
ポリ塩化ビニリデン(PVdC)ポリマー中に分散しているナノクレイの被覆材料(65)を含む外側被覆;
を含むヒートシール可能な食品包装フィルム(55)を含み;
前記湿度依存性透過性フィルム(60)は、相対湿度70%超95%以下における水蒸気透過速度が、相対湿度0%〜70%のときの水蒸気透過速度よりも大きく、
前記ポリマーは23℃において100%よりも大きな極限伸びを有するポリマーである、
ヒートシール可能な食品包装フィルム(55)がヒートシールされて食品パッケージ(70、100)を形成している食品パッケージ(70、100)。
【請求項10】
前記ナノクレイ含量がPVdCポリマーの0.2重量%〜5重量%の量である、請求項9に記載の食品パッケージ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
[0001]本出願は、2011年3月11日出願の米国仮特許出願61/451,893(その全ての内容を参照として本明細書中に包含する)に関連し、その全ての利用できる利益を請求する。
【0002】
[0002]本発明は、概してポリマーフィルム、その製造方法、及びポリマーフィルムを含むパッケージに関し、より詳しくは、ヒートシール可能な食品包装フィルム、その製造方法、及びかかるヒートシール可能な食品包装フィルムを含む食品パッケージに関する。
【背景技術】
【0003】
[0003]「湿分感受性食品」は、食品パッケージ内に高い湿度条件を引き起こして、湿分の凝結、微生物の成長、及び製品の腐敗を引き起こす可能性がある蒸散速度を有する食品である。代表的な「湿分感受性食品」としては、新鮮な農産物、及び多少湿っているベーカリー製品(例えばドウ)が挙げられる。而して、湿分感受性食品の包装は、食品パッケージ内に酸素、二酸化炭素、及び水蒸気の適切な混合物が存在することを可能にしなければならない。この点に関し、「高い」(即ち、90%RH及び23℃において50g/m
2/日より高い)水蒸気透過速度(MVTR)を有する包装材料は、包装材料が呼吸をして、パッケージの内部の水蒸気が凝結しないようにすることを可能にする。凝結は食品パッケージを曇らせて、消費者がパッケージの中身を見ることができなくなり、且つ微生物の成長及び腐敗を引き起こして、それによって食品製品の品質、安全性、及び保存期間を低下させる可能性がある。本明細書において用いる「水蒸気透過速度」又は「MVTR」は、一般に包装材料を通る水蒸気の脱出の指標である。「保存期間」は、食品が販売、使用、又は消費するのに不適当になる前の時間の長さである。食品包装内の高い湿度条件によって引き起こされる問題は、低温において悪化する。したがって、高いMVTRの包装材料内に包装することは、冷却温度で貯蔵、輸送、及び/又は売買される湿分感受性食品を包装するために特に重要である。
【0004】
[0004]例えば外部要因に対する製品の閉じ込め及び保護を確保するために、ヒートシール可能な包装材料内に包装することもまた重要である。残念なことに、高いMVTRを有する包装材料はヒートシール可能ではない可能性がある。例えば、ナイロンフィルムは、25μmの厚さに関して、23℃及び65%RHにおいて約260g/m
2/日で、23℃及び90%RHにおいては400g/m
2/日超に上昇するMVTR値を有するが、ヒートシール可能ではない。更に、殆どのヒートシール可能なポリマーは、低い水蒸気透過速度(MVTR)を有することを特徴とするポリエチレン又はポリオレフィンベースのものであり、このためにこれらは湿分感受性食品を包装するために用いることができない。例えば、ハロゲン化ポリオレフィンであるポリ塩化ビニリデン(PVdC)は、ヒートシール可能なフィルム又は被覆として用いられているが、その高い湿分バリヤー性(即ち低いMVTR)によって、それは湿分感受性食品を包装するためには不適当である。ヒートシール可能なフィルム又は被覆のMVTRは、湿度変化に伴って変化しない。
【0005】
[0005]これらの問題を克服する試みにおいては、従来は、ナイロンフィルムのような高MVTR基材を、アクリル、ポリウレタンなどのようなヒートシール可能な被覆で被覆するか、或いはヒートシール可能なフィルムを積層していた。しかしながら、従来のヒートシール可能な被覆及びフィルムは、基材のMVTRを低下させる。更に、オフラインの被覆及び積層プロセスは、基材をまずロールに形成し、次にそれを被覆又は積層するために基材を巻き出すことが必要なので、高コストである。ヒートシール可能なフィルム又は被覆を基材に接着させることも制御するのが困難であり、しばしば接着を確保するためにプライマーを用いる必要がある。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
[0006]したがって、高いMVTRを有するヒートシール可能な食品包装フィルムを提供することが望ましい。また、かかるヒートシール可能な食品包装フィルムの製造方法を提供することも望ましい。更に、従来の製造方法よりも低コストであり、オフラインプロセス及びプライマーの必要性を排除するヒートシール可能な食品包装フィルムの製造方法を提供することが望ましい。また、食品製品の貯蔵及び保存期間を延ばすヒートシール可能な食品包装フィルムを提供することも望ましい。更に、本発明の他の望ましい特徴及び特性は、添付の図面及びこの発明の背景と併せて解釈すれば、下記の発明の詳細な説明及び特許請求の範囲から明らかになるであろう。
【課題を解決するための手段】
【0007】
[0007]ヒートシール可能な食品包装フィルムを提供する。1つの代表的な態様によれば、ヒートシール可能な食品包装フィルムは湿度依存性透過性フィルムを含む。外側被覆は、湿度依存性透過性フィルムの少なくとも1つの表面上の被覆材料を含む。被覆材料は、ポリ塩化ビニリデン(PVdC)ポリマー中に分散しているナノクレイ、或いは延伸性ウレタンポリマー、延伸性アクリルポリマー、又は延伸性ウレタンポリマーと延伸性アクリルポリマーとの組み合わせから選択される。被覆材料には、抗ブロッキング剤を更に含ませることができる。
【0008】
[0008]本発明の更に他の代表的な態様によれば、ヒートシール可能な食品包装フィルムの製造方法が提供される。この方法は、湿度依存性透過性フィルムを与えることを含む。湿度依存性透過性フィルムの少なくとも1つの表面を被覆材料で被覆して、被覆フィルムを生成させる。被覆材料は、ポリ塩化ビニリデン(PVdC)ポリマー中に分散しているナノクレイ、延伸性ウレタンポリマー、延伸性アクリルポリマー、又は延伸性ウレタンポリマーと延伸性アクリルポリマーとの組み合わせから選択される。被覆フィルムは二軸配向する。被覆材料は、外側被覆を形成するのに適している。
【0009】
[0009]本発明の更に他の代表的な態様によれば、食品パッケージが提供される。この食品パッケージは、湿度依存性透過性フィルムを含むヒートシール可能な食品包装フィルムを含む。被覆材料を含む外側被覆が、湿度依存性透過性フィルムの少なくとも1つの表面上に存在する。被覆材料は、ポリ塩化ビニリデン(PVdC)ポリマー中に分散しているナノクレイ、延伸性ウレタンポリマー、延伸性アクリルポリマー、又は延伸性ウレタンポリマーと延伸性アクリルポリマーとの組み合わせから選択される。ヒートシール可能な食品包装フィルムをヒートシールして食品パッケージを形成する。
【0010】
[0010]下記において、以下の図面と組み合わせて本発明の幾つかの態様を記載する。図面において、同様の数値は同様の部材を示す。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【
図1】[0011]
図1は、本発明の代表的な態様による、ヒートシール可能な食品包装フィルムを製造する方法のフロー図である。
【
図2】[0012]
図2は、本発明の代表的な態様によるヒートシール可能な食品包装フィルムの断面図である。
【
図3】[0013]
図3は、本発明の代表的な態様による、ヒートシール可能な食品包装フィルムを用いる代表的な食品パッケージの断面図である。
【
図4】
図4は、本発明の代表的な態様による、ヒートシール可能な食品包装フィルムを用いる代表的な食品パッケージの断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
[0014]以下の本発明の種々の態様の詳細な説明は単に例示であり、本発明の主題又は本発明の主題の用途及び使用を限定することは意図しない。更に、上述の背景又は以下の詳細な説明において示すいかなる理論にも縛られる意図はない。
【0013】
[0015]種々の態様は、ヒートシール可能な食品包装フィルム、その製造方法、及びヒートシール可能な食品包装フィルムを含む食品パッケージに関する。ヒートシール可能な食品包装フィルムは高い水蒸気透過速度(以下、「MVTR」)を有し、MVTRは包装の外側の相対湿度が増加するにつれて高くなる。本明細書において用いる「MVTR」は、24時間の間にフィルムを通って拡散する水蒸気の量を示す。これは、ASTM−E96/A/B/Bw法にしたがって、50%又は90%の相対湿度(RH)及び23℃又は38℃においてg/m
2/日で測定される。本明細書において用いる「高い」MVTRとは、90%RH及び23℃において50g/m
2/日より大きいことを意味する。本発明において意図するヒートシール可能な食品包装フィルムは、ヒートシールした食品パッケージから水蒸気が脱出することを可能にして、それによって包装された湿分感受性食品の品質、安全性、及び保存期間を保持し、新鮮な風味及び栄養価を保持し、サプライチェーン廃棄を減少させる。本明細書において用い、上記に記した「湿分感受性」食品とは、食品パッケージ内に高湿度条件を引き起こして、湿分の凝結、微生物の成長、及び製品の腐敗を引き起こす可能性がある蒸散速度を有する食品製品である。代表的な湿分感受性食品としては、新鮮な果物及び野菜、並びに新しいドウ、パン、ケーキなどのような湿ったベーカリー製品が挙げられる。本明細書において用いる「湿ったベーカリー製品」とは、約12%より高い高湿分含量、滑らかな舌触り、及び約0.6〜約0.85の間の高い水分活性を有するものである。高い湿度においては、湿ったベーカリー製品は「堅い皮」又は「パリパリ感」を失い、製品に関する消費者へのアピールが低下する。
【0014】
[0016]
図1及び2を参照すると、本発明において意図するヒートシール可能な食品包装フィルム55を形成する方法は、ヒートシール可能でない湿度依存性透過性フィルム60を与えることによって開始される(工程20)。本明細書において用いる「湿度依存性透過性」フィルムは、水蒸気の脱出に対して透過性であるが、液体水の脱出に対しては実質的に不透過性であり、相対湿度(RH)の増加に伴って増加する水蒸気透過速度を有する非多孔質の一体構造のフィルムである。湿度依存性透過性フィルムは、上記に定義した高いMVTRを有する。低い相対湿度(即ち、約0%〜約70%RH)においては、フィルムはより高い相対湿度(即ち、70%超乃至約95%RH)におけるよりも低いMVTRを示し、即ち、相対湿度が増加して凝結の危険性が生じる場合には、フィルムは呼吸し始める。したがって、より高い相対湿度のためにパッケージの内部における凝結が増加する場合には、湿分はフィルムを通してパッケージの外側に拡散する。
【0015】
[0017]1つの代表的な態様においては、湿度依存性透過性フィルム60はナイロンを含んでいて良い。上述したように、通常の包装フィルムであるナイロンフィルム(二軸配向)は、25μmの厚さに関して、23℃及び65%RHにおいて約260g/m
2/日、23℃及び90%RHにおいては400g/m
2/日超に上昇するMVTRを有するが、ヒートシール可能ではない。本発明において有用なナイロンの非限定的な例としては、約10,000〜約100,000のダルトンの分子量を有する脂肪族ポリアミド及び脂肪族/芳香族ポリアミドから選択されるホモポリマー又はコポリマーが挙げられる。ポリアミドを製造するために有用な基本手順は、当該技術において周知である。かかるものとしては、二酸とジアミンとの反応生成物が挙げられる。ポリアミドを製造するために有用な二酸としては、一般式:
HOOC−Z−COOH
(式中、Zは少なくとも2個の炭素原子を有する二価の脂肪族基を表す)
によって表されるジカルボン酸、例えばアジピン酸、セバシン酸、オクタデカン二酸、ピメリン酸、スベリン酸、アゼライン酸、ドデカン二酸、及びグルタル酸が挙げられる。ジカルボン酸は、例えば、脂肪族酸、又は芳香族酸、例えばイソフタル酸及びテレフタル酸であってよい。ポリアミドを製造するために好適なジアミンとしては、例えば、式:
H
2N(CH
2)
nNH
2
(式中、nは1〜16の整数値である)を有するものが挙げられ、トリメチレンジアミン、テトラメチレンジアミン、ペンタメチレンジアミン、ヘキサメチレンジアミン、オクタメチレンジアミン、デカメチレンジアミン、ドデカメチレンジアミン、ヘキサデカメチレンジアミン、芳香族ジアミン、例えばp−フェニレンジアミン、4,4’−ジアミノジフェニルエーテル、4,4’−ジアミノジフェニルスルホン、4,4’−ジアミノジフェニルメタン、アルキル化ジアミン、例えば2,2−ジメチルペンタメチレンジアミン、2,2,4−トリメチルヘキサメチレンジアミン、及び2,4,4−トリメチルペンタメチレンジアミン、並びに脂環式ジアミン、例えばジアミノジシクロヘキシルメタンのような化合物、及び他の化合物が挙げられる。他の有用なジアミンとしては、ヘプタメチレンジアミン、ノナメチレンジアミンなどが挙げられる。
【0016】
[0018]有用なポリアミドホモポリマーとしては、ポリ(2−アミノ酪酸)(ナイロン4)、ポリ(6−アミノヘキサン酸)(ナイロン6、ポリ(カプロラクタム)としても知られている)、ポリ(7−アミノヘプタン酸)(ナイロン7)、ポリ(8−アミノオクタン酸(ナイロン8)、ポリ(9−アミノノナン酸)(ナイロン9)、ポリ(10−アミノデカン酸)(ナイロン10)、ポリ(11−アミノウンデカン酸)(ナイロン11)、ポリ(12−アミノドデカン酸)(ナイロン12)、ナイロン4,6、ポリ(ヘキサメチレンアジパミド)(ナイロン6,6)、ポリ(ヘキサメチレンセバカミド)(ナイロン6,10)、ポリ(ヘプタメチレンピメラミド)(ナイロン7,7)、ポリ(オクタメチレンスベラミド)(ナイロン8,8)、ポリ(ヘキサメチレンアゼラミド)(ナイロン6,9)、ポリ(ノナメチレンアゼラミド)(ナイロン9,9)、ポリ(デカメチレンアゼラミド)(ナイロン10,9)、ポリ(テトラメチレンジアミン−co−シュウ酸)(ナイロン4,2)、n−ドデカン二酸とヘキサメチレンジアミンとのポリアミド(ナイロン6,12)、ドデカメチレンジアミンとn−ドデカン二酸とのポリアミド(ナイロン12,12)などが挙げられる。有用な脂肪族ポリアミドコポリマーとしては、カプロラクタム/ヘキサメチレンアジパミドコポリマー(ナイロン6,6/6)、ヘキサメチレンアジパミド/カプロラクタムコポリマー(ナイロン6/6,6)、トリメチレンアジパミド/ヘキサメチレンアゼライアミドコポリマー(ナイロントリメチル6,2/6,2)、ヘキサメチレンアジパミド−ヘキサメチレン−アゼライアミドカプロラクタムコポリマー(ナイロン6,6/6,9/6)などが挙げられる。また、本明細書において特に記載していない他のナイロンも包含される。ポリアミドを用いる幾つかの例においては、ポリアミドは、ナイロン6、ナイロン6,6、ナイロン6/6,6、及びこれらの混合物から選択することができる。
【0017】
[0019]脂肪族ポリアミドは、商業的供給源から得るか、或いは公知の製造技術にしたがって製造することができる。例えば、ポリ(カプロラクタム)は、Honeywell International Inc., Morristown, New JerseyからCAPRONの商標で得ることができる。脂肪族及び芳香族ポリアミドの非限定的な例としては、ポリ(テトラメチレンジアミン−co−イソフタル酸)(ナイロン4,I)、ポリヘキサメチレンイソフタルアミド(ナイロン6,I)、ヘキサメチレンアジパミド/ヘキサメチレン−イソフタルアミド(ナイロン6,6/6I)、ヘキサメチレンアジパミド/ヘキサメチレン−テレフタルアミド(ナイロン6,6/6T)、ポリ(2,2,2−トリメチルヘキサメチレンテレフタルアミド)、ポリ(m−キシリレンアジパミド)(MXD6)、ポリ(p−キシリレンアジパミド)、ポリ(ヘキサメチレンテレフタルアミド)、ポリ(ドデカメチレンテレフタルアミド)、ポリアミド6T/6I、ポリアミド6/MXDT/I、ポリアミドMXDIなどが挙げられる。また、2種類以上の脂肪族/芳香族ポリアミドのブレンドを用いることもできる。脂肪族/芳香族ポリアミドは、公知の製造技術によって製造することができ、或いは商業的供給源から得ることができる。
【0018】
[0020]他の代表的な態様によれば、湿度依存性透過性フィルムは、ポリ乳酸(PLA)フィルムであってよい。PLAは、コーンスターチ(米国内)、タピオカ製品(殆どはアジアにおける根、チップ、又はデンプン)、或いはサトウキビ(世界の残りの部分)のような再生可能資源から誘導される熱可塑性脂肪族ポリエステルである。PLAフィルムは、例えばNature Works LLC(Minnetonka, Minnesota)から商業的に入手できる。他の代表的な態様においては、再
生セルロールフィルムを湿度依存性透過性フィルムとして用いることができる。
【0019】
[0021]
図1及び2をなお参照すると、方法10は、湿度依存性透過性フィルム60の少なくとも1つの表面を、ヒートシールが可能でない湿度依存性透過性フィルムをヒートシールすることを可能にする被覆材料65で被覆する(工程30)ことによって継続される。被覆材料は、湿度依存性透過性フィルムの上に外側被覆を形成する。本明細書において用いる「外側被覆」とは、被覆材料が重なっている層を有しないで外側相を形成することを意味する。一態様においては、被覆材料は、ヒートシール性ポリマー及び抗ブロッキング剤を含む。ヒートシール性ポリマーは、約15〜約50重量%の固形分を有する水中のエマルジョンとして商業的に入手できる。一態様においては、ヒートシール性ポリマーは、延伸性ウレタンポリマー、延伸性アクリルポリマー、又は延伸性ウレタンポリマーと延伸性アクリルポリマーとの組み合わせを含む。好適な延伸性ウレタン及び延伸性アクリルポリマーは、約190℃〜約220℃の昇温温度において、下記に記載する延伸比で(被覆材料の一部として)延伸させることができるものである。本明細書に記載する代表的な態様にしたがって用いられる延伸性ウレタン及びアクリルポリマーは、延伸後にそれらのヒートシール性を保持する。本明細書において用いる「ヒートシール性」という用語は、ポリマーが、約175℃〜約205℃の温度及び約0.28MPa〜約0.41MPa(40〜60psi)の圧力においてヒートシールすることができることを意味する。初めの選定基準は、延伸性ウレタン及びアクリルポリマーが、通常はポリマーの供給者によって測定して大気温度(23℃)において約100%より大きい極限伸び、好ましくは大気温度(23℃)において約400%より大きい伸びを有することである。延伸性ウレタンポリマーの非限定的な例としては、Chemtura Witcobond W-507、Witcobond W-290H、及びWitcobond W-170(Chemtura Corporation, Middlebury, Connecticutから入手できる)、又はHauthaway HD-4664及びHauthaway HD 2024(Hauthaway Corporation, Lynn, Massachusettsから入手できる)が挙げられる。延伸性アクリルポリマーの非限定的な例としては、例えばChemtura Witcobond A-100(Chemtura Corporationから入手できる)、又はADM Tronic Aqualene 1400HW(ADM Tronics Unlimited, Inc., Northvale, New Jerseyから入手できる)のようなアクリル−ウレタン系が挙げられる。
【0020】
[0022]他の態様においては、ヒートシール性ポリマーはポリ塩化ビニリデン(PVdC)ポリマーを含み、被覆材料は例えば下記に記載するナノクレイを更に含む。PVdCポリマーは、高い水バリヤー性(即ち低いMVTR)及び高い酸素バリヤー性を有する。PVdCポリマーはまた優れたヒートシール特性も有し、したがってヒートシーラント材料として用いることができる。PVdCポリマーは、例えば、Rohm and Haas Company, Rohm and Haas Chemicals LLC (DOW Chemicalの全額出資子会社), Spring House Pennsylvaniaから「バリヤーPVdC」又は「接着剤グレードPVdC」のいずれかとして商業的に入手できる。いずれのタイプも好適であるが、これらの商業的に入手できるPVdCポリマーは、それらのヒートシール速度などの幾つかの異なる特性を有する。バリヤーPVdCは、非常に迅速にはヒートシールせず、したがって約204℃より高い温度において熱及び圧力を2秒間より多い時間加える。接着剤グレードPVdCは、より低い温度(約191℃(375°F)以下)及び圧力(約0.28MPa〜約0.41MPa(40〜60psi))を用いて、より短い時間(約0.5〜約2秒間)でヒートシールする。いずれを用いるかの選択は、一般に包装業者のヒートシールの要求によって定まる。接着剤グレードPVdCエマルジョンの商業的に入手できる例としては、Philadelphia, PennsylvaniaのRohm and Haas CompanyからのSerfeneエマルジョン、特にSerfene 2022及び2026プライマーレスが挙げられる。
【0021】
[0023]上述したように、PVdCポリマーは、高い水及び酸素バリヤー性でヒートシールすることができる。PVdCポリマーの高い水バリヤー性(即ち低いMVTR)は全ての相対湿度にわたって一定であり、それ自体は湿分感受性食品を包装するためには望ましくない。PVdCポリマーにナノクレイを加えると、PVdCポリマーの通常の水バリヤー特性が実質的に排除される。ナノクレイを加えることによってPVdCの水バリヤー特性が実質的に排除されるので、湿度依存性透過性フィルム60のMVTRによって、包装材料を通る水蒸気の透過速度が制御される。ナノクレイは層状シリケートであり、本来は親水性である。本発明において用いるのに好適なナノクレイは未処理又は未変性であり、ここで「未処理ナノクレイ」又は「未変性ナノクレイ」は同じ意味を有し、本発明においては、界面活性剤、有機アンモニウム塩、又は変性した特性を有するコンプレックスを形成するナノクレイの層の間に移動する他のインターカラント化合物と反応していないか、イオン交換していないか、又はこれらとコンプレックスと形成していないナノクレイとして定義される。これは特に、ナノクレイが、クレイの本来の親水性に影響を与える化合物又は材料と錯化していないことを意味する。かかるクレイは、具体的には、有機カチオン(通常は第4級アルキルアンモニウムイオン)で有機的に変性又は処理して、元の層間カチオンを有機カチオンで交換して有機物親和性の疎水性表面を有するクレイを与えているナノクレイである有機クレイは排除される。本発明において用いるための代表的なナノクレイとしては、例えばモンモリトナイト、ボルコンスコイト、ヘクトライト、パイロフィライト、サポナイト、サウコナイト、マガジイット、ケニヤアイト、バーミキュライト、バイデライト、サポナイト、ノントロナイト、フルオロマイカ、又はこれらの組み合わせのような未変性の天然又は未変性の合成フィロシリケートが挙げられる。未変性のマイカ及びタルククレイもまた好適である。幾つかの例においては、ナノクレイは、約1nm〜約100nmの範囲の平均プレートレット厚さ、及びそれぞれ約50nm〜約500nmの範囲の平均長さ及び平均幅を有していてよい。クレイは、好ましくは、約50〜約1000、より好ましくは約100〜約300、最も好ましくは約300のアスペクト比を有する。
【0022】
[0024]被覆材料を形成するためには、PVdCポリマーを例えばナノクレイと溶融混合又はブレンドして、ポリマーナノ複合材料を形成することができる。或いは、まず少なくとも1種類のモノマーと少なくとも1種類のナノクレイの混合物を与え、次に混合物中においてin-situ重合反応を開始して少なくとも1種類のモノマーを重合させることによってナノ複合材料を形成することができる。ナノ複合材料及びこれらの形成方法は当該技術において周知である。本明細書において用いる「ナノ複合材料」とは、ナノメートルスケールの添加剤(即ちナノクレイ粒子/プレートレット)がその中に均一に分布しているポリマーマトリクス(例えばPVdC)を含むポリマー構造体である。次に、ポリマー−ナノクレイブレンド又はナノ複合材料を、例えばグラビア印刷、リバースグラビア印刷等のような通常の技術を用いて、湿度依存性透過性フィルム60上に被覆することができる。被覆材料は、PVdCポリマーの約0.2重量%〜約5重量%のナノクレイ含量を含む。かかる例においては、PVdCポリマーは、被覆材料の約95重量%〜約99.8重量%を構成することができる。
【0023】
[0025]上述したように、被覆材料には抗ブロッキング剤を含ませることができる。「抗ブロッキング剤」という用語は、本明細書においては、接着が望ましくない場合に、フィルム又はシートが互いか又は他の表面に粘着又は接着する傾向を減少させる物質を説明するように用いる。代表的な抗ブロッキング剤としては、非プレートレット形態の無機粒子(セラミックガラス球体、フライアッシュ、珪藻土、合成シリカ、クレイなど)、有機粒子(シリコーン樹脂、又は他のポリマービーズのような微小粒子)のような通常の抗ブロッキング剤、フルオロ化合物及びシリコーンのような離型剤、脂肪酸(例えばステアリン酸)のようなスリップ剤、並びに天然及び合成ワックス(例えばカルナウバワックス)が挙げられる。抗ブロッキング剤は、エマルジョンの固形分含量(即ち、上述したような約15〜約50重量%の固形分)の約0.25重量%〜約5.0重量%の量でヒートシール性ポリマーのエマルジョンに加える。例えば、アルコール中に溶解した液体ワックスとして入手できるカルナウバワックスを、エマルジョンの固形分含量の約0.5重量%〜約5.0重量%の量で加えることができる。液体ワックスをヒートシール性ポリマーのエマルジョンに加えて被覆材料を生成させる。ナノクレイは、液体ワックスの添加前、添加と同時、又は添加後にPVdCエマルジョンに加えることができる。
【0024】
[0026]被覆材料には曇り防止組成物を更に含ませることができる。曇り防止組成物は、湿分感受性製品を包装するのに用いた際に、ヒートシール可能な食品包装フィルム上での凝結を阻止する。曇り防止組成物の非限定的な例としては、約8〜約20個の炭素原子を有する飽和又は不飽和脂肪酸のグリセロールモノエステル、約8〜約20個の炭素原子を有する飽和又は不飽和脂肪酸のグリセロールジエステル、及びホスフェート、スルフェート、又は第4級アミン官能末端基を有するイオン性界面活性剤が挙げられる。また、アニオン性、カチオン性、非イオン性、及び両性界面活性剤などの界面活性剤も、曇り防止組成物として好適である。好適なイオン性界面活性剤は、ホスフェート、スルフェート、又は第4級アミン官能末端基を有する。他の曇り防止組成物としては、脂肪族カルボン酸のソルビタンエステル、脂肪族カルボン酸のグリセロールエステル、他の多価アルコールと脂肪族カルボン酸とのエステル、ポリオキシエチレン化合物、例えば脂肪族カルボン酸のポリオキシエチレンソルビタンエステル、及び高級脂肪族アルコールのポリオキシエチレンエーテルが挙げられる。好ましい曇り防止組成物は、グリセロールモノオレエート、グリセロールモノステアレート、ソルビタンエステル、及びこれらのブレンドである。曇り防止組成物は、フィルムの被覆前に、エマルジョンの固形分含量の約0.5重量%〜約2.0重量%の量でヒートシール性ポリマーのエマルジョンに加えることができる。
【0025】
[0027]湿度依存性透過性フィルム60は、当業者に公知の任意の方法で被覆材料によって被覆して被覆フィルムを形成することができる。通常の被覆法としては、例えばグラビア印刷、リバースグラビア印刷、スプレー被覆などが挙げられる。
図1を再び参照すると、被覆フィルムは、場合によってはヒートセット工程(工程40)において乾燥することができ、或いは下記に記載するように延伸にかける際にエマルジョンからの水をなお含んでいてもよい。ヒートセット工程は、約65℃〜約120℃の間の温度において約2秒間〜約30秒間行って、被覆フィルムを実質的に乾燥することができる。
【0026】
[0028]実質的に乾燥しているか又は湿潤状態の被覆フィルムは、次に、「二軸シート延伸プロセス」(工程50)において二軸配向、即ち2つの直交方向に延伸する。被覆フィルムは、約190℃〜約220℃の昇温温度において延伸して被覆材料のフィルムへの接着を向上させ、それによって中間接着剤プライマー層の必要性が排除される。被覆フィルムは、その機械(縦)方向及び横方向のそれぞれにおいて約×2.6〜約×3.0の延伸比に配向する。本明細書において用いる延伸比という用語は、延伸方向における寸法増加の指標である。被覆フィルムは同時に二軸配向することができ、この場合には、フィルム上に被覆材料をインラインで施した後に、湿度依存性透過性フィルム及び被覆材料を一緒に二軸配向する。例えば、インライン被覆プロセスにおいては、湿度依存性透過性フィルム及び被覆材料を組み合わせて、機械方向及び横方向の両方において、同時か又は逐次的に(この場合には、被覆フィルムをまず機械方向、次に横方向において延伸する)一緒に二軸配向する。通常は、延伸前にフィルム上にリバースグラビア印刷(など)で被覆することによって、約1.68g/m
2(1ポンド/連)〜16.8g/m
2(10ポンド/連)の被覆重量が達成される。延伸によって、最終被覆重量が延伸ファクター(二軸配向被覆フィルムに関しては約7.5〜約10、好ましくは約9〜約10であってよい)だけ減少する。これは、16.8g/m
2(10ポンド/連)の出発被覆重量が9又は10のファクターだけ減少することを意味する。而して、必要な被覆材料の量は、二軸シート延伸プロセスをフィルムが既に被覆された後ではなく、フィルムの被覆前に行った場合に用いられるものから大きく減少する。被覆材料は非常に高コストであるので、被覆重量の減少は材料コストを大きく減少させる。二軸配向被覆フィルムは、ロールに形成してロールとして貯蔵することができる。抗ブロッキング剤は、ロールにおける層の接着を実質的に抑止する。
【0027】
[0029]ここで
図3を参照すると、ヒートシール可能な食品包装フィルムは、食品パッケージの全部又は一部として用いることができる。ヒートシール可能な食品包装フィルムは、21CFR175.105及び21CFR175.300にしたがって許容できる食品接触材料である。ヒートシール可能な食品包装フィルムを、それ自体(被覆面対被覆面)か、アモルファスポリエチレンテレフタレート(APET)及び解糖ポリエチレンテレフタレート(GPET)のような幾つかのヒートシール可能なポリマーにヒートシールして食品パッケージを形成する。食品製品80を収容した袋75を含むヒートシール可能な食品包装フィルム55から形成される代表的な食品パッケージ70を
図3に示す。食品パッケージは、それ自体の上に折りたたまれているヒートシール可能な食品包装フィルムを含み、したがって側部及び端部85及び90を有し、ヒートシールされて1以上のヒートシール95を形成する。或いは、示してはいないが、袋75は、他のヒートシール可能なフィルムに1以上の側面上でヒートシールしたヒートシール可能な食品包装フィルム55から形成することができる。本明細書において用いる「他のヒートシール可能なフィルム」という用語は、本発明において意図する同一か又は異なる組成を有するヒートシール可能な食品包装フィルム、或いは全く異なるヒートシール可能なフィルムを包含することができることを理解すべきである。
【0028】
[0030]ヒートシール可能な食品包装フィルム55及び開放部分115を有する容器110を含み、ヒートシール可能な食品包装フィルムが容器の開放部分の周りに配置されるようにヒートシール可能な食品包装フィルム55によって容器を取り囲んで、例えば熱を加えて側部及び/又は端部を一緒に加熱して容器の開放部分を封止するヒートシール95を形成することによってヒートシールした代表的な食品製品105を収容した他の代表的な食品パッケージ100を
図4に示す。容器は、例えばトレーなどであってよい。当業者に公知なように、本発明において意図するヒートシール可能な食品包装フィルムから、他のタイプの食品パッケージを形成することができる。
【0029】
[0031]上記から、代表的な態様によるヒートシール可能な食品包装フィルムは、食品パッケージからの水蒸気の脱出を可能にし、それによって食品パッケージの内部における凝結を実質的に抑止し、食品製品の貯蔵及び保存期間を延ばし、安全性並びに新鮮な風味及び栄養価のような品質を保持し、サプライチェーン廃棄を減少させる。代表的な態様にしたがって製造されるヒートシール可能な食品包装フィルムは、高湿度及び冷却条件下において特に有用である。代表的な態様によるヒートシール可能な食品包装フィルムの製造方法は、従来のオフライン製造法よりも低コストであり、プライマーの必要性が排除される。
【0030】
[0032]上記の詳細な説明において少なくとも1つの代表的な態様を示したが、膨大な数のバリエーションが存在することを認識すべきである。また、代表的な態様又は代表的な複数の態様は例に過ぎず、いかなるようにも発明の主題の範囲、適用性、又は構成を限定することは意図しないことも認識すべきである。むしろ、上記の詳細な説明は、発明の代表的な態様を実施するための簡便な指針を当業者に与えるものであり、特許請求の範囲に示す発明の範囲及びその法律的な均等範囲から逸脱することなく、代表的な態様において記載されている機能及び要素の配置において種々の変更を行うことができることが理解される。