(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記走路境界区画線探索部は、前記自車両の走行する路面上の車幅方向における端部に位置する立体的な走路境界の形状情報に基づいて前記探索線を設定する請求項1に記載の走路境界区画線検出装置。
前記走路境界区画線探索部は、前記探索線の延在方向において複数の領域に複数の前記探索線を分割し、分割されたそれぞれの領域ごとに、前記走路境界区画線候補線として最も蓋然性の高い前記探索線があるか否かを判定し、
前記走路境界区画線候補線として領域ごとに選択した前記探索線のうち、前記延在方向に隣接する領域の前記探索線同士の車幅方向における位置が所定の範囲内に位置する場合は、当該探索線同士を同一の走路境界区画線候補としてグループ化する請求項1または2に記載の走路境界区画線検出装置。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下に、本発明に係る走路境界区画線検出装置の実施形態を図面に基づいて詳細に説明する。なお、この実施形態によりこの発明が限定されるものではない。また、下記実施形態における構成要素には、当業者が置換可能、且つ、容易なもの、或いは実質的に同一のものが含まれる。
【0012】
〔実施形態〕
図1は、実施形態に係る走路境界区画線検出装置を備える車両の平面図である。
図2は、
図1のA−A矢視図である。なお、以下の説明では、走路境界区画線検出装置2が搭載される車両1の前後方向を、走路境界区画線検出装置2においても前後方向とし、車両1の左右方向を、走路境界区画線検出装置2においても左右方向とし、車両1の上下方向を、走路境界区画線検出装置2においても上下方向として説明する。
【0013】
実施形態に係る走路境界区画線検出装置2は、車両1の前方を撮像する撮像手段であるカメラ15を備えている。このカメラ15は、車内に配設されており、例えば、車両1のルーフ10の車内側に、前方を撮像することができる向きで取り付けられている。このように配設されるカメラ15は、フロントウィンドウ11越しに前方を撮影することにより、車両1が走行するレーンの境界を示す走路境界区画線である道路上の白線や、他の車両等を撮影することが可能になっている。なお、ここでいる走路境界区画線は、白線のみならず、追い越しのためのはみ出し通行の禁止を示す道路上のオレンジ色の線など、車両1が走行する走路における車幅方向における境界を示す線であれば、白線にはとらわれない。
【0014】
図3は、実施形態に係る走路境界区画線検出装置の要部構成図である。カメラ15は、車両1に搭載されると共に車両1の各部を制御する制御手段であるECU(Electronic Control Unit)20に接続されている。ECU20のハード構成は、CPU(Central Processing Unit)等を有する処理部や、RAM(Random Access Memory)等の記憶部等を備えた公知の構成であるため、説明は省略する。
【0015】
このECU20の処理部は、画像取得部25と、エッジ検出部31と、エッジペアリング部32と、エッジ線分検出部33と、エッジ線分ペアリング部34と、白線境界選択部35と、走路パラメータ推定部36と、走路パラメータ再推定部37と、を機能的に備えている。これらを備えるECU20は、車両1が走行するレーンの境界を示す白線を、カメラ15で撮像した画像に基づいて検出する境界区画線検出手段として設けられている。これらを備えるECU20は、車両1が走行する走路の境界である走路境界を、カメラ15で撮像した画像に基づいて検出する走路境界検出手段として設けられている。なお、この場合における走路境界は、白線等の道路上に施された走路境界区画線のみでなく、路肩やガードレール、側壁等の立体的な形状によって走路の境界を区画するものも含まれる。
【0016】
ECU20が備える各部のうち、画像取得部25は、カメラ15で撮像した画像を取得する画像取得手段になっている。また、エッジ検出部31は、画像取得部25で取得した画像より、画像上の輝度が大幅に変化する部分であるエッジを検出するエッジ検出手段になっている。このエッジ検出部31は、画像取得部25で取得した画像を一方向に走査することにより、明度が高くなる部分である上りエッジと、明度が低くなる部分である下りエッジとを検出することが可能になっている。また、エッジペアリング部32は、エッジ検出部31で検出した上りエッジと下りエッジとの間の幅や、輝度情報から、上りエッジと下りエッジとからなるペアであるエッジペアを検出するエッジペアリング手段になっている。
【0017】
また、エッジ線分検出部33は、上りエッジ及び下りエッジ毎に、直線状に並ぶ線であるエッジ線分を検出するエッジ線分検出手段になっている。また、エッジ線分ペアリング部34は、エッジ線分検出部33で検出した上りエッジ線分と下りエッジ線分とのうち、ペアになるものを検出するエッジ線分ペアリング手段になっている。また、白線境界選択部35は、エッジ線分ペアリング部34で検出したエッジ線分ペアに基づいて、過去の白線検出位置と近い線分を、自車が走行するレーンの白線として選択する白線境界選択手段になっている。このように、自車が走行するレーンの白線を選択する白線境界選択部35は、即ち、カメラ15で撮像された撮像領域内の画像情報に基づいて、自車両の走行する路面上の走路境界を検出する走路境界検出部として設けられている。
【0018】
また、走路パラメータ推定部36は、道路形状を表すパラメータを推定する走路パラメータ推定手段になっている。また、走路パラメータ再推定部37は、自車が走行するレーンの左右両側に位置する白線のうち、既に検出している白線検出の結果を用いて、もう片方の白線を探索する走路パラメータ再推定手段になっている。換言すると、走路パラメータ再推定部37は、白線境界選択部35によって検出された走路境界であって、且つ、車両1の両側の走路境界のうちの片側の走路境界の位置に基づいて、車幅方向において片側の走路境界に対して車両1を挟んで反対側の路面上に走路境界区画線を探索する走路境界区画線探索部として設けられている。
【0019】
本実施形態に係る走路境界区画線検出装置2は、以上のごとき構成からなり、以下、その作用について説明する。走路境界区画線検出装置2は、車両1の走行時にドライバの運転支援を行うために、フロントウィンドウ11を介してカメラ15で車両1の前方を撮像する。この運転支援としては、例えば、自車が走行するレーンを検出し、レーンに沿った走行をするようにドライバの運転操作のアシストをする制御等が挙げられる。運転支援制御では、カメラ15で撮像した画像に基づいて白線を検出することにより、自車が走行するレーンを認識し、自車が認識したレーンに沿った走行を行うことができるように、旋回の補助制御等を行う。
【0020】
次に、これらのように走路境界区画線検出装置2で白線を検知する場合における処理手順について説明する。
図4は、実施形態に係る走路境界区画線検出装置によって白線を検出する際におけるフロー図である。
図5は、カメラで撮像した画像の一例を示す説明図である。車両1の走行時には、カメラ15で撮像した画像16を取得する(ステップST101)。つまり、車両1の走行時には、フロントウィンドウ11を介して自車の前方をカメラ15で撮像し、撮像した画像16をECU20の画像取得部25で取得する。これにより例えば、
図5に示すように、自車が走行するレーン41や白線45等の、現在走行している道路40を撮像する。
【0021】
次に、エッジ点を検出する(ステップST102)。
図6は、エッジについての説明図である。本実施形態に係る走路境界区画線検出装置2では、画像取得部25で取得した画像16に基づいて、道路40上の白線45を検出する。この白線45を検出する手法について説明すると、ECU20のエッジ検出部31で画像16中における左右方向、即ち、車両1の幅方向である車幅方向に走査することにより、画像16中の明度50を検出し、画像16中において明度50が変化する部分であるエッジを検出する。具体的には、Sobelフィルタ等を使用し、明度50が低い部分から高い部分に変化する部分である上りエッジ51や、明度50が高い部分から低い部分に変化する部分である下りエッジ52を検出する。このように、画像取得部25で取得した画像16中より、上りエッジ51と下りエッジ52とを検出することにより、白線45を検出する。
【0022】
図7は、エッジ点についての説明図である。上りエッジ51や下りエッジ52を検出する手法について具体的に説明すると、取得した画像16に対して明度50の変化を見ながら走査し、明度50の変化が大きい部分であるエッジ点を検出することにより、画像16中のエッジを検出する。
【0023】
例えば、画像16を左側から右側に向かって走査した際には、道路40上の白線45の部分では、白線45の左側の部分で、白線45が無い路面から白線45に向けて走査される。このため、白線45の左端付近の明度50は、低い状態から高い状態になる。このように明度50が変化する白線45の部分について、Sobelフィルタ等の微分フィルタを用いて導出した明度の変化状態を示す明度変化線55は、白線45の左端が位置する部分で大きくなる。
【0024】
また、画像16を左側から右側に向かって走査した際において、白線45の右側の部分では、白線45上から、白線45が無い路面に向けて走査されるため、明度50は、高い状態から低い状態になる。このため、明度変化線55は、白線45の右端が位置する部分で小さくなる。
【0025】
これらのように検出した明度変化線55は、予め設定された閾値と比較し、明度変化線55のピーク部分における強度の絶対値が、閾値の絶対値以上の場合は、その部分をエッジ点として検出する。つまり、閾値は、明度変化線55における上り側、即ち+側と、明度変化線55における下り側、即ち−側とにそれぞれ設定し、明るくなる側に位置する明度変化線55のピークの部分は、+側の閾値と比較し、暗くなる側に位置する明度変化線55のピークの部分は、−側の閾値と比較する。この比較により、+側の閾値以上であると判断された明度変化線55のピークの部分は、上りエッジ点56として検出する。同様に、−側の閾値以下であると判断された明度変化線55のピークの部分は、下りエッジ点57として検出する。
【0026】
次に、ECU20のエッジペアリング部32でエッジ点のペアリングを行う(ステップST103)。
図8は、エッジ点のペアリングと不要なエッジ点についての説明図である。エッジ検出部31は、白線45の部分のみでなく、画像取得部25で取得した画像16全体よりエッジ点を検出するため、検出されたエッジ点の中には、路面の汚れによるエッジ点など、白線45と関係ないエッジ点も含まれていることがある。このため、エッジペアリング部32で、エッジ点のペアリングを行うことにより、白線45とは関係ないエッジ点の除去を行う。つまり、画像取得部25で取得した画像16より白線45を検出した際には、通常はペアとなる上りエッジ51と下りエッジ52とが存在するため、これを利用し、ペアにならない孤立したエッジ点は、不要エッジ点58であると判定して除去する。
【0027】
エッジペアリング部32でのエッジ点ペアの検出は、具体的には、エッジ検出部31で検出した上りエッジ点56と下りエッジ点57との間隔が、想定している白線45の幅Wa以下の場合には、この上りエッジ点56と下りエッジ点57とをペアとして検出する。つまり、道路40上の白線45は、設定された幅で形成されているため、ECU20の記憶部には、画像取得部25で取得した画像16上において想定される白線45の幅Waが、ある程度のマージンをもった大きさで予め記憶されている。このため、例えば、画像16を左側から右側に向かって走査した際において、検出した上りエッジ点56の位置から、想定している白線45の幅Waの範囲内に下りエッジ点57が位置する場合は、この上りエッジ点56と下りエッジ点57とは、ペアとして検出する。
【0028】
また、上りエッジ点56と下りエッジ点57とがある場合でも、双方の間隔が、想定している白線45の幅Waよりも大きい場合も、一方のエッジ点は不要エッジ点58であると判定して除去する。即ち、画像16を左側から右側に向かって走査した際において、上りエッジ点56と下りエッジ点57とがある場合でも、検出した上りエッジ点56の位置から、想定している白線45の幅Waの右側に下りエッジ点57が位置する場合は、この下りエッジ点57は、不要エッジ点58であると判定して除去する。
【0029】
これらにより、画像取得部25で取得した画像16中において、白線45らしいと判断できる上りエッジ51と下りエッジ52とに該当する上りエッジ点56と下りエッジ点57とのペアを検出する。
【0030】
次に、エッジ線分の検出を行う(ステップST104)。つまり、エッジペアリング部32で検出された上りエッジ点56と下りエッジ点57とのペアに該当する画像16中の上りエッジ51と下りエッジ52とについて、エッジ線分を検出する。即ち、画像16中において上りエッジ点56に該当する上りエッジ51と、画像16中において下りエッジ点57に該当する下りエッジ52とに対して、上りエッジ51及び下りエッジ52毎に、直線状に並ぶ線分であるエッジ線分を、ECU20のエッジ線分検出部33で検出する。エッジ線分検出部33は、例えば、ハフ変換を用いることにより、上りエッジ51と下りエッジ52とのそれぞれでエッジ線分を検出する。
【0031】
次に、エッジ線分のペアリングを行う(ステップST105)。つまり、エッジ線分検出部33で検出した、上りエッジ51と下りエッジ52とのそれぞれでエッジ線分の平行度合いや間隔等を利用して、上りエッジ51のエッジ線分と、下りエッジ52のエッジ線分とのペアを、ECU20のエッジ線分ペアリング部34で抽出する。これにより、白線45らしいと判断できる上りエッジ51のエッジ線分と下りエッジ52のエッジ線分とのペアを抽出する。
【0032】
次に、白線境界を選択する(ステップST106)。この選択は、ECU20の白線境界選択部35で行う。白線境界選択部35は、過去の白線45の検出位置と、エッジ線分ペアリング部34で抽出した上りエッジ51と下りエッジ52とのエッジ線分のペアとを比較し、エッジ線分のペアのうち、過去の白線45の検出位置に近いものを、自車が走行している道路40に施されている白線45として選択して検出する。
【0033】
次に、走路パラメータを推定する(ステップST107)。この推定は、ECU20の走路パラメータ推定部36で行う。つまり、白線境界選択部35で選択した白線45の検出位置や、検出した白線45の形状を利用して、最小二乗法やカルマンフィルタ等を利用して、自車が走行をしている道路40の形状を表現する曲率や横位置等のパラメータである走路パラメータを推定する。即ち、走路境界である白線45の形状情報に基づいて、走路パラメータを推定する。この走路パラメータは、自車が走行するレーン41の左右両側に位置する白線45ごとに推定する。また、走路パラメータとしては、例えば、曲率、曲率変化率等を推定する。
【0034】
なお、ECU20の記憶部には、この走路パラメータの検出状態を示すフラグである検出フラグが設定されており、走路パラメータ推定部36で走路パラメータを推定した場合には、検出フラグをONにする。また、検出フラグは、自車が走行するレーン41の左右両側に位置する白線45ごとに推定する走路パラメータごとに設定されており、それぞれの検出フラグは、対応する白線45の走路パラメータの推定状態に応じて、ONとOFFとを切り替える。
【0035】
次に、白線45は左右両側検出できたか否かを判定する(ステップST108)。この判定は、走路パラメータの検出状態を示す検出フラグに基づいて行う。即ち、レーン41の左右の白線45に対応するそれぞれの検出フラグが、共にONの場合は、左右の白線45を検出できたと判定し、少なくとも一方の検出フラグがOFFの場合は、白線45は、左右両側では検出できていないと判定する。
【0036】
この判定により、白線45は左右両側では検出できていないと判定された場合(ステップST108、No判定)には、複数の探索線62を作成する(ステップST109)。
図9は、探索範囲についての説明図である。
図10は、探索線についての説明図である。検出できなかった白線45は、検出できた白線45を用いて再度推定する。検出できなかった白線45を再度推定する際には、この白線45が位置すると想定される位置に、互いに走路上の位置が左右方向に異なる複数の探索線62を設定することによって推定する。
【0037】
この探索線62の設定は、ECU20の走路パラメータ再推定部37で行い、走路パラメータ再推定部37は、画像取得部25で取得した画像16に基づいて白線45の検出を行った際に、レーン41の左右に位置する白線45のうちのいずれか一方の検出の信頼度が低い場合に、検出の信頼度が低い白線45が位置すると想定される位置に、探索線62を設定する。なお、ここでいう信頼度は、検出した位置に白線45等の走路境界が存在するか否かの蓋然性をいう。即ち、以下の説明で、「信頼度が高い」という場合は、検出した位置に走路境界が存在する蓋然性が高い状況を示しており、「信頼度が低い」という場合は、検出した位置に走路境界が存在する蓋然性が低い状況を示している。
【0038】
走路パラメータ再推定部37は、車幅方向において白線45の検出の信頼度が低い側の路面上の位置に、互いに走路上の位置が車幅方向に異なる複数の探索線62を、白線45の検出の信頼度が低い側の白線45の形状情報に基づいて設定する。詳しくは、走路パラメータ再推定部37は、検出の信頼度が高い側の白線45であり、高信頼度走路境界区画線として扱われる高信頼度白線46に対して、レーン41の左右方向において、検出の信頼度が低い側の白線45であり、低信頼度走路境界区画線として扱われる低信頼度白線47が位置する側に探索線62を設定する。この探索線62は、互いに走路上の位置が左右方向に異なる位置に、複数を設定する。
【0039】
具体的には、走路パラメータ再推定部37は、高信頼度白線46より推定した走路パラメータを基準に、低信頼度白線47を探索する探索範囲60を設定する。探索範囲60の設定は、高信頼度白線46から低信頼度白線47側に走路幅Wrの分シフトさせた位置から高信頼度白線46に近付く方向に(走路幅Wr×α)となる位置から、高信頼度白線46から低信頼度白線47側に走路幅Wrの分シフトさせた位置から高信頼度白線46から離れる方向に(走路幅Wr×α)となる位置までの範囲である白線探索範囲Rsを、探索範囲60として設定する。
【0040】
この場合における走路幅Wrは、法規で定められているレーン41の幅や、レーン41の幅として一般的に用いられている幅に基づいた値を用いるのが好ましい。また、走路幅Wrを設定する際の他の手法としては、レーン41の左右両側の白線45を高信頼度で検出できた時の走路幅を記憶しておき、最新の走路幅の値を用いたり、複数の走路幅の平均値を用いたりするのが好ましい。また、白線探索範囲Rsを算出する際に用いるαは、走路境界区画線検出装置2での白線45の検出精度等に基づいて、任意の値を設定するのが好ましい。
【0041】
このように、探索範囲60を設定したら、探索範囲60内で、カメラ15の性能等に応じて、所定の分解能で左右方向にシフトさせた線を複数設定し、この複数の線を探索線62として設定する。これにより、探索範囲60内には、左右方向にそれぞれ異なる位置に、互いに略平行に形成される複数の探索線62を複数設定する。
【0042】
次に、探索線62の平均輝度を算出する(ステップST110)。
図11は、探索線の平均輝度についての説明図である。探索線62の平均輝度70の算出は、ECU20の走路パラメータ再推定部37で行う。走路パラメータ再推定部37は、探索範囲60内の複数のそれぞれの探索線62上における輝度情報である探索線上輝度情報を、画像取得部25で取得した画像16に基づいて取得し、白線45の幅方向である左右方向における位置ごとに、探索線62の輝度の平均値を算出する。これにより、画像取得部25で取得した画像16内における、または、自車の進行方向における所定の距離の範囲内における、左右方向の位置ごとの探索線62の平均輝度70を算出する。
【0043】
なお、探索線62の平均輝度70を算出する際における輝度の加算方法は、例えば、画像16の水平方向における左右1pixelずつや、自車からの距離に応じた左右方向の所定幅の分の範囲内で、最も輝度が高い画素を加算することにより、左右方向における位置ごとに、加算した輝度を算出してもよい。
【0044】
次に、平均輝度70が最大・極大になる探索線62はあるか否かを判定する(ステップST111)。つまり、複数の探索線62上の平均輝度70が、最大で、且つ、極大になる探索線62があるか否かを、走路パラメータ再推定部37で判定する。このような探索線62があるか否かの判定は、探索線62ごとの平均輝度70を算出した後、平均輝度70において、周囲の探索線62の平均輝度70が高くなり、平均輝度70同士を比較した場合の変曲点になる平均輝度最大値75を算出し、この平均輝度最大値75は極大値であるか否かを判定することにより行う。次に、このような探索線62があるか否かを判定する際における処理手順について説明する。
【0045】
図12は、平均輝度が最大・極大になる探索線はあるか否かを判定する際における処理手順を示すフロー図である。平均輝度70が最大で、且つ、極大になる探索線62の有無を判定する際には、まず、ステップST110で各探索線62上の平均輝度70を算出(ステップST201)した後、各探索線62の平均輝度70の最大値を算出する(ステップST202)。つまり、探索線62ごとの平均輝度70同士を比較し、その中から、輝度値が最大値になる平均輝度70である平均輝度最大値75を算出する。
【0046】
次に、算出した最大値と全探索線62上の平均輝度70の平均値との比率が一定以上であるか否かを判定する(ステップST203)。つまり、平均輝度70の算出を行った全探索線62の平均輝度70の平均値である平均輝度平均値71を算出し、平均輝度最大値75と、この平均輝度平均値71との比率が一定以上であるか否かを判定する。この判定を行う場合に用いる平均輝度最大値75と平均輝度平均値71との比率は、走路境界区画線検出装置2での白線45の検出精度等に基づいて、任意の値を設定するのが好ましい。
【0047】
この判定により、平均輝度最大値75と平均輝度平均値71との比率が一定以上ではないと判定された場合(ステップST203、No判定)には、これらを満たす探索線62は未検出であると判定(ステップST204)し、この処理手順から抜け出る。
【0048】
これに対し、平均輝度最大値75と平均輝度平均値71との比率が一定以上であると判定された場合(ステップST203、Yes判定)には、次に、平均輝度最大値75は極大値であるか否かを判定する(ステップST205)。つまり、探索範囲60には、塗料のかすれや路面の汚れ等によって複数の探索線62の平均輝度70に、平均輝度最大値75が複数存在する場合もあり、複数の平均輝度最大値75が、平均輝度平均値71に対して比率が一定以上になることがある。このため、算出した平均輝度最大値75は、平均輝度70の中で、唯一の、平均輝度平均値71に対して比率が一定以上となる平均輝度最大値75である、平均輝度70の極大値であるか否かを判定する。
【0049】
この判定により、平均輝度最大値75は極大値ではないと判定された場合(ステップST205、No判定)には、平均輝度70の中で、唯一の、平均輝度平均値71に対して比率が一定以上となる平均輝度最大値75の輝度になる探索線62は未検出であると判定(ステップST204)し、この処理手順から抜け出る。
【0050】
これに対し、平均輝度最大値75は極大値であると判定された場合(ステップST205、Yes判定)には、平均輝度70の中で、唯一の、平均輝度平均値71に対して比率が一定以上となる平均輝度最大値75の輝度になる探索線62を検出したと判定する(ステップST206)。
【0051】
図13は、白線候補線についての説明図である。平均輝度最大値75となる平均輝度70を有し、当該平均輝度最大値75の輝度が、平均輝度平均値71に対して一定以上になる探索線62であると検出された探索線62は、低信頼度白線47の推定に用いる走路境界区画線候補となる白線候補線65として設定する。つまり、走路パラメータ再推定部37は、複数の探索線上輝度情報を比較することにより、複数の探索線62の中に、低信頼度白線47を推定する白線候補線65に用いることができる探索線62として、最も信頼度の高い探索線62があるか否かを判定する。走路パラメータ再推定部37は、この判定により、白線候補線65として最も信頼度の高い探索線62があると判定される場合は、当該探索線62を走路境界区画線候補線である白線候補線65として選択し、白線候補線65として最も信頼度の高い探索線62はないと判定される場合は、複数の探索線62のいずれも白線候補線65として選択しない。
【0052】
走路パラメータ再推定部37は、これらの処理を行うことにより、白線候補線65として選択することができる、平均輝度70が最大・極大になる探索線62はあるか否かを判定する。この判定により、平均輝度70の中で、唯一の、平均輝度平均値71に対して比率が一定以上となる平均輝度最大値75の輝度になる探索線62を検出したと判定され(ステップST206)、平均輝度70が最大・極大になる探索線62はあると判定された場合(ステップST111、Yes判定)は、検出フラグをONにする(ステップST112)。即ち、平均輝度70が最大・極大になる探索線62はあると判定され、この探索線62が白線候補線65として選択されたら、低信頼度白線47に対応する検出フラグをONにする。
【0053】
低信頼度白線47に対応する検出フラグをONにしたら、走路パラメータを出力する(ステップST113)。つまり、高信頼度白線46の走路パラメータと、低信頼度白線47の走路パラメータとを出力する。このうち、低信頼度白線47の走路パラメータは、高信頼度白線46に対する白線候補線65のオフセット量を、高信頼度白線46の走路パラメータに追加したものを、低信頼度白線47のパラメータとして出力する。走路境界区画線検出装置2は、このように左右両側の白線45の走路パラメータを出力することにより、カメラ15で撮像した画像16中におけるレーン41の左右両側に位置する白線45の検出結果を出力する。走路境界区画線検出装置2から出力された白線45の走路パラメータは、車両1の走行時の安全制御や、ドライバの運転支援をするための制御など、車両1の走行制御時における他の制御で適宜使用される。
【0054】
また、白線45は左右両側検出できたと判定された場合(ステップST108、Yes判定)も同様に、走路パラメータを出力する(ステップST113)。この場合は、自車が走行するレーン41の左右両側に位置する白線45のそれぞれの走路パラメータの推定が完了しているので、左右両側の白線45の走路パラメータを出力する。
【0055】
これらに対し、平均輝度70の中で、唯一の、平均輝度平均値71に対して比率が一定以上となる平均輝度最大値75の輝度になる探索線62は未検出であると判定され(ステップST204)、平均輝度70が最大・極大になる探索線62は無いと判定された場合(ステップST111、No判定)は、検出フラグを維持する(ステップST114)。即ち、平均輝度70が最大・極大になる探索線62は無いと判定され、いずれの探索線62も白線候補線65として選択されない場合は、低信頼度白線47に対応する検出フラグは、OFFの状態を維持する。
【0056】
このように、白線候補線65が未選択で、検出フラグが維持される場合も、走路パラメータを出力する(ステップST113)。この場合は、高信頼度白線46の走路パラメータのみを出力する。つまり、低信頼度白線47を推定することができる白線候補線65が、複数の探索線62の中から選択されない場合は、低信頼度白線47の走路パラメータを精度よく推定することは、困難なものとなる。このため、白線候補線65が未選択であることにより、低信頼度白線47に対応する検出フラグがOFFの状態で維持される場合は、低信頼度白線47の走路パラメータは出力せず、高信頼度白線46の走路パラメータのみを出力する。
【0057】
以上の実施形態に係る走路境界区画線検出装置2は、カメラ15で撮像した画像16より道路40の白線45を検出し、左右の白線45のうち一方の白線45の検出信頼度が低い場合は、複数の探索線62を設定して、複数の探索線62の探索線上輝度情報を比較することにより、複数の探索線62の中に白線候補線65に用いることができる探索線62があるか否かを判定する。この判定によって、白線候補線65として最も信頼度の高い探索線62はないと判定される場合は、複数の探索線62のいずれも白線候補線65として選択しないため、検出信頼度が低い状態で白線45を補正すること抑制することができる。この結果、誤った検出が行われることを抑制することができる。
【0058】
〔変形例〕
なお、上述した実施形態に係る走路境界区画線検出装置2では、複数の探索線62の中から白線候補線65を選択する際に、画像16中の高信頼度白線46に基づいて設定した探索線62より、白線候補線65の有無を判定しているのみであるが、低信頼度白線47の検出精度をより高める手法を用いてもよい。低信頼度白線47の検出精度をより高める際には、例えば探索線62を複数の領域に分割してそれぞれの領域ごとに白線候補線65を選択し、白線候補線65として選択した探索線62をグループ化することにより、低信頼度白線47の推定を行ってもよい。
【0059】
図14は、探索線を複数の領域に分割して低信頼度白線を推定する際における処理手順を示すフロー図である。
図15は、分割距離を設定して低信頼度白線を検出する場合の説明図である。低信頼度白線47の検出精度をより高める際には、まず、探索範囲60を複数の領域に分割する(ステップST301)。具体的には、
図15に示すように、ECU20の走路パラメータ再推定部37で低信頼度白線47の探索を行う範囲を、探索線62の延在方向において、所定の分割距離Dsごとに複数の領域に複数の探索線62を分割し、分割距離Dsごとに分割された探索領域80を複数設定する。
【0060】
図16は、領域ごとに白線候補線を選択した状態を示す説明図である。次に、各探索領域80毎に、白線候補線65を探索する(ステップST302)。つまり、各探索領域80ごとに探索線62の平均輝度70を算出し、算出した平均輝度70に基づいて、白線候補線65として最も信頼度の高い探索線62があるか否かを判定することにより、探索領域80毎に白線候補線65を探索する。
【0061】
図17は、白線候補線として選択された探索線のグループ化についての説明図である。次に、各探索領域80の白線候補線65のグループ化を行う(ステップST303)。このグループ化を行う際には、まず、白線候補線65として探索領域80ごとに選択した探索線62のうち、探索線62の延在方向に隣接する探索領域80の探索線62同士の車幅方向における位置を比較する。即ち、隣接する探索領域80同士で、それぞれ白線候補線65として選択した探索線62同士の左右方向における距離が、所定の範囲内に位置しているか否かを判定する。この判定により、隣接する探索領域80で、それぞれ白線候補線65として選択した探索線62同士の左右方向における位置が、所定の範囲内に位置する場合は、当該探索線62同士を、同一の走路境界区画線候補としてグループG化する。これに対し、探索線62の延在方向に隣接する領域の探索線62同士の車幅方向における位置が所定の範囲内に位置しない場合は、当該探索線62同士を同一の走路境界区画線候補としてグループG化しない
【0062】
なお、このグループGの判定を行う際に用いる探索線62同士の左右方向における所定の範囲は、例えば、白線45の幅相当の幅など、隣接する探索領域80でそれぞれ白線候補線65として選択した探索線62同士が、1つの白線45を示していると判断できる範囲を予め設定し、ECU20の記憶部に記憶しておくのが好ましい。
【0063】
これらのように、複数の探索領域80ごとに、白線候補線65として信頼度の高い探索線62を選択し、これらの探索線62同士が所定の範囲内に位置する場合はグループG化することにより、道路40上のかすれ線等の中から、白線45であると判断できる線を検出し易くすることができる。この結果、より確実に、検出信頼度が低い状態で白線45を補正すること抑制することができ、誤った検出が行われることを抑制することができる。
【0064】
また、上述した実施形態に係る走路境界区画線検出装置2は、レーン41の左右に位置する白線45のうちのいずれか一方の検出の信頼度が低い場合は、高信頼度白線46に基づいて複数の探索線62を設定しているが、探索線62は、高信頼度白線46以外に基づいて設定してもよい。
【0065】
図18は、縁石に基づいて探索線を設定する場合の説明図である。探索線62を高信頼度白線46以外に基づいて設定する際には、例えば、前記自車両の走行する路面上の車幅方向における端部に位置する縁石90等の立体的な走路境界の形状情報に基づいて設定してもよい。なお、走路境界としては、縁石90以外を用いてもよく、例えば、道路40の端部に位置する路肩や、道路40の端部に設置されるガードレール、側壁等を、探索線62の設定に用いる走路境界として用いてもよい。以下の説明では、走路境界として縁石90を用いる場合について説明する。
【0066】
図19は、縁石に基づいて探索線を設定する場合における処理手順を示すフロー図である。探索線62の設定に縁石90を用いる場合も、まず、カメラ15で撮像した画像16を画像取得部25で取得(ステップST101)し、取得した画像16に基づいて、縁石90があるか否かを判定する(ステップST401)。つまり、画像取得部25で取得した画像16に基づいて、自車が走行している道路40の左右方向における端部に縁石90があるか否かを、ECU20の走路パラメータ再推定部37で判定する。この判定により、縁石90はないと判定された場合(ステップST401、No判定)は、画像取得部25で取得した画像16中のエッジ点を検出し、このエッジ点に基づいて、白線45の検出を行う。
【0067】
これに対し、縁石90はあると判定された場合(ステップST401、Yes判定)は、縁石90の検出処理を行う(ステップST402)。この縁石90の検出処理は、公知の手法により行い、例えば、ステレオカメラを用いたり、レーザーを用いたりすることにより、縁石90の立体形状を含む縁石90の形状を検出し、縁石90から得られる走路パラメータを検出する。つまり、縁石90の形状に基づいて、曲率や曲率変化率、オフセット、ヨー角等の走路パラメータを推定する。
【0068】
縁石90の検出処理を行ったら、次に、複数の探索線62を作成する(ステップST403)。つまり、縁石90の形状に基づいて推定した走路パラメータを基準に、低信頼度白線47を探索する探索範囲60を設定する。この探索範囲60は、実施形態に係る走路境界区画線検出装置2において、高信頼度白線46に基づいて探索範囲60を設定する場合と同様に、縁石90から低信頼度白線47側に走路幅Wrの分シフトさせた位置から縁石90に近付く方向に(走路幅Wr×α)となる位置から、縁石90から低信頼度白線47側に走路幅Wrの分シフトさせた位置から縁石90から離れる方向に(走路幅Wr×α)となる位置までの範囲である白線探索範囲Rsを、探索範囲60として設定する。探索範囲60を設定したら、探索範囲60内に、左右方向にそれぞれ異なる位置に、探索線62を複数設定する。
【0069】
このように、縁石90に基づいて複数の探索線62を作成し、白線45の検出を行うことにより、左側の白線45と右側の白線45とが未検出の場合でも、縁石90に基づいて白線45の検出を行うことができる。例えば、自車が走行する道路40の左端に位置する縁石90が検出できた場合は、過去の縁石90の検出結果とレーン41の左端に位置する白線45の走路パラメータとに基づいて、検出した縁石90と、レーン41の左端に位置する白線45の左右方向における位置の差に基づいて、探索範囲60を設定する。左端に位置する白線45を探索する探索範囲60を設定したら、複数の探索線62を設定し、この探索線62に基づいて、左端に位置する白線45を推定する(ステップST110〜ST114)。
【0070】
これにより、レーン41の左端に位置する白線45を推定したら、この白線45の走路パラメータを基準に、レーン41の右端に位置する白線45を探索する探索範囲60を設定する。さらに、この探索範囲60に、複数の探索線62を設定することにより、この探索線62に基づいて、レーン41の右端に位置する白線45を推定する(ステップST110〜ST114)。
【0071】
このように、縁石90等の走路境界に基づいて白線45の検出を行うことにより、複数の検出基準に基づいて白線45を検出するため、白線45の検出精度を高めると共に、誤った検出が行われることを、より確実に抑制することができ、また、左右両端の白線45の検出信頼度が低い場合でも、縁石90等の走路境界に基づいて白線45を検出することができる。また、縁石90等の走路境界に基づいて白線45の検出を行うことにより、路面の端部に白線45などの走路境界区画線が存在しない走行環境であっても、路肩やガードレール、側壁などの立体的な走路境界の検出結果に基づいて、もう一方側の走路境界区画線の探索を実行することができる。
【0072】
また、上述した走路境界区画線検出装置2では、自車が走行するレーン41の左右両端に位置する白線45の検出を行っているが、自車が走行するレーン41以外の白線45の検出を行ってもよい。例えば、自車が走行するレーン41の白線45の検出を行った後、検出した白線45の走路パラメータを基準に、自車が走行するレーン41に隣接するレーン41の白線45を検出してもよい。これにより、隣接するレーン41の状態を認識することができ、車両1の走行時の安全性やドライバの運転操作を支援する制御を行う際に、より広範囲の情報に基づいた適切な制御を行うことができる。